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  • 『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ, 2018年 レビュー | 同じ屋根の下で愛情があれば家族

    『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ, 2018年 レビュー | 同じ屋根の下で愛情があれば家族


    そして、バトンは渡された (文春文庫 せ 8-3)
    そして、バトンは渡された
    瀬尾まいこ, 2018年
    432 ページ
    2026.03 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 血が繋がっていたり繋がっていなかったりの家族の形
    ✔ それぞれの愛情を受けて育つ高校生が主人公
    ✔ 読みやすく心を打たれる、高校生にもぜひ

    ★★★★★ どんな形であっても家族であることは間違いない。血が繋がっている繋がっていない、一緒に暮らし同じご飯を食べること、無理したり冷めてみたりしても、そこに愛情があればうまくいく。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    油断していた。
    最初は、子供の頃から次々と親が変わり家族の形が変わる中で、自分の配偶者を見つけるっていう恋愛ものだと思ってた。
    いや、あらすじを書くとそうなんだけどここにはもっと深い愛情がある。
    
    血が繋がっていること、繋がっていないこと、お互いを大切に思い一緒に暮らすこと、同じご飯を食べること、無理したり冷めてみたりしても、そこに愛情があれば、愛し愛されていれば、うまくいく。
    
    どんな形であっても家族であることは間違いない。
    
    みんなそれぞれの形でそれぞれが幸せになれる、という幸せ。
    最後の方はじんわりと流れる涙を拭いながら、これが本屋大賞なのが痛いくらい分かるわと嘆いてしまう。
    素直に受け入れられる読みやすさなので、高校生にも読んでもらいたい。
    心に偏見が生まれる前にぜひ家族の自由な愛情の形を。
    
    
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    そして、バトンは渡された (文春文庫 せ 8-3)
    そして、バトンは渡された (文春文庫 せ 8-3)


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  • 『告白』 湊かなえ, 2008年 レビュー | 告白式ストーリーテリングの力

    『告白』 湊かなえ, 2008年 レビュー | 告白式ストーリーテリングの力



    告白
    湊かなえ, 2008年
    320 ページ
    2026.03 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 教師が娘はこのクラスの生徒に殺されたという告白から始まる
    ✔ それぞれの関係者からの告白という形で進む
    ✔ 人間的な弱さや嘘も絡む心理的なミステリーも

    ★★★★★
    ストーリーテリングのパワー。英語のタイトルはConfessionsつまり複数でこの複雑さを物語る。誰が真実を知っていて誰の弱みが出てきているのか。人間の弱さと怖さ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    このストーリーテリングのパワー。
    教師の告白、そして単純に娘の死の責任の追求と憎しみという一面的な物語を想像していたんだけど、英語のタイトルはConfessions、つまり複数で、そこで初めてこの本の複雑さに気づかされた。

    告白形式なので真相が分かる流れは、誰がどの部分を勘違いしているかもしくは嘘をついているかによって明らかになっていく。
    自分が知っていると踏んでいる人間の本来の姿を知っていく作業のなかで、それぞれの人間的な弱さを暴いていく。
    少年Aの弱さと少年Bの弱さと、強かったり弱かったりの多様な母親像。
    自分ならどうする、って絶対思ってしまう強い引力の一冊。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Confessions” Kanae Minato (2008) Review | Japanese school life at extreme
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    告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)


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  • 『ベル・ジャー』 シルヴィア・プラス, 1963年 レビュー | 繊細で普遍的な物語

    『ベル・ジャー』 シルヴィア・プラス, 1963年 レビュー | 繊細で普遍的な物語


    ベル・ジャー
    ベル・ジャー
    シルヴィア・プラス, 1963年
    The Bell Jar
    Sylvia Plath, 1963
    388 ページ
    2026.03 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 成長物語のモダンクラシック
    ✔ 若い女性の怒りや不安と表面的な成功とのギャップ
    ✔ 若くして死を選んだ詩人が著者の世界観

    ★★★★★ 優秀な学生のエスター、派手だけれど空虚な生活から帰宅したタイミングで精神のバランスを崩す。成功している見た目の裏でギリギリの精神状態だった若い女性の普遍的な物語。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    モダンクラシックの一冊。
    貧しい家庭でありながら優秀な学生のエスター、勉強に励みいろんな賞をもらう生活。
    すべてがうまくいっているように見えるが、ニューヨークでの派手だけれど空虚な夏の仕事体験から帰宅したタイミングで精神のバランスを崩し後半は施設での生活が始まる。

    若者に読んでほしい、とか思う反面、これを自分が10代、20代に読んでいたら衝撃がありすぎて立ち直れないかもというくらい生々しい。
    主人公の抱える説明のできない恐怖は多くの若い女性が抱えるもので、その怒り、絶望感、憎しみ、といったすべての感情は同感してしまう。
    ちゃんとしっかり生きているんだけど、ひとつの過ちですべてが流れて行ってしまう感覚。

    成功してる雰囲気とは裏腹にギリギリの精神状態という危うさ。
    著者はこの本の出版された数週間後に自殺をしているのも有名。

    1960年代に書かれたので、確かに今の社会の状況とは違うし今はあからさまな生きづらさは見えないかもしれない。
    それでも現在の女の子たちはやはり主人公と同じような違和感を抱えてるし、今後もそう簡単には変わらない。
    この本はやはり何十年も先も読まれ続けることになるであろうと思う。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “The Bell Jar” Sylvia Plath (1963) Review | Young woman and her uncertainty
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    ベル・ジャー
    ベル・ジャー (I am I am I am)


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  • 『マスカレード・ホテル』 東野圭吾, 2011年 レビュー | 人気シリーズ第一弾

    『マスカレード・ホテル』 東野圭吾, 2011年 レビュー | 人気シリーズ第一弾


    マスカレード・ホテル (集英社文庫)
    マスカレード・ホテル
    東野圭吾, 2011
    520 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ マスカレードシリーズ第一弾
    ✔ 捜査一課のホテルのスタッフに扮し殺人事件に立ち向かう
    ✔ 木村拓哉主演で映画化

    ★★★★★ シリーズ第一弾。ホテルの日常と平行して一刑事と一ホテルウーマンが、それぞれの立場で目を光らせている。ホテル勤務があるかと思うくらい内情に詳しくまずそれが面白い。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    続けて読んでたガリレオシリーズが一息つき、新しいマスカレードシリーズへ。

    ホテルが舞台なので、旅行業界に身を置いていた者としては面白さも倍増。
    ガリレオシリーズとは違い、犯人探しの注目点が違う。
    犯人は誰だ、どうやったんだ、というのを天才が突き止めるのではなく、ホテルの日常と平行して、一刑事と一ホテルウーマンが、それぞれの立場で目を光らせている、という違い。

    作品はどこのホテルに長期勤務してたんだろう、と思わせるくらいホテルの内情に詳しく、小話がちりばめられていて、まずそれが面白い。

    二人のやり取りや刑事の男前さが気になるところです。(なるほど、木村拓哉なのね)


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    マスカレード・ホテル (集英社文庫)
    マスカレード・ホテル (集英社文庫)


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  • 『マクベス』 ウィリアム・シェイクスピア, 1606年 レビュー | 血で汚れた欲望 

    『マクベス』 ウィリアム・シェイクスピア, 1606年 レビュー | 血で汚れた欲望 


    マクベス (新潮文庫)
    マクベス
    ウィリアム・シェイクスピア, 1606
    福田恆存 訳
    The Tragedy of Macbeth
    William Shakespeare
    162 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 悲劇の代表作
    ✔ 短くあらすじ自体は複雑ではなく読みやすい

    ★★★★★ ロンドンで蜷川幸雄追悼ステージを見に行くことになり。やっぱり血で汚れた欲望は長くは続かない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロンドンで蜷川幸雄追悼ステージを見に行くことになり。

    短いストーリーだけど次々と話が展開していく。
    ニナガワマクベスは豪華絢爛だけど、シェイクスピアの英国的なオリジナルな劇はもっと殺風景で衣装も地味だろうし、そう考えるとやっぱりニナガワ版を観れてよかった。

    内容はご存じの通り、魔女にそそのかされ、妻にも後押しされ、でもやっぱりそんな血で汚れた欲望は長くは続かない、という教訓です。
    シェークスピア作品に星をつけるなんて私ごときがですが。

    マクベスといえば黒沢明監督、三船敏郎主演の『蜘蛛巣城』も圧倒的な完璧な素晴らしさだった。
    形や言語を変えて何百年と語り継がれるそのオリジナルという意味でも、好き嫌いは全く関係なく客観的に人類にとっての宝だと言い切れる作品。
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    マクベス (新潮文庫)
    マクベス (新潮文庫)


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  • 『わるいやつら』 松本清張, 1971年 レビュー | 上には上が 悪徳医師サスペンス

    『わるいやつら』 松本清張, 1971年 レビュー | 上には上が 悪徳医師サスペンス


    わるいやつら(上) (新潮文庫)
    わるいやつら
    松本清張, 1971
    1040 ページ (512 + 528 ページ)
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 松本清張の代表作の一つ
    ✔ 悪徳な医者による金と女目当ての犯罪というスリル
    ✔ 長編ピカレスク・サスペンス

    ★★★★★ まさに、わるいやつらだらけ。病院が舞台、普段私たちがいかに安易に医者を信用しているかという点もさすがの目の付け所というか。スリルとエンターテイメント性たっぷり。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    まさに、わるいやつらだらけ。
    上には上がいて、ミイラがミイラになって、殺したら殺されて。
    病院が舞台、普段私たちがいかに安易に医者を信用しているかという点もさすがの目の付け所というか。
    医者に、これは風邪薬ですと言われたら100%信用するのが普通。
    そこからスタートする犯罪のジェットコースター。
    
    スリルとエンターテイメント性たっぷりで上下巻あっという間に読める。
    
    
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    わるいやつら(上) (新潮文庫)
    わるいやつら(上) (新潮文庫)

    わるいやつら 下 (新潮文庫 ま 1-9)

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    わるいやつら 上 (新潮文庫 まー1-8 新潮文庫) [ 松本 清張 ]
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  • 『聖女の救済』 東野圭吾, 2008年 レビュー | 理論的にしかありえない完全犯罪

    『聖女の救済』 東野圭吾, 2008年 レビュー | 理論的にしかありえない完全犯罪


    聖女の救済 (文春文庫)
    聖女の救済
    東野圭吾, 2008
    432 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ガリレオシリーズ
    ✔ 聖女の完全犯罪と草薙刑事の人間らしさ
    ✔ 女性の内海刑事も加わりダイナミックなチームに

    ★★★★ 付き合いの長い二人の男性陣に若い女性刑事の視点が加わり、トリックの面白さだけでなく、謎解きに向かう行き方が複雑。こういう変化球が出てくるのもこの長編シリーズこその醍醐味。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱりガリレオシリーズ!

    理論的には可能であっても実際にはありえない完全犯罪へ立ち向かう、湯川准教授と草薙刑事、そしてもう完全に仲間入りした内海のトリオ。

    付き合いの長い二人の男性陣に若い女性刑事の視点が加わり、トリックの面白さだけでなく、謎解きに向かう行き方が複雑になったのもこの長編シリーズこその醍醐味。

    男に負けずに冷静に犯罪に歯向かって行く内海刑事のあっぱれさ、だからこそ浮かんでくる草薙刑事の正義感や懐の大きさや寛大さ。でも今回の容疑者の前では刑事として前提条件であるはずの心が揺るがされ...

    後半から謎解きが本格的に始まるまではそういう3人の動きが面白い。いや、最後まで面白い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Salvation of a Saint" Keigo Higashino (2008) Review | possible but not doable
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    聖女の救済 (文春文庫)
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  • 『真夏の方程式』 東野圭吾, 2011年 レビュー | “家族”の深い愛情と守るべき自然

    『真夏の方程式』 東野圭吾, 2011年 レビュー | “家族”の深い愛情と守るべき自然


    真夏の方程式
    東野圭吾, 2011
    464 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 映画化もされたガリレオシリーズ
    ✔ 血の繋がっていない家族の愛情
    ✔ ガリレオならではの爽快なトリックと推理

    ★★★★★ 複雑な人間関係の中で今回は家族愛、それも血の繋がっていない"家族"の深い愛情や、一般常識では成立しないような関係での愛情が目立つ。やっぱりこのシリーズは人を惹きつける。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱりこのシリーズは人を惹きつける。
    相変わらず推理もトリックも難しくてわかった気になるけどやっぱりわかってなくて、そして謎解き。

    今回は複雑な人間関係の中で今回は家族愛、それも血の繋がっていない"家族"の深い愛情や、一般常識では成立しないような人間間の愛情が目立つ。

    もちろん、珍しく子供の相手をする湯川先生のその見守るような愛情も含めて。
    そのイメージは正に澄んだ青色の海なのかも。
    湯川先生と草薙刑事が珍しく離れているのも、このストーリーにおける特徴で、そういうちょっとした変化球がファンを飽きさせないのかも。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “A Midsummer’s Equation” Keigo Higashino (2011) Review | Affection of the “family”
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    真夏の方程式 (文春文庫 ひ 13-10)


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    真夏の方程式 (文春文庫) [ 東野 圭吾 ]
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  • 『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩, 2004年 レビュー | かけがえのない青春の日々 

    『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩, 2004年 レビュー | かけがえのない青春の日々 


    村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
    村田エフェンディ滞土録
    梨木香歩, 2004
    240 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1899年にトルコ留学をする主人公の小説
    ✔ 家守綺譚に続き、現実ともファンタジーともいえる日々
    ✔ 国際色豊かな個性的な友人たち

    ★★★★★ 1899年にトルコに留学した青年が出会う人々。理論だけでは説明できない神秘的な力や運命なんかについて、お互いの宗教や文化を尊重しつつも素直に語り合う彼ら。かけがえのない日々。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    家守綺譚にちらっと出てくる村田君が、世界が戦争に向かうちょっと前の1899年に留学したトルコでの生活を描く物語。

    これも同じく奇妙な事が続くストーリーだけど規模は大きく、留学中に出会った個性的な友人たちを始め色んな意見、いろんな文化が混じり会う交差点イスタンブールならではのストーリーなのかも。

    動物や占い師、お守りを含めて、理論だけでは説明できない神秘的な力や運命なんかについて、お互いの宗教や文化を尊重しつつも素直に語り合う彼ら。
    過ぎ去って初めて気づくそのダラダラとした時間の貴重で大切な、この上ないいとおしさ。

    そしてそれを現代の日本人があたかも見てきたかのように描けるという不思議も。
    🔽 関連ページ 🔽

    『家守綺譚』 梨木香歩, 2004年 感想 | 豊かな自然の不思議

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    村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
    村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)


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    村田エフェンディ滞土録 (角川文庫) [ 梨木 香歩 ]
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  • 『博士の愛した数式』 小川 洋子, 2005年 レビュー | 思いやりに溢れるつぎはぎの家族

    『博士の愛した数式』 小川 洋子, 2005年 レビュー | 思いやりに溢れるつぎはぎの家族


    博士の愛した数式
    博士の愛した数式
    小川 洋子, 2005
    291 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ シングルマザーの家政婦、老数学者、家政婦の息子
    ✔ それぞれの立場と孤独
    ✔ 第一回本屋大賞受賞の温かな作品

    ★★★★★ 主人公のシングルマザー家政婦と、記憶が80分しか持たない老数学者と、家政婦の子供。他人であっても立場が違っても、ほんの少し努力しお互いを尊重しあえば、家族になれる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    愛に溢れ、思いやりに溢れた、少し悲しい物語。
    でもじんわりと心が温かくなってくる物語。
    
    主人公のシングルマザー家政婦と、記憶が80分しか持たない老数学者と、家政婦の子供。
    それぞれ孤独を背負う3人が、少しずつ重なる偶然と、互いを懸命に思いやる気持ちのお陰で、だんだんと不思議な家族として繋がっていくストーリー。
    他人であっても、立場が違っても、ほんの少し努力しお互いを尊重しあうことができれば、家族になれる。
    
    
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    博士の愛した数式
    博士の愛した数式


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    博士の愛した数式 (新潮文庫 新潮文庫) [ 小川 洋子 ]
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  • 『(ペルシャ人一家)』Sanam Mahloudji 2025年 レビュー | 誇り高きイラン人女性の物語 

    『(ペルシャ人一家)』Sanam Mahloudji 2025年 レビュー | 誇り高きイラン人女性の物語 


    The Persians: A Novel
    (ペルシャ人一家)
    Sanam Mahloudji, 2025
    The Persians
    384 ページ
    2016.02 読了
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    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 3代にわたるイラン人女性を描くデビュー作
    ✔ イラン革命前と後、アメリカ移住後のそれぞれの世界
    ✔ プライドの高い彼女たちと家族のつながり

    ★★★★★ イラン革命、テヘランに残る祖母と孫娘、アメリカにわたる残りの家族。「アメリカなんてママの宝石よりも短い歴史しかないのよ」高貴で傲慢でわがままで美しく愛らしい女性たち。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    この月は勝手に読書テーマを女性と決めて、最初に読んだのがこれ。
    パーフェクトな選択。

    イランの英雄を祖先とする由緒正しきValiat家、70年代のイラン革命で家族は二手に分かれる。
    テヘランに残る祖母と孫娘、アメリカにわたる残りの家族。
    『ペルセポリス』のあの雰囲気があるけれど、こちらもしっかりと当時のテヘランでの状況を伝える。
    つまり、表ではちゃんと髪の毛を隠す女性も違法のクラブでは性と薬物に手を染め、でも同時に政治的な活動もする、という一筋縄ではいかない現状。
    そしてアメリカへ渡った残りの家族は今度はアメリカで贅沢な生活を続けるも、こちらも酒に薬物にゴシップにまみれた現状。
    地理的に二手に分かれているうえに、1940年代のテヘランを生きた祖母と1980年代のテヘランを生きた孫娘の環境の差も浮き出てきて、まさにダイナミックな物語。

    「アメリカなんてママの宝石よりも短い歴史しかないのよ」

    それぞれの分かれた世界で生きる3世代のイラン女性たち、高貴で傲慢でわがままで美しく愛らしい女性たち。
    彼女たちの望みは、好きなように生き、好きなように愛し、好きなように捨て、それでもお互いに向き合うこと。

    世界最古といわれる文明を持つイラン、その伝統の中できちんとしたプライドの中で生きてきたイラン人女性の葛藤。
    ずっと続いてきた欧米中心の思考から少し目をそらすと複雑で圧倒的な世界が広がっていることを、特に今のご時世では知っておくべきだと思う。

    日本語はないようですが、英語は少し難しいかも、くらいのレベルです。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Persians” Sanam Mahloudji (2025) Review | Dynamics of the women
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    The Persians: A Novel
    The Persians: A Novel (English Edition)


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    The Persians【電子書籍】[ Sanam Mahloudji ]
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  • 『空中ブランコ』 奥田英朗, 2004年 レビュー | 自分への小さな違和感の患者たち 

    『空中ブランコ』 奥田英朗, 2004年 レビュー | 自分への小さな違和感の患者たち 



    空中ブランコ
    奥田英朗, 2004
    288 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ トンデモ精神科医 伊良部シリーズ第2弾
    ✔ 直木賞受賞
    ✔ 今回もとんでもない患者と医者

    ★★★★★ みんなおかしな症状なんだけど、実は原因は誰もが感じる自分自身に対する小さな違和感。一気にシリーズ3冊読んでやっぱりこれが一番面白かったかも。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    一気にシリーズ3冊読んで、短編集なのでお気に入りを決めにくいけど、「空中ブランコ」一冊分が一番面白かったかも。
    
    尖ったものは何でも怖いヤクザに、どーしても義父のヅラを取りたい大学の先生、このネタ使った気がすると気になってしょうがない恋愛小説家。
    
    みんなおかしな症状なんだけど、実は原因は誰もが感じる自分自身に対する小さな違和感。
    なるほど直木賞なのね、納得。
    
    
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    空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)


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    空中ブランコ (文春文庫) [ 奥田 英朗 ]
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  • 『イン・ザ・プール』 奥田英朗, 2002年 レビュー | この精神科医トンデモナイ 

    『イン・ザ・プール』 奥田英朗, 2002年 レビュー | この精神科医トンデモナイ 



    イン・ザ・プール
    奥田英朗, 2002年
    288 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ トンデモ精神科医 伊良部シリーズ第一弾
    ✔ 来院する患者も先生もとんでもない
    ✔ コメディー短編集

    ★★★★★ この精神科医、トンデモナイ。意味わかんない。むちゃくちゃすぎる。なのに通ってしまう。一歩間違えたら自分もなっているであろうと思ってしまう現代人ならではの症状ばっかり。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    この精神科医、トンデモナイ。
    意味わかんない。むちゃくちゃすぎる。なのに通ってしまう。
    患者さんも奇妙な症状でやって来るんだけど、どの症状も、なんか笑えないものばかり。
    多分、一歩間違えたら自分もなっているであろうと思ってしまう現代人ならではの依存症、禁断症状、強迫神経症、などなど。
    携帯がないと手が震える、確認がやめられないOCDとか、自意識過剰とか、少なからず自覚してるからなんとか生活できてるだけであって。
    その分、伊良部先生は、全く気にしない。うちの8歳の息子のほうが、常識をわきまえてる。

    「イン・ザ・プール」のお気に入りは「コンパニオン」。
    どんどんひどくなって収拾がつかなくなる。
    そこでエスカレートする自意識の邪魔をする伊良部先生のお陰で、ハッとし、収まる。

    まったくなにも知らずに読んで正解だった。
    こういう時に日本から遠く離れて何も情報がないことが逆に得。

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  • 『女ぎらい ニッポンのミソジニー』 上野千鶴子 , 2010年 レビュー | 国をあげての家父長制 

    『女ぎらい ニッポンのミソジニー』 上野千鶴子 , 2010年 レビュー | 国をあげての家父長制 



    女ぎらい ニッポンのミソジニー
    上野千鶴子 , 2010
    392 ページ
    2018 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本を代表する女性学者、社会学者
    ✔ 本人たちには見えにくい日本の女性嫌悪と女性蔑視
    ✔ 具体的な例を出しての痛快な読み応えの一冊

    ★★★★★ 日本における女性嫌悪の形は変わっているんだろうけど根本は変わっていない。多くの人には分からないように理解させないように仕向けているシステム。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    上野先生のフェミニズム満載の一冊。

    ここ数年で日本における女性嫌悪の「形」は変わっているんだろうけど、根本は変わっていない。
    日本は国をあげて男性主義、というか家父長制を死守しようとする国。
    言われなくても空気を読む文化の国。
    でしゃばる者は打たれ、社会的弱者はその存在を無視され、女性はあくまで下級市民で、型にはまらない男性も下級、メディアの少女やアイドル崇拝を通じて女性を生身の人間と認めず、幼い女の子達にそれが日本で生きていく最適な生き方と教育する国。

    日本のイメージは残念ながらそうなんですよね。

    いまは女だって働けるというけれど、原因は働き手の不足という社会のニーズであり、女性の個人の選ぶ権利ではない。
    未だに多くの場合は女は働いて家事育児もする、というスタイルでつまりタスクが増えただけ。

    ちなみに当然のことながら、これと比例して家父長制から外れている男性の生きづらさが増えていく。
    例えば単純に子供といたい男性の生きづらさ、結婚したくない男性の生きづらさ、「男らしい」の鎖ですね。
    ここはしっかり理解しないとただの自己防衛に過ぎないと思うし、男vs女という無駄な形になる。

    この本のステートメントは少なくとも西欧では当たり前なこと。
    社会としては女性を一個人として見るのが当然だと伝える社会。
    色んな制限と妄想を込めた「女らしい」なんて時代遅れな言葉はもうマスコミ上では使えない国が多いのすらわからない、知らない。
    理解させないように仕向けているのが、日本の社会システム。

    フェミニズムという言葉が怖い?
    男性が無条件で女性を虐げるのがオッケーな社会の方が怖い。
    しかも男と女と対極にして白黒はっきりさせようということすら現実的ではない。
    人間はもっと複雑だから、その人がどんな人間でありどう生きていくかを社会の秩序のためだけに制御するのは限界に来てる、と思う。

    やっと変わってきてる気がする今日この頃だけど、それは著者のような人が声を上げ続けたからだとつくづく思うのです。
    
    
    
    
    
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    女ぎらい (朝日文庫)

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  • 『沖縄文化論』 岡本太郎, 1972年 レビュー | 芸術家による力強く美しい文章 

    『沖縄文化論』 岡本太郎, 1972年 レビュー | 芸術家による力強く美しい文章 


    ヴィジュアル版-沖縄文化論-忘れられた日本 (中公文庫 お 54-2)
    沖縄文化論
    忘れられた日本
    岡本太郎, 1972
    261 ページ
    2019.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本の誇る芸術家による沖縄論
    ✔ 沖縄の歴史や文化を熱く強く語る
    ✔ 日本本土と沖縄の葛藤の歴史

    ★★★★★ 一気に目が覚めるくらい沖縄への熱い眼差しと力強く美しい文章。表現が豊富で文章が美しくて、沖縄的なある意味日本の原始的な文化を深く受け止めている彼の文章は存在感がある。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    最近アイヌの事について読むことが多かったので、ふと沖縄の文化論の本あるかな、と見てたら、なんとあの岡本太郎が。
    といっても岡本太郎が普段どういう作品を作りどういう文章を作っていたかはわかってなかったです。

    単純に文化遺産とかについてかなーと思ってた、ら、一気に目が覚めるくらい沖縄への熱い眼差しと力強く美しい文章。
    私が沖縄についてもそこまで知っているわけではなかったのもあり、彼らの虐げられた歴史、特に日本からの中央集権的なコントロール、ブルドーザーのように個々の伝統や歴史、宗教や人柄を無視した制圧に怒りを覚え。
    それ以前にすでに貧しい土地で慎み深く生きていた、いやギリギリのラインで生きていた人々への岡本太郎の素直な尊敬と信愛の視線には心を打たれ。

    表現が豊富で、文章が美しくて、とにかく沖縄的なある意味日本の原始的な文化を深く受け止めている彼の文章は、テーマの対象である沖縄を切り離したとしても十分に存在感がある。
    ギュッと心に残る表現や言い回し、それが率直に生々しく開け放たれていている。

    リンクに載せた新しいビジュアル版というのが出ているようです。

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    ヴィジュアル版-沖縄文化論-忘れられた日本 (中公文庫 お 54-2)
    ヴィジュアル版-沖縄文化論-忘れられた日本 (中公文庫 お 54-2)


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  • 『守り人シリーズ 全13巻』 上橋菜穂子, 1996年 感想 | 独特な世界観、壮大なスケール 

    『守り人シリーズ 全13巻』 上橋菜穂子, 1996年 感想 | 独特な世界観、壮大なスケール 

    🔽 基本情報 🔽
    守り人シリーズ 全13巻
    上橋菜穂子, 1996 - 2018
    2018年 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    独特な世界観、壮大なスケール。
    女性用心棒が若き皇子を守る細部にこだわりモラルを手放さない長編ファンタジー、あっという間に読み終わりました。
    寝ても覚めても。
    児童文学というジャンルではあるけれど大人もというか私はハマりました。

    で、あとで見てみるとNHKでドラマになってたんですね。
    バルサは綾瀬はるか、イメージとは違うけど、主人公の見た目が悪いとただでさえドロドロな戦いばかりなのでテレビとしても、ね。

    やっぱり、少年から青年、帝へと成長していくチャグムをどうしても追ってしまう。
    大きくなったね、みたいな。
    戦それぞれにおいて、民の願いや犠牲が詳しく描写されていて、その丁寧さのお陰で簡単に物語にのめり込める。

    13冊、あっという間だったー!


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    守り人シリーズ(全13巻セット): 軽装版完結セット+短編集、作品集、大長編
    守り人シリーズ(全13巻セット): 軽装版完結セット+短編集、作品集、大長編


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  • 『侍女の物語』 マーガレット アトウッド, 1985年 レビュー | 女性嫌悪の最終地点ディストピア 

    『侍女の物語』 マーガレット アトウッド, 1985年 レビュー | 女性嫌悪の最終地点ディストピア 



    侍女の物語
    マーガレット アトウッド, 1985年
    The Handmaid’s Tale
    Margaret Atwood
    337 ページ
    2018年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 2017年テレビドラマ化されて再度人気
    ✔ 環境汚染などで出産率が急激に下がる近未来のSF
    ✔ タスクのためだけに存在する女と社会を支配する男

    ★★★★★ 近い未来に起こりそうなディストピア。女性嫌悪の最終地点とでも言うべきか、女性は生身の人間ではなく役割を果たすことのみを許された道具。起こりうる可能性が無きにしも非ずの怖さ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    アトウッド大ファンのカナダ人の友人に借りたんですが、当時入院中だった身には暗かった...

    近い未来に起こりそうなディストピア。
    出生率の低さが戦争をも引き起こす社会で、主人公オブフレッドは妻の分身として子供を作るという役割を割り当てられた侍女の一人。
    この地に残されたわずかな妊娠できる体を持つ女性である彼女は少し前までの自分の夫と子供との生活を忘れられずにいた。

    女性嫌悪の最終地点とでも言うべきか、女性は生身の人間ではなく役割を果たすことのみを許された道具。
    妻という存在も象徴であり、夫婦間の愛情はない。
    分析しようとすると永遠に終わりそうにないけど、この物語を80年代に書いてしまうアトウッドの才能の恐ろしさ。

    ただ、ストーリーが面白くて惹かれるだけでなく、ひょっとしたら20年後には世界はこうなってるのかも、という怖さに引き付けられる。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Handmaid's Tale" Margaret Atwood (1985) Review | Interesting yes but scary
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    侍女の物語


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    侍女の物語 (ハヤカワepi文庫) [ マーガレット・アトウッド ]
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  • 『小さきものたちの神』 アルンダティ ロイ, 1997年 レビュー | 感動が迫ってくるインド人作家の非線形の語り

    『小さきものたちの神』 アルンダティ ロイ, 1997年 レビュー | 感動が迫ってくるインド人作家の非線形の語り


    小さきものたちの神
    小さきものたちの神
    アルンダティ ロイ, 1997
    The God of Small Things
    Arundhati Roy, 1997
    2019.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インドの作家、活動家の非線形の語り口のデビュー作
    ✔ 南インドを舞台とした伝統的な文化や家庭のあり方への問
    ✔ ブッカー賞受賞

    ★★★★★ 少し少なめに愛されていると認識する子供時代と少しずつ少しずつ壊れていく日常。その繊細な美しさに驚き憑りつかれ、読み終わって本を閉じた時にじんわりと感動が迫ってくる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの作家で、同僚にオススメしてもらったもの。
    なので全く予備知識もなく読んで、その繊細な美しさに驚いて、読み終わって本を閉じた時に、じんわりと感動が迫ってきた。

    たしかに読みづらい。
    それは事件を明確にしないまま時系列的にあちこちに飛んでいくという点と、インドの文化を知らないとついていけない部分があるという点で。
    分からない単語やコンセプトも多く、調べながらの読書。
    まさにトラウマを抱える人が、一番重要な事件を記憶の先頭に立たせるのに、その他の事についてぐるぐると思い起こすかにように話はあちらこちらへ飛んでいく。

    これがインド人(インド系でなく、インド人)女性によって書かれたという意義。
    アジア人、インド人の女性としての感覚、視点、描写は、西洋の中で生まれ育ってしまうと光ってこない。
    「不可触民」がいるという生活、母であり、女であり、邪魔者であるという生活。
    少し少なめに愛されていると認識する子供たち(双子) 、コンプレックス、差別、トラウマ、嫉妬、愛情、繋がり、禁断の愛、無。
    少しずつ少しずつ壊れていく。

    「子供たちが昼間慕う男性、母が夜に愛するその男性」という表現を含め、時に美しく時に冷たく、時に率直な表現が散りばめられていて、それを追うのが困難でもあり、この本の楽しみでもあり、取りつかれたように次のページに進んでしまう。
    さすがブッカー賞。

    これを読んで、ケーララ州に行きたくなって、実際に行ってカタカリという古典舞踊も一応見てきましたよ。

    背景がすでに日本の日常からかけ離れているので、詩的なこの本の美しさを訳すのは大変そう。
    オンラインでは日本語での定価がなさそうなので古本で探してみてください。
    イギリスではいまだに売れている本だけどやっぱり日本にはなじみがなかったのかな。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The God of Small Things" Arundhati Roy (1997) Review | Haunting, emotional, beautiful
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    小さきものたちの神
    小さきものたちの神


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    ーー

  • 『荊の城』 サラ・ウォーターズ, 2002年 レビュー | 女の子二人と犯罪と愛のミステリー 

    『荊の城』 サラ・ウォーターズ, 2002年 レビュー | 女の子二人と犯罪と愛のミステリー 


    荊の城 上 (創元推理文庫)
    荊の城
    サラ・ウォーターズ, 2002
    Fingersmith
    Sarah Waters
    2020.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 自身もレズビアンの英作家の犯罪ミステリー
    ✔ ヴィクトリア朝のロンドンの下町のスリの娘と令嬢の恋愛
    ✔ 韓国で「お嬢さん」として映画化

    ★★★★★ ある令嬢のメイドとなり騙すつもりが二人の関係は深まっていく。ちょっとずつ始まる狂気。騙し騙され、また騙され。女の子二人と犯罪と愛、面白くないわけがない。韓国で映画化。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    パク・チャヌク監督の韓国映画「お嬢さん」の原作。
    と前置きしているいうことはつまり私は先に映画を見てしまったんです。
    映画は映画ですごかったのでどうしても原作をということで。

    詐欺を生業とする「家族」の孤児スウは次の大掛かりな詐欺のためにとある令嬢の下でメイドとして雇ってもらうが、彼女たちの関係はどんどん深まっていく。

    映画では叔父は浮世絵を集めているけれど本では書物、言葉。
    それに象徴されるかのようなことだけど当然映画のほうがドラマチックな流れになるので仕方がないんですが、映画を先にみるとどうしても比べてしまう。

    だからと言って本の良さは色褪せることはない。
    世間知らずのお嬢さん、詐欺の男、ちょっとずつ始まる狂気。
    背景となるビクトリア朝のロンドンの下町なども描写も面白くて、いくつかの物語を一つの本にまとめたような。
    女の子二人、犯罪、そして愛情。

    誰が誰をだましているのか、そう来るか、と思ったらまた違った展開に、と思ったら今度はそっちか、と緊張感が続く。

    ネタバレにならないように最後に一言、彼女はただの繊細な真珠ではなく、自分自身をやっと見つけた女性として輝き始める。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Fingersmith" Sarah Waters (2002) Review | Girls in crime and in love
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    荊の城 上 (創元推理文庫)
    荊の城 上 (創元推理文庫)


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    荊の城<上> (創元推理文庫) [ サラ・ウォーターズ ]
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  • 『超越と実存』 南直哉, 2018年 レビュー | 宗教と哲学である仏教をしっかりと向き合う思想史

    『超越と実存』 南直哉, 2018年 レビュー | 宗教と哲学である仏教をしっかりと向き合う思想史

    超越と実存 「無常」をめぐる仏教史
    超越と実存
    「無常」をめぐる仏教史
    南直哉, 2018年
    256 ページ
    2026.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 仏教史というより思想にフォーカスする
    ✔ 永平寺で20年修業した禅僧の著者
    ✔ 小林秀雄賞受賞

    ★★★★★ やっぱり圧倒的な本だった。思想としての仏教はどう変わったかという問題に全身全霊で衝突していく。本来は言語化できないキーワード、そういうミッションインポッシブルを根気よくとことん掘り下げる。脳を刺激されまくり。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱり圧倒的な本だった。

    仏教のもろに内部の人であるお坊さんが、ブッダを始めとした内部の偉人がどう仏教に正面から向かい合ったか、2500年間どう考えられどう言語化してきたか、そして思想としての仏教はどう変わったかという問題に全身全霊で衝突していく。

    読み終わることはできたけど私はまだそれぞれの思想は理解していない。
    ブッダ、初期仏教の偉人たち、中国仏教の思想、そしてアニミズムの地日本にやってくるという壮大な流れのなかで、掘り下げられる「私とは」「生きるとは」「悟るとは」などの問い、そして思想として発展するなかで「本覚」「唯識」「縁起」「本願」などの本来は言語化できないキーワード、そういうミッションインポッシブルを根気よくとことん掘り下げる。

    著者自身もあとがきで言うように、彼はやっぱり哲学者。
    冒頭から自分は仏教の言説を完全には信じてないと言い放つし、全ての章を通して無防備に信じないという態度が徹底している。
    曹洞宗の住職でありながら少し離れたところで正直に真面目に懸命に語られているので、こちらも誠意を込めて読む。

    ただ、とてつもなく難しい。私にとっては。
    何度もページを行き来し、眉間にシワを寄せながら、まるでマラソンを走らせられてるかのように、脳みその息が上がってる。
    でも分からない。
    例えば唯識思想とかアーラヤ識は今後本を何冊読んでも理解できるのか分からないし、本覚は分かった気にはなったけど本覚の感覚をこの自分が持ってみたらという想像もできない。

    でも、なぜいま日本にこれほどの宗派がありそれぞれ根本的な考えが違うという事態の深さはちょこっと分かった、と思う。
    今回は先に「日本仏教史」を読んでいたことが大きい。
    あれで概要を予習できていたのでどっぷり哲学的でも生き延びれた。

    しかし難しい本を読むと、難しいことの価値が身に染みる。
    いまの時代どうしても分かりやすいことの価値が喜ばれるけれど、例えばここで次から次へと出てくる形而上学的な考えは分かりやすくはできないし、そのレベルまで自分を高めるという挑戦でもある。

    もし環境が違っていれば私も阿弥陀さまにお念仏を唱える事を生活の一部にすることはありえたのか。
    自我をとことん削って坐禅をすることもありえたのか、ありえるのか。
    分からないけど、信じることができれば、その先にはきっといまの自分には見えない世界が見えるとは思う。

    最後に書いてあった通り、老師のお寺の近所に住むおばあちゃんたちにこの哲学的な本は関係ない。
    おばあちゃんたちの目の前には、月参りをしてくれるただ生身の方丈さん、お坊さんがいる、それだけ。
    そういう感覚を大事にされているのが他の本やインタビューでもよく分かるので、南老師の本は今後も読み漁ります。
    🔽 関連ページ 🔽
    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

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    超越と実存 「無常」をめぐる仏教史
    超越と実存 「無常」をめぐる仏教史


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    超越と実存 「無常」をめぐる仏教史 [ 南 直哉 ]
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  • 『現代坐禅講義』 藤田一照, 2012年 レビュー |  坐禅のイメージが変わる解説書 

    『現代坐禅講義』 藤田一照, 2012年 レビュー |  坐禅のイメージが変わる解説書 


    現代坐禅講義 只管打坐への道 (角川ソフィア文庫)
    現代坐禅講義
    藤田一照, 2012
    533 ページ
    2026.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アメリカで教えていた経験のある禅僧の語る本来の坐禅
    ✔ 坐禅の背景にある概念や歴史、体の使い方
    ✔ 自分と世界の境界線はないという仏教の教えをもとに

    ★★★★★ 藤田老師のいう坐禅というのは、精神統一でも修行でもなくミステリアスになるのも完全否定する坐り。じゃあ何なのか。この講義を読み終わると完全にイメージが変わる。

    🔽🔽 読書記録 レビュー 🔽🔽

    坐禅という言葉では語れないものを、533ページに渡り真剣に正直にしっかりと語る一冊。
    この講義を読み終わると完全にイメージが変わる。

    長年アメリカでも禅を指導していた藤田老師のいう坐禅というのは、精神統一でも修行でもなくミステリアスになるのも完全否定する坐り。
    じゃあ何なのか。

    私たちが一般的に想像する坐禅のイメージを全て捨てる説得から始まる。
    決められた型じゃない、苦しむことを美化しない、神秘性を完全に取り除く。
    捨てて、手放して、何も拒まず何も掴まず、自分という意識の境界線を越える、という事がどういう事なのかを丁寧に書いてあるんだけれど、仏陀がついに悟ったのは苦行からじゃない、期待を持たずに楽な姿で坐ったからという事が腑に落ちた。

    自分のからだの仕組みを知り、自分と世界の境界線を消し、自分の力なんていうチマチマしたものじゃない自然の力を借りて坐るとき、身体は自然で楽なはずだと。

    苦しみ怒られながらする修行とは違う只管打坐。
    自分の内側からバランスを探すということだけど、でもやっぱり誰かに指導をしてもらわないと間違って自己満足になるのが怖い。

    NHK出版のほうを先に読んでいてよかった。
    あれが簡潔バージョンなので準備運動になった。


    🔽 関連ページ 🔽
    NHK出版の入門書バージョンはこちら
    『ブッダが教える愉快な生き方』 藤田一照, 2019年 感想 | 学ぶことは変わること
    tag ; 仏教
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    現代坐禅講義 只管打坐への道 (角川ソフィア文庫)
    現代坐禅講義 只管打坐への道 (角川ソフィア文庫)


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  • 『(メアリ・シーコール)』 ロン・ラムディン, 2005年 レビュー | ジャマイカ生まれの看護婦の伝記 

    『(メアリ・シーコール)』 ロン・ラムディン, 2005年 レビュー | ジャマイカ生まれの看護婦の伝記 


    Mary Seacole
    (メアリ・シーコール)
    ロン・ラムディン, 2005年
    Mary Seacole
    Ron Ramdin, 2005
    2020.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ジャマイカ出身の看護婦の伝記
    ✔ クリミア戦争で活躍した、ナイチンゲールと同じ時期の人物
    ✔ 近年その活動が再認識されている

    ★★★★★ ジャマイカ出身の混血の看護婦。クリミア戦争で肌の色を理由に英国ナイチンゲールに拒否されるも自費で向い戦線で兵士たちの心と身体の傷を癒す。「混血版ナイチンゲール」ではない。彼女はシーコールという一人の独立した英雄である。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ジャマイカ出身の混血の英国人の看護婦の伝記。
    幼少期から医療や看護に携わるも混血であること、女性であることで大きく差別を受ける。
    クリミア戦争のとき英国のボランティア看護師を志願するも、白人でないことでフローレンス・ナイチンゲールに拒否される。

    それでも自分の経験と知識は役に立つと信じ、自費でクリミアに入り、ナイチンゲールたちが後方の安全なエリアで看護をしている中、戦場にかぎりなく近い場所で看護施設を設ける。
    食堂のようなビジネスを立ち上げ資金稼ぎにするという偉業。
    戦場で兵士にとってのくつろげる場所を提供し、その売り上げを兵士の身体的な傷を癒す。

    拒否られようが差別されようが、とにかく怯まない、自分の能力を最大限に使って人を助けるために生きる、すごい。

    英国人、白人である兵士たちを「息子たち」と呼び、彼らからも信頼され愛される存在になる、これはのちに彼女が破産したときに当時の兵士たちが助けたということでも証明されている。

    逆に神経質で有名なナイチンゲールの暗い部分を浮かび上がらせる話でもある。
    人手が足りないのに人種差別を優先したあとも、戦線で生き生きと兵士たちの心と体の看護に徹したシーコールを、兵士に酒を飲ませた、うるさい、と非難。
    そして英国という国もシーコールの偉業を100年近く闇に葬り、ナイチンゲールのみを全面的に「天使」化した。

    決して忘れてはいけないのはシーコールは「混血版ナイチンゲール」ではない。
    彼女はメアリ・シーコールという一人の独立した英雄である。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Mary Seacole” Ron Ramdin (2005) Review | Determination to help her "sons"
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    Mary Seacole
    Mary Seacole (Life & Times) 英語


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    --
  • 『マイ仏教』 みうらじゅん, 2011年 レビュー | 気軽に仏教もオッケー

    『マイ仏教』 みうらじゅん, 2011年 レビュー | 気軽に仏教もオッケー


    マイ仏教 (新潮新書 421)
    マイ仏教
    みうらじゅん, 2011年
    192 ページ
    2026.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ みうらじゅん流の仏教の入門書
    ✔ 仏像や地獄など普通の入門書は教えないマニアックさ
    ✔ 現代らしい仏教との関わりとは

    ★★★★★ 彼も特撮から仏像からの仏教への興味になったし、ポップな側面から気軽に仏教に興味を持つのもオッケーなのでは。「地獄ブームと後ろメタファー」の章には納得。私も何兆年も焼かれる地獄に行きたくない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    『日本仏教史』の知的なアドベンチャーから、マイ仏教という、個人の内側を覗くかのような本へ。

    実際はみうらじゅん氐を詳しく知らないので失礼ながら彼の普段の活動も知らないのですが、仏教との関係でいうととても納得する点が多い。
    ただ私はそこまでハマってはいないんですが。

    「地獄ブームと後ろメタファー」の章には納得。
    庶民をビビらせないと宗教の力は発揮できないですよ。
    何兆年も焼かれる地獄に行きたくない、と思う人が増えれば自ずと効果が出てくる。
    地獄の話は前の「日本仏教史」にも出てきたんですが、イタリアではダンテが有名で地獄のイメージが何世紀も受け継がれているのに日本でちょっと弱いので、ダンテに対抗してそこも勉強したい。

    この本が出版されて十数年たち、彼のいうように、愛嬌のある僧侶もどんどん出てきた。
    音楽を通じて、ツイッターを通じて、同じ目線の若い僧侶たち。彼だって特撮や怪獣などから仏像に渡って仏教そのものに興味を持つようになったし、そういうポップな側面から気軽に仏教に興味を持つのもオッケーなのでは。

    今後も上下関係ではなく、同じ目線のお坊さんの活躍を期待。
    🔽 関連ページ 🔽
    タグ 仏教
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  • 『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 レビュー | ローカライズする仏教の強さ

    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 レビュー | ローカライズする仏教の強さ


    日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)
    日本仏教史
    思想史としてのアプローチ
    末木文美士, 1992
    412 ページ
    2026.02 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ その時代、その地域に合わせた仏教の思想の変化
    ✔ 学校で習う出来事の本当の背景と意味
    ✔ 思想を辿って知的アドベンチャー

    ★★★★★ 仏教はその時代その時代に形を変え、その都度「日本の仏教」として存在してきた。仏教と神道とキリスト教をも平然と受け入れる理由にも通じる日本の強み。思想を辿って知的アドベンチャー的な読書。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    日本にやってきた仏教が、どう「日本の仏教」になったのか。
    とにかく脳みそ刺激されまくり。
    裏表紙にもある通り、知的興奮に満ちた旅、そう、知的アドベンチャー。

    偶然手に取った本が自分の想像以上に興味のど真ん中に命中することがある。
    私は仏教に興味があるし、その考えで気分がふっと軽くなることがあるので本を読んだりするけど、信者かと問い詰められたら答えに困る。
    そんな典型的日本人である私が興味を持つ理由は正にこれ、ここにじっくりと紹介されている。

    なぜ、どう「日本の仏教」になったのか。

    祈祷の仏教、先祖のための葬式仏教、ルール重視の仏教、いま浄土確定のコスパのいい仏教、そして神道と仏教がどちらも文化として存在する日本。

    そういう観点から日本における仏教の江戸時代くらいまでの歴史を紹介するのがこの本。
    仏教史に詳しくない私は次々と出てくる名前や文献に唸ってしまったけれど、知らなくても大丈夫、この本が重視するのは思想史であり仏教史の暗記じゃない。

    終章で遠藤周作の『沈黙』が出てくるけど、日本という土地の特徴は結局はこれ。
    (読んで最後に納得してもらうためここでは「これ」としか書きませんよ)
    仏教と神道とキリスト教を平然と受け入れる日本。
    日本以外の国の人にはわかりづらいし国内外で批判だってされる。
    でも私はこれは考えようによっては日本の強みだと思う。
    仏陀の教えを「日本の仏教」に変えた強み。


    その後の明治以降の日本の仏教の流れも気になる。
    🔽 関連ページ 🔽
    tag ; 仏教
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    日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)
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  • 『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 レビュー | 救いに溢れた幸せを問うSF

    『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 レビュー | 救いに溢れた幸せを問うSF


    アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
    アルジャーノンに花束を
    ダニエル・キイス, 1966
    Flowers for Algernon
    Daniel Keyes, 1966
    2026.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 知的障害を持つ主人公の頭脳へ起きる変化
    ✔ 彼の書いた日記として進む物語
    ✔ 幸せとは何かを問う感動作

    ★★★★★ 幸せとは何か。素晴らしい知識の中でチャーリーは幸せだったと思いたい。私たちは何かを得てもその何かを失うサイクルからは逃れられない。許しと救いに溢れたストーリー。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    あまりにもチャーリイの障害が身近過ぎて客観的に感動できなかったところはある。
    逆にいうと、だからこそ痛いほどよくわかるところもある。
    なんというか、感動で涙は出ないけど、ただただ痛かった。

    でもできるだけ客観的に。
    小説の感想はいつもはできるだけ内容に触れないようにしているんですが、今回は少し内容に触れているので全く何も知りたくない人は読まないでください。

    この本が問うことは「幸せとは何」というとてつもなく大きな問。

    チャーリイの手術後すぐに、同僚の子が呟いた話にヒントがあるように思う。
    神様は私たちが与えられたもの以上のものを得ようとすることを許さない。
    彼女の考えでは、賢くなることは悪いこと。
    チャーリイは果たして周りの誰よりも賢くなることで幸せになったのか、そして良いことだったのか。
    世界中にあふれている素晴らしい知識を体いっぱい吸収できて彼はきっと、いや間違いなく幸せだったはず。
    それでも超能力がなくなるように、もっと言うと年を取って誰もがそれぞれ呆けたり遅くなっていくかのように、生きていくうえで避けられないサイクルとして、何かを得ても人は必ずその何かを失う。

    知識は力、たまに力が強すぎて害を及ぼすけれど、間違いなく失うものと思えれば、その山と谷をしっかりと自分のものにすればいい。
    得て、失って。
    広い目で見れば失うことだって、不幸と一言では言えない、そんなに狭い視野の話をしていない気がする。

    失ったと思った友情も、いつか戻ってくるかもしれない。
    人は大きな共同体、コミュニティの中での持ち場があるということも考えさせられる。
    (特にアメリカのような超個人主義の中でそれぞれの共同体ということも)

    そして、母親の存在。
    母親は悪い人間だったのか、自分の息子が「普通」であることを望むのは悪いことか。
    道徳の授業で差別はいけませんと教えられていると、他人ごとでは簡単に言える。
    自分の息子は他の子と同じように会話したり仕事をしたりすることはないと絶望した母親には、そんな他人事は通じない。
    それでもチャーリイのことを第一に考えることができればよかったのに、彼女は自分の不幸に集中するあまり息子のことを愛することを忘れていた。

    みんな、自分が一番大切。
    でも周囲の人間を傷つける気持ちもない、ただどちらもこなすのが難しいだけ。
    許しと救いにあふれているストーリーで本当に良かった。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Flowers for Algernon” Daniel Keyes (1966) Review | Forgiveness and salvations

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    アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
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  • 『The Other Middle Passage』 ロン・ラムディン, 1994年 レビュー | 新しい奴隷制度の一例

    『The Other Middle Passage』 ロン・ラムディン, 1994年 レビュー | 新しい奴隷制度の一例


    The Other Middle Passage: Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858
    The Other Middle Passage:
    Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858
    ロン・ラムディン, 1994
    Ron Ramdin, 1994
    62 ページ
    2020.06 読了


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 奴隷制度廃止後のインドからのクーリー貿易の一例
    ✔ 労働者の輸送中のコンディションなどを解説
    ✔ 1858年のとある船長の妻の日記を含む

    ★★★★★ いわゆる奴隷制度がなくなっても、当時のカリブ海では全く人手が足らない状態で、アフリカではなく今度はインドから過酷な状況下の労働に人々を輸送。その子孫の著作。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インド系トリニダード人の友人の著作。
    インドから西インド諸島、カリブ海地域に送られたクーリー貿易(苦力貿易)といわれる新しい形の奴隷制度のついて。

    冒頭は輸送された労働者のコンディションについて、特に一つの船の状況を詳しく書いている。
    1858年に出向したその船は、108日かかった輸送で324人中124人が死亡。

    奴隷制度がなくなっても、当時のカリブ海ではサトウキビなどの栽培で全く人手が足らない状態になり、アフリカではなくインドから自由を奪って過酷な状況下の労働のためだけに人々を輸送。

    後半になるとその船内の様子や船長の奥さんの日記などによって当時の状況が詳しく書かれている。
    といっても、つまりは病気になって当たり前の環境で毎日人が病気になり、毎日人が死んでいく様子が綴られる。

    友人の彼も、クーリーとして送られて来た人の子孫で、白人の下に黒人、その下にインド人がいるという子供時代を過ごす。
    日本ではこの本は手に入りにくいので、もし興味があればご連絡ください。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Other Middle Passage” Ron Ramdin, (1994) Review | Another slave trade
    tag 植民地主義 インド
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    The Other Middle Passage: Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858
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  • 『乳と卵』 川上未映子, 2008年 レビュー | 女性の普通をタブー視する社会への挑戦 

    『乳と卵』 川上未映子, 2008年 レビュー | 女性の普通をタブー視する社会への挑戦 


    乳と卵 (文春文庫 か 51-1)
    乳と卵
    川上未映子, 2008
    144 ページ
    2020.05 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 主人公と姉とその娘の3人の3日間
    ✔ 女であること、女の身体のことを新鮮な文体で描く
    ✔ 世界的にヒットした芥川賞受賞作

    ★★★★★ 女であること、というテーマから、具体的にツールになる身体のパーツ、女同士を見る事見られる事。実は日常茶飯事だけど、タブーになる女性の普通を、不思議な文章で表す。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    こんな作品は他にない。

    女3人の3日間。
    女であること、というテーマから、具体的に性的なツールになる胸、生殖のツールになる卵子、その過程である生理、女同士を見る事、見られる事。
    男の役割はなんなのか。
    そういう実は日常茶飯事だけど、タブーになる女性の普通を、不思議な文章で表す。
    読みにくい長文と入り混じる大阪弁で読者を惹きつけて離さない。

    本には実は2作品が収められていて、もうひとつの方は繰り返す日常の中で女性が抱く淡い希望について。

    二作品とも地に足がついていて、日常の真実を語っていて、テーマや物語は鋭いのに、文体は優しく温かい。

    世界中でファンが多い著者、私もロンドンで知って日本語で読む機会を待っていました。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Breasts and Eggs" Mieko Kawakami (2008) Review | Women's normality, society's taboo
    tag 女性主体
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    乳と卵 (文春文庫 か 51-1)
    乳と卵 (文春文庫 か 51-1)


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  • 『黒い皮膚・白い仮面』 フランツ・ファノン, 1952年 レビュー | 劣等感と優越感の心理的構造

    『黒い皮膚・白い仮面』 フランツ・ファノン, 1952年 レビュー | 劣等感と優越感の心理的構造



    黒い皮膚・白い仮面
    フランツ・ファノン, 1952年
    Black skin, white masks
    Peau noire, masques blancs
    Frantz Fanon, 1952
    2020.05 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 人種差別の裏にある心理的構造と恐怖を説く
    ✔ 植民地マルティニーク出身の精神科医
    ✔ 留学中の当時のフランスにおける人種差別に向けて

    ★★★★★ 黒人は白人社会に身を置いて初めて黒人となる。その植民地主義の世界で黒人は常に自らを否認しながら生活する。複雑で解決方法がなくても、目を背けない、そのためにこの本を読む。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ポストコロニアリズムの古典。
    黒い皮膚を持ちながら白人として生きるとはどういうことか。
    いやもっというと、白人としていきたいと思うこととは、どういうことか。

    著者ファノンはフランスの植民地マルティニーク出身の精神科医。
    精神科医ということは潜在意識の専門家であり、つまり制御された欲求、つまり性的欲求、もしくは恐怖の専門家。

    黒人は、白人社会に身を置いて初めて黒人となる。
    白人社会とは植民地主義の世界であり、黒人は常に自らを否認しながら生活する必要がある。
    自己否定を避けることができても、主体的にはならない。
    逆に白人は、自分たちが勝手に作り上げた黒人像に怯えながら生活する必要がある。
    野蛮で、なにより性的に強力な黒人像。
    面白いのは、恐怖症という怯えは実は深いところにある欲求から生まれるという論点。
    つまり、差別主義者は心の奥では黒人に脅かされたいという欲求がある、と。

    もう一つ面白い点は、彼はフランスの植民地主義について語るという点で、奴隷制度の廃止はアフリカ人が戦って得たものではなく、白人のご主人様から与えられたものだという観点。

    もちろん、黒人だけでなく私自身のように白人社会で生きる白人以外の人間は常に自分の皮膚の色がもたらす余計な意味について意識しながら生活するわけで、どこにいても白人が一番優位である事実は避けられない。
    日本は植民地化されていないので、日本にいる限り自分の肌の色から生まれる原罪を意識することはほとんどない。
    むしろ日本人特有のコンプレックスでアジアにおける「黄色い皮膚・白い仮面」というちょっと違う側面もあるが、それはここではさて置き。

    あと、上記にもちょっと書いたように、もちろん映画や娯楽、アート、文化において黒い皮膚というのは悪と描かれるので、アジア人を含む共同的なイマジネーションにおいて、その歴史を知っていなくても「黒=悪」という方程式が植えつけられる。

    ファノンは、植民地主義に植民地化されたくないという。
    黒人は劣等感から解き放たれ、白人は優越感から解き放たれるべきだと。

    そして70年以上たった今。
    人種を超えたコミュニケーション、友情、恋愛関係は普通になって、人種差別をする人間は見下される世の中になった。
    でも、私たちは本当の意味で人種から自由になったのか。

    ファノンの苦悩はなくならなかった。
    例え知識人として知的な発見をしたとしても、サトウキビ畑で労働を強いられている8歳の子の生活は変わらないと。
    問題は単純に皮膚の色だけでもない。
    白人社会で生きるミドルクラスの黒人の苦しみと、その日の生活がやっとの黒人の苦しみ、二人の問題は同じものではない。
    人種の問題は多くの段階を含み、層を含み、複雑である。

    でも、それでも、たとえ複雑であっても解決方法がなくても、目を背けない、そのためにこの本を読む。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    tag 植民地主義
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    黒い皮膚・白い仮面 【新装版】



    フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 (NHK100分de名著)
    フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 (NHK100分de名著)



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  • 『猫と庄造と二人のおんな』 谷崎潤一郎, 1937年 レビュー | 人間よりも猫のリリー

    『猫と庄造と二人のおんな』 谷崎潤一郎, 1937年 レビュー | 人間よりも猫のリリー



    猫と庄造と二人のおんな
    谷崎潤一郎, 1937年
    日本
    176 ページ
    2020.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 猫好きのための谷崎潤一郎作品
    ✔ 離婚時の猫の行き先について
    ✔ 人間よりも猫

    ★★★★★ 猫のリリーがすべての中心。男はリリーを愛しリリーのみを愛する。人間の女は福子でも品子でも母でも誰でもいい。庄造の幸せとはつまり、猫のためだけに全てを捧げる事。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    猫のリリーがすべての中心。

    男はリリーを愛しリリーのみを愛する。
    人間の女は福子でも品子でも母でも誰でもいい。

    谷崎らしい片思いのドラマなんだけど、溺愛の対象は猫。
    しかも清楚な名前の西洋種の雌猫。
    主人なのか召使いなのか、男の愛情には気ままにしか対応しない。「痴人の愛」のナオミを極限まで引っ張って、ここでは美しい西洋猫リリーになる。
    周りに流される庄造、庄造に捨てられた女、猫以下の女。

    庄造の幸せとはつまり、猫のためだけに全てを捧げる事だった、んですね。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    タグ: 谷崎潤一郎

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    猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)


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  • 『刺青・秘密』 谷崎潤一郎, 1910年 レビュー | すでに確立された谷崎文学

    『刺青・秘密』 谷崎潤一郎, 1910年 レビュー | すでに確立された谷崎文学



    刺青・秘密
    谷崎潤一郎, 1910年
    336 ページ
    2020.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 谷崎潤一郎の処女作
    ✔ エロティシズムとフェティシズム
    ✔ 欲望と悲しさの短編集

    ★★★★★ 谷崎潤一郎の処女作「刺青」、すでにエロティシズム、フェティシズムはテーマとして確立されていて、でも初々しさというか生々しさがある。その美しい世界に潜む欲望の影。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    谷崎潤一郎の処女作「刺青」、すでにエロティシズム、フェティシズムはテーマとして確立されていて、でも初々しさというか生々しさがある。

    足の美しさでその女の真の姿を見出し、目覚めさせる。
    さすがとしか言いようがない。

    「秘密」の逢引と悲しさも、「少年」の無邪気で偽りのない暗い欲望も、「二人の稚児」の純粋さも、すべてがつながっている。

    解説にあった永井荷風の言葉にある通り、谷崎が他と違っていたのはその都会的な雰囲気であるわけで。田舎っぽい貧しさなど一切関係ないかのような、お坊ちゃん、お嬢さん、紳士淑女の生きる世界、その美しい世界に潜む欲望の影。
    それが谷崎文学の光。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Tattoo” Junichiro Tanizaki (1910) Review | Early Tanizaki
    タグ: 谷崎潤一郎
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    刺青・秘密 (新潮文庫)


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    刺青・秘密 (新潮文庫 たー1-2 新潮文庫) [ 谷崎 潤一郎 ]
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  • 『無敵の読解力』 池上彰 佐藤優 2021年 レビュー | 最強コンビが説く読書パワー

    『無敵の読解力』 池上彰 佐藤優 2021年 レビュー | 最強コンビが説く読書パワー



    無敵の読解力
    池上彰 佐藤優, 2021
    256 ページ
    2026.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 最強のコンビの共著
    ✔ 現代を生き抜くための方法としての読書
    ✔ 参考書のリストも豊富

    ★★★★★ 情報処理能力を問われる今の社会で生き抜くにはまずは本を読めと。そんなこの本自体、語られる一つ一つの事柄が常にフル回転。個人的には日本人論についてが特に興味深かった。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    おお、情報量が多い上に全て興味深い。

    この本のテーマが、情報処理能力を問われる今の社会で生き抜くにはまずは本を読め、とあるので、つまりこの本は初っぱなから、テーマからして重要な情報がつまってる。

    もし大事な箇所を線引きしようと思ったら全ページに線を引くことになるって言うくらい、中国やアメリカの現状、共産主義と本家のマルクス、マキャベリ推しの菅元総理の危うさ、読書をしない日本の政治家、などなど語られる一つ一つの事柄が常にフル回転。

    個人的には最後の、外国人による日本人論についてが特に興味深かった。いやそんな控えめでなく、そうなんですよ!と叫びたかった。
    戦時中や戦後直後の日本人論は、未だに的を得ている点が多い、天才であっても個性は邪魔にされるなどなど。
    でも意外でありつつ納得したのは、日本における子供や若者間でのシステマティックないじめを指摘されていること。
    これをなくしさえすれば日本は改善されると。
    そしてもちろんこれは約80年たっても教育の場で放置されている。
    明治維新が自分達の独立したイデオロギーによるものでないというの話も、心のモヤモヤ取り払ってくれた感じ。
    「菊の刀」も積読してるので読まなきゃ。

    そして一時期、日本人は凄いという本が「日本で」売れ、そういう本を外国人が誰も書かなくなったら自分達で日本は素晴らしい、特殊であると誉め始めた。痛い。
    さらにこの本が出版された数年後の今、外国人旅行者が円安の日本を安く消費している、というこれも痛い現実。

    参考書としておすすめの本リストがたっぷりあるので、ほしい本リストがまた長くなりました。
    🔽 関連ページ 🔽
    共著 「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」池上彰 佐藤優, 2015
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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    無敵の読解力 (文春新書 1341)


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  • 『陰陽師 生成り姫』 夢枕獏, 2003年 レビュー | 源博雅が主役の長編 

    『陰陽師 生成り姫』 夢枕獏, 2003年 レビュー | 源博雅が主役の長編 



    陰陽師 生成り姫
    夢枕獏, 2003
    389 ページ
    2026.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 陰陽師シリーズ第5弾
    ✔ シリーズ初の長編はバディ役の源博雅が主人公に
    ✔ 彼の12年前の恋の行方

    ★★★★★ 今回は初の長編。そこに、もう短編で一度語られた話を掘り下げるという粋な試み。さらに主人公をバディ役の源博雅に。シリーズに人間味があるのは間違いなく彼のお蔭。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    「平安時代は、雅な闇の時代であった。
    鬼も、人も、もののけも、同じ闇の中で呼吸している」

    今回は初の長編。
    そこに、もう短編で一度語られた話「鉄輪」を掘り下げるという粋な試み。
    それでもって主人公をシリーズではバディ役の源博雅にするというファンには嬉しい試み。

    源博雅は安倍晴明に何度も何度も「お前はいい漢だ」といわせるほどいいやつで、この陰陽師シリーズに人間味があるのは間違いなくこの男のお蔭で、好きにならずにはいられないキャラ。
    今回も凄く良いのです。

    源博雅の12年前の恋、鬼になる女、全てを受け止める安倍晴明と源博雅の二人。
    じっくりと長編として描かれるので最後の感動もしっかりと高まる。
    🔽 関連ページ 🔽
    シリーズ第一弾 『陰陽師』 夢枕獏, 1988 感想 | なに本当に面白い
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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    陰陽師 生成り姫 (文春文庫 ゆ 2-9)


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    陰陽師 生成り姫 (文春文庫) [ 夢枕 獏 ]
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  • 『陰陽師 鳳凰ノ巻』 夢枕獏, 2002年 レビュー | シリーズ第四弾 

    『陰陽師 鳳凰ノ巻』 夢枕獏, 2002年 レビュー | シリーズ第四弾 



    陰陽師 鳳凰ノ巻
    夢枕獏, 2002
    272 ページ
    2026.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 陰陽師シリーズ第4弾
    ✔ 同じメインの登場人物なのに飽きない
    ✔ 短編集の最後の一つはいつもと違う流れ

    ★★★★☆ 短編で4冊目なのにリズムもキープ。ダイアの原石である二人組を産み出したからノリに乗った状態が続くからだろう。でもなんと4冊目の最後の短編でスタイルを変えてくる変化球。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    シリーズ第4弾。
    短編で4冊目なのに、ダラダラとならずリズムもキープする。
    それはもうダイアモンドの原石である二人組を産み出したからノリに乗った状態が続くからだろう。
    もちろんスタイルを変えずに話を変えるという型で4冊目に来たわけだけど、なんと最後の短編でスタイルを変えてくる。
    今までは誰かに頼まれて、博雅と飲んでいた酒の杯を置き、ゆこう、と妖しい存在に向かっていっていたのが、今回はライバルと腕比べとは。

    やっぱり読み続けるしかないね。
    🔽 関連ページ 🔽
    シリーズ 『陰陽師』 夢枕獏, 1988 感想 | なに本当に面白い
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  • 『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 レビュー | ノーという女性の古典

    『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 レビュー | ノーという女性の古典



    ジェーン•エア
    シャーロット・ブロンテ,  1847
    Jane Eyre
    Charlotte Bronte
    2026.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 女性主体の英文学の古典
    ✔ 当時の社会の常識に反抗した主人公の潔さ
    ✔ ゴシック、ホラー的な要素もある恋愛小説

    ★★★★★ 一人の女性の惨めな子供時代を経て自らの手で這い上がる成長物語であり、当時のイギリスにとっての社会的なテーマが盛り沢山。狂気の女の象徴するところもとっても気になる

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    古典って避けてしまう傾向にあるけど、実はエンターテイメント性が高いものが多いんですよね。
    まあ、だからこそ何世紀も愛されるわけですが。

    この本もそう。
    ドロドロのメロドラマもあればロマンスもある。
    強い女性像のイメージがあったのでロマンス要素に関しては想像以上だった。
    一人の女性の惨めな子供時代を経て自らの手で這い上がる成長物語であり、フェミニズム満載であり、宗教の問題も、ちょっと怖めのゴシックでもあり、階級社会、人種、植民地主義などなど当時のイギリスにとっての社会的なテーマが盛り沢山。

    そして当時の批判は目に浮かぶよう。
    家父長制に服従しない女?男にノーという女?地位もなく地味な見た目のくせに?なんということでしょう。

    もちろん今日の社会では見方は変わる(といってもいまだに女のくせにという意見は無きにしも非ず)。
    彼女は男性にただ単に宝石やきれいな服を浴びるように与えられる人生は送りたくない。
    自分も対等に貢献できると確信できる日まで彼女は愛する人をも拒否し続ける。

    あと「屋根裏部屋の狂気の女」もとっても興味深い。
    当時の差別主義が隠さずに描かれており、混血の人間、黒人であるこの女は理性がなく暴力的で、高貴な白人の文明から遠ざけなければいけない。
    そしてジェーン本人はあまり怖がっても憎んでもいないというところも気になる。
    この辺りは本が出ているそうなので、いつか。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Jane Eyre” Charlotte Bronte (1847) Review | A woman who says no
    tag 女性主体
    tag フェミニズム
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  • 『殺人の門』 東野圭吾, 2003年 レビュー | 著者の幅の広さを感じる人間ドラマ

    『殺人の門』 東野圭吾, 2003年 レビュー | 著者の幅の広さを感じる人間ドラマ



    殺人の門
    東野圭吾, 2003
    624 ページ
    2025.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 凄いトリックもマジカルな要素もない東野圭吾作品
    ✔ 派手ではない分ドロドロな人間関係を強調
    ✔ 映画化決定

    ★★★★ 凄いトリックもマジカルな要素もない。だからその分この本のストーリーの素晴らしさが強調されている。昭和を感じる人間ドラマは東野圭吾の幅の広さ奥の深さを確実に掴める一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    いままで読んだ東野圭吾の派手さがない。
    凄いトリックもマジカルな要素もない。
    だからその分、この本のストーリーの素晴らしさが強調されている。

    お金持ちに生まれたのに次々と続く不幸で苦しみに溢れた半生の主人公、その影にいつもいる幼馴染み。
    タイトルからも分かるように殺人がテーマでずっとその匂いだけがしているサスペンスの側面と何が起こっているんだろうと想像を巡らさせるミステリーの側面。

    昭和を感じる人間ドラマは松本清張のような面白さがあり、巧みな謎解きミステリーだけではない、東野圭吾の作家としての幅の広さ、奥の深さを確実に掴める一冊。


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    tag 東野圭吾/Keigo Higashino
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  • 『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008年 レビュー | アヘン戦争直前の奴隷船にて

    『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008年 レビュー | アヘン戦争直前の奴隷船にて



    Sea of Poppies
    Amitav Ghosh, 2008
    (ケシの海)
    アミタヴ・ゴーシュ
    559 ページ
    2025.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アヘン戦争へ向かう時代のインドが舞台の歴史小説3部作
    ✔ 人種も階級も超えて奴隷船の上でつながる登場人物たち
    ✔ 植民地主義をテーマにするアメリカ在住の英語インド人作家

    ★★★★ 大英帝国が治めるインド、そこで行われるケシの栽培、そしてアヘン戦争の匂いを受けて奴隷船に乗り込む人々。それだけでもう本を開く前から自分好みなのは一目瞭然。3部作、先が気になる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    噂には聞いていたけど、やっぱり圧倒的に面白かった。

    大英帝国が治めるインド、そこで行われるケシの栽培、そしてアヘン戦争の匂いを受けて奴隷船に乗り込む人々。
    それだけでもう本を開く前から自分好みなのは一目瞭然。

    開けてみると、個性的な登場人物がどんどん出てくる。
    辛い結婚生活から逃げた主人公の女性ディーティ、フランス人ポーレットとインド人ジョドゥの兄妹愛、破綻した繊細なラジャに、秘密を持ったアメリカ人船乗りザッカリー、などなどがそれぞれの思いを胸にモーリシャス諸島へ向かう奴隷船アイビス号に乗り込む。
    その流れだけで分かるよう、壮大なストーリーがこの3部作で描かれるのです。

    女性たちの無謀さと、それについて行ってる男性たちだったり、騙されて人生が一転するラジャの変化などがエンターテインメントを込めて書かれているのでこの後どうなるのか。
    まだ最初の一冊を読んだばかり、先が気になる。

    日本ではまだ翻訳されてないので残念。
    英語はちょっと難しいです、というかインド英語やそれぞれの訛りなどもあり分かりにくい。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Sea of Poppies” Amitav Ghosh (2008) Review | Leading up to Opium War
    category 文学 インド 南アジア/Indian S. Asian Lit.
    tag インド/India
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  • 『父と暮らせば』井上ひさし, 1998年 レビュー | 戦争で残された人々の痛み

    『父と暮らせば』井上ひさし, 1998年 レビュー | 戦争で残された人々の痛み



    父と暮らせば
    井上ひさし, 1998
    128 ページ
    2025.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1994年に初演された広島弁の戯曲
    ✔ 原爆で亡くなった父と残された娘の二人の登場人物
    ✔ 戦争の酷さ、残された人間のつらさを描く

    ★★★★★ ユーモアに溢れていて、広島弁でゆっくりと進んでいく物語。ここにじんわりと写された苦しみと痛さと、自分なんかが幸せになってはいけないという葛藤。その痛みを忘れないための大切な一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    前書きで著者はずっと命の限り広島と長崎のことを書いていくという強い意思を示している。
    絶対に絶やしてはいけないことだから。

    その思いで書かれたこの作品。

    ここにじんわりと写された苦しみと痛さと、自分なんかが幸せになってはいけないという葛藤。
    父の生と死を越えた愛情と、娘の方からも深い愛情があり、原爆で命を奪われた人と「死ねなかった人」の次元を越える慈悲に溢れていて、短いながらもその深さに、読む人の心にずっと残るものになる。

    ユーモアに溢れていて、広島弁でゆっくりと進んでいく物語。
    私はまだ原爆の巨大な被害にあった人の話を直接聞けた世代。
    その次に続く高度成長期のあとの明るい未来を知らない世代。

    忘れないための大切な一冊。

    🔽 関連ページ 🔽
    tag 戦争/War 
    
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    父と暮せば (新潮文庫)
    
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  • 『深い河』 遠藤周作, 1996年 レビュー | 生と死を受け止める偉大な河へ

    『深い河』 遠藤周作, 1996年 レビュー | 生と死を受け止める偉大な河へ

    🔽 基本情報 🔽

    深い河
    遠藤周作, 1993
    400 ページ
    2020.02 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 遠藤周作が70歳の時の代表作
    ✔ それぞれの思いを胸に5人の主人公がインドへ向かう
    ✔ 著者の生涯のテーマ「キリスト教と日本人」を掘り下げる

    ★★★★★ ベナレスは聖地でありガンジスに向かうことは死に向かうこと。母なるガンジス、その母性が全ての人の生と死を隔たりなく抱き抱える。何世紀と続く聖地の力を感じる。壮大であり静粛な一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    宗教関係、宗教にまつわる積読をまとめて読む読書月間を勝手に開催した。

    当時70歳のカトリックの著者遠藤周作による、登場人物たちがインドへ向かう一冊。
    偶然一緒の仏跡訪問ツアーになった数人の日本人それぞれが後悔や喪失の中の淡い期待を胸にインド、ガンジス川へ。
    ベナレス(バラナシ、ヴァラナシ)は聖地でありガンジスに向かうことは死に向かうこと。
    彼らがそれぞれの過去を胸に、生と死が共存するベナレスで想うこととは。

    神という大きな力の信じ、ことごとく生活を否定されても、信念強く生きる青年の背負うものとは。
    色々なストーリーが、母なるガンジスに向かい、生と死を含むその母性が全ての人を隔たりなく抱き抱える。
    遠藤周作らしい、壮大であり静粛な一冊。

    70歳という年齢を迎え、きっと本人も死を意識しながら生きていく上で、彼の永遠のテーマである「日本人でありキリスト教信者であること」をもう一度振り返ってみたんだと思う。
    そしてその答えは、インドの深い河であった。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Deep River” Shusaku Endo (1996) Review | Embracing life and death >>
    tag 宗教/Religion
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  • 『白い人・黄色い人』 遠藤周作, 1955年 レビュー | 人種と宗教と道徳の境界線

    『白い人・黄色い人』 遠藤周作, 1955年 レビュー | 人種と宗教と道徳の境界線



    白い人・黄色い人
    遠藤周作, 1955
    208 ページ
    2020.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ キリスト教の道徳をとことん追求した代表作2作
    ✔ 絶対的な神の厳しい文化と多神教の自由さ
    ✔ 悪とは善とは何かを深く考えさせられる

    ★★★★★ キリスト教と人間の悪。「白い人」絶対的な神を持つ文化で生きる白人の道徳の中に沸き出す悪。「黄色い人」は信じるか信じないかの二択から解き放たれた人たちのただただ疲れた瞳、諦め、そして罪のない身軽さ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    キリスト教と人間の悪。

    「白い人」
    自らの醜さを理解し、劣等感を超えての空想の優越感を覚える。
    悪は普遍的であり、政治的であり、相手を潰す力を持つ。

    級友を踏みにじることは全ての偽善者を踏みにじることであり、娘を汚すのは全ての処女を汚すこと。
    これは絶対的な神を持つ文化で生きる白人の道徳の中に沸き出す悪だという事だろう。
    それを信じて耐える人間になるか信じずに悪に酔う人間になるか。


    「黄色い人」
    これは、ある意味もっと辛い。
    著者本人の一番のテーマである「日本人のくせにキリスト教信者」の矛盾がもたらす醜さ。
    戦争を生きる信者の青年は全てに疲れきっていた。
    私たちは貴方達のような白い人間が恐れる神を本当は信じられない、私たち黄色い人間には、原罪はない。
    生も死も恐れない、罪もない、一つの神を信じない彼らの世界では罪人もそのまま救われる。
    自分たち白い手を持つ人間はこの黄色い人に近づくことができるのか。
    信じるか信じないかの二択から解き放たれた人たちのただただ疲れた瞳、諦め、そして身軽さ。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “White Man, Yellow Man” Shusaku Endo (1955) Review | Between the races >>
    tag 宗教/Religion

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    白い人・黄色い人 (新潮文庫)


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  • 『インドへ』 横尾忠則, 1977年 レビュー | カルチャーとしてのインドへ

    『インドへ』 横尾忠則, 1977年 レビュー | カルチャーとしてのインドへ



    インドへ
    横尾忠則, 1977
    203 ページ
    2020.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ グラフィックデザイナーの語るインドの魅力
    ✔ インドという幻想の世界への旅行記
    ✔ カシミール地方での滞在が特に詳しく書かれている

    ★★★★ 著者はインドそのものでなくインドが象徴するもの、例えば死が限りなく身近にあることなど、もっと言えばカルチャーとしてのインドに惹かれ、それを求めた。三島由紀夫の死によってインドへ導かれる横尾氏の彼の内側にあるインドへの旅行記

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの旅行記というのは星の数だけある。
    で、これはグラフィックデザイナー、画家の横尾氏の彼の内側のインドへの旅行記。

    インドという彼が抱いた幻想の世界への旅、むしろ彼の意識の中のインドへの旅というか、本物のインドは背景に過ぎない。
    そして彼の作品を見たことがあれば何故彼がインドにこだわるか一目瞭然。
    つまり彼は意識、また無意識の中で常にインドを求めていた。

    ニューヨークでのドラッグによる「インスタント悟り」に始まり、ビートルズを通り、ヒッピー、禅宗を通り、三島由紀夫の死によって、インドへ導かれる。

    この本ではメインはカシミール地方へ行ったときのことがメイン。
    最初にインドに行った強烈な印象を乗り越え、今回は星を眺め、宇宙と一体になってる時間のほうが長かったんじゃと思うくらい、宇宙やUFOが頻繁に出てくる。
    人間が自然と一体化するインドで、瞑想の中で自らが自然と一体化する。
    でもそこにはとてつもない貧困があり、差別があり、直球で遠慮のない死の世界もある。

    この本自体と同じくらい印象深い三島由紀夫の著者への言葉「インドへは行ける者と行けないものがあり、さらにその時期は運命的なカルマが決定する」

    著者はインドそのものでなくインドが象徴するもの、例えば死が限りなく身近にあることなど、もっと言えばアメリカのフィルターを通したカルチャーとしてのインドに惹かれ、それを求めた。

    私も親のおかげで小さい頃からインド亜大陸の写真を見ていて、いつか行くときが来ると漠然には思っていたけれど、別にヒッピーではないし、人生を変えようとも悟りを開こうともヨガを極めようとも思ってはない。
    でもこういう本を読むのは面白い。70年代まっしぐら。
    日本人がインドに対して抱く憧れは、こういう正直な文学により磨かれ保護され、永遠に消えないとおもう。
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    English review “(To India)” Tadanori Yokoo (1977) Review | India as fantasy
    tag インド
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  • 『(私がなぜ人種についてもう白人にはなさないのか) 』2019年 レビュー | 人種差別と対話

    『(私がなぜ人種についてもう白人にはなさないのか) 』2019年 レビュー | 人種差別と対話



    Why I’m No Longer Talking to White People About Race
    Reni Eddo-Lodge, 2019
    (私がなぜ人種についてもう白人に話さないのか)
    2020.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 英国の黒人女性が現代の人種差別へ立ち向かう
    ✔ 表紙のデザインは「白人たちに気を使う」というテーマから
    ✔ 人種差別も女性差別も無視せず声を上げる姿勢

    ★★★★★+❤ この本がなぜ今重要なのか。白人が人種差別主義者とレッテルを張られることは、黒人が人種差別を受ける事よりも酷いことという考えがまかり通る今の社会。実際に人種差別がなくならない理由はなにか。「何が」問題なのか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    とてもパワフルな一冊。 
    まずはカバーがいい。彼女の怒りや苛立ちを思う存分に表現してる。
    そして中身、今の英国にとってとても重要な内容。
    英国の歴史の中での黒人やアジア人がどうか変わってきたのかという観点から始まり、英国にシステムがいかに差別的か、またその差別が正当化されているか。
    (正確には黒い人と茶色の人という言い方でいわゆる東洋人、黄色人種ではない)
    何が人種差別を生むのか。そこで人々が抱える恐怖とは。
    フェミニズムと人種、階級と人種、と続く。

    この本が、なぜ今、重要なのかは英国に住んでいれば分かる。
    つまりここ5年ほどで、人種差別は正当化されているから。(当時2020年)
    白人が人種差別主義者とレッテルを張られることは、黒人が人種差別を受ける事よりも酷いことという考えがまかり通る社会。
    そして今まで、英国に特化した人種差別を問う本や議論の場というのは数えるほどしかなく、ほとんどはアメリカから輸入されたものであったという事実。
    つまりそれだけタブーであるということ。

    フェミニストでもある著者は、フェミニズムの土俵で、人種のことに触れると突き放されるという。
    別の場所でやってくれ、と。
    まるでフェミニズムは比較的裕福な白人女性のためだけの場であるかのように。
    多くのメインストリームの場で女性の権利は支持されるのに、人種差別に反対することは、理論的なレベルで支持されても、日常レベルでは見て見ぬふりをされる。
    しかも「これは人種差別じゃないから」と開き直って。

    実際に人種差別がなくならない理由はなにか。
    「何が」問題なのか。
    明らかに白人主義に問題がある、もちろん。
    どうやって白人のセンチメンタリズムを傷つけずに、白人を優位な立場から引きずり降ろさずに議論するか。
    怖い黒人女性と決めつけられずに意見を主張する方法があるのか。
    そういった葛藤の中で、彼女は、もう白人に人種の話はしない、と宣言したわけです。
    もちろんこれは、さらに数年前のブログのタイトルで、そこから彼女はやっぱり言わなければいけない、ということでこの本を書いているわけですが
    沈黙は自分を守ってくれない。黙っていても自分の立場は良くならない。

    挑発的なこの本は、まさに多くのセンチメンタルな白人を追い詰めて、彼らを罪悪感に浸らせてしまった。
    どうしていいかわからないと頼ってくる白人たち。
    イベントのQ&Aでモノローグを始め勝手に泣き崩れる白人。
    でも彼女は言う。
    罪悪感を感じる余裕があれば、自分の行動範囲内で声をあげてみればいい。
    一人ひとりが行動をし、一つのムーブメントとなる。

    日本にいればたしかにこの感覚は分かりづらい。
    でも、やっと外国人が日常で増えてきて対岸の火事ではなくなった。

    それでもこれはやっぱり重要な本である。
    英国人歌手のStormzyが言ったように、英国には例えばイタリアのようなあからさまな人種差別はないかもしれない。
    でも確実に存在していて、差別主義者は今まで陰口を言っていただけだけど、今日の英国で大声で言える権利を得たと勘違いしている。
    そしてそれはとっても恐ろしいことだ、と。

    この若い英国人黒人女性によって書かれた本がベストセラーになっていることは、間違いなく英国各地で議論のきっかけになった。
    ちょっと希望が持てる気もしてくる。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Why I’m No Longer Talking to White People About Race” Reni Eddo-Lodge (2019) Review | silence won’t protect us

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    Why I’m No Longer Talking to White People About Race: The #1 Sunday Times Bestseller
    
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    --
    
  • 『沈黙のパレード』 東野圭吾, 2018年 レビュー | 沈黙は究極の守り

    『沈黙のパレード』 東野圭吾, 2018年 レビュー | 沈黙は究極の守り



    沈黙のパレード
    東野圭吾, 2018
    496 ページ
    2020.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ガリレオシリーズ
    ✔ いつものチームと町の人々というきれいな型
    ✔ ストーリーはもちろん映像化と絡ませてくる高度な遊び

    ★★★★ 徹底的なエンターテイメントミステリーのガリレオシリーズ。シリーズの人間関係の型にきれいにはまっていて、今回もトリックとちょっとドラマチックな展開そしてぴったりなタイトル。「沈黙」黙っていれば罪に問われないという究極の守り。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ガリレオシリーズですから、やっぱり面白い。
    湯川、草薙コンビと内海さんその他の警察関係者と、町の人々というシリーズの人間関係の型にきれいにはまっていて、今回もトリックとちょっとドラマチックな展開、そしてぴったりすぎるタイトル。 

    相変わらず寝ずにあっという間に読める。
    今回のキーワードは「沈黙」黙っていれば罪に問われないという究極の守り。
    あと、「世代の差」世代によって感覚が違う。
    復讐のためにだけに生きる人、何年も苦しみを背負って生きる人、友のために全てを賭けて行動する人、さらっと諦める人、あと少し我慢して待ってあげられなかった人。
    わたしたち。
    (抽象的だけど、ネタバレ防止対策です)

    どこかに書いてたけど、どこから見ても著者がまた福山雅治に主演してほしいと猛アタックしてるしか思えないシーンがたっぷりだとか。
    映画もドラマもみたことないけれど、なるほど、そういう風に映画とも絡ませている感じが高度な遊びで嬉しくなる。

    徹底的なエンターテイメントミステリー。
    さすが、ガリレオシリーズ。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Silent Parade” Keigo Higashino (2018) Review | Stay silent
    tag 東野圭吾
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    沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)


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    沈黙のパレード (文春文庫) [ 東野 圭吾 ]
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  • 『科学者が人間であること』中村桂子, 2013年 レビュー | 科学者も生活者としての自覚を

    『科学者が人間であること』中村桂子, 2013年 レビュー | 科学者も生活者としての自覚を



    科学者が人間であること
    中村桂子, 2013
    256 ページ
    2025.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 生命誌研究館を設立した科学者の著作
    ✔ 生命科学をベースにしつつ生活者であるという自覚
    ✔ 目先でなく普遍的な発展をテーマとした一冊

    ★★★★★ 自分と自然に境目はない、だって自分は自然の一部。科学者だけでなく、会社人でも特に政治家もぜひ読んで忘れないでほしい、あなたもわたしも、人間であることを。元来の人間の生活を中心に置いたその向こうに見える未来は輝いている。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    一風変わったこのタイトルの重要さ。
    自分と自然に境目はない、だって自分は自然の一部でしかないのだから。
    科学者だけでなく、会社人でも特に政治家も、ぜひ読んで忘れないでほしい、あなたもわたしも、人間であることを。

    「日本文学の大地」を読んだときにに感じたことが、ここでは現代の科学者からの視点で書かれている。
    17世紀からの近代科学の発展、つまり自然を支配しようという思想のせいで、自然の一部だという人間の本来の感性があたかも古くさいもののように陰に追いやられた。
    でも今こそその感性を思い出す時。
    そう「思い出す」のであって新しいことではない、私たちが本来持っている感性と科学や技術の発展は敵対するものではない。

    元来の人間の生活を中心に置いたその向こうに見える未来は輝いている。
    それは金融資本とか人工知能とか金儲けのための開発とか、人間を置いてけぼりにした死んだ発展ではない。
    技術が進むにつれ知識が増える、でも次のステップ「どう普遍的な文明に繋げるか」にもたどり着くことを皆が意識する。

    彼女のことはお坊さんのポッドキャスト「テンプルモーニングラジオ」で知ったんだけど、DNAを引っ張り出して、血統だとか子孫だとか言うのは間違っていると強く仰っていて、それに惹かれてこの本を探したのでした。

    DNAは生物すべてが共有するものであり、単に親から子へまっすぐと降りてくるものという意識は間違っていると心に留めておくと、自分さえ良ければという考え方が薄れていくと思う。そして今こそ大事な考え方の転換。


    追記ですが、明治から特に海外に出た日本人の偉人が色々と言及されているので、特に南方熊楠は一度しっかり読みたい。

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  • 『あん』 ドリアン助川, 2015年 レビュー | 暖かくてそっと甘い物語

    『あん』 ドリアン助川, 2015年 レビュー | 暖かくてそっと甘い物語

    🔽 基本情報 🔽
    あん
    ドリアン助川, 2015
    260 ページ
    2025.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ どら焼き屋をめぐる3人のそれぞれの過去と未来への思い
    ✔ 仕方なくバイトとして雇った老女に対する周囲の目
    ✔ 生きる意味と生きていくための希望を描く

    ★★★★★ 社会の役に立つことが生きる意味だと言われることを最近よく考える。生きる意味自体は「あぁ、よかった」って思えることじゃないかな、と。暖かくて甘くてそっと抱きしめるような物語。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    暖かくて甘くてそっと抱きしめるような物語、とでもいうのか、じんわりとした幸せを感じる。
    でも幸せはいつもわかりやすいの形をしていない。

    社会の役に立つことが生きる意味だと言われることを最近よく考える。
    それは生きる意味じゃないとつくづく思う、どちらかというと意義だよね。
    生きる意味自体は「あぁ、よかった」って思えることじゃないかな、と最近は思う。

    徳江さんも、店長さんも、ワカナちゃんも、それぞれ辛い思いをしてきたなかでお互いに会えた。
    ハンセン病という病気に苦しみ完治後は偏見に苦しんだ徳江さん。
    私も療養施設が90年代まであったなんていうことも知らなかったけれど、差別をする側の無知の怖さ。

    偶然にも去年初めて自分であんこを作り、その後何度かどら焼きも作った。
    簡易レシピであったにも関わらず、もちろん乾燥小豆を前の日から水に浸し、数時間かかる。
    そして、自分で作ったちょっと固めになってしまったあんこの美味しさ。
    その時に感じたのは、間違いなく幸福感だった。
    お菓子が運んできてくれる小さな幸せ。
    時間をかけた割には一瞬で食べてしまう美味しいもの。
    そんなときにも「あぁ、よかった」と思うようだ。

    暖かくて甘くてそっと抱きしめるような物語、とでもいうのか、じんわりとした幸せを感じる。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Sweet Bean Paste” Durien Sukegawa (2015) Review | sweetness of life


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    あん (ポプラ文庫 と 1-2)



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  • 『パチンコ』 ミン・ジン・リー, 2017年 レビュー | 韓国から日本へ渡る女性のストーリー

    『パチンコ』 ミン・ジン・リー, 2017年 レビュー | 韓国から日本へ渡る女性のストーリー



    Pachinko
    Min Jin Lee, 2017
    パチンコ
    ミン・ジン・リー
    512 ページ
    2021.10 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1910年の韓国から日本に渡った主人公
    ✔ 家族を抱えて貧困も戦争も生き延びる母の姿
    ✔ 韓国と日本の関係と歴史が一人の女性を通じて見えてくる

    ★★★★★ 韓国から日本に渡った一人の女性、彼女の人生で絶えることなく続く苦労と小さな幸せと愛。人生はパチンコの如く。負けると決まっている勝負、なのに続けてしまう。力強いエピック。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1910年の韓国から日本に渡った一人の女性、彼女の人生で耐えることなく続く苦労と小さな幸せ。

    一人の女性の焦点を当てることで、より戦時中のリアルな苦しみが浮かび上がり、かえって普遍的なストーリーとなっていく。
    在日コリアンの歴史、日本と韓国の歴史、もしくは日本人と韓国人の歴史といったほうが正しいのか、その関係は簡単には概要を掴めない、というのも今日もまだ続き変わり続けているから。
    戦争は間違いなく関係悪化の要素の一つだけれどそれだけでもない。

    この本はいかに一瞬の不運やタイミングの違いでその後の人生が大きく揺らされるかを豊かな表現で描く。
    アジア人でないと分かりにくいところはあると思うけれど、アメリカ出版で世界中でベストセラー(むしろ日本の反応が遅くて鈍かった)

    韓国はドラマもそうだけどストーリーテリングが上手。
    ドラマチックな流れで、でも実際に戦時中や戦後はこんなスピードで人生は流れていったんだろう。

    フェデリコ•フェリーニは、人生は祭りだというけれど、この本は、「いや、人生はパチンコだ」といっている。
    フェアじゃない。負けると決まっている勝負。それでも続けてしまう。

    AppleTVのシリーズも観てみたい。



    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Pachinko” Min Jin Lee (2017) Review | Korean-Japanese epic
    tag 日本史
    tag 植民地主義
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  • 『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008年 レビュー | 現代インドのエネルギー

    『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008年 レビュー | 現代インドのエネルギー

    🔽 基本情報 🔽

    The White Tiger
    Aravind Adiga, 2008
    (ザ・ホワイトタイガー)
    アラヴィンド・アディガ
    336 ページ
    2021.04 読了
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    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 小さなチャンスを掴み田舎の貧困生活から抜け出す少年
    ✔ 現代インドの都会と田舎の社会の格差
    ✔ 若者に宿る激しさとサバイバル精神と野望

    ★★★★★ 現代インドの若者に宿る激しさ、リアルさ。淡々と進んでいくようなストーリーなんだけど狂気的なエネルギーに溢れている。古典的なインドのイメージとは違うかもしれない、でもこれこそ今。日本語出版はないけどネットフリックス映画もいい。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ちょうど、ネットフリックスがプリヤンカー・チョープラー制作主演で映画化したので、観る前に読まねばと。

    想像していた通りの面白さ、激しさ、リアルさ。
    淡々と進んでいくようなストーリーなんだけど実はエネルギーに溢れていて、これこそ現代インドの鏡。
    どうしてもインドを神秘な国と決めつけてしまうけれど、現実にはここには人々が生活をしていて、多くの貧しい若者はなんとか自分の親より良い生活がしたいと突き進む。
    それは当たり前の若者のエネルギーなんだけど、ここはそれでもインド。
    物凄い数の人間が絡み合い、その中でも生まれたときから叩きつけられている身分をわきまえるという常識は自分の中からも消えない。
    日本っぽいところがあるというか、アジア全般での文化はやっぱり繋がるところがある。
    ただ、貧困の層が分厚いインドでのこの物語はとてつもない興奮をまとっている。

    主人公が言うように、自分の生きている間にきっと白い男たちは消え、茶色と黄色の男たちが世界を制するようになる、つまり白人の時代は終わりアジア人の時代が来る、というのはそう間違ってもないかも。

    英語はちょっと難しいかも、というのもインド英語も入ってくるし。

    ネットフリックスの映画(日本語あり)もいいです!
    もちろんボリウッド的な歌もダンスもないけれど、代わりにリアルな暴力と音楽がありさらにこのストーリーを盛り上げる。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The White Tiger” Aravind Adiga (2008) Review | Energy of young India
    tag インド

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    The White Tiger: WINNER OF THE MAN BOOKER PRIZE 2008 (English Edition)
    
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  • 『岳物語』椎名誠, 1989年 レビュー | 息子と父の物語

    『岳物語』椎名誠, 1989年 レビュー | 息子と父の物語



    岳物語
    椎名誠, 1989
    Makoto Shiina
    272 ページ
    2025.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 椎名誠の息子の生活をベースにした小説
    ✔ 岳の自由気ままなその姿を愛情たっぷりで見つめる父親
    ✔ 岳さんは椎名誠よりシーナ的とも

    ★★★★★ 父親の愛情に溢れた一冊で、しかも思春期の難しい時期に入るまでの息子と父の物語。自分に息子がいるとよくわかる。最近はじわじわ息子との接点もなくなって。でも子供が自分を越えていく、それが子育ての成功した証だと思う。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    小説というか、ほぼエッセイというのか。
    でも小説ということらしい。
    父親の愛情に溢れた一冊で、しかも思春期の難しい時期に入るまでの息子と父の物語。

    自分に息子がいるとよくわかる。
    こうでした。
    私は母親だしプロセス技もかけないけれど、長男はは家庭内だけでなく社会で育つべきと思っていたし、家族でない人との交流をさせてもらえることがありがたくてしょうがない。
    13歳のときに長い夏休みに日本の私の実家に3ヶ月送り込んだときと、作中におとう(椎名誠)が3ヶ月半の海外での仕事から帰宅した時とが重なる。
    少年として送り出したのに帰ってきたときは青年になっていた。
    単純に身長も抜かれたし、何よりも親がいない、知らない時間を経験をした、ということ。
    普段は学校は片道バスで2時間の街にあるから部活もスポーツも何もしないのに家ではご飯食べて寝るだけ、いよいよ息子との接点もなくなる。
    子供が自分を越えていく、それが子育ての成功した証だと思う。

    岳さんは椎名誠よりシーナ的とも言われてこの本のイメージが強すぎてそれが迷惑な時期もあったそうだけど、家族ってそれぞれで、そんなものなんですね。
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  • 『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー, 2014年 レビュー | 高級茶ダージリンの現実

    『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー, 2014年 レビュー | 高級茶ダージリンの現実


    The Darjeeling Distinction: Labor and Justice on Fair-Trade Tea Plantations in India (California Studies in Food and Culture Book 47)
    Sarah Besky, 2014
    (ダージリン ディスティンクション; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)
    サラ・ベスキー
    258 ページ
    2022.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    まさに探していたトピックの本。
    ダージリンのお茶と産業と労働者の関係。

    ダージリンは世界で一番高級な茶であり、世界中で知られていてステータスもある、なのになぜダージリンの労働者は貧しいのか。
    ダージリンのお茶一杯の値段はお茶を摘む仕事の女性の一日の給料より圧倒的に高い。
    高級感を売り物にするダージリンの現実は静かに隠されている。

    ダージリンやシッキム州のいわゆる広い意味でダージリン茶を作るエリアは実は最近まではインドではなかったし、18世紀に英国人が周辺の発達のためにネパールから大量の労働者を連れてきたので、人種的にもほとんどがインド人ではない。
    90年代に盛んだったグルカ運動はいまも消えたわけではないけれど、これだけ商品価値のある商品を作るダージリン、インドは、西ベンガル州は何があっても手放さない。
    グルカもネパール系の人々は何代もの間この産業を支えているのに実質的に何も所有できない、他の道も少ない、自分たちの歴史さえ曖昧になっている。
    フェアトレードの観点から言うと、フェアトレードを押し付けられるせいで現地の人間の生活はより厳しくなったとも。

    高級茶の代名詞のダージリンは現地の人々からの搾取によって支えられている。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Darjeeling Distinction” Sarah Besky (2014) Review | Dark side of the posh tea
    tag 東ヒマラヤ

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    The Darjeeling Distinction: Labor and Justice on Fair-Trade Tea Plantations in India


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  • 『女が死ぬ』 松田青子, 2021年 レビュー | 屈しない女性像

    『女が死ぬ』 松田青子, 2021年 レビュー | 屈しない女性像



    女が死ぬ
    松田青子, 2021
    224 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 短編より短い五十三の掌篇集で描く屈しない女性像
    ✔ 「女らしさ」や「女性像」に対抗するパワフルさ
    ✔ 日本の新しいフェミニズム

    ★★★★★ おお、なんかすごいのを読んでしまった。はじめての松田青子、噂からもタイトルからも怒りに溢れている。屈しない。周りが何を言おうが、現代のティンカーベルのように自分の好きな方に飛んでいく。好き勝手にトイレに吐き出す。ステキ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    おお、なんかすごいのを読んでしまった。
    はじめての松田青子、噂からもタイトルからも女が強そうでしたが、ただそうじゃない、怒りに溢れている。
    でも爆発する怒りじゃなく、沸々とする怒り。
    「あなたの好きな少女が嫌い」「男性ならではの感性」のように性懲りもなく突きつけてくる男性中心視線の社会に怒り、「女が死ぬ」をまたは「ミソジニー解体ショー」をしちゃいそうな怒り。
    日本ぐらいですよ、「女性ならでは」とか公で言うの。
    広告や雑誌で普通に「女性ならではの感性」なんて恐ろしい言い方して男も女も納得してるの。

    屈しない。
    周りが何を言おうが、現代のティンカーベルのように自分の好きな方に飛んでいく。
    好き勝手にトイレに吐き出す。
    ステキ。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “BUTTER” Asako Yuzuki (2017) Review | Her life her food her body
    tag フェミニズム/Feminism
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    女が死ぬ (中公文庫 ま51-2) [ 松田 青子 ]
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    女が死ぬ (中公文庫, ま51-2)



  • 『インド ミニアチュール幻想』 山田和, 2009年 レビュー | 宇宙と神々と人の営みが詰まっているインドの芸術

    『インド ミニアチュール幻想』 山田和, 2009年 レビュー | 宇宙と神々と人の営みが詰まっているインドの芸術



    インド ミニアチュール幻想
    山田和, 2009
    511 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インドの細密画をめぐる旅行記、歴史、エッセイ
    ✔ 細密画は作者の個人という枠も時間も空間も超える
    ✔ インド好きや美術史好きへ

    ★★★★★ 細密画のなかには宇宙と神々と共同体としての人の営みが詰まっている。個人という枠を軽々と越え、時間と空間の壁を越え、宇宙と神と一体になるという感覚。音や絵を通じてしか伝えられない古代から続く感覚。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    細密画のなかには宇宙と神々と共同体としての人の営みが詰まっている。
    そしてこの本はそれを我々に伝えようとする。

    細密画を通じてインドを旅行するような本。
    ただここでは、街から街へという移動ではなく、インドという空間と歴史を移動する感じ。
    16世紀から18世紀に渡り栄えたインドの細密画文化はラジャスタンを中心としたヒンドゥー教色の濃いラジプート派と、ムガール帝国時代の華やかな文化を象徴した、ムガール細密画と大きき二つあるよう。

    そして有名なのは筆。
    私が聞いたのはリスを毛を、一匹からは毛一本しか抜かない、というものだったけれど、ここではバサッとハサミで切るそう。
    それでも、一匹からは筆一本しかつくらない。
    もちろんそのリスには危害を加えないように細心の注意を払いつつ。

    そういう全体的なミニアチュールに関する章もあるし、画家個人を追った章、または蒐集家を追った章もある。
    細密画コレクターの友人でありライバルと、骨董屋から安く買い取るやり取りの様子も、蒐集に取り憑かれて犯罪や詐欺にに手を染める男たちもと、とにかく幅広い内容でどんどんよ読み進めてしまう面白さ。
    そして最後の方にはインド思想という壮大な時空の中にある細密画の位置付けと意義とでもいうのか、細密画に見る美の存在自体を追求する。
    最後に参考文献がたくさん並んでいるので、できる限り揃えたい。

    芸術であり宗教的であり、作者一人の人生を越えたもの。
    だから描いた人のサインはされない。
    画家はもちろん画家のカーストに生まれたから、父から祖母から受け継いだ精神で自らの人生全てで細密画に向かう。

    個人という枠を軽々と越え、時間と空間の壁を越え、宇宙と神と一体になるという感覚。
    音や絵を通じてしか伝えられない古代から続く感覚。
    この前読んだのNine Livesに通じるものもあるけれど、同じようにその感覚が近代化のなかでなくなりつつあるという危機感も持ってしまう。
    日本だって音楽や芸術を通じて自然と繋がる感覚がなくなっているように。

    やっぱりラジャスタンいかなきゃなー。
    最近どのインドの本みても、ラジャスタン州が出てくる。
    超観光地だから前回ためらったけど、毎日移動に車で8、9時間という現実を受け入れればまだ近代化してないインドに会えるんだろうなー


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  • 『BUTTER』柚木麻子, 2017年 レビュー | 自分のために幸せになる一歩

    『BUTTER』柚木麻子, 2017年 レビュー | 自分のために幸せになる一歩



    BUTTER
    柚木麻子, 2017
    592 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 実際の殺人事件をベースにしたミステリー
    ✔ フェミニストとマーガリンが嫌いな容疑者が主人公の心を掴む
    ✔ 社会の期待に背き自分のために生きる女性の第一歩

    ★★★★★ 自分のために幸せになるのは実はかなり気合いがいる。人の意見を振り払い、色んなのものを破棄しないとたどり着かない。その先には自分が美味しいと思うものを美味しく食べる、高価なバターのような贅沢な濃厚な時間がある。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    とうとう読んだ Butter
    元ネタの殺人事件を知らなかったのだけど、知ってたら比較したりともっとミーハーな気持ちを強く楽しめたかも。

    このストーリーの魅力はやっぱり容疑者カジマナの強いパワー。
    マーガリンとフェミニストが嫌いなカジマナに振り回される主人公である女性記者理香と揺れ動く微妙な力関係。
    いや、力でいうとカジマナが完全に勝っている。
    主人公の親友との関係も、恋人との時間の過ごし方もそのあとにどこで何を食べるかも、人間関係全てにおいてカジマナの白い柔らかい腕から伸びるぷっくりとした手が鷲掴みに。

    この本、世界中でもちろん人気だけど、女性の体重に関する社会のデリカシーのなさと、見た目を気にするようにプログラミングされた日本人女性に一番響くのは間違いない。
    自分のために幸せになり、好きなものを食べることが咎められる日本。
    脂っこいものをたまに食べ結果多少体重が増えても、自分にとっての適度な楽しい人生を手にするのが、特に女性が手にするのは、悪いことである日本。

    自分のために幸せになるのは実はかなり気合いがいる。
    人の意見を振り払い、色んなものを破棄しないとたどり着かない。
    その先には自分が美味しいと思うものを美味しく食べる、高価なバターのような贅沢な濃厚な時間がある。

    単なるフェミニストな小説なんかではない。
    女性の容姿に関わる世間の身勝手な期待という呪縛からの解放、そこは大前提であるがそれに伴い男性だって男らしくあれという呪縛からも解放される。
    ミステリーでありながら、社会問題の本質のところを突き止める。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “BUTTER” Asako Yuzuki (2017) Review | Her life her food her body
    tag 女性主体
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    BUTTER (新潮文庫 ゆ 14-3)

  • 『9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて』ウィリアム・ダルリンプル, 2013年 レビュー | インドの信仰の移り変わり

    『9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて』ウィリアム・ダルリンプル, 2013年 レビュー | インドの信仰の移り変わり



    Nine Lives: In Search of the Sacred in Modern India
    William Dalrymple, 2013
    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
    ウィリアム・ダルリンプル
    305 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ローカルな信仰が消え画一化したヒンドゥー教化するインド
    ✔ 人間としてではなく聖なる存在や技術として生きる人々
    ✔ 新しさと古さの渦の中の現代インドの人々を描く

    ★★★★★ 9つの聖なる人生。彼らは人間ではあるけれど「聖なるもの」として崇められている。画一化された信仰に向かう現代インド。あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今まで読んだダルリンプル氏の他の本とはちょっと違った感じ。
    形としては旅行記なんだけど、旅先の土地の様子ではなく、その土地が「創り上げた」人々の話。

    9つの聖なる人生、9人の人間のストーリー。
    彼らは人間ではあるけれど、「聖なるもの」として崇められすでに人間ではない生活を送っている。
    例えば自己を捨て聖人としてただ流れに任せて生きている人や、女神に仕える女性として生きているけれどでもやっていることは売春婦でしかないひと、または宗教的な踊りや歌を受け継ぐ人、本当にそれぞれの宿命を背負って生きている。

    私がダルリンプルの書く文章が大好きな理由はもちろん、彼のすべてをありのままに受け止め、深い情熱と愛を持って世界に届けようとする徹底したその姿勢。
    いまインドの社会は大きく変化している。
    それは日本のように人々が宗教から離れていくという減少ではなく、その土地その町の超ローカルな信仰が薄れていき、代わりに、意図的に、インド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできているということ。
    何百年も語り継がれてきた地元の信仰とは違う、インド全土で統一されたラーマの物語が全国放送のテレビを通じて短期間で人々の脳内の記憶を塗り直すナショナリステックなラーマフィケーション(Rama-fication、ラマ化)が進む中、あと何十年、あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    その最後をきちんと書き残してくれる歴史家がいるって素晴らしい、の一言に尽きる。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Nine Lives” William Dalrymple (2013) Review | Being holy in India today
    tag インド
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    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて (集英社新書)

    
    
  • 『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015年 レビュー | 植民地主義と高級茶

    『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015年 レビュー | 植民地主義と高級茶



    Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea
    Jeff Koehler, 2015
    (ダージリン 世界最高の茶)
    286 ページ
    2022.04 読了
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    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ダージリン茶をめぐる歴史書
    ✔ 現在も続く植民地主義的な搾取の仕組み
    ✔ 労働者の日給はダージリン茶一杯以下という現状

    ★★★★★ お茶を摘む作業を担う女性の一日の給料は、一杯のダージリンの値段以下。世界有数の飲み物でありながら、つくり手の問題や生活環境は厳しく、いまだに植民地的な搾取によって生産されている。ダージリン茶に関するすべての背景をかなり掘り下げた一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ダージリン茶に関するすべての背景、なぜダージリンに茶が植えられたか、どういった植民地的な歴史を抱えているのかなどをかなり掘り下げた一冊。
    英国人が始めインド人経営者が受け継いだ茶園、そこに住み働く代々慎ましい生活をする人々の様子など人にまつわることも。

    多くの人にとってダージリンのお茶の風味はユニークな優雅さだったり高級感を象徴するけれど、ダージリンの抱える問題は別のユニークさがある。
    世界有数の高級な飲み物でありながら、つくり手の問題や生活環境は厳しく、いまだに植民地的な搾取によって生産されている。
    お茶を摘む作業を担う人間の一日の給料は、一杯のダージリンの値段以下。

    同じく世界有数の飲み物であるシャンパーニュやウィスキー、抹茶などと違い現地の国民、インド人は口にしないダージリンティー。
    数え切れない問題を抱えるダージリン茶産業、今後も人々はダージリンを飲み続けるのか、そして作り続けることはできるのか。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea” Jeff Koehler (2015) Review | Colonial history and Darjeeling
    tag
    tag 東ヒマラヤ
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    Darjeeling: The Colorful History and Precarious Fate of the World's Greatest Tea


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  • 『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006年 レビュー | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか

    『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006年 レビュー | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか



    The Inheritance of Loss
    Kiran Desai, 2006
    喪失の響き
    キラン・デサイ
    384 ページ
    2022.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ グルカ運動が過激派するダージリン近くの街カリンポンが舞台
    ✔ 西洋かぶれの祖父、孤児となった少女、その家の使用人
    ✔ 少女の無垢な想像と格差社会の現実、ブッカー賞受賞作

    ★★★★+♥ グルカ運動が過激化するインド東北部カリンポン。人一人の人生なんて一瞬にして壊されるなかで、平等、和解、夢、そんなものは存在するのか。自分よりも圧倒的に強いパワー。コミカルな場面が余計に悲劇を浮き立たせる、力強い一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    友人に進められるままに買ったので、私がいつも気になっている東ヒマラヤのカリンポンの街が舞台とは知らなかった。

    裕福な家庭の女の子が孤児になり、インド料理もナイフとフォークで食べるような厳格な祖父と暮らすことになる。
    そのころ激しくなっていくグルカ運動(ネパール系独立運動)に生活と人生を翻弄される人々。
    少女の想像と妄想と、そして現実。

    祖父と召使いだけの大きな家で、彼女はある貧しい青年に恋をする。
    同じ頃、召使いのニューヨークに住む自慢の息子は実は底辺を這うような生活をしていた。
    一見繋がりのないそれぞれの人生、でもグルカ運動が過激化するごとに確実に狂っていく。
    人一人の人生なんて一瞬にして壊されるなかで、平等、わかり合い、夢、そんなものは存在するのか。

    激しく変化する生活の中で唯一変わらないもの、ヒマラヤ山脈。
    春には淡い希望を運んできて、雨季にはすべてを腐らせる湿気を運んでくる神の宿る山のもとで、その流れに身を任せる。
    日本の表紙のように明るく可愛いストーリーではないです。

    そういう感覚はインドではかなり身に沁みるというか、自分よりも圧倒的に強いパワーというものが現実にあるインド。
    コミカルな場面が余計に悲劇を浮き立たせる、力強い一冊。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Inheritance of Loss" Kiran Desai (2006) Review | Peace, understanding, dream, no such things here
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    喪失の響き (ハヤカワepiブック・プラネット)

  • 『マスカレード•ゲーム』 東野圭吾, 2022年 レビュー | ファンのためのエンターテイメント

    『マスカレード•ゲーム』 東野圭吾, 2022年 レビュー | ファンのためのエンターテイメント



    マスカレード•ゲーム
    東野圭吾, 2022
    Keigo Higashino
    416 ページ
    2025.05 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ マスカレードシリーズ第4弾
    ✔ 主人公二人に新しい相棒も加わる
    ✔ 解決できない三つの犯罪のミステリー

    ★★★★★ 人間ドラマがちゃんとあり、さすが東野圭吾はファンを分かってくれていて、期待の上を回るものを提供してくれる。今回の相棒の嫌なやつな雰囲気もいい。期待を裏切らない、極上のエンターテイメント。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    期待を裏切らない、極上のエンターテイメント。
    シリーズ最新作(5月当時)でしかもいつもの顔ぶれも皆さん久しぶりにホテルに集まるということで同窓会っぽい雰囲気もあり楽しい。
    新しい相棒の若い女性刑事も嫌なやつな雰囲気がいい。

    どうしても解決ができない三つの殺人。
    ストーリーの方もしっかりしていて人間ドラマがちゃんとあり、さすが東野圭吾はファンを分かってくれていて、期待の上を回るものを提供してくれる。
    さすがです。


    🔽 関連ページ 🔽
    タグ: 東野圭吾
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  • 『老師と少年』 南直哉, 2006年 レビュー | 自分とは何かという禅問答

    『老師と少年』 南直哉, 2006年 レビュー | 自分とは何かという禅問答

    🔽 基本情報 🔽
    老師と少年
    南直哉, 2006
    Jikisai Minami
    120 ページ
    2025.10 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 少年と老師の禅問答という形で描く、自分とは何か
    ✔ 「愚かさでしか開けない道もある」
    ✔ 寂しい雰囲気でありながら優しさにあふれた一冊

    ★★★★★ 自分とは何か、生とは死とはなにかとある少年が夜な夜な老師を訪ねて色々と聞く。「では、『本当の自分』をさがす人はただ愚かなだけですか?」「そうだ。しかし、愚かさでしか開けない道もある」何度も開く本になりそう。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    永平寺で20年修行した曹洞宗のお坊さん、というか、老師。
    テンプルモーニングのポッドキャストで知ったあと、そのお人柄にビックリしていくつか本を入手した中のひとつ。

    自分とは何か、生とは死とはなにか、と少年が老師に色々と聞く、というお話なんだけど、老師は答えをくれるわけではない。
    でもそれが答えなのである。

    こんなに短くて文章も易しいのに、読者の心の、頭の深いところに直接、優しく語りかけてくる。
    気付いていないだけで君は一人じゃない、というところもいい。
    これは何度も開く本になりそう。


    中でも好きだった箇所を二つ。

    「では、『本当の自分』をさがす人はただ愚かなだけですか?」
    「そうだ。しかし、愚かさでしか開けない道もある」

    「『本当の何か』は、見つかったとたんに『嘘』になる。」
    🔽 関連ページ 🔽
    タグ: 仏教
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  • 『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 レビュー | プライドまみれの青春

    『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 レビュー | プライドまみれの青春



    Crime and Punishment
    Fyodor Dostoyevsky, 1866
    Преступление и наказание
    Фёдор Миха́йлович Достое́вский
    罪と罰
    フョードル・ドストエフスキー
    720 ページ
    2023.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 欲にまみれた老婆を殺した青年の思想と道徳観
    ✔ 自分は道徳を超えた選ばれた存在という意識の変化を描く
    ✔ 時代を超えるドストエフスキーの傑作

    ★★★★★ 青年ラスコーリニコフは問題児だ。でも彼が自分の行動を正当化するからじゃない。彼は私達読者に、社会に対して自分勝手な問題を起こしてもいいんだよ、と囁いているからだ。自信はないのにプライドにまみれた青春は耐えられない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    つい最近「カラマーゾフの兄弟」を読み終わって、なんというかカラマーゾフが幽霊のように追いかけてくるんです。
    この物語よりも素晴らしいものはない、と呟きながら。
    なので、潔く「罪と罰」。

    カラマーゾフと比べて短いし、比較的ストーリーを追いやすい。
    単純に主人公一人だからという理由で。
    でもストーリー、出来事を追いやすいというだけで、決して読みやすい訳ではない。
    その辺に関しては私がグダグダ感想を述べても仕方ない、この本も「偉大な一冊」であることは誰もが知っているから。

    青年ラスコーリニコフは問題児だ。
    でも彼が本の中で問題を起こすから、自分の行動を正当化するからじゃない。
    彼は私達読者に、特に若者に、社会に対して自分勝手な問題を起こしてもいいんだよ、と囁いているからだ。
    この本が若者に与えた影響は簡単に想像できる。
    どの時代もどの国でも、自分は特別なのに不当に扱われているという(もしくは扱われているという妄想であっても)憎しみと怒りは普遍的。

    若いことは美しくはない。若いことは痛みでしかない。
    その上、すこし頭が良くて、自信はないのにプライドにまみれた青春は耐えられない。
    彼のその無知、無垢、妄想の前にはばかるもの、それは生きるということ、人生。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Crime and Punishment” Fyodor Dostoyevsky (1866) Review | Intolerable pride
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    罪と罰 上 (角川文庫)


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  • 『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 レビュー | 痛々しくも美しい怪物物語

    『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 レビュー | 痛々しくも美しい怪物物語



    Frankenstein
    Mary Shelley, 1818
    Frankenstein: Or the Modern Prometheus
    フランケンシュタイン
    メアリー シェリー
    224 ページ
    2020.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 世界でもっとも有名なホラーの一つは若い女性の作品
    ✔ 怖さだけでなく痛々しいほど詩的な美しさもある一冊
    ✔ 誰が一番怖い話を書くかという賭けに勝った当時18歳の著者

    ★★★★ 旅行に同行した二人の男性と「誰が一番怖い話を書くか賭けをしよう」と言うことで書き始めた話は有名。当時18歳。恐ろしいモンスターの話、と単純に思ってしまうけれど、原作は詩的で悲しい痛々しくも美しい物語。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    世界で最も有名なホラーのひとつ。
    でも特記すべきは、この物語は当時18歳だった若きメアリー・シェリーが書いたということ。
    しかも、旅行中に天気が悪いからと、同行した二人の男性と「誰が一番怖い話を書くか賭けをしよう」と言うことで書き始めた話は有名。その二人とは詩人バイロンと作家ポリドリ、かなり豪華な遊び。

    さて、物語は原作を知らないとどうしても恐ろしいモンスターの話、と単純に思ってしまうけれど、読んでびっくり、詩的で悲しい、そして痛々しくも美しい物語と私は言い切ってしまいたい。
    この怪物の存在を後悔する二人の男の物語。
    一人は怪物を作った男、もうひとりは怪物本人。
    怪物が怪物的で暴力的なものは仕方がない、彼の意思ではなく自然の原理でしかない。

    どうしても映画や漫画などで単純なイメージが独り歩きしているけれど、原作では単純な悪ではない。
    どちらかというと、望まれない存在である一人ぼっちの怪物の悲しいお話。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Frankenstein” Mary Shelley (1818) Review | A lonely unwanted creature

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    フランケンシュタイン (新潮文庫)


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  • 『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 レビュー | 軍事国家へ走る日本への警告

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 レビュー | 軍事国家へ走る日本への警告



    The Spirit of Japan
    Rabindranath Tagore, 1916
    日本の精神
    ラビンドラナート・タゴール
    ロビンドロナト・タゴール
    22 ページ
    2023.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細見る
    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本の芸術家と親交のあったインドの偉大な詩人タゴール
    ✔ 慶大でのこの講演で日本の軍事国家化を批判
    ✔ 東洋の内なる力を信じるタゴールの最後の懇願

    ★★★★★ 何度も訪日し日本の文化や芸術を愛したインドの詩聖タゴール。慶大でのこの講演は軍事国家へと変化し始めた当時の日本に対する厳しい批判と警告に溢れている。しかし彼は強く輝く東洋の力を信じていた。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    タゴールが日本滞在の最後に、1916年に慶應義塾大学で行った講演。
    何度も訪日し、日本の文化や芸術また日常の中にある芸術を愛したインドの詩聖タゴール。
    しかしこの講演は急激に西洋化しナショナリズムへ走り軍事国家へと変化し始めた日本に対する厳しい批判と警告に溢れていた。

    彼の祖国を支配していた大英帝国の醜さを目の当たりにしているタゴールは、誇り高き文化を誇る日本が西洋の猿真似をしている、と強く批判。
    しかし彼の批判、警告は普遍的なものでもある。
    近代化という道は自己を破滅させる、憎しみを他者に押し付けても必ず自分に戻って来る。
    アジア初のノーベル賞を受賞した彼は東洋の力を信じていた。
    東洋の力とは、西洋のような技術的なモノを使う力ではなく、東洋哲学という力、和を愛する力。
    曇りの日でも太陽はずっとそこにあるように、東洋の力は強く輝き続けると。

    日本語では見つけれれなかったけど100年以上前のものだしネットではどこかで読めるかも?
    英語でも難しくはないです。
    短い文章ではあるけれど非常に率直で意味のある一冊。

    (講演だけどエッセイのカテゴリーに)


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Spirit of Japan” Rabindranath Tagore (1916) Review | Short but meaningful
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    The Spirit of Japan a Lecture (Classic Reprint)


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  • 『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 レビュー | 文学史上最高傑作

    『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 レビュー | 文学史上最高傑作



    The Karamazov Brothers
    Fyodor Dostoevsky, 1880
    ратья Карамазовы
    Фёдор Достоевский
    カラマーゾフの兄弟
    フョードル・ドストエフスキー
    896 ページ
    2023.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ロシアの文豪ドストエフスキーの最高傑作
    ✔ 三兄弟の父親殺しのミステリーとその周囲のドラマ
    ✔ 宗教観、倫理観、哲学、ミステリー、すべてが詰まっている

    ★★★★★+♥ 最高峰、最高傑作。いろいろな事柄が絡み合い、謎を生み出し、謎が解かれていき、と次に何が起こるかをドキドキしながらページをめくる。読み直して、他の人とも感想を交換して、新しい自分の意見を書き出して、と一生ついてきそうな本。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    世界最高峰の小説、最高傑作。
    たしかに長編だし、最初の方は宗教的でゆっくり始まる、でも段々といろいろな事柄が絡み合い、謎を生み出し、謎が解かれていき、と次に今度は何が起こるかをドキドキしながらページをめくってしまう自分がいる。
    だからドストエフスキーは素晴らしい語り手、ストーリーテラーなんですね。

    世界中の人が読み、再読し、研究されているので私がわざわざ意見を書くまでもないんですが、単刀直入にいうと、物凄いものに出会ってしまった、ということ。
    読み直して、他に読んだ人とも感想を交換して、その上で浮かび上がる自分の意見を書き出して、となんだかこれからの一生についてきそうな本。
    続編があるはずだったから未完だということもあるだろうけど、未完なのに完全。

    ミステリーであり、恋愛小説であり、宗教についても、家族についても、貧困についても、一つ一つのテーマは誰もが分かるシンプルなものでありながら、とにかく広く深い、そんな壮大な小説。
    というか正にそこで、今後色んな本を読んでここまで衝撃を受けるものはあるか不安にすらなる。

    素晴らしい、傑作、ここまで来ると人類の宝でもあり、本という媒体でなければ博物館に飾られるレベル。
    全体的にずっと暗いし重たいのに、実は未来に向かっているという点も素晴らしいとしか言いようがない。

    読むだけでも一つの到達点でもあるんですよ、長いしややこしいし。
    でも読んでみる、その行動だけにもすでに価値がある。
    その上で読み直してもっと分かればより良い読書体験になると思う。ので少し時間を置いて再読必須。


    ちなみに相関図はあったほうがいい。
    ロシア文学はころころと呼び名を変える上に登場人物が多い。
    で、日本語で読んでないけれど、出版社によってページ数がぜんぜん違うみたい。
    下にリンクを張っている光文社は全5巻で約2500ページ、新潮文庫は上下あわせて1400ページ。
    どれが良いとなると個人の好みもあるけれど、光文社が読みやすいそう。
    1000ページの差が気になるけれど、しっかりと理解しながら読めたほうが良いと思うので、いつか光文社の日本語版も読むことにする。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Karamazov Brothers” Fyodor Dostoevsky (1880) Review | The greatest

    『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 感想 | プライドまみれの青春
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    カラマーゾフの兄弟1


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  • 『正欲』 朝井リョウ, 2021年 感想 | ズシンと後味も悪い

    『正欲』 朝井リョウ, 2021年 感想 | ズシンと後味も悪い


    正欲
    朝井リョウ, 2021
    528 ページ
    2025.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 多様性という言葉を安っぽく乱用する日本社会の風刺
    ✔ 理解できるという安全エリアを超えたものに対する嫌悪
    ✔ 稀な性癖の二人が出会えた幸せとその生活を続けるつらさ

    ★★★★★ 確かにズシンと重みがあって後味も悪い一冊。「あんたも気持ち悪いと思ってるでしょ」と言われているからだ。多様性、言うは易し。もし不特定多数の想像を超える欲望だったら?

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    確かにズシンと重みがあって、後味も悪い一冊。
    なぜかと考えると。
    やっぱり最大の理由はこの本にずばりと「あんたもそうなんでしょ」と言われているからだ。
    「あんたも気持ち悪いと思ってるでしょ」
    「あんたも都合のいい多様性だけには寛容なんでしょ」
    「あんたも本当は人に言えないことあるでしょ」

    多様性、言うは易し。
    外国で暮らすと当然のことながら自分の価値観はマイノリティになる。
    (価値観どころか自分の存在自体がマイノリティになるし、酷ければ虐げられるけど)
    でも実は国境を越えなくても、じゃあ同じ町で生まれた人はみな同じ感覚か、教室ではみな分かち合えるのか、きょうだい間では。
    そうつまり、理解してもらうことは超レア。
    でも学校では日本は特に正しい答えを復唱することだけを教えられてきて、表面だけではみんな正常で安心して同じ製品として大きくなっていく。
    人は自分と違うという意識がないので想像力が培われない。
    ただし、根本的な欲望が人と違う人間の場合は別。
    人と違う不良品と思い込んで生きていくしかない状況に陥りやすくなる。

    結局人間の喜びは繋がること、理解してもらえること。
    主人公たちが実際に出会えた幸せというのは、本当は図りきれない奇跡。

    人それぞれに興奮する対象が違うというのは当たり前で、人に言えないことがあるのも、程度や頻度は違ってももうここで人生終わりたいと思うことも当たり前。
    人生で知らないことばかりなのも、ほとんどの場面で自分が間違っているのも当たり前。
    つまりみんな正解のない中で生きているんだな、と分かれば自分も他人も楽になるのでは。

    多様性は大事。
    多様性のない社会は滅びます。
    たぶんずっと正しい答えは見つからず、しかも現在正しいとされていても時代が変われば正義も変わるし、永久に議論は続くと思う。
    でも議論ができるというのは違う意見が立場が存在するからで、社会はすこーしずつ良くなる。
    つまり、たまには大声を出しあってでも議論が永久に続くことが少なくとも私たちができる最良な選択でもあるのでは。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “(Ab)Normal Desire” Ryo Asai (2021) Review | You, too
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    正欲 (新潮文庫 あ 78-3)


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  • 『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 レビュー | 本好きの天国と地獄

    『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 レビュー | 本好きの天国と地獄


    冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)
    If on a Winter’s Night a Traveller
    Italo Calvino, 1979
    Se una notte d’inverno un viaggiatore
    冬の夜ひとりの旅人が
    イタロ・カルヴィーノ
    272 ページ
    2025.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 他に類を見ない読書体験ができる小説
    ✔ 読み始めた本が何冊も15ページほどで終わってしまう
    ✔ 読書好きの地獄と天国の詰まった一冊

    ★★★★★ なんて本。これは他にない読書体験、試験的読書体験。読者、作者、翻訳者、出版社、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して本好きの地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    なんて本なんだろう。
    これは他にない読書体験、試験的読書体験。
    読者、作者、翻訳者、出版社、翻訳者、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    主人公である「あなた」が本を読み始めるけれど、途中から印刷が乱れる乱丁本だったようで、仕方なく本屋に戻る。
    新しい本もどうも違う本らしい、しかもこっちも乱丁本、そしてそれが何度も続き。
    毎回、やっと背景や人物像を把握し面白くなってきたところで読めなくなる、なんとしてでも続きが読みたい、そこから「あなた」の異様な冒険が始まる。

    余談だけど「夜は短し歩けよ乙女」って絶対これに影響受けてるよね。
    読書という側面じゃなくて、どこにいっても結局ある女性にたどり着くという側面で。

    これは一体何なのか。
    どうやってこれらの物語は終わるのか、終わりとはなにか。
    読書という地味な日常の体験。一人なはずの体験。
    この本はそこにいろんな疑問をガンガンぶつけてくる。
    そして答えは?
    本を通じて時空を超えて繋がってくる人々、登場人物、作者、その他諸々と実際に読んでいる「あなた」、最後にはなんとなくニヤニヤしてきます。
    なるほど、これこそが文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノ。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review "If on a Winter's Night a Traveller" Italo Calvino (1979) Review | Paradise and hell for readers
    タグ: イタリア
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    冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス) [ イタロ・カルヴィーノ ]
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    冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)
    冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)


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  • 『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル 1933年 レビュー | 彼の小説のベースの貧困体験

    『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル 1933年 レビュー | 彼の小説のベースの貧困体験



    Down and Out in Paris and London
    George Orwell, 1933
    パリ・ロンドン放浪記
    ジョージ・オーウェル
    224 pages
    2023.06 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ パリとロンドンで体験した貧困生活のエッセイ
    ✔ 自ら望んで皿洗いなどで生計を立てた日々
    ✔ 貧困生活から抜け出せない人々とその社会を語る

    ★★★★★ オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。その時の様子を彼らしい文章で描く傑作。誰のせいで人々は貧困から抜け出せないのか。彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    インド帝国ビルマでの勤務を終え、ジョージ・オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。
    その時の様子を、貧困と隣り合わせに過ごした様子を彼らしい文章で描く傑作。

    日本語のタイトルの「放浪記」はちょっと雰囲気が違うかも。
    Down and Out、パリとロンドンの下と外での、いわゆる街の華やかな雰囲気ではない陰での生活の記録という原題を意識して読むと良いと思う。

    ロンドンやパリのレストランの多くは地下に炊事場があり、特に皿洗いは営業時間の前後もずっと外の光や空気に当たることなく一日が過ぎていく、そういう生活のこと。
    頭上にいるレストランで食事ができる層の人間が汚したものを洗い続ける毎日。
    しかしいくら働いても生活は良くならないから地下から抜け出せない。
    そういう生活を経験し、彼の毎日の様子や、当時の思考などを細かく書いている。

    彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。
    誰のせいで貧困から抜け出せないのか。
    それは皿洗いを一生続けなければいけない人のせいではなく、一生続けても良くならないシステムを造り上げた社会のせい、社会としての破綻のせい。
    貧困であってもしっかりした意思があればその人は威厳を持って生きていける、というのは唯一の希望の欠片のよう。
    (ただし、オーウェルは貧しい家庭出身ではなく、自分で選んで数年だけ貧困生活を送った、ということも忘れてはいけないけれど)

    🔽 関連ページ 🔽 
    “Down and Out in Paris and London” George Orwell (1933) Review | Foundation of his novels
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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    パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)


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  • 『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』本田秀夫, 2013年 レビュー | ASD関連の古典

    『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』本田秀夫, 2013年 レビュー | ASD関連の古典



    自閉症スペクトラム
    10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体
    本田秀夫, 2013
    Hideo Honda
    248 pages
    2023.06 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 自閉症スペクトラム障害をわかりやすく淡々と説く
    ✔ ドラマチックにしない、武勇伝にしない、という強い意志
    ✔ 今ではいろいろな本が出ているがその古典といえる一冊

    ★★★★★ 多分この分野では日本で一番読まれている本なのでは。とてもわかりやすく、淡々と語られている。学校などで誰もがこういう本を一度読む機会があれば、世の中はもっと多くの人にとって住みやすいものになるのに。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ずっと読みたかった本。
    多分この分野では日本で一番読まれている本なのでは。
    とてもわかりやすく、淡々と語られている。

    ASD、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder)は当事者じゃない人が思っているよりも身近にある。
    殆どの場合は見えないところにいる、というか、一般社会の見えないところに押しのけられているが、確実に存在する。

    この本はもうすでに古典といえる。
    何よりも重要な点として、ドラマチックでない。
    この本でも何度か触れられているけど、自閉症の当事者の自伝や、医者の武勇伝にならない、普通に生きているの人々のことが大事であり、意外にも多い「少数派の、障害のある」人々にとっての生きやすさ、生きづらさを教えてくれる。

    少数派といっても10人に一人となると、当事者や家族でなくても生きていく中で絶対に対面することになるのだから。
    特に日本でよく思うのは、じゃあ彼らはどこにいるのか、なぜ見えないのか、ということ。
    あなたの町にも絶対に住んでいます、ただ外に出にくい社会だから見えないだけで。
    少数派にとって住みにくい社会とは、結局は自分にとって住みにくい社会になるという意識が薄い。

    シンプルでわかりやすいので、学校などで誰もがこういう本を一度読む機会があれば、世の中はもっと多くの人にとって住みやすいものになるのに。
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    自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)


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  • 『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ レビュー |  インドを代表する詩人の代表作たち

    『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ レビュー | インドを代表する詩人の代表作たち

    🔽 基本情報 🔽

    Selected Stories of Rabindranath Tagore
    Rabindranath Tagore, 1886-
    作品集
    ラビンドラナート・タゴール
    372 pages
    2023.04 読了
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    (まったく同じ短編集はないので近いものです)


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アジア初のノーベル賞の詩人、思想家の短編集
    ✔ 主人公たちは正直で謙虚で貧しい
    ✔ 多くの短編集が出ているが出版社によって選出はそれぞれ

    ★★★★★ インド、アジアを代表する詩人思想家。この本の中だけをみてもジャンルがいろいろとある。そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    タゴールの素晴らしさはどこでも語られる。
    でも実際に色々と読むまでは本当には実感できない。

    もう一世紀以上経っているのでタゴールの作品集という名の本はたくさん出ているけれど、これはインド人の友人にもらったインドの出版社のもの。
    詩や短編小説が多いので、インドでもその時代によってもかなりの本が出ていて、人と話していてその本は読んでないけどその物語は知っている、ということはよくある。

    この本の中だけをみても、ジャンルがいろいろとある。
    恋愛もの、幽霊の出る話や、家族、友情と、彼のその取り上げるストーリーの幅の広さに驚かされるけれど、そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    100年経っても、時代は変わっても、人々の苦しみの根源は変わらない。
    だからベンガル地方、インド、アジアという枠を超えて、人はタゴールの物語に心を打たれる。

    中でも良かった作品は「The river stairs」「The Cabuliwalla」「The son of Rashimani」「The master Mashai」「Living or Dead」「Fair neighbour」

    リンクは、同じような短編、中編の作品集を張っています。
    でも可能であれば他の手に取りやすい作品から入るのも良いと思います。

    アジア初のノーベル賞受賞者、芸術と平和という観点から近代インドと近代日本を繋いだ人でもある、けれど日本では彼の作品はそうどこにでもあるというわけではないようです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Selected stories of” Rabindranath Tagore (1886-) Review | Mastermind of literature

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告
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    タゴール著作集 第4巻 中・短篇小説集1


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  • 『恐るべき子供たち』ジャン・コクトー 1929年 レビュー | 退廃的な子供たちという芸術

    『恐るべき子供たち』ジャン・コクトー 1929年 レビュー | 退廃的な子供たちという芸術



    Les Enfants Terribles
    Jean Cocteau, 1929
    恐るべき子供たち
    ジャン・コクトー
    144 pages
    2025.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 詩人コクトーの描く退廃的な少年少女
    ✔ 大人がいない寝室という空間で自己破滅的な生活を送る
    ✔ 概念としての現代フランス芸術が詰まっている

    ★★★★★ 詩人コクトーの描く退廃的な少年少女のストーリー、最後の瞬間にすべてが完璧となる。現在においても何度も何度も戻って来る地点がここにある。概念としての現代フランス芸術が詰まった一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    大学の教科書でも何度も出てきた一冊をやっと。
    フランスの詩人コクトーの小説。

    とても詩的、とてもコクトー、とてもフランスで、とてもヌーヴェル・ヴァーグ。
    退廃的な少年少女のストーリーで最後の瞬間にすべてが完璧となる。
    パリが好きな人がパリを想うとき、こういう芸術的で自己破滅的で退廃的な風景を想う。
    当時はもちろん社会にショックを与えた一冊だっただろうし、現在においても何度も何度も戻って来る地点がここにある。
    それだけ影響力があるストーリーで、概念としての現代フランス芸術が詰まっている。

    映画もいつか見なきゃ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Les Enfants Terribles” Jean Cocteau (1929) Review | very Nouvelle Vague

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    恐るべき子供たち (角川文庫)


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  • 『ババヤガの夜』 王谷晶, 2020年 感想 | 爆発する新しい世界に踏み込む

    『ババヤガの夜』 王谷晶, 2020年 感想 | 爆発する新しい世界に踏み込む

    🔽 基本情報 🔽
    ババヤガの夜
    王谷晶, 2020
    208 pages
    2025.10 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    噂通りにバイオレンス爆発、アクション爆発、シスターフッド爆発。

    女性が主人公でここまでスッキリと細かく暴力的なのは他に読んだことない。
    ヤクザものもどうしても女性は弱い立場か、悪女か、トラウマがあるか(つまり可哀想にこの女はだから暴力に走ったんだね、という言い訳つき)、または無駄に男っぽいかになる。そう、典型的な「女嫌い」男尊女卑になってしまうところを、これは違う。
    依子は非常に暴力的なでありながら、きちんと堂々と一人の女性であるということがすてき。

    女性は揃いも揃って弱い女、もしくは悪い女、男性目線でよしよし、とされるそんな小説も物語ももういらない。
    女同士の強い絆、シスターフッド sisterhood。
    主人公が自分の足で、腕で、憧れの存在に近づくかっこよさ。

    いやー、これをただのバイオレンス小説と読まないで、もったいない。
    エンターテイメントに徹していながら新しい世界に踏み込んでいく、大事な一冊。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Night of Baba Yaga" Akira Otani (2020) Review | Sisterhood and violence
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    『ババヤガの夜』日本人初受賞 世界最高峰のミステリー文学賞 英国推理作家協会賞(ダガー賞) (河出文庫 お 46-1)


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  • 『下町ロケット』池井戸潤, 2013年 感想 | 気持ちのいい正統派の正義

    『下町ロケット』池井戸潤, 2013年 感想 | 気持ちのいい正統派の正義

    🔽 基本情報 🔽
    下町ロケット
    池井戸潤, 2013
    Jun Ikeido
    480 pages
    2025.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    初の池井戸潤。
    なるほど、半沢直樹は何度かみたので期待していたし、タイトルも有名。

    そして、期待の上を飛んでいく面白さ。
    銀行とか、中小企業、大企業という彼のストーリーのキーワードに続き、男たちの夢とプライドというのもしっかりとある。
    善悪もはっきりしていて、善が勝つと分かっていても、ハラハラな展開、でもその都度彼らのチームとしての力が大きくなる。

    物語の流れとしてここまできちんと正統派なのに正義が勝つって分かってるのに心配で心配で、最後は誰もが、うん、よかった!と言える、元気になる一冊。

    読み始めたら最後、夜更かし決定です。
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    下町ロケット (文春文庫 い 64-9)


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  • 『人間的な、あまりに人間的な』フリードリヒ・ニーチェ 1878年 | 意外と楽しく読める

    『人間的な、あまりに人間的な』フリードリヒ・ニーチェ 1878年 | 意外と楽しく読める

    🔽 基本情報 🔽
    Human, All Too Human: A Book for Free Spirits
    Friedrich Nietzsche, 1878
    Menschliches, Allzumenschliches: Ein Buch für freie Geister
    人間的な、あまりに人間的な
    フリードリヒ・ニーチェ
    304 pages
    2025.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ちょっと頑張りすぎたかもしれない。
    哲学の基礎もなく、ただ単にちょっと前に読んだこの本の抜粋バージョンが面白かったからと、これに手を付けてしまった。
    間違いなく難しい。
    でもどちらかというと楽しく読めた。ほんと。
    いくつか面白かったのをピックアップしたので読んでみて、ぜひ挑戦してみて。

    ニーチェがまだ30代だった頃に書かれたアフォリズム、格言集なので、後期のような「確立された」雰囲気ではない、んだそう。後期を知らないからなんとも言えないけど。
    いいニュースとしては、格言集なので一つ一つは短くて中には一行のものだってある。
    悪いニュースは、638個のアフォリズムがあり、中にはかなり深入りしていくものもあって、何度か読み返してなんとなく分かってきたら、さっさと次に進んでいってしまう。
    当時は彼は色々と絶望していたようでショーペンハウアーを目の敵にしているのかな、というくらい批判しているけど、ニーチェの前の時代の哲学の流れが分かってないと何を批判しているのかが掴みにくい。

    でもこういう難しい本は本編に入る前の専門家の解説をきちんと真面目に読んでいるので、今回もおかげで必死で付いていくことはできた、と思う。
    自由な人間であるということは、自分の意志をきちんと持ち、宗教やそれまでの固定観念から飛び立った存在で、そのへんのことをついてる。

    特に面白い箇所は書き出したりしてゆっくりと読み進めたので時間はかかったけど良い読書体験です。

    この時代だから仕方ないといえど、彼は女性を非常に見下していたのでそのあたりがイマイチ説得力がない部分ではある。
    意外と楽しめるのは、たまにジョークのような文章が出てきたり、滑稽なおかしさがあったりするので、ああ彼も苦しんでるんだな、となんかしみじみしてくる。

    結局は、この本のタイトルの通り、私達はあまりにも人間的なんですね。




    さて。
    メモした中のいくつかの短い文章をピックアップしました
    和訳は私(プロでない私がさっとまとめた訳なので変な表現でもお許しを。日本語を読んでいないのですが絶対に出版された方の訳がまともですよ)、元の英語訳はPenguin Classics版から。
    面白いことを言ってるので、ぜひこの機会に


    58
    言動を約束することはできても、感情は約束できない。感情は自分の意志通りにはならないから。

    61
    情熱は待ってくれない

    68
    その昔キリスト教がギリシャ哲学に勝利したのは、つまりは荒々しく暴力的なものがスピリチュアルで繊細なものに勝利したということに過ぎない

    105
    「賢い人間は、人が悪いことをしたから罰するのではない、そうすることで今後悪い行いをしないように罰するのだ」

    120
    その信念が人を喜ばせないのなら、それを人は信じない。

    265
    ヨーロッパ人がアジア人よりも優れているのは、我々は自らの信念に理論的になれる能力があるからだ。アジア人には不可能である。彼らは真実と詩の区別だってついていない。

    303
    誰かの意見に反論するとき、実はその意見に反対するのではなく、意見を発するその人のトーンに反対している事が多い。

    335
    我々が近隣の人の気分を伺うのは、その人の気分が何らかの形で私達の秘密を暴くかもしれないと恐れているからだ。

    388
    自分の女が攫われたといって嘆く男は少ない。ほとんどの男は、なぜ誰も自分の女を攫ってくれなかったんだと嘆く。

    472
    政府がその市民の苦しみや辛さに対し成すすべがないとき、宗教が大衆を落ち着かせ忍耐強くさせる。

    494
    多くの人は自分の選ぶ道に頑固になるが、その先の目的地にはこだわっていない。

    499
    おもいやりではなく、共有できる楽しみが友情を生む

    508
    我々は自然に身を任せるのが好きである。自然は我々に対しなんの意見も持たないから。

    523
    愛してくれと要求することは最大の傲慢だ。

    563
    もし過去はすべて憎むべきものと考えることができれば、人は後悔で苦しむことはなくなる。

    589
    朝一番にできる最も素晴らしいこと、それはどうすれば今日一日に少なくとも一人の人を喜ばせることができるかと考えることだ。宗教的な祈りの習慣の代わりにそう考えることできっと多くの人に利益をもたらすことができるだろう。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Human, All Too Human" Friedrich Nietzsche (1878) Review | Surprisingly entertaining

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    人間的な、あまりに人間的な 完全版


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  • 『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 感想 | シッキム王国の歴史と魅力

    『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 感想 | シッキム王国の歴史と魅力

    🔽 基本情報 🔽
    Sikkim
    Requiem for a Himalayan Kingdom
    Andrew Duff, 2015
    (シッキム ヒマラヤ王国へのレクイエム)
    アンドリュー・ダフ
    320 pages
    2023.01 読了
    日本未出版
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    シッキム王国がインドに吸収される前の数十年を詳しく書いたシッキムの歴史の本でありながらも、その最後のチョギャル(王様)であるトンドゥプ・ナムゲルのストーリー。

    シッキム、現インド シッキム州はネパール、ブータン、チベットなどに囲まれたヒマラヤ山脈の東に位置するエリア。
    地形的に厳しいエリアでありながらも重要な国々に囲まれた特殊な地理もあり、17世紀からはチベット系の王チョギャルが治めていて、1975年にインドに吸収される。

    知れば知るほど面白くて仕方がないのです。
    この本のスコットランド人著者は、幼い頃に祖父が語ってくれたシッキムに憧れ、ついにその地を訪れる。
    ペリンの町の外れにあるペマヤンツェ寺院で、ちょっと変わったに僧に出会い、お前はシッキムの何を知っているんだ、と言われ、ある本を渡された。
    そこから彼の本格的な研究が始まる。
    その僧こそ、当時国王の側近であった人物であり、その本が最近私もやっと読めた本Smash and Grabなんですね。

    ヒマラヤの文化が集中しているシッキム、元は現地民が住んでいたけれど、チベット系の王ができたことで文化的に仏教中心になっていって、でも19世紀ごろからは大英帝国も入り込んできて、農業改革を行うに当たり、歴史的にも敵対していたネパール人をシッキムに移住させる。
    チベットや中国が権利を主張するもイギリスの保護国となったシッキム、インド独立後はその権利を引き継いだインドの保護下になるも、最後のチョギャル、トンドゥプ・ナムゲルの方針はシッキム独立であったため、ネパール系に多かった親インド派と国内で対立が続き、親インド派を手懐けたインドの後押しで王政は崩壊、あっというまにインド軍に囲まれ、アメリカに亡命。
    と、簡単な歴史はこんな感じで、この本は最後のチョギャルに焦点を置いたものでありながら、前後の流れもわかりやすい。
    インド、中国、イギリスと巨大な権力がこの小さな王国の上で渦巻いている。
    自分の王としての権利にしがみつき、若いアメリカ人の王妃(東洋のグレース・ケリー)に操られているんだ、出来損ないの政治家だ、と色んな意見はあるけれど、結局のところシッキム王国に何ができたか。
    インドの手下となったネパール系の反対派との動きの詳しい本はこちら。
    “Smash and Grab” Sunanda K. Datta-Ray 1984 >>

    インドとなった現在もインドからシッキム州に行くには検問を通ります。
    私は2023年に行ったけど、外国人は要ビザ。
    シッキム州でシッキム人以外が不動産を買ったりビジネスを始めるのはかなり困難。
    面白いのは、18世紀から圧倒的にネパール系が多いのに、観光地も含め主要な寺院はチベット仏教系。
    自然が豊かなので次回行くときはぜひもっと北部に、それこそこの著者が訪れたペリンに。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Sikkim, Requiem for a Himalayan Kingdom” Andrew Duff (2015) Review | Fell in love with Sikkim
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    Sikkim: Requiem for a Himalayan Kingdom (English Edition)


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  • 『遺伝学者、レイシストに反論する』アダム・ラザフォード, 2020 感想 | 事実は事実

    『遺伝学者、レイシストに反論する』アダム・ラザフォード, 2020 感想 | 事実は事実

    🔽 基本情報 🔽
    How to argue with a racist
    Adam Rutherford, 2020
    遺伝学者、レイシストに反論する
    差別と偏見を止めるために知っておきたい人種のこと
    アダム・ラザフォード
    224 pages
    2023.01 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    人種差別の理論がいかに科学的でないか、という本。

    著者の専門は遺伝子で、一般的に「人種」ということで、肌の色の違いで人類がさらにカテゴリー別に存在するように思われがちだけど、遺伝子という観点でもそうではないということを分野別にきちんと説明している一冊。

    人種差別主義者、レイシストは「人種的に」黒人はああだ、中国人はどうだ、という言い方をする。
    そして100年、200年前に奴隷制度や白人至上主義を肯定するためなんかに言われていた古い考えを何度も繰り返したり、また根拠のない理論を用いる。

    DNAや遺伝子、歴史、古代史など難しくなりがちなものを分かりやすく、興味深くかいている。

    ほんと、よくあることだけど彼らの主張は自分に都合の良い言葉にしがみついて、自分が気分が良くなるためだけのものであり、そういう人に事実を語っても無駄と思ってしまうことは多い。
    でも、だからといっても事実は事実であり、根拠のない差別的な発言はつまりは嘘。
    そこを知らされない人(差別は無知から)に対して、でも言っても無駄だから、そんなの常識だからわかるはず、と放っておいた結果がまたトランプが大統領になった大きな理由だったりするわけで。

    事実を淡々と伝え、嘘の中で生きる差別主義者を言い負かせ、その事実を受け入れてもらえるようにする、やっぱり一般教育は大事なんですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “How to argue with a racist” Adam Rutherford (2020) Review | Facts are facts
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    遺伝学者、レイシストに反論する 差別と偏見を止めるために知っておきたい人種のこと


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  • 『落日燃ゆ』 城山三郎 1974年 感想 | 東京裁判

    『落日燃ゆ』 城山三郎 1974年 感想 | 東京裁判

    🔽 基本情報 🔽
    落日燃ゆ
    城山三郎 1974
    464 pages
    2024.11 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    東京裁判にて死刑を受けた、唯一軍人ではなかった元総理、元外相の広田弘毅の一生。
    知らなかった。

    福岡の石屋に生まれ、苦学の後に総理大臣にまでなる彼は、外交官として戦争を始めないように努力した人物。
    でも当時の日本人の官僚つまり軍人を押さえることができず結局は自らも認めるよう、戦争を阻止できなかったという罪によって、死刑。

    平和へのどんな苦労も、結局はノリに乗った軍人の前では無駄で、さらには勝利を手にしたアメリカ人に対しても無駄である。
    さらにさらに、当時の日本政府だって、戦後のゴタゴタでそれどころではない。

    歴史は勝利したものによって書かれるとは正にこの事で。
    今の世界の傾向を見ていても考えさせられる所が多い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "War Criminal" Saburo Shiroyama (1974) Review | Tokyo Trial
    🔽 買えるところ 🔽

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    落日燃ゆ (新潮文庫 しー7-18 新潮文庫) [ 城山 三郎 ]
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    落日燃ゆ (新潮文庫)


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  • 『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    🔽 基本情報 🔽
    Accabadora
    Michela Murgia, 2009
    (アカバドーラ)
    ミケラ・ムルジア
    208 pages
    2024.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    小説「アカバドーラ」現代サルデーニャ文学の最高峰。
    アカバドーラとは、末期患者やその親族の苦しみに終止符を打つ女性のこと、そう、その町で暗黙の了解の中、患者に安楽死をもたらす役目を背負った女性。

    とてもサルデーニャ的でとても地中海文化的。
    土埃の立つ乾いた家の壁、バールに座っている男たち、一日中家事に追われる女たち。
    草原に緑はなく茶色に乾いた草がいつこの地を炎に包もうかと小さな火花を待つ。

    生を与える助産婦が女性なら、生を終わらせるのも女性。
    少女マリアを引き取ってくれた独り身の女性は時折真夜中に黒尽くめの服を着て静かに家を出る。そして翌朝何もなかったかのように帰って来る。

    善か悪か、天使か悪魔か死神か、それはもう問題ではない。
    いま行われるべきか否か。

    サルデーニャでは実際に存在していたと考えられている。
    窒息という方法か、もっと有名なのは槌を使用する方法。
    現在も安楽死の問題は解決しないし、間違いなく客観的に100%正しいという答えは出てこないかもしれない。

    伝統に縛られた厳格な小さな町で、その大きく揺れる心境を圧倒的な力強さと威厳を持って描く一冊。
    日本語もいつか出るといいですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Accabadora" Michela Murgia, (2009) Review | A woman who ends life
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    ★★★★★ Accabadora, a woman in Sardinia who ends the suffering of very ill and their families. Is she an angel or a devil? That’s not the point any more to them. A book with an unusual dignity.

  • 『権力、政治、文化 エドワード・W・サイード発言集成』2001年 感想 | パレスチナ二国家解決

    『権力、政治、文化 エドワード・W・サイード発言集成』2001年 感想 | パレスチナ二国家解決

    🔽 基本情報 🔽
    Power, Politics and Culture
    Interviews with Edward W. Said, 2001
    権力、政治、文化
    エドワード・W・サイード発言集成
    アメリカ
    512 pages
    2024.11 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    エドワード・サイード教授とのインタビューや彼の発言を集めたもの。
    第一部は文化的な分野、つまり文学、音楽、芸術などに焦点を置いたもので、第二部は政治的な内容の2つのセクション。
    私にはそういうクラシックな教養がないので前半はわかりにくかったというのが正直な感想。
    でも後半は違う。パレスチナ、ガザで起きていることを知らない人はいない。
    彼が何十年も訴え続けたパレスチナの二国家解決は利己的な権力者に継続的に否定され、いま現在、常識的にありえないはずのパレスチナ人のジェノサイドが私達の目の前で起こっている。

    彼自身は自分を救いようのない楽観主義者と呼んでいた。
    一部の人間は彼を敵とみなしテロリストとも呼んでいた。
    しかし世界中の多くの人間は彼の情熱的なヒューマニズムに心を打たれた。
    イスラム教を崇めるわけでもなくユダヤ教を否定するわけでもない。
    彼がとても人間らしいのは、人間は矛盾していることを理解し、それでも互いに寄り添うことを目指したということ。

    キリスト教徒パレスチナ人。
    典型的なアラブの植民地主義的なクラシックな教育を受け、長年コロンビア大学で英文学と比較文学を教えていたサイード教授。
    世界中で何らかのリベラルアーツ、一般教養を学んだ人間には、彼の唱えたオリエンタリズムはあまりにも有名。
    教育の場以外でも生涯をかけてイスラエルとパレスチナの共存を訴え続けた。
    二国家解決以外はありえない、もう誰も覚えていない歴史や神話に執着せず、今現在その土地に住んでいる人の暮らしを尊重するしか道はない、そうすれば共存はできる、と。

    アメリカの問題は、その昔誤ってアラブを野蛮なテロリストだと位置付けしたあと、その間違いを認めずに野蛮人として描写することに意地になっていることだと。
    そしてもちろん、イスラエルがガザを侵略することによって膨大な利益を受けていることも知らない人はいない。

    サイード教授が亡くなって20年ちょっと。
    憎み合うことが当然という社会で生きてきた人々にとっても彼は大切な灯火であり、憎しみを利用する政治家にとって彼は敵だった。
    それでも訴え続けた人生のまっすぐな言葉がこの本に詰まっている。

    「イスラエルだってパレスチナ人を永遠に邪険に扱い、その存在を永遠に否定し続けることは不可能だ。パレスチナ人を完全に抹殺することはありえないんだから」
    世界中が見ているなかで正にそのありえないことが起きている。
    彼のような人間味の溢れた知識人の声はもう届かないのだろうか。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Power, Politics and Culture, Interviews with Edward W. Said" (2001) Review | Coexist
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  • 『国宝』 吉田修一, 2018年 感想 | 国家の宝の美

    『国宝』 吉田修一, 2018年 感想 | 国家の宝の美

    🔽 基本情報 🔽
    国宝 上下
    吉田修一, 2018
    日本
    840 pages (408 + 432)
    2025.9 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    映画はここでは観れそうもないのでとにかく原作をと思って。
    そしてもう読む前からわかっている、国宝は凄いはず。

    さて、当然期待は最高峰クラスに高かった、なのにそれ以上だった。
    極道と花道という背景も興奮を煽る設定だし、血筋というのもそう、兄弟同然で生涯の友でライバルというのもそう、全てが面白くないわけがない設定。

    でもその凄さは喜久雄の成長物語の描き方。

    血筋のない一人の人間が運命の気まぐれで底辺に突き落とされ、または拾われて崇められて、堕ちて、を繰り返す中で彼は、その巨大な波に流される人生の中で後ろ楯もplan B代替案がない人生の中で生き延びる最後の砦としての歌舞伎と自らの天才的才能。
    人は大事なものを失うごとに成長する、そこで本来の自分を見つける。
    ひねくれものなので、やっぱり物語は上がって落ちて、堕ちるところまで堕ちるストーリーが圧倒的に面白い。
    でも彼は美そのもの、芸術そのものなのでもう本人の意思は重要ではない。
    国宝という究極の人間の人生を小説を通じて私たちが垣間見れる凄い体験。

    歌舞伎のことを知らない自分が残念、知っていたら更にもっと堪能できたはず。
    芸に生きる、まさに芸を生き抜いた人間の一生。
    一気に読んで一気に疲れる。

    映画でもいつか観てみたいなー、きっと美しさに圧倒されるんだろうなー。
    もちろん吉沢亮と横浜流星の美しさも見たいけど、なによりも素晴らしいであろう田中泯さんの仕草が見たい!
    動画を見てると音楽もいいし、いつかちゃんと劇場でみたい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Kokuho (National Treasure)" Shuichi Yoshida (2018) Review | National Treasure himself
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  • 『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎, 1933年 感想 | トイレのことを書いても美しい

    『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎, 1933年 感想 | トイレのことを書いても美しい

    🔽 基本情報 🔽
    陰翳礼讃
    谷崎潤一郎 1933
    日本
    288 pages
    2024.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    最近さんざんこの本の話をしてるので再読。

    いんえいらいさん、In praise of shadows とその通りなんだけど、陰のみが素晴らしいんだということでなく、東洋的、日本的な感覚のことで、潔癖に白くて清潔なタイル張りでは醸し出せない古い木目の深い暖かみのある美しさということ。

    日本人は室内の暗さに慣れていて、それを西洋人のように文明によって明るくしようとするのでなく、暗さのなかで美を見いだそうとする。
    暗いから、女性のほんのすこし見える肌が白く、またそれを強調するかのようなお歯黒がある、と。
    いまの明々とした電灯の下ではけばけばしいもの、例えば歌舞伎やそういった芸能も本来のろうそくの灯火の元ではじんわりと美しい。

    約100年たった今、現代に住む日本人はたしかにその感覚はなくなっているかもしれない、でもまだ完全に忘れてはいない。
    実は世界に誇れるぜひ残したい文化、感覚。
    陰を美しいと思える感覚、新しくないものを美しいと思える感覚。

    エッセイ集なので、その他にも旅行についてや客ぎらい、また最後は厠についても。
    口うるさい谷崎氏の話を聞いているような、読んでいてなんかニヤリと笑いが込み上げてくるような、実はそんなに堅苦しくはない一冊。

    そしてやっぱり、谷崎潤一郎の文章なのでトイレのことを書いていても美しい。ニヤリ。


    いんえいらいさん

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "In Praise of Shadows" Junichiro Tanizaki (1933) Review | Finding beauty even in toilet
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  • 『薔薇密室』 皆川博子, 2012年 感想 | 理想の美の追求

    『薔薇密室』 皆川博子, 2012年 感想 | 理想の美の追求

    ★★★★ 「薔薇密室」4文字が象徴するかのような格式張った美が称えられ、理想とする美を追求する、理想とする物語を追求する悲しい人々。いや悲しいのか。内容は知らないほうがいいので、とりあえず読んでみてほしい。
    🔽 基本情報 🔽
    薔薇密室
    皆川博子 2012
    Hiroko Minagawa
    557 pages
    2024.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ドイツ、ポーランド、ナチス、世界大戦、という堅苦しい厳格な環境のなかに埋めく異常な美の世界。

    そこには、「薔薇密室」という4文字が象徴するかのような格式張った美が称えられ、理想とする美を追求する、理想とする物語を追求する悲しい人々がある。
    ある、というのも、それは彼らの意思でなく厳しい環境がそうさせているかのよう。

    冷たく強い薔薇の香りに包まれた場所、操作された記憶と現実、それぞれの密室。
    格式美。喜んではいけないような美。

    内容は知らないほうが絶対いいので書けることが少ないので短くなるけれど、本当は言いたいことはたくさんある。
    もっと彼女の他の作品もどんどん読まなければ。
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  • 『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ, 1925年 感想 | 壊れる寸前の意識の流れ

    『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ, 1925年 感想 | 壊れる寸前の意識の流れ

    🔽 基本情報 🔽
    ダロウェイ夫人
    ヴァージニア・ウルフ, 1925
    Mrs. Dalloway
    Virginia Woolf
    イギリス
    240 pages
    2024.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    初のヴァージニア・ウルフ。

    確かに簡単な本ではない。
    一日の出来事だけを追うんだけど、外側ではイギリスらしいお上品な行動が起こりつつも、主人公を含め彼らの頭の中ではものすごくたくさんのことが起こっている。
    本当は何を考えているのか、何を思い出しているのか。
    「意識の流れ」というやつだそうですべてが内面に向かっていて、流れは止まらない。

    (ちょっとネタバレです。100年前の小説なのでもう知られているとは思いますが)
    主人公クラリッサはギリギリの精神状態、自分の義務と希望の間でもなんとか一日を過ごそうとする。
    一方、知人セプティムスは、別のところでついに精神をやられてしまうが、そのことがクラリッサにも影響を及ぼす。
    遠くで起こっている死、その死へと向かう彼の道のり。
    その日の一日の出来事としては全くもって無関係なのに、不思議なことに意識の中ではしっかりと絡み合っている。
    そのギリギリのところの意識の描写がすごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Mrs. Dalloway" Virginia Woolf (1925) Review | Stream of consciousness
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  • 『アメリカひじき 火垂るの墓』 野坂明之 1968年 感想 | 消えていく罪悪感

    『アメリカひじき 火垂るの墓』 野坂明之 1968年 感想 | 消えていく罪悪感

    🔽 基本情報 🔽
    アメリカひじき
    火垂るの墓
    Grave of the Fireflies
    野坂明之 1968
    Akiyuki Nozaka
    288 pages
    2024.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    映画は辛くなりそうで見れないけど、原作をと思い。

    やっぱり辛い。貧しいなんてレベルじゃなく餓えて病んで死んでいく。
    それはこの短編集のテーマというか底にあるもので、家族なんて綺麗事もなく、少年時代、少女時代という綺麗であるはずの青春もない。
    というか青春の前の12、3歳の時点でどう自分がその日を生き延びるかが大事である戦時中。

    火垂るの墓の場合は、生き抜けなかったのだけど、他の短編集の人物は生き抜いてその後に待つ矛盾した社会との葛藤に悩む。
    アメリカ人への生々しいコンプレックス、きょうだいで自分のみが生き残った罪悪感や傷、そして作者自身が戦後に犯罪を犯していくことで生き延びたこともあり、そういった少年の心情の描写はリアルで心に突き刺さる。

    消えていく罪悪感、空腹、淡々と語られる文章からダイレクトに伝わるおぞましい情景と死の匂い、他人に頼らないと生きれないまだ子供であるコンプレックス、あまりにも身近な、なんというか、生々しい死。

    一番想像していなかったのは、性に関する描写、アメリカひじきでは買春も本番ショーも出てくるけど、それ以上に全身やけどの包帯の下で始まる生理や卵巣を取るということなど妊娠や育児の女性の心理など、女性特有のいわゆる男性が扱いにくい話題も出てくる。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Grave of the Fireflies" Akiyuki Nozaka (1968) Review | Guilt disappears
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  • 『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    🔽 基本情報 🔽
    Shattered Lands
    Five Partitions and the Making of Modern Asia
    Sam Dalrymple, 2025
    シャタード・ランド
    5つの分離独立と現代アジアの誕生 (日本語訳なし)
    サム・ダルリンプル
    528 pages
    2025.09 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代アジアを造り上げた分離独立、パーティション。
    その背景は日本人だけでなく、当事者のインド周辺の現地の人にも、英国人にも世界中でも知られていない。
    バングラデシュ、ミャンマー、カシミヤ、そういうニュースで見る地域の問題は、自然発生したものではなく、もちろん現地の人が単純に暴力的だからでもない。
    何事にも理由がある。

    日本での第二次世界大戦の終戦日のぴったり2年後、インド帝国が英国から独立。
    それは有名だけれど、そのインド帝国、つまり現在のイエメンからミャンマーまでの壮大なエリアがその前後にどう分けられていったかはあまり知られていない。
    というか、イエメンからミャンマーまで、その間に現在のカタール、アラブ首長国連邦、ブータン、など無数の藩王国があったのすら知られていない。
    5つの分離、つまりミャンマーの独立、アラビア半島の独立、インド・パキスタン分離独立、印パによる500ほどの藩王国の吸収、バングラデッシュの独立。

    「知られていない」と繰り返し書いているけれど本当にそうなのだから仕方がない。
    英国はインド帝国の利益によって支えられていたけれど、大英帝国の人口は当時の世界の人口の25%!
    戦争により経済が崩れ世界の4分の1の人口を支えきれなくなった英国はできるだけ早く撤退することをモットーに、アジアなんて行ったこともないロンドンの役人が駆り出されどんどん地図上に線を引いていき、しかもインド帝国に借りていたお金もほぼ無視で、しかも「せっかくなら日本を敗戦させた8月15日に独立させよう」と言い出し、十分な準備もなく独立。大英帝国といえば、どこにいっても嘘をつき続け、右に左に騙し続け、最後は自分の手は汚さずさっさと逃げ出す、いつも同じパターン。
    私もそこは知っていた。エリザベス女王の旦那フィリップ殿下の叔父、インド総監マウントバッテンの当時の適当さも知っていた。そこまでは有名。
    それ以外のすべてが「知られていない」、知らなかった。

    Shattered Lands、粉々になった土地、というタイトルの通り。
    戦時中にまずミャンマーが分離。(しかも当時ミャンマーの現ヤンゴンが世界で人の出入りが激しい港、つまりニューヨークなんか追い越した大都会だったと。なんと。)
    当時人口の16%いたインド系の人間はミャンマー人じゃない、と追い出される。
    この本は5つの独立分離について非常に詳しく描かれているけれど、5つとも現地の人々の反応、待遇、対応、残酷さはすべて似ている。
    民族や宗教の枠を超えてコスモポリタンな社会に生きていた人々。
    今まで近所付き合いのあった人びとが突然、民族が違うから、宗教が違うから、という理由で追い出し合い、憎み合い、殺し合う。
    その度に何百万という人間が新しく引かれた国境を超え、もちろん多くは難民となり、少なくない数の人が虐待、強姦、そして殺された。
    粉々になった土地、ばらばらに引き裂かれた人々。
    カシミア紛争を含むインド・パキスタン情勢、ロヒンギャ難民問題などその多くは解決していない。
    他のところで聞いたことだけど(彼のお父さんのポッドキャストで)、この時代を生きた人は、それこそ戦争に駆り出された日本のおじいちゃんたちもそうかも知れないけれど、多くを語りたがらない。
    彼らはその恐怖と過ちと恥を墓まで持っていくつもりで口は開かない。
    その子どももなんとなく聞きづらくて追求しない。
    でも今、孫の代になって初めて真相が明らかになっているという現象が起きているらしい。

    細かく言うと色々とあるんだけど、それはいつかきっとこの本が日本語に訳され日本でも多くの人の手にわたることを願い省くとして(ミャンマーには日本もかなり関わってきます)、全体として印象深かったのは、分離独立前は各々の地域によって生活習慣も違っていたのに、セキュラ―な社会、非宗教的な社会だったということ。
    完全に平和かといえばそうじゃなかったにしてもギリギリのバランスは保たれていた。
    それが突如、超宗教的で、国民主義的、ナショナリズムに走ったはっきりいって差別的で軍事的で暴力的な社会を次々と生み出してしまった。
    英国の下で植民地化された社会が良いとは言えないけれど、じゃあ紛争のないアジアを目指したとき、人々はセキュラ―であることを目指し宗教や伝統を蔑ろにしたほうがいいのか。
    共同体が与えてくれる安心感は過去の産物になるのか。
    伝統は狂暴なのか。

    この本には毎ページに驚きが隠されている。
    素晴らしい歴史本は大概まるで物語を読んでいるように感じるけれど、この本もそう。
    28歳の著者サム・ダルリンプル氏はヒューマニズムに溢れ人間的で、情熱を持った人物だと言うのが手に取るようにわかる。
    これだけ残酷な歴史を語る本の中にも、それでも宗教の違う友人が命をかけて助け合った話をきちんと残してくれるし、彼自身も独立分離によって故郷に帰れない人の代わりに国境を超えて代理で会いに行くという活動もしている。

    もちろん父親がウィリアム・ダルリンプルということはプラスに働いているけれど、彼は20代にして初出版にして、もう自分の足で立っている歴史家の一人。
    インドでもダルリンプル親子がベストセラーのチャートにずっと上ってたし、インド史周辺はなかなか面白いことになりそう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Shattered Lands" Sam Dalrymple(2025) Review | Making of new Asia
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  • 『塗仏の宴』 京極夏彦, 1998 感想 | 2000ページあっという間

    『塗仏の宴』 京極夏彦, 1998 感想 | 2000ページあっという間

    ★★★★★ 初の京極作品、想像以上に引き込まれるので2000ページあっという間。妖怪という概念のサイドストーリーなど、とにかく妖怪を知らない私には驚きばかり。最初から読んでみなければ。
    🔽 基本情報 🔽
    塗仏の宴
    宴の支度 宴の始末
    京極夏彦, 1998
    Nuribotoke no Utage, Kyogokudo Series
    Natsuhiko Kyogoku
    2082 pages (994 + 1088)
    2024.09
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    この二冊で2000ページを越える長編だけど、初の京極作品、想像以上に引き込まれるのであっという間。

    妖怪などのかなり詳しい説明の箇所が多く突き放されそうになるけど、ストーリーの流れはエンターテイメントで登場人物も面白い。
    面白いし、何よりもシリーズなので積み重ねていく楽しみがあるに違いない。
    これだけを読んですでに主要な人物が味があってとっても良い。

    妖怪は「妖怪な現象」をビジュアル表現したもの、というけれど、当時の最新の技術を持った人々、つまりコミュニティーの外にいる異人をまるで魔法使いのように崇めて、それが妖怪という対象に変化した、というのは凄い。そういうサイドストーリーもなるほどと驚きの連続。

    シリーズの途中から読んでしまったけど、最初から読んでみなければ。
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  • 『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022 感想 | 挑発的にスリランカのリアルを描く

    『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022 感想 | 挑発的にスリランカのリアルを描く

    🔽 基本情報 🔽
    The Seven Moons of Maali Almeida
    Shehan Karunatilaka, 2022
    マーリ・アルメイダの七つの月
    シェハン・カルナティラカ
    368 pages
    2024.09 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ずっと気になっていたけど、できるだけ前情報無しで読んだ本。
    なので、もし何も知りたくなかったら、この本は型にはまらない自由でぶっ飛んだ本ということだけ知ってもらって、あとはこの文章は読まないでください。
    こんな私の文章を読んだところで本の方は想像を絶するわけですが。

    まず死んだところからスタートする、さて誰が俺を殺したかのストーリー。
    幽霊ありモンスターあり、ミステリーで、現代スリランカの複雑な戦争、ということがキーワードだけど、だからといってこのストーリーが想像できるわけではない。
    スリランカの現代史を全く知らないと少しだけ出遅れるけれど、どうせぶっ飛んでいるし、徐々に物語の中に引きずり込まれていく。

    主人公は二人称youで書かれていて、何も分かっていない主人公と一緒に発見していくのがさらに良い。
    ただそのyouはテキトーな戦場カメラマンで、浮気症のゲイで、ギャンブル依存。
    絵に書いたアンチヒーローに徹しているのに一緒に7つの月の時間を過ごしていくとそんなに悪いやつじゃない気がしてくる。

    挑発的でファンタジーでありながらスリランカのリアルを描くという、型にはまらないマジカルリアルズムの一冊。
    ロック音楽かパンクが大音量でかかっているかのような読書体験。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Seven Moons of Maali Almeida" Shehan Karunatilaka (2022) Review | Provocative and real
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  • 『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン, 2000年 感想 | 料理界への愛

    『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン, 2000年 感想 | 料理界への愛

    🔽 基本情報 🔽
    Kitchen Confidential
    Anthony Bourdain, 2000
    キッチン・コンフィデンシャル
    アンソニー・ボーデイン
    576 pages
    2024.09 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    出版されてすぐにクラシックになったと言える一冊。
    旅行ドキュメンタリー番組でお茶の間でも有名になったシェフ、でもこれは彼のバイオグラフィーではなく、食べ物への愛、料理への愛、料理業界の戦友たちへの愛のバイオグラフィーでそれは軽く国境を超える。

    レストランのキッチンは常に熱気に満ちている。私も少しだけ小さなレストランで働いたけれどそれでも確実に言えることは、チームワークというかここは軍ですかと思うほど大変な仕事で、シェフの言うことは絶対。

    嬉しいことにボーディンさんはドキュメンタリー番組で見る通り、本当に口が悪く、凄まじく正直で、とても優しい人物のよう。

    オーウェルの「パリ・ロンドン放浪記」が出てくるのにニヤリ、ちょうど読んだ本。
    これに続く、料理界を描く古典。

    もし英語で読むならぜひアニバーサリー版を。
    私が読んだエディションは彼の手書きの注意書きやあとがきが載っていて魅力倍増。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Kitchen Confidential" Anthony Bourdain (2000) Review | Love of cooking
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  • 『自閉症は津軽弁を話さない』 松本敏治, 2017年 感想 | 方言のその機能こそが苦手

    『自閉症は津軽弁を話さない』 松本敏治, 2017年 感想 | 方言のその機能こそが苦手

    ★★★★★ そもそも方言にはどういう社会的機能があるのかという点へ流れて、その機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だからこそ方言が話せないと。うちの場合は3.5の言語も常時家庭内にあるので、そりゃー難しい。
    🔽 基本情報 🔽
    自閉症は津軽弁を話さない
    自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
    松本敏治 2017
    Toshiharu Matsumoto
    288 pages
    2024.09
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    面白い視点で、表紙などのパッと見の軽さとは裏腹にかなり学問的な研究の発表、その過程というかたちの本。

    イントネーションの問題ではという視点から、そもそも方言とはどういう社会的機能があるのかという点へ流れて、その社会的機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だからこそ、方言が話せない、もしくは方言と共通語を使い分けれない、と。

    方言は生活のなかで習得し、相手の様子を伺いつつ上達し、地域の人との繋がりの象徴としても存在する。
    逆に共通語はテレビやビデオを繰り返しみることで記憶して、そのフレーズを生活のシチュエーションに合わせて使うことができる(とても不自然な仕上がりになるけど)そっちの方が社会的コミュニケーションを苦手とする自閉症には楽。
    なるほど。

    そうなるとやっぱり、イタリアで暮らしているけれどテレビやビデオは全部英語の我が子にとって、イタリア語は非常に習得しにくいはず。

    方言に関してだけでなく、言語の裏にある意図のコミュニケーションのことも面白かった。
    相手の意図とは、単にこう思ってるだろうと予想するだけでなく、だからこの人はこういう行動に出るだろうという先のことまで想像すること。
    普段なにげないコミュニケーションは実は物凄く複雑で、そこを知識としてだけで習得し生活で活用するのは難しい。
    自閉症という観点からでなくても言語のしくみという観点からも面白い。

    続編もあるようで、そっちは日本語を話さない自閉症も出てくるそう。読まなきゃ
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    自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く (角川ソフィア文庫)


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  • 『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 感想 | 暴力で制した東インド会社

    『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 感想 | 暴力で制した東インド会社

    🔽 基本情報 🔽
    The Anarchy
    The relentless rise of East India Company
    William Dalrymple 2019
    略奪の帝国 東インド会社の興亡
    ウィリアム・ダルリンプル
    576 pages
    2024.08 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    最高な一冊。歴史本で私の中では最高峰。
    まさにずっと気になっていたトピック、どうやって小さな島国イングランドが巨大で裕福な亜大陸を植民地化することができたか。
    
    簡単に言えばつまりはムガール帝国がライオンで、東インド会社はハイエナというところ。
    裕福な帝国ムガール帝国が少し崩れてきたところに、無作法でアグレッシブで便乗主義者で嘘つきで自分勝手で成金趣味の数人の商人が行った、自分の利益のためだけの略奪。自国英国の政府にも王室にも逆らって。
    つまり、現地インドの帝国も自国の王室をも無視した無政府主義(Anarchy)の一企業による略奪の歴史。
    
    東インド会社は商人としてではなく、ひたすら暴力と嘘で財力を得て、結局はイギリスの経済はこのチンピラ集団が治めるインドなしでは維持できなくなり、英国王室も危機を感じ会社を国営化、そして英国は引き継ぐ形でインドを植民地化する、というのが歴史の流れ。
    
    事実は小説よりも奇なり、歴史はフィクションよりも面白いとはこのことで、しかもダルリンプル氏の手にかかればドキドキハラハラの壮大な物語のようにあっという間に読んでしまう。
    
    彼の情熱的でヒューマニズムに溢れた文章は、この本をただの歴史本ではなく力強い文化財に変えてしまったと言える。
    
    この本はインド国内の、今まで誰も見ていなかった資料を引っ張り出して整理することできちんと整理された実際に起きたことを細かく伝えてくれる。
    そして事実は厳しい。
    特に大英帝国は華やかで誇らしいものだと学校で教えられてきたイギリス人にとって、史実は目を向けたくなるもので、実際にダルリンプル氏はイギリスの右派からイギリスを貶すなと批判されまくり。
    
    特に気になった人物はウォーレン・ヘースティングズという、ベンガル知事、初代インド総監。
    通常東インド会社の社員はインド文化には興味がないなか、彼は唯一インドの言語、芸術、文学を愛した珍しい存在。
    ただ、いつの時代もそういう繊細でまともな人は貪欲な組織の中で叩かれる。
    
    で、ダルリンプル氏のファンになり、ポッドキャストも全部聞いてます。
    スコットランドの貴族の家系に生まれ、先祖がよく歴史上の出来事に出てくると苦笑し、裕福な子供時代を過ごすも中東の歴史や文化に惹かれ、現在はデリーでヤギと農場で暮らしている彼。
    最近は特に、イギリスの学校はイスラエル、パレスチナ、中東全般の間違った歴史を教えていると声を上げている。
    (ちなみに彼の息子のサム・ダルリンプル君の本を現在読んでるけど、息子もきっとお父さんと同じ道を進んでくれるだろう)
    
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Anarchy" William Dalrymple(2019) Review | A gang of thugs

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    略奪の帝国 下: 東インド会社の興亡


    The Anarchy: The Relentless Rise of the East India Company (English Edition)



  • 『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』 今川ホルン, 2024年 感想 | 楽しく脳を育てる

    『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』 今川ホルン, 2024年 感想 | 楽しく脳を育てる

    ★★★★★ 自閉症児の子育て。子供の脳に楽しいこととして伝え、脳を育てて言葉を引き出すというメソッドの入門書。実践的。
    🔽 基本情報 🔽
    ことばが遅い自閉症児のおうち療育
    今川ホルン 2024
    Horn Imakawa
    252 pages
    2024.08
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    偶然インスタグラムで見つけて。
    専門書は一杯あるけど、この本は入門書レベルで就学する前後の言葉が出にくい子へのアプローチなので、正にストライクなテーマ。

    癇癪を起こす子が多いのは仕方ないようで、なんとか仕方なくなくなる方法がある。
    我が家の場合は落ち着いてる方だけど、やっぱりどこの本も専門家も無視しましょうとある。

    子供の脳に楽しいこととして伝え、脳を育てるというメソッド、この本は入門書としてはぴったりで深堀はしないので、今後はもうちょっとその方面の専門書を読んでみたい。
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    脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育



  • 『台所太平記』 谷崎潤一郎, 1963年 感想 | 愛らしい女中さんたちの記録

    『台所太平記』 谷崎潤一郎, 1963年 感想 | 愛らしい女中さんたちの記録

    🔽 基本情報 🔽
    台所太平記
    谷崎潤一郎, 1963
    Junichiro Tanizaki
    240 pages
    2024.08 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    谷崎潤一郎が描く、とある老人の家にやってくる女中さんの記録。
    といっても、谷崎の筆にかかれば全ての女が独特で愛らしくて、それを一歩下がってみている主人の様子など、まさに谷崎文学。

    戦前からの数十年つまり一昔前の女中は現代でいうお手伝いさんではない。
    若い彼女たちは田舎から出てきて住み込みで働くが、主人の方も自分の娘のように案じ、世話もする。そういう関係はやっぱり今ではそうはいかない。

    主人の若い女好きが転じて女中だらけの家にいるのは一目瞭然で、いつものように足フェチなのも伺えるし、女中の自由な恋愛にだって、女中同士の同性愛へだって比較的おおらかに描かれる。
    でもそれも今は昔、良いことか悪いことかデモクラシーとはそういうもので。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Maids" Junichiro Tanizaki (1963) Review | All his lovable maids
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    台所太平記 (中公文庫 た30-58) [ 谷崎 潤一郎 ]
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  • 『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    🔽 基本情報 🔽
    Black Narcissus
    Rumer Godden, 1939
    黒水仙
    ルーマー・ゴッデン
    258 pages
    2024.08 読了
    (日本未出版、日本では映画のみ)
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イギリス領ダージリン近辺の山の中、元ハーレムだった建物が孤独な修道院に改築され、そこへ移ってきた修道女たちのストーリー。
    それだけでもうヒステリックでダークな展開が想像できるけど、その通り、彼女たちの慎ましい生活は少しずつ狂っていく。

    地元の人はだれも望んでないのに、勝手にやってきて勝手にキリストの教えを説くというおこがましさは当時どこでも見た風景だけど、誰からも反対されるそんな空気の中で貞節の誓いを立て清く正しく生きるという決意はいいんだけど、長く続くはずはなかった。当然。

    地元の将軍の言う通り「神様であるカンチェンジュンガの山に近づきすぎると精神を崩しますよ」

    ダークで性的な緊張感や白人至上主義とキリスト教の博愛主義の葛藤、さらには大英帝国帝国の崩壊、モラルの崩壊、など確かにベストセラーになるにはダークすぎる。
    でも人間として、女としてのネガティブな部分がじんわりと滲み出ていて、どんどん落ちていく彼女たちのモラルに、読んでいてドキドキ、ハラハラ、そわそわする。
    インド独立の年のタイミングで映画化までされたようで、すごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Black Narcissus" Rumer Godden (1939) Review | Nuns slowly go mad
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    Black Narcissus: Now a haunting BBC drama starring Gemma Arterton (Virago Modern Classics Book 158) (English Edition)



  • 『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    🔽 基本情報 🔽
    The Room on the Roof
    Ruskin Bond, 1956
    (屋根の上の部屋)
    ラスキン・ボンド
    184 pages
    2024.08 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ラスキン・ボンド、日本ではあまり知られてないんですね。
    インド生まれ、インド育ちのイギリス系白人の彼はインドではその優しい文章と切ないノスタルジアに包まれたストーリーで人気。その彼が17歳の時に書いたデビュー作。

    彼自身の少年時代を描いたような小説で、イギリス系インド人の主人公の少年の英国人の保護者やインド人の友人との生活、なんだけど、典型的白人主義の家庭には馴染めず、かといって明らかに見た目も階級も違う自分は地元の友だちと同じ生活ができない。

    少年時代というのは誰もが「ここに馴染めない」と思うんだけど、彼の場合はその悩みはリアルで明確で、どれだけ彼自身が望んでも変えることはできない。

    いつかきっとと思っていた願いは非現実的に見えた。
    著者本人はイギリスに移住するも結局インドに帰ってくる。
    彼の愛する故郷はインドしかない。

    繊細な少年時代を描く一冊。

    日本では下記の作品集に含まれています

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Room on the Roof" Ruskin Bond (1956) Review | Sense of belonging
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    小学館世界J文学館 青い傘ほか ラスキン・ボンド作品集

    この作品集に含まれています


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  • 『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    🔽 基本情報 🔽
    一次元の挿し木
    松下龍之介 2025
    256 pages
    2025.08
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    公募小説新人賞の作品とは知らなかった。しかも大賞じゃない。
    なのに安定感があって面白い。

    上から目線はここまでにして、何が面白いかって、ありえないよね、と分かっているのにストーリーが面白くてテンポが良くてあっという間に読んでしまうこと。
    つまり面白いと現実味があるはイコールではない。

    貧乏ポスドクの小ネタに始まり、笑わない美青年という設定、健気な美少女、暇な主婦にギリシャ神話と、エンターテイメント性たっぷり。
    その上であらすじが「インドの古人骨と失踪した妹のDNAが一致」という壮大なことになってる。それが全然空回りしない。

    まだ若いのできっとこれから熟していくんでしょう。
    東野圭吾のように理系で人間味があってしかもどんどん書いてくれれば、楽しみが増えるわ。
    誰でも惹き付けられるミステリー。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(Labyrinth of Hortensia and Minotaur)" Ryunosuke Matsushita (2025) Review | Exciting and entertaining, most loved mystery

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    一次元の挿し木 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)



  • 『第2図書係補佐』 又吉直樹, 2011年 感想 | 人生にはいつも読書があった

    『第2図書係補佐』 又吉直樹, 2011年 感想 | 人生にはいつも読書があった

    ★★★★★  一つ一つを見るとその本の話なんてしていないのがいい。ただ彼の人生にはいつも読書があったということ。読書好きは大体は現実逃避してて結果論として利点は多々ある。
    エッセイ、さすが話が面白い
    🔽 基本情報 🔽
    第2図書係補佐
    又吉直樹 2011
    Naoki Matayoshi
    250 pages
    2025.08
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    書評なのかな、読書感想文なのかな、いや、一つ一つを見るとその本の話なんてしていない。
    ただ、彼の人生にはいつも読書があったということ。

    どうしても今の芸能人には疎いんだけど、又吉直樹が本好きということは知っていた。
    それよりも、暗い感じということは見た目ですでに分かっていた。でもそこに深みや個性があるのは間違いなく本を読み漁っていた結果。

    単純にエッセイ集として面白い。そして本と絡めているのでさらに面白い。

    本を読まない人は、読む人は読むことでなにか学んでいると思っている。
    いやいや、ただ本当に現実逃避しているだけです。結果論として価値観が無制限に広がるという利点はある。

    で、全部読んでみたい。

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    第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)



  • 『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 感想 | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ

    『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 感想 | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ

    🔽 基本情報 🔽
    Dracula
    Bram Stoker, 1897
    吸血鬼ドラキュラ
    ブラム・ストーカー
    352 pages
    2025.08 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ドラキュラを知らない人はいない。
    映画も小説も知らなくても、ドラキュラ伯爵は子どもでも知ってる。

    その原作は実は登場人物の手紙や日記を使ってストーリーを進めてるというのは知らなかった。だからリアリティがあって当時からずっと人気なんだろう。

    意外だったのは、正義の味方の男たちが悪いやつを追いかけるというハリウッド映画並みのストレートな感じだったこと。
    もっと意外だったのは、なんだかんだ言って若き主婦ミナが被害者になりながらも結局はその頭の良さで男たちを勝利に導くという流れ。

    きちんと読んでいくと、ストーリーはかなり性的で、セクシャルでありバイセクシャルである。
    ミナを襲いつつも自分の胸から流れる血を飲ませたり、ミナの夫で最初の被害者のジョナサンをも再度襲おうとする。

    街に恐怖が訪れ、その結果女が知識や性に目覚め男と同じ位置に立つ。
    ドラキュラによって、じゃないけどストーリー展開として。
    例えばドラキュラの城にいるジョナサンを誘惑する女吸血鬼達は「女らしく」なく、彼女らに望んで誘惑されるジョナサンは「男らしく」ない。
    賢いミナも「女らしく」ない。
    だからこそ、男たちはグルになって恐怖の根源であるドラキュラを倒しにいく。そういう見方もある。

    さらには当時のロンドンの社会を軽く風刺していたり、人種差別や精神病患者など、色々と詰め込んでいる。
    でも間違いなく、この古典中の古典である「ドラキュラ」は女性の立ち位置という裏のテーマを浮き出している、そこが一番興味深い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Dracula" Bram Stoker (1897 Review | Unexpected female empowerment
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    Dracula DRACULA REV/E (Penguin Classics) [ Bram Stoker ]



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    吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) (創元推理文庫 502-1)




    Dracula (Wordsworth Classics) (English Edition)



  • 『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 感想 | 後悔と哀愁の静かなエレガンス

    『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 感想 | 後悔と哀愁の静かなエレガンス

    🔽 基本情報 🔽
    An Artist of the Floating World
    Kazuo Ishiguro, 1986
    浮世の画家
    カズオ・イシグロ
    206 pages
    2024.07 読了
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    過去を思い出し、後悔を思い出し、明るい未来を願う。
    イシグロらしさが滲み出す、日本人らしいことに閉じ込められた老人のお話。

    老後の静かな生活の中で戦時中の自分を思い返し、当時は当たり前だった日本精神のプライドなどを少しずつ見直す主人公の気持ちの変化は、後悔や哀愁、ノスタルジアをいつもうまく突き刺してくるイシグロらしい静かなエレガントさに包まれている。

    ノーベル賞受賞作家

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "An Artist of the Floating World" Kazuo Ishiguro (1986) Review | Japanese sentiment
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    浮世の画家〔新版〕 (ハヤカワepi文庫) [ カズオ・イシグロ ]
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    浮世の画家〔新版〕 (ハヤカワepi文庫)



    An Artist of the Floating World: As heard on BBC Radio 4 Book at Bedtime (English Edition)



  • 『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    🔽 基本情報 🔽
    The Sound and the Fury
    William Faulkner, 1929
    響きと怒り
    ウィリアム・フォークナー
    464 pages
    2024.07 読了
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    かなり難しいので完全にわかったわけではない、でもすごい一冊。
    第一章からいきなり重度の知的障害の弟の視点から描かれているので、時系列でもないし、重複したり注意があちこちに飛ぶ、その中で明らかなのはお姉ちゃんに対する愛情。
    それから他の兄弟の視点へと移り、客観的な説明がないのに同じことについて別の視点で描かれているが、つまりはかつて裕福であったアメリカ南部の一家の崩壊の物語。
    知的障害児が身近な私にとっても、その思考の表し方など、そういう意味でも興味深い。

    同じ出来事が別の視点で語られることによりその人物の人格を浮き上がらせるが、その事柄自体の説明がないので、途中からウィキペディアのあらすじを頼りに読んだけど、それでもこのリズムがつかめるようになるとページがどんどん進む。
    当時のアメリカ南部にきっと多くいたであろう、機能不全家族の悲しい物語。

    これはもう一度改めて読んで、そのうえで一つの読書体験とするべき。

    ノーベル賞受賞作家


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Sound and the Fury" William Faulkner (1929) Review | A difficult read but a masterpiece
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  • 『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    🔽 基本情報 🔽
    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース
    ゼイディー・スミス
    464 pages
    2024年7月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ロンドンに初めて行ったときからずーっと話題の本、を20年経ってやっと読んだ。
    なんとなく難しくて移民の厳しい生活の話と勘違いしていたけど、読んでみると心温まるコメディーっぽくてちょっとびっくり。
    まさに当時まだ残っていたロンドンがこの本にはある、ごちゃごちゃした混沌としたロンドン。
    ロンドンではイズリントン区というどちらかというとトルコ人エリアにほとんどずっと住んでいたのでこの本の人物と人種的には違うけど、当時は階級も人種も入り混じっていることが自然だった。
    段々とロンドンは設備され、汚いものは「カーペットの下に隠されて」いまではお金がないと生活できない街になってしまった。

    みんな違う意見を持ち、肌の色、年齢、世代、伝統、教育、宗教、過去、経験、すべてが違うなかで、ひとつの共同体として呼吸をするということ。
    まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強みであるとこの本は語っているよう。

    日本人を含む世界のイメージの中のロンドンは現実離れしてびっくりするけど、まあ実はロンドンはそういう幻想を売りにすることで観光業を盛り上げているので、この本で、20年前まであった本当のロンドンに出会ってください。
    汚くて大げさで下品です。いや、でした。過去形。今はこういうコミュニティーは市内から弾かれているのが残念でならない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "White Teeth" Zadie Smith, (2000) Review | Love letter to London


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  • 『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 感想 | ぼくらは生きようとしなければいけない

    『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 感想 | ぼくらは生きようとしなければいけない

    ★★★★ 軽井沢という異次元で流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。「風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない」ゆっくりとひんやりした時間に浸れる一冊

    🔽 基本情報 🔽
    風立ちぬ 美しい村
    堀辰雄 1938
    (Kaze tachinu / The wind rises)
    Tatsuo Hori
    288 pages
    2024年6月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ジブリの風立ちぬの基になったストーリー。
    堀辰雄を始めて読んだけど、詩的でか弱くて美しい。
    自身が病弱なのもあり、軽井沢という人間臭い生活感もない異次元が舞台で、そこで流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。

    サナトリウムという、そのなかでもさらに生活感から離れた空間を何度も登場させる。
    風立ちぬ、Il vent se lève, il faut tenter di vivre- 風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない。
    そういうタイトルでありながら、主人公の愛する人はもう死の間際にいる。それをしんと見つめるかのように季節は流れ、木々にはつぼみが溢れ、落ち葉は深くなる。
    そして二人は、もう死を待つのみの透き通った空間のなかで互いを静かに愛し、時空を越えた二人だけの泡のなかに生き、そして彼女のその静かな死後も彼はその泡のなかで生きる。
    ゆっくりとひんやりと流れる時間に浸れる一冊。

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  • 『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 感想 | 暴力な世界の中の美しい物語

    『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 感想 | 暴力な世界の中の美しい物語

    🔽 基本情報 🔽
    Afterlives
    Abdulrazak Gurnah, 2020
    アブドゥルラザク・グルナ
    288 pages
    2024年7月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    戦争や植民地化という残酷で暴力的な環境の中で語られる美しい物語。

    人々の生活や愛情は、戦争という外部の環境によってボロボロに破壊されるということを忘れてはいけない。
    アフリカの人々の人生は、ヨーロッパ人が勝手に始めた戦争、つまりアフリカに住む人々とは全く関係のない殺し合いビジネスによって左右される。
    それでも彼らは確実に自分たちのものである小さな幸せや悲しみをしっかりと握りしめる。
    そんな狂暴な環境でも、植民地主義上の植民者と先住民でありながらも少しマジカルなでも一人間同士の関係も描かれていて少し希望を持つこともできる。

    2021年ノーベル賞受賞


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Afterlives" Abdulrazak Gurnah (2020) Review | A beautiful story told in a cruel and violent environment
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  • 『ワイルド•ソウル』 垣根涼介, 2006 感想 | 大迫力の復讐劇

    『ワイルド•ソウル』 垣根涼介, 2006 感想 | 大迫力の復讐劇

    🔽 基本情報 🔽
    ワイルド•ソウル
    垣根涼介 2006
    Ryosuke Kakine
    1040 pages (512 + 528)
    2024年6月 読了
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    上下二巻の壮大なストーリー。
    戦後の日本からブラジルへ渡った4万人のアマゾンでの壮絶な生活、そこから逃げ出した人々の底辺を這うような生活。

    そして下巻へ。
    現在の日本、東京。三人の日系人の男たちの日本政府に対する復讐劇が始まる。

    読んでいる方としてはアマゾンでの大変な生活を知っているから、もちろん完全に三人の男の肩を持つ。彼らの計画は次へ次へと進んでいく。

    この本での何度も出てくる通り、大きな自然を前にして人ひとりなんてちっぽけで、そのちっぽけななかで、一生かけて後悔をしたり、人を愛したりする。
    そういうところも滲み出ていて、全体像でとても面白い。
    アクションもドラマもたっぷりで一気に読める傑作。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Wild Soul" Ryosuke Kakine, (2006) Review | Let the revenge begin from Brazil
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  • 『(中年の危機への哲学的な対応)』キーラン・セティア, 2017年 感想 | もっと良い人生だったかもは幻想

    『(中年の危機への哲学的な対応)』キーラン・セティア, 2017年 感想 | もっと良い人生だったかもは幻想

    🔽 基本情報 🔽
    Midlife
    A philosophical guide
    Kieran Setiya, 2017
    (中年の危機への哲学的な対応)
    キーラン・セティア
    186 pages
    2024年6月 読了
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    Midlife A Philosophical Guide【電子書籍】[ Kieran Setiya ]

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    「中年の危機への哲学的な対応」という意味で、そういう内容。
    いわゆる普通の自己啓発本ではない、哲学的な考えを身につけることでほぼ誰もが陥る中年の危機を生き抜くと。いうことで楽な解決法は教えてくれない。

    大体において「もっと良い人生を送れたかもしれない」は幻想であり、実際は今あなたが手にしている人生より良くなる可能性はなかったと考えれること。
    結果に左右されず、今自分が行っている行動に重点を置き、その行動自体を楽しもう、と。

    40代の中年に入る前に読むのも心の準備になるのかも。
    ミッドライフ・クライシスの危機に面している主人公の本をいろいろ紹介してるのもよかった。
    で、最後はやっぱり仏教と瞑想で終わる。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Midlife" Kieran Setiya (2017) Review | Could it have been better? Probably not.
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    Midlife: A Philosophical Guide (English Edition)



  • 『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 感想 | 世界史に興味を持つことになった原因の一冊

    『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 感想 | 世界史に興味を持つことになった原因の一冊

    🔽 基本情報 🔽
    The Silk Roads: A New History of the World
    Peter Frankopan, 2015
    シルクロード全史: 文明と欲望の十字路
    ピーター・フランコパン
    657 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンで見る
    
    
    
    
    

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    エピック。大作。間違いなく歴史本の歴史を変えた。
    シルクローズ(複数形のRoads)というタイトルでまず分かるように、シルクロードは一つではないという大前提を投げつけてくる分厚い600ページ超えのいわゆるマイナーな国々の歴史の本なのに退屈じゃない。
    むしろ内容そのものと語り口にエンターテインメント性が出ていて巨大な小説を読んでいるかのよう。

    著者フランコパンのポッドキャストも聞くけど、彼は偏屈者っぽい奴なんだけど言い分は筋が通っていて、事実に極端に忠実なだけな人。
    でも大真面目で逆に面白いというギャップもあって、耳で聞くのも楽しい。

    中東と呼ばれるエリアがいかに歴史豊かで多様性に富んだ素晴らしい伝統をもっているか、そしてヨーロッパはいかに欲深く宗教を言い訳にこの豊かな地を破壊したか。
    そして今日、古いヨーロッパに変わってアメリカ帝国が彼らの謳う自分勝手な民主主義を武器に更に追い打ちをかけているか。
    中東、アラブがあたかも石油の成金かのように世界の目を欺きたい欧米は、もちろんこのシルクロードの歴史は隠し通したい。
    ひょっとしたら、ただ単にヨーロッパ、アメリカの帝国主義の終わりなだけなのかもしれない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Silk Roads" Peter Frankopan (2015) Review | History book that changed my history

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    シルクロード全史 上: 文明と欲望の十字路





    シルクロード全史 下: 文明と欲望の十字路



    The Silk Roads: A New History of the World (English Edition)