カテゴリー: 洋書

  • 『(テヘランの女獅子たち)』 Marjan Kamali, 2024年 レビュー | 戦い続ける女性たちへ捧ぐ物語

    『(テヘランの女獅子たち)』 Marjan Kamali, 2024年 レビュー | 戦い続ける女性たちへ捧ぐ物語

    The Lion Women of Tehran: The life-affirming BBC Radio 2 Book Club pick (English Edition)
    (テヘランの女獅子たち)
    Marjan Kamali, 2024年
    The Lion Women of Tehran
    333 ページ
    2026.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ テヘランに住む環境の違う二人の女の子の友情
    ✔ 大きくなったら全力で働く女性を夢見た少女たちの現実
    ✔ イランの情勢の移り変わりと、立ち向かい続ける女性たち

    ★★★★★ テヘランで戦い続ける女性たちへ捧ぐ物語。大きくなったらイランの社会の役に立つのだと勉強に励む二人の少女。古い伝統と不平等な社会の間にいながら決してあきらめない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    古く強い伝統を持つペルシアの都、テヘラン。
    そこで戦い続ける女性たちへ捧ぐ物語。

    この少し前にもイランの女性の小説を読んだばかり。
    こちらの方が少女の友情やその後を描いていて読みやすい内容ではあるけれど、やはりパワフル。
    1950年のテヘランで出会った二人の少女の友情。
    大きくなったらライオンの心を持つ女性となってイランの社会の役に立つのだと勉強に励む。

    しかしテヘラン大学に入学後にイランの社会は怒涛の時代に入り、彼女たちの生活は急変し夢は断たれる。
    スラム街に住むホマは活動家となり危険な人生を選び、裕福なエリーは主婦となりアメリカへ去る。
    ホマはどんなに酷い仕打ちを受けても戦い続ける、なぜか。
    彼女は、そしてイランの多くの人は希望を捨てていないからだとしか思えない。

    エリーと母親の関係も面白い。
    伝統の中で世間体の中で、でも娘のためだけに生きてきた母親と新しい世代であるエリー。
    でも伝統が悪いということではなく、どちらでも選ぶ権利があるということ。

    立て続けに読んだイランの女性を主人公とする小説、どちらも強い。
    どの道を選んでも強い心を持ち続けるのは、彼女たちは希望とイランへの愛国心を捨てていないからだと思う。
    そして小説は常に全くのでっちあげでなく現実の鏡、実際にイランには同じように戦い続ける女性と男性が今もいる。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Lion Women of Tehran" Marjan Kamali (2024) Review | Powerful story about friendship of 2 girls
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    The Lion Women of Tehran: The life-affirming BBC Radio 2 Book Club pick (English Edition)
    The Lion Women of Tehran: The life-affirming BBC Radio 2 Book Club pick (English Edition)

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  • 『自閉症の脳を読み解く』 テンプル・グランディン, 2013年 レビュー | 当事者視点の科学者からの必読書

    『自閉症の脳を読み解く』 テンプル・グランディン, 2013年 レビュー | 当事者視点の科学者からの必読書


    自閉症の脳を読み解く
    自閉症の脳を読み解く
    テンプル・グランディン, リチャード・パネク , 2013年
    The Autistic Brain: Exploring the Strength of a Different Kind of Mind
    Temple Grandin, Richard Panek
    293 ページ
    2026.03 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 自身も自閉症者である科学者による目から鱗の一冊
    ✔ 更新し続ける続ける研究において最新技術を使い自ら脳を分析
    ✔ 当事者視点の問題提議や実践的なアドバイスも

    ★★★★★
    自閉症者である科学者による著作。自身の脳スキャンからその違いや働きを観察、生理学的な視点から説く。自らの経験からの問題提議やその解決法もあり、当事者や周囲の人の必読書。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    すべての章において発見がある一冊。
    私が自閉症スペクトラム障害ASDに興味があり彼女の本を始めて読んだんですが、内容としては脳の働き自体にフォーカスしていて、さすが科学者の著者、自ら進んで脳スキャンをしていわゆる定型発達者の脳と比べたりと、障害という枠ではなく、生理学的な視点から観察している。

    そしてやっぱり、人間はかなり脳に支配されてるなーと実感。
    自閉症「らしい」言動は脳のスキャンで目に見える形となるものが多いのも、なるほどとうなずいてしまうことばかり。
    自閉症という言葉自体もここ何十年かで定義も変わっているし、取り巻く環境はものすごいスピードで変化している。
    著者が言及しているけれど、フロイト曰く、今自分がやっている精神分析はいつかきっと生理学的な問題として解明されるだろう、ということがすごい。
    そう、単におかしいとか、障害とかいう「不明な」ものではなく、脳の働きによることが多いという新しくわかってきている事実。

    どうしても研究対象はコミュニケーションをとりやすい高機能なタイプの人になるのでその制限は彼女本人も理解しているけれど、今後きっと研究対象はもっと不自由な生活をしている人にも広がり、科学や研究は彼らの役に立つと科学の未来に期待をしている。

    後半は、社会と自閉症のあり方で、例えば自閉症の人は繰り返す作業が好きなんだからそういう仕事を担当すればいい、社会のいろんな人の得意不得意と掛け合わせてチームとして働くことができる、と語る。
    まったく同感。
    すべての人が同じような能力を持っているわけでないのに、無理矢理に同じようなことを身につけさせて型にはめ込むやり方は限界がきている。

    自閉症者だからこその視点や問題提議、生きづらさと解決方法も多く、当事者や家族、周囲の人の必読書だと言える。


    英語で読んだので日本語は分かりませんが、印象に残った個所。


    P43
    If you can think of five ways for the brain to do something, it does it in all ten. The five ways you've thought of, and the five ways you haven't thought of yet.

    P68
    Freud... always argued that his psychoanalytic concepts were place holders until science could do better. ... to replace the psychological terms by physiological or chemical ones.
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Autistic Brain" Temple Grandin (2013) Review | To know the differences physiologically
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    自閉症の脳を読み解く
    自閉症の脳を読み解く


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  • 『ベル・ジャー』 シルヴィア・プラス, 1963年 レビュー | 繊細で普遍的な物語

    『ベル・ジャー』 シルヴィア・プラス, 1963年 レビュー | 繊細で普遍的な物語


    ベル・ジャー
    ベル・ジャー
    シルヴィア・プラス, 1963年
    The Bell Jar
    Sylvia Plath, 1963
    388 ページ
    2026.03 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 成長物語のモダンクラシック
    ✔ 若い女性の怒りや不安と表面的な成功とのギャップ
    ✔ 若くして死を選んだ詩人が著者の世界観

    ★★★★★ 優秀な学生のエスター、派手だけれど空虚な生活から帰宅したタイミングで精神のバランスを崩す。成功している見た目の裏でギリギリの精神状態だった若い女性の普遍的な物語。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    モダンクラシックの一冊。
    貧しい家庭でありながら優秀な学生のエスター、勉強に励みいろんな賞をもらう生活。
    すべてがうまくいっているように見えるが、ニューヨークでの派手だけれど空虚な夏の仕事体験から帰宅したタイミングで精神のバランスを崩し後半は施設での生活が始まる。

    若者に読んでほしい、とか思う反面、これを自分が10代、20代に読んでいたら衝撃がありすぎて立ち直れないかもというくらい生々しい。
    主人公の抱える説明のできない恐怖は多くの若い女性が抱えるもので、その怒り、絶望感、憎しみ、といったすべての感情は同感してしまう。
    ちゃんとしっかり生きているんだけど、ひとつの過ちですべてが流れて行ってしまう感覚。

    成功してる雰囲気とは裏腹にギリギリの精神状態という危うさ。
    著者はこの本の出版された数週間後に自殺をしているのも有名。

    1960年代に書かれたので、確かに今の社会の状況とは違うし今はあからさまな生きづらさは見えないかもしれない。
    それでも現在の女の子たちはやはり主人公と同じような違和感を抱えてるし、今後もそう簡単には変わらない。
    この本はやはり何十年も先も読まれ続けることになるであろうと思う。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “The Bell Jar” Sylvia Plath (1963) Review | Young woman and her uncertainty
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    ベル・ジャー
    ベル・ジャー (I am I am I am)


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  • 『(ペルシャ人一家)』Sanam Mahloudji 2025年 レビュー | 誇り高きイラン人女性の物語 

    『(ペルシャ人一家)』Sanam Mahloudji 2025年 レビュー | 誇り高きイラン人女性の物語 


    The Persians: A Novel
    (ペルシャ人一家)
    Sanam Mahloudji, 2025
    The Persians
    384 ページ
    2016.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 3代にわたるイラン人女性を描くデビュー作
    ✔ イラン革命前と後、アメリカ移住後のそれぞれの世界
    ✔ プライドの高い彼女たちと家族のつながり

    ★★★★★ イラン革命、テヘランに残る祖母と孫娘、アメリカにわたる残りの家族。「アメリカなんてママの宝石よりも短い歴史しかないのよ」高貴で傲慢でわがままで美しく愛らしい女性たち。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    この月は勝手に読書テーマを女性と決めて、最初に読んだのがこれ。
    パーフェクトな選択。

    イランの英雄を祖先とする由緒正しきValiat家、70年代のイラン革命で家族は二手に分かれる。
    テヘランに残る祖母と孫娘、アメリカにわたる残りの家族。
    『ペルセポリス』のあの雰囲気があるけれど、こちらもしっかりと当時のテヘランでの状況を伝える。
    つまり、表ではちゃんと髪の毛を隠す女性も違法のクラブでは性と薬物に手を染め、でも同時に政治的な活動もする、という一筋縄ではいかない現状。
    そしてアメリカへ渡った残りの家族は今度はアメリカで贅沢な生活を続けるも、こちらも酒に薬物にゴシップにまみれた現状。
    地理的に二手に分かれているうえに、1940年代のテヘランを生きた祖母と1980年代のテヘランを生きた孫娘の環境の差も浮き出てきて、まさにダイナミックな物語。

    「アメリカなんてママの宝石よりも短い歴史しかないのよ」

    それぞれの分かれた世界で生きる3世代のイラン女性たち、高貴で傲慢でわがままで美しく愛らしい女性たち。
    彼女たちの望みは、好きなように生き、好きなように愛し、好きなように捨て、それでもお互いに向き合うこと。

    世界最古といわれる文明を持つイラン、その伝統の中できちんとしたプライドの中で生きてきたイラン人女性の葛藤。
    ずっと続いてきた欧米中心の思考から少し目をそらすと複雑で圧倒的な世界が広がっていることを、特に今のご時世では知っておくべきだと思う。

    日本語はないようですが、英語は少し難しいかも、くらいのレベルです。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Persians” Sanam Mahloudji (2025) Review | Dynamics of the women
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    The Persians: A Novel
    The Persians: A Novel (English Edition)


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  • 『(クリスマスのまえのばんの夜勤)』 アダム・ケイ, 2019年 レビュー | 医療スタッフのコメディ日記

    『(クリスマスのまえのばんの夜勤)』 アダム・ケイ, 2019年 レビュー | 医療スタッフのコメディ日記


    Twas The Nightshift Before Christmas: Festive Diaries from the Creator of This Is Going to Hurt (English Edition)
    (クリスマスのまえのばんの夜勤)
    アダム・ケイ, 2019
    Twas the Nightshift Before Christmas
    Adam Kay
    2019.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ブラックコメディ日記エッセイ
    ✔ イギリスの医療スタッフの年末シフトのカオス
    ✔ ドラマ化

    ★★★★★ 著者である若い医者のブラックコメディ日記。年末のお祭り気分の市民の体の色んな部分から、赤ちゃんやらキャンディの残骸まで色々と引っ張り出す日々。医者と看護師さんすごい。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    著者がまだ医者だったころの、ブラックコメディ日記エッセイ。
    声に出して笑ってしまうので公共の場では読まないほうがいい。

    誰もが働きたくないクリスマスの時期に6年続けて病院勤務した当時の様子を書いてるんだけど、毎日毎日とんでもないことばかり。

    ただでさえ病院は毎日大騒ぎだけど、年末のお祭り気分の市民。
    体の色んな部分から、赤ちゃんやらキャンディの残骸まで色んなものを引っ張り出す日々。

    私もけっこうイギリスのNHSつまり国営の病院でお世話になったのでわかるけれど、NHSのスタッフほど、ユーモラスな人種はいない。
    毎日、人の生死のそばで生活してるから多少のことでは驚かない。で著者も何度も言うように患者からも政府からも有難く思われないのに辛い仕事の毎日で笑ってないとやっていけない。
    医者と看護師さんたち、本当にすごい。感謝しかない。

    ちょうどクリスマスの週に読んだ、ちょっと風変わりな季節の読みもの。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Twas the Nightshift Before Christmas" Adam Kay (2019) Review | Respect for healthcare workers
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    Twas The Nightshift Before Christmas: Festive Diaries from the Creator of This Is Going to Hurt (English Edition)
    Twas The Nightshift Before Christmas: Festive Diaries from the Creator of This Is Going to Hurt (English Edition)


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  • 『侍女の物語』 マーガレット アトウッド, 1985年 レビュー | 女性嫌悪の最終地点ディストピア 

    『侍女の物語』 マーガレット アトウッド, 1985年 レビュー | 女性嫌悪の最終地点ディストピア 



    侍女の物語
    マーガレット アトウッド, 1985年
    The Handmaid’s Tale
    Margaret Atwood
    337 ページ
    2018年 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 2017年テレビドラマ化されて再度人気
    ✔ 環境汚染などで出産率が急激に下がる近未来のSF
    ✔ タスクのためだけに存在する女と社会を支配する男

    ★★★★★ 近い未来に起こりそうなディストピア。女性嫌悪の最終地点とでも言うべきか、女性は生身の人間ではなく役割を果たすことのみを許された道具。起こりうる可能性が無きにしも非ずの怖さ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    アトウッド大ファンのカナダ人の友人に借りたんですが、当時入院中だった身には暗かった...

    近い未来に起こりそうなディストピア。
    出生率の低さが戦争をも引き起こす社会で、主人公オブフレッドは妻の分身として子供を作るという役割を割り当てられた侍女の一人。
    この地に残されたわずかな妊娠できる体を持つ女性である彼女は少し前までの自分の夫と子供との生活を忘れられずにいた。

    女性嫌悪の最終地点とでも言うべきか、女性は生身の人間ではなく役割を果たすことのみを許された道具。
    妻という存在も象徴であり、夫婦間の愛情はない。
    分析しようとすると永遠に終わりそうにないけど、この物語を80年代に書いてしまうアトウッドの才能の恐ろしさ。

    ただ、ストーリーが面白くて惹かれるだけでなく、ひょっとしたら20年後には世界はこうなってるのかも、という怖さに引き付けられる。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Handmaid's Tale" Margaret Atwood (1985) Review | Interesting yes but scary
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    侍女の物語


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    侍女の物語 (ハヤカワepi文庫) [ マーガレット・アトウッド ]
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  • 『荊の城』 サラ・ウォーターズ, 2002年 レビュー | 女の子二人と犯罪と愛のミステリー 

    『荊の城』 サラ・ウォーターズ, 2002年 レビュー | 女の子二人と犯罪と愛のミステリー 


    荊の城 上 (創元推理文庫)
    荊の城
    サラ・ウォーターズ, 2002
    Fingersmith
    Sarah Waters
    2020.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 自身もレズビアンの英作家の犯罪ミステリー
    ✔ ヴィクトリア朝のロンドンの下町のスリの娘と令嬢の恋愛
    ✔ 韓国で「お嬢さん」として映画化

    ★★★★★ ある令嬢のメイドとなり騙すつもりが二人の関係は深まっていく。ちょっとずつ始まる狂気。騙し騙され、また騙され。女の子二人と犯罪と愛、面白くないわけがない。韓国で映画化。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    パク・チャヌク監督の韓国映画「お嬢さん」の原作。
    と前置きしているいうことはつまり私は先に映画を見てしまったんです。
    映画は映画ですごかったのでどうしても原作をということで。

    詐欺を生業とする「家族」の孤児スウは次の大掛かりな詐欺のためにとある令嬢の下でメイドとして雇ってもらうが、彼女たちの関係はどんどん深まっていく。

    映画では叔父は浮世絵を集めているけれど本では書物、言葉。
    それに象徴されるかのようなことだけど当然映画のほうがドラマチックな流れになるので仕方がないんですが、映画を先にみるとどうしても比べてしまう。

    だからと言って本の良さは色褪せることはない。
    世間知らずのお嬢さん、詐欺の男、ちょっとずつ始まる狂気。
    背景となるビクトリア朝のロンドンの下町なども描写も面白くて、いくつかの物語を一つの本にまとめたような。
    女の子二人、犯罪、そして愛情。

    誰が誰をだましているのか、そう来るか、と思ったらまた違った展開に、と思ったら今度はそっちか、と緊張感が続く。

    ネタバレにならないように最後に一言、彼女はただの繊細な真珠ではなく、自分自身をやっと見つけた女性として輝き始める。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Fingersmith" Sarah Waters (2002) Review | Girls in crime and in love
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    荊の城 上 (創元推理文庫)
    荊の城 上 (創元推理文庫)


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    荊の城<上> (創元推理文庫) [ サラ・ウォーターズ ]
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  • 『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 レビュー | インドの聖典の解説本

    『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 レビュー | インドの聖典の解説本


    My Gita (English Edition)
    (私のギーター)
    Devdutt Pattanaik, 2015
    My Gita
    256 pages
    2020.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インドの聖典の一つバガヴァッドギーター
    ✔ 聖典の解説書
    ✔ タスクのためだけに存在する女と社会を支配する男

    ★★★★☆ インドの聖典の一つバガヴァッドギーター。本文を読んでから読む解説本。これだけでもギータの意義はだいたい分かる。アルジュナはただ戦うべき、なぜならそれがアルジュナの義務だから。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの友人がこれならわかりやすいよ、と勧めてくれたインドの聖典の一つバガヴァッドギーターの解説本。
    確かに分かりやすいという意味は分かる、だた、ギーター自体を知らない外国人にはまずそこの前提が違っていたんですよ。
    だから本体を知らずに解説書だけを読んだ私が悪い。

    ただ、これだけでもどういう教えをギーターは伝えようとしているのかは分かる。
    ご存じの方も多いと思うけれど、社会の一員としての義務を説くのがこの聖典。
    王子アルジュナは神クリシュナにすべてを任せてただ戦うべき、なぜならそれが王子の義務だから。

    なるほどと思ったのは、人間と神の関係性。
    神は人間を愛し尊敬もする、人間が神を愛し尊敬すれば。

    ギーターそのものをちゃんと読まなければ。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “My Gita” Devdutt Pattanaik, (2015) Review | Understanding The Gita
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    My Gita (English Edition)
    My Gita (English Edition)


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    My Gita【電子書籍】[ Devdutt Pattanaik ]
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  • 『(茶の歴史)』 ロイ・モクサム, 2003年 レビュー | 情報の詰まった茶の歴史本

    『(茶の歴史)』 ロイ・モクサム, 2003年 レビュー | 情報の詰まった茶の歴史本


    A Brief History of Tea
    (茶の歴史 中毒と搾取と帝国)
    ロイ・モクサム 2003
    A BRIEF HISTORY OF TEA:
    Addiction Exploitation and Empire (Brief Histories)
    Roy Moxham 2003
    2020.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    (日本語未出版)


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 茶をめぐる英国、中国、インドの歴史
    ✔ 大英帝国の支配のシステム
    ✔ アフリカなども関わってくる現在に至るまでの流れ

    ★★★★☆ 茶の歴史、ということで地域としてはもちろん英国、中国、インドを中心とした歴史の本で、つまりは英国がいかにシステマチックに中国のモラルを破壊し、インドを陥れたか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    Brief、簡潔なという名のシリーズだけれどかなりの情報量でさらっと読むものではない。

    茶の歴史、ということで地域としてはもちろん英国、中国、インドを中心とした歴史の本で、つまりは英国がいかにシステマティックに中国のモラルを破壊し、インドを陥れたか。
    お茶が好きな誰もが忘れてはいけない植民地主義の歴史。

    現在はヨーロッパにもっと近いアフリカのケニアで安価な茶葉が作られる。
    同じような運命をたどったのはチョコレートで、同じくアフリカでかなり安く作られる。
    砂糖もそう、嗜好品の歴史はどれも苦い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "A BRIEF HISTORY OF TEA" Roy Moxham (2003) Review | An informative history book around tea

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    A Brief History of Tea
    A Brief History of Tea: Addiction, Exploitation, and Empire (Brief Histories)


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    ーー

  • 『アナーキズムについて』 ノーム・チョムスキー, 2013年 レビュー | 大衆のパワーの政治哲学

    『アナーキズムについて』 ノーム・チョムスキー, 2013年 レビュー | 大衆のパワーの政治哲学


    On Anarchism (Penguin Special) (English Edition)
    (アナーキズムについて)
    ノーム・チョムスキー, 2013
    On Anarchism
    Noam Chomsky
    128 ページ
    2020.07 読了
    日本未出版
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アナーキズムをめぐる政治哲学
    ✔ アメリカ政治
    ✔ スペイン内戦などの具体例

    ★★★★☆ 大衆にとって良いことは、イデオロギーにしがみつくことか。いや、ごく一部のエリートを投げ倒すことのできる大衆のパワーは私たちを明るい未来へと導く。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    オバマ政権時代に出版された本、当時は確かに政治的アイデアの違い、イデオロギーの違い、だった。
    でもトランプ政権の時代のアメリカは、ただの政治の違いではなく、いかに数人の金持ちがより金持ちになるかという、わがままの販促のためのゲーム。

    チョムスキーはイデオロギーを信用しているけれど、それよりも実際的であるものに重点を置いているように思える。
    大衆にとって良いことは、イデオロギーにしがみつくことか。
    いや、エリートを投げ倒すことのできる大衆のパワーは私たちを明るい未来へと導く。

    それにしても、政治学に詳しくない私にはかなり難しい本だった。
    スペイン内戦に詳しくないのでそこはさらっと読むしかなかったし、まだまだまーだ、知らないことや学ぶことが山積み。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "On Anarchism" Noam Chomsky (2013) Review | Power of collective actions
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    On Anarchism (Penguin Special) (English Edition)
    On Anarchism (Penguin Special) (English Edition)


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    On Anarchism【電子書籍】[ Noam Chomsky ]
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  • 『(メアリ・シーコール)』 ロン・ラムディン, 2005年 レビュー | ジャマイカ生まれの看護婦の伝記 

    『(メアリ・シーコール)』 ロン・ラムディン, 2005年 レビュー | ジャマイカ生まれの看護婦の伝記 


    Mary Seacole
    (メアリ・シーコール)
    ロン・ラムディン, 2005年
    Mary Seacole
    Ron Ramdin, 2005
    2020.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ジャマイカ出身の看護婦の伝記
    ✔ クリミア戦争で活躍した、ナイチンゲールと同じ時期の人物
    ✔ 近年その活動が再認識されている

    ★★★★★ ジャマイカ出身の混血の看護婦。クリミア戦争で肌の色を理由に英国ナイチンゲールに拒否されるも自費で向い戦線で兵士たちの心と身体の傷を癒す。「混血版ナイチンゲール」ではない。彼女はシーコールという一人の独立した英雄である。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ジャマイカ出身の混血の英国人の看護婦の伝記。
    幼少期から医療や看護に携わるも混血であること、女性であることで大きく差別を受ける。
    クリミア戦争のとき英国のボランティア看護師を志願するも、白人でないことでフローレンス・ナイチンゲールに拒否される。

    それでも自分の経験と知識は役に立つと信じ、自費でクリミアに入り、ナイチンゲールたちが後方の安全なエリアで看護をしている中、戦場にかぎりなく近い場所で看護施設を設ける。
    食堂のようなビジネスを立ち上げ資金稼ぎにするという偉業。
    戦場で兵士にとってのくつろげる場所を提供し、その売り上げを兵士の身体的な傷を癒す。

    拒否られようが差別されようが、とにかく怯まない、自分の能力を最大限に使って人を助けるために生きる、すごい。

    英国人、白人である兵士たちを「息子たち」と呼び、彼らからも信頼され愛される存在になる、これはのちに彼女が破産したときに当時の兵士たちが助けたということでも証明されている。

    逆に神経質で有名なナイチンゲールの暗い部分を浮かび上がらせる話でもある。
    人手が足りないのに人種差別を優先したあとも、戦線で生き生きと兵士たちの心と体の看護に徹したシーコールを、兵士に酒を飲ませた、うるさい、と非難。
    そして英国という国もシーコールの偉業を100年近く闇に葬り、ナイチンゲールのみを全面的に「天使」化した。

    決して忘れてはいけないのはシーコールは「混血版ナイチンゲール」ではない。
    彼女はメアリ・シーコールという一人の独立した英雄である。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Mary Seacole” Ron Ramdin (2005) Review | Determination to help her "sons"
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    Mary Seacole
    Mary Seacole (Life & Times) 英語


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  • 『パパは家出中』 ハニフ・クレイシ, 2001年 レビュー | ロンドン、ロックンロール小説

    『パパは家出中』 ハニフ・クレイシ, 2001年 レビュー | ロンドン、ロックンロール小説


    パパは家出中
    パパは家出中
    ハニフ・クレイシ, 2001
    Gabriel’s Gift
    Hanif Kureishi
    2020.06 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ロンドンが舞台のミュージシャンの父と息子
    ✔ 父と息子と家族のずれ

    ★★★☆☆ ロンドン、ロックンロール、そこで大人になっていく少年。ロックな両親の元に生まれ、両親のロックな環境で育ち、そういう感じが好きな人はきっと楽しめる一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロンドン、ロックンロール、そしてそこで大人になっていく少年。

    『マイ・ビューティフル・ランドレット』の脚本家なのであの素敵な青春を予想していたけれど、ここはほぼ純粋にロック音楽への賛歌。

    ロックな両親の元に生まれ、両親のロックな環境で育ち、でも小さいときに双子の兄弟を失った主人公。
    そういう特殊な子供時代を少年の目で見つめる、という感じで、そういう感じが好きな人はきっと楽しめる一冊、ただ私はその辺については鈍い。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Gabriel’s Gift” Hanif Kureishi (2001) Review | Rock and London
    tag ; 音楽 ロンドン
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    パパは家出中
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  • 『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 レビュー | 救いに溢れた幸せを問うSF

    『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 レビュー | 救いに溢れた幸せを問うSF


    アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
    アルジャーノンに花束を
    ダニエル・キイス, 1966
    Flowers for Algernon
    Daniel Keyes, 1966
    2026.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 知的障害を持つ主人公の頭脳へ起きる変化
    ✔ 彼の書いた日記として進む物語
    ✔ 幸せとは何かを問う感動作

    ★★★★★ 幸せとは何か。素晴らしい知識の中でチャーリーは幸せだったと思いたい。私たちは何かを得てもその何かを失うサイクルからは逃れられない。許しと救いに溢れたストーリー。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    あまりにもチャーリイの障害が身近過ぎて客観的に感動できなかったところはある。
    逆にいうと、だからこそ痛いほどよくわかるところもある。
    なんというか、感動で涙は出ないけど、ただただ痛かった。

    でもできるだけ客観的に。
    小説の感想はいつもはできるだけ内容に触れないようにしているんですが、今回は少し内容に触れているので全く何も知りたくない人は読まないでください。

    この本が問うことは「幸せとは何」というとてつもなく大きな問。

    チャーリイの手術後すぐに、同僚の子が呟いた話にヒントがあるように思う。
    神様は私たちが与えられたもの以上のものを得ようとすることを許さない。
    彼女の考えでは、賢くなることは悪いこと。
    チャーリイは果たして周りの誰よりも賢くなることで幸せになったのか、そして良いことだったのか。
    世界中にあふれている素晴らしい知識を体いっぱい吸収できて彼はきっと、いや間違いなく幸せだったはず。
    それでも超能力がなくなるように、もっと言うと年を取って誰もがそれぞれ呆けたり遅くなっていくかのように、生きていくうえで避けられないサイクルとして、何かを得ても人は必ずその何かを失う。

    知識は力、たまに力が強すぎて害を及ぼすけれど、間違いなく失うものと思えれば、その山と谷をしっかりと自分のものにすればいい。
    得て、失って。
    広い目で見れば失うことだって、不幸と一言では言えない、そんなに狭い視野の話をしていない気がする。

    失ったと思った友情も、いつか戻ってくるかもしれない。
    人は大きな共同体、コミュニティの中での持ち場があるということも考えさせられる。
    (特にアメリカのような超個人主義の中でそれぞれの共同体ということも)

    そして、母親の存在。
    母親は悪い人間だったのか、自分の息子が「普通」であることを望むのは悪いことか。
    道徳の授業で差別はいけませんと教えられていると、他人ごとでは簡単に言える。
    自分の息子は他の子と同じように会話したり仕事をしたりすることはないと絶望した母親には、そんな他人事は通じない。
    それでもチャーリイのことを第一に考えることができればよかったのに、彼女は自分の不幸に集中するあまり息子のことを愛することを忘れていた。

    みんな、自分が一番大切。
    でも周囲の人間を傷つける気持ちもない、ただどちらもこなすのが難しいだけ。
    許しと救いにあふれているストーリーで本当に良かった。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Flowers for Algernon” Daniel Keyes (1966) Review | Forgiveness and salvations

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    アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
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  • 『生きがい』 茂木健一郎, 2017年 レビュー | 小さな幸せ逆輸入

    『生きがい』 茂木健一郎, 2017年 レビュー | 小さな幸せ逆輸入



    生きがい
    茂木健一郎, 2017
    Ikigai
    Ken Mogi
    2020.05 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 脳科学者がイギリスで出版、その後日本語に翻訳
    ✔ 欧米人に向けての日本の生きがいの紹介
    ✔ 日本人にとっても発見のある一冊

    ★★★★☆ イギリスで出版された本を数年後日本に逆輸入。心持ち日本の宣伝になってるのは仕方ないけれど、確かに当時ロンドンではどこの本屋にもあった。Japanese books人気の先駆け。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    もともとはイギリスで出版された本なのでターゲットはイギリス人ではあるけれど、結局逆輸入されたのは面白い。

    日本人ではない人たちが、日本人の考え方の謎を解くカギになる一冊で、細かい作業を続ける職人や同じような生活をするサラリーマン、そんな日本人の裏には「生きがい」という概念がある、と。

    心持ち日本の宣伝になってるのは仕方ないけれど、今の日本現代文学ブームの前に書かれたこの本は確かにロンドンではどこの本屋にもあった。
    まだまだ日本の本が今のように流行になる前に、ひっそりと本屋の入り口に並んでいたし、直後には似たような本が日本人じゃない人が書いたり。
    もちろん茂木先生の職業などは知らない人たちが、当時はまだミステリーだった日本人のことを知るきっかけになったはず。

    日本人にとって発見があるかどうかは別ですね。
    それを逆輸入して、「見て、日本って素晴らしいでしょ」となるのは、さすが。
    イギリスにいるときに英語で読んだので★4つだけど、日本で生活してて日本語で読んだらたぶん★3つになる。

    🔽 関連ページ 🔽
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    生きがい (新潮文庫)


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  • 『ティファニーで朝食を』 トルーマン カポーティ, 1958年 レビュー | 読者も彼女に恋をする

    『ティファニーで朝食を』 トルーマン カポーティ, 1958年 レビュー | 読者も彼女に恋をする



    ティファニーで朝食を
    トルーマン カポーティ, 1958
    Breakfast at Tiffany’s
    Truman Capote
    2020.05 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 華やかな若き天才作家と呼ばれた著者
    ✔ 田舎から出てきてニューヨークで自由に遊ぶ日々の女の子
    ✔ 村上春樹も翻訳

    ★★★★☆ オードリーヘップバーンの映画はみんなが知ってる。確かにこの物語に恋をする。主人公ホリーは自由奔放で実は繊細。恋するけれど、誰か彼女のことを大切にしてくれるだろうか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    オードリーヘップバーンの映画はみんなが知ってる。
    でも映画はこんなに暗い感じだったけ?
    たぶん映画はもっと明るくしてたと思う。

    確かに、この物語に恋をする。
    主人公ホリーは自由奔放でありながらも実は繊細。
    まだ20歳の彼女は間違いを犯しながらもさっさと次へ次へと進んでいく。
    みんなが彼女を愛する、でも誰か彼女のことを大切にしてくれるだろうか。

    短編集なんだけど、日本語は村上春樹の訳とは、それは贅沢。
    🔽 関連ページ 🔽
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    ティファニーで朝食を (新潮文庫)


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  • 『黒い皮膚・白い仮面』 フランツ・ファノン, 1952年 レビュー | 劣等感と優越感の心理的構造

    『黒い皮膚・白い仮面』 フランツ・ファノン, 1952年 レビュー | 劣等感と優越感の心理的構造



    黒い皮膚・白い仮面
    フランツ・ファノン, 1952年
    Black skin, white masks
    Peau noire, masques blancs
    Frantz Fanon, 1952
    2020.05 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 人種差別の裏にある心理的構造と恐怖を説く
    ✔ 植民地マルティニーク出身の精神科医
    ✔ 留学中の当時のフランスにおける人種差別に向けて

    ★★★★★ 黒人は白人社会に身を置いて初めて黒人となる。その植民地主義の世界で黒人は常に自らを否認しながら生活する。複雑で解決方法がなくても、目を背けない、そのためにこの本を読む。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ポストコロニアリズムの古典。
    黒い皮膚を持ちながら白人として生きるとはどういうことか。
    いやもっというと、白人としていきたいと思うこととは、どういうことか。

    著者ファノンはフランスの植民地マルティニーク出身の精神科医。
    精神科医ということは潜在意識の専門家であり、つまり制御された欲求、つまり性的欲求、もしくは恐怖の専門家。

    黒人は、白人社会に身を置いて初めて黒人となる。
    白人社会とは植民地主義の世界であり、黒人は常に自らを否認しながら生活する必要がある。
    自己否定を避けることができても、主体的にはならない。
    逆に白人は、自分たちが勝手に作り上げた黒人像に怯えながら生活する必要がある。
    野蛮で、なにより性的に強力な黒人像。
    面白いのは、恐怖症という怯えは実は深いところにある欲求から生まれるという論点。
    つまり、差別主義者は心の奥では黒人に脅かされたいという欲求がある、と。

    もう一つ面白い点は、彼はフランスの植民地主義について語るという点で、奴隷制度の廃止はアフリカ人が戦って得たものではなく、白人のご主人様から与えられたものだという観点。

    もちろん、黒人だけでなく私自身のように白人社会で生きる白人以外の人間は常に自分の皮膚の色がもたらす余計な意味について意識しながら生活するわけで、どこにいても白人が一番優位である事実は避けられない。
    日本は植民地化されていないので、日本にいる限り自分の肌の色から生まれる原罪を意識することはほとんどない。
    むしろ日本人特有のコンプレックスでアジアにおける「黄色い皮膚・白い仮面」というちょっと違う側面もあるが、それはここではさて置き。

    あと、上記にもちょっと書いたように、もちろん映画や娯楽、アート、文化において黒い皮膚というのは悪と描かれるので、アジア人を含む共同的なイマジネーションにおいて、その歴史を知っていなくても「黒=悪」という方程式が植えつけられる。

    ファノンは、植民地主義に植民地化されたくないという。
    黒人は劣等感から解き放たれ、白人は優越感から解き放たれるべきだと。

    そして70年以上たった今。
    人種を超えたコミュニケーション、友情、恋愛関係は普通になって、人種差別をする人間は見下される世の中になった。
    でも、私たちは本当の意味で人種から自由になったのか。

    ファノンの苦悩はなくならなかった。
    例え知識人として知的な発見をしたとしても、サトウキビ畑で労働を強いられている8歳の子の生活は変わらないと。
    問題は単純に皮膚の色だけでもない。
    白人社会で生きるミドルクラスの黒人の苦しみと、その日の生活がやっとの黒人の苦しみ、二人の問題は同じものではない。
    人種の問題は多くの段階を含み、層を含み、複雑である。

    でも、それでも、たとえ複雑であっても解決方法がなくても、目を背けない、そのためにこの本を読む。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    tag 植民地主義
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    黒い皮膚・白い仮面 【新装版】



    フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 (NHK100分de名著)
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  • 『オリクスとクレイク』 マーガレット・アトウッド, 2003年 レビュー | アトウッドのSF

    『オリクスとクレイク』 マーガレット・アトウッド, 2003年 レビュー | アトウッドのSF



    オリクスとクレイク
    マーガレット・アトウッド, 2003
    Oryx and Crake
    Margaret Atwood
    2026.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ カナダの作家のSF作品
    ✔ 人間がいなくなった世界というディストピア
    ✔ MaddAddamシリーズ第一弾

    ★★★☆☆ SFは苦手なんです。たとえアトウッドであっても苦手であると確信。この世界を作り上げることに時間は割かれすぎ?で人物に魅力を感じられない点も私には難しかった。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    SFは苦手なんです。
    たとえアトウッドであっても苦手であると確信。

    なんでこういう世界にいるのかが436ページ中250ページ位になるまで見えてこないのは私には難しかった。
    文章はすごい、描写もすごい、状況を掴めれば面白い、でもこの世界を作り上げることに時間は割かれているにも関わらず人物像を作り上げることがほぼないので、人物に魅力を感じられない点も私には難しかった。

    日本語はもう売られていないのか、アマゾンで高額で売ってあるのみのよう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Oryx and Crake” Margaret Atwood (2003) Review | SF from Atwood
    tag SF
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    オリクスとクレイク


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  • 『Unmarriageable』 ソニア・カマル, 2019年 レビュー | パキスタン版高慢と偏見 

    『Unmarriageable』 ソニア・カマル, 2019年 レビュー | パキスタン版高慢と偏見 



    Unmarriageable
    Soniah Kamal, 2019
    ソニア・カマル
    384 ページ
    2020.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ パキスタン版の『高慢と偏見』
    ✔ 2000年ごろの英語の教師が主人公
    ✔ 元気でおしゃべりなパキスタンの女子たち

    ★★★★☆ まさにパキスタン版『高慢と偏見』リアルなパキスタンの若い人たちの様子、口うるさい年寄りにうんざりしながらも元気でおしゃべりなパキスタンの女子の様子が新鮮。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    パキスタン版『高慢と偏見』。まさに。

    (この時点では)まだジェーン・オースティンのオリジナルを読んでいなかったので似ている点については詳しくわからないけど、間違いなくエンターテイメントな一冊。

    パキスタン生まれでアメリカ人の著者の作品。
    もうパキスタンは独立はしているけれど、まだ大英帝国の影響は消え去ってはいない2000年頃の社会で英語の先生である若い女性が主人公。
    パキスタンの当時の様子、新旧の文化や食文化が次々と描かれそれだけでも楽しい。
    出版はアメリカだし、欧米を意識していた感じは否めないけど、欧米メディアを通さないリアルのパキスタンの若い人たちの様子、口うるさい年寄りにうんざりしながらも元気でおしゃべりなパキスタンの女子の様子が新鮮。
    きっとその辺はオリジナルと同じ感じなんだと思う。

    日本語版はないですが、英語はそんなに難しくないし、コミカルなパキスタンの様子なんてなかなか簡単に読めないので頑張る価値ありです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Unmarriageable” Soniah Kamal, (2019) Review | Pakistani Pride and Prejudice
    オリジナル「高慢と偏見」ジェーン•オースティン
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    Unmarriageable: Pride and Prejudice in Pakistan (English Edition)


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  • 『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 レビュー | ノーという女性の古典

    『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 レビュー | ノーという女性の古典



    ジェーン•エア
    シャーロット・ブロンテ,  1847
    Jane Eyre
    Charlotte Bronte
    2026.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 女性主体の英文学の古典
    ✔ 当時の社会の常識に反抗した主人公の潔さ
    ✔ ゴシック、ホラー的な要素もある恋愛小説

    ★★★★★ 一人の女性の惨めな子供時代を経て自らの手で這い上がる成長物語であり、当時のイギリスにとっての社会的なテーマが盛り沢山。狂気の女の象徴するところもとっても気になる

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    古典って避けてしまう傾向にあるけど、実はエンターテイメント性が高いものが多いんですよね。
    まあ、だからこそ何世紀も愛されるわけですが。

    この本もそう。
    ドロドロのメロドラマもあればロマンスもある。
    強い女性像のイメージがあったのでロマンス要素に関しては想像以上だった。
    一人の女性の惨めな子供時代を経て自らの手で這い上がる成長物語であり、フェミニズム満載であり、宗教の問題も、ちょっと怖めのゴシックでもあり、階級社会、人種、植民地主義などなど当時のイギリスにとっての社会的なテーマが盛り沢山。

    そして当時の批判は目に浮かぶよう。
    家父長制に服従しない女?男にノーという女?地位もなく地味な見た目のくせに?なんということでしょう。

    もちろん今日の社会では見方は変わる(といってもいまだに女のくせにという意見は無きにしも非ず)。
    彼女は男性にただ単に宝石やきれいな服を浴びるように与えられる人生は送りたくない。
    自分も対等に貢献できると確信できる日まで彼女は愛する人をも拒否し続ける。

    あと「屋根裏部屋の狂気の女」もとっても興味深い。
    当時の差別主義が隠さずに描かれており、混血の人間、黒人であるこの女は理性がなく暴力的で、高貴な白人の文明から遠ざけなければいけない。
    そしてジェーン本人はあまり怖がっても憎んでもいないというところも気になる。
    この辺りは本が出ているそうなので、いつか。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Jane Eyre” Charlotte Bronte (1847) Review | A woman who says no
    tag 女性主体
    tag フェミニズム
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    ジェーン・エア(上) (新潮文庫)


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  • 『密やかな炎』 セレステ•イング, 2017年 レビュー | 女たちの内なる怒りを描く

    『密やかな炎』 セレステ•イング, 2017年 レビュー | 女たちの内なる怒りを描く



    密やかな炎
    セレステ•イング, 2017
    Little Fires Everywhere
    Celeste Ng, 2017
    2020.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 社会的地位や家族構成の違う二つの家族
    ✔ 母親と娘の関係
    ✔ アマゾンでドラマ化

    ★★★★☆ 二つの家族、二つの逆の生き方。フェミニズムを語るときそこには常に人種や貧富の差、社会的地位、イデオロギーの違いなどが確実に存在している。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    この映像化に関わったので同僚から借りた本。

    静かにゆっくりと始まる、まさにこの原題のように小さな炎があちらこちらで生まれていく。
    二つの家族、二つの逆の生き方、異なる母親像に、異なる娘像、そして異なる運命。


    登場人物はほの女性で彼女たちの内側の怒りを描くんだけど、ここで重要なのは女性と言っても一つの存在ではなく、社会的地位と貧富の差が女性を分け隔てるということ。
    フェミニズムを語るときに重要なことは、そこには常に人種や貧富の差、社会的地位、イデオロギーの違いなどが確実に存在しているという事実。
    フェミニズムの一言でまとめられる問題じゃない。

    女性同士の問題を、なんというか心持ち分かりやすくしすぎている気がしてそこがちょっと気になるけど、でも私のいつもの屁理屈なだと思う。

    もうちょっと壊れていく感じを出していたら私の好みにもっと近づくのではと密かに思う。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Little Fires Everywhere” Celeste Ng (2017) Review | Women’s inner anger
    tag フェミニズム
    tag 女性主体
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    密やかな炎


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  • 『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008年 レビュー | アヘン戦争直前の奴隷船にて

    『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008年 レビュー | アヘン戦争直前の奴隷船にて



    Sea of Poppies
    Amitav Ghosh, 2008
    (ケシの海)
    アミタヴ・ゴーシュ
    559 ページ
    2025.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アヘン戦争へ向かう時代のインドが舞台の歴史小説3部作
    ✔ 人種も階級も超えて奴隷船の上でつながる登場人物たち
    ✔ 植民地主義をテーマにするアメリカ在住の英語インド人作家

    ★★★★ 大英帝国が治めるインド、そこで行われるケシの栽培、そしてアヘン戦争の匂いを受けて奴隷船に乗り込む人々。それだけでもう本を開く前から自分好みなのは一目瞭然。3部作、先が気になる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    噂には聞いていたけど、やっぱり圧倒的に面白かった。

    大英帝国が治めるインド、そこで行われるケシの栽培、そしてアヘン戦争の匂いを受けて奴隷船に乗り込む人々。
    それだけでもう本を開く前から自分好みなのは一目瞭然。

    開けてみると、個性的な登場人物がどんどん出てくる。
    辛い結婚生活から逃げた主人公の女性ディーティ、フランス人ポーレットとインド人ジョドゥの兄妹愛、破綻した繊細なラジャに、秘密を持ったアメリカ人船乗りザッカリー、などなどがそれぞれの思いを胸にモーリシャス諸島へ向かう奴隷船アイビス号に乗り込む。
    その流れだけで分かるよう、壮大なストーリーがこの3部作で描かれるのです。

    女性たちの無謀さと、それについて行ってる男性たちだったり、騙されて人生が一転するラジャの変化などがエンターテインメントを込めて書かれているのでこの後どうなるのか。
    まだ最初の一冊を読んだばかり、先が気になる。

    日本ではまだ翻訳されてないので残念。
    英語はちょっと難しいです、というかインド英語やそれぞれの訛りなどもあり分かりにくい。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Sea of Poppies” Amitav Ghosh (2008) Review | Leading up to Opium War
    category 文学 インド 南アジア/Indian S. Asian Lit.
    tag インド/India
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    Sea of Poppies: Ibis Trilogy Book 1 (English Edition)

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  • 『ゴータマ・ブッダ』 2011年 レビュー | ブッダの人生を知る入門書

    『ゴータマ・ブッダ』 2011年 レビュー | ブッダの人生を知る入門書



    Gautama Buddha
    The Life and Teachings of The Awakened One
    Vishvapani Blomfield, 2011
    (ゴータマ・ブッダ)
    416 ページ
    2020.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ブッダの個人としてのバイオグラフィー
    ✔ 経典や教えというよりもその生き様の入門書
    ✔ 当時のインドの様子や周囲の人間の環境も

    ★★★★☆ 飾らずミステリアスにならないように書かれたブッダの伝記。経典ではなく個人としてのブッダの人生を知る入門書であり、そしてなぜあの時代のインドで仏教がスタートしたかがよく分かる一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    できるだけ飾らずミステリアスにならないように書かれたブッダの伝記。

    なんといっても2500年前なので順序よく語るのが難しいはずだけど、ブッダの人生を忠実に追い、当時のインドの様子もきちんと描写されている。(といってもこれまた大昔なので現実ではありえないことになる場合もある)

    経典ではなく個人としてのブッダの人生を知る入門書であり、そしてなぜあの時代のインドで仏教がスタートしたか、なぜ現代においても多くの人を魅了するのかということ、ということがよく分かる一冊。
    ただ読むのは難しかった。だって今もだけどこの時代のインドの人の名前はとても長くてしかも色んな人が出てきて誰が誰かわからなくなる。
    なので英語自体はちょっと上級者向き。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Gautama Buddha” Vishvapani Blomfield (2011) Review | Intro to Buddha’s own life
    tag 仏教
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  • 『インドへ』 横尾忠則, 1977年 レビュー | カルチャーとしてのインドへ

    『インドへ』 横尾忠則, 1977年 レビュー | カルチャーとしてのインドへ



    インドへ
    横尾忠則, 1977
    203 ページ
    2020.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ グラフィックデザイナーの語るインドの魅力
    ✔ インドという幻想の世界への旅行記
    ✔ カシミール地方での滞在が特に詳しく書かれている

    ★★★★ 著者はインドそのものでなくインドが象徴するもの、例えば死が限りなく身近にあることなど、もっと言えばカルチャーとしてのインドに惹かれ、それを求めた。三島由紀夫の死によってインドへ導かれる横尾氏の彼の内側にあるインドへの旅行記

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの旅行記というのは星の数だけある。
    で、これはグラフィックデザイナー、画家の横尾氏の彼の内側のインドへの旅行記。

    インドという彼が抱いた幻想の世界への旅、むしろ彼の意識の中のインドへの旅というか、本物のインドは背景に過ぎない。
    そして彼の作品を見たことがあれば何故彼がインドにこだわるか一目瞭然。
    つまり彼は意識、また無意識の中で常にインドを求めていた。

    ニューヨークでのドラッグによる「インスタント悟り」に始まり、ビートルズを通り、ヒッピー、禅宗を通り、三島由紀夫の死によって、インドへ導かれる。

    この本ではメインはカシミール地方へ行ったときのことがメイン。
    最初にインドに行った強烈な印象を乗り越え、今回は星を眺め、宇宙と一体になってる時間のほうが長かったんじゃと思うくらい、宇宙やUFOが頻繁に出てくる。
    人間が自然と一体化するインドで、瞑想の中で自らが自然と一体化する。
    でもそこにはとてつもない貧困があり、差別があり、直球で遠慮のない死の世界もある。

    この本自体と同じくらい印象深い三島由紀夫の著者への言葉「インドへは行ける者と行けないものがあり、さらにその時期は運命的なカルマが決定する」

    著者はインドそのものでなくインドが象徴するもの、例えば死が限りなく身近にあることなど、もっと言えばアメリカのフィルターを通したカルチャーとしてのインドに惹かれ、それを求めた。

    私も親のおかげで小さい頃からインド亜大陸の写真を見ていて、いつか行くときが来ると漠然には思っていたけれど、別にヒッピーではないし、人生を変えようとも悟りを開こうともヨガを極めようとも思ってはない。
    でもこういう本を読むのは面白い。70年代まっしぐら。
    日本人がインドに対して抱く憧れは、こういう正直な文学により磨かれ保護され、永遠に消えないとおもう。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “(To India)” Tadanori Yokoo (1977) Review | India as fantasy
    tag インド
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  • 『(私がなぜ人種についてもう白人にはなさないのか) 』2019年 レビュー | 人種差別と対話

    『(私がなぜ人種についてもう白人にはなさないのか) 』2019年 レビュー | 人種差別と対話



    Why I’m No Longer Talking to White People About Race
    Reni Eddo-Lodge, 2019
    (私がなぜ人種についてもう白人に話さないのか)
    2020.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 英国の黒人女性が現代の人種差別へ立ち向かう
    ✔ 表紙のデザインは「白人たちに気を使う」というテーマから
    ✔ 人種差別も女性差別も無視せず声を上げる姿勢

    ★★★★★+❤ この本がなぜ今重要なのか。白人が人種差別主義者とレッテルを張られることは、黒人が人種差別を受ける事よりも酷いことという考えがまかり通る今の社会。実際に人種差別がなくならない理由はなにか。「何が」問題なのか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    とてもパワフルな一冊。 
    まずはカバーがいい。彼女の怒りや苛立ちを思う存分に表現してる。
    そして中身、今の英国にとってとても重要な内容。
    英国の歴史の中での黒人やアジア人がどうか変わってきたのかという観点から始まり、英国にシステムがいかに差別的か、またその差別が正当化されているか。
    (正確には黒い人と茶色の人という言い方でいわゆる東洋人、黄色人種ではない)
    何が人種差別を生むのか。そこで人々が抱える恐怖とは。
    フェミニズムと人種、階級と人種、と続く。

    この本が、なぜ今、重要なのかは英国に住んでいれば分かる。
    つまりここ5年ほどで、人種差別は正当化されているから。(当時2020年)
    白人が人種差別主義者とレッテルを張られることは、黒人が人種差別を受ける事よりも酷いことという考えがまかり通る社会。
    そして今まで、英国に特化した人種差別を問う本や議論の場というのは数えるほどしかなく、ほとんどはアメリカから輸入されたものであったという事実。
    つまりそれだけタブーであるということ。

    フェミニストでもある著者は、フェミニズムの土俵で、人種のことに触れると突き放されるという。
    別の場所でやってくれ、と。
    まるでフェミニズムは比較的裕福な白人女性のためだけの場であるかのように。
    多くのメインストリームの場で女性の権利は支持されるのに、人種差別に反対することは、理論的なレベルで支持されても、日常レベルでは見て見ぬふりをされる。
    しかも「これは人種差別じゃないから」と開き直って。

    実際に人種差別がなくならない理由はなにか。
    「何が」問題なのか。
    明らかに白人主義に問題がある、もちろん。
    どうやって白人のセンチメンタリズムを傷つけずに、白人を優位な立場から引きずり降ろさずに議論するか。
    怖い黒人女性と決めつけられずに意見を主張する方法があるのか。
    そういった葛藤の中で、彼女は、もう白人に人種の話はしない、と宣言したわけです。
    もちろんこれは、さらに数年前のブログのタイトルで、そこから彼女はやっぱり言わなければいけない、ということでこの本を書いているわけですが
    沈黙は自分を守ってくれない。黙っていても自分の立場は良くならない。

    挑発的なこの本は、まさに多くのセンチメンタルな白人を追い詰めて、彼らを罪悪感に浸らせてしまった。
    どうしていいかわからないと頼ってくる白人たち。
    イベントのQ&Aでモノローグを始め勝手に泣き崩れる白人。
    でも彼女は言う。
    罪悪感を感じる余裕があれば、自分の行動範囲内で声をあげてみればいい。
    一人ひとりが行動をし、一つのムーブメントとなる。

    日本にいればたしかにこの感覚は分かりづらい。
    でも、やっと外国人が日常で増えてきて対岸の火事ではなくなった。

    それでもこれはやっぱり重要な本である。
    英国人歌手のStormzyが言ったように、英国には例えばイタリアのようなあからさまな人種差別はないかもしれない。
    でも確実に存在していて、差別主義者は今まで陰口を言っていただけだけど、今日の英国で大声で言える権利を得たと勘違いしている。
    そしてそれはとっても恐ろしいことだ、と。

    この若い英国人黒人女性によって書かれた本がベストセラーになっていることは、間違いなく英国各地で議論のきっかけになった。
    ちょっと希望が持てる気もしてくる。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Why I’m No Longer Talking to White People About Race” Reni Eddo-Lodge (2019) Review | silence won’t protect us

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    Why I’m No Longer Talking to White People About Race: The #1 Sunday Times Bestseller
    
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  • 『パチンコ』 ミン・ジン・リー, 2017年 レビュー | 韓国から日本へ渡る女性のストーリー

    『パチンコ』 ミン・ジン・リー, 2017年 レビュー | 韓国から日本へ渡る女性のストーリー



    Pachinko
    Min Jin Lee, 2017
    パチンコ
    ミン・ジン・リー
    512 ページ
    2021.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1910年の韓国から日本に渡った主人公
    ✔ 家族を抱えて貧困も戦争も生き延びる母の姿
    ✔ 韓国と日本の関係と歴史が一人の女性を通じて見えてくる

    ★★★★★ 韓国から日本に渡った一人の女性、彼女の人生で絶えることなく続く苦労と小さな幸せと愛。人生はパチンコの如く。負けると決まっている勝負、なのに続けてしまう。力強いエピック。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1910年の韓国から日本に渡った一人の女性、彼女の人生で耐えることなく続く苦労と小さな幸せ。

    一人の女性の焦点を当てることで、より戦時中のリアルな苦しみが浮かび上がり、かえって普遍的なストーリーとなっていく。
    在日コリアンの歴史、日本と韓国の歴史、もしくは日本人と韓国人の歴史といったほうが正しいのか、その関係は簡単には概要を掴めない、というのも今日もまだ続き変わり続けているから。
    戦争は間違いなく関係悪化の要素の一つだけれどそれだけでもない。

    この本はいかに一瞬の不運やタイミングの違いでその後の人生が大きく揺らされるかを豊かな表現で描く。
    アジア人でないと分かりにくいところはあると思うけれど、アメリカ出版で世界中でベストセラー(むしろ日本の反応が遅くて鈍かった)

    韓国はドラマもそうだけどストーリーテリングが上手。
    ドラマチックな流れで、でも実際に戦時中や戦後はこんなスピードで人生は流れていったんだろう。

    フェデリコ•フェリーニは、人生は祭りだというけれど、この本は、「いや、人生はパチンコだ」といっている。
    フェアじゃない。負けると決まっている勝負。それでも続けてしまう。

    AppleTVのシリーズも観てみたい。



    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Pachinko” Min Jin Lee (2017) Review | Korean-Japanese epic
    tag 日本史
    tag 植民地主義
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  • 『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008年 レビュー | 現代インドのエネルギー

    『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008年 レビュー | 現代インドのエネルギー

    🔽 基本情報 🔽

    The White Tiger
    Aravind Adiga, 2008
    (ザ・ホワイトタイガー)
    アラヴィンド・アディガ
    336 ページ
    2021.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 小さなチャンスを掴み田舎の貧困生活から抜け出す少年
    ✔ 現代インドの都会と田舎の社会の格差
    ✔ 若者に宿る激しさとサバイバル精神と野望

    ★★★★★ 現代インドの若者に宿る激しさ、リアルさ。淡々と進んでいくようなストーリーなんだけど狂気的なエネルギーに溢れている。古典的なインドのイメージとは違うかもしれない、でもこれこそ今。日本語出版はないけどネットフリックス映画もいい。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ちょうど、ネットフリックスがプリヤンカー・チョープラー制作主演で映画化したので、観る前に読まねばと。

    想像していた通りの面白さ、激しさ、リアルさ。
    淡々と進んでいくようなストーリーなんだけど実はエネルギーに溢れていて、これこそ現代インドの鏡。
    どうしてもインドを神秘な国と決めつけてしまうけれど、現実にはここには人々が生活をしていて、多くの貧しい若者はなんとか自分の親より良い生活がしたいと突き進む。
    それは当たり前の若者のエネルギーなんだけど、ここはそれでもインド。
    物凄い数の人間が絡み合い、その中でも生まれたときから叩きつけられている身分をわきまえるという常識は自分の中からも消えない。
    日本っぽいところがあるというか、アジア全般での文化はやっぱり繋がるところがある。
    ただ、貧困の層が分厚いインドでのこの物語はとてつもない興奮をまとっている。

    主人公が言うように、自分の生きている間にきっと白い男たちは消え、茶色と黄色の男たちが世界を制するようになる、つまり白人の時代は終わりアジア人の時代が来る、というのはそう間違ってもないかも。

    英語はちょっと難しいかも、というのもインド英語も入ってくるし。

    ネットフリックスの映画(日本語あり)もいいです!
    もちろんボリウッド的な歌もダンスもないけれど、代わりにリアルな暴力と音楽がありさらにこのストーリーを盛り上げる。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The White Tiger” Aravind Adiga (2008) Review | Energy of young India
    tag インド

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    The White Tiger: WINNER OF THE MAN BOOKER PRIZE 2008 (English Edition)
    
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  • 『(カレドニアンロード) 』アンドリュー・オヘイガン , 2024年 レビュー | ダークでリアルなロンドン

    『(カレドニアンロード) 』アンドリュー・オヘイガン , 2024年 レビュー | ダークでリアルなロンドン



    Caledonian Road
    Andrew O’Hagan, 2024
    カレドニアンロード
    アンドリュー・オヘイガン
    657 ページ
    2025.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 現在の金持ちの遊び場と化したロンドンを風刺する
    ✔ 富豪政治家やロシア人、インフルエンサーなどとの絡み
    ✔ 金と権力の渦に巻き込まれる美術史の専門家の苦悩

    ★★★★☆ 完全にお金持ちの遊び場と化したロンドンが近年抱えている問題はここに詰まっている。未だに階級の問題は根強く残っているし、加えてロシアの富裕層や貧しい移民の問題もある。金、権力、悪意の中で生きる人々が皆抱えている思い、それは寂しさ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロンドンって住むにはどんなところ?と聞かれたら、とりあえずこれを読んでと言う。
    完全にお金持ちの遊び場と化したロンドンが近年抱えている問題はここに詰まっている。

    人々はより良い生活を求めてロンドンに行くけれど、すぐにそんなものは存在しないと気づかされる。
    ここ数年で特に急激にお金がないとマシな生活はできない街となった。
    未だに階級の問題は根強く残っているし、桁違いの金持ちの生き方は一般人からは見えないほどにきっぱりと区別されている。
    (もちろん旅行者に見えることは絶対にない)
    金、権力、悪意の中で生きる人々が皆抱えている思い、それは寂しさ。

    仲間と敵、それは政治上あったり利益であったり郊外に住むギャングであったり。

    主人公の美術史の歴史家兼教授である生徒との関係がメインだけど、貴族階級の伝統的な富裕層、ロシアの富裕層、その子どもたち、犯罪も厭わない若者ギャングなどの視点からも描かれていてまるでロンドンの街の生活そのままの複雑なサスペンス。

    このエリアは実は私は合計10年近く住んでいたので、知ってる道の名前が出てきて嬉しい。
    この辺は貧しい通りと裕福な通りが本当に隣り合わせ。

    英語レベルで言うとロンドンのスラングなども入ってくるのでちょっと難しめ。
    しかもみっちり657ページ。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Caledonian Road” Andrew O’Hagan (2024) Review | Dark reality of London today
    tag ロンドン

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    Caledonian Road: The Sunday Times bestseller (English Edition)
    
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  • 『(眼の中の砂)』タゴール, 1903年 レビュー | 不幸の未亡人を描くインドの傑作

    『(眼の中の砂)』タゴール, 1903年 レビュー | 不幸の未亡人を描くインドの傑作

    🔽 基本情報 🔽

    Chokher Bali
    Rabindranath Tagore, 1903
    (眼の中の砂、やっかいもの)
    ラビンドラナート・タゴール
    298 ページ
    2022.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インドの偉大な詩人タゴールによる小説
    ✔ 不幸を運ぶといわれる未亡人となった女性の半生
    ✔ 伝統的な社会の中で生きる悲しさ

    ★★★★☆ Chokher Bali、眼の中の砂、やっかい者。知り合いの家に預けられる才色兼備の未亡人、彼女はそれでも自由になりたかった。眼の中の砂は触るものすべてを乱して、いつの間にかいなくなる。不幸をテーマにした強く悲しいインドの傑作。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    初めて読んだタゴールの本はこの小説。
    インドでは有名でテレビや映画になっていて、特に最近のアイシュワリヤー・ラーイ主演のは見てみたい。

    Chokher Bali、眼の中の砂、やっかい者。
    美しい未亡人が、知り合いの家に預けられ、その家の嫁と仲良くなる。
    お互いをBaliと呼びあう仲だったけれど、才色兼備の未亡人(美しさが頂点のアイシュワリヤー・ラーイが演じる)は運命に反してでも自由になりたかった、そしてどんな手を使ってでも。

    日本人には馴染のある夫婦間、母と息子、嫁と姑、という繊細な家族の揺れ。
    そこに突如、悲しみを身にまとった美貌の未亡人がやってくるんだから、それぞれが沸々と狂っていく。
    眼の中の砂は触るものすべてを乱して、いつの間にかいなくなる。
    この身分をわきまえずに愛情も幸せも追求した悪に根元(インドでは未亡人は不吉な存在)。

    不幸をテーマにした強く悲しいインドの傑作。

    (原語はベンガル語、日本語訳は見つけられませんでした)
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Chokher Bali” Rabindranath Tagore, (1903) Review | Tragedy from India
    tag インド
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  • 『呪われた村』ジョン・ウィンダム, 1957年 レビュー 感想 | 居心地の悪いSF

    『呪われた村』ジョン・ウィンダム, 1957年 レビュー 感想 | 居心地の悪いSF

    The Midwich Cuckoos
    John Wyndham, 1957
    呪われた村
    ジョン ウィンダム
    240 ページ
    2022.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 居心地の悪いSF小説スバーガーのアドバイザーが著者
    ✔ この町の奇妙な秘密と政府の動き
    ✔ 「光る眼」など映画化

    ★★★★☆ 一斉に生まれた子どもたちは親に全く似ていないがお互いが似ていた。特に光った目。恐ろしいほどに賢く強く育っていく。居心地の悪い怖さの理由は、本当は今どこかで静かに起きて静かに消されているんじゃないか、というそのリアルさ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    友人に薦められるままに読んだので内容を知らなかったので最初は混乱状態に。
    なにこれ。
    SF小説をあまり読まないので他と比べようがないけれど、何度も映画化やドラマ化されている静かに恐ろしい一冊。

    静かな町である日、住民が全員意識を失い目が覚めると女性たちは妊娠していた。
    一斉に生まれた子どもたちは親に全く似ていないがお互いが似ていた。特に光った目。
    そして子どもたちは恐ろしいほどに賢く強く育っていく。
    何かがおかしい、この子達は何者なのか、どうすればいいのか、何が正しい方法なのか、どうやって止めるのか。

    居心地の悪い怖さの理由は、こんなことが本当はどこかで静かに起きて静かに消されているんじゃないか、というそのリアルさ。

    SFって昔は宇宙人の仕業だった。
    わかりやすい敵が外にいるいい時代だったのか。
    今は身内である人間が怖い。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Midwich Cuckoos” John Wyndham, (1957) Review | Uncomfortable


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    呪われた村 (ハヤカワ文庫 SF 286)


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  • 『(バンガロール探偵クラブ) 』ハリニ・ナジェンドラ, 2022年 レビュー | インド好きのためのミステリー

    『(バンガロール探偵クラブ) 』ハリニ・ナジェンドラ, 2022年 レビュー | インド好きのためのミステリー


    The Bangalore Detective Club
    Harini Nagendra, 2022
    (バンガロール探偵クラブ)
    ハリニ・ナジェンドラ
    292 ページ
    2022.12 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ シリーズ第一弾
    ✔ 1920年の南インドを舞台に若い主婦が犯罪に立ち向かう
    ✔ 当時のカルチャーや南インド料理の描写も魅力

    ★★★★☆ 1920年代の南インド、新米の主婦がベンガルールの街で起こる犯罪を推理する、という可愛い感じの推理小説。街の有名スポットが色々出てきて予習になったし美味しそうな料理も出てくる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1920年代のインド、医者と結婚したばかりで主婦として静かな生活を送るはずの主人公が南インドのベンガルール(バンガロール)の街で起こる犯罪を推理する、という可愛い感じの推理小説。
    シリーズ物の第一弾。
    主人公Kaveriが好奇心旺盛で強くて、そうなのインドの都会の女の子ってこんな感じっていう楽しさと、権力を持つイギリス人との衝突もあったり。
    若い奥さん、主婦であっても、白い目で見られても趣味の水泳はやめないし、好きに外を歩き回る。

    著者が実は生態学者という変わった経歴なのも面白いので続編も読んでみる。

    ベンガルールの街のスポットが色々出てきて旅行予習になったし美味しそうな料理も出てくる。
    インド好きな人が軽く楽しく読める。

    英語も比較的簡単なので英語の勉強にも。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Bangalore Detective Club” Harini Nagendra (2022) Review | Nice mystery for India lovers
    tag インド
    tag 女性主体

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    The Bangalore Detectives Club (The Bangalore Detectives Club Series) (English Edition)


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  • 『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー, 2014年 レビュー | 高級茶ダージリンの現実

    『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー, 2014年 レビュー | 高級茶ダージリンの現実


    The Darjeeling Distinction: Labor and Justice on Fair-Trade Tea Plantations in India (California Studies in Food and Culture Book 47)
    Sarah Besky, 2014
    (ダージリン ディスティンクション; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)
    サラ・ベスキー
    258 ページ
    2022.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    まさに探していたトピックの本。
    ダージリンのお茶と産業と労働者の関係。

    ダージリンは世界で一番高級な茶であり、世界中で知られていてステータスもある、なのになぜダージリンの労働者は貧しいのか。
    ダージリンのお茶一杯の値段はお茶を摘む仕事の女性の一日の給料より圧倒的に高い。
    高級感を売り物にするダージリンの現実は静かに隠されている。

    ダージリンやシッキム州のいわゆる広い意味でダージリン茶を作るエリアは実は最近まではインドではなかったし、18世紀に英国人が周辺の発達のためにネパールから大量の労働者を連れてきたので、人種的にもほとんどがインド人ではない。
    90年代に盛んだったグルカ運動はいまも消えたわけではないけれど、これだけ商品価値のある商品を作るダージリン、インドは、西ベンガル州は何があっても手放さない。
    グルカもネパール系の人々は何代もの間この産業を支えているのに実質的に何も所有できない、他の道も少ない、自分たちの歴史さえ曖昧になっている。
    フェアトレードの観点から言うと、フェアトレードを押し付けられるせいで現地の人間の生活はより厳しくなったとも。

    高級茶の代名詞のダージリンは現地の人々からの搾取によって支えられている。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Darjeeling Distinction” Sarah Besky (2014) Review | Dark side of the posh tea
    tag 東ヒマラヤ

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    The Darjeeling Distinction: Labor and Justice on Fair-Trade Tea Plantations in India


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    The Darjeeling Distinction Labor and Jus...
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  • 『A Sense of Direction』ギデオン ルイス=クラウス, 2012年 レビュー | 自分を見つける巡礼の旅

    『A Sense of Direction』ギデオン ルイス=クラウス, 2012年 レビュー | 自分を見つける巡礼の旅



    A Sense of Direction: Pilgrimage for the Restless and the Hopeful
    Gideon Lewis-Kraus, 2012
    ギデオン ルイス=クラウス
    352 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ カミーノ、四国、ウクライナをめぐる巡礼の旅
    ✔ 30歳のライターの若い男性と家出した父親との葛藤
    ✔ スピリチュアルじゃなくかなりリアルな大変な旅行記

    ★★★★☆ 30歳のライターがスペインのカミーノ・デ・サンティアゴ、四国のお遍路、ユダヤ教の巡礼でウクライナのウマンへと回る旅行記。旅の本当の目的は家族を捨て若い彼氏と暮らす父親との関係を修復することだと気づく。父を許せるのか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    最初は普通の旅行記にもとれる。
    30歳のライターでベルリンに自由気ままに文句をたれながら暮らしていたけれど、あるきっかけからキリスト教の巡礼の地カミーノ・デ・サンティアゴでスペインへ、そして四国のお遍路四国八十八ヶ所霊場、最後はユダヤ教の巡礼でウクライナのウマンへと次々と巡礼の地を回る。
    そしてこの旅の本当の目的は、自分の父親との関係を修復することだと気づく、といった感じ。

    世界中を回って結局自分の求めていたものはいつも出発地点にあったという典型的な旅ではあるけれど、やっぱりきつくて苦しい思いをすることでそこにたどり着くのです。
    ユダヤ教の指導者ラビであった父親が、ある日若い男の恋人を作って家を出た。
    その父親を許せるのか、許すのか、自分は父親を愛しているのか、父親は自分を愛してくれていたのか。

    そういう彼自身の葛藤を別にしても巡礼を回る旅行記としても面白い。
    宗教心もスピリチュアルな思いも全くなし、でも現代人はそういう人が多い。
    それでも巡礼をする意味はやっぱりある。
    サンティアゴは友人と(友人や恋人と巡礼する人たちは多くが分かれるらしいけど彼はなんとか友情を保ちつつ)、四国は一人きりで、そしてウクライナは弟と父親と。

    ユダヤ人らしいユーモアもちらほら見えて読み物として面白い。
    ただ足の裏がぼろぼろになり寒くて辛くて心も折れるこの旅行記を読んで自分も巡礼に行こう、とは思わないかも。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “A Sense of Direction” Gideon Lewis-Kraus, (2012) Review | Pilgrimages to yourself
    タグ: 宗教

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  • 『9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて』ウィリアム・ダルリンプル, 2013年 レビュー | インドの信仰の移り変わり

    『9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて』ウィリアム・ダルリンプル, 2013年 レビュー | インドの信仰の移り変わり



    Nine Lives: In Search of the Sacred in Modern India
    William Dalrymple, 2013
    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
    ウィリアム・ダルリンプル
    305 ページ
    2025.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ローカルな信仰が消え画一化したヒンドゥー教化するインド
    ✔ 人間としてではなく聖なる存在や技術として生きる人々
    ✔ 新しさと古さの渦の中の現代インドの人々を描く

    ★★★★★ 9つの聖なる人生。彼らは人間ではあるけれど「聖なるもの」として崇められている。画一化された信仰に向かう現代インド。あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今まで読んだダルリンプル氏の他の本とはちょっと違った感じ。
    形としては旅行記なんだけど、旅先の土地の様子ではなく、その土地が「創り上げた」人々の話。

    9つの聖なる人生、9人の人間のストーリー。
    彼らは人間ではあるけれど、「聖なるもの」として崇められすでに人間ではない生活を送っている。
    例えば自己を捨て聖人としてただ流れに任せて生きている人や、女神に仕える女性として生きているけれどでもやっていることは売春婦でしかないひと、または宗教的な踊りや歌を受け継ぐ人、本当にそれぞれの宿命を背負って生きている。

    私がダルリンプルの書く文章が大好きな理由はもちろん、彼のすべてをありのままに受け止め、深い情熱と愛を持って世界に届けようとする徹底したその姿勢。
    いまインドの社会は大きく変化している。
    それは日本のように人々が宗教から離れていくという減少ではなく、その土地その町の超ローカルな信仰が薄れていき、代わりに、意図的に、インド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできているということ。
    何百年も語り継がれてきた地元の信仰とは違う、インド全土で統一されたラーマの物語が全国放送のテレビを通じて短期間で人々の脳内の記憶を塗り直すナショナリステックなラーマフィケーション(Rama-fication、ラマ化)が進む中、あと何十年、あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    その最後をきちんと書き残してくれる歴史家がいるって素晴らしい、の一言に尽きる。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Nine Lives” William Dalrymple (2013) Review | Being holy in India today
    tag インド
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    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて (集英社新書)

    
    
  • 『(ハイヒールを履いた僧侶) 』西村宏堂, 2022 感想 | メイクアップと仏教という使命 >>

    『(ハイヒールを履いた僧侶) 』西村宏堂, 2022 感想 | メイクアップと仏教という使命 >>

    🔽 基本情報 🔽
    This Monk Wears Heels: Be Who You Are
    Kodo Nishimura, 2022
    (ハイヒールを履いた僧侶)
    西村宏堂
    224 ページ
    2022.09 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    お坊さんでありながらメイクアップアーティストであるユニークな人物。
    ユニークで強い使命感を持った人物。

    若い人にとって大きな励みになる自己啓発の本、ゲイであろうがなかろうが、根本的なメッセージは変わらない。
    自分に自信を持って、誇りを持って。

    メイクアップは自分の美をより強めるものであり、その裏に隠れるためのものではない。
    そして仏教は真実を追求するものである。
    そういう見方で考えると、一見無関係な2つのことが同じ目的を持っていて、それこそが彼の目的、ミッション。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “This Monk Wears Heels” Kodo Nishimura (2022) Review | Make-up and Buddhism
    tag 仏教
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    This Monk Wears Heels: Be Who You Are


  • 『茶の本』 岡倉天心, 1906年 レビュー | 日本文化の古典

    『茶の本』 岡倉天心, 1906年 レビュー | 日本文化の古典



    The Book of Tea
    Kakuzo Okakura, 1906
    茶の本
    岡倉天心
    128 ページ
    2022.06 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 20世紀の初めに欧米人に向けて英語で書かれた本
    ✔ 茶をめぐり、日本の精神や哲学を説く
    ✔ 東洋は野蛮というイメージを払拭する

    ★★★★☆ 120年前に欧米に向けて英語で書かれた岡倉天心の名書。茶の本、とはいいつつ単に茶だけでなく日本の精神や哲学、美徳といった幅広い観点から繊細でありつつも強いメッセージを感じる一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    120年前に欧米に向けて英語で書かれた岡倉天心の名書。
    茶の本、とはいいつつ単に茶だけでなく日本の精神や哲学、美徳といった幅広い観点から繊細でありつつも強いメッセージを感じる一冊。

    当時は日本、東洋は野蛮とみなされていたが、この一冊でかなり雰囲気は変わったと思う。
    茶道だけでなく華道も織り交ぜ、東洋独自の美徳とは何かを伝えることに成功したこの本は現在でも強いメッセージ性がある。
    茶道や日本の茶の歴史について学ぶというより、日本の精神を茶を通じて学ぶ、といった本。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Book of Tea” Kakuzo Okakura (1906) Review | Tea and philosophy
    tag
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  • 『自閉症の僕が跳びはねる理由』東田直樹, 2016年 レビュー | 新鮮で希望が持てる

    『自閉症の僕が跳びはねる理由』東田直樹, 2016年 レビュー | 新鮮で希望が持てる



    The Reason I Jump: The Inner Voice of a Thirteen-Year-Old Boy with Autism
    By Naoki Higashida, 2016
    自閉症の僕が跳びはねる理由~会話のできない中学生がつづる内なる心~
    東田直樹
    208 ページ
    2022.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 中学生の自閉症の男の子が綴る彼の心の中
    ✔ 当事者本人が語る他人と分かり合いたいという強い思い
    ✔ 自閉症について知りたいと思う人はまずは読むべき一冊

    ★★★★☆ 自閉症の子について色々と気付かされるだけでなく、まるで魔法のような美しさがある。彼の自然に対する愛情や他の人と繋がりたい、わかってもらいたいという強い気持ちも読み取れる。新鮮で希望が持てる、そう他人にとって「心地の良い一冊」

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    それまで気づかなかったこと(気にしていなかったこと)に気付かされるだけでなく、まるで魔法のような美しさがある。
    それだけではない、13歳の直樹くんの自然に対する愛情や他の人と繋がりたい、わかってもらいたいという強い気持ちも読み取れる、新鮮で希望が持てる心地の良い一冊。

    そう、心地が良い。
    意地悪な言い方をすれば、自閉症の子供について何も知らない人が、感動して気付かされて、心地よく読める本。
    でも当事者は皆知っているけれど、実は生活の中でそんな美しさはごく一部でしかない。
    それでも取っ掛かりになるとは思うしこの本が世にでて多くの人が読んだことは素晴らしいと思うし、読者感動したということには偽りはない。
    ただ、その感動は周りの大人が上手に作り上げた感があるのがどうしても残念。

    私の読んだ英訳バージョンの場合は超有名人である作家が関わっているので、やっぱりできれば日本語で読んでみたい。
    そして彼がこのあとに書いた本も是非。
    ぜひ彼の言葉(にできるだけ近いかたちのもの)で読んでみたい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Reason I Jump” Naoki Higashida (2016) Review | Revealing
    タグ: 自閉症 ASD
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  • 『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015年 レビュー | 植民地主義と高級茶

    『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015年 レビュー | 植民地主義と高級茶



    Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea
    Jeff Koehler, 2015
    (ダージリン 世界最高の茶)
    286 ページ
    2022.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ダージリン茶をめぐる歴史書
    ✔ 現在も続く植民地主義的な搾取の仕組み
    ✔ 労働者の日給はダージリン茶一杯以下という現状

    ★★★★★ お茶を摘む作業を担う女性の一日の給料は、一杯のダージリンの値段以下。世界有数の飲み物でありながら、つくり手の問題や生活環境は厳しく、いまだに植民地的な搾取によって生産されている。ダージリン茶に関するすべての背景をかなり掘り下げた一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ダージリン茶に関するすべての背景、なぜダージリンに茶が植えられたか、どういった植民地的な歴史を抱えているのかなどをかなり掘り下げた一冊。
    英国人が始めインド人経営者が受け継いだ茶園、そこに住み働く代々慎ましい生活をする人々の様子など人にまつわることも。

    多くの人にとってダージリンのお茶の風味はユニークな優雅さだったり高級感を象徴するけれど、ダージリンの抱える問題は別のユニークさがある。
    世界有数の高級な飲み物でありながら、つくり手の問題や生活環境は厳しく、いまだに植民地的な搾取によって生産されている。
    お茶を摘む作業を担う人間の一日の給料は、一杯のダージリンの値段以下。

    同じく世界有数の飲み物であるシャンパーニュやウィスキー、抹茶などと違い現地の国民、インド人は口にしないダージリンティー。
    数え切れない問題を抱えるダージリン茶産業、今後も人々はダージリンを飲み続けるのか、そして作り続けることはできるのか。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea” Jeff Koehler (2015) Review | Colonial history and Darjeeling
    tag
    tag 東ヒマラヤ
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    Darjeeling: The Colorful History and Precarious Fate of the World's Greatest Tea


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  • 『(歴史上の100人の邪悪な女たち)』 Hannah Jewell, 2019年 レビュー | 構わず偉業を残した女性たち

    『(歴史上の100人の邪悪な女たち)』 Hannah Jewell, 2019年 レビュー | 構わず偉業を残した女性たち



    100 Nasty Women of History:
    Brilliant, badass and completely fearless women everyone should know
    Hannah Jewell, 2019
    (歴史上の100人の邪悪な女たち)
    376 ページ
    2022.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ほとんど知られていない100人の女性の偉人たち
    ✔ きちんと成果を残した彼女たちの紹介
    ✔ タイトルも内容もジョークや口の悪さを残し家父長制に挑む

    ★★★★☆ 歴史上の100人のやり手な女性を集めた本。男性と同じ様に成果を残しても男性ほど大事ではないという世の中で、構わず偉業を残した女性たち。著者ごとく、まずは私達は彼女たちが間違いなく存在したという事実をきちんと受け止めるべき。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    100人の女性の伝記コレクション。
    トランプ大統領がナンシー・ペロシ史をnasty と呼びいつものように低俗なあだ名で呼んでいたのにかけて、歴史上の100人のやり手な女性を集めた本。

    著者ごとく、彼女たちについて深く読んでいく前に私達は彼女たちが間違いなく存在したという事実をきちんと受け止めるべきだと。
    歴史のホコリにまみれて人の目のつかない場所に追いやられた女性たち。
    男性と同じ様に成果を残しても、女性は常に男性より以下。男性の偉業ほど大事ではない。
    もし仮に、女性が何かを成し遂げたとしてもそれはただの偶然で、女性は英雄ではなく男社会にとってただnastyなだけ、邪悪なだけ。

    カテゴリー別に分かれていてそれぞれは短くて読みやすく、ジョークや口の悪い文章が連なるけれど、やりすぎずちょうどいい。
    ここからそれぞれの女性について読みすすめるガイドブック的な本。

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    100 Nasty Women of History: Brilliant, badass and completely fearless women everyone should know (English Edition)

  • 『(ダージリンにまっすぐな道はない)』 Parimal Bhattacharya, 2017年 レビュー | ヒマラヤを見上げる回想録

    『(ダージリンにまっすぐな道はない)』 Parimal Bhattacharya, 2017年 レビュー | ヒマラヤを見上げる回想録



    (ダージリンにまっすぐな道はない)
    No path in Darjeeling is straight
    Memories of a Hill Town
    Parimal Bhattacharya, 2017
    200 ページ
    2022.02 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1990年代にダージリンで教師として働いた著者の回想録
    ✔ 当時のグルカ運動、独立運動、地元の人々の生活と貧しさ
    ✔ この手の個人的な本は珍しい

    ★★★★☆ 1990年代にダージリン地区で勤務していたベンガル人教師の回想録。一応は同じ「西ベンガル州」になるけれど、ダージリンやあの辺りの山の人間と、ベンガル人は習慣も言葉も歴史も違う。ダージリン住民の政治や生き様をしっかりと見つめる一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    1990年代にダージリン地区で勤務していたベンガル人教師の回想録。
    一応は同じ「西ベンガル州」になるけれど、ダージリンやあの辺りの山の人間と、ベンガル人は習慣も原語も歴史も違う。
    ダージリンのあたりの歴史などの本はよく読むけれど、これは個人的な回想録なので違った面白さがある。
    外部の人間として、その複雑なダージリンの問題、政治、生き様をしっかりと見つめる一冊。

    日本語版しかないけど、この辺りに興味がある人はぜひ。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “No path in Darjeeling is straight” Parimal Bhattacharya (2017) Review | Complicated history
    タグ: 東ヒマラヤ
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    No Path in Darjeeling Is Straight: Memories of a Hill Town (English Edition)


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  • 『無名なるイギリス人の日記』 ジョージ・グロウスミス 1892年 レビュー | 100年前も気まずい英国人

    『無名なるイギリス人の日記』 ジョージ・グロウスミス 1892年 レビュー | 100年前も気まずい英国人



    The Diary of a Nobody
    George and Weedon Grossmith, 1892
    無名なるイギリス人の日記
    ジョージ・グロウスミス
    ウィードン・グロウスミス
    2022.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 19世紀の英国風ユーモアにあふれた日記という体の小説
    ✔ 当時のロンドンに住むミドルクラス男の空回りな頑張り
    ✔ 100年たっても変わらないブリティッシュユーモア

    ★★★★☆ 100年以上前のコメディー。下層のミドルクラスの男性とその家族。気まずい生活のなかで頑張る、気が優しいのか気が弱いのか微妙な「何者でもないただの」男の書く日記。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    本屋さんでなんとなく手にした本、蓋を開けてみると、私が何年も住んでいたロンドンのホロウェイ地区に住む男性の気まずいコメディー小説だった。

    130年前に書かれた本なのでもちろん近所の様子はぜんぜん違うけれど、ユーモアは完全なるブリティッシュユーモア。
    下層のミドルクラスの男性の家族、下層といえど華やかな場に呼ばれてしまったり、一応はメイドに厳かな態度を見せたりしないといけないけど、どうもうまくいかない。

    気まずい生活のなかで頑張る気が優しいのか気が弱いのか微妙な「何者でもないただの」男性の書く日記。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Diary of a Nobody” George and Weedon Grossmith (1892) Review | Very awkward

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    無名なるイギリス人の日記


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  • 『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006年 レビュー | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか

    『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006年 レビュー | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか



    The Inheritance of Loss
    Kiran Desai, 2006
    喪失の響き
    キラン・デサイ
    384 ページ
    2022.01 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ グルカ運動が過激派するダージリン近くの街カリンポンが舞台
    ✔ 西洋かぶれの祖父、孤児となった少女、その家の使用人
    ✔ 少女の無垢な想像と格差社会の現実、ブッカー賞受賞作

    ★★★★+♥ グルカ運動が過激化するインド東北部カリンポン。人一人の人生なんて一瞬にして壊されるなかで、平等、和解、夢、そんなものは存在するのか。自分よりも圧倒的に強いパワー。コミカルな場面が余計に悲劇を浮き立たせる、力強い一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    友人に進められるままに買ったので、私がいつも気になっている東ヒマラヤのカリンポンの街が舞台とは知らなかった。

    裕福な家庭の女の子が孤児になり、インド料理もナイフとフォークで食べるような厳格な祖父と暮らすことになる。
    そのころ激しくなっていくグルカ運動(ネパール系独立運動)に生活と人生を翻弄される人々。
    少女の想像と妄想と、そして現実。

    祖父と召使いだけの大きな家で、彼女はある貧しい青年に恋をする。
    同じ頃、召使いのニューヨークに住む自慢の息子は実は底辺を這うような生活をしていた。
    一見繋がりのないそれぞれの人生、でもグルカ運動が過激化するごとに確実に狂っていく。
    人一人の人生なんて一瞬にして壊されるなかで、平等、わかり合い、夢、そんなものは存在するのか。

    激しく変化する生活の中で唯一変わらないもの、ヒマラヤ山脈。
    春には淡い希望を運んできて、雨季にはすべてを腐らせる湿気を運んでくる神の宿る山のもとで、その流れに身を任せる。
    日本の表紙のように明るく可愛いストーリーではないです。

    そういう感覚はインドではかなり身に沁みるというか、自分よりも圧倒的に強いパワーというものが現実にあるインド。
    コミカルな場面が余計に悲劇を浮き立たせる、力強い一冊。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Inheritance of Loss" Kiran Desai (2006) Review | Peace, understanding, dream, no such things here
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    喪失の響き (ハヤカワepiブック・プラネット)

  • 『(大英帝国とグルカの関係)』 GL・ライジムダー, 2007年 レビュー | 大英帝国とインドの間のネパール史

    『(大英帝国とグルカの関係)』 GL・ライジムダー, 2007年 レビュー | 大英帝国とインドの間のネパール史


    Anglo-Gurkha Relations: Historical Account of how the Gurkhas Bestowed upon Queen Victoria the Gift of Indian Empire
    GL Rai-Zimmdar, 2007
    (大英帝国とグルカの関係)
    211 ページ
    2023.12 読了
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    日本語未出版

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    自主出版だと思うけれど、大英帝国とインドの側で歴史を紡いてきたネパールに関する独自の見解で興味深い。

    いままでの大英帝国とグルカ、ネパールの関係や歴史を語る本は間違えている、というところから出発しているので、この本のミッションとしてはそれを正すことのよう。
    なので大英帝国とグルカの関係自体について学ぶ本ではないのが私の希望から外れていた。
    ただ、英国とインドという巨大な渦のせいでネパールの存在が軽視されてきたという点には納得。
    なので、私はまずはオーソドックスにネパールの歴史を学ぶべきです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Anglo-Gurkha Relations” GL Rai-Zimmdar (2007) Review | Britain and Nepal
    タグ: 東ヒマラヤ
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    Anglo-Gurkha Relations: Historical Account of how the Gurkhas Bestowed upon Queen Victoria the Gift of Indian Empire


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  • 『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 レビュー | プライドまみれの青春

    『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 レビュー | プライドまみれの青春



    Crime and Punishment
    Fyodor Dostoyevsky, 1866
    Преступление и наказание
    Фёдор Миха́йлович Достое́вский
    罪と罰
    フョードル・ドストエフスキー
    720 ページ
    2023.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 欲にまみれた老婆を殺した青年の思想と道徳観
    ✔ 自分は道徳を超えた選ばれた存在という意識の変化を描く
    ✔ 時代を超えるドストエフスキーの傑作

    ★★★★★ 青年ラスコーリニコフは問題児だ。でも彼が自分の行動を正当化するからじゃない。彼は私達読者に、社会に対して自分勝手な問題を起こしてもいいんだよ、と囁いているからだ。自信はないのにプライドにまみれた青春は耐えられない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    つい最近「カラマーゾフの兄弟」を読み終わって、なんというかカラマーゾフが幽霊のように追いかけてくるんです。
    この物語よりも素晴らしいものはない、と呟きながら。
    なので、潔く「罪と罰」。

    カラマーゾフと比べて短いし、比較的ストーリーを追いやすい。
    単純に主人公一人だからという理由で。
    でもストーリー、出来事を追いやすいというだけで、決して読みやすい訳ではない。
    その辺に関しては私がグダグダ感想を述べても仕方ない、この本も「偉大な一冊」であることは誰もが知っているから。

    青年ラスコーリニコフは問題児だ。
    でも彼が本の中で問題を起こすから、自分の行動を正当化するからじゃない。
    彼は私達読者に、特に若者に、社会に対して自分勝手な問題を起こしてもいいんだよ、と囁いているからだ。
    この本が若者に与えた影響は簡単に想像できる。
    どの時代もどの国でも、自分は特別なのに不当に扱われているという(もしくは扱われているという妄想であっても)憎しみと怒りは普遍的。

    若いことは美しくはない。若いことは痛みでしかない。
    その上、すこし頭が良くて、自信はないのにプライドにまみれた青春は耐えられない。
    彼のその無知、無垢、妄想の前にはばかるもの、それは生きるということ、人生。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Crime and Punishment” Fyodor Dostoyevsky (1866) Review | Intolerable pride
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  • 『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 レビュー | 痛々しくも美しい怪物物語

    『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 レビュー | 痛々しくも美しい怪物物語



    Frankenstein
    Mary Shelley, 1818
    Frankenstein: Or the Modern Prometheus
    フランケンシュタイン
    メアリー シェリー
    224 ページ
    2020.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 世界でもっとも有名なホラーの一つは若い女性の作品
    ✔ 怖さだけでなく痛々しいほど詩的な美しさもある一冊
    ✔ 誰が一番怖い話を書くかという賭けに勝った当時18歳の著者

    ★★★★ 旅行に同行した二人の男性と「誰が一番怖い話を書くか賭けをしよう」と言うことで書き始めた話は有名。当時18歳。恐ろしいモンスターの話、と単純に思ってしまうけれど、原作は詩的で悲しい痛々しくも美しい物語。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    世界で最も有名なホラーのひとつ。
    でも特記すべきは、この物語は当時18歳だった若きメアリー・シェリーが書いたということ。
    しかも、旅行中に天気が悪いからと、同行した二人の男性と「誰が一番怖い話を書くか賭けをしよう」と言うことで書き始めた話は有名。その二人とは詩人バイロンと作家ポリドリ、かなり豪華な遊び。

    さて、物語は原作を知らないとどうしても恐ろしいモンスターの話、と単純に思ってしまうけれど、読んでびっくり、詩的で悲しい、そして痛々しくも美しい物語と私は言い切ってしまいたい。
    この怪物の存在を後悔する二人の男の物語。
    一人は怪物を作った男、もうひとりは怪物本人。
    怪物が怪物的で暴力的なものは仕方がない、彼の意思ではなく自然の原理でしかない。

    どうしても映画や漫画などで単純なイメージが独り歩きしているけれど、原作では単純な悪ではない。
    どちらかというと、望まれない存在である一人ぼっちの怪物の悲しいお話。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Frankenstein” Mary Shelley (1818) Review | A lonely unwanted creature

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    フランケンシュタイン (新潮文庫)


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  • 『老子道徳経』 老子 レビュー | 中国思想の圧倒的なすごさ

    『老子道徳経』 老子 レビュー | 中国思想の圧倒的なすごさ



    Tao Te Ching
    Laozi
    老子道徳経
    老子
    78 ページ
    2023.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 中国春秋時代の思想家、老子による道家思想の根本経典
    ✔ 伝説化されているけれど中国思想のベースであることは確か
    ✔ 正しいことをするという普遍性

    ★★★★☆ 道教のメインの書物。これは英訳と、それぞれの章のあとにコメンタリーがついているもの。なるほど仏教が中国思想のフィルターを通って日本にたどり着いた、というのはこういうこと。ちゃんと勉強して何度も読み返すべき本。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    道教のメインの書物。
    老子が書いたとされるけれど、いや怪しいとか、老子自体が存在したかとか言う点も議論になるらしい。
    これは英訳と、それぞれの章のあとにコメンタリーがついているものだったけれど、もちろん出版社や時期によって全然変わってくると思う。
    なにも予習せずにいきなりメインの書を読んでも分かりづらいというのが正直な感想で私のせい。

    興味深いのはもちろんだけど、なるほど仏教が日本にたどり着いたときはもうインドの仏教とはぜんぜん違うものだったのもよくわかる。
    中国の思想はとても強いので、このフィルターを通したことでそうなったんですね。

    ちゃんと勉強して何度も読み返すべき本。
    そしてできれば詳しい解説付きで…

    (年代カテゴリーに紀元前はないので、1-1699年のカテゴリーに)
    (日本語でも色々出てますが、2つランダムにピックアップ)
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “Tao Te Ching” Laozi Review | Absolute greatness of Chinese Thought
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  • 『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 レビュー | 軍事国家へ走る日本への警告

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 レビュー | 軍事国家へ走る日本への警告



    The Spirit of Japan
    Rabindranath Tagore, 1916
    日本の精神
    ラビンドラナート・タゴール
    ロビンドロナト・タゴール
    22 ページ
    2023.11 読了
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    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本の芸術家と親交のあったインドの偉大な詩人タゴール
    ✔ 慶大でのこの講演で日本の軍事国家化を批判
    ✔ 東洋の内なる力を信じるタゴールの最後の懇願

    ★★★★★ 何度も訪日し日本の文化や芸術を愛したインドの詩聖タゴール。慶大でのこの講演は軍事国家へと変化し始めた当時の日本に対する厳しい批判と警告に溢れている。しかし彼は強く輝く東洋の力を信じていた。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    タゴールが日本滞在の最後に、1916年に慶應義塾大学で行った講演。
    何度も訪日し、日本の文化や芸術また日常の中にある芸術を愛したインドの詩聖タゴール。
    しかしこの講演は急激に西洋化しナショナリズムへ走り軍事国家へと変化し始めた日本に対する厳しい批判と警告に溢れていた。

    彼の祖国を支配していた大英帝国の醜さを目の当たりにしているタゴールは、誇り高き文化を誇る日本が西洋の猿真似をしている、と強く批判。
    しかし彼の批判、警告は普遍的なものでもある。
    近代化という道は自己を破滅させる、憎しみを他者に押し付けても必ず自分に戻って来る。
    アジア初のノーベル賞を受賞した彼は東洋の力を信じていた。
    東洋の力とは、西洋のような技術的なモノを使う力ではなく、東洋哲学という力、和を愛する力。
    曇りの日でも太陽はずっとそこにあるように、東洋の力は強く輝き続けると。

    日本語では見つけれれなかったけど100年以上前のものだしネットではどこかで読めるかも?
    英語でも難しくはないです。
    短い文章ではあるけれど非常に率直で意味のある一冊。

    (講演だけどエッセイのカテゴリーに)


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Spirit of Japan” Rabindranath Tagore (1916) Review | Short but meaningful
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    The Spirit of Japan a Lecture (Classic Reprint)


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  • 『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 レビュー | 文学史上最高傑作

    『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 レビュー | 文学史上最高傑作



    The Karamazov Brothers
    Fyodor Dostoevsky, 1880
    ратья Карамазовы
    Фёдор Достоевский
    カラマーゾフの兄弟
    フョードル・ドストエフスキー
    896 ページ
    2023.11 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ロシアの文豪ドストエフスキーの最高傑作
    ✔ 三兄弟の父親殺しのミステリーとその周囲のドラマ
    ✔ 宗教観、倫理観、哲学、ミステリー、すべてが詰まっている

    ★★★★★+♥ 最高峰、最高傑作。いろいろな事柄が絡み合い、謎を生み出し、謎が解かれていき、と次に何が起こるかをドキドキしながらページをめくる。読み直して、他の人とも感想を交換して、新しい自分の意見を書き出して、と一生ついてきそうな本。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    世界最高峰の小説、最高傑作。
    たしかに長編だし、最初の方は宗教的でゆっくり始まる、でも段々といろいろな事柄が絡み合い、謎を生み出し、謎が解かれていき、と次に今度は何が起こるかをドキドキしながらページをめくってしまう自分がいる。
    だからドストエフスキーは素晴らしい語り手、ストーリーテラーなんですね。

    世界中の人が読み、再読し、研究されているので私がわざわざ意見を書くまでもないんですが、単刀直入にいうと、物凄いものに出会ってしまった、ということ。
    読み直して、他に読んだ人とも感想を交換して、その上で浮かび上がる自分の意見を書き出して、となんだかこれからの一生についてきそうな本。
    続編があるはずだったから未完だということもあるだろうけど、未完なのに完全。

    ミステリーであり、恋愛小説であり、宗教についても、家族についても、貧困についても、一つ一つのテーマは誰もが分かるシンプルなものでありながら、とにかく広く深い、そんな壮大な小説。
    というか正にそこで、今後色んな本を読んでここまで衝撃を受けるものはあるか不安にすらなる。

    素晴らしい、傑作、ここまで来ると人類の宝でもあり、本という媒体でなければ博物館に飾られるレベル。
    全体的にずっと暗いし重たいのに、実は未来に向かっているという点も素晴らしいとしか言いようがない。

    読むだけでも一つの到達点でもあるんですよ、長いしややこしいし。
    でも読んでみる、その行動だけにもすでに価値がある。
    その上で読み直してもっと分かればより良い読書体験になると思う。ので少し時間を置いて再読必須。


    ちなみに相関図はあったほうがいい。
    ロシア文学はころころと呼び名を変える上に登場人物が多い。
    で、日本語で読んでないけれど、出版社によってページ数がぜんぜん違うみたい。
    下にリンクを張っている光文社は全5巻で約2500ページ、新潮文庫は上下あわせて1400ページ。
    どれが良いとなると個人の好みもあるけれど、光文社が読みやすいそう。
    1000ページの差が気になるけれど、しっかりと理解しながら読めたほうが良いと思うので、いつか光文社の日本語版も読むことにする。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Karamazov Brothers” Fyodor Dostoevsky (1880) Review | The greatest

    『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 感想 | プライドまみれの青春
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    カラマーゾフの兄弟1


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  • 『インド・闇の領域』 V.S.ナイポール, 1964年 レビュー | 貧困や無知を美徳としない強烈な一冊

    『インド・闇の領域』 V.S.ナイポール, 1964年 レビュー | 貧困や無知を美徳としない強烈な一冊



    An Area of Darkness
    V. S. Naipaul, 1964
    Sir Vidiadhar Surajprasad Naipaul
    インド・闇の領域
    V.S.ナイポール
    304 ページ
    2023.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ブッカー賞もノーベル賞も受賞した著者のインド旅行記
    ✔ 先祖の地を訪れるも神秘性や感動はゼロで無礼な描写ばかり
    ✔ 本当は貧困や無知を美しいとする偽善者を風刺するようにも

    ★★★★☆ 先祖の地インドにわたり、暗闇の中にも神秘的な繋がりを見出す旅行記だと勝手に思っていたら、完全なる大間違いだった。貧困は神秘的で美しいなんていう偽善者の顔をひっぱたくような、そんな強烈な一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ブッカー賞もノーベル賞も受賞した、インド系トリニダード出身のイギリス人の著者。

    ピンとこない人はこの意味が分かりづらいでしょうが、いわゆるクーリー貿易のあの流れで西インド諸島に渡ったインド人の孫。
    彼らはインド人の顔をしていてもインドを知らず、故郷トリニダードでは常に黒人から人種差別を受けるグループ。
    その孫の代で多くがイギリスに渡っていますが、故郷の観念が複雑なのです。

    さて、本題の本について。
    きっと、先祖の地インドにわたり、ダークネスの中にも神秘的な繋がりを見出す旅行記だと勝手に思っていたら、完全なる大間違いだった。

    どちらかというと彼自身が自分で内面的な旅をする中で、ただその背景にインドがあるというか。
    そして彼の描くインドは完全にネガティブ。
    きっと本人も精神的に参っていた時期なのだろうけど、とにかく残酷な表現。
    よく西洋人や裕福な人間がインドに行って貧困が美しい、神秘的だ、人生観が変わる、なんて言うけどそんな綺麗事は一切なし。
    彼の旅行記は、貧困の様子、貧しい人からの搾取、貧困の醜さ、無知の醜さ、人間から出てくる廃棄物をことごとく描く。
    インドでは発禁されていたそうだけど、それはそうだろう、こんな本が出回ったら旅行客は一気に減ってしまう。

    いよいよ祖父の故郷の村にいくシーンも読んでいて辛い。
    彼は義務感から行ったけれど、その貧しさ、人々の無知さに嫌気が差し、逃げるようにさっさと出ていく。
    この場面だけでもわかるように、とにかく不快な思いばかりだったようで、隠しもせずにここに表現されている。

    貧困は神秘的で美しいなんていう偽善者の顔をひっぱたくような、もっというとそんな偽善者に中指を立てるような、そんな強烈な一冊。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    “An Area of Darkness” V. S. Naipaul (1964) Review | A slap in the face
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    インド・闇の領域


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  • 『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 レビュー | 本好きの天国と地獄

    『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 レビュー | 本好きの天国と地獄


    冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)
    If on a Winter’s Night a Traveller
    Italo Calvino, 1979
    Se una notte d’inverno un viaggiatore
    冬の夜ひとりの旅人が
    イタロ・カルヴィーノ
    272 ページ
    2025.10 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 他に類を見ない読書体験ができる小説
    ✔ 読み始めた本が何冊も15ページほどで終わってしまう
    ✔ 読書好きの地獄と天国の詰まった一冊

    ★★★★★ なんて本。これは他にない読書体験、試験的読書体験。読者、作者、翻訳者、出版社、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して本好きの地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    なんて本なんだろう。
    これは他にない読書体験、試験的読書体験。
    読者、作者、翻訳者、出版社、翻訳者、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    主人公である「あなた」が本を読み始めるけれど、途中から印刷が乱れる乱丁本だったようで、仕方なく本屋に戻る。
    新しい本もどうも違う本らしい、しかもこっちも乱丁本、そしてそれが何度も続き。
    毎回、やっと背景や人物像を把握し面白くなってきたところで読めなくなる、なんとしてでも続きが読みたい、そこから「あなた」の異様な冒険が始まる。

    余談だけど「夜は短し歩けよ乙女」って絶対これに影響受けてるよね。
    読書という側面じゃなくて、どこにいっても結局ある女性にたどり着くという側面で。

    これは一体何なのか。
    どうやってこれらの物語は終わるのか、終わりとはなにか。
    読書という地味な日常の体験。一人なはずの体験。
    この本はそこにいろんな疑問をガンガンぶつけてくる。
    そして答えは?
    本を通じて時空を超えて繋がってくる人々、登場人物、作者、その他諸々と実際に読んでいる「あなた」、最後にはなんとなくニヤニヤしてきます。
    なるほど、これこそが文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノ。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review "If on a Winter's Night a Traveller" Italo Calvino (1979) Review | Paradise and hell for readers
    タグ: イタリア
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  • 『ハバナの男』グレアム・グリーン 1958年 レビュー | どんどんややこしくなるスパイ小説

    『ハバナの男』グレアム・グリーン 1958年 レビュー | どんどんややこしくなるスパイ小説



    Our man in Havana
    Graham Greene, 1958
    ハバナの男
    グレアム・グリーン
    256 pages
    2023.07 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 滑稽なコメディースパイ小説
    ✔ 勘違いからキューバの英国スパイになった男
    ✔ ティーンエージャーの娘とのやり取りも笑える

    ★★★★☆ 冷戦下のキューバ、平凡な掃除機屋さんがなぜか英国スパイにスカウトされる。勘違いや大げさな反応や状況の馬鹿らしさに流されていると、話がどんどんとややこしくなっていく。痛快とはまさにこのこと。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    不思議なスパイコメディー小説。
    冷戦下のキューバ、平凡な掃除機屋の主人公はなぜか英国スパイにスカウトされる。
    ことごとく浪費癖のある娘のせいでお金に困っていたし悪くはないとこの話にのって、勘違いや大げさな反応や状況の馬鹿らしさに流されていると、話がどんどんとややこしくなっていく。

    信じられないような話なのに、でもありえなくもないかも、と思えてくる。
    スパイって現在もいるし(ロンドンでは意外とよくスパイのニュースがあります、MI5の求人募集の話とかも)、彼らの情報の重要さは誰もが承知、でももしこの小説のように意図的にテキトーなことを報告していたら?
    スパイ小説も映画もコメディも多いけれど、これはかなり異色。

    気がついたらもう手に負えないくらいおかしなことになってて、でももうここまで来たら嘘でもなんでも通してしまおう、もう政府相手だろうがなんだろうが、ななげやり感もすてき。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Our man in Havana” Graham Greene (1958) Review | All tangled up
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    ハバナの男


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  • 『(おばあちゃんのツイート)』 Geeta Gopalakrishnan, 2018年 レビュー | 南インドの女性たち

    『(おばあちゃんのツイート)』 Geeta Gopalakrishnan, 2018年 レビュー | 南インドの女性たち

    🔽 基本情報 🔽

    My grandmother's tweets
    Geeta Gopalakrishnan, 2018
    (おばあちゃんのツイート)
    ジータ・ゴパラクリシュナン
    340 pages
    2023.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ おばあちゃんの知恵袋的な話が詰まった本
    ✔ 12世紀から南インドの女性が語り継いできた逸話と格言集
    ✔ 古代インドの賢さと暖かさ

    ★★★★☆ 南インド、タミルの12世紀の女性の詩人の言葉を、女性がずっと繋げてきた逸話、格言集。古代インドの賢さと暖かさ。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドでもらった本の一つ。
    日本で言うところのおばあちゃんの知恵袋みたいなものだけど、実用的というより逸話や伝説から学ぼう的な感じ。
    Avvaiyarという南インド、タミルの12世紀の女性の詩人の言葉を、女性がずっと繋げてきた逸話、格言集。

    一気に読むというより、たまに一つ一つ読んだり、思い出したときに開けて読むようなもの。
    古代インドの賢さと暖かさ。

    🔽 関連ページ 🔽
    “My grandmother’s tweets” Geeta Gopalakrishnan (2018) Review |Female wisdom from Tamil
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    My Grandmother's Tweets Stories Inspired...
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    My Grandmother's Tweets: Stories Inspired by Avvaiyar's Ancient Wisdom (English Edition)


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  • 『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル 1933年 レビュー | 彼の小説のベースの貧困体験

    『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル 1933年 レビュー | 彼の小説のベースの貧困体験



    Down and Out in Paris and London
    George Orwell, 1933
    パリ・ロンドン放浪記
    ジョージ・オーウェル
    224 pages
    2023.06 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ パリとロンドンで体験した貧困生活のエッセイ
    ✔ 自ら望んで皿洗いなどで生計を立てた日々
    ✔ 貧困生活から抜け出せない人々とその社会を語る

    ★★★★★ オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。その時の様子を彼らしい文章で描く傑作。誰のせいで人々は貧困から抜け出せないのか。彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    インド帝国ビルマでの勤務を終え、ジョージ・オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。
    その時の様子を、貧困と隣り合わせに過ごした様子を彼らしい文章で描く傑作。

    日本語のタイトルの「放浪記」はちょっと雰囲気が違うかも。
    Down and Out、パリとロンドンの下と外での、いわゆる街の華やかな雰囲気ではない陰での生活の記録という原題を意識して読むと良いと思う。

    ロンドンやパリのレストランの多くは地下に炊事場があり、特に皿洗いは営業時間の前後もずっと外の光や空気に当たることなく一日が過ぎていく、そういう生活のこと。
    頭上にいるレストランで食事ができる層の人間が汚したものを洗い続ける毎日。
    しかしいくら働いても生活は良くならないから地下から抜け出せない。
    そういう生活を経験し、彼の毎日の様子や、当時の思考などを細かく書いている。

    彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。
    誰のせいで貧困から抜け出せないのか。
    それは皿洗いを一生続けなければいけない人のせいではなく、一生続けても良くならないシステムを造り上げた社会のせい、社会としての破綻のせい。
    貧困であってもしっかりした意思があればその人は威厳を持って生きていける、というのは唯一の希望の欠片のよう。
    (ただし、オーウェルは貧しい家庭出身ではなく、自分で選んで数年だけ貧困生活を送った、ということも忘れてはいけないけれど)

    🔽 関連ページ 🔽 
    “Down and Out in Paris and London” George Orwell (1933) Review | Foundation of his novels
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    パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)


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  • 『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァー, 1981年 レビュー | 静かでモダンで村上春樹な世界感

    『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァー, 1981年 レビュー | 静かでモダンで村上春樹な世界感



    What We Talk About When We Talk About Love
    Raymond Carver, 1981
    愛について語るときに我々の語ること
    レイモンド・カーヴァー
    (村上春樹 日本語訳)
    176 pages
    2023.06 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アメリカの郊外で起こる短編集
    ✔ 日本語訳は同じ雰囲気を醸し出す村上春樹

    ★★★☆☆ アメリカの郊外で起こるストーリー、というか何も起こらないといったほうが正しいかも。静かで、モダンな雰囲気、そうまるで村上春樹の作品のような。と思っていたら、日本語訳はなんと彼。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    80年代アメリカが舞台のショートストーリー。

    アメリカの郊外で起こるストーリー、というか何も起こらないといったほうが正しいかも。
    静かで、モダンな雰囲気、そうまるで村上春樹の作品のような。
    と思っていたら、日本語訳はなんと村上春樹だそう。

    私のタイプの一冊ではないけれど、もちろんそれは悪いというわけではない。
    村上ファンなら日本語訳をダブルで楽しめますね。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “What We Talk About When We Talk About Love” Raymond Carver (1981) Review | American suburbs

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    愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー c- 3)


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  • 『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 レビュー | まるで夢だったように

    『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 レビュー | まるで夢だったように



    Falling in love again
    Ruskin Bond, 2013
    (また恋におちる)
    ラスキン・ボンド
    197 pages
    2023.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 現在90歳を超えるインドでも最も重要な作家のひとり
    ✔ 17歳から書き続ける著者の恋愛に関する短編集
    ✔ 彼の物語には繰り返し表される表現や風景がある

    ★★★★☆ インドでも最も重要な作家の一人。ショートストーリー集。違う時代に書かれていても彼の物語には繰り返し表される表現や風景がある。ほろ苦い、まるで夢だったかのように彼が恋をした女の子はふっと消えていく。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インド生まれ、インド育ち、でもイギリス系白人の作家、ラスキン・ボンド氏。
    2025年の今年91歳になったインドでも最も重要な作家の一人。
    人種なんか関係ないというのは簡単だけど、運命はそう安易ではない。

    さてこの本は恋愛に関するショートストーリーを集めたもので、彼は17歳の頃から書いているけれど、いろんな時期に書かれたものが集められていて興味深い。
    ただ単に違う時代に書かれたから違う雰囲気、というわけではなく、彼の物語には繰り返し表される表現や風景がある。
    主人公の名前が著者と同じラスキンやラスキーだったり、ロケーションも彼の故郷ヒマチャルプラデシュであることが多いので、彼の少年時代や思い出とは切っても切り離されないはず。
    それだけじゃなく、同じセリフが出てきたり、同じ列車の路線に乗っていたり、違う女の子に同じ名前が繰り返されたり。

    ストーリー自体はみなほろ苦いストーリーが多く、恋愛とはまだ言えない段階であったり、何かが始まる前に失恋したり、まるで夢だったかのように、彼が恋をした女の子はふっと消えていく。

    日本ではあまり作品が出ていないのが残念ですがぜひ探してみてください。
    でも彼の本は子どもにも読まれるように書いてあるので、英語でも比較的簡単な表現で書かれています。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Falling in love again” Ruskin Bond (2013) Review | Maybe it was a dream

    彼が17歳で書いた作品The Room on the Roofはこちら
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    (彼の作品は日本ではこれが手に取りやすいようです)

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    Falling in Love Again: Stories of Love and Romance (English Edition)


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  • 『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 レビュー | カルト創始者が禅について語る

    『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 レビュー | カルト創始者が禅について語る



    The First Principle
    Talks on Zen
    Osho, 1981
    (第一原則 禅について)
    オショー・ラジニーシ
    288 pages
    2023.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インド人の世界的カルト運動創始者の著書
    ✔ 禅についての彼の考え

    ★★☆☆☆ 「私が聞いた話では」ばかりが集められていて、面白いというか人の注意を引くための噂話のレベルでしかないというのが全体的な印象。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    このすぐ前に読んだOshoのThe Book of Manよりもっと苦痛だった。
    スピーチなどを集めたもので、読むというより聞くためのものだっただろうけれど、どっちみち私の好みではない。

    「私が聞いた話では」ばかりが集められていて、面白いというか噂話のレベルでしかないというか、人の注意を引くためにこなれたジョークをとばす、というのが全体的な印象。

    昔からある、古代から守られてきた宗教や習慣がお気に召さないようで、というか憎いようで極度に批判する。
    つまりカルトでありヒッピーカルチャーである。

    もう2冊も彼の本を読んだので、もう他は読まないでもいいですか…

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The First Principle, Talks on Zen” Osho (1981) Review | Sounds like just gossips

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    The First Principle: Talks On Zen


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  • 『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 レビュー | 国際的カルト創始者

    『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 レビュー | 国際的カルト創始者

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    話にはよく聞くOshoの本を初めて読んだ。
    実際には彼の発言集という形の本。

    よく分かった。なぜ彼がこんなにも、70年代から今現在においても人気であることが。
    誰だって不満を抱えて生きているんだから、中にはカルトにハマる人は絶対にいる。
    宗教的であることは今日でも長い人の歴史においても別に変わったことではない。
    ただ彼の教えでは、盲目的に宗教的であれ、強い力つまり自分に導かれなさい、属しなさい、と。

    70年代。彼は完璧なタイミングで出てきたわけです。
    アメリカなどの欧米社会に、賢くて口がうまくてサイケデリックなインド人グルがエキゾチックなことを言い出したんだから、絶妙なタイミングとしか言いようがない。
    抑制することはよくない、自由に人生を楽しめと彼は説く。
    とりあえずとググってみると彼はもちろん膨大な資金を寄付で稼いでおり、高級車を乗り回し(テレビで93台のロールスロイス)、暴力を推進し、性的にも極端に自由であったのだから、それは人は憧れる。
    しかし忘れてはいけないのは違法薬物を製造し自分の基地の他にも世界中に流通させ、さらには日常的な暴力を奨励し、そして特記する必要があるのは未成年に対する慢性的な性的搾取があったこと。

    と、まあ本に戻ると、多くの人が納得いくことが書いてあります。もちろん意図的に。
    なので研究対象というか、そういう側面から見ると面白いといえるけど、それ以上ではない。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Book of Man” Osho (2002) Review | International cult
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  • 『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ レビュー |  インドを代表する詩人の代表作たち

    『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ レビュー | インドを代表する詩人の代表作たち

    🔽 基本情報 🔽

    Selected Stories of Rabindranath Tagore
    Rabindranath Tagore, 1886-
    作品集
    ラビンドラナート・タゴール
    372 pages
    2023.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    (まったく同じ短編集はないので近いものです)


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アジア初のノーベル賞の詩人、思想家の短編集
    ✔ 主人公たちは正直で謙虚で貧しい
    ✔ 多くの短編集が出ているが出版社によって選出はそれぞれ

    ★★★★★ インド、アジアを代表する詩人思想家。この本の中だけをみてもジャンルがいろいろとある。そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    タゴールの素晴らしさはどこでも語られる。
    でも実際に色々と読むまでは本当には実感できない。

    もう一世紀以上経っているのでタゴールの作品集という名の本はたくさん出ているけれど、これはインド人の友人にもらったインドの出版社のもの。
    詩や短編小説が多いので、インドでもその時代によってもかなりの本が出ていて、人と話していてその本は読んでないけどその物語は知っている、ということはよくある。

    この本の中だけをみても、ジャンルがいろいろとある。
    恋愛もの、幽霊の出る話や、家族、友情と、彼のその取り上げるストーリーの幅の広さに驚かされるけれど、そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    100年経っても、時代は変わっても、人々の苦しみの根源は変わらない。
    だからベンガル地方、インド、アジアという枠を超えて、人はタゴールの物語に心を打たれる。

    中でも良かった作品は「The river stairs」「The Cabuliwalla」「The son of Rashimani」「The master Mashai」「Living or Dead」「Fair neighbour」

    リンクは、同じような短編、中編の作品集を張っています。
    でも可能であれば他の手に取りやすい作品から入るのも良いと思います。

    アジア初のノーベル賞受賞者、芸術と平和という観点から近代インドと近代日本を繋いだ人でもある、けれど日本では彼の作品はそうどこにでもあるというわけではないようです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Selected stories of” Rabindranath Tagore (1886-) Review | Mastermind of literature

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告
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    タゴール著作集 第4巻 中・短篇小説集1


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  • 『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 レビュー | 悟りへの近道的な自己啓発書

    『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 レビュー | 悟りへの近道的な自己啓発書



    The monk who sold his Ferrari
    Robin Sharma, 1996
    (フェラーリを売り払った僧侶)
    ロビン・シャーマ
    198 pages
    2025.03 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 物語仕立ての自己啓発書
    ✔ 仕事一筋の生活をしていた男のもとに変な人物がやってくる
    ✔ インスタントに悟るための近道的な話

    ★★★☆☆ 何が大事かを悟るために、本当の夢や運命を追いかけるためにどういうことをすればいいか、を非常に分かりやすく具体的に説いた本で、すぐに行動に移せる本。ただ私はターゲット層ではない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドに行ったときに勧められて買った本。

    仕事一筋でお金が重要な生活をしていた男性のもとに、人生とは何かを告げる変な男がやってきた。

    何が大事かを悟るために、本当の夢や運命を追いかけるためにどういうことをすればいいか、ということを非常に分かりやすく具体的に説いた本で(例えば、瞑想が難しいのなら部屋にある一つの置物の表面の一点に集中して、とか)、読んだあとその瞬間にすぐに行動に移せる本。

    ただ、面白いかといえば面白いわけではない。
    まあ自己啓発本だからストーリーが面白いことが目的ではないんだけど、それはいいとしても、「古代インドでは」とか「神秘的な共同体にいたとき」とか「アジアの伝説によると」とか、どうみても欧米の一般人が好きそうな表現が多い。
    まあそれもターゲット層がそうなんだから仕方がないんだと思うしかない。
    いずれにしろ、もし欧米の白人の層に属しているのなら自己啓発としては優れているのは間違いない。
    そうでない人にとってはズレていると思う。

    あ、もし欧米人に瞑想とは悟りとは何かとかを説明する必要があれば訳には立つ!


    🔽 関連ページ 🔽
    “The monk who sold his Ferrari” Robin Sharma (1996) Review | A quick way
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  • 『恐るべき子供たち』ジャン・コクトー 1929年 レビュー | 退廃的な子供たちという芸術

    『恐るべき子供たち』ジャン・コクトー 1929年 レビュー | 退廃的な子供たちという芸術



    Les Enfants Terribles
    Jean Cocteau, 1929
    恐るべき子供たち
    ジャン・コクトー
    144 pages
    2025.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 詩人コクトーの描く退廃的な少年少女
    ✔ 大人がいない寝室という空間で自己破滅的な生活を送る
    ✔ 概念としての現代フランス芸術が詰まっている

    ★★★★★ 詩人コクトーの描く退廃的な少年少女のストーリー、最後の瞬間にすべてが完璧となる。現在においても何度も何度も戻って来る地点がここにある。概念としての現代フランス芸術が詰まった一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    大学の教科書でも何度も出てきた一冊をやっと。
    フランスの詩人コクトーの小説。

    とても詩的、とてもコクトー、とてもフランスで、とてもヌーヴェル・ヴァーグ。
    退廃的な少年少女のストーリーで最後の瞬間にすべてが完璧となる。
    パリが好きな人がパリを想うとき、こういう芸術的で自己破滅的で退廃的な風景を想う。
    当時はもちろん社会にショックを与えた一冊だっただろうし、現在においても何度も何度も戻って来る地点がここにある。
    それだけ影響力があるストーリーで、概念としての現代フランス芸術が詰まっている。

    映画もいつか見なきゃ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Les Enfants Terribles” Jean Cocteau (1929) Review | very Nouvelle Vague

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  • 『人間的な、あまりに人間的な』フリードリヒ・ニーチェ 1878年 レビュー | 意外と楽しく読める初期のニーチェ

    『人間的な、あまりに人間的な』フリードリヒ・ニーチェ 1878年 レビュー | 意外と楽しく読める初期のニーチェ



    Human, All Too Human: A Book for Free Spirits
    Friedrich Nietzsche, 1878
    Menschliches, Allzumenschliches: Ein Buch für freie Geister
    人間的な、あまりに人間的な
    フリードリヒ・ニーチェ
    304 pages
    2025.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ニーチェの30代での638個の格言集
    ✔ 難しいものも、一行だけのものもある組み合わせ
    ✔ 意外と面白く笑ってしまうようなものもあり

    ★★★★★ ニーチェの30代でのアフォリズム、格言集。間違いなく難しい。でもどちらかというと楽しく読めた。ほんと。いくつか面白かったのをここにピックアップしたので読んで、ぜひ挑戦してみて。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ちょっと頑張りすぎたかもしれない。
    哲学の基礎もなく、ただ単にちょっと前に読んだこの本の抜粋バージョンが面白かったからと、これに手を付けてしまった。
    間違いなく難しい。
    でもどちらかというと楽しく読めた。ほんと。
    いくつか面白かったのをピックアップしたので読んでみて、ぜひ挑戦してみて。

    ニーチェがまだ30代だった頃に書かれたアフォリズム、格言集なので、後期のような「確立された」雰囲気ではない、んだそう。後期を知らないからなんとも言えないけど。
    いいニュースとしては、格言集なので一つ一つは短くて中には一行のものだってある。
    悪いニュースは、638個のアフォリズムがあり、中にはかなり深入りしていくものもあって、何度か読み返してなんとなく分かってきたら、さっさと次に進んでいってしまう。
    当時は彼は色々と絶望していたようでショーペンハウアーを目の敵にしているのかな、というくらい批判しているけど、ニーチェの前の時代の哲学の流れが分かってないと何を批判しているのかが掴みにくい。

    でもこういう難しい本は本編に入る前の専門家の解説をきちんと真面目に読んでいるので、今回もおかげで必死で付いていくことはできた、と思う。
    自由な人間であるということは、自分の意志をきちんと持ち、宗教やそれまでの固定観念から飛び立った存在で、そのへんのことをついてる。

    特に面白い箇所は書き出したりしてゆっくりと読み進めたので時間はかかったけど良い読書体験です。

    この時代だから仕方ないといえど、彼は女性を非常に見下していたのでそのあたりがイマイチ説得力がない部分ではある。
    意外と楽しめるのは、たまにジョークのような文章が出てきたり、滑稽なおかしさがあったりするので、ああ彼も苦しんでるんだな、となんかしみじみしてくる。

    結局は、この本のタイトルの通り、私達はあまりにも人間的なんですね。




    さて。
    メモした中のいくつかの短い文章をピックアップしました
    和訳は私(プロでない私がさっとまとめた訳なので変な表現でもお許しを。日本語を読んでいないのですが絶対に出版された方の訳がまともですよ)、元の英語訳はPenguin Classics版から。
    面白いことを言ってるので、ぜひこの機会に


    58
    言動を約束することはできても、感情は約束できない。感情は自分の意志通りにはならないから。

    61
    情熱は待ってくれない

    68
    その昔キリスト教がギリシャ哲学に勝利したのは、つまりは荒々しく暴力的なものがスピリチュアルで繊細なものに勝利したということに過ぎない

    105
    「賢い人間は、人が悪いことをしたから罰するのではない、そうすることで今後悪い行いをしないように罰するのだ」

    120
    その信念が人を喜ばせないのなら、それを人は信じない。

    265
    ヨーロッパ人がアジア人よりも優れているのは、我々は自らの信念に理論的になれる能力があるからだ。アジア人には不可能である。彼らは真実と詩の区別だってついていない。

    303
    誰かの意見に反論するとき、実はその意見に反対するのではなく、意見を発するその人のトーンに反対している事が多い。

    335
    我々が近隣の人の気分を伺うのは、その人の気分が何らかの形で私達の秘密を暴くかもしれないと恐れているからだ。

    388
    自分の女が攫われたといって嘆く男は少ない。ほとんどの男は、なぜ誰も自分の女を攫ってくれなかったんだと嘆く。

    472
    政府がその市民の苦しみや辛さに対し成すすべがないとき、宗教が大衆を落ち着かせ忍耐強くさせる。

    494
    多くの人は自分の選ぶ道に頑固になるが、その先の目的地にはこだわっていない。

    499
    おもいやりではなく、共有できる楽しみが友情を生む

    508
    我々は自然に身を任せるのが好きである。自然は我々に対しなんの意見も持たないから。

    523
    愛してくれと要求することは最大の傲慢だ。

    563
    もし過去はすべて憎むべきものと考えることができれば、人は後悔で苦しむことはなくなる。

    589
    朝一番にできる最も素晴らしいこと、それはどうすれば今日一日に少なくとも一人の人を喜ばせることができるかと考えることだ。宗教的な祈りの習慣の代わりにそう考えることできっと多くの人に利益をもたらすことができるだろう。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Human, All Too Human" Friedrich Nietzsche (1878) Review | Surprisingly entertaining

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    人間的な、あまりに人間的な 完全版


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  • 『(地獄の外食記) 』ジェイ・レイナー 2012年 レビュー | 正直で意地悪なレストランレビュー

    『(地獄の外食記) 』ジェイ・レイナー 2012年 レビュー | 正直で意地悪なレストランレビュー



    My dining hell
    Twenty ways to have a lousy night out
    Jay Rayner, 2012
    マイ・ダイニング・ヘル (地獄の外食記)
    ジェイ・レイナー
    76 pages
    2023.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 英国一の評論家のレストランレビュー
    ✔ 悪いレビューのみを集めた意地悪な一冊

    ★★★★☆ 著者はイギリスで有名な、特に口が悪いことではいちばん有名な料理 レストラン評論家。当時新聞に載せられていたものの中で悪い評価のレストランの批評文だけを厳選した意地悪な一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    著者はイギリスでいちばん有名な料理、レストラン評論家。
    少なくとも一番口が悪いことではかなりダントツで有名。
    彼はずっとObserverという新聞にレストランの批評を載せていて、この本はその中でも悪い評価のレストランの記事を集めたもの。面白くないわけがない。

    辛口と言われているけれど、この本に集められた記事を見る限りではレストランが悪いとしか言いようがない。
    料理がまずい、レストラン自体が悪い、さらにどちらも悪いとなると救いようがないし、その上でぼったくりとなると悪いけど全国版で叩かれても仕方がない。

    1999年から2012年の間の批評なので、確かに一番悪い時期ではあったのかもしれない。
    イギリスは別としてロンドンの料理は不味くないよ、と言われだして、レストラン業界がカッコだけつけた料理をどんどん出していた時期。
    さらには物価もどんどん上がり、シンプルでそこそこ美味しい料理を出せていたレストランは撤退していった。

    私がロンドンが好きな理由は料理にしろ文化一般的にも、ごちゃまぜ感があったから。
    超高級なものもあるし、びっくりするほど安いものもある。
    誰も知らない立地でひっそりと美味しい料理を出していた店もあった。
    でも今は高級料理のテーマパークと化したロンドン。
    いつかこの無駄な高級志向時代が終わることを願って。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "My dining hell" Jay Rayner (2012) Review | Honest but brutal reviews
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    My Dining Hell: Twenty Ways To Have a Lousy Night Out (Penguin Specials) (English Edition)


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  • 『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 レビュー | シッキム王国の歴史と魅力

    『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 レビュー | シッキム王国の歴史と魅力



    Sikkim
    Requiem for a Himalayan Kingdom
    Andrew Duff, 2015
    (シッキム ヒマラヤ王国へのレクイエム)
    アンドリュー・ダフ
    320 pages
    2023.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 現インド北東部のシッキム州が王国だった時代の歴史書
    ✔ 吸収される数十年前の様子を詳しく描く
    ✔ チベット系の王チョギャルの統治とインド、英国の関与

    ★★★★★+♥️ シッキム、知れば知るほど面白くて仕方がないのです。シッキム王国がインドに吸収される前の数十年を詳しく書いたシッキムの歴史の本であり、その最後の王様のストーリー。これを読んだら絶対に行きたくなる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    シッキム王国がインドに吸収される前の数十年を詳しく書いたシッキムの歴史の本でありながらも、その最後のチョギャル(王様)であるトンドゥプ・ナムゲルのストーリー。

    シッキム、現インド シッキム州はネパール、ブータン、チベットなどに囲まれたヒマラヤ山脈の東に位置するエリア。
    地形的に厳しいエリアでありながらも重要な国々に囲まれた特殊な地理もあり、17世紀からはチベット系の王チョギャルが治めていて、1975年にインドに吸収される。

    知れば知るほど面白くて仕方がないのです。
    この本のスコットランド人著者は、幼い頃に祖父が語ってくれたシッキムに憧れ、ついにその地を訪れる。
    ペリンの町の外れにあるペマヤンツェ寺院で、ちょっと変わったに僧に出会い、お前はシッキムの何を知っているんだ、と言われ、ある本を渡された。
    そこから彼の本格的な研究が始まる。
    その僧こそ、当時国王の側近であった人物であり、その本が最近私もやっと読めた本Smash and Grabなんですね。

    ヒマラヤの文化が集中しているシッキム、元は現地民が住んでいたけれど、チベット系の王ができたことで文化的に仏教中心になっていって、でも19世紀ごろからは大英帝国も入り込んできて、農業改革を行うに当たり、歴史的にも敵対していたネパール人をシッキムに移住させる。
    チベットや中国が権利を主張するもイギリスの保護国となったシッキム、インド独立後はその権利を引き継いだインドの保護下になるも、最後のチョギャル、トンドゥプ・ナムゲルの方針はシッキム独立であったため、ネパール系に多かった親インド派と国内で対立が続き、親インド派を手懐けたインドの後押しで王政は崩壊、あっというまにインド軍に囲まれ、アメリカに亡命。
    と、簡単な歴史はこんな感じで、この本は最後のチョギャルに焦点を置いたものでありながら、前後の流れもわかりやすい。
    インド、中国、イギリスと巨大な権力がこの小さな王国の上で渦巻いている。
    自分の王としての権利にしがみつき、若いアメリカ人の王妃(東洋のグレース・ケリー)に操られているんだ、出来損ないの政治家だ、と色んな意見はあるけれど、結局のところシッキム王国に何ができたか。
    インドの手下となったネパール系の反対派との動きの詳しい本はこちら。
    “Smash and Grab” Sunanda K. Datta-Ray 1984 >>

    インドとなった現在もインドからシッキム州に行くには検問を通ります。
    私は2023年に行ったけど、外国人は要ビザ。
    シッキム州でシッキム人以外が不動産を買ったりビジネスを始めるのはかなり困難。
    面白いのは、18世紀から圧倒的にネパール系が多いのに、観光地も含め主要な寺院はチベット仏教系。
    自然が豊かなので次回行くときはぜひもっと北部に、それこそこの著者が訪れたペリンに。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Sikkim, Requiem for a Himalayan Kingdom” Andrew Duff (2015) Review | Fell in love with Sikkim
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    Sikkim Requiem for a Himalayan Kingdom【電...
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    Sikkim: Requiem for a Himalayan Kingdom (English Edition)


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  • 『遺伝学者、レイシストに反論する』アダム・ラザフォード, 2020年 レビュー | 人種差別を事実で論破する

    『遺伝学者、レイシストに反論する』アダム・ラザフォード, 2020年 レビュー | 人種差別を事実で論破する



    How to argue with a racist
    Adam Rutherford, 2020
    遺伝学者、レイシストに反論する
    差別と偏見を止めるために知っておきたい人種のこと
    アダム・ラザフォード
    224 pages
    2023.01 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 人種差別主義者のロジカルでない思考を論破
    ✔ 遺伝子や歴史の史実に基づいた論理
    ✔ 嘘の情報を与えられている人に淡々と事実を語る方法

    ★★★★★ 人種差別の理論がいかに科学的でないか。根拠のない誤った論理にしがみついている差別主義者たちを事実を用いて論破する方法。事実は事実であるわけです。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    人種差別の理論がいかに科学的でないか、という本。

    著者の専門は遺伝子で、一般的に「人種」ということで、肌の色の違いで人類がさらにカテゴリー別に存在するように思われがちだけど、遺伝子という観点でもそうではないということを分野別にきちんと説明している一冊。

    人種差別主義者、レイシストは「人種的に」黒人はああだ、中国人はどうだ、という言い方をする。
    そして100年、200年前に奴隷制度や白人至上主義を肯定するためなんかに言われていた古い考えを何度も繰り返したり、また根拠のない理論を用いる。

    DNAや遺伝子、歴史、古代史など難しくなりがちなものを分かりやすく、興味深くかいている。

    ほんと、よくあることだけど彼らの主張は自分に都合の良い言葉にしがみついて、自分が気分が良くなるためだけのものであり、そういう人に事実を語っても無駄と思ってしまうことは多い。
    でも、だからといっても事実は事実であり、根拠のない差別的な発言はつまりは嘘。
    そこを知らされない人(差別は無知から)に対して、でも言っても無駄だから、そんなの常識だからわかるはず、と放っておいた結果がまたトランプが大統領になった大きな理由だったりするわけで。

    事実を淡々と伝え、嘘の中で生きる差別主義者を言い負かせ、その事実を受け入れてもらえるようにする、やっぱり一般教育は大事なんですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “How to argue with a racist” Adam Rutherford (2020) Review | Facts are facts
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  • 『爆破 モンキーレンチギャング』エドワード・アビー, 1975 レビュー | ヒッピーたちがコミカルに爆破

    『爆破 モンキーレンチギャング』エドワード・アビー, 1975 レビュー | ヒッピーたちがコミカルに爆破



    The Monkey Wrench Gang
    Edward Abbey, 1975
    爆破 モンキーレンチギャング
    エドワード・アビー
    480 pages
    2024.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 70年代のアメリカの大自然を守るヒッピーたちのテロ
    ✔ 西部劇並みの壮大で乾いた土地

    ★★★☆☆ 70年代のヒッピーなアメリカ人たちが西部劇並みの壮大な景色を背景に、環境保護の名の下、コミカルにあちこちを爆破する。好みじゃないと知っててもきっと真面目に読み続けると思いつつ、やっぱり読み続けた一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    70年代のヒッピーなアメリカ人たちが西部劇並みの壮大な景色を背景に、環境保護の名の下、コミカルにあちこちを爆破する。

    ご想像通りの内容で、多分私の好みじゃないと知っててもきっと真面目に読み続けると思いつつ、やっぱり読み続けた一冊。

    3人の男と1人の女、他人同士だったけれどギャングを組んで、環境を破壊する橋やダムを破壊する、となると、今たまにテレビで見るgen Zの若者が美術館の絵画にペンキを書けるようなものか。
    いや、でも今どきのいたずらは命がけじゃないのでちゃんと真似できてない。
    ギャングにはお金持ちのおじさんがいるけれど、自分で走って汗かいて命もかける。

    この本に戻ると。
    やっぱり自分向けじゃないなと思うのは、やたらトラックや銃の細かいことが並べてあって、キーワードはベトナム戦争だし、ちょっと自分とは離れすぎていた。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Monkey Wrench Gang” Edward Abbey (1975) Review | Comically explosive
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    爆破: モンキーレンチギャング



    The Monkey Wrench Gang (English Edition)

    🔽 日本語情報 (「BOOKS」より引用) 🔽
    著:エドワード・アビー
    訳:片岡 夏実
    出版社:築地書館
    ISBN:9784806712220
    出版社:築地書館
    判型:4-6
    ページ数:416ページ


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  • 『(比較文学)』 ベン・ハッチンソン, 2018年 レビュー | つかみどころのない学問

    『(比較文学)』 ベン・ハッチンソン, 2018年 レビュー | つかみどころのない学問

    🔽 基本情報 🔽

    Comparative Literature
    A very short introduction
    Oxford University Press
    Ben Hutchinson, 2018
    (比較文学)
    ベン・ハッチンソン
    160 pages
    2025.9 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ オックスフォード大学出版の出すシリーズ
    ✔ 岳ものとしての比較文学とは何かを説く

    ★★★★☆ なるほど比較文学って私のやった映画学と同じ感じだ。勉強する分野は気の遠くなるほど広い。そういう掴みどころのない学問のことを、簡潔に説明してくれる一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    比較文学って掴みどころのない学問だったけど、ちょっとわかった。
    つまり私のやった映画学と同じ感じだ。

    勉強する分野は気の遠くなるほど広い。歴史、言語、技術、コロニアリズム、ショー者リズム、フェミニズム、コンシューマリズム、西洋、東洋、思い浮かぶものすべてを駆使。
    いろんな「イズム」が生まれる度にまたそれを拾う。

    あと、比較文学が分かりづらかったもう一つの原因は私がアングロサクソン系の国に生まれなかったから、にも関わらずアングロサクソン系の社会で高校から教育を受けたので、比較することはあまりにも普通で、わざわざ強調することがピンとこなかったからだ。
    そうじゃなくても日本は常に文化の違う中国や欧米を比べることが当たり前なのもある。
    それは、似たような文化の西欧が一番と思って暮らす人々とは感覚として違う。

    そういう掴みどころのない学問のことを、簡潔に説明してくれる一冊。

    人間は、比べる生き物。
    何かを知ると、他の何かと比べてしまう、非常にシンプルな思考。
    で、それで?
    今からの比較文学に求められているものは、比較することで何が生まれ、何を得るのか。
    そして、どこまで比較の対象となるのか。
    ちょっと昔はインターネットの時代と言われ、今はもうAIの時代。
    比較文化、映画学、また同じような一般教養、リベラルアーツの未来はどうなっていくんだろう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Comparative Literature” Ben Hutchinson (2018) Review | Comp. Lit.
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  • 『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 レビュー | サルデーニャで終止符を打つ女性

    『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 レビュー | サルデーニャで終止符を打つ女性



    Accabadora
    Michela Murgia, 2009
    (アカバドーラ)
    ミケラ・ムルジア
    208 pages
    2024.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版



    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ イタリア、サルデーニャ州の伝統「終止符を打つ女性」
    ✔ 保守的な社会における女性の立場や魔力
    ✔ サルデーニャを代表する作家の有名な小説

    ★★★★★ イタリア、サルデーニャで末期患者やその親族の苦しみに終止符を打つ女性のこと。善か悪か、天使か悪魔か死神か、それはもう問題ではない。圧倒的な威厳を持った一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    小説「アカバドーラ」現代サルデーニャ文学の最高峰。
    アカバドーラとは、末期患者やその親族の苦しみに終止符を打つ女性のこと、そう、その町で暗黙の了解の中、患者に安楽死をもたらす役目を背負った女性。

    とてもサルデーニャ的でとても地中海文化的。
    土埃の立つ乾いた家の壁、バールに座っている男たち、一日中家事に追われる女たち。
    草原に緑はなく茶色に乾いた草がいつこの地を炎に包もうかと小さな火花を待つ。

    生を与える助産婦が女性なら、生を終わらせるのも女性。
    少女マリアを引き取ってくれた独り身の女性は時折真夜中に黒尽くめの服を着て静かに家を出る。そして翌朝何もなかったかのように帰って来る。

    善か悪か、天使か悪魔か死神か、それはもう問題ではない。
    いま行われるべきか否か。

    サルデーニャでは実際に存在していたと考えられている。
    窒息という方法か、もっと有名なのは槌を使用する方法。
    現在も安楽死の問題は解決しないし、間違いなく客観的に100%正しいという答えは出てこないかもしれない。

    伝統に縛られた厳格な小さな町で、その大きく揺れる心境を圧倒的な力強さと威厳を持って描く一冊。
    日本語もいつか出るといいですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Accabadora" Michela Murgia, (2009) Review | A woman who ends life
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    ★★★★★ Accabadora, a woman in Sardinia who ends the suffering of very ill and their families. Is she an angel or a devil? That’s not the point any more to them. A book with an unusual dignity.

  • 『権力、政治、文化 エドワード・W・サイード発言集成』2001年 レビュー | パレスチナ二国家解決

    『権力、政治、文化 エドワード・W・サイード発言集成』2001年 レビュー | パレスチナ二国家解決



    Power, Politics and Culture
    Interviews with Edward W. Said, 2001
    権力、政治、文化
    エドワード・W・サイード発言集成
    アメリカ
    512 ページ
    2024.11 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ パレスチナ系アメリカ人評論家サイード氏とのインタビュー集
    ✔ 前半は文化評論全般について、後半は政治的な言論
    ✔ 平和を訴え続けたサイード教授の言葉は常に心に刺さる

    ★★★★★ パレスチナ系アメリカ人評論家サイード教授。世界中の多くの人間は彼の情熱的なヒューマニズムに心を打たれた。後半は政治的なもの。パレスチナ二国家解決以外はありえない、我々は共存できる。この本に詰まった人間味の溢れた知識人の声はもう届かないのだろうか。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    エドワード・サイード教授とのインタビューや彼の発言を集めたもの。
    第一部は文化的な分野、つまり文学、音楽、芸術などに焦点を置いたもので、第二部は政治的な内容の2つのセクション。
    私にはそういうクラシックな教養がないので前半はわかりにくかったというのが正直な感想。
    でも後半は違う。パレスチナ、ガザで起きていることを知らない人はいない。
    彼が何十年も訴え続けたパレスチナの二国家解決は利己的な権力者に継続的に否定され、いま現在、常識的にありえないはずのパレスチナ人のジェノサイドが私達の目の前で起こっている。

    彼自身は自分を救いようのない楽観主義者と呼んでいた。
    一部の人間は彼を敵とみなしテロリストとも呼んでいた。
    しかし世界中の多くの人間は彼の情熱的なヒューマニズムに心を打たれた。
    イスラム教を崇めるわけでもなくユダヤ教を否定するわけでもない。
    彼がとても人間らしいのは、人間は矛盾していることを理解し、それでも互いに寄り添うことを目指したということ。

    キリスト教徒パレスチナ人。
    典型的なアラブの植民地主義的なクラシックな教育を受け、長年コロンビア大学で英文学と比較文学を教えていたサイード教授。
    世界中で何らかのリベラルアーツ、一般教養を学んだ人間には、彼の唱えたオリエンタリズムはあまりにも有名。
    教育の場以外でも生涯をかけてイスラエルとパレスチナの共存を訴え続けた。
    二国家解決以外はありえない、もう誰も覚えていない歴史や神話に執着せず、今現在その土地に住んでいる人の暮らしを尊重するしか道はない、そうすれば共存はできる、と。

    アメリカの問題は、その昔誤ってアラブを野蛮なテロリストだと位置付けしたあと、その間違いを認めずに野蛮人として描写することに意地になっていることだと。
    そしてもちろん、イスラエルがガザを侵略することによって膨大な利益を受けていることも知らない人はいない。

    サイード教授が亡くなって20年ちょっと。
    憎み合うことが当然という社会で生きてきた人々にとっても彼は大切な灯火であり、憎しみを利用する政治家にとって彼は敵だった。
    それでも訴え続けた人生のまっすぐな言葉がこの本に詰まっている。

    「イスラエルだってパレスチナ人を永遠に邪険に扱い、その存在を永遠に否定し続けることは不可能だ。パレスチナ人を完全に抹殺することはありえないんだから」
    世界中が見ているなかで正にそのありえないことが起きている。
    彼のような人間味の溢れた知識人の声はもう届かないのだろうか。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Power, Politics and Culture, Interviews with Edward W. Said" (2001) Review | Coexist
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    権力、政治、文化(上) エドワード・W・サイード発言集成


    権力、政治、文化(下) エドワード・W・サイード発言集成


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  • 『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ, 1925年 レビュー | 壊れる寸前の意識の流れ

    『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ, 1925年 レビュー | 壊れる寸前の意識の流れ



    ダロウェイ夫人
    ヴァージニア・ウルフ, 1925
    Mrs. Dalloway
    Virginia Woolf
    イギリス
    240ページ
    2024.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ヴァージニア・ウルフの英文学の傑作
    ✔ 主人公の頭の中の「意識の流れ」と描くスタイルを確立
    ✔ 礼儀正しい日常とは裏腹のギリギリの精神状態

    ★★★★★ 外側ではお上品な行動が起こっている、しかし。一日の出来事としては無関係なのことが不思議なことに意識の中ではしっかりと絡み合っている。壊れる寸前のギリギリのところの意識の描写。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    初のヴァージニア・ウルフ。

    確かに簡単な本ではない。
    一日の出来事だけを追うんだけど、外側ではイギリスらしいお上品な行動が起こりつつも、主人公を含め彼らの頭の中ではものすごくたくさんのことが起こっている。
    本当は何を考えているのか、何を思い出しているのか。
    「意識の流れ」というやつだそうですべてが内面に向かっていて、流れは止まらない。

    (ちょっとネタバレです。100年前の小説なのでもう知られているとは思いますが)
    主人公クラリッサはギリギリの精神状態、自分の義務と希望の間でもなんとか一日を過ごそうとする。
    一方、知人セプティムスは、別のところでついに精神をやられてしまうが、そのことがクラリッサにも影響を及ぼす。
    遠くで起こっている死、その死へと向かう彼の道のり。
    その日の一日の出来事としては全くもって無関係なのに、不思議なことに意識の中ではしっかりと絡み合っている。
    そのギリギリのところの意識の描写がすごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Mrs. Dalloway" Virginia Woolf (1925) Review | Stream of consciousness
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    ダロウェイ夫人 (集英社文庫)



    Mrs Dalloway (Oxford World’s Classics) (English Edition)


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  • 『ポリー氏の人生』H.G.ウェルズ, 1910年 レビュー | 人生を終わらせるつもりが始まった男の話

    『ポリー氏の人生』H.G.ウェルズ, 1910年 レビュー | 人生を終わらせるつもりが始まった男の話

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ミッドライフクライシス、中年の危機、日本語では第二の思春期とも言うんですか。
    まさに人生におけるその数年の葛藤を描いた一冊。
    しかも著者は「SFの父」や「SFの巨人」と呼ばれ、しかも晩年は国際連盟の樹立を提唱したりと幅広く活躍した人物、そこ彼の描く中年の危機のストーリー。

    人生の半ば、多くの人は自分の人生は面白くはない、大したことはないと思う。
    特に大きな選択などもしなくても物事は決まっていき、全部が嫌になる。
    変わりたい、そう思ってももう体力的にも精神的にも疲れていて、もう終わりにしたい…と思ったら!そこで人生がスタートするんです。

    最初の方は読んでいてもダラダラとした感じで当に主人公の人生そのもの。
    でも「もう全部終わりにしたい」からが文章も楽しさやワクワク感が出てきて、いつも観ていた風景にちょっと感動したりそんな些細なことに喜びを感じ、満足感や静かな幸せをきちんと感じ取れるようになる。
    だからそういう面白くない箇所もあっていい。
    人生は先は見えないもので、大概の場合は最後にちゃんと満足できる。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The History of Mr. Polly" H. G. Wells(1910) Review | Life started late

    前に読んだ中年の危機の本
    “Midlife crisis” Kieran Setiya, 2017 / (中年の危機への哲学的な対応)>>
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     mr polly
    ポリー氏の人生 (エクス・リブリス・クラシックス)



    The History of Mr. Polly (English Edition)


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  • 『外套』ニコライ・ゴーゴリ, 1842年 レビュー | 人生はフェアではない

    『外套』ニコライ・ゴーゴリ, 1842年 レビュー | 人生はフェアではない



    The Overcoat
    Nikolai Gogol, 1842
    Шине́ль
    外套
    ニコライ・ゴーゴリ
    112 pages
    2024.10 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 悲劇なのに滑稽なロシア文学の短編集
    ✔ 現ウクライナ出身のゴーゴリの傑作
    ✔ 節約してやっと買えたコートを盗まれた男

    ★★★★☆ 人生はフェアではない、悲劇なのに滑稽で悲しい笑劇。下級役人の主人公が節約してやっと買ったコートが盗まれる。どの国でどの時代どの社会で生きていようが、それは行場のない普遍的な怒りと絶望。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロシア(ゴーゴリは現ウクライナ出身)文学をちょっとずつ広げています。
    確かに、ドストエフスキー的なものがところどころに見える。
    人生はフェアではない、悲劇なのに滑稽で悲しい笑劇。
    官僚主義に人生を左右される人生。

    代表作「外套」、下級役人の主人公が節約してやっと買ったコート、それが盗まれる。
    たったそれだけと言えばそれだけかもしれない、けれど必要以上にストーリーや感情の揺れを抑えて抑えて描くことで、彼の感じているであろうその揺れを読者は全身で感じることができる。
    どの国でどの時代どの社会で生きていようが、それは行場のない普遍的な怒りと絶望。

    滑稽で信じられない、なのに普遍的とは。
    ロシア文学は底なし沼。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Overcoat" Nikolai Gogol (1842) Review | Life is unfair
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    外套・鼻 (岩波文庫 赤 605-3)



    The Overcoat (English Edition)


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  • 『血の婚礼』フェデリコ・ガルシーア・ロルカ, 1932年 レビュー | 名誉の地中海文化

    『血の婚礼』フェデリコ・ガルシーア・ロルカ, 1932年 レビュー | 名誉の地中海文化



    Blood wedding
    Federico García Lorca, 1932
    Bodas de sangre
    血の婚礼
    フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
    2024.09 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 有名なスペインの悲劇、戯曲
    ✔ 地中海文化らしい、名誉と復讐の物語

    ★★★★☆ 戯曲。今も地中海文化に根強く居座る、恋人たちと母親の苦悩、名誉と復讐に命を捧げる男たち、力強い感情に溢れたストーリー。いつか演劇として見たい。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    密かに有名なスペインの悲劇、戯曲。
    今も地中海文化に根強く居座る、恋人たちと母親の苦悩、名誉と復讐に命を捧げる男たち、力強い感情に溢れたストーリー。
    演劇のために書かれているのでやっぱ文章で読むより、舞台の上の演技を観てこそ十分にその良さがわかるんだろうし、もちろん人間臭いスペイン語でなく英語で読むことでその本当の色は褪せているかもしれない。
    いつか演劇として見れるときは来るのだろうか。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Blood wedding" Federico García Lorca (1932) Review | Honour and revenge
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    血の婚礼: 他二篇 三大悲劇集 (岩波文庫 赤 730-1)



    Blood Wedding


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  • 『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 レビュー | 5つのアジア分離独立の悲劇

    『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 レビュー | 5つのアジア分離独立の悲劇



    Shattered Lands
    Five Partitions and the Making of Modern Asia
    Sam Dalrymple, 2025
    (シャタード・ランド
    5つの分離独立と現代アジアの誕生)
    サム・ダルリンプル
    528 pages
    2025.09 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 大英帝国の支配下にあったインド帝国の分離の歴史
    ✔ 当時の世界の人口25%の人間の移動と略奪と悲劇
    ✔ 20代の若き歴史家のヒューマニズムにあふれる一冊

    ★★★★★  今日のアジアを造り上げた分離独立。現在のイエメンからミャンマーに広がっていたインド帝国で民族や宗教の枠を超えてコスモポリタンな社会に生きていた人々の生活が命が粉々に引き裂かれた。現在も続く、誰も知らない誰も語らない暗い歴史を丁寧に書いた、今後の歴史に残る一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    現代アジアを造り上げた分離独立、パーティション。
    その背景は日本人だけでなく、当事者のインド周辺の現地の人にも、英国人にも世界中でも知られていない。
    バングラデシュ、ミャンマー、カシミヤ、そういうニュースで見る地域の問題は、自然発生したものではなく、もちろん現地の人が単純に暴力的だからでもない。
    何事にも理由がある。

    日本での第二次世界大戦の終戦日のぴったり2年後、インド帝国が英国から独立。
    それは有名だけれど、そのインド帝国、つまり現在のイエメンからミャンマーまでの壮大なエリアがその前後にどう分けられていったかはあまり知られていない。
    というか、イエメンからミャンマーまで、その間に現在のカタール、アラブ首長国連邦、ブータン、など無数の藩王国があったのすら知られていない。
    5つの分離、つまりミャンマーの独立、アラビア半島の独立、インド・パキスタン分離独立、印パによる500ほどの藩王国の吸収、バングラデッシュの独立。

    「知られていない」と繰り返し書いているけれど本当にそうなのだから仕方がない。
    英国はインド帝国の利益によって支えられていたけれど、大英帝国の人口は当時の世界の人口の25%!
    戦争により経済が崩れた英国は取り急ぎ十分な準備もなく独立を進める。
    大英帝国といえば、どこにいっても嘘をつき続け、右に左に騙し続け、最後は自分の手は汚さずさっさと逃げ出す、いつも同じパターン。

    Shattered Lands、粉々になった土地、というタイトルの通り。
    戦時中にまずミャンマーが分離。(しかも当時ミャンマーの現ヤンゴンが世界で人の出入りが激しい港、つまりニューヨークなんか追い越した大都会だったと。なんと。)
    当時人口の16%いたインド系の人間はミャンマー人じゃない、と追い出される。
    この本は5つの独立分離について非常に詳しく描かれているけれど、5つとも現地の人々の反応、待遇、対応、残酷さはすべて似ている。
    民族や宗教の枠を超えてコスモポリタンな社会に生きていた人々。
    何百万という人間が新しく引かれた国境を超え、もちろん多くは難民となり、少なくない数の人が虐待、強姦、そして殺された。

    粉々になった土地、ばらばらに引き裂かれた人々。
    カシミア紛争を含むインド・パキスタン情勢、ロヒンギャ難民問題などその多くは解決していない。
    他のところで聞いたことだけど(彼のお父さんのポッドキャストで)、この時代を生きた人は、それこそ戦争に駆り出された日本のおじいちゃんたちもそうかも知れないけれど、多くを語りたがらない。
    彼らはその恐怖と過ちと恥を墓まで持っていくつもりで口は開かない。
    その子どももなんとなく聞きづらくて追求しない。
    でも今、孫の代になって初めて真相が明らかになっているという現象が起きているらしい。

    細かく言うと色々とあるんだけど、それはいつかきっとこの本が日本語に訳され日本でも多くの人の手にわたることを願い省くとして(ミャンマーには日本もかなり関わってきます)、全体として印象深かったのは、分離独立前は各々の地域によって生活習慣も違っていたのに、セキュラ―な社会、非宗教的な社会だったということ。
    完全に平和かといえばそうじゃなかったにしてもギリギリのバランスは保たれていた。
    それが突如、超宗教的で、国民主義的、ナショナリズムに走ったはっきりいって差別的で軍事的で暴力的な社会を次々と生み出してしまった。
    英国の下で植民地化された社会が良いとは言えないけれど、じゃあ紛争のないアジアを目指したとき、人々はセキュラ―であることを目指し宗教や伝統を蔑ろにしたほうがいいのか。
    共同体が与えてくれる安心感は過去の産物になるのか。
    伝統は狂暴なのか。

    この本には毎ページに驚きが隠されている。
    素晴らしい歴史本は大概まるで物語を読んでいるように感じるけれど、この本もそう。
    28歳の著者サム・ダルリンプル氏はヒューマニズムに溢れ人間的で、情熱を持った人物だと言うのが手に取るようにわかる。
    これだけ残酷な歴史を語る本の中にも、それでも宗教の違う友人が命をかけて助け合った話をきちんと残してくれるし、彼自身も独立分離によって故郷に帰れない人の代わりに国境を超えて代理で会いに行くという活動もしている。

    もちろん父親がウィリアム・ダルリンプルということはプラスに働いているけれど、彼は20代にして初出版にして、もう自分の足で立っている歴史家の一人。
    インドでもダルリンプル親子がベストセラーのチャートにずっと上ってたし、インド史周辺はなかなか面白いことになりそう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Shattered Lands" Sam Dalrymple(2025) Review | Making of new Asia
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  • 『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022年 レビュー | 挑発的にスリランカのリアルを描く

    『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022年 レビュー | 挑発的にスリランカのリアルを描く



    The Seven Moons of Maali Almeida
    Shehan Karunatilaka, 2022
    マーリ・アルメイダの七つの月
    シェハン・カルナティラカ
    368 pages
    2024.09 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ スリランカの歴史と文化を背景とした挑発的なファンタジー
    ✔ 死んだ戦場カメラマンの主人公が自分の死因を探し求める
    ✔ モンスターあり、幽霊ありの型にはまらない一冊

    ★★★★★ 挑発的でファンタジーでありながらスリランカのリアルを描く、何でもありの型にはまらないぶっ飛んだ一冊。ロック音楽が大音量でかかっているかのような読書体験。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ずっと気になっていたけど、できるだけ前情報無しで読んだ本。
    なので、もし何も知りたくなかったら、この本は型にはまらない自由でぶっ飛んだ本ということだけ知ってもらって、あとはこの文章は読まないでください。
    こんな私の文章を読んだところで本の方は想像を絶するわけですが。

    まず死んだところからスタートする、さて誰が俺を殺したかのストーリー。
    幽霊ありモンスターあり、ミステリーで、現代スリランカの複雑な戦争、ということがキーワードだけど、だからといってこのストーリーが想像できるわけではない。
    スリランカの現代史を全く知らないと少しだけ出遅れるけれど、どうせぶっ飛んでいるし、徐々に物語の中に引きずり込まれていく。

    主人公は二人称youで書かれていて、何も分かっていない主人公と一緒に発見していくのがさらに良い。
    ただそのyouはテキトーな戦場カメラマンで、浮気症のゲイで、ギャンブル依存。
    絵に書いたアンチヒーローに徹しているのに一緒に7つの月の時間を過ごしていくとそんなに悪いやつじゃない気がしてくる。

    挑発的でファンタジーでありながらスリランカのリアルを描くという、型にはまらないマジカルリアルズムの一冊。
    ロック音楽かパンクが大音量でかかっているかのような読書体験。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Seven Moons of Maali Almeida" Shehan Karunatilaka (2022) Review | Provocative and real
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  • 『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーディン, 2000年 レビュー | 料理界への愛にあふれた自伝

    『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーディン, 2000年 レビュー | 料理界への愛にあふれた自伝



    Kitchen Confidential
    Anthony Bourdain, 2000
    キッチン・コンフィデンシャル
    アンソニー・ボーディン
    576 pages
    2024.09 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ドキュメンタリーも人気だったシェフのエッセイ
    ✔ 料理やシェフの同僚たちへの愛にあふれた文章
    ✔ 正直すぎて暴露的な内容もありのずっと愛される一冊

    ★★★★★  彼の自伝ではなく、食べ物への愛、料理への愛、料理業界の戦友たちへの愛のバイオグラフィー。ドキュメンタリー番組で見る通り、本当に口が悪く、凄まじく正直で、とても優しい人物のよう。料理界を描く古典。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    出版されてすぐにクラシックになったと言える一冊。
    旅行ドキュメンタリー番組でお茶の間でも有名になったシェフ、でもこれは彼のバイオグラフィーではなく、食べ物への愛、料理への愛、料理業界の戦友たちへの愛のバイオグラフィーでそれは軽く国境を超える。

    レストランのキッチンは常に熱気に満ちている。私も少しだけ小さなレストランで働いたけれどそれでも確実に言えることは、チームワークというかここは軍ですかと思うほど大変な仕事で、シェフの言うことは絶対。

    嬉しいことにボーディンさんはドキュメンタリー番組で見る通り、本当に口が悪く、凄まじく正直で、とても優しい人物のよう。

    オーウェルの「パリ・ロンドン放浪記」が出てくるのにニヤリ、ちょうど読んだ本。
    これに続く、料理界を描く古典。

    もし英語で読むならぜひアニバーサリー版を。
    私が読んだエディションは彼の手書きの注意書きやあとがきが載っていて魅力倍増。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Kitchen Confidential" Anthony Bourdain (2000) Review | Love of cooking
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  • 『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 レビュー | ネパールとディアスポラ

    『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 レビュー | ネパールとディアスポラ



    (グルカの娘)
    The Gurkha’s daughter
    Prajwal Parajuly, 2013
    280 pages
    2024.09 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ネパール人のディアスポラを描いた短編集
    ✔ 遠くなっていく伝統と強くなっていく故郷への想い
    ✔ ネパールの貧困をベースにした現象の個人的なストーリーたち

    ★★★★☆ ネパールは貧しさや紛争により昔から外に出ていく人が多くディアスポラの問題が後を絶たない。遠くなっていく伝統としきたり、強くなっていく故郷への思いという避けようのない物語を彼らは背負っている。じんわりと心に残る短編集。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ネパール人またはネパールに関わる人々のストーリーの短編集。

    ネパールは貧しさや紛争により昔から外に出ていく人が多くディアスポラの問題が後を絶たない。
    自分の住んでいる土地に、生まれた土地に属している感覚がないという問題。
    インドのダージリンはネパール系が過半数で彼らの故郷の意識は統一されていない。
    ブータンに住む故郷ネパールから追い出された難民。
    カリンポンに住むビハール出身のムスリムの商人。
    ニューヨークにすむネパールに行ったことがない移民の子。

    彼らの物語は辛くて悲しい、でもドラマチックには描かれない。
    だって彼らの人生はリアルで、大袈裟なドラマではない。
    遠くなっていく伝統としきたり、強くなっていく故郷への思いという避けようのない物語を背負っている。

    日本にも多くのネパール人が住んでいるということも忘れてはいけない。

    じんわりと心に残る短編集。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Gurkha’s daughter” Prajwal Parajuly (2013) Review | Nepal and Diaspora
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  • 『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 レビュー | 暴力で制した東インド会社

    『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 レビュー | 暴力で制した東インド会社



    The Anarchy
    The relentless rise of East India Company
    William Dalrymple 2019
    略奪の帝国 東インド会社の興亡
    ウィリアム・ダルリンプル
    576 pages
    2024.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インドの歴史の中でどう東インド会社が成功したか
    ✔ 一企業が自分の利益のためだけに繰り返した略奪
    ✔ 忘れ去られていた資料を整理した現代インド史の痛々しい史実

    ★★★★★+♥  なぜ東インド会社は成功したか。無作法で便乗主義者で嘘つきで自分勝手な暴力的なチンピラ集団が、自分の利益のためだけに繰り返した略奪。この本はその細かい事実の文章の中においても人間味が溢れ読む人を惹きつける。歴史本というか文化財。最高。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    最高な一冊。歴史本で私の中では最高峰。
    まさにずっと気になっていたトピック、どうやって小さな島国イングランドが巨大で裕福な亜大陸を植民地化することができたか。

    簡単に言えばつまりはムガール帝国がライオンで、東インド会社はハイエナというところ。
    裕福な帝国ムガール帝国が少し崩れてきたところに、無作法でアグレッシブで便乗主義者で嘘つきで自分勝手で成金趣味の数人の商人が行った、自分の利益のためだけの略奪。自国英国の政府にも王室にも逆らって。
    つまり、現地インドの帝国も自国の王室をも無視した無政府主義(Anarchy)の一企業による略奪の歴史。

    東インド会社は商人としてではなく、ひたすら暴力と嘘で財力を得て、結局はイギリスの経済はこのチンピラ集団が治めるインドなしでは維持できなくなり、英国王室も危機を感じ会社を国営化、そして英国は引き継ぐ形でインドを植民地化する、というのが歴史の流れ。

    事実は小説よりも奇なり、歴史はフィクションよりも面白いとはこのことで、しかもダルリンプル氏の手にかかればドキドキハラハラの壮大な物語のようにあっという間に読んでしまう。

    彼の情熱的でヒューマニズムに溢れた文章は、この本をただの歴史本ではなく力強い文化財に変えてしまったと言える。

    この本はインド国内の、今まで誰も見ていなかった資料を引っ張り出して整理することできちんと整理された実際に起きたことを細かく伝えてくれる。
    そして事実は厳しい。
    特に大英帝国は華やかで誇らしいものだと学校で教えられてきたイギリス人にとって、史実は目を向けたくなるもので、実際にダルリンプル氏はイギリスの右派からイギリスを貶すなと批判されまくり。

    特に気になった人物はウォーレン・ヘースティングズという、ベンガル知事、初代インド総監。
    通常東インド会社の社員はインド文化には興味がないなか、彼は唯一インドの言語、芸術、文学を愛した珍しい存在。
    ただ、いつの時代もそういう繊細でまともな人は貪欲な組織の中で叩かれる。

    で、ダルリンプル氏のファンになり、ポッドキャストも全部聞いてます。
    スコットランドの貴族の家系に生まれ、先祖がよく歴史上の出来事に出てくると苦笑し、裕福な子供時代を過ごすも中東の歴史や文化に惹かれ、現在はデリーでヤギと農場で暮らしている彼。
    最近は特に、イギリスの学校はイスラエル、パレスチナ、中東全般の間違った歴史を教えていると声を上げている。
    (ちなみに彼の息子のサム・ダルリンプル君の本を現在読んでるけど、息子もきっとお父さんと同じ道を進んでくれるだろう)
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Anarchy" William Dalrymple(2019) Review | A gang of thugs

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    略奪の帝国 上: 東インド会社の興亡


    略奪の帝国 下: 東インド会社の興亡


    The Anarchy: The Relentless Rise of the East India Company (English Edition)



  • 『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 レビュー | じんわりと崩れる修道女たち

    『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 レビュー | じんわりと崩れる修道女たち



    Black Narcissus
    Rumer Godden, 1939
    (黒水仙)
    ルーマー・ゴッデン
    258 pages
    2024.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    (日本未出版、日本では映画のみ)


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ヒマラヤの山奥に建てられた寂しい修道院での生活
    ✔ 現地の人間と修道女たちの葛藤、修道女同士の葛藤
    ✔ モラルが崩壊後は予想通りのドロドロなドラマに

    ★★★★★ 大好きなドロドロドラマ。イギリス領ダージリン近辺の山の中にある元ハーレムの孤独な修道院。慎ましい生活のはずだった。修道女として人間として女としてのモラルがじんわり崩れていき読んでいてそわそわする。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    イギリス領ダージリン近辺の山の中、元ハーレムだった建物が孤独な修道院に改築され、そこへ移ってきた修道女たちのストーリー。
    それだけでもうヒステリックでダークな展開が想像できるけど、その通り、彼女たちの慎ましい生活は少しずつ狂っていく。

    地元の人はだれも望んでないのに、勝手にやってきて勝手にキリストの教えを説くというおこがましさは当時どこでも見た風景だけど、誰からも反対されるそんな空気の中で貞節の誓いを立て清く正しく生きるという決意はいいんだけど、長く続くはずはなかった。当然。

    地元の将軍の言う通り「神様であるカンチェンジュンガの山に近づきすぎると精神を崩しますよ」

    ダークで性的な緊張感や白人至上主義とキリスト教の博愛主義の葛藤、さらには大英帝国帝国の崩壊、モラルの崩壊、など確かにベストセラーになるにはダークすぎる。
    でも人間として、女としてのネガティブな部分がじんわりと滲み出ていて、どんどん落ちていく彼女たちのモラルに、読んでいてドキドキ、ハラハラ、そわそわする。
    インド独立の年のタイミングで映画化までされたようで、すごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Black Narcissus" Rumer Godden (1939) Review | Nuns slowly go mad
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  • 『屋根の上の部屋』 ラスキン・ボンド, 1956年 レビュー | 繊細な少年時代

    『屋根の上の部屋』 ラスキン・ボンド, 1956年 レビュー | 繊細な少年時代



    The Room on the Roof
    Ruskin Bond, 1956
    屋根の上の部屋
    ラスキン・ボンド
    184 pages
    2024.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インド生まれ育ちの白人の著者のデビュー作
    ✔ 彼の生まれや育ちをベースに17歳で書いた小説
    ✔ 繊細な少年時代を描く成長物語

    ★★★★★ インド生まれ育ちの白人の著者の17歳で書かれたデビュー作。少年時代というのは誰もが「ここに馴染めない」と思うんだけど、彼の場合はその悩みは変えようがない。繊細な少年時代を描く一冊。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ラスキン・ボンド、日本ではあまり知られてないんですね。
    インド生まれ、インド育ちのイギリス系白人の彼はインドではその優しい文章と切ないノスタルジアに包まれたストーリーで人気。その彼が17歳の時に書いたデビュー作。

    彼自身の少年時代を描いたような小説で、イギリス系インド人の主人公の少年の英国人の保護者やインド人の友人との生活、なんだけど、典型的白人主義の家庭には馴染めず、かといって明らかに見た目も階級も違う自分は地元の友だちと同じ生活ができない。

    少年時代というのは誰もが「ここに馴染めない」と思うんだけど、彼の場合はその悩みはリアルで明確で、どれだけ彼自身が望んでも変えることはできない。

    いつかきっとと思っていた願いは非現実的に見えた。
    著者本人はイギリスに移住するも結局インドに帰ってくる。
    彼の愛する故郷はインドしかない。

    繊細な少年時代を描く一冊。

    日本では下記の作品集に含まれています

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Room on the Roof" Ruskin Bond (1956) Review | Sense of belonging
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    小学館世界J文学館 青い傘ほか ラスキン・ボンド作品集

    この作品集に含まれています


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  • 『ギタンジャリ』タゴール, 1910年 レビュー| インドの偉大な詩人の代表作

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910年 レビュー| インドの偉大な詩人の代表作



    Gitanjali
    Rabindranath Tagore, 1910
    ギタンジャリ
    ギーターンジャリ
    ラビンドラナート・タゴール
    48 pages
    2024.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アジア初のノーベル賞受賞の詩人の代表作
    ✔ 神に捧げるための「歌のささげもの」
    ✔ 普段の生活とは違う神秘的な世界に連れていかれるような

    ★★★★☆ インド人詩人タゴールの有名な「歌のささげもの」。その宗教観を持っていないと実感できないところはあるけれど、翻訳を通じてでもその美しさに惹かれる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    アジア初のノーベル賞受賞のインド人詩人タゴールの有名な「歌のささげもの」。

    詩集なので、訳されるとどうしても本来の美しさはなくなってしまうものだと思う。
    日本語訳のをちらっと見たけど、日本語のほうがしっくりする。
    読むときはできれば解説付きがいい。

    神々に捧げる歌なので、その宗教観を持っていないと実感できないところはあるけれど、翻訳を通じ出てもその美しさに惹かれる。
    神秘な世界というか、普段の生活とは違う空間に連れて行かれるような。
    今度は日本語で読んでみよう。

    ちなみに当時の日本のアーティストとも親交があり何度も訪日するも、日本の国家主義を批判、晩年は日本へは訪れていない。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Gitanjali" Rabindranath Tagore (1910) Review | India's grand poet
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    ギタンジャリ 新装版: タゴール詩集 歌のささげもの



    Gitanjali (English Edition)



  • 『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ 2011年 レビュー | 人間の強さと恐ろしさ

    『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ 2011年 レビュー | 人間の強さと恐ろしさ



    Sapiens
    Yuval Noah Harari  2011
    サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福
    ユヴァル・ノア・ハラリ
    580 pages
    2024.08 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 人類の歩みと欲望の歴史書
    ✔ 人間は一番強い生物だという挑発的な雰囲気も醸し出す

    ★★★★☆ 確かに、興味深く、挑発的で、こわい。私達はこの惑星上一番強い存在であり、もっと強くあろうと前進する。他の生物やこの環境を踏みにじってでも。他の人間を踏みにじってでも。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    出版以来ずっと騒がれている一冊。
    言われていたように、興味深く、挑発的で、こわい。
    私達はこの惑星上一番強い存在であり、もっと強くあろうと前進する。
    他の生物やこの環境を踏みにじってでも。そう、仲間であるはずの他の人間を踏みにじってでも。

    ちょっと止まって考えると、自分たちの世界を自分たちのよくのために壊すというのは狂気の沙汰でしかない。

    著者の言う通り、地球は大きなショッピングセンターで、私達は常に次々と消費し、もっともっと求めるわけだけど、私達は結局何が欲しいのか。どういう幸せがほしいのか。
    今後人間が進化するとして、その未来で私達は何を求めるのか。

    そしてもう一つこわいのは著者は人間の長い歴史の欲望に批判的ではないところ。淡々と歴史として否定の色を見せずに書き示すというのは肯定しているふうにも見える。
    なので興味深い本であっても好きではないので★4

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Sapiens" Yuval Noah Harari (2011) Review | We demand to be stronger
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    サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福



    Sapiens: A Brief History of Humankind (English Edition)



  • 『(自閉症、することとすべきでないこと)』 Marco Pontis, 2021年 レビュー | 普通校の先生のための本

    『(自閉症、することとすべきでないこと)』 Marco Pontis, 2021年 レビュー | 普通校の先生のための本

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    続けて今度はイタリア語の自閉症関連。
    この本は、学校の先生のために書かれた本。
    日本では見つけられなかったのでリンクなし。

    特にここから学ぶものは特にないけれど、自閉症の子の対応を何も知らない先生が、クラスルームのなかですぐに実践的に使えるものばかりで、ぜひそういう立場の人には読んでもらいたい。
    強いていえば、日本、アメリカ、イギリス、イタリア、と大体同じことを言ってるのでそれを確認したことがよかった。日本は多くの障害のある子は別の学校に行くので一般的に先生もこういうことを知る必要はないんだろうけど、イタリアは支援学校はないので、一般の学校であってもどんな障害がある子でも勉強し生活する環境が必要。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Autismo Cosa fare (e non)” Marco Pontis (2021) Review | For teachers
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    なし



  • 『 (自閉症の子供のための早めのスタート)』 Sally J Rogers, 2012年 レビュー | 2,3歳くらいの子の家族

    『 (自閉症の子供のための早めのスタート)』 Sally J Rogers, 2012年 レビュー | 2,3歳くらいの子の家族



    An Early Start for Your Child with Autism: Using Everyday Activities to Help Kids Connect, Communicate, and Learn
    (自閉症の子供のための早めのスタート)
    Sally J Rogers, etc, 2012
    342 pages
    2024.07 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ アメリカの2,3歳の自閉症の子の家族のための本

    ★★★★☆ 2、3歳の自閉症の子の家族のための本。でも本自体はとても良いので、裏付けの理論をきちんと読めたのは良かった。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    間違いなく読むの遅すぎた。この本は2、3歳の自閉症の子の家族のための本。
    うちの子はもう6歳。

    それでもまあ、セラピーの先生がこの方法を選んだのかとか、この段階はこれだ、などの裏付けの理論をきちんと読めたのは良かった。

    自閉症と診断されたばかりの、まだ就学前の子の家族におすすめです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “An early start for your child with Autism” Sally J Rogers (2012) Review | For toddlers
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    An Early Start for Your Child with Autism Using Everyday Activities to Help Kids Connect, Communicate, and Learn【電子書籍】[ Sally J. Rogers, PhD ]


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  • 『(ロンドンイズリントン区の犯罪史)』 Islington Archeology & History Society, 1989年 レビュー | 犯罪、警備、刑務所の記録

    『(ロンドンイズリントン区の犯罪史)』 Islington Archeology & History Society, 1989年 レビュー | 犯罪、警備、刑務所の記録

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロンドン北東部と言いつつほぼ中心にあるイズリントン区のヴィクトリア朝における犯罪、警備、刑務所の歴史エッセイ集。

    ロンドンの中心地は現在の金融街シティで、そのすぐ北にあるイズリントン区は今も昔も悪名高きエリア。まさにオリバー・ツイストの世界を今でも垣間見ることができる。
    興味深かったのは、当時シティ以外には警察や警備の組織が存在しなかったという点、そしてその当時から、窃盗などの軽犯罪は貧困からくるものなので住宅問題に取り組んだという点。
    もちろん、イズリントン区内だけでも5つもあったという刑務所システムも街の掃除に貢献した。

    当時は大英帝国の最盛期、英国は世界の四分の一を牛耳っていたのに、蓋を開けてみると首都ロンドンの市民の大半は貧困に苦しんでいたという皮肉な現実。

    ロンドンに住んでいた10年以上ほとんどをこのイズリントン区で過ごしたので、この狭いエリアの歴史は、誇れるものではないけれど奥深い。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Criminal Islington" Islington Archeology & History Society, (1989) Review | Crimes, policing and prisons
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    なし



  • 『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 レビュー | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ

    『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 レビュー | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ



    Dracula
    Bram Stoker, 1897
    吸血鬼ドラキュラ
    ブラム・ストーカー
    352 pages
    2025.08 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 誰もが知っているドラキュラの本当の物語
    ✔ 登場人物の日記や手紙を使って進むストーリー
    ✔ 裏に隠れた女性の立ち位置やあいまいなセクシュアリティのテーマ

    ★★★★★ 街に恐怖が訪れ、結果女が知識や性に目覚め男と同じ位置に立つ、だから男たちはグルになって恐怖の根源であるドラキュラを倒しにいく、とも見える。女性の立ち位置という裏のテーマが面白い。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ドラキュラを知らない人はいない。
    映画も小説も知らなくても、ドラキュラ伯爵は子どもでも知ってる。

    その原作は実は登場人物の手紙や日記を使ってストーリーを進めてるというのは知らなかった。
    だからリアリティがあって当時からずっと人気なんだろう。

    意外だったのは、正義の味方の男たちが悪いやつを追いかけるというハリウッド映画並みのストレートな感じだったこと。
    もっと意外だったのは、なんだかんだ言って若き主婦ミナが被害者になりながらも結局はその頭の良さで男たちを勝利に導くという流れ。

    きちんと読んでいくと、ストーリーはかなり性的で、セクシャルでありバイセクシャルである。
    ミナを襲いつつも自分の胸から流れる血を飲ませたり、ミナの夫で最初の被害者のジョナサンをも再度襲おうとする。

    街に恐怖が訪れ、その結果女が知識や性に目覚め男と同じ位置に立つ。
    ドラキュラによって、じゃないけどストーリー展開として。
    例えばドラキュラの城にいるジョナサンを誘惑する女吸血鬼達は「女らしく」なく、彼女らに望んで誘惑されるジョナサンは「男らしく」ない。
    賢いミナも「女らしく」ない。
    だからこそ、男たちはグルになって恐怖の根源であるドラキュラを倒しにいく。そういう見方もある。

    さらには当時のロンドンの社会を軽く風刺していたり、人種差別や精神病患者など、色々と詰め込んでいる。
    でも間違いなく、この古典中の古典である「ドラキュラ」は女性の立ち位置という裏のテーマを浮き出している、そこが一番興味深い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Dracula" Bram Stoker (1897 Review | Unexpected female empowerment
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  • 『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 レビュー | 後悔と哀愁の静かなエレガンス

    『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 レビュー | 後悔と哀愁の静かなエレガンス



    An Artist of the Floating World
    Kazuo Ishiguro, 1986
    浮世の画家
    カズオ・イシグロ
    206 pages
    2024.07 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本とイギリスの二つの感覚を持つ著者が描く戦後の老人
    ✔ 戦時中から戦後にかけて変化する日本人らしさと愛国心
    ✔ 後悔に包まれ空気の変化にも苦しむ

    ★★★★★ 日本人らしいことに閉じ込められた老人のお話。戦時中は当たり前だった自らの言動や日本精神を少しずつ見直す主人公の気持ちの変化。イシグロらしい後悔と哀愁の静かなエレガンス。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    過去を思い出し、後悔を思い出し、明るい未来を願う。
    イシグロらしさが滲み出す、日本人らしいことに閉じ込められた老人のお話。

    老後の静かな生活の中で戦時中の自分を思い返し、当時は当たり前だった日本精神のプライドなどを少しずつ見直す主人公の気持ちの変化は、後悔や哀愁、ノスタルジアをいつもうまく突き刺してくるイシグロらしい静かなエレガントさに包まれている。

    ノーベル賞受賞作家

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "An Artist of the Floating World" Kazuo Ishiguro (1986) Review | Japanese sentiment
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  • 『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 レビュー | 語り手の意識の中に迷い込む

    『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 レビュー | 語り手の意識の中に迷い込む



    The Sound and the Fury
    William Faulkner, 1929
    響きと怒り
    ウィリアム・フォークナー
    464 pages
    2024.07 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ まだ奴隷制度もあった南部アメリカの以前は裕福だった家族
    ✔ 同じ事柄が繰り返し語られる次第にテーマが浮き出てくる
    ✔ それぞれの語り手の意識の中を覗くかのような表現

    ★★★★★ かなり難しいので完全にわかったわけではない、でもすごい。いきなり重度の知的障害の弟の視点が描かれていて、同じ事柄をそれぞれの語り手の意識の中を覗くかのように表現されてある。再読必須。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    かなり難しいので完全にわかったわけではない、でもすごい一冊。
    第一章からいきなり重度の知的障害の弟の視点から描かれているので、時系列でもないし、重複したり注意があちこちに飛ぶ、その中で明らかなのはお姉ちゃんに対する愛情。
    それから他の兄弟の視点へと移り、客観的な説明がないのに同じことについて別の視点で描かれているが、つまりはかつて裕福であったアメリカ南部の一家の崩壊の物語。
    知的障害児が身近な私にとっても、その思考の表し方など、そういう意味でも興味深い。

    同じ出来事が別の視点で語られることによりその人物の人格を浮き上がらせるが、その事柄自体の説明がないので、途中からウィキペディアのあらすじを頼りに読んだけど、それでもこのリズムがつかめるようになるとページがどんどん進む。
    当時のアメリカ南部にきっと多くいたであろう、機能不全家族の悲しい物語。

    これはもう一度改めて読んで、そのうえで一つの読書体験とするべき。

    ノーベル賞受賞作家


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Sound and the Fury" William Faulkner (1929) Review | A difficult read but a masterpiece
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  • 『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ, 1963年 レビュー | スタイリッシュなスパイ小説の古典

    『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ, 1963年 レビュー | スタイリッシュなスパイ小説の古典

    
    The spy who came in from the cold
    John Le Carré, 1963
    寒い国から帰ってきたスパイ
    ジョン・ル・カレ
    464 pages
    2024年7月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ スパイ小説の王道
    ✔ 冷戦をテーマにしたクールな雰囲気
    
    ★★★★☆ 寒いところからというタイトルからして冷たくて、スタイリッシュでスタイル化されていて、クレバーで、ちゃんと人間の苦悩みたいのもある。
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    有名なスパイ小説。
    私がスパイもの、しかも冷戦のスパイものに興味も知識もないので残念ながらとても惹きつけられたということはないんだけど、それは私の問題だから別として客観的にも面白いと思うし映画になるのも納得。

    寒いところからというタイトルからして冷たくて、スタイリッシュでスタイル化されていて、クレバーで、ちゃんと人間の苦悩みたいのもある。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The spy who came in from the cold" John Le Carré (1963) Review | The classic spy novel. Stylish
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  • 『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 レビュー | 混沌としたロンドンへのラブレター

    『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 レビュー | 混沌としたロンドンへのラブレター

    
    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース
    ゼイディー・スミス 
    464 pages
    2024年7月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    
    
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ 人種と文化が入り混じるロンドン郊外の生活
    ✔ 違う意見を持っていることが当たり前の中での友情、共同体
    ✔ 心温まるコメディー
    
    ★★★★★ 当時の混沌としたロンドンがここにはある。まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強み。すでにモダンクラシック。
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ロンドンに初めて行ったときからずーっと話題の本、を20年経ってやっと読んだ。
    なんとなく難しくて移民の厳しい生活の話と勘違いしていたけど、読んでみると心温まるコメディーっぽくてちょっとびっくり。
    まさに当時まだ残っていたロンドンがこの本にはある、ごちゃごちゃした混沌としたロンドン。
    ロンドンではイズリントン区というどちらかというとトルコ人エリアにほとんどずっと住んでいたのでこの本の人物と人種的には違うけど、当時は階級も人種も入り混じっていることが自然だった。
    段々とロンドンは設備され、汚いものは「カーペットの下に隠されて」いまではお金がないと生活できない街になってしまった。

    みんな違う意見を持ち、肌の色、年齢、世代、伝統、教育、宗教、過去、経験、すべてが違うなかで、ひとつの共同体として呼吸をするということ。
    まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強みであるとこの本は語っているよう。

    日本人を含む世界のイメージの中のロンドンは現実離れしてびっくりするけど、まあ実はロンドンはそういう幻想を売りにすることで観光業を盛り上げているので、この本で、20年前まであった本当のロンドンに出会ってください。
    汚くて大げさで下品です。いや、でした。過去形。今はこういうコミュニティーは市内から弾かれているのが残念でならない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "White Teeth" Zadie Smith, (2000) Review | Love letter to London


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  • 『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 レビュー | 暴力な世界の中の美しい物語

    『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 レビュー | 暴力な世界の中の美しい物語



    Afterlives
    Abdulrazak Gurnah, 2020
    アブドゥルラザク・グルナ
    288 pages
    2024年7月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 欧米の戦争に巻き込まれる植民地アフリカの人々
    ✔ 残酷で暴力の中でも自分たちの小さな幸せを握りしめる
    ✔ 踏みにじられる人生のわずかな美しさを描く物語

    ★★★★★ 戦争や植民地化という残酷で暴力的な環境の中で語られる美しい物語。それでも彼らは確実に自分たちのものである小さな幸せや悲しみをしっかりと握りしめる。2021年ノーベル賞受賞作家。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    戦争や植民地化という残酷で暴力的な環境の中で語られる美しい物語。

    人々の生活や愛情は、戦争という外部の環境によってボロボロに破壊されるということを忘れてはいけない。
    アフリカの人々の人生は、ヨーロッパ人が勝手に始めた戦争、つまりアフリカに住む人々とは全く関係のない殺し合いビジネスによって左右される。
    それでも彼らは確実に自分たちのものである小さな幸せや悲しみをしっかりと握りしめる。
    そんな狂暴な環境でも、植民地主義上の植民者と先住民でありながらも少しマジカルなでも一人間同士の関係も描かれていて少し希望を持つこともできる。

    2021年ノーベル賞受賞


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Afterlives" Abdulrazak Gurnah (2020) Review | A beautiful story told in a cruel and violent environment
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    Afterlives: By the winner of the Nobel Prize in Literature 2021



  • 『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ, 2015年 レビュー | エーコの遺作、イタリア社会への警告

    『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ, 2015年 レビュー | エーコの遺作、イタリア社会への警告



    Numero Zero
    Umberto Eco, 2015
    ヌメロ・ゼロ
    ウンベルト・エーコ
    208 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ イタリアの知の巨人の遺作
    ✔ イタリア現代史に潜む陰謀とフェイクニュースの力
    ✔ 「事実」を作り上げる傾向にある現代社会への警告

    ★★★★☆ 知の巨人エーコの遺作。何も「本当」なものはなく、「事実」は作り上げられる、私たちの時代におけるジャーナリズム。政治的にも二極端なイタリア社会への警告。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    エーコの7冊目にして最後の小説は、陰謀論やフェイクニュースにまみれたジャーナリズム、私たちの時代におけるジャーナリズム。
    彼の他の小説のように難しくてクラシックに挑発的ではない、けれど短くて比較的読みやすい。
    何も「本当」なものはなく、「事実」は作り上げられる、私達の生きるこの今の社会においての信念や真実の意味を問いただす。
    イタリアの知の巨人と呼ばれるエーコ、彼の頭脳のクオリティはもちろんだけど、包容力のある彼の人間的な部分が好きなんですが、これは政治的にも二極端なイタリア社会への警告にもとれる。

    ただ、ムッソリーニの時代のことを振り返るので、そのあたりの知識がないとちょっと置いてけぼりを食らう。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Numero Zero" Umberto Eco, (2015) Review | A warning to the Italian society today.
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    ヌメロ・ゼロ (河出文庫) [ ウンベルト・エーコ ]
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  • 『地獄の季節』アルチュール•ランボー, 1873年 レビュー | 純粋で天才的な詩人の苦悩

    『地獄の季節』アルチュール•ランボー, 1873年 レビュー | 純粋で天才的な詩人の苦悩



    A season in hell
    Arthur Rimbaud, 1873
    Une saison en enfer
    地獄の季節
    アルチュール•ランボー
    96 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 若くフランスの天才詩人ランボーの代表作
    ✔ 自己破滅的な元恋人を想うランボーの自己憐憫
    ✔ 若さゆえの天才ゆえの苦しみの詩集

    ★★★★☆ 別れた自己破滅型な恋人を想う。青年だからこその純粋さと苦しみ、それを書き表すランボーの天才的な才能。なるほど、酔った暗い夜に読む詩集。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今年はたくさん積読していたペンギンクラシックの短いのを読み漁り。

    青年の苦の詩集。
    どっかで見たけど、これはできれば酔っぱらった状態で夜に読むべき詩集だそうで、地中海の青い空のしたで読んでも場違いな感じ。

    自己破滅型の男である恋人との旅行から帰ってきて書いたもので、挫折と自己憐憫と欲求不満たっぷり。
    まだ20歳そこそこ、なのにその昔の華やかな幸せを思い、美しくて苦悩に満ちている。
    青年だからこその純粋さと苦しみ、それを書き表すランボーの天才的な才能。
    せめて静かな夜に読むべきだった。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "A season in hell" Arthur Rimbaud (1873) Review | Pure and genius
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    地獄の季節 (岩波文庫 赤 552-1)




    A Season In Hell




  • 『アムステルダム』イアン・マキューアン, 1998年 レビュー | イギリスらしい暗い友情

    『アムステルダム』イアン・マキューアン, 1998年 レビュー | イギリスらしい暗い友情



    アムステルダム
    Amsterdam
    Ian McEwan, 1998
    イアン・マキューアン
    224 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 二人の中年の男二人の異様な友情物語
    ✔ イギリスらしい暗さと小難しさと静かなプライドの戦い

    ★★☆☆ 同じ女性を愛したという接点のある中年の男二人の小難しい友情。小難しく、イギリスらしく、暗い。英語で読んでいたなら星が増えてたのかも。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    誰かにもらった本。
    で、日本語訳なので直接の面白さは欠けるのでちょっと残念ではあるが、さっと読める短編。
    同じ女性を愛したという接点のある中年の男二人の小難しい友情、もしそれが友情と呼べるのならだけど。
    小難しく、イギリスらしく、暗い。
    でも他のも読んでみたい。
    やっぱりオリジナルがせっかく英語なら英語じゃないと。

    和訳が悪いという意味ではないです、ただ字幕でいつも映画を見るのに吹き替えで見てしまうような違和感です。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Amsterdam" Ian McEwan (1998) Review | So dark so English
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    アムステルダム (新潮文庫)



  • 『君主論』ニッコロ・マキャベリ, 1532年 レビュー | 残酷であれ、卑怯であれ

    『君主論』ニッコロ・マキャベリ, 1532年 レビュー | 残酷であれ、卑怯であれ



    The Prince
    Niccolò Machiavelli, 1532
    Il principe
    君主論
    ニッコロ・マキャベリ
    128 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ルネッサンス時代の君主になる男たちへの教科書
    ✔ 自己防衛のために残酷であれ卑怯であれという当時の感覚
    ✔ イタリアの歴史を知っていないと難しいところも

    ★★★☆☆ ルネッサンスの男マキャベリ。1500年のヨーロッパにおいての、正しい君主になるにはというガイドブック。残酷であれ、卑怯であれ。これが未だに民主主義国家の政治家に愛読されているというのは怖い。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ただの古典でなく何世紀も幅広く影響力があった古典、君主論。

    1500年のヨーロッパにおいての、正しい君主になるにはというガイドブックで、マキャベリズムというと残酷なイメージがあるけど、紛争の耐えない時代において仕方ない部分はあるが、これが未だに民主主義国家の政治家に愛読されているというのは怖い。

    自分の家族や領土を守るという目的達成のためには残酷だっていい、それが良い君主。
    メッセージは明瞭で当時のヨーロッパだけでなくローマ帝国時代にも細かくくれながら、具体的なアドバイスをする。
    当時から500年も言われているけど確かに、典型的なルネッサンスの産物。

    私のようにローマ時代から16世紀の歴史に詳しくない場合は注意書きが多い本を選ぶのがおすすめです。いろんな歴史上の人物が出てくるのでややこしい。
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    English review
    “The Prince” Niccolò Machiavelli (1532) Review | Focus, be cruel, rule

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  • 『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 レビュー | 民話は残酷

    『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 レビュー | 民話は残酷



    Ten Italian Folktales
    Italo Calvino, 1956
    Fiabe italiane
    イタリア民話集
    イタロ・カルヴィーノ
    96 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ イタリアの民話集の抜粋
    ✔ それぞれは短く普遍的なテーマも

    ★★★☆☆ 大きな短編集からの抜粋。不幸なことや残酷なことも綴られている。これはたった10話なので本編も読まなきゃ。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イタリア民話集という本当はもっと大きな短編集からの抜粋10話。
    民話集ということでそれぞれは短く、道徳的な教えもある。
    ただ、眠っている姫と寝て自分を王様にしたりとレイプを正当化する話もあって生々しい。
    不幸なことや残酷なことも綴られている。
    ちゃんと本編もいつか読まなきゃ、評価も何ともいえない。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Ten Italian Folktales" Italo Calvino (1956) Review | Misfortunes and cruelties
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    イタリア民話集(上) (岩波文庫) [ イタロ・カルヴィーノ ]

     
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  • 『(中年の危機への哲学的な対応)』キーラン・セティア, 2017年 レビュー | もっと良い人生だったかもは幻想

    『(中年の危機への哲学的な対応)』キーラン・セティア, 2017年 レビュー | もっと良い人生だったかもは幻想



    Midlife
    A philosophical guide
    Kieran Setiya, 2017
    (中年の危機への哲学的な対応)
    キーラン・セティア
    186 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 中年の危機を平和に過ごすサバイバル本
    ✔ 哲学的な答えを見つけるという楽ではない解決法
    ✔ 中年になる前に読んでおくのもアリ


    ★★★★☆ 「中年の危機への哲学的な対応」。もっと良い人生を送れたかもしれないは幻想であり、実際は今あなたが手にしている人生より良くなる可能性はなかった。だから今を楽しもう、楽な自己啓発ではないけど面白い。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    「中年の危機への哲学的な対応」という意味で、そういう内容。
    いわゆる普通の自己啓発本ではない、哲学的な考えを身につけることでほぼ誰もが陥る中年の危機を生き抜くと。いうことで楽な解決法は教えてくれない。

    大体において「もっと良い人生を送れたかもしれない」は幻想であり、実際は今あなたが手にしている人生より良くなる可能性はなかったと考えれること。
    結果に左右されず、今自分が行っている行動に重点を置き、その行動自体を楽しもう、と。

    40代の中年に入る前に読むのも心の準備になるのかも。
    ミッドライフ・クライシスの危機に面している主人公の本をいろいろ紹介してるのもよかった。
    で、最後はやっぱり仏教と瞑想で終わる。


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    "Midlife" Kieran Setiya (2017) Review | Could it have been better? Probably not.
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  • 『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー, 1719年 レビュー | 整理整頓を心掛ける主人公がとってもイギリス人

    『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー, 1719年 レビュー | 整理整頓を心掛ける主人公がとってもイギリス人



    Robinson Crusoe
    The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe
    Daniel Defoe, 1719
    ロビンソン・クルーソー
    ロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険
    ダニエル・デフォー
    384 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 誰もが知っている、オリジナルは子供より大人も楽しめる
    ✔ 整理整頓を心掛けこの状況でも英国人のプライドを持つ
    ✔ 日記という形で世間をにぎわせた小説

    ★★★★☆ 超古典。この主人公がとってもイギリス人なのが面白い。整理整頓を心がけ、この野蛮な地を絶対に(イギリス的な)我が家にしてやる、と奮闘し誇りに思っている。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    古典を読んでいた時期に、旅行記の古典といえば。
    この主人公がとってもイギリス人なのが面白い。
    整理整頓を心がけ、この野蛮な地を絶対に(イギリス的な)我が家にしてやる、と奮闘し誇りに思っている。

    あたかも本当の自伝と思わせるように、口語的な英語でしかも語り口は一人称で「本人自筆」とまで書いてある。
    もちろんフィクションだけど当時はこの手法でかなり売れたよう。

    この時代の小説なので植民地主義的、人種差別的な内容は避けられないけれど、良いキリスト教徒としてクルーソーはそれなりに現地人フライデーと打ち解けているのも忘れてはいけない。
    今振り返って良い悪いはあるにしても、300年前に書かれた素晴らしいストーリーであることは否定できない。
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    "Robinson Crusoe" Daniel Defoe (1719) Review | Classic of classics
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  • 『The incendiaries』 R. O. Kwon, 2018年 レビュー | パンクなカルト恋愛小説

    『The incendiaries』 R. O. Kwon, 2018年 レビュー | パンクなカルト恋愛小説

     
    The incendiaries
    R. O. Kwon, 2018
    214 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 魅力的な韓国系の女の子に恋をする白人青年
    ✔ 彼女がハマるカルトの世界に引き込まれていく
    ✔ 文章の表現が詩的で新鮮な読書体験

    ★★★☆☆ 韓国系の魅力的な女の子に惹かれる普通の男の子の視点。彼女はカルトにハマり行動もエスカレートしていく。文章の表現がまるで詩のようで新鮮さはある。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ダークでリアルでパンクな若者の日々。
    韓国系アメリカ人の魅力的な女の子、その子に惹かれる普通の男の子。
    男の子が見つめる中、女の子はどんどん北朝鮮がテーマの白人の男の子がリーダーのカルト(つまり実態もメッセージも脆い)にハマり行動もエスカレートしていく、という流れ。

    なんかちょっとパンクな感じで、カルトやテロリズムに繋がっていくんだけど、現代文学ゆえ表面的な雰囲気のまま。
    文章の表現がまるで詩のようで新鮮さはあるんだけど、深さがないのが残念ではある。

    複雑な心境にあるはずの女の子にもナレーターである男の子にも感情移入ができない。
    そこを狙っているのかもしれないんだけど、そのせいで私の好みからは外れてしまう。

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    "The incendiaries" R. O. Kwon (2018) Review | A bit of punk, a lot of cult love story
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  • 『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 レビュー | 欧米だけではない本当の世界史

    『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 レビュー | 欧米だけではない本当の世界史


    The Silk Roads: A New History of the World
    Peter Frankopan, 2015
    シルクロード全史: 文明と欲望の十字路
    ピーター・フランコパン
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ヨーロッパ中心の歴史の授業に違和感を持っていた著者
    ✔ ビザンチン研究者、オックスフォード大学教授
    ✔ 欧米中心ではない本当の意味での世界史を学べる一冊

    ★★★★★+♥️ 世界史に興味を持つことになった原因の一冊。中東のエリアが歴史豊かで素晴らしい伝統をもっているか、そしてヨーロッパはいかに欲深く宗教を言い訳に豊かな地を破壊したか。著者の大真面目さが逆に面白い。巨大な小説を読んでいるかのよう。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    エピック。大作。間違いなく歴史本の歴史を変えた。
    シルクローズ(複数形のRoads)というタイトルでまず分かるように、シルクロードは一つではないという大前提を投げつけてくる分厚い600ページ超えのいわゆるマイナーな国々の歴史の本なのに退屈じゃない。
    むしろ内容そのものと語り口にエンターテインメント性が出ていて巨大な小説を読んでいるかのよう。

    著者フランコパンのポッドキャストも聞くけど、彼は偏屈者っぽい奴なんだけど言い分は筋が通っていて、事実に極端に忠実なだけな人。
    でも大真面目で逆に面白いというギャップもあって、耳で聞くのも楽しい。

    中東と呼ばれるエリアがいかに歴史豊かで多様性に富んだ素晴らしい伝統をもっているか、そしてヨーロッパはいかに欲深く宗教を言い訳にこの豊かな地を破壊したか。
    そして今日、古いヨーロッパに変わってアメリカ帝国が彼らの謳う自分勝手な民主主義を武器に更に追い打ちをかけているか。
    中東、アラブがあたかも石油の成金かのように世界の目を欺きたい欧米は、もちろんこのシルクロードの歴史は隠し通したい。
    ひょっとしたら、ただ単にヨーロッパ、アメリカの帝国主義の終わりなだけなのかもしれない。

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    English review
    “The Silk Roads” Peter Frankopan (2015) Review | History book that changed my history

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    シルクロード全史 上: 文明と欲望の十字路





    シルクロード全史 下: 文明と欲望の十字路




  • 『The French art of tea』 Mariage Frères, 2006年 レビュー | マリアージュフレールの歴史とカタログ

    『The French art of tea』 Mariage Frères, 2006年 レビュー | マリアージュフレールの歴史とカタログ



    The French art of tea
    Mariage Frères, 2006
    L’Art Français du Thé
    104 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ パリの老舗マリアージフレールのお茶の本、兼カタログ
    ✔ フランス人の茶に対する価値や態度を学べる
    ✔ 茶の歴史書としては偏っている、自社カタログ箇所は豊富

    ★★★☆☆ マリアージュフレールが出している本、兼カタログ。前半の歴史のその内容の正確さは曖昧でも、フランス人がお茶、紅茶の価値をどう思っているかがわかる。植民地時代の華やかな歴史、オリエンタリズム全開。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    マリアージュフレールという日本にも支店のある創業1854年のパリのお茶屋さんが出している本、兼カタログ。

    前半は簡単にだけど歴史や伝統、お茶の地理などがある。
    例えば日本では鉄瓶でお茶を淹れるとか、たまに内容は怪しいけど(急須だよねー)その内容の正確さは当てにならなくても、フランス人がお茶、紅茶の価値をどう思っているかがわかる。
    つまり、フランス人にとっての茶は植民地時代の華やかな歴史を物語るものであり、その東洋のエキゾチックさというのが魅力であるわけで、書いてある文章の向う側にあるものが面白い。
    「道は狭く急だったので茶の箱は現地民の青年が担いで運んだ」ことが恰もそのお茶の価値であるかのような、オリエンタリズム全開で100年前に書かれたのかなと思うほど。
    後半はカタログと製品説明。
    紅茶はよく買うのですが、まあそういう視点が売りなので仕方ないのかと。

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    "The French art of tea" Mariage Frères (2006) Review | History and catalogue

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    The French Art of Tea



  • 『”Chasing a blazing fire in the Himalayas”』 Anmol Mukhia, 2020年 レビュー | カリンポンの歴史とキリスト教

    『”Chasing a blazing fire in the Himalayas”』 Anmol Mukhia, 2020年 レビュー | カリンポンの歴史とキリスト教



    Chasing a blazing fire in the Himalayas
    A brief sketch of the (un)noticed Kalimpong Pentecostal revival
    Anmol Mukhia, 2020
    146 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インド北東部の街カリンポンとキリスト教の歴史
    ✔ 特にペンテコステ派とカリンポンの繋がりについて
    ✔ 途中から良いキリスト教になるとはと内容は変わる

    ★★☆☆☆ インド北東部ダージリン近くの街カリンポンとキリスト教のつながりについて書いてある、最初は。途中から良いキリスト教になるにはという関係のない話になるので、前半に星をあげるという意味で。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    雰囲気で買ってしまったけど、前半は良かった。
    カリンポンはインド北東部の西ベンガル州の北部、ダージリン近くの街。
    ここは英国人が紅茶栽培で住み着いて以来キリスト教布教が盛んで、当時はインド全土にいた英国人が子どもをカリンポンやダージリンのキリスト教系の学校に送っていた。
    なのでそこまでは知っていたけれど、この本は特にペンテコステ派とカリンポンの繋がりについて詳しく書いてある。
    そう、前半は。
    最後の方になると、トーンが変わって良いキリスト教徒になるには、という結論で終わる。
    タイトルともカリンポンの街とも関係ない説教で終わるので、かなり飛ばしながら読んだけど、最初が面白かっただけに残念。
    
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    English review
    "Chasing a blazing fire in the Himalayas" Anmol Mukhia, 2020 Review | History of Kalimpong's Christianity
    
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    Chasing A Blazing Fire In The Himalayas (English Edition)