カテゴリー: 洋書

  • 『若きウェルテルの悩み』ゲーテ, 1774年 レビュー | 悲劇のヒロインぶり

    『若きウェルテルの悩み』ゲーテ, 1774年 レビュー | 悲劇のヒロインぶり



    The Sorrows of Young Werther
    Johann Wolfgang von Goethe, 1774
    Die Leiden des jungen Werthers
    若きウェルテルの悩み
    ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 発表以来、ヨーロッパはもちろん世界中で愛される一冊
    ✔ 失恋した青年の悲劇と自己憐憫
    ✔ 何世紀たっても若者に共感される古典

    ★★★★☆ 青年の悲しみや苦しみはもちろんなんだけど、それよりも彼の自己憐憫、悲劇のヒロインぶりがすごい。勘違い恋愛中の自分自身への悪酔い。現在進行形で全身で恋愛をしている若い人だと一緒に悩んでしまうよね。大変。



    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    誰もが聞いたことのある古典。というのを読むことにしたのがこの時期。
    想像よりももっと大変なお話だった。
    青年の悲しみや苦しみはそうなんだけど、それよりも彼の自己憐憫、悲劇のヒロインぶりがすごい。

    大人になって恋だの愛だのを経験して読むんじゃなくて、現在進行形で全身で恋愛をしている若い人が読んだら感動が違うだろうし、さらに18世紀に読んだらもっと違うんだろう。
    タイトルにちゃんと、「若き」ヴェルテルとなってるのがみそ。
    ここは多くの若き人々が通る道。

    青年は恋に落ちた。相手の女性の友情を自分への愛情だと勘違いし、苦しみ、そしてその苦しんでる自分にも酔ってしまう。
    自分自身への酔いこそが絶望の源となり、自分では制御できないモンスターになる。
    その悲劇の恋愛の原型のような、これ以降に書かれる報われない恋の物語の原型のような、250年たっても未だに共感する純粋な青年の苦悩。


    🔽 読書記録 🔽
    English review
    "The Sorrows of Young Werther" J W von Goethe, (1774) Review | Self pity is full on
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  • 『最初の人間』アルベール・カミュ, 1994年 (1960年) レビュー | 未完成という完全の遺作

    『最初の人間』アルベール・カミュ, 1994年 (1960年) レビュー | 未完成という完全の遺作



    The First Man
    Albert Camus 1994 (1960)
    Le Premier homme
    最初の人間
    アルベール・カミュ
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 自己でなくなった際にカバンにあった未完成の原稿
    ✔ アルジェリアでの彼の少年時代をベースにした感動作
    ✔ フランスとアルジェリアという二つに引き裂かれた生活を描く

    ★★★★ 亡くなったカミュのカバンにあった未完成の原稿。自伝的。ありきたりな言い方だけど本当に感動する。特に先生の章。何がなくても愛情がある。未完成という完全。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1960年に事故で亡くなったカミュのカバンにあった未完成の原稿が1994年に未完成のまま出版される。名前や詳細が噛み合っていないのもその生々しさを語る。
    半分自伝、半分小説、未完成、でも完全に心惹かれる。

    アルジェリアに住んでいたときの貧しい生活、でも母、祖母、叔父への愛に溢れていた。
    フランスとアルジェリアという2つの国に引き裂かれた生活には父親がいない、家族の伝統もない、信頼できる人も、自分を育ててくれる確かな存在も、なにもない。
    そんな時に小学校の先生に出会う。

    時に家族や血縁で繋がっていない人が、その溢れる愛情をもって育ててくれることがある。
    この先生がカミュの人生にとってかけがえのない人だったことがよく分かるくらい感動する章。
    そして彼は恋に落ちる - がそこでこの物語は途切れてしまう。
    確かに傑作になっていたと思う。
    愛だろ、愛。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The First Man" Albert Camus, (1994 /1960) Review | Half biography fully touching
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  • 『(コップの中の嵐 日常の物理)』 ヘレン・チェルスキー, 2016年 レビュー | 何事も偶然ではない

    『(コップの中の嵐 日常の物理)』 ヘレン・チェルスキー, 2016年 レビュー | 何事も偶然ではない


    (コップの中の嵐)
    Storm in a Tea Cup
    The physics of everyday life
    Helen Czerski 2016
    ヘレン・チェルスキー
    282 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    日本語未出版


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 物理学者が日常にひっそりと存在する物理の法則を紹介
    ✔ 物理に興味がある人への一冊

    ★★★★☆ 例えば紅茶を混ぜると液体が動く。何一つ偶然ではない。そういうことは私達がいかにちっぽけな存在かを語っているよう。何事も偶然ではない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    物理学者が、毎日の些細なことにどう物理が関わっているかを教えてくれる一冊。
    例えば、スプーンで紅茶をかき混ぜると液体が動く、これは物理の方式に従っているわけで何一つ偶然ではない。そういうことは私達がいかにちっぽけな存在かを語っているよう。

    たしかに面白いんだけど私にすべてが理解できたかというとそうではない、もっというと理解しようと努力する日が来るのかさえ怪しい。
    私はただ単にこの素晴らしい世界の中でちっぽけな存在でも十分です。

    ちなみに著者は英国人の女性物理学者、海洋学者でBBCでも見かける人。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Storm in a Tea Cup, The physics of everyday life" Helen Czerski (2016) Review | Nothing is by chance
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  • 『(人類学者のように考える)』 マシュー・エンゲルケ, 2017年 感想 | 共有できる価値観を見つめる

    『(人類学者のように考える)』 マシュー・エンゲルケ, 2017年 感想 | 共有できる価値観を見つめる

    🔽 基本情報 🔽
    (人類学者のように考える)
    Think Like an Anthropologist
    Matthew Engelke 2017
    マシュー・エンゲルケ
    368 pages
    2024年5月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    昔からアンソロポロジー人類学に興味があったけど、まさにこのこと。
    人類学とは、その土地の現地の人の視点から世界を見る学問。
    我々はみんな違う。
    ヨーロッパの都市に住む人とポリネシアの小さな島に住む人は、違う。
    でもそれは生物学的に違うとか、能力の点から違うとかそういうことじゃない。
    そして決して「未開発」であったりとか「野蛮」ではない。
    むしろ植民地主義の奴らのほうが野蛮で人として未開発。

    抑えきれない好奇心から始まり、居ても立ってもいられずに現地へ向かい、そこの現地人、地元の人と共に過ごし、彼らのように考え彼らのように物事を正当化する。Critical Thinking批判的思考は忘れずに。

    私の興味が心理学から人類学に広がったのは人類学は人間が共有できる価値観を見つめる学問だから。
    その価値観は古臭いかもしれない、でもそれなしでは生活できない共同体としての価値。わたしたちはそんなに新しいタイプの人類ではないはず。

    ペリカンのこのシリーズもっと集めたい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Think Like an Anthropologist" Matthew Engelke (2017) Review | We are all different yet not that different

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    Think Like an Anthropologist (Pelican Books) (English Edition)




  • 『下山迷宮』デイヴィッド・ピース, 2021年 感想 | 下山事件に取り憑かれます

    『下山迷宮』デイヴィッド・ピース, 2021年 感想 | 下山事件に取り憑かれます

    🔽 基本情報 🔽
    Tokyo Redux
    David Peace, 2021
    下山迷宮
    デイヴィッド・ピース
    480 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    戦後のゴタゴタに見え隠れするレトロなハードボイルドに興味がある人、ぜひ

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    トーキョー三部作なのに三部作目から読んでしまった。
    でも大丈夫、面白かった。
    戦後のゴタゴタの中にある男のロマンっぽい雰囲気がどのページにも漂っていて、あの活気と勢いとアメリカニズムの中で、未解決の国鉄総裁殺人の実際の事件を扱ったミステリー。
    英国人が描く、アメリカ占領下の東京というミステリアスでノスタルジックな街を舞台に、アメリカ風のハードボイルドな物語。
    逆に日本人じゃないからこそ描けるトーキョー。

    作品の中で言われるように私も「下山病にかかるよ」、つまりこの未解決事件の魔力に取り憑かれたのかも。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Tokyo Redux" David Peace, (2021) Review | Catching "Shimoyama disease"
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  • 『(Otherwise Pandemonium)』 ニック・ホーンビィ, 2005年 感想 | 初めてのホーンビィ

    『(Otherwise Pandemonium)』 ニック・ホーンビィ, 2005年 感想 | 初めてのホーンビィ

    🔽 基本情報 🔽
    Otherwise pandemonium
    Nick Hornby 2005
    ニック・ホーンビィ
    64 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    サラッと読める本を探してる人に
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ショート2本立ての短い本。多分、初のニック・ホーンビィ。
    最初のSFっぽいショートもいいけど、二本目のNot a Starのほうが好きだった。
    お母さんが自分の息子の秘密の仕事を知るんだけど、でもまあいいや、的ないいお話。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Otherwise Pandemonium" Nick Hornby (2005) Review | My first Hornby
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    Otherwise Pandemonium (Pocket Penguins)




  • “The interrogative mood” Padgett Powell, 2009 >>

    “The interrogative mood” Padgett Powell, 2009 >>

    ★☆☆☆☆ 直後の感想はひとこと、やっと終わった。ただそれだけ。
    🔽 基本情報 🔽
    The interrogative mood
    Padgett Powell, 2009
    パジェット・パウェル
    165 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    この本が好きな人は想像できない

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    直後の感想はひとこと、やっと終わった…

    160ページにわたる、永遠と続く疑問を文字通り投げつけてくる本。
    頭のいい人たちにはきっと刺激的で興味深いんだろうけど、催眠術にかけられたかの様な後味。
    私の感想はただただ、やっと終わった。

    🔽 original quick note 🔽
    What can I say, glad it's over.
    It's 160 pages of non stop questions, which I'm sure are intellectual and intriguing for intellectual minds...


    🔽 買えるところ 🔽 
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    The Interrogative Mood (English Edition)



  • 『ファニー・ヒル』ジョン・クレランド, 1749年 感想 | もっとも発禁された本、社会の敵

    『ファニー・ヒル』ジョン・クレランド, 1749年 感想 | もっとも発禁された本、社会の敵

    🔽 基本情報 🔽
    Fanny Hill
    Memoirs of a woman of pleasure
    John Cleland 1749
    ファニー・ヒル
    ある遊女の回想記
    ジョン・クレランド
    176 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    古典なので読むべき本だけど、その描写についていける人はぜひその後ろにある彼女の人間性や成長を読んでください。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    文学史上もっとも発禁された本。最初のポルノグラフィ小説とも言われている悪名高き古典。
    当時のロンドンは借金を返せない人で牢獄はいっぱいだったそうで、著者クレランドもそのうちの一人でこれは獄中で書かれたもの。

    確かにかなり細かい描写で性の描写に執着しまくってるので、もう少し抑えたくらいが私にはありがたいけど、でもそれではこの本の魅力と意味がなくなる。
    著者は同性愛者だという評論家もいるそうで確かに男性の肉体の描写が細かい、女性のキャラクターの身体の方が数は多いのに、圧倒的に男性に執着してる。

    1749年出版後から1970年の正式な再出版まで続く、発禁、逮捕、海賊版、没収。
    だってこの本、売春、恥を見せない娼婦、同性愛、男性同士の行為の描写、障害者への強制、そしてあっけらかんとした少女は最後にはお金持ちにまでなるという、確かに社会の敵としか考えられない内容。

    何よりも社会、つまり男性社会、家父長制にとっての敵は罰を受けない自由な女性像。
    典型的な悪女の物語は、悪女が悔い改めるか罰を受けるかでハッピーエンドとなる。
    例えばロリータはなんだかんだ言って収まるところこ収まるという社会の罰を受ける。(でもナオミは自由のまま生き続ける、だから谷崎は素晴らしい)
    なので私は世間が言うほどロリータはケシカラン本とは思えない。
    ケシカラン本とは、こういう風に自由に生きて自由のまま終わる女性を描いた本。
    ケシカラン本、バンザイ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Fanny Hill Memoirs of a woman of pleasure" John Cleland (1749) Review | One of the most banned books
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    ファニー・ヒル




    Fanny Hill: Memoirs of a Woman of Pleasure (English Edition)





  • 『めぐりあう時間たち』マイケル・カニンガム, 1999 感想 | 新しいダロウェイ夫人

    『めぐりあう時間たち』マイケル・カニンガム, 1999 感想 | 新しいダロウェイ夫人

    🔽 基本情報 🔽
    The Hours
    Michael Cunningham, 1999
    THE HOURS―めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人
    マイケル・カニンガム
    230 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ヴァージニア・ウルフ好きに。せっかくだからちゃんとダロウェイ夫人を読んでから。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」が元になっているストーリーなので、どう考えてもダロウェイ夫人を先に読むべきだけど、手元にはこれがあったのでこっちから読んでしまったので、単純にこの本だけのことです。

    ここには3人の女性が出てくる。自分が持っていない何かを探し求める女性3人。
    普通じゃないことこそが至って普通。逃げ出したくなったり、見ないふりをすることこそが普通。
    でも、例えばブラウン夫人のように、自分の行動が他の人に影響を及ぼすことだってある。
    あんなことしなければ。なんであんな人に時間を費やすのか。次から次へと浮かび上がる彼女たちの考えが思考が後悔が「意識の流れ」が止まらない

    人生の中にはとても重要な数時間というものがある。
    その時間においてのあなたの行動が残りの人生にずっと付きまとってくることも。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The hours" Michael Cunningham (1999) Review | A new Mrs. Dalloway

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    THE HOURS―めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人




    Michael Cunningham's The Hours



  • 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    🔽 基本情報 🔽
    Klara and the sun
    Kazuo Ishiguro, 2021
    クララとお日さま
    カズオ・イシグロ
    307 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ディストピア小説好き。切ないです。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    発売当時の特別版カバー。
    カズオ・イシグロ作品はいつもちょっと哀しい。劇的な悲しさというより小さな寂しさ。
    AF(人工親友)は感覚で言えば未来のペットのような。子供の友達になるようなわんちゃん、でも違いは、AFはどれだけ知能、経験、感情を学んでも所詮はモノ。

    AFクララを購入する少女の家族のことや周りの状況が、純粋なモノであるクララの目からのみ描かれる。
    この家族は利己的なのか。いや多分そういうことじゃない。彼らはただ単にこういう世界で生きていて、これがもう普通であり、悪気なんてない。

    AFには子どもたちを幸せにする義務、ミッションがあり、そのために学び、迷い、存在する、そして最終目的のためには手段を選ばないという選択だってする。
    じゃあAFクララは我々にとって脅威か。
    でも人間より誰よりも純粋なのはクララしかいないのに。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Klara and the Sun" Kazuo Ishiguro (2021) Review | Artificial Friends, are they friends?
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    Klara and the Sun: The Times and Sunday Times Book of the Year (English Edition)



  • 『人間的な、あまりに人間的な』より抜粋 フリードリヒ・ニーチェ, 1878年 感想 | 意外にもユーモラス

    『人間的な、あまりに人間的な』より抜粋 フリードリヒ・ニーチェ, 1878年 感想 | 意外にもユーモラス

    🔽 基本情報 🔽
    Aphorisms of love and hate
    (Extract from "Human, All Too Human")
    By Frederick Nietzsche, 1878
    (愛と憎しみに関する格言、「人間的な、あまりに人間的な」より抜粋)
    フリードリヒ・ニーチェ
    55 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ニーチェが怖い人、大丈夫、この短いのなら私でも読めた。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ペンギン・クラシックスの80周年の記念のLittle Black Classicsの一つで「人間的な、あまりに人間的な」の抜粋。
    本編も読んでみたいけど、まずはこれで短く読めたのは良かった。
    短いエッセイ、たまには一行だけで人間関係についてぎっしりと詰まっている。復讐心、哀れみ、結婚、愛、憎しみ。そして意外にもユーモアたっぷりで面白い。

    ここに書かれていることは私達が心の何処かで抱きつつも言葉に表せない気持ち。
    「愛は学ぶものであり、憎しみもまた学ぶものである」とか「結婚はうまくいくもの、一緒に住まなければ」「同じ喜びを分かち合えるのが友情だ」とか、重要箇所を選ぼうと思えばこの本すべて蛍光マーカーでいっぱいになる。

    なので、やっぱりがんばって本編を読みます。
    追記、読みました

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Aphorisms of love and hate" Frederick Nietzsche (1878) Review | Something we'd all recognise
    本編 人間的な、あまりに人間的な

    
    
    
    
    
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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    本編

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    aphorism
    Aphorisms on Love and Hate (Penguin Little Black Classics) (English Edition)




  • 『(Gramsci’s Political Thoughts)』 Carlos Nelson Coutinho, 2012年 感想 | グラムシの思想と半生

    『(Gramsci’s Political Thoughts)』 Carlos Nelson Coutinho, 2012年 感想 | グラムシの思想と半生

    🔽 基本情報 🔽
    Gramsci's Political Thoughts
    Carlos Nelson Coutinho, 2012
    198 pages
    2024年4月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    グラムシの思想をある程度知っている人で、次のステップとして

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    まずはアントニオ•グラムシについて、彼の人生のアウトラインだけでも驚愕。

    イタリア、サルデーニャ州の田舎に生まれ、生後すぐに身体に障害を負う。父を亡くし貧しいながらも苦学し奨学金でトリノ大学に入学。当時から政治の世界に入り、産業都市トリノで労働運動に参加。
    その後はイタリア共産党の結成に関わりロシア滞在中に当時のムッソリーニ政権から逮捕状を出され帰国不能に、その後議員に選出され無事に帰国するが再度逮捕状を出され、そのまま半生を牢獄で過ごす。獄中、多くの手紙や手記を残す。最後は障害を持ち病弱であるにも関わらず治療を拒否され虐待受け、獄中で死ぬと困るからと投げ出されるかたちで釈放された直後に死亡。
    その逮捕の理由も有名で「この男の頭脳を20年間ストップさせなければならない」というファシズム政権の目論見から。

    残念なことに私がグラムシについてもマルクス主義にもそんなに詳しくないので、ついていけない所も多かったけど、この本は彼の生涯においての思想の成熟の過程を追う感じで進んでいく。

    46歳で亡くなる彼の徹底したマルクス主義、反ファシズムは世界中に強い影響を与える。この本の著者もブラジルのマルクス主義者。日本でも彼の思想は戦後からずっと根強い人気。

    次はヘゲモニー論についてちゃんと読みたい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Gramsci's Political Thoughts" Carlos Nelson Coutinho, (2012) Review | Fascist government couldn't stop him
    🔽 買えるところ 🔽

    買えるところはなさそうです。



    ★★★★☆ “We must prevent this brain from working for twenty years” but even after arrested by Fascist government, he didn’t stop writing. A book about his life, from poverty in Sardinia, student life in Turin, exile in Russia, prison and death.

    🔽 log 🔽
    Gramsci’s Political Thoughts
    Carlos Nelson Coutinho, 2012
    198 pages
    Read 2024.4


  • 『動物農場』ジョージ•オーウェル, 1945年 感想 | 私たちは同じ間違いを繰り返す

    『動物農場』ジョージ•オーウェル, 1945年 感想 | 私たちは同じ間違いを繰り返す

    🔽 基本情報 🔽
    Animal Farm
    George Orwell, 1945
    動物農場
    ジョージ•オーウェル
    124 pages
    2024年4月 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    超がつく古典。
    内容はほぼ知っていたけど、思ってたよりも短いのがびっくり。
    これだけ分かりやすいメッセージの物語なら子供でも読める。

    ネットで買ったこのエディションは教科書みたいに英語の言い回しの説明や、どの動物が実在の人物を表してあるか書いてあるから、ロシアや共産主義に詳しくなくてもよく分かる。

    分かるけど、我々は学んだか。
    いや、相変わらず同じ間違いを繰り返す。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    ”Animal Farm” George Orwell, (1945) Review | Have we learned? No
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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    動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
    動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
    
    
    
    



    ★★★★☆ Classic of the classics. I knew more or less the content but was surprised how short it was. It’s short, with clear messages, but have we learned? No.




  • 『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    🔽基本情報🔽
    Carol
    By Patricia Highsmith, 1952
    The Price of Salt
    キャロル
    パトリシア・ハイスミス
    307 pages
    2024年4月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    映画にもなったキャロル。まだ見ていないけど、確かにケイト・ブランシェットはこの雰囲気にピッタリ。
    発表当時はあからさまな女性同士のラブストーリーに世間が騒いだと思う、けどこれがパトリシア・ハイスミスの名前で出ていたらもっと騒がれたと思う。
    つい最近サラ・ウォーターズを読んだのでどうしても比べてしまいたくなるけど、キャロルの方はミステリーやサスペンスではなく、恋愛小説。

    クリスマスの運命の出会いからお互いに惹かれ、あてのない逃走劇も始まる。でも純粋な恋愛かどうか。どうも、愛する二人が醸し出すピンと張った空気とは違うテンションがある。ある少女が女性になる過程にようなテンションが。

    少年がおとなになるという物語はよくあるけど、これも同じような雰囲気。
    そういうほろ苦さのある雰囲気。
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    English review
    "Carol" Patricia Highsmith, (1952) Review | Bittersweet love story

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  • 『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース, 2009年 感想 | 好奇心旺盛だけど冷静

    『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース, 2009年 感想 | 好奇心旺盛だけど冷静

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    Sushi & Beyond: What the Japanese Know About Cooking
    Michael Booth, 2009
    英国一家、日本を食べる
    マイケル・ブース
    307 pages
    2024年4月 読了
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    和訳は「英国一家、日本を食べる」
    イングランド人ジャーナリストが奥さんと子どもの日本に3ヶ月ほど滞在して、とにかく食べまくる。
    これ、本が和訳されただけじゃなくて漫画にもアニメにもなったんですねー

    日本人としてもちろん知っていることはあるんだけど、日本人でも知らないこと、体験できないことが多い。例えば辻調理師専門学校に行ったり、ビストロSMAPにSMAPが誰かも知らずにスタジオに行ったり、味の素に行ったり。

    でもこの本がやっぱり他の日本マニアのものと違うのは、子どもと一緒に滞在したということ。やっぱり子どもがいると日本のそのへんの近所の人も話しかけやすい。
    あと、彼がいわゆるマニアで日本大好きという感じじゃないのもいい。変に日本オタクっぽくならず、逆に何でも気持ち悪がらない、意外に冷静な感じなのもいい。

    ジャーナリストの特権で、普通の人が入れない場所に行ける、遠慮なんてできないくらい好奇心が旺盛、じゃあどうするか。じゃあ入ってみる、食べてみるしかない。

    2009年出版ということは、彼の滞在期もコロナ後の異常なまでの日本のオーバーツーリズム状態ではなかったのも良かったかも。今は彼の真似をするかのような旅行者や子連れも多く当時ほど優しく歓迎されなかったかも。

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    English review
    "Sushi & beyond" Michael Booth (2009) Review | He's British, he's composed
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    英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)






  • 『(Spectacles a memoir)』 スー•パーキンス, 2015年 感想 | ドキュメンタリーでは無茶しっぱなし

    『(Spectacles a memoir)』 スー•パーキンス, 2015年 感想 | ドキュメンタリーでは無茶しっぱなし

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    Spectacles a memoir
    By Sue Perkins, 2015
    377 pages
    2024年4月 読了
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    スー•パーキンスはイギリスのお茶の間で一番好きな人、BBCの中では最高峰。
    
    当時トークショーに行って並んでサインももらったけど、そこで満足して読んでないことを8年ほど忘れていたという。
    
    頭の回転が早く面白い、でもオチャメな感じで、ばか正直な所もあって、ドキュメンタリーでは無茶しっぱなしで、何よりも人間味がある。
    つまり素敵な人間。彼女のドキュメンタリーは全部面白い。
    イギリスの料理コンテスト番組,ブリティッシュ・ベイクオフ(Great British Bake Off)で最初のシーズンで司会者の一人となったことで超有名に。
    
    この本もハチャメチャな愛に溢れている。
    レズビアンなのはみんな知ってるけど、大きな病気をしていたのは知らなかった。
    でもこの本でびっくりしたのは彼女は思ったよりも上の年齢だったこと。
    かなり身体的にきつそうなドキュメンタリやってたけど…
    
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    English review
    "Spectacles a memoir" Sue Perkins (2015) Review | My fave TV personality
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  • 『デミアン』ヘルマン・ヘッセ, 1919年 感想 | 普遍的な物語

    『デミアン』ヘルマン・ヘッセ, 1919年 感想 | 普遍的な物語

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    Demian
    By Hermann Hesse, 1919
    デミアン
    ヘルマン・ヘッセ
    135 pages
    2024年4月 読了
    アマゾンで見る
    
    
    
    
    
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    「デミアン」はある少年シンクレールSinclairが友人デミアンを通じて、安全を保証された親元その光りに包まれた生活を離れ、悪意や暗闇を知りおとなになる物語。

    最初からリアルな生活が描かれるんだけど、徐々に決定的なリアル、戦争の中での生活となる。
    でも大丈夫、シンクレールは友情を通じて自分を見つけ出すことができていたから。友情がもたらす影響力、そしてまたその影響下を離れて彼は自分を確立していった。

    子供の頃は善と悪と二手に分かれていただけだった。でもこの世は実はどちらでもあり、そして自分の居場所もその中にある、確実に。

    本としては短いけれど、シンクレールが少年から青年となる成長をじっくりと追っていく。急がない、成長するのに急ぐ必要はない。だからこれは普遍的で出版から100年経っても未だに心を打たれる。

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    English review
    "Demian" Hermann Hesse, (1919) Review | Growing up, so universal


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    デミアン (新潮文庫)
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  • 『太陽がいっぱい』 パトリシア・ハイスミス, 1955年 感想 | 冷淡で神経質

    『太陽がいっぱい』 パトリシア・ハイスミス, 1955年 感想 | 冷淡で神経質

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    The Talented Mr. Ripley
    By Patricia Highsmith, 1955
    太陽がいっぱい
    パトリシア・ハイスミス
    252 pages
    2024年4月 読了
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    「太陽がいっぱい」
    この和訳のタイトルもいい、オリジナルもいい。

    有名な映画の原作。映画は古いアラン・ドロンのもアメリカのマットディロンのも見てストーリーは知っているのにそれでもハラハラドキドキで面白い。「キャロル」を書いた同じ女性作家ということは知らず、これはシリーズというのも知らなかった。

    リプリーの頭の中のことでいっぱい、いかに彼が冷淡で神経質で、そしていかにイタリアの青い空と対照的か、それがわかる読了後には日本語タイトルがピッタリだとわかる。
    追い詰められ、さらりと逃げ、また繰り返す。まさに心理スリラーの傑作、最近もネットフリックスでリメイクがあったはずだけど、これは何度も語り継がれる物語。
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    English review
    "The Talented Mr. Ripley" Patricia Highsmith (1955) Review | Cold and nervous
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  • 『(権力のシステム) 』 ノーム•チョムスキー, 2013年 感想 | 権力はシステムである

    『(権力のシステム) 』 ノーム•チョムスキー, 2013年 感想 | 権力はシステムである

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    Power Systems Conversations with David Barsamian on Global Democratic Uprisings and the New Challenges to U.S. Empire Empire.
    Noam Chomsky, 2013
    ノーム•チョムスキー
    178 pages
    2024年4月 読了
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    タイトルは「権力のシステム アメリカ帝国のグローバルな民主主義の反乱と新たな挑戦 会話集」といったところ。

    2010年から2012年のノーム•チョムスキーの会話を集めた一冊。
    だから当然古い事柄もある。例えば10年も経てばインターネットの使い方も全然違うしアメリカ大統領も二度変わった。
    でも根本的にはいまとひとつの時代として括ることができる。

    アメリカの政治についてなので、分かったつもりにもなれる訳じゃないけど、分かることはただひとつ、彼の立ち位置と主張は変わらない。
    彼は一貫して他人にempathetic、共感的である。
    一貫して利己的なもの、ひと、主義に反対ている、そしてわたしたちは利己的な集団に統治されている。

    ちなみに、よくいわれる「アメリカ帝国」という言葉を最近よく考える。現在の帝国主義。

    チョムスキーは希望を忘れない。政治は我々一般市民が作るものであり、我々はきちんと理解すれば政治を使いこなすことができると。

    この本が出て10年少したち、世間はよくなったか。なってない。
    わたしたちができること、望むことができることは狭まれた。


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    English review
    "Power Systems" Noam Chomsky (2013) Review | Power is systematic


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    Power Systems: Conversations with David Barsamian on Global Democratic Uprisings and the New Challenges to U.S. Empire




  • 『美は傷』 エカ•クルニアワン, 2002年 感想 | その地に宿る魂の苦しみ

    『美は傷』 エカ•クルニアワン, 2002年 感想 | その地に宿る魂の苦しみ

    
    
    
    
    
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    Beauty is a wound
    Cantik Itu Luka
    By Eka Kurniawan, 2002
    美は傷
    エカ•クルニアワン
    原語=インドネシア語
    読了=英語訳
    480 pages
    2024年4月 読了
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    インドネシアの町に死んだはずの売春婦の女性が戻ってきた。

    強く美しい女たちの物語は、いつも男たちによって泥沼にされる。
    その地に宿る魂の苦しみ、植民地としての過去、蔑ろにされる女性の尊厳、生きていくための手段。暴力と愛と呪い。なるほど、マジカルリアリズム。

    女性は自分の美しい娘の成長した姿を確認するまでは死ぬに死にきれず、唯一の醜い娘の幸福を確信する。だって外見の美しさは歴史、人種、宗教や政治、権力を越え、その子の人生の傷でしかないから。

    自分は何とか生き抜いた、でもそれぞれの子にそれぞれの苦しみと呪いがある、まるでマルケスの百年の孤独のような何代にも渡る一族のストーリーを、痛々しくリアルに描く。

    この物語はインドネシアだからこそ生まれてきた物語であり、世界中の人の心を揺さぶった。
    一度ページをめくったらやめられない、強く生きる女たちの壮大な物語。

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    English review
    "Beauty is a wound" Eka Kurniawan (2002) Review | Mix of history, religions, power, and abuse


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  • 『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

    『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

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    The Paying Guests
    By Sarah Waters, 2014
    黄昏の彼女たち
    サラ・ウォーターズ
    595ページ
    2024年3月 読了
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    サラ•ウォーターズだから期待どおりハラハラドキドキの一冊。
    描写も細かくて、どんどん爆走が続いてこっちまで、いやちょっとそれはまずいんじゃない、と突っ込みたくなる。

    「荊の城」よりストーリーを追いやすいけど、浅い物語というわけではない。
    ここでも、一筋縄では行かない女性が中心。

    第一次大戦後、ロンドン郊外で保守的な母親と静かに暮らしていくはずだった女性。
    裕福な家庭だったのに戦争で男手を失くし、唯一の収入源として部屋を貸し出すことになり下宿人としてやってきた若い夫婦。
    そして女性は美しい妻の方に惹かれてゆく。そして徐々に良くない方向に。
    これは操りなのか純粋の愛なのか。誰が誰を操っているのか。

    控えめな下宿人の妻、「荊の城」のように仕方がない私が守ってやろう的な心構えだったのに、なんというか結局翻弄され振り回される、のだけどそこにはきっと愛がある。きっと。

    馴染めないロンドン郊外の敵意のある冷淡な社会の渦のなか、二人は自分達だけの無垢な世界を作れるのか。

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    English review
    "The Paying Guests" Sarah Waters (2014) Review | But who manipulates who
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    黄昏の彼女たち 上 (創元推理文庫)



    黄昏の彼女たち 上 (創元推理文庫)



    The Paying Guests: shortlisted for the Women's Prize for Fiction




  • 『(茶:世界を変えた飲み物) 』ジョン・グリフィス, 2007年 感想 | 生真面目さのお陰で詳しい本

    『(茶:世界を変えた飲み物) 』ジョン・グリフィス, 2007年 感想 | 生真面目さのお陰で詳しい本

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    Tea, the drink that changed the world
    (Tea: A History of the Drink That Changed the World)
    By John Griffiths, 2007
    373 pages
    2024年2月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    お茶の本というのはとりあえず買う、というのが私の方針です。これはダージリンの街の中心の本屋で買った思い出の本。
    どの紅茶が美味しいとか分類とかそういうことじゃなく(日本はそういう本が多い)、お茶のその興味深く残酷な歴史の本もたくさんある。でもこれは少し違う。

    「世界を変えた飲み物」まさに。欧州人は東アジアのお茶に憧れ、南アジアを人工的に産地にし、中国を滅ぼし今はアフリカでもっと安く作っている、お茶。

    お茶、紅茶について、その全てが書かれている本。
    著者はお茶の農園をやっていた英国人の息子で政治家ということもあり、内部事情にかなり詳しいし何よりも政治的な面やきちんと数字に表すという面が特徴的。
    どの時代にお茶が何トン売れたか、値段の変動は、とか。

    お茶の文化や大変な歴史、そして当時の英国の政情、ここではそういったのも含め観点、テーマごとにまとめられている。
    本の中でその分類の仕方が分かりにくいところもあったけど、それだけ広い視点から書かれているということ。

    ワイン学なんかでも英国人が強いのと同じでここでもその生真面目な英国人さが出ている。でもワインよりももっと英国人の心とプライドの近くにいるもの、それがお茶。

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    English review
    "Tea, the drink that changed the world" John Griffiths (2007) Review | Tea, very close to the hearts and pride of British
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    Tea: The Drink That Changed the World




  • 『No one is too small to make a difference 』グレタ・トゥーンベリ, 2019年 感想 | そして世界を変えた

    『No one is too small to make a difference 』グレタ・トゥーンベリ, 2019年 感想 | そして世界を変えた

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    No one is too small to make a difference
    Greta Thunberg, 2019
    グレタ・トゥーンベリ
    68 pages
    2024年1月 読了
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    🔽🔽 読書記録「🔽🔽
    「世界を変えるのに若すぎるということはない」
    グレタのスピーチを書き起こしたもの。文字になっていることで彼女の主張がいかに明確でブレがなく芯が通っているかがわかる。

    彼女は実際に世界を変えてしまった。
    若者は自分の周りの問題に意識を向けるようになり、自分たちには社会に変化を与える力があると気付かされた。そしてアスペルガー症候群や自閉症の人々が持つパワーも世界に見せつけた。

    そして同時に当時16歳だった彼女を目の敵にして、個人的に名指しで攻撃し、彼女の主張でなく外見を貶しいじめる大の大人がいることも明らかになった。
    それでも、どんなに権力や財力のある大人が騒ごうと密かに彼女を怖がろうと、彼女の目的や言動はコンスタントで未だに辞める様子もない。頼もしい。

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    English review
    "No one is too small to make a difference" Greta Thunberg (2019) Review | And she made a difference

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  • 『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ, 2000年 感想 | 事実は本当に事実なのか

    『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ, 2000年 感想 | 事実は本当に事実なのか

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    When We Were Orphans
    Kazuo Ishiguro, 2000
    わたしたちが孤児だったころ
    カズオ•イシグロ
    2025年7月 読了
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    ミステリー好き、そしてカズオイシグロは切ないけど優しい気持ちになれる
    
    
    
    
    
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    カズオ•イシグロ作品ということは文体が美しい、というのは期待どおり。彼の作品はいつもノスタルジアが漂っているけどこの本はノスタルジアこそが大きなテーマ。
    主人公クリストファーは上海での少年時代いつも友人のアキラと遊んでいた。楽しい優しい思い出。
    その後イングランドで有名な探偵となった彼はやっとあるミッションのために上海へ戻る。両親を見つけるために。

    作者はきちんと順序追っては説明してくれない。どこまでが事実でどこからが想像か。
    クリストファーは上海の街を目隠し状態で動き回る。
    固く信じている事実は本当に事実なのか。
    さすがカズオ•イシグロ。

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    English review
    "When We Were Orphans" Kazuo Ishiguro (2000) Review | Tender memories, are they?
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    when we were
    わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Kindle版
    
    
    
    



  • 『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

    『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

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    Piglet
    Lottie Hazell 2024
    ロッティ・ハゼル
    282 pages
    2025年7月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代女性の怒りのストーリー。頑張りすぎて、人の意見や期待に合わせてばかりな彼女。そして食、食べることについて。

    結婚2週間前のテンションマックスのピグレットというあだ名の女性は相手の男性から裏切りの告白を受ける。頑張って作り上げた自分像をこの期に及んで壊すか、それとも頑張り続けるか、嫌いだった実家に戻るか。

    いや、高級スーパーで買い物するわたしを見て。おしゃれな料理を作るわたしを認めて。

    今の働く女性、頑張ってる女性、期待に応えようと走り続ける女性はやっぱり共感してしまう。


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    English review
    "Piglet" Lottie Hazell (2024) Review | Will you break the perfect life?
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    Piglet: ‘If I owned a bookstore, I’d hand-sell Piglet to everyone’ New York Times Book Review (English Edition)





  • 『(古代世界のバイセクシュアリティ』エヴァ・カンタレラ , 1988年 感想 | そしてマッチョ社会に疲れる

    『(古代世界のバイセクシュアリティ』エヴァ・カンタレラ , 1988年 感想 | そしてマッチョ社会に疲れる

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    Bisexuality in the Ancient World
    Eva Cantarella, 1988
    Secondo natura
    (古代世界のバイセクシュアリティ)
    エヴァ・カンタレラ
    286 pages
    2025年6月読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    こんなにアカデミックな内容とは知らず、ミラノ大学のローマ法、ギリシャ法の教授の本。
    日本では出ていないのでここでは内容もかなり触れます。

    ここでいうバイセクシャリティの定義は今の一般的な定義とは違う。
    古代ローマ、古代ギリシャでは男性は社会義務として女性と結婚をし、ギリシャでは教育として、ローマでは強さの象徴として青年と関係を持つ。
    男性と女性を同じように愛するというものではない。

    この本は古代ローマ、ギリシャの事について知識がある想定でバイセクシャル文化が語られるので、全然予習が足りなかった。
    ギリシャでは行為を通じて年上の男性が青年を教育する。ローマでは男性ローマ市民の強さを示すために青年、女性、奴隷を性的にも支配下に置く。

    いずれの場合も極端に女性蔑視で超マッチョイズム(machismo)。そして当時(男性によって作られ広げられた)キリスト教がやってくる。
    女性蔑視の強い宗教ではあるけれど観点が代わり「男性優位の社会を守るために、子供をたくさん産む女性と結婚して繁殖だけに重点を置きましょう」となった。
    そして現在に続く。

    でも著者が言うには、キリスト教が人々の考えを変えたのではなく、実はみんなマッチョに構えるのに疲れていたときに都合がいい思想が広がったから、キリスト教を利用しただけ、と。

    時代は変わり考え方も変わる。
    でも何千年たっても、なんとか男性優位の社会を維持しようという基本はあまり変わらないようです。
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    English review
    "Bisexuality in the Ancient World" Eva Cantarella (1988) Review | Then suffer from machismo
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    Bisexuality in the Ancient World: Second Edition (Yale Nota Bene)

  • 『(イエローフェイス)』R. F. クァン, 2023年 感想 | 真実は大事じゃない

    『(イエローフェイス)』R. F. クァン, 2023年 感想 | 真実は大事じゃない

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    Yellowface
    Rebecca F Kuang, 2023
    イエローフェイス
    R. F. クァン
    319 pages
    2025年6月 読了
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    すごい人気があるのは知ってたけど、確かに圧倒的に面白かった。

    最初はAthena視線の人種差別的な話かなと思ってたら、そうじゃなくてJuneの話だった。
    ジューンという平凡な白人の女の子が、綺麗で才能豊かなアジア人アテナにちょっと異常なまでに執着、嫉妬してしまった。

    ネタバレせずにいるには、面白い、と漠然に言うことしかできない。
    どういうジャンルとか枠組みかとかが難しいストーリーだけど、つまりは今のこの世の中そのもので、正にそう!と言いたくなって、そしてまるで週刊紙を読むかのように、いけないものを見るかのような心境でページをめくることをやめられない。

    皆が皆で皆を貶して陥れようとして利用して、SNSが一番大事で真実はそう大事じゃなくて、つまり私たちが住むのこの世の中の鏡のような、で、どうせ流行はどうぜどんどん入れ替わっていく。

    著者Kuangの新作も出たばかり。
    読まなきゃー


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    English review
    "Yellowface" Rebecca F Kuang (2023) Review | Facts are not important
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  • 『Small Worlds』 ケイレブ・アズマー・ネルソン 2023年 感想 柔らかい気持ちが長く続く

    『Small Worlds』 ケイレブ・アズマー・ネルソン 2023年 感想 柔らかい気持ちが長く続く

    🔽 ログ 🔽
    Small Worlds
    Caleb Azumah Nelson, 2023
    ケイレブ・アズマー・ネルソン
    256 pages
    2025年5月 読了
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    🔽 こんな人、ときにおすすめ 🔽
    移民の集まる南ロンドンカルチャー好き、90年、2000年の音楽好き。
    


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    今人気の最近の小説をまとめてロンドンで買った中の1つ、なので相変わらず内容も知らないまま購入。でもそれがよかった。

    とても詩的。パッと表紙を見ただけでは予想できない雰囲気。
    表紙のエッジーな雰囲気は背景で、移民、黒人文化、南ロンドン、音楽、そういうものからは暴力的で騒がしいものを連想するけど、でもこれはそういう社会の渦の中にある、彼らの住む小さなスモールワールド。
    愛情に溢れ、優しさに包まれ、自由、家族、夢や悲しみの小さな世界。

    主人公は幼馴染みをひたすら想い続け、保守的な父親との関係に苦しむ、つまり誰もが共感できる誰もが住んでいる各々のスモールワールド。

    背景に聞こえるリズムと静かで深い愛、読み終わったあともその柔らかい気持ちが長く続く。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Small Worlds" Caleb Azumah Nelson (2023) Review | Tender feeling of understanding and belonging
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    Small Worlds



  • 『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

    『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

    🔽 ログ 🔽
    Hunted
    Abir Mukherjee, 2024
    アビール・ムカジー
    468 pages
    2025年5月 読了
    🔽楽天kobo🔽


    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    アクション映画のような本。
    イスラムのテロリズムが軸になってるとは知らなかった。

    英国地方都市で静かに暮らしていたムスリム男性の娘にテロリスト容疑がかかり彼の世界が一転。そこに遠く離れたアメリカから白人女性がやって来て一緒に子供を救おうと言い放つ。
    警察が捕まえる前にテロリスト容疑の子供たちを見つける、無謀だけれどそれが親というもの。
    そしてその警察の組織から外れたある警察官も彼女自身の問題を抱えてあとを追う。

    じっくり考えるストーリーではないけれど、アドレナリン大放出でどんどんとページをめくれる。
    あと一歩、また逃げられた。すれ違った。
    テロリスト行為がいかに宗教とは関係が薄く、誰かの利益のためだけに多くを犠牲にする行為かを訴えている雰囲気もある。
    唯一ちゃんとキャラ設定がしっかりしているのはそのお父さんSajid。
    ムスリムのお父さん、今までの価値観をぶっ壊されて、娘のために走ります。

    長距離フライト用に選んだけど、読んだり寝たりにピッタリだった、良い選択。


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    English review
    "Hunted" Abir Mukherjee (2024) Review | Keep reading keep chasing
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    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]
      
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    Hunted: Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller (English Edition)
    









  • 『The Dream-Pedlars Parade』 マーク・バウシャー, 2025年 感想 | ダークな雰囲気

    『The Dream-Pedlars Parade』 マーク・バウシャー, 2025年 感想 | ダークな雰囲気

    🔽ログ🔽
    The Dream-Pedlars Parade
    Mark Bowsher, 2025
    594 pages
    2025年4月 読了
    
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    The Dream-Pedlars' Parade Book 2 in the exhilarating Myrthali series【電子書籍】[ Mark Bowsher ]


    🔽🔽読書記録🔽🔽
    ロンドン映画会社時代の友人の本、Myrthaliシリーズ第2作目。最初のも良かったけどこの続編もいい。

    作者曰く、もっとダークな雰囲気とのことで確かにそう。前回から成長した主人公、1作目はもっと体力的にきつい冒険だったのが今度は精神的きつい冒険に。対面する人物や挑戦に対し、そして自分に対し不安や疑問を抱く。真夜中の世界で夢の中での自分の弱さとの戦い。

    このYA(ヤングアダルト、ティーン向け)の本が好きな理由はもうひとつ、いわゆる典型的な人物像に静かに挑戦していること。主人公はインド系イギリス人の少年だったり、パッと見分からない障害をもっていたり、ジェンダー、年齢、能力など、読者が勝手にステレオタイプを想定している要素に反抗している。でも決してそれ自体はストーリーに無関係であくまでバックグラウンドとして。

    珍しくe bookで読んだ一冊、500ページ越えの長編だけど面白いのでどんどん進める。シリーズ第3作も楽しみ
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    English review
    "The Dream-Pedlars Parade" Mark Bowsher (2025) Review | Darker sequel
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    The Dream-Pedlars' Parade Book 2 in the exhilarating Myrthali series【電子書籍】[ Mark Bowsher ]




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    The Dream-Pedlars' Parade: Book 2 in the exhilarating Myrthali series (English Edition)
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  • 『ゴールデン・ロード』ウィリアム・ダルリンプル, 2024年 感想 | 途方に暮れるほどの驚きの内容

    『ゴールデン・ロード』ウィリアム・ダルリンプル, 2024年 感想 | 途方に暮れるほどの驚きの内容

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    The Golden Road
    How ancient India transformed the world
    William Dalrymple, 2024
    ゴールデン・ロード
    古代インドはどう世界を変えたか
    ウィリアム・ダルリンプル, 2024
    432 pages
    2025.03 読了
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    🔽🔽読書記録🔽🔽
    世界で一番好きな歴史家の最新作。

    イタリアでだってアマゾンで通常版買えるけどそうじゃなくてロンドンの本屋さんでサイン付き特別版を予約して友人に取りに行ってもらってやっと我が家まで運んでくれたという超アナログな購入手段で入手。

    彼のツイートもインスタもポッドキャストも全部フォローして内容も事前に全部分かってて、当然何ヵ月も待ったことで期待が高まったけど、見事にそんな期待をも越えた。歴史的な本と言い切れる。

    日本で出るとしたら多分「ゴールデン•ロード、古代インドはどう世界を変えたか」概要は古代インドのソフトパワー、それは幅広くて各々が重要すぎて途方にくれるほど。1ページ1ページが驚きの史実、そしてその史実は今まで世界には知られていなかったというのも更に驚き。

    インド人とっては、「そうだよ中国のシルクロードはつまりインドのが膨大な利益を得た貿易だよ」とか「アラビア数字はインドで2000年前から使ってたよ、ヨーロッパ人はやっとアラブ圏を通じて11世紀くらいにうちらのシステムを使いだしたんだよね」なんて常識。でも常識を世界に広げることが、機会がなかった。あと例えば、昔々、毎年律儀にやってくる季節風を利用し海を渡って東南アジアを宗教や文化を広げたり、はたまたインドの宗教である仏教は確実にアジアに広がり中国も両手を広げて招き入れたり、西側のアラブやペルシャ圏もインドのその豊かな文化と頭脳を崇拝した。その重大さについて世界は十分に把握していない。シルクロードも大事だけど金を運んだインドのゴールデンロードも凄いよ、と。

    そうやって世界の経済を回していたインドは当時のムガール帝国に訪れた混乱の際に悪徳なチンピラ集団の東インド会社に騙されつけこまれ、一気に落ちていくその時に輝かしい歴史も地中深くに埋められてしまった。

    ロックスター•ヒストリアンとも呼ばれるダルリンプルは20代からアラブ圏や南アジアに魅せられデリーに住み着いたスコットランド人歴史家。彼の本は私たちが触れることができなかった南アジアの歴史を掘り出して惜しみなくシェアしてくれる、けど彼がここまで愛される理由は彼のその情熱にある。とにかく探求欲が旺盛で、凄い発見をすると黙っていられない、ポッドキャストでも知らないことがあれば「知らなかったもっと教えて」とまるで子供のように(見えないけどきっと)目をキラキラしている。頭が良くて博学なのにそこで満足しない。ポッドキャストでもよくネタバレしていつも共演者に怒られ、計算が苦手で、実は有名な家系で先祖がよく歴史上に出てきたり、ポッドでたまに泣いてしまう、ちょっとかわいい歴史家。そして徹底的に弱者の側につく。

    彼自身が大好きで仕方がない事を本にして書いているから読む方も心踊らされる。ただの歴史上の事実を並べた本ではない、愛情と情熱と好奇心に溢れたインド激推し歴史家の一種のラブレターともいえる。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Golden Road" William Dalrymple (2024) Review | Powerful and exciting

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    The Golden Road How Ancient India Transf...
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    The Golden Road: How Ancient India Transformed the World (English Edition)
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  • 『鱈: 世界を変えた魚の歴史』マーク・カーランスキー, 1997年 感想 | 鱈が人間の醜い姿を曝け出す

    『鱈: 世界を変えた魚の歴史』マーク・カーランスキー, 1997年 感想 | 鱈が人間の醜い姿を曝け出す

    🔽ログ🔽
    Cod: A Biography of the Fish that Changed the World
    Mark Kurlansky, 1997
    鱈: 世界を変えた魚の歴史
    マーク・カーランスキー
    2025年3月読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    なんと日本語訳もあるみたい。「鱈: 世界を変えた魚の歴史」
    ヨーロッパに住んでるけど日本人としてタラという魚はよく分からなかった。フィッシュ・アンド・チップスの魚でヨーロッパの北部の寒い海でとれるらしい、でも昔からイタリアやスペインなどヨーロッパの南部でその乾燥は各地の郷土料理になっている。なぜ。

    その、なぜ、の部分がまさにこの当たり障りの無さそうな魚を取り巻く怒涛の歴史の真相。近代化が進み永遠に続くと思われた資源が急激に減っていき(ここではまさにタラの量が激減し)、当時の太平洋の発展を担うこの魚を巡って戦争が起き、失業者は増え、外国人に敵対心を抱き、と我々人間の醜い姿をさらけ出されてしまう。タラに。

    タラがヨーロッパの南部で愛され、新大陸でも重宝され、残りの安い部分は奴隷たちやその子孫をも満たしたという史実。凄い魚としか言いようがない。こんなに人類にとって大事な魚は他にない。

    1997年出版当時よりも私たちの環境に対する危機感は高まり、トロール漁、底引き網漁はサステイナブルではないという意識はある。売れない必要のない魚まで根こそぎ取ってしまい、しかもプラスチックごみをかなり出す漁。プラスチックストローなんて比べ物にならない量のごみがトローリングで排出されそのまま海に残る。幼魚も根こそぎ取られて捨てられるので育たない、けれど都合が悪いから誰も語らない。

    いつものことながら、生活のために働く漁師さんは私たちの敵ではない。敵は常に、利益しか考えない大企業という国に保護されたモンスター。そんなところまで発展していく地味に壮大な一冊。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Cod A biography of the fish that changed the world" Mark Kurlansky (1997) Review | Our ugly selves exposed by, cod

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    鱈: 世界を変えた魚の歴史




    Cod: A Biography of the Fish that Changed the World (English Edition)
    (電子書籍)







  • 『遠い山なみの光』 カズオ•イシグロ, 1982年 感想 | 普通の人の嫌味や僅かな悪意

    『遠い山なみの光』 カズオ•イシグロ, 1982年 感想 | 普通の人の嫌味や僅かな悪意

    🔽ログ🔽
    A Pale View of Hills
    Kazuo Ishiguro, 1982
    カズオ•イシグロ
    遠い山なみの光
    183 pages
    2025年2月読了
    アマゾンで価格を見る
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ノーベル賞受賞の著者の最初の長編
    ✔ 故郷長崎の戦後の苦しみとノスタルジア
    ✔ 母と娘の葛藤

    ★★★★★ イシグロ作品にはいつも普通の人の嫌味や僅かな悪意という隠し味がある。ここには狂気も。静かでありながらしっかりと人間の内面を絞り出している。つい最近映画化。


    🔽🔽読書記録🔽🔽
    カズオ•イシグロの最初の長編小説。読んだのは2月だけどここを更新する7月にはちょうど日本の映画が公開されたばかり。

    故郷長崎の戦時中の生活を想う悦子。当時出会ったとある女性と娘。
    今は年老いてイギリスに住んでいる。
    彼の物語の特徴である、すごく日本的でありながらもすごく英国的という点がよく出ていて、やっぱり彼のようにすごく上手に二つのセンチメントを操る人はいない。

    イシグロ作品にはいつもちょっと普通の人の嫌みや僅かな悪意という隠し味がある。それって人間的でいたって当たり前。ここではサチコと娘の些細な狂気が常に漂っていて、そして周囲のお行儀の良い人たちの自分勝手さなんかがそう。

    戦時中、戦後の空しさと苦しみ。女たちの過去、未来、後悔。
    終わらない母の苦しみと降り積もる娘の苦しみの物語。

    エツコは何度も自分の記憶の頼りなさをつぶやく。年老いて十分に苦労した自分をもう傷つけないために、思い出が曖昧になる。でもそれの何が悪いのか、彼女は十分に自分を苦しめた、ちょっと位曖昧にしたって、いい。

    やっぱりイシグロ作品は面白い。静かでありながらしっかりと人間の内面をしぼりだしている。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "A Pale View of Hills" Kazuo Ishiguro (1982) Review | slight malice of "normal" kind people
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    遠い山なみの光〔新版〕 (ハヤカワepi文庫)
    
    
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    遠い山なみの光〔新版〕 (ハヤカワepi文庫) [ カズオ・イシグロ ]
    価格:1,342円(税込、送料無料) (2025/10/1時点)

     



  • 『キリング・フロアー』リー•チャイルド, 1997年 感想 | ジャック・リーチャー

    『キリング・フロアー』リー•チャイルド, 1997年 感想 | ジャック・リーチャー

    🔽ログ🔽
    Killing Floor
    Lee Child, 1997
    キリング・フロアー
    リー•チャイルド
    525 pages
    2025年2月読了
    アマゾンで見る


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    初のジャック•リーチャーのシリーズ。知人に薦められて積読してたけど、まさかあのリーチャーとは読むまで気づかなかった。
    単純にこれは映画やドラマのように映像で楽しめる、楽しんだ方がいいかも。
    アクション、興奮、アドレナリン爆発。

    殺しに暴力にいい女、と絵に描いたような要素ばかりだけど、ストーリーはシンプル、というか、ない。私が望むどろどろの人間模様やメロドラマ的なものがない。唯一キャラクターにストーリーがあって人間味のある人物はフィンリー警部かも。
    でもここがスタートなんだしここから広がるのかな。

    とにかく、トムクルーズがぴったりのハードボイルド、アクションスリラー。本が悪いんじゃなくて、私の興味とはかけ離れているということ。各国でベストセラーなので面白くないわけではない、決して。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Killing floor" Lee Child (1997) Review | Jack Reacher series

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    Reacher: Killing Floor (Movie Tie-In)【電子書籍】[ Lee Child ]



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    新装版 キリング・フロアー 上 (講談社文庫 ち 5-9)










  • 『高慢と偏見』ジェーン•オースティン, 1813年 レビュー | お金持ちの青年をけなして結局結婚する

    『高慢と偏見』ジェーン•オースティン, 1813年 レビュー | お金持ちの青年をけなして結局結婚する

    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 英文学の古典
    ✔ 勝気な女の子とお金持ちの青年、何度も繰り返される物語
    ✔ ユーモアたっぷり恋愛小説

    ★★★★★ お金持ちの青年を散々貶して結局結婚するという、なんてお話。王道を突っ走りすぎて、これに感化されていないラブストーリーを見つけることのほうが難しい、くらいの古典

    🔽🔽読書記録🔽🔽
    古典中の古典。超クラシック。ストーリーはすでによく知られているけど、会話に滲み出るこのユーモアが「もっとも愛されている本」に数えられる理由。

    典型的なイングランド、英国。ライフスタイルもユーモアも。登場人物は皆生き生きとしていて、ストーリーはシンプルなのに次が気になって仕方がない。どの国のどの境遇の人をも魅了する物語だけど、もう王道を突っ走りすぎて、これに感化されていないラブストーリーを見つけることの方が難しいかも。

    いつかちゃんと映画も見ないと
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Pride and Prejudice" Jane Austen (1813) Review | How to humiliate a rich guy and marry him
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    高慢と偏見 上 (岩波文庫 赤222-1) [ オースティン,J.(ジェーン) ]
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    高慢と偏見 (中公文庫 オ 1-5)
    高慢と偏見 (中公文庫 オ 1-5)
  • 『Smash and Grab』 Sunanda K. Datta-Ray 1984年 感想 | シッキム王国の壮絶な歴史と最後

    『Smash and Grab』 Sunanda K. Datta-Ray 1984年 感想 | シッキム王国の壮絶な歴史と最後

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    何年も探した結果やっとデジタル本で友人に送ってもらった。
    結局紙媒体の本はインド政府に出版停止された本なので、探してもない。
    いやというか発売禁止にすると余計に盛り上がるから、印刷停止命令を出したそう。結果は同じこと。
    (追記;アマゾンで今年2025年から電子書籍として入手できます。リンクは↓)

    別のシッキムについての本で完全に魅了され2023年にシッキムまで行きました。
    あの辺は本当に不思議。ヒンドゥー教徒が過半数なのに(ヒンドゥー教のネパール系は80%以上)、寺院は仏教のお寺が多い。

    インド政府が出版後にすぐ停止させた理由は良くわかる。
    これは絶対に読んでもらいたくない。

    チョギャル(チベット系シッキム国王)を個人的に知っていたジャーナリストが書いたいわゆる暴露本で、彼が聞いたこと、見たこと、交わした会話、肌で感じたこと、当時の新聞記事など、この数年間の様子がこと細かく記録されている。

    シッキム王国の歴史の基本的な知識がないとこの本は難しい。
    その歴史自体についてちょっと簡単にいうと。
    シッキムはインドの北東部、ネパール、チベット、そしてダージリンのあるインド西ベンガル州、ブータンと各国に囲まれている、すごい立地。ヒマラヤ山脈の麓で冬は厳しいけれど豊かな地。
    長い間チベット系をトップに現地民レプチャ族と静かに暮らしていたけど、英国の紅茶産業がダージリンで始まり、18世紀に働き手としてものすごい数のネパール人が流れ込んできて、上流階級が少数民族となり、大半を占めるネパール系が差別されるという不思議な形に。(これはいまでもグルカ運動が続いていて解決されていない問題)
    1947年インド独立時にダージリンやカリンポンなどはインド西ベンガル州になるが、シッキムはそのままシッキム王国を維持。
    チョギャルが若いアメリカ人女性と再婚し東洋のグレース・ケリーと話題になったことで知られているかも。

    シッキム王国がインド、シッキム州になったのは1975年。
    インドは英国の植民地主義に苦しみ、独立を勝ち取って30年もしないうちに、インド自らがシッキム王国を植民地化したわけで、この史実は非常に都合が悪い。
    嘘、マインドコントロール、偽りの約束、賄賂にフェイクニュースになんでもあれ。
    そして圧倒的で一方的な暴力。
    Smash=ぶち壊して、grab=奪え。
    道徳的にまずいことは全部あった。
    インドはメディアをコントロールしてシッキム国王を悪者に仕立て上げ、増え続けるネパール系と権力を持つチベット系の社会問題を悪用し、慎んだ生活をしていた人々を騙して、インド側は見事に嘘に嘘を重ね、反対派を暴力で押さえつける。
    最後はインドが軍隊を送り込み、あっという間に王国はなくなった。
    少数の外国人が強すぎる権力を振りかざす、まさに帝国主義。
    インドの政治は複雑で私は勉強不足の部分も多かったけど、それでもあからさま。
    それでも、インドはシッキム王国のあの立地が欲しかった。
    どんな手を使ってでも確実にインドのものにしたかった。
    このインドの暗い現代史を今のインド人はどこまで知っていて、どう思っているのか。
    多分知らない。
    シッキム国民たちは自らの意思で正当な方法で素晴らしい国インドの一部になれた、と教えられているから。


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    English review
    "Smash and Grab" Sunanda K. Datta-Ray (1984) Review | A dynamic history of Sikkim
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    SMASH AND GRAB:ANNEXATION OF SIKKIM (English Edition)
    SMASH AND GRAB:ANNEXATION OF SIKKIM (English Edition)