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『バウドリーノ』 ウンベルト エーコ, 2000年 レビュー | どこまでがストーリーでどこからがでっち上げか

バウドリーノ 上 (岩波文庫)
バウドリーノ
ウンベルト エーコ, 2000年
Baudolino
Umberto Eco, 2000
2008年 読了
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🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

✔ 嘘つき青年バウドリーノは歴史家ニケタス・コニアテスを助け出し、彼自身の生涯の冒険を語り始める
✔ 主人公は架空の人物だけど実際の出来事や人物と空想の世界が入り混じった歴史フィクション、ファンタジー
✔ どこまでが著者エーコの造り上げたストーリーなのか、嘘つきバウドリーノのでっち上げなのか

★★★★★ 舞台は中世ヨーロッパ。嘘つきの主人公が歴史家ニケタスを助け出し、彼自身の生涯の冒険を語り始める。それでもニケタスはついつい、その魅力的なバウドリーノの物語に聞き込んでしまう。私たち読者は主人公の言っていることをどこまで信用していいのか。予想不可能な展開の繰り返しににやけてしまう。

🔽🔽 読書記録 🔽🔽

面白い。本当に本当に面白いです。
ウンベルト・エーコ様ですよ。
舞台は中世のヨーロッパ。
主人公バウドリーノは1204年ビザンチンで窮地に追い込まれていた歴史家ニケタス・コニアテスを助け出し、彼自身の生涯の冒険を語り始める。
でも話し始める前から、自分は嘘つきだから…といい続けるバウドリーノ。
それでもニケタスはついつい、その魅力的なバウドリーノの物語に魅了されてしまう。

言語と噓に長けたバウドリーノが言うには。
彼は現在の北イタリアの沼地に住んでいた嘘つき少年。
ある日ローマ帝王の「バルバロッサ」フリーデリヒ一世に霧の中で会い、養子になる。
少年時代の初恋、青年時代のパリでの留学を経て、その嘘つきの才能を利かしてフリーデリヒの政治を裏で動かし、ついには東の果てに住んでいるといわれるプレスター・ジョンを探すためフリーデリヒの兵を引き連れて旅に出る。

相変わらずエーコの本はファンタジーたっぷりでエレガントで、でも論理的。
最初はこの世界に入り込むまでの時間は戸惑ってしまう。
確かに主人公は架空の人物だけど実際の出来事や人物と空想の世界が入り混じったミステリー・ファンタジー・歴史フィクション。
実在した人物はフリーデリヒ、ニケタスやバウドリーノの友人達などで、実際にあった出来事としてはバウドリーノの冒険のバックグラウンドとなるものほぼすべて。
当然この時代はヨーロッパの外はどうなっているのか、日が昇る向こうには何があるのか、そして「地球」と言う観念すらない。
そんな中バウドリーノとその友人達はいろんな信念を持った人や伝説上の人やモノに会い、パリで学んだ議論の術を披露する。
著者エーコが当然ながら賢い上にユーモアたっぷりの人間なおかげで、その議論も深くて楽しい。

エーコの本では主人公が著者の故郷でもあるアレッサンドリア出身のことがいくつかあり、ピエモンテの特徴的な霧についてもよく言及される。
ピエモンテには二年住んでいたので個人的にもうれしくなってくる。
ここでは彼の愛するアレッサンドリアという町がどうやって造られたかも語らる。

そして空想の世界といっても、どこまでが著者ウンベルト・エーコの造り上げたストーリーなのか、そしてどれが嘘つきバウドリーノのでっち上げなのか。
もちろん物語自体も面白いのですが、本当の楽しみは私たち読者が主人公の言っていることをどこまで信用していいのかどうかという点といっても過言ではない。
すべての文章を読み終わるまで簡単には予想できない展開の繰り返し。
読み終わって本を閉じると、ふふっとにやけてしまいますよ。

🔽 関連ページ 🔽
English review
“Baudolino” Umberto Eco (2000) Review | Baudolino, charming master of languages and lies



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