カテゴリー: 文学 日本

  • 『鳥人計画』 東野圭吾, 1989年 レビュー | 野望は収まるところを知らない

    『鳥人計画』 東野圭吾, 1989年 レビュー | 野望は収まるところを知らない

    
    鳥人計画
    東野圭吾 1989
    Keigo Higashino
    400 pages 
    2024年7月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    
    
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ 著者の好きなウィンタースポーツが舞台
    ✔ 天才と努力家とそれを支える人間のドラマ
    ✔ 手段は選ばず超人を作るという野望
    
    ★★★★☆  ウィンタースポーツのミステリーかと思っていたら、テクノロジーも入ってくる、東野ミステリー。手段は選ばず超人を作るという野望は収まるところを知らない。どんなものも東野作品は十分に面白いので嬉しい限りです。
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ウィンタースポーツのミステリーかと思っていたら、テクノロジーも入ってくる、東野ミステリー。
    この頃の日本はウィンタースポーツ黄金時代、確かにオリンピックでの日本チームの大活躍をテレビでやっていたのを覚えてる。
    その頃にちょうど出てきた一冊。

    天才と、努力家たちと、凡人たち、その周辺で支えるコーチや家族。
    努力よりさらに上を、手段は選ばず超人を作るという野望は収まるところを知らない。

    彼の作品は、めちゃめちゃ面白い!というのでなくても、ミステリー要素以外にもみん現模様がちゃんと描かれていて、十分に面白いので嬉しい限りです。

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  • 『ブルータスの心臓』 東野圭吾, 1993年 レビュー | ミステリーxテクノロジー

    『ブルータスの心臓』 東野圭吾, 1993年 レビュー | ミステリーxテクノロジー

    
    ブルータスの心臓
    東野圭吾 1989
    Keigo Higashino
    264 pages 
    2024.07 
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    
    
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ 東野圭吾の描くテクノロジーとミステリー
    ✔ ロボットの背後にある人間のドラマ
    
    ★★★★☆  東野圭吾 x テクノロジー。カッコウと続けて読んでるせいで印象が弱くなってるのは否めないけど、少し複雑なせいでスリルはカッコウほどないかも。
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    東野圭吾 x テクノロジー
    冒頭でロボットが意思を持ったかのような序章があり、それからは主人公にくっついてストーリーが進む。

    彼の思惑のはずが、なにが起きてるのか、誰が、どうして、が最後まで分からない。

    カッコウと続けて読んでるせいで印象が弱くなってるのは否めないけど、少し複雑なせいでスリルはカッコウほどないかも。
    いやこれも私のせい、いつもほぼ100%同じ作家や同じテーマのものは続けてみないようにしてるのについ。

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  • 『カッコウの卵は誰のもの』 東野圭吾, 2013年 レビュー | ウィンタースポーツと人間臭さ

    『カッコウの卵は誰のもの』 東野圭吾, 2013年 レビュー | ウィンタースポーツと人間臭さ

    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    🔽 基本情報 🔽
    カッコウの卵は誰のもの
    東野圭吾 2013
    Keigo Higashino
    392 pages
    2024年7月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 著者の好きなウィンタースポーツがテーマ
    ✔ 才能とは、家族とはという問いに揺れる親子

    ★★★★☆ 久しぶりの東野圭吾。やっぱり面白い。今回は著者の好きなウィンタースポーツが背景になっていてそこの細かさもさすが。人間臭さが好き。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    久しぶりの東野圭吾。
    やっぱり面白い。全ての辻褄があっていて、謎解きミステリーとして面白いのと、人間関係が面白いのと、なにより人間臭さがいつもきちんと残されていて感動も与える。
    今回は著者の好きなウィンタースポーツが背景になっていてそこの細かさもさすが。
    才能とは、家族とは、血とは。

    やっぱり東野圭吾はエンターテイメントとして最高峰に面白い。

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  • 『無理』 奥田英朗, 2009年 レビュー | 片田舎が舞台のハチャメチャストーリー

    『無理』 奥田英朗, 2009年 レビュー | 片田舎が舞台のハチャメチャストーリー

    
    無理 
    上下巻
    奥田英朗 2009
    736 pages (368 + 368) 
    Hideo Okuda
    2024年7月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ 片田舎を背景にしたハチャメチャな奥田英朗ワールド
    ✔ 共同体意識も薄れ大した仕事もない不満が絡み合う
    ✔ 大変なんだけどやっぱり笑ってしまう
    
    ★★★★☆  片田舎のそれぞれいろんな不満がある人たち、それが徐々にじゅんぐりじゅんぐり、絡まってきて。想像していた通りのハチャメチャストーリー。
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    想像していた通りのハチャメチャストーリー。
    片田舎のそれぞれいろんな不満がある人たち、合併により新しくできた町、共同体意識は薄れ、故郷という感覚も昔のもの、ショッピングセンターが唯一のエンターテイメントで、パート程度しか仕事がない、それは今の日本の多くの住民が共感できること。

    それが徐々にじゅんぐりじゅんぐり、絡まってきて…
    軽くどんどん読める、予定どおり。

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  • 『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 レビュー | ぼくらは生きようとしなければいけない

    『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 レビュー | ぼくらは生きようとしなければいけない



    風立ちぬ 美しい村
    堀辰雄 1938
    (Kaze tachinu / The wind rises)
    Tatsuo Hori
    288 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ジブリ映画にもなった作品を含む短編集
    ✔ 軽井沢、サナトリウム、という異空間での静かな恋愛
    ✔ 静かな時間の中で静かに愛する二人の物語

    ★★★★ 軽井沢という異次元で流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。「風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない」ゆっくりとひんやりした時間に浸れる一冊

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ジブリの風立ちぬの基になったストーリー。
    堀辰雄を始めて読んだけど、詩的でか弱くて美しい。
    自身が病弱なのもあり、軽井沢という人間臭い生活感もない異次元が舞台で、そこで流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。

    サナトリウムという、そのなかでもさらに生活感から離れた空間を何度も登場させる。
    風立ちぬ、Il vent se lève, il faut tenter di vivre- 風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない。
    そういうタイトルでありながら、主人公の愛する人はもう死の間際にいる。
    それをしんと見つめるかのように季節は流れ、木々にはつぼみが溢れ、落ち葉は深くなる。
    そして二人は、もう死を待つのみの透き通った空間のなかで互いを静かに愛し、時空を越えた二人だけの泡のなかに生き、そして彼女のその静かな死後も彼はその泡のなかで生きる。
    ゆっくりとひんやりと流れる時間に浸れる一冊。

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  • 『ワイルド•ソウル』 垣根涼介, 2006年 レビュー | アマゾンの大自然と復讐劇の大迫力

    『ワイルド•ソウル』 垣根涼介, 2006年 レビュー | アマゾンの大自然と復讐劇の大迫力



    ワイルド•ソウル
    垣根涼介 2006
    Ryosuke Kakine
    1040 pages (512 + 528)
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 戦後ブラジルへ渡った日本人たちの生活とその後
    ✔ 前半はその厳しい生活の様子、後半は壮大な復讐劇
    ✔ アマゾンの大自然とミッションを掲げた一人の人間のスケール

    ★★★★ 戦後の日本からブラジルへ渡った4万人のアマゾンでの壮絶な生活、そこから逃げ出した人々の底辺を這うような生活。下巻は大迫力の復讐劇。大きな自然を前にして人ひとりなんてちっぽけで、でも人は一生かけて後悔をしたり、人を愛したりする。1000ページ一気に読める。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    上下二巻の壮大なストーリー。
    戦後の日本からブラジルへ渡った4万人のアマゾンでの壮絶な生活、そこから逃げ出した人々の底辺を這うような生活。

    そして下巻へ。
    現在の日本、東京。三人の日系人の男たちの日本政府に対する復讐劇が始まる。

    読んでいる方としてはアマゾンでの大変な生活を知っているから、もちろん完全に三人の男の肩を持つ。彼らの計画は次へ次へと進んでいく。

    この本での何度も出てくる通り、大きな自然を前にして人ひとりなんてちっぽけで、そのちっぽけななかで、一生かけて後悔をしたり、人を愛したりする。
    そういうところも滲み出ていて、全体像でとても面白い。
    アクションもドラマもたっぷりで一気に読める傑作。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Wild Soul" Ryosuke Kakine, (2006) Review | Let the revenge begin from Brazil
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  • 『臓器農場』 帚木蓬生, 1993年  レビュー | 新生児のビジネスの暗い闇

    『臓器農場』 帚木蓬生, 1993年 レビュー | 新生児のビジネスの暗い闇

    
    臓器農場
    帚木蓬生 1993
    224 pages
    2024年6月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る
    
    
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
    
    ✔ 精神科医でもある著者
    ✔ 病院で繰り広げられる新生児の臓器ビジネス
    ✔ ホラーのようなサスペンスでとにかく暗い
    
    ★★★★☆ 精神科医でもある著者。思ってたように暗い。
    体調が良くなってなかったら読めなかったかもというくらい、暗い。新生児の臓器のビジネス、もう聞くだけで暗い。
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    作家で精神科医の著者。
    はじめて読んだけど、思ってたように暗い。
    退院後の自分の体調が良くなってなかったら読めなかったかもというくらい、暗い。

    助かる見込みのない新生児の臓器のビジネス、または研究、そこで繰り返されるホラーのようなスリラーのような。

    面白い、けど、例えば松本清張のように好きかといわれればそうではないので4。
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  • 『死者の奢り 飼育』 大江健三郎 1958年 レビュー | 閉塞感むきだし

    『死者の奢り 飼育』 大江健三郎 1958年 レビュー | 閉塞感むきだし



    死者の奢り 飼育
    大江健三郎 1958
    320 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 米兵の捕虜と村の人間たちの異様な人間関係の『飼育』
    ✔ 死体の保管のバイトをする学生と空想の会話の『死者の奢り』
    ✔ 反戦のメッセージと偽善者に対する嫌悪感

    ★★★★★ 閉塞感むきだしで、そのなかにある生身の人間関係。今日明日の生存に無駄なものを削ぎとったギリギリの状態の人間性。反戦のメッセージと偽善者に対する嫌悪感が私達を締め付ける。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    先延ばししていた、短編集。
    確かにすごい世界。
    戦争の悲劇というのは、もちろん酷い形で死者を出すこともあるけれど、人間の精神をここまで削り取るということでもある。
    死者、死体、死、ストーリーとして面白いし読みやすいんだけど、精神状態が安定してないときには避けたほうがいい。

    普通、世界が広がるという言い方をするけど、これは世界が狭まっている。
    閉塞感むきだしで、そのなかにある生身の人間関係。
    社会性とか柔らかい人間性とか博愛とか、今日明日の生存に無駄なものを削ぎとったギリギリの状態の人間性。
    そこには明らかな反戦のメッセージや、偽善者に対する嫌悪感があり、私達を締め付ける。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Lavish are the Dead, Prize Stock" Kenzaburo Oe (1958) Review | Confinement, hopelessness
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  • 『無花果の森』 小池真理子, 2011年 感想 | 隠したいこと、隠さなければいけないこと

    『無花果の森』 小池真理子, 2011年 感想 | 隠したいこと、隠さなければいけないこと

    ★★★☆☆ 人生を半分くらい生きると、隠したいこと、隠さなければいけないことくらい誰だってある。そんなときにだから会える人もいる。
    🔽基本情報🔽
    無花果の森
    小池真理子 2011
    Mariko Koike
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    いわゆるアラフォー世代に響く、というやつ。もう一回人生をやり直せる。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    DVを扱うのはまだ珍しかったのかな、でも逃げる彼女の心境がリアルに描かれている。

    アラフォーとかアラサーとかという言葉を使いこなせない私ですが、つまりほぼ中年の男女の訳ありの恋愛。
    人生を半分くらい生きると、隠したいこと、隠さなければいけないことくらい誰だってある。
    画家の頑固おばあちゃんとバーのママの脇役がいい。この二人は人生のもっと先輩だから。

    登場人物の若くはなく、もうすぐ40の女性が新しい人生を歩もうとするのはいいんだけど、でもぼちぼちよい一冊。
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  • 『愛さずにはいられない』 藤田宜永 2003年 感想 | 60年代の青年時代

    『愛さずにはいられない』 藤田宜永 2003年 感想 | 60年代の青年時代

    ★★★☆☆ 60年代を生きた著者の青年時代の私小説。一人の女性を愛し、その裏にある母親との葛藤というのも絡み合って複雑にする。好みではないけれど面白くないわけではない。
    
    
    
    
    
    🔽基本情報🔽
    愛さずにはいられない
    藤田宜永 2003
    Yoshinaga Fujita
    784 pages
    2024年5月 読了
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    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    この作家のファンは私なんかより絶対もっと楽しめる

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    60年代を生きた著者の青年時代の私小説。

    この時代というのは、とにかく破滅的。
    それでも生きていけたんだから。

    でもどうもこういうのは苦手ではある。
    最近こういう、60年代の俺の青春時代、っぽいのをなぜかよく読んでる。
    でも、一人の女性をとことん愛したストーリーとしてしっかり軸もあるし、そして実はその裏にある母親との葛藤というのも絡み合って複雑にしている。
    私の趣味と違うけれど面白くないわけではない。
    私がこの著者の作品を知らないことも、この本から私を遠ざけているのかも。

    昔はこういう生き方が出来たし、それがかっこ良くて、まあ若者に活気があった、ということ。
    いまはそんな生き方じゃ生き延びられない。
    
    
    
    
    
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  • 『しのぶ梅 着物始末暦』 中島要, 2012年 感想 | 所々の雑学も楽しい

    『しのぶ梅 着物始末暦』 中島要, 2012年 感想 | 所々の雑学も楽しい

    ★★★★☆ 着物始末屋というやさ男が主人公のシリーズ。江戸が舞台の着物をめぐる短編集。エンターテイメント性たっぷりですらすらと読める。
    着物のことにも多く触れていて所々の雑学も楽しい。

    🔽 ログ 🔽
    しのぶ梅 着物始末暦
    中島要 2012
    Kaname Nakajima
    267ページ
    2024年2月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    裁縫好きで日本に詳しい友人がロンドンの古本屋で見つけた本。
    そのせいか、いや、それらしくと言うべきか、江戸時代の着物がテーマの短編集。
    
    気軽に買えるいまの洋服と違い、何着も持つことは難しい。
    しかも形やデザインの決まりも厳しいので場違いな物も着にくい。
    着物始末屋というやさ男が主人公のシリーズ。江戸が舞台の着物をめぐる短編集。
    
    特に難しい訳じゃなくてエンターテイメント性たっぷりですらすらと読める。
    一応私も裁縫初心者なので、着物のことに触れていて所々の雑学も楽しい。
    
    
    
    
    
    
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    しのぶ梅 着物始末暦 (ハルキ文庫 な 10-1 時代小説文庫)
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  • 『傲慢と善良』 辻村深月, 2019年 感想 | 社会が突きつけてくる物差し

    『傲慢と善良』 辻村深月, 2019年 感想 | 社会が突きつけてくる物差し

    🔽 ログ 🔽
    傲慢と善良
    辻村深月 2019年
    Mizuki Tsujimura
    504ページ
    2025年7月 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    人気の小説というのは知っていたけど、実は読んだことない作者だし、第一、日本の現代文学は自分の好みではないと決めつけている私がいて。
    それじゃいけないと読む幅を広げるという意味で手にした本。
    自分の固定観念に挑戦した結果、この本が読めた。でかした、自分。

    社会という暗い大きな闇が突きつけてくる物差し。
    いい子は誉められます、きちんと親のいうことを聞いて、嘘をつかずに、でしゃばらずに。
    それが今のこの日本社会で子供のときから受ける教育。
    一昔前はそうだったんだから、あなたもそうしなさいという上の世代からの教育。

    私自身はさっさと国外に出たので自分の境遇とは違う、だけど、だからといってこれを読んで心が痛まないわけはない。

    恋愛小説でありながら、突如いなくなる婚約者、真実(まみ)のあとを追うミステリー風でもある。つまり読みごたえがある。
    ちょっとずつ彼女の過去や思考の霧が晴れていく中で、これはいま結婚を「するべき年齢」といわれる日本の若者誰もが痛く感じさせられる現実であると思い知らされる。
    家族ぐるみのお見合いではない、自分が定めた数ある基準から相手の点数を見定める婚活。
    そこで見定められるものは本当は何なのか。

    ヨーロッパでは親からの結婚の期待はあるのはあるけど、私の自由です放っておいて、と突き放すもしくは宥めることの方が多い。
    それは、日本のようながんじがらめのレールを敷く社会を思春期で体感しないから。
    間違っていようが自分の意見をいうことが奨励される社会で育つとそこまで多くの人は彼女に自分を投影しない。
    そして他のアジアの国の多くは未だに家族が決めるお見合いも多い。よくも悪くも結婚とは家庭とはそういうものという考え方もある。
    つまり日本はそのどちらからも外れた、自分の意見も主張できず家族の提供する安心感も浅い中でプレッシャーと疲労感だけが高まる孤独な活動となる。

    でも、それでも、ネタバレ阻止で詳しくは言えないけど、彼女は確実にいわゆる大人の階段を上る。
    遅いか早いかは、周りから見れば遅いかもしれない。しかし遅すぎることはない。

    まだ間に合う、まだ失敗しても大丈夫、人生はいつだって方向転換ができる、まだここが終わりじゃない。よかった。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(Arrogance and Virtue)" Mizuki Tsujimura (2019) Review | Not so comical "Pride and Prejudice" in Japan
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    傲慢と善良 (朝日文庫)






  • 『火と汐』松本清張, 1967年 感想 | 60年代の新しさも

    『火と汐』松本清張, 1967年 感想 | 60年代の新しさも

    🔽 ログ 🔽
    火と汐
    松本清張 1967年
    336 pages
    Seicho Matsumoto
    2024年1月 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    4つの短編。
    松本清張らしい、男と女のもつれ、金銭のもつれ、男のプライド、そういう大好きな要素がちゃんと入った佳作集と言った感じ。

    ここでもとにかく、旅行と言う、普段と違う空間と言うのがキーとなる。
    もしくは戦争と言う異空間も。
    あとがきにあってなるほどと思ったのは、松本清張は常にその時の新しいことを用いると言うこと。
    ヨットと言うお金持ちの新しい趣味、離島への国内線の飛行機など。
    当時はきっともっとブームになり、社会現象になったんだろうけど、いまだってレトロ感を残しつつも面白さもまだそのまま。
    とにかく、外れがない。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(The Fire and the Sea)" Seicho Matsumoto (1967) Review | A trip to a remote island, so 60s
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    火と汐 (文春文庫 ま 1-136)
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  • 『哀愁の町に霧が降るのだ 上下』椎名誠, 1981年 感想 | 楽しくて切なくて、突っ走る

    『哀愁の町に霧が降るのだ 上下』椎名誠, 1981年 感想 | 楽しくて切なくて、突っ走る

    ★★★★☆ 椎名誠は面白い、それにつきる。
    彼の青年時代の話が中心だけど、やっぱりこの時代は活気があった。楽しくて切なくて、突っ走る。風邪でダウンしていたので軽く読める本として。
    実際、上下一日で読んでしまう
    🔽 ログ 🔽
    哀愁の町に霧が降るのだ 上下
    椎名誠 1981年
    Makoto Shiina
    416 + 400 pages
    2024年1月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    椎名誠は面白い、それにつきる。
    彼の青年時代の話が中心だけど、やっぱりこの時代は活気があった。楽しくて切なくて、突っ走る。
    でもそういう外界の影響と言うのもあるだろうけど、やっぱり彼の回りにいた人間が面白いやつだった、そして現在も友人関係が続いていると言う羨ましい話。

    まあ残念なことに風邪と熱で、しっかり読んだわけでもないし、大した読書感想文も書けない。
    言えるのは、ただ純粋に面白かった。
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  • 『火宅の人』 壇一雄, 1975年 感想 | 男の無益なプライド

    『火宅の人』 壇一雄, 1975年 感想 | 男の無益なプライド

    ★★★★☆ こういういかにも昭和のダメ男はきっとそこらじゅうにいたはず。お金はある、なのにいつも足りない。逃げるように女を追いかけてお酒を追いかける。ただの我儘、男の無益なプライド。
    これが無頼派
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    火宅の人 上下
    壇一雄 1975
    Kazuo Dan
    960ページ(480+480)
    2025年6月読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    私小説風の大変な男の話。
    家族は放ったらかし、愛人にも面倒くさくなり、それ以外もフラフラとあっちの女、こっちの女にすがり付き、もちろん商売の女にもすがり付き、何よりも酒にお金を使い込む、そう、最低の男の代表格。
    
    こういういかにも昭和のダメ男はきっとそこらじゅうにいたはず。
    お金はある、なのにいつも足りない。
    逃げるように女を追いかけてお酒を追いかける。
    でも最低の男であっても、優しくないわけではない。
    年じゅう放っておくくせに、急に子供を海や川に泊まりがけで遊びにつれていく。
    寝たきりの次男が気になってしょうがない(だからといって世話はしないけど)。
    女の面倒を見たがる。
    でも言ってみれば、ただの我儘なええかっこしい。男の無益なプライド。
    
    結局は幸いお金があるということが救いになっているけど、じゃあなければ汗水垂らして働きますということだってないだろう。
    
    無頼派とは、こういうことか。
    
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  • 『何様』 朝井リョウ, 2012年 感想 | 真面目で不器用で滑稽な人たち

    『何様』 朝井リョウ, 2012年 感想 | 真面目で不器用で滑稽な人たち

    🔽 ログ 🔽
    何様
    朝井リョウ 2012
    Ryo Asai
    416ページ
    2025年3月 読了
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    🔽🔽読書記録🔽🔽
    初の朝井リョウ。
    貰い物なのでなにも知らずだったけど、6つの物語の短編集。
    前作の何者というのがあるようなので順番は間違えたのかも。

    今時の就職についてがメインで、就職したばかりだったり、大学生だったり、就職セミナーの講師だったり。最初のは高校最後のストーリーだけど、ここも大きな変化のなかのできごと、という共通点。
    こういう人、いるよね、という感じの普通の人たちの葛藤。

    最初の高校生のラブストーリーは新鮮だった。二つ目のゆらゆら揺れまくってる、姉の代わりのアパートシェアをする人を探す女の子には呆れるけど、いる、こういう人。
    真面目すぎて不器用で滑稽な人たちのストーリー。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Nanisama” Ryo Asai (2012) Review | Unintentionally funny
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  • 『螢川 泥の河』 宮本輝, 1977年 レビュー | 底辺でも強く生きる

    『螢川 泥の河』 宮本輝, 1977年 レビュー | 底辺でも強く生きる

    
    
    
    
    
    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 芥川賞、太宰治賞受賞の短編集
    ✔ 戦後を強く生きる
    ✔ 成長物語

    ★★★★☆ 螢川は芥川賞、泥の河は太宰治賞。戦後を生きるということ、底辺でも強く生きるということ、その中にも潜む淡い正直な大人への目覚め。色んな感情が積み重なり、最後に螢とともに花開く



    🔽🔽読書記録🔽🔽

    泥の河は太宰治賞、螢川は芥川賞。
    泥の河は戦後の大阪でのを描く。質素な生活をする少年の、泥の川に浮かぶ船で生活する姉と弟と、身体を売って生活をしのぐ彼らの母との短い思い出。
    貧しいということ、戦後を生きるということ、底辺でも強く生きるということ、その中にも潜む淡い正直な大人への目覚め。ドラマチックじゃないけど心にすんっと入ってくる。

    螢川はそれより少し上の思春期の少年時代。はっきりと性に目覚めた主人公、羽振りがよかった事業に失敗した高年の父への嫌悪感に平行するかのように同じ女の子を好きな友人への嫉妬というか一目おいてしまう感じのなかで、そして。
    そんなときに出会うごちゃごちゃとしたあの頃の人情を胸に、初恋の子と見る蛍の群れ、そしてラストシーンのビジュアル。

    いろんな感情が積み重なり、最後に花開くという感じ。
    なにが際立っているかというとその情景の描写。まるでその情景を一緒に体感しているような一体感を産み出す文章。だから読者もなんだか懐かしいような気持ちになる。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Hotarugawa, Doro no Kawa" Teru Miyamoto (1977) Review | To live in post war Japan
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    螢川・泥の河 (新潮文庫)
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