
Martyr!
Kaveh Akbar, 2024年
(殉教者!)
352 ページ
2026年7月 読了
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日本語未出版
🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 薬物とアルコール中毒を抜け出したイラン生まれアメリカ田舎育ちのうつ状態にある詩人の青年
✔ 生後すぐに母を亡くし父親との死もあり殉教者の執着するなか、とある芸術家と出会う
✔ 「生きることに意味を求める」ということを心地の悪い角度から見つめるイラン系詩人のデビュー小説
★★★★★ 美しく悲しさも痛みも伴う物語。リハビリ中の主人公はイラン生まれアメリカ田舎育ちの詩人の青年。意味のある死とは、母親の最後のような無意味な死とは。彼の生きる今のアメリカと、母親が生きた革命前のイラン。誰もが願う「生きることに意味を求める」ということを心地の悪い角度から見つめる
2026年読了, アメリカ, ディアスポラ, ★★★★★, 美術, LGBTQ+, 友情, 哲学, 家族, 成長物語, 政治, 世界史
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
評判もいいし、きっと面白いはずと思って入手して、想像を超える面白さだった。
著者が詩人というのもあってか物語の流れもストレートじゃないし、変わっていると言えるけれど、美しく、悲しさも痛みもある風変わりな物語というか。
主人公は薬物とアルコール中毒を抜け出したイラン生まれアメリカ田舎育ちのうつ状態にある詩人の青年。
イランで生後すぐに母親を「米軍のミス」の事故で亡くし父親とアメリカに渡るが、息子である自分のために質素に生きた父親とも死別、さらに唯一の血縁である叔父は戦争中に奇妙な役職についていた過去を持つ。
主人公の生きる今のアメリカと、母親が生きた革命前のイラン、交わることのない二つの人生だった。
薬物に浸らなくなった今、クリアな頭で考える時間が増えたこともあり、殉教者という概念に執着するがそんな彼は末期のガンである彼女自身を展示するとある芸術家に出会う。
死について考えるというより、意味のある死とは、または母親の最後のような無意味な死とは。
自分への執着かと思えばやはり母親への執着であったり、退屈な生が実はそんなに悪いものでもなくて本当はもっと複雑で尊いものである、と、いろいろと考えさせられるけれど色々なドラマがやはりあって。
でもネタバレをしたくないので詳しく書けないまま説明するのは難しい。
この背景だけでも興味を引かれるけど、さすが詩人、文章や言葉の使い方やリズム感がいい。
いいというのは心地よいではなく、常につま先立ちを強いられているような。
誰もが願う「生きることに意味を求める」ということを心地の悪い角度から見つめる。
誇り高きイラン人でありながらアメリカしか知らない、母親のことは想像の中でしか知らない、男性の同居人は都合がいいときは友人になり恋人にもなる、リハビリでよくしてくれる人に感謝を示さない、そういうどっちつかずの人生を続けてきた主人公はとても現代的で、なんだこいつはと思いながらも感情移入もしてしまう。
エンディングに関しても見事に意見が分かれる終わり方なので、これも詳しく書けないのがじれったいけれど、私はハッピーエンドだったと思う。
ハッピーであること、幸せであること、いい気持であることは、正しくあることではない。
それよりも、正しくないことに向き合えること、正しくなかった行動や態度に向き合い、相手の正しくない行動や態度にも全身で向き合うこと、そしてその相手自身も向き合っていると認識できること。
ジャッジすることでもないし、ひょっとすると許すことでもない。
ただ単に「これでもいい」と思えること。
今年はイランからの移民のアメリカ人の作家をすでに3冊読んだけど、これは一番尖っていた。
国内外で批判されている最近のアメリカのイランへの攻撃が余計にこの本の人気に火をつけたけど、いつか日本語も出るのかな。
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English review
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Martyr!: A novel