(空に流れる川)
エリフ シャファク, 2024年
There are Rivers in the Sky
Elif Shafak, 2024
2026.05年 読了
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日本語未出版
🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 紀元前600年前の古代の新アッシリア帝国の王から続く一滴の水
✔ この物語は時間も空間も文化の境界線を自由に飛び越え繋がっている
✔ 心が折れながらも悲しみに負けたとしても生きていく、というメッセージ
★★★★☆ 紀元前600年前の古代の新アッシリア帝国から現代のロンドンに住む女性までずっと続く一滴の水。あらすじを説明するのは難しい。この物語は時間も空間も文化の境界線を自由に飛び越え、まるで私たちはもっと広い世界で生きていられると伝えているかのような。心が折れながらも生きていく。
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🔽🔽 読書記録 🔽🔽
エリフ•シャファク、なんで今まで読まなかったんだろうと後悔するくらい良よかった。
彼女の本の和訳はいまは一冊のみ、この本もまだのようです。
フランス生まれのトルコ人でヨーロッパとトルコで育ち、今は執筆は英語のみ(トルコ語翻訳も基本的には翻訳家に頼むそう)、両親の離婚後は祖母に育てられ、そのこともこの小説に影響しているとあとがきにもある。
そしてバイセクシュアルであることを公表。
彼女の作品のテーマはトルコ政府からは敵視されているようでイギリスに住んで活動をしている。
この経歴を見るだけでも、なぜ彼女がこういった一つの枠にとらわれない作品を描くのかがわかる。
紀元前600年前の古代の新アッシリア帝国の王アシュバニパルと、ヴィクトリア朝のロンドンに住む貧困ながらも天才的記憶力を持つ少年、現代のトルコとイラクで虐殺の中を生き抜くヤジディ教徒の少女と先祖、そして現代のロンドンに住むずっと鬱とたたかう女性、彼らを繋ぐのは一滴の水。
心が折れながらも生きていく、悲しみに負けてしまってもそれでも生きていくというメッセージ。
全体のあらすじを説明するのは難しい。
この物語は時間も空間も文化の境界線を自由に飛び越え、まるで一つのストーリーに固執してはいけないと言っているかのような、まるで私たちはもっと広い世界で生きていられると伝えているかのような。
一人一人が違和感を感じながらも自分の人生を生きる、でも水という要素によって私たちは時空を越えて繋がっているよという壮大な事実。
アッシリア、メソポタミア、チグリス川、ヤジディ教、楔形文字、守護神ラマッス、興味深いテーマを掘り下げるなかで、著者自身もフィクションが持つパワーは人間の真実に迫ることができると訴える。
そしてこの小説もかなり残酷な歴史を掘り返すことにもなるし、自分の人生で何が一番大事なのかを考えさせられる。
自分の鬱を乗り越えるのに古代史が役に立ったという登場人物もいて、分かる、自分のちっぽけさを感じるのも大事。
生きていくことは難しいよね、と言いながらも支えあう。
西アジア、中東といわれる地域は私たちの記憶のどこを辿っても問題ばかり、争ってばかりの地という結論にたどり着いてしまうけれど、その記憶を超えれば実は古代から文明が栄えたコスモポリタンな地域のはず。
でもこの本はただ単に西洋vs東洋、先進国vs野蛮な地、なんていう単純なことではない。
いや逆に言うともっともっと単純なことなのかもしれない。
何をどうしようと、私たちの中には古代からずっと循環している水が通っている。
そんな壮大な事実の前に立つ私たち個人個人は実はちっぽけで、だからこそちっぽけな勇気を出すこともできる。
この著者の本、もっともっと読みまなきゃ。
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