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『山椒魚』 井伏鱒二, 1929年 レビュー | 文字を通じて風景を描く

山椒魚 (新潮文庫)
山椒魚
井伏鱒二, 1929年
304 ページ
新潮社
2026年10月 読了
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🔽 一言レビュー 🔽

★★★★☆ 超有名な山椒魚の不思議さは限りなく水墨画に近い水彩画のような魅力がある。あとがきを読んでやっと納得した。彼は文字を通じて、風景や情景を描いたのか。ほかの作品にも見える時に冷たく時にキザな東京弁とその土地の方言のコントラストさえも、すべてが絵画的。


🔽🔽 読書記録 🔽🔽

初めて井伏鱒二を読んだわけだけど、この新鮮さをどう表現していいいか未だに迷っている。

短編集ということもあり、一つ一つがガッチリと世界観を成形する前に終わってしまうのだけど、それだけじゃない、それぞれに敢えて分かりやすい喜怒哀楽や主人公の葛藤と問題解決を示さない。
ふんわりとしかも感じなのか、苦労を知らない人なのか、苦労に美学を感じない人なのか、村上春樹的なのかとも思うけどそうでもなくて、あとがきを読んでやっと納得した。

ずばり井伏鱒二は画家になりたかった。

彼は小説を、文字を通じて、風景や情景を描いたのか。
だから小説を読んだ後の後味じゃなくて美術館をあとにするような後味になるんだ。

超有名な山椒魚の不思議さは限りなく水墨画に近い水彩画のような魅力がある。
他の作品も登場人物の会話は風景画の一部でしかなくて、空を飛ぶ鳥の様子や落ち葉が揺れ落ちる様子、幼い女の子が布団に入ってきたり宿題を散らかしている畳の様子、もっというと時に冷たく時にキザな東京弁とその土地の方言のコントラストさえも、すべてが絵画的なんだ。
だからそれを受け取る読者側も違った心持ちで迎える態度がいる。

なにも知らなかった私はその心の準備はできていなかった。
次から彼の作品を読むときの心構えが決まったが、でも他の作品もみんなこういい雰囲気ではないそうで、そうか、しかしまあ読んでみるしかない。

<< 目次 >>
山椒魚
朽助のいる谷間
岬の風景
へんろう宿
掛持ち
シグレ島叙景
言葉について
寒山拾得
夜ふけと梅の花
女人来訪
屋根の上のサワン
大空の鷲
井伏鱒二 人と文学 河盛好蔵
『山椒魚』について 亀井勝一郎
年譜

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