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  • 『民俗学の道』 宮本常一, 1968年 レビュー | 庶民の歴史を歩いて聞く宮本民俗学の原点

    『民俗学の道』 宮本常一, 1968年 レビュー | 庶民の歴史を歩いて聞く宮本民俗学の原点


    民俗学の道
    宮本常一, 1968年
    248 ページ
    2017年 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 彼の故郷と百姓として育った子供時代から始まる自叙伝
    ✔ 柳田國男、渋沢敬三との出会いや全国を歩き回った半生
    ✔ 知識や経験を通じ人を繋ぐ、シンプルでありながら大事な宮本民俗学

    ★★★★★ 百姓として育った子供時代、郷里を離れて学問につき、柳田國男、渋沢敬三との出会い、そして確立する宮本民俗学。「人は誰でも歴史を持っている」という信念で歩き続けた人生。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    彼自身の通ってきた道を追った一冊。

    まずは彼の故郷から家族に関わる歴史から始まり、百姓として育った子供時代、郷里を離れて学問につき、柳田國男、渋沢敬三との出会いやそしてひたすら全国を歩き回った半生を、彼自身の言葉で綴られている。
    彼のその素朴でありながら、出会う人々に対し情熱的で、愛に溢れた性格が手に取るように分かる。

    戦争に対する想いや、地方を苦しめる中央重視の現代、また地方の歴史や農民の歴史を軽視してきた日本に対する批判も含め、「人は誰でも歴史を持っている」という根本的な考えが滲み出ている。

    人に出会い、知識や経験を通じ人を繋ぐ、シンプルでありながらもっとも大事な仕事、ライフワーク、学問に尽くされた人生。



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  • 『イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む』 宮本常一, 2014年 レビュー | 明治の日本を回った彼女の度胸と洞察力 

    『イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む』 宮本常一, 2014年 レビュー | 明治の日本を回った彼女の度胸と洞察力 


    イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫 2226)
    イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    宮本常一, 2014
    264 ページ
    2017 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 1878年に来日したイギリス人探検家の紀行文を宮本常一が解説
    ✔ 明治時代の東日本の山奥を歩き回った彼女の度胸と観察力
    ✔ 彼女が見聞きしたことに宮本常一が丁寧に解説を加える豪華さ

    ★★★★★ 英国ビクトリア朝の人間らしさ満載の女性探検家の紀行文。怪しい通訳と蚤が出る農村も歩き回る度量と偏見を持たない鋭い観察力。そこに民俗学者の宮本常一が解説を加えるマニアには豪華な一冊。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    イザベラ・バード (Isabella Bird, 1831-1904) は明治時代に関東に入り東北から北海道(蝦夷)を旅したイギリス人探検家。
    聞いたことはあったんだけど、民俗学者の宮本常一が解説した本ということであっという間に読了。

    イザベラ・バードは一言で言うと探検家なんだけど、英国ビクトリア朝時代らしいと言えばらしい、つまり変わった人で女性一人で世界中のいわゆる未開の地をとことん歩き回った人。

    日本では怪しい通訳の伊藤という男性を引き連れていただけで、東北の山奥の村や北海道のアイヌの村に入って沢山の事を見聞きし、するどく観察。
    そしてそこには、日本人やアイヌ人に対する偏見はなく、常に客観的でしかも博愛に溢れた人間らしさで現地の人と交流し、残さず記録している。

    宮本常一さんと同じく、武士や貴族の歴史や生活でなく、あくまで普通の一般の人々に興味を持ち、学校の授業では知ることができない、本当は面白い民俗学を学ぶことができる。
    例えば、どこにいこうと避けられない蚤の多さ、清潔でない村人の臭いや皮膚病の多さ、地方によって違う女性の地位や、野次馬というかミーハーな日本人の気質。

    そういうことは、実は日本人が同じ時期に日本全国を歩いても分からない事なんだと。
    あまりにも普通の事だから。
    日本人にとって蚤がいるのは当然だから書かない。
    アイヌ人をとことん軽蔑してるから、アイヌの文化が見えない。
    でも外国人だから気付けるし、ありがたいことにきちんと記録してくれている。

    ただ、この地方でこういう生活をしていた、とバードは見たままを綴っていても、それがどうしてなのかまでは彼女には分からない。
    そこで宮本常一が、この地方にこういう病気が流行ったんだけど、その理由はこういう人が集中して住んでいたから、なぜかというと、この魚をとるために一定の時期だけ人が住んでいたからですよ、と深く掘り下げてくれて、分かりやすい。
    もちろん彼自身も同じくらい愛情に溢れた民俗学者であることも忘れてはいけない。
    彼は、当時の日本人がきっと初めて出会ったであろう欧米人がバードであったことは、彼らにとって幸せだったであろうと言う。でも彼も戦時中、戦後、ひたすら日本中の集落を歩き回り民家に泊めてもらい、現地の人々に慕われた重要な人物であったわけです。

    いきなり「日本奥地紀行」を読んだところで、私にはそこまで読み取る知識もないので、やっぱりこの解読書を先に読んでよかった。(ちなみに原本を英語で探してますが、どこにもない。やっぱりアマゾンに頼るしかないか)

    追記
    アマゾンで買ったバードの本は安かったしアマゾン出版?の本で文字が小さすぎて読めないので、積んだまま。
    改めて探さなくては。


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    イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫 2226)
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  • 『謎の九州王権』 岩井敏明, 2021年 レビュー | 卑弥呼の時代前後に栄えた九州の歴史 

    『謎の九州王権』 岩井敏明, 2021年 レビュー | 卑弥呼の時代前後に栄えた九州の歴史 


    謎の九州王権 (祥伝社新書)
    謎の九州王権
    岩井敏明, 2021年
    224 ページ
    2026.04 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 卑弥呼の時代前後の九州の歴史
    ✔ 大陸に近かった九州から東へと広がる文化の移り変わり
    ✔ 地名の由来へ動きというローカルな情報も面白い

    ★★★★☆ 邪馬台国は九州にあった説の周辺の話。この時代は証拠になるものが少なく逆にロマンがある部分が大きい。大陸に近く早い時期から栄えたのは間違いない。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    初めて九州国立博物館に行ったときに思わず買った一冊。
    前回の縄文の本に続き、基本的な古代の日本史の知識がない私には難しかった。
    
    
    西暦0年から500年辺りの九州の歴史をピンポイントで追う一冊。
    この頃のことは資料も少ないし、基本的には古事記と日本書紀と、かの有名な魏志倭人伝に頼ったりで、あとは、掘り出されたものからの想像というかはっきりとしたことが言えないのは仕方がない。
    
    それでも知ってる地名が出てきてしかも現在の地名とは少し違うというのが面白かった。
    的(いくは)という場所は浮羽、現在の福岡県うきは市。
    ヒナモリというのは役職で現在は夷守(ひなもり)という地名が九州にある。
    あと、九州と関西で同じ地名があるのは、元々は九州から出た王権が関西でヤマト王権となったからで、例えば大阪の有名な住吉神社は元は福岡の住吉神社が最古だという。
    
    あと地理的にもちろん大陸と繋りがあった九州、その辺りも興味深いし、つくづく国境というのは普遍的でないし、ごく最近のものだと思い知らされる。
    
    
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    謎の九州王権 (祥伝社新書)
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  • 『「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける』 関祐二, 2019年 レビュー | 実は豊かで賢かった縄文文化 

    『「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける』 関祐二, 2019年 レビュー | 実は豊かで賢かった縄文文化 


    「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける (PHP文庫)
    「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける
    関祐二, 2019年
    224 ページ
    2026.04 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 野蛮と言われていた縄文文化が実は豊かだったという新事実
    ✔ 争いを生む農耕文化に抵抗をした縄文人の感性
    ✔ 遺伝子など最新の発見から日本の縄文時代を考え直す

    ★★★★☆ 狩りをする野蛮な集団というのは古いもので、今はその文化の中の賢さを人間らしい感性を評価する時代になったそう。自然と共存し争いを避けたという縄文人には憧れすら抱く。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    縄文時代の評価は最近変わったそうだ。
    狩りをするただの野蛮人の集団で、大陸からきた高度な文化の弥生人に圧倒的なスピードで追いやられた、というのは通用しない、と。
    私は中学レベルの日本史しか知らない上、時期的にも評価が変わる時だったみたいで、たぶんそう教えられた気がする。
    でもこの本では遺伝子レベルの証拠などから、縄文時代の新しい常識が語られる。
    覆されるべき古い情報を持っていない身分にとっては初めての情報ですが。

    縄文文化の豊かさ、縄文人の賢さや繊細さを痛感させられる。
    著者の語る、ではなぜ縄文人は弥生文化にすぐにシフトチェンジしなかったのか、と言う理由に希望を持てた。

    忘れてはいけないことは世界どの地域でも農耕社会は階級を作り争いを産み出したことだ。
    その延長線で一神教という黒船を恐れて幕府は鎖国をしたというのも興味深い。
    安定した社会では争いを好まないの、すごく単純なことだけど、基本的な形。

    自分達が必要な分だけ動物も植物も取ればいいという発想、それに私たちは憧れを持ちながらももう後戻りできないのか。
    なるほどその視点でいくと縄文人は自然の中で自然に守られて生きた羨ましい人たちなんだと痛感する。


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    「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける (PHP文庫)
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  • 『沖縄文化論』 岡本太郎, 1972年 レビュー | 芸術家による力強く美しい文章 

    『沖縄文化論』 岡本太郎, 1972年 レビュー | 芸術家による力強く美しい文章 


    ヴィジュアル版-沖縄文化論-忘れられた日本 (中公文庫 お 54-2)
    沖縄文化論
    忘れられた日本
    岡本太郎, 1972
    261 ページ
    2019.07 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本の誇る芸術家による沖縄論
    ✔ 沖縄の歴史や文化を熱く強く語る
    ✔ 日本本土と沖縄の葛藤の歴史

    ★★★★★ 一気に目が覚めるくらい沖縄への熱い眼差しと力強く美しい文章。表現が豊富で文章が美しくて、沖縄的なある意味日本の原始的な文化を深く受け止めている彼の文章は存在感がある。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    最近アイヌの事について読むことが多かったので、ふと沖縄の文化論の本あるかな、と見てたら、なんとあの岡本太郎が。
    といっても岡本太郎が普段どういう作品を作りどういう文章を作っていたかはわかってなかったです。

    単純に文化遺産とかについてかなーと思ってた、ら、一気に目が覚めるくらい沖縄への熱い眼差しと力強く美しい文章。
    私が沖縄についてもそこまで知っているわけではなかったのもあり、彼らの虐げられた歴史、特に日本からの中央集権的なコントロール、ブルドーザーのように個々の伝統や歴史、宗教や人柄を無視した制圧に怒りを覚え。
    それ以前にすでに貧しい土地で慎み深く生きていた、いやギリギリのラインで生きていた人々への岡本太郎の素直な尊敬と信愛の視線には心を打たれ。

    表現が豊富で、文章が美しくて、とにかく沖縄的なある意味日本の原始的な文化を深く受け止めている彼の文章は、テーマの対象である沖縄を切り離したとしても十分に存在感がある。
    ギュッと心に残る表現や言い回し、それが率直に生々しく開け放たれていている。

    リンクに載せた新しいビジュアル版というのが出ているようです。

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    ヴィジュアル版-沖縄文化論-忘れられた日本 (中公文庫 お 54-2)
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  • 『インド人の謎』 拓徹, 2016年 レビュー | 謎じゃないインドを知りたい人へ 

    『インド人の謎』 拓徹, 2016年 レビュー | 謎じゃないインドを知りたい人へ 


    インド人の謎
    拓徹, 2016
    253 ページ
    2020.12 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ インド研究者によるインドを謎と思わないための解説書
    ✔ 食事、カースト、宗教など各方面から
    ✔ 本当にインドを知るための一冊

    ★★★★☆ 私はどうも「謎のベールに包まれたインド」「行けば人生が変わる」というのが嫌で、著者もどうやら同感のようで希望通りの一冊。そう、謎なのはこちらの問題なのです。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    思った通り、希望どおりの本だった。
    私はどうも「謎のベールに包まれたインド」「行けば人生が変わる」というのが嫌で、著者もどうやら同感のよう。

    ただ文化や背景が違うだけで13億人が住んでいるんだから、謎なのはこちらの問題であってインドの問題ではないと思うんです。

    そういうことを文化的、歴史的背景、また具体的な例をあげて説明してくれる。
    ただやっぱりインドは複雑ではある。
    それは植民地化された辛い過去のトラウマからだったり、現代のヒッピー的なイメージつまり外国人が勝手に妄想するイメージからのストレスだったり。
    つまり外的な要素が大きい、やっぱり問題はこちらにあるのであってインドじゃない。

    階級社会とはつまり一体どういうことなのかというのも勉強になる。

    昔、地球の歩き方が言ったように、インドは人間の森なんですね、人間の全てがある。
    何千年も続く森。

    読み
    たくとおる

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    インド人の謎 (星海社新書 84)
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  • 『辺境を歩いた人々』宮本常一, 2005年 レビュー | 宮本民俗学の先代たち

    『辺境を歩いた人々』宮本常一, 2005年 レビュー | 宮本民俗学の先代たち



    辺境を歩いた人々
    宮本常一, 2005
    Tsuneichi Miyamoto
    296 pages
    2023.04 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本を代表する民俗学者の語る民俗学の先代たち
    ✔ 大衆の貧しい人々の生活に注目した先人に敬意を払う
    ✔ 一般的な歴史では学べない、普通の人々の歴史

    ★★★★☆ 今回は宮本民俗学の先代とでもいうべき、彼より前の明治時代の四人について宮本さんが愛をもって現代の私たちに紹介する。先人に敬意を払う、そうやって回っていっているのだなあと、じんわりと思うわけです。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ちょっと久しぶりの宮本常一さん。この口調、文調が相変わらず心地よい。

    今回は「宮本民俗学の先代」とでもいうべき、彼より前の明治時代の4人のついて彼が語る。
    同じように、辺地、辺境を歩いてそれぞれの境遇のなかで調査をした人々。
    それを宮本さんが愛をもって現代の私たちに紹介する。

    彼の本を読むたびに、いかに一般的な歴史というものが本当にごく一部の裕福な支配階級のみに集中しているか、いかにそれが人々の本当の歴史を知る上で間違った方法なのか思い知らされる。

    大衆の貧しい人々の生活に注目した素晴らしい先人に敬意を払う。
    そして現在の私達がそういう宮本常一に対して尊敬の意を示す、そうやって回っていっているのだなあと、じんわりと思うわけです。

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  • 『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 レビュー | 民話は残酷

    『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 レビュー | 民話は残酷



    Ten Italian Folktales
    Italo Calvino, 1956
    Fiabe italiane
    イタリア民話集
    イタロ・カルヴィーノ
    96 pages
    2024年6月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ イタリアの民話集の抜粋
    ✔ それぞれは短く普遍的なテーマも

    ★★★☆☆ 大きな短編集からの抜粋。不幸なことや残酷なことも綴られている。これはたった10話なので本編も読まなきゃ。


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イタリア民話集という本当はもっと大きな短編集からの抜粋10話。
    民話集ということでそれぞれは短く、道徳的な教えもある。
    ただ、眠っている姫と寝て自分を王様にしたりとレイプを正当化する話もあって生々しい。
    不幸なことや残酷なことも綴られている。
    ちゃんと本編もいつか読まなきゃ、評価も何ともいえない。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Ten Italian Folktales" Italo Calvino (1956) Review | Misfortunes and cruelties
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  • 『日本文学の大地』 中沢新一, 2015年 レビュー | 古代の人の感覚は私たちのなかに

    『日本文学の大地』 中沢新一, 2015年 レビュー | 古代の人の感覚は私たちのなかに



    日本文学の大地
    中沢新一 2015
    Shinichi Nakazawa
    288 pages
    2024年5月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本の古典文学をいくつか紹介する本
    ✔ 万葉集、源氏物語、芭蕉、江戸時代の恋愛小説まで
    ✔ 古代人の豊かな感性を内に秘める現代の私たち

    ★★★★★ 日本の古典文学をいくつか紹介する本。
    そこには近代以前の、自然と文化が分かれる前の大地が広がっている。こういう古代の人の感覚は私たちのなかにまだあるそう。嬉しい

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    日本の古典文学をいくつか紹介する本。
    そこには近代以前の、自然と文化が分かれる前の大地が広がっている。

    浄瑠璃の人形たちは、数人の裏方たちの動き比喩するもの。
    平安時代の、天皇は消費してあげるという観念。
    江戸時代までの、恋をすれば相手が男も女も関係ないという大まかなセクシュアリティ。
    松尾芭蕉のとことん装飾を削り取った美学。

    自分でない何かモノが語るから物語というんだということ。

    そして著者は人間は1000年ぐらいでは変わらないと言いきる。
    つまり、こういう古代の人の感覚は私たちのなかにまだある。
    私たちの生活は物に溢れ、貨幣の魔力の中で、大地と離れたところで忙しくなり、また個人というアイデアが一般化し壁ができてしまい、その感覚に触れづらくなったんだと思う。

    しかし、日本ももっと学校で面白い古典に触れる機会があればいいのに。
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    日本文学の大地



  • 『お茶のソムリエの日本茶教室』 高宇政光, 2008年 レビュー | 自分の好きなお茶を探す

    『お茶のソムリエの日本茶教室』 高宇政光, 2008年 レビュー | 自分の好きなお茶を探す



    お茶のソムリエの日本茶教室
    高宇政光 2008
    Masamitsu Takau
    192 pages
    2024年5月 読了
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本茶についてあと一歩踏み込んだ知識が欲しい人に
    ✔ 自分の足で歩いてお茶を探索するお茶屋さんの著書
    ✔ 最高のお茶とは自分で見つけて淹れ方をマスターして飲むお茶

    ★★★★☆ お茶の本はかなり読んでます。この本の特徴はお茶屋さんの著者が自分で歩いて探索しているところ、それが好き。究極は自分で自分の好きなお茶を探し出せたら最高。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    日本茶の種類や産地についてさらっと書いてあるけれど、この本の特徴は、お茶屋さんの著者が自分で歩いて探索しているところ。
    いまでも田舎の方では自分たち用に古い独特の作り方をしている地域があるというのは、嬉しい。ちょっと民俗学も入ってる。
    九州でもインドでも、お茶畑というのはなぜか懐かしい風景のような気がする。

    そして、この本も結局は自分の好みのお茶を探し、好きな飲み方をマスターするというところに重点をおいている。
    確かに、お店がどれだけ頑張って好みのお茶を見つけてあげても、淹れ方で風味は変わる。
    そうなると自己責任なところも出てくる。だから面白い。
    
    
    
    
    
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  • 『アヘン王国潜入記』 高野秀行, 1998年 レビュー | 私たちと変わらない気持ちで生活する人

    『アヘン王国潜入記』 高野秀行, 1998年 レビュー | 私たちと変わらない気持ちで生活する人


    アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
    アヘン王国潜入記
    高野秀行 1998
    Hideyuki Takano
    392 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ ウルルン滞在記っぽいかと思ったらもっとリアルな辺境ルポ
    ✔ ミャンマーの山奥のアヘン生産地の村に滞在した著者
    ✔ 現地の人も自分と同じようにただ生活をしているだけという感覚

    ★★★★★ 普通、ミャンマーの山中にある世界最大のアヘン生産地に半年も行かないよ。政治的に意図的に隔離されていてでも変わり者が何日もかけて歩いていくと、そこには私たちと変わらない気持ちで、泣いて笑って生活する人たちがいる。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    この本が面白いのは、テーマや内容も去ることながら、著者本人の人格が大きな魅力。

    普通、ミャンマーの山中にある世界最大のアヘン生産地に半年も行かないよ。
    しかも特にジャーナリスティックな野望をもってではなく、ただ一緒にケシ栽培したいからという理由で。
    この村に生まれて、アヘンの農業に一生を費やし、たまに吸って、いつかは死んでいく、他の何も知らずに。生きる意味とかそういう綺麗事じゃない。
    だからこの本には歴史や政治の話は少ない。
    歴史や政治や国家は隔離された小さな村に住む人々の暮らしの軸ではないから。
    でも、村の回りには巨大な力が渦巻いていて、典型的な貧富の差や搾取がある。
    つまり軸ではないけれど、人々は間違いなく左右されている。

    世界は隅から隅まで知られてる訳ではない。
    人が住んでいて、こんな重要な土地であるはずの場所ですら知られていない。
    政治的に意図的に隔離されているこういうところがあって、でも変わり者が何日もかけて歩いていくと、そこには私たちと変わらない気持ちで、泣いて笑って生活する人たちがいる。

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    アヘン王国潜入記 (集英社文庫(日本)) [ 高野 秀行 ]
    価格:990円(税込、送料無料) (2025/10/3時点)



    アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
    アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
    
    
    
    



  • 『遠野物語 remix』 柳田國男 京極夏彦, 2013年 レビュー | 豊かな伝説が残る

    『遠野物語 remix』 柳田國男 京極夏彦, 2013年 レビュー | 豊かな伝説が残る



    遠野物語 remix
    柳田國男 京極夏彦, 2013
    249 pages
    2024年4月 読了
    アマゾンであらすじと詳細を見る


    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 柳田國男の遠野物語を京極夏彦が現代語訳
    ✔ 釜石市から内陸に向かっての一帯で語り継がれた民話
    ✔ さらっと書いてあるのに内容は結構怖い

    ★★★★☆ 遠野は小さなエリアなのに、こんなにも豊かな伝説が残っている。日本のホラーの原点かも。ただ内容を知りたい場合はやっぱり現代語訳がいい

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1910年の遠野物語も、柳田國男が聞いたいろんな話を編集して本にまとめたのを考えると、時代に合わせた現代語でリミックスというのも確かにあり。
    書いてある文章が古くて難しいとどうしても毛嫌いしてしまうので、ただ内容を知りたい場合はやっぱり現代語訳がいい。

    震災で大きな被害を受けた釜石市から内陸部に向かってあるのが遠野。
    エリア的には広くはないのに、こんなにも豊かな伝説が残っている。

    逆にいうと、これは運良く本として残されたけれど、日本中のどれだけの伝説が歴史の波に埋もれて消え去ったか。

    山に対する恐怖、水に対する恐怖。そういう教訓的な意味合いもあったはず。
    さらっと書いてあるのに読んでて結構怖い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Legends of Tono" Kunio Yanagita, Natsuhiko Kyogoku, (2013) Review | Japanese legends
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  • 『日本残酷物語1 貧しき人々の群れ』宮本常一 他 著 1959年 レビュー | その生活は残酷である

    『日本残酷物語1 貧しき人々の群れ』宮本常一 他 著 1959年 レビュー | その生活は残酷である


    日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)
    日本残酷物語1
    貧しき人々の群れ
    宮本常一 他 著 1959年
    540ページ
    読了=2025年2月
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    🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

    ✔ 日本人のほとんどが貧しかった時代の生きるための生活
    ✔ 盗みや殺しは日常茶飯事、肉親も我が子にも背を向ける時代の感覚
    ✔ メインストリームでは忘れられがちの女性の例が多くある

    ★★★★★ 普通の、大半の日本人というのは、貧しかった。
    その生活の様子は残酷である、あるんだけど、残酷という言葉で終わらせていいのか

    🔽🔽読書記録🔽🔽

    宮本常一さんといえば(大好きです)普通の日本人の近代史を語らせれば右に出るものはいない民俗学者。
    そして普通の大半の日本人というのは、貧しかった。
    他の国からの旅行者も口を揃えてその貧しさを書き残しているけれど、宮本常一民俗学とは、とにかく歩いてその土地の人の話を聞くことだけど、この本もすごい。
    百年ちょっと前の日本人の大半が貧しさに苦しみ、盗みや殺し、身体を売り家族を文字通り捨て、肉親だろうが我が子だろうが背には腹を変えられぬ底辺の生活をしていた。

    一般的に学校で習う歴史は社会の強者だけが記録され語られていて、弱者というか普通の人の生活は見えない。
    でもここには大衆の、普通の人のいくつもの例が掲げられている。

    それは残酷である、あるんだけど、残酷という言葉で終らせていいのか。
    子を間引きする親に他に生き延びる方法はあったか、行政はなにをしたのか。
    ただ食べるため赤の他人の船や旅人を襲う村人は残酷なのか。

    ここには女性の例が多くあるのがありがたい。
    女性はその人生をかき荒らされ、女だからと穢れとして下にみられ、一人の人間とは見なされず、家庭での立場も常に戦場で、しかも妊娠をする、そしてなぜかその責任を負わされる。
    炭鉱の女性の章もよかった。
    いかに家庭も社会も背負う女性がたくましいかがはっきりとかかれている。

    本来日本人なら義務教育で知っておきたい、知るべきな、日本の歴史。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Japan cruel stories 1, flock of poor people" Miyamoto Tsuneichi (1959) Review | The history of the majority
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    日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)
    日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)


  • 『Smash and Grab』 Sunanda K. Datta-Ray 1984年 レビュー | シッキム王国の壮絶な歴史と最後

    『Smash and Grab』 Sunanda K. Datta-Ray 1984年 レビュー | シッキム王国の壮絶な歴史と最後

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    何年も探した結果やっとデジタル本で友人に送ってもらった。
    結局紙媒体の本はインド政府に出版停止された本なので、探してもない。
    いやというか発売禁止にすると余計に盛り上がるから、印刷停止命令を出したそう。結果は同じこと。
    (追記;アマゾンで今年2025年から電子書籍として入手できます。リンクは↓)

    別のシッキムについての本で完全に魅了され2023年にシッキムまで行きました。
    あの辺は本当に不思議。ヒンドゥー教徒が過半数なのに(ヒンドゥー教のネパール系は80%以上)、寺院は仏教のお寺が多い。

    インド政府が出版後にすぐ停止させた理由は良くわかる。
    これは絶対に読んでもらいたくない。

    チョギャル(チベット系シッキム国王)を個人的に知っていたジャーナリストが書いたいわゆる暴露本で、彼が聞いたこと、見たこと、交わした会話、肌で感じたこと、当時の新聞記事など、この数年間の様子がこと細かく記録されている。

    シッキム王国の歴史の基本的な知識がないとこの本は難しい。
    その歴史自体についてちょっと簡単にいうと。
    シッキムはインドの北東部、ネパール、チベット、そしてダージリンのあるインド西ベンガル州、ブータンと各国に囲まれている、すごい立地。ヒマラヤ山脈の麓で冬は厳しいけれど豊かな地。
    長い間チベット系をトップに現地民レプチャ族と静かに暮らしていたけど、英国の紅茶産業がダージリンで始まり、18世紀に働き手としてものすごい数のネパール人が流れ込んできて、上流階級が少数民族となり、大半を占めるネパール系が差別されるという不思議な形に。(これはいまでもグルカ運動が続いていて解決されていない問題)
    1947年インド独立時にダージリンやカリンポンなどはインド西ベンガル州になるが、シッキムはそのままシッキム王国を維持。
    チョギャルが若いアメリカ人女性と再婚し東洋のグレース・ケリーと話題になったことで知られているかも。

    シッキム王国がインド、シッキム州になったのは1975年。
    インドは英国の植民地主義に苦しみ、独立を勝ち取って30年もしないうちに、インド自らがシッキム王国を植民地化したわけで、この史実は非常に都合が悪い。
    嘘、マインドコントロール、偽りの約束、賄賂にフェイクニュースになんでもあれ。
    そして圧倒的で一方的な暴力。
    Smash=ぶち壊して、grab=奪え。
    道徳的にまずいことは全部あった。
    インドはメディアをコントロールしてシッキム国王を悪者に仕立て上げ、増え続けるネパール系と権力を持つチベット系の社会問題を悪用し、慎んだ生活をしていた人々を騙して、インド側は見事に嘘に嘘を重ね、反対派を暴力で押さえつける。
    最後はインドが軍隊を送り込み、あっという間に王国はなくなった。
    少数の外国人が強すぎる権力を振りかざす、まさに帝国主義。
    インドの政治は複雑で私は勉強不足の部分も多かったけど、それでもあからさま。
    それでも、インドはシッキム王国のあの立地が欲しかった。
    どんな手を使ってでも確実にインドのものにしたかった。
    このインドの暗い現代史を今のインド人はどこまで知っていて、どう思っているのか。
    多分知らない。
    シッキム国民たちは自らの意思で正当な方法で素晴らしい国インドの一部になれた、と教えられているから。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Smash and Grab" Sunanda K. Datta-Ray (1984) Review | A dynamic history of Sikkim
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    SMASH AND GRAB:ANNEXATION OF SIKKIM (English Edition)
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