
伝奇集
ホルヘ・ルイス・ボルヘス 1944年
Fictions
Ficciones
304 ページ
岩波書店
2026年9月 読了
アマゾンであらすじと詳細を見る
🔽 一言レビュー 🔽
★★★★★ 一番最初の短編からいきなり突き放される。これは理解するとかロジカルにとかそういう次元の代物じゃないわ。摩訶不思議というか、真面目にやるつもりがないというか、深い尊敬の意を込めて、知的ブルシット。その分からなさが楽しくて不思議の国のアリスのように迷いながら読んでいく、いつもとは違う読書体験。
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
この本は事前に何も調べてないけど頑張らないといけないぞという気持ちはあったので気合いを入れて、いざ。
が、一番最初の短編『Tlön, Uqbar, Orbis Terius』からいきなり突き放される。
物語がフライングして突っ走って、次に瞬間に空を飛んで遠くへ行ってしまった、みたいな、極限的に意味不明な感じ。
何で私こんなに書いてあることが分からないの、と不安になるが次第に気がつく。
あ、これは理解するとかロジカルにとかそういう次元の代物じゃないわ。
なんていうか、ぶっ飛んでるというか、摩訶不思議というか、真面目にやるつもりがないというか。
周りがまじめにやろうとしているのに一人だけポストモダニズムで突き進んでいる。
根本がbullsh*tなんですね、深い尊敬の意を込めて、知的ブルシット。
キリスト教やユダヤ教がテーマのものは自分の知識が足りなくて分からないのは仕方ないけど、それにしても最初の話から、存在しない国について語って存在しない世界になってそこでは全ては空間でなく時間の上にあり、想像するとその産物が生まれてくるような世界で、実は私たちのこの世界に浸透してきて...
って、え、何言ってんの?
ちょっと待って私こんなに読解力なかったっけ?
そして自分の存在は誰かが見ている夢に過ぎないとか、無意味な文字が並んでいるだけの本が無限にある図書館だとか、存在しない本の書評、すべての物事を記憶している男、どの物語も何度も前のページに戻り読み返したし、細かく考えると全く理論的に意味が分からないが、なぜか成り立っている、なぜか納得してしまう。
その分からなさが楽しくて不思議の国のアリスのように迷いながら読んでいく、いつもとは違う読書体験。
日本語では『伝奇集』っていうタイトルだというのがまた、余計に難しそう。
原題はただ単に「フィクション集」。
読了のコツは「ここに書いてあること全てフィクションで造り上げられたもの」と意識しながら読む、真に受けない、かも。
あと、ほかの小説がここから引用しているモノやアイデアもあるのでそれを見つけるのも楽しい。
かみ砕けないまま飲み込んでしまったような、そして頭が爆発して読了後はその破片を拾い続けるような、不思議な余韻。
🔽 関連ページ 🔽
English review
🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽
●●● アマゾン ●●●

伝奇集 (岩波文庫 赤 792-1)