
破船
吉村昭, 1982年
256 ページ
新潮社
2007年 読了
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🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 作物が育たない寒村、座礁船を「お船様」と崇める貧困の村で一家の主となる少年
✔ 意図的に座礁させるという現実を黙って受け入れるほど大人になる少年
✔ 集団で生きていくものたちの強み、弱み、恐ろしさ
★★★★☆ 9歳の少年は父が年季奉公をしている3年間の間に一家の主として成長していく。ゴツゴツしたような文章が読者に迫ってくるような厳しいリアリティ。貧しい生活を強いられたときに騙して食料や衣料を残らず奪い取ることは罪になるのか。集団で生きていくものの強み、弱み、恐ろしさ。日本は貧しかった。
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
普段はもちろん日本語の本は日本語で読みますがこれはもらったものなので英語で。
たぶん会話は方言だろうから、できれば日本語で読みたかったけど。
さて、肝心の内容。
久しぶりにこんなに皮膚から浮き出る骨がゴツゴツしたようなものを読んだ。
最近はKazuo Ishiguroなどの丁寧な文章に浸かっていたので、読者に迫ってくるような厳しいリアリティがすごく新鮮。
貧しくてモノトーンで残酷で、聞こえるのは波の音だけ。
希望なんて言葉を知らないような9歳の少年、伊作が主人公。
座礁船を「お船様」と崇める貧困の漁村に生きていくと言うこと。
少年は父が年季奉公をしている3年間の間に釣りを身につけたりと一家の主としての意思を持ち始める。
夫を待ち続け、子供達を餓死から守ろうとする母親の姿も正に「母は強し」。
商船を焚き火で引き寄せ座礁させ、食べ物や雑貨、衣類を盗むことだけが村人の喜びという圧倒的な現実を目のあたりにした伊作だが、この3年間で村の秘密を受け入れるまで村の大人として成長していた。
最終的には村は「お船様」に罰を与えらるが、じゃあ若い父親が身売りをするような貧しい生活を強いられたときに、座礁した「お船様」の米や酒を残らず奪い取ることは罪になるのか。
村人の過半数の健康が侵されたとき、生き残るために患者を村から追い出すことは非道徳的なのか。
集団で生きていくもの、「社会」と言うものの強み、弱み、恐ろしさ。
教科書で学ぶ歴史では将軍や武士の優雅な暮らししか見せないけれど、日本は貧しかった。
人間の素顔を目の前で暴かれたような、理解したくなかった現実を目の前に叩きつけられたかのような一冊。
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破船 (新潮文庫)