
倦怠
アルベルト モラヴィア, 1960年
Boredom
La noia
Alberto Moravia
2007年 読了
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🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 暇な金持ちの主人公、才能はないが絵を描いて毎日を過ごすなかで若い女性チェチーリアと出会う
✔ 「退屈なモノ」でしかない彼女を通じて、倦怠と現実の境を自ら意識的にさまよう
★★★★☆ 暗い!主人公の心理の動きを1ページ1ページ追っていくので、自分まで主人公のようなくらい人間になってしまう。ディーノにとってチェチリアは一人の女性ではなくただの性の対象で現実に繋がる接点にしかなく、彼女を「退屈なもの」にしようという働きは、正に映画学でいうローラ・マルヴィの世界。
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私の好きな雰囲気の小説だけど、確かに性愛、エロスにまみれているがいまいちパンチが足りないのは最近ちょっと谷崎潤一郎を読みすぎてるからかも。
イタリアのブルジョワの生活、フランスもイタリアも同じような「アンニュイ」な空気が流れていて、私もこのレベルの金持ちがごろごろいるトリノの街に住んでいたのもあって、なんとなく感覚としては分かる。
イタリア社会の今のメディアにも続く、若い女の子を無抵抗に崇拝するというものよくある話なので分かる。
でも暗い!
主人公の心理の動きを1ページ1ページ追っていくので、自分まで主人公のようなくらい人間になってしまう。
それが作者の狙いで、だからこれは「倦怠」なのかもしれないけど、これを読んだらとにかく谷崎作品のあっけらかんとした倦怠が恋しくなる。
好みの問題としかいえないけど。
主人公のディーノは金持ちの息子で他に何もすることがないので絵を描いている、が、才能がないことも自分で知っている。
そんな彼がある日17歳のチェチリアに会い、彼女を通じて、倦怠と現実の境を自ら進んで意識的に彷徨うことになる。
そのチェチリアは隣人の年寄りの画家のモデルだったが、彼はチェチリアを愛するあまり死んでしまったと言う曰くつき。
一番面白い点は、主人公のチェチリアという「モノ」に対する考え方。
ディーノにとってチェチリアは一人の女性ではなく現実に繋がる接点にしかなく、彼女を「退屈なもの」にしようという働きは、正に映画学でいうローラ・マルヴィの世界。
今これを読んでもそこまでの衝撃がないのはこの手の官能的世界は文章で、そしてスクリーンで何度も繰り返されているからだろう。
その拠点となるこの小説の舞台がla dolce vitaの街、ローマと言うのがなんとも嬉しい。
これがパリやミラノだったらちょっと違う情景になってしまう。
イタリア、特にローマは娼婦のような街(国)と言われているけど、その通り。
イタリア人がイタリア人である限り、イタリアから離れられないのは、娼婦と恋に落ちた男がその情熱に飲み込まれてしまうように、運命なのかも。
そしてそのストーリーをシンプルにNoia(倦怠)と名づけたのはさすが。
il conformistaとか他の作品もぜひ読んでみたいけど(映画は良かった)、きっと同じように、暗く静かな無意識の世界で性行為が繰り返されるだけなんだろうなぁ。
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倦怠 (河出文庫 モ 1-1)