
ワイルド・スワン
ユン・チアン, 1991年
Wild Swans: Three Daughters of China
Jung Chang
張 戎
講談社
2008年 読了
アマゾンであらすじと詳細を見る
🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 女性三代の生活が毛沢東政治によってどう侵されたかが淡々と描かれている自伝
✔ 目に浮かぶような過酷さや拷問の描写を含む、上中下にわたる大作
✔ 自分の信念を貫き家族を守ろうとした著者の父親の姿に強く心を打たれる
★★★★☆ 毛沢東時代の普通の人々の生活、女性三代の生活、想像を絶する残酷さだった。印象に残ったのは著者の家族の愛情。家庭よりも党への忠誠心が優先されていた中で家族を愛するということ。自然と愛情と交換にイデオロギーと暴力に囲まれた若者たち。考えさせられる壮大な自伝。
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
一言で言うと、衝撃的。
毛沢東時代の普通の人々の生活をあまり知らずに読んだのもあり想像を絶する残酷さだった。
必要以上に誇張されていないのに、目に浮かぶような過酷さや拷問の描写に何度気分が悪くなったか。
将軍の妾になった祖母、日本統治下で戦争を体験した母、その後共産党員となる両親と、著者。
三代の女性たちもさることながら、著者の父親に心を強く打たれる。
党の正義ために人生を捧げたにも関わらず、後に暴力を受け侮辱を受け精神を侵されても、自分の信念を貫き家族を守ろうとした著者の父親。
社会の平等をモットーとした共産党に共感する人は今でもヨーロッパにも多くいるけれど、これを読んだらナイーブなことは言えなくなる。
個人を、人格を徹底的に排除することでしか治められなかったわけだけど、それが生活レベルでどういうことなのかは、そこに住んでいないとわからない。
その生活を一冊の本(日本語は三冊)を読むことで垣間見れるのが、この本。
15歳で将軍の妾になった祖母、日本統治下で戦争を体験した母、その後共産党員となる両親と、恵まれた子供時代を過ごす著者。
恵まれたのもつかの間、父親が文化大革命のターゲットになり残りの家族はバラバラになり肉体労働の生活、その後英語を学び、ロンドンへ渡り、この伝記を書く。
女性三代の生活が毛沢東政治によってどう侵されたかが、淡々と、でもきちんと隠さず描かれていて、その中でも特に印象に残ったのは著者の家族の愛情。
家庭よりも党への忠誠心が優先されていた世の中で、家族を愛することができるのはよっぽどのエネルギーが要るはず。
もちろん党のリーダーである両親のおかげで、比較的裕福な生活を送れたからでもある。
もし農家に生まれ、閉ざされた奥地に住んでいたらそんな悠長なことは言ってられない。
モノも保護もない地獄のような日々の中で、生き延びるための最後の命綱は個人レベルでの信頼や愛情、正義、そして知識。
この本にもあるように、文化革命の中心になった若者は雑草すら生えないコンクリートの中で育った世代。
そんな中でどうやって人として成長できるのか、愛情を育めるのか。
色々と考えさせられる、著者とその家族が生きた共産主義の中国のノンフィクション。
🔽 関連ページ 🔽
English review
🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽
●●● アマゾン ●●●

ワイルド・スワン 上 (講談社+アルファ文庫 G 280-3)
●●● 楽天 ●●●