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『日本人とは何か』 加藤周一, 1976年 レビュー | そして今を生きる日本人としての生き方


日本人とは何か
加藤周一, 1976年
214 ページ
講談社
2026年9月 読了
アマゾンであらすじと詳細を見る


🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

✔ 明治維新や世界大戦で大きく価値観が変化し続ける日本、日本人とは何かを問い詰める
✔ 近代化と西洋化、日本文化とは、日本の天皇制と教育とは、とあらゆる角度から
✔ 70年経った今でもじっくりと考えさせられる究極の一冊

★★★★★ 敗戦直後の1950年代の論文を集めた一冊。明治維新での日本の伝統にしがみつくか、西欧の進んだ文明に乗り移るかの選択。第二次世界大戦敗戦で一夜にして価値観をひっくり返された日本人。その根底にあるものやないものを鋭く問い詰める。今を生きる日本人としての生き方を考えさせられる。


🔽🔽 読書記録 🔽🔽

敗戦直後の1950年代の論文を集めた一冊。
それまでの価値観をぶっ壊された日本人が、日本人とは何かを自ら問い詰める。
難しい本だった。
文化、芸術、文学、宗教、知識人、戦争、そして西欧と比べての日本、などあらゆる角度から問い詰めていく。

まず「自分とは何か」を問うときに、例えばドイツとフランスに代表されるよう近隣の国(都市国家など)が何百年とお互いを見つめてきた上で、互いの目に写る自分を「これが自分だ」と言えるわけで、自分だけで「これが自分だ」と断言することはできない、という話から始まり、そして歴史上誰も日本という世界の端っこの島国を見ていなかった、ここをスタート地点としていくつかの論文が続く。

まず明治維新直後の日本人のことについて文化のテーマで問う。
国学を学んだ当時の人間は極端にワビサビ的な自然を愛す無常がテーマの偏った作品を選び、外からの影響を受けているものを意図的に外している、などの指摘が興味深かった。
つまりワビサビ的なものが日本では一般的であり、「らしい」というのは、こじつけの可能性もあるということか。
確かにこの当時に「このワビサビが中世の日本の典型的な作品ですよ」と言われ現在もそう教科書に載っていれば、その50年後、100年後に「でも同じ時期にこういう作品だって多く読まれていたみたいですよ」と言うのがあってももう遅い。
日本の伝統にしがみつくか、西欧の進んだ文明に乗り移るかの選択。
近代化イコール西欧化ではない選択肢はあったのか。

で日本人の性質というか感覚的なものは、そう簡単に西欧化しないのでバグることは当然の結果。
多くの西欧の芸術や文学、思想を学び身に纏ったとしても、そこに根っことなる伝統がないので、バグる。

そして第二次世界大戦、敗戦日の日本人は一夜にして価値観をひっくり返された。
そこで知識人層はが俺は知らなかったんだ、と訴えることは傲慢であるこという。
彼らはあえて騙される方に流れた。
明治から敗戦まで日本の教育は「縦の繋がりを重視する人間社会」で生きていくための教育を見事に成功させた。
上の者を信じる、というか上手に信じるフリをして、上の対象が変われば比較的簡単に乗り換える。
強い力に惹かれ支配されたいという欲、そして望ましくないものは無かったことにするのはもちろんどの国でもやる。
ただ、多くの国では日常を超越した宗教や思想がブレーキとなるが、「日本人らしい」我々はどうもブレーキはあまりきかないらしい。

その教育は戦争に向かうための世間作りに見事に成功した、となると、どうしても今の日本はどうかと比較してしまう。
70年前の言葉なのに古くない。
自分は加害者じゃなくて被害者だと思いたい欲望、何も考えずに強い力にただ支配されたい怠けた欲望を、どうしようか。
また繰り返さないために2、3世代前の戦争への反省は怠ってはいけないと思う。

戦争を体験していない世代。
私と同世代は多分ギリギリ祖父母から実体験を聞けたが、でも多くの当事者が悲しみや恥から多くを語りたくない気持ちも尊重しなくてはいけない。
だからむしろ、祖父母よりもっと遠いものとなった戦争、もう当時の人がほぼいなくなった今だからこそ、もっと深く掘り起こすことだってできるともいえる。
これだけの積み重ねを持って、いまを生きる私たちはどういう日本人であるべきで、どういう日本人でありたいのか、いま、日本人とは何か。

ここからまた読みたい本、知りたい分野が広がっていってしまった一冊。

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