
五体不満足 完全版
乙武洋匡, 2001年
296 ページ
講談社
2026年7月 読了
アマゾンであらすじと詳細を見る
🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 当時は日本で一番有名な障害者と呼ばれていた著者の自伝的ノンフィクション
✔ メインだけを読むと確かに感動的だがその後の彼の生活の章まで読んでやっと完全版
✔ 障害者はかわいそう、そう一括りにする向こう側には彼のような強い個性を持った一個人がいる
★★★★☆ 1998年に最初に出版された当時は、子供であった私ですら彼の存在を知っていた。当時のメインの個所だけを読むと確かに感動的だがその後の彼の生活の章まで読んでやっと完全版といえる。この本の凄さの根源は著者の強烈な個性からにじみ出る力強さだ。
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
日本で一番有名な障害者、と追加された章にある。
1998年に最初に出版された当時は、子供であった私ですら彼の存在を知っていた。
メインの『五体不満足』だけを読むと、確かに感動的で勇気をもらう。
それは著者が当時まだ大学生で無邪気な点もあっただろうし、自分は自分を障害者とネガティブな意識を持たずに生きてきた、とある。
重要なのは、彼は障害者を代表した発言はしていなくて個人の経験を語ったまでで、彼のその反省がユニークで感動的だ、そこで収まるべきだったけれど、やっぱりメディアは過剰に囃し立てるし、論点をずらしてくる。
まるで障害を持った人は個人ではなく一つの塊かのように、まるで彼がすべての障害を持つすべての人のリーダーかのように。
出版後に変わってしまった彼の生活の章まで読んで、タイトルのように完全版といえる。
ロンドンでは日常的にいろんな傷害を持った人を目にする。
都会だからというのもあるし、徹底して彼らの権利を守り、社会の中にある障害物を取り除くことにフォーカスしているという姿勢も実感できる。
例えば、バス。
優先エリアにベビーカーのお客さんがすでに乗車していて、そこに車イスの人が来ると車イスが優先なのでベビーカーの親子は、折り畳んで席に座るか下車させられる。
そこまで徹底するには障害者側の長い長い働きかけがあった。
障害者が声を上げ、彼らの主張に社会が耳を傾けた歴史があった。
そういう社会では、身体に障害があっても一人で比較的自由に外出できる。
だから街には障害者が安心して出てこれる、障害者がいることが日常になる。
学校でも発達障害などの子供が一緒に勉強するのでアシストということが日常になる。
(ただここに関しては当事者として本当にその子のためになるかというと場合によると思う)
それとは別に、外に出ることが難しい人もいるし、一緒に勉強することが難しい場合だってある。
障害者と一括りにはできない、人それぞれだ、ということをとにかく胸に刻んでおくしかない。
著者のメッセージもそう。
障害者=かわいそう、ではない。
障害者=天使のよう、聖人のよう、でもない。
なるほどと思ったのは、欧米では障害者は勇気をくれるものとされ、日本では障害者はかわいそうと思われるそう。
でも当然ながらどちらにもなりたくない人だっている。
結局はそんなに単純じゃないし、逆に困ってる人を助けることも躊躇する必要もないし、かといって身体障害者にとって動きづらい街であることは誰のためにもならない。
特に高齢化が進むこの世の中、障害者に厳しい社会は全ての市民にとって厳しい社会でしかない。
完全版を読むことで見えてくる、強い意志というかむしろ強烈な個性を持った著者の批判を恐れない正直な本。
🔽 関連ページ 🔽
English review
“No One’s Perfect” Hirotada Ototake (2001) Review | author who was born without legs or arms
🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽
●●● アマゾン ●●●

五体不満足 完全版 (講談社文庫 お 86-1)