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『回想のブライズヘッド』 イーヴリン ウォー, 1945年 レビュー | 上流階級の栄光の影にあるドロドロの真実


回想のブライズヘッド
イーヴリン ウォー, 1945年
Brideshead Revisited: The Sacred & Profane Memories of Captain Charles Ryder
Evelyn Waugh
2009年 読了
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🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

✔ 中流階級の青年チャールズと上流階級のミステリアスなセバスチャンと彼の家族の出会い、そして崩壊
✔ 家族の価値観を背景に、幸せ、魅力、宗教というテーマによる退廃的な青春の苦悩を描く
✔ 古き英国の栄光の影にある隠してもあふれ出てくるドロドロの真実

★★★★☆ 中流階級の青年チャールズは大学で出会ったテディベアを持ち歩くチャーミングでミステリアスな青年セバスチャンに惹かれる。英国の上流社会の栄光の影にある隠してもあふれ出てくるドロドロの真実。「魅力」は憑りつかれたものを手当たり次第に殺していく。


🔽🔽 読書記録 🔽🔽

貰った本なので著者もストーリーも知らないままに読んだけど面白かった!

英国の上流社会の栄光の影にある隠してもあふれ出てくるドロドロの真実。
家系がいい故に一人の人間として独立するチャンスも能力もなく、ただ流されていく。
それがイギリスでは珍しいカトリック教に対する盲目的な宗教観にも出てきている。

1920年代、中流階級の青年チャールズは大学で出会ったテディベアを持ち歩くチャーミングでミステリアスな青年セバスチャンに惹かれる。
ブライズヘッドにある彼の屋敷で家族を紹介されたのを機にチャールズはセバスチャンの家族に引き込まれていき、それとは逆にセバスチャンは「僕よりあの厳格なママを選んだ」と心を痛め、酒におぼれ、大学をやめ、中東に逃げ出してしまう。
そして戦争と時代の変化と共にやってきたBridesheadの崩壊。

独り立ちしようとしている若者に家族が価値観を押し付けた結果というか。
ここでは父親もイタリアに逃げたので若者だけじゃないけど、裕福である不幸というか。
私もすでに十代のときに働かなくてもいい裕福な人を見てきて、「お金持ちになりたい」なんて簡単に思えなくなった。
働かなくてもいいのは確かにうらやましく見えるけど、よっぽどチャリティーや研究なんかに没頭する以外、なんだかんだと70,80年間どうやって毎日生きていく意味と必要を見出すのか。
この小説でも、この家族で誰が幸せかと言い合う場面もある。

セバスチャンと彼の家族に必要以上に入り込まないチャールズの淡々としたイギリス人さがなんとも冷たい。
下はそのチャールズを外から見つめる共通の友人アントニーの、ストーリー全部を言い表してるような一言。

“Charm is the great English blight. It does not exist outside these damp islands. It spots and kills anything it touches. It kills love, it kills art; I greatly fear, my dear Charles, it has killed you.”
(赤パン訳。このつまんない「魅力」こそが英国をダメにしている。このジメジメした島国以外では通用しないんだ。「魅力」は憑りつかれたものを手当たり次第に殺していく。愛を殺し、芸術も殺す。あぁチャールズ、「魅力」は君をも殺してしまったようだ。)

この著者Evelyn Waughのほかの本も読んでみなきゃ。

🔽 関連ページ 🔽
English review
"Brideshead Revisited"  Evelyn Waugh (1945) Review | Sad truth behind the old English aristocracy


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