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『黒魔術の手帖』 澁澤龍彦, 1961年 レビュー | 黒魔術を崇拝する人間の共通した弱さ

黒魔術の手帖 (文春文庫)
黒魔術の手帖
澁澤龍彦, 1961年
237 ページ
文藝春秋
2009年 読了
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🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽

✔ タロットや星占いから始まって、幼児大量殺戮まで進んでいく黒魔術の歴史を集めたもの
✔ 黒魔術を崇拝し心から信じてしまう人間の共通した弱さを痛感してしまう
✔ 気分の悪くなる描写もあるので好奇心だけでなく心の準備が必要なエッセイ集

★★★★☆ タロットや星占いから始まって幼児大量殺戮まで進んでいく歴史をたどっている感じ。人間の残酷さや、心から信じてしまう弱さを思い知らされる。中世のヨーロッパや日本の事例もあるし同性愛や女性に関しても触れるので幅広い内容。心の準備が必要。


🔽🔽 読書記録 🔽🔽

タイトルも怪しいけど、内容も十分に怪しい。
著者もあとがきで書いてあるように、現在はオカルトが手を伸ばせば届く場所にあり、そんなに驚くことでもないけれど、60年代発表当時はものすごくショッキングだったはず。
あとがきは1983年に書かれているので、さらにここ20年でゲームやアニメのおかげでもっとポピュラーなものになったと思う。
(追記、2009年に読んで現在2026年、この17年ではどう変わっただろう)

タロットや星占いから始まって、幼児大量殺戮まで進んでいくエッセイ集。
でも黒魔術の方法ってわけではなく、あくまで歴史をたどっている感じ。
三島由紀夫に言わせると、「殺し屋的ダンディズムの本」だそう。
悪魔礼拝を心から信じてしまう人間が少なからず皆抱えている弱さを、ぐっさりと心に刻まれた。

ま、私は悪魔なんか見たくもない弱虫だから、興味があるけど間違ってもサークルを描いたりなんかしない。

事実として記録が残されていることは恐ろしいけど、たまに彼がコメントすることで異様なバランスが取れている。
黒魔術。気分悪くなるような描写もあるし(最後のジル・ド・レエの幼児殺戮の描写が一番つらかった)、悪魔を信じて精神分析で言われるヒステリックな状態になる人間の弱さも思い知らされる。
中世ってコワイ…
中世といえばテンプル騎士団なんかちょっと興味があるので、そういうキリスト教による市民、農民の圧迫みたいなのは興味深く読めたし、日本の中世も将軍がかなりアブナイ趣味に走ってたことにも触れてある。
日本の同性愛については卒論でもかなり読んだけど、軍隊にいる人やお坊さんなんかに多い。
「女性がいなかったから性的欲求不満を男性で済ませていた」というのは、あまり説得力がないかも。
女性と肉体的にかかわるのは低俗だと考える人、文化があった、のほうがもっと納得いく。
男色文化ですね、男色って今で言う同性愛とは違うと思うし、何より今は個人の自由がある程度尊重されるから(特に都会では)、「男色とサディズム、そして悪魔礼拝はつながっている」というのも、当てはまらない。
精神的に不安定ってことなんでしょうが、自由な同性愛者が精神的に不安定とは言いがたい。

女性に関して言えば、毎日毎日家事をして子供を産んで育児して、教育なんて知らずに生きていくしかない、でも意思を持った一人の人間としてそれはやっぱり不自然で、耐えられなくなり、エクスタシー状態で木の枝となんてことも、時代背景を考慮すれば、心理学を考慮すれば、わからなくもないこと。
人間ってそんなに強くないね、って言うことを思い知らされたのです。

これを読んで始めて知ったんですが、ヨーロッパで魔術といえば、最近行ったスペインのトレドだったとは!
死霊を呼び出す術が特に盛んだったとか。
確かに中世の怪しい雰囲気で一杯だったけど、知ってたらもっと調べてトレドに行ったのに…

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