I Who Have Never Known Men
Jacqueline Harpman, 1995年
(男を知らない私)
ジャクリーン ハープマン
208 pages
2026年5月 読了
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日本語未出版
🔽 本の紹介と一言レビュー 🔽
✔ 40人の女性が十分な食料を与えられながら地下牢に何年も閉じ込められている
✔ トランプ政権のおかげで世界中の人々がディストピア小説を再読始めた中で人気が急上昇
✔ 未来の希望もない中でなぜ生かされているのか、疑問で頭がいっぱいになってしまう生き返った傑作
★★★★★ トランプ政権のおかげで出版後30年で人気が急上昇したディストピア小説。40人の女性が十分な食料を与えられながら地下牢に何年も閉じ込められている。なぜ、何のために。不条理な環境の中でも静かに助け合いながら生きる女性たち。疑問だけが何日も頭の中をめぐる、現代人に急に愛され始めた傑作。
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
読んだすぐあとは言葉も浮かばないような放心状態になってしまう。
でも数分もたてば次から次へと疑問が浮かんできて何日も考えてしまう、そんな一冊。
1995年に原語のフランス語で出版され、1997年には英訳されるも当時は全く売れなかったそう。
でも英語版を改訳することになり、2025年にSNSで話題になり爆発的に売れ始めた。
その理由は、トランプ政権。
第一次トランプ政権で少し古いディストピア小説の人気が急上昇し(アトウッドの『侍女の物語』がまさに)、その流れからこの本も改訳されたとあとがきにその経緯が載っていて、もう、なんというか。
トランプのおかげで世界中の人々がディストピア小説を再読始めた。
このベルギー人作家の小説も、トランプ政権に通じる不条理さを感じる。
何が起こっているのかわけがわからない。
この40人の女性は十分な食料を与えられながら地下牢に何年も閉じ込められている。
なぜ生かされているのか。
私たちの住んでいるこの世界はどうなったのか、あの爆発は何だったのか、なぜ彼女たちで、あの看守の男たちは。
なぜ、どこ、何のために。
ナレーターはThe Childという名のない多分10代の女の子。
彼女は物心ついた時にはもう39人の女性たちと地下牢で生活していた。
何もわからないまま、何も気に留めずに成長したThe Childはある日自分の身に変化が起こったことに気づく。
そう、彼女は自分で考えること始めた。
ただ死を待つこの生活の中で(生活というほどのものでもない)、彼女たちはそれなりの共同体として生きる。
どんな状況であっても、口喧嘩はするにしてもお互いを傷つけるようなことはしない。
助け合い、それぞれの役割を担い、年寄りを助け、終わりが来たらそれもアシストする。
この世界では、というかどの世界でも、ただ一つだけ確かなことがある。
それはいつか必ず自分の死が訪れるということ。
そんな中でThe Childはある意味、わずかな希望を象徴しているとも思う。
いや、輝かしい希望や未来という意味ではなく、彼女には考えて学ぶ意欲はあるということとしての希望。
「男や恋愛について知ってどうするの。あなたは一生経験できないことよ」
それでも知りたい。
どうしても今のこの社会と比べてしまう。
未来の希望もない中でなぜ生きているのか、必要最低限のものを与えられ生かされているのか。
無意味で絶望的、確かに今はそう感じることも多いけれど、私たちの社会はまだ変わる可能性はある。
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