タグ: 宗教

  • 『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 感想 | インドの聖典の解説本

    『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 感想 | インドの聖典の解説本

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの友人がこれならわかりやすいよ、と勧めてくれたインドの聖典の一つバガヴァッドギーターの解説本。
    確かに分かりやすいという意味は分かる、だた、ギーター自体を知らない外国人にはまずそこの前提が違っていたんですよ。
    だから本体を知らずに解説書だけを読んだ私が悪い。

    ただ、これだけでもどういう教えをギーターは伝えようとしているのかは分かる。
    ご存じの方も多いと思うけれど、社会の一員としての義務を説くのがこの聖典。
    王子アルジュナは神クリシュナにすべてを任せてただ戦うべき、なぜならそれが王子の義務だから。

    なるほどと思ったのは、人間と神の関係性。
    神は人間を愛し尊敬もする、人間が神を愛し尊敬すれば。

    ギーターそのものをちゃんと読まなければ。
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    English review
    “My Gita” Devdutt Pattanaik, (2015) Review | Understanding The Gita
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  • 『歎異抄をひらく』 高森顕徹, 2018年 感想 | 他力の本来の意味 

    『歎異抄をひらく』 高森顕徹, 2018年 感想 | 他力の本来の意味 

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    歎異抄の原文と解説をのせたもので、ネットを見てても解説書のなかでも一番おすすめとあった。
    この直前に読んだ「超越と実存」に浄土系の仏教の背景や法然と親鸞の教えの違いも書かれていたので比較的スムーズに入れた。
    というわけで私が勘違いしていた点は入門書ではない、予備知識がないと難しく感じるかも。

    他力の本来の意味、つまり「阿弥陀さまによって自分は信じされてもらっている」とでもいうか、もうそこには自分の意思はゼロという感覚が、一般的に言われている説明と違っていてここでやっと納得。
    阿弥陀さまの本願を信じる、ではない、そこにはまだ自分がある、それでは自力になる。
    「超越と実存」の方であった言い方で、親鸞は法然の教えに賭けてみた、とあり、ここでその意味が分かってきた。

    「私は信じる、私は信じない」越えた、計算のない100%完全な信頼。
    このロジックで悪人正機のことも、やっと分かった。
    自分はちゃんと信じているんだろうかと不安になる心が大きいほど救いの感動も大きいというロジックにもなるほどと思える。

    信じるものは救われる、と良くいうけど、信じるという概念のなかに「自分」をいれない。
    その「信じる」は、簡単に見えるけど変な知恵がついてしまうととてつもなく難しい。

    あと、この本のいいところはふりがなが多く難しい単語は説明がついている、そしてなにより文字が大きい。
    小さな文字が読みづらい年配の読者を考慮してあり、さすが。
    こういう大きめフォントの本は多いのかな、初めて読んだけど本離れ対策では大事ですね。
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    超越と実存
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  • 『超越と実存』 南直哉, 2018年 感想 | 仏教は宗教か哲学か

    『超越と実存』 南直哉, 2018年 感想 | 仏教は宗教か哲学か

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱり圧倒的な本だった。

    仏教のもろに内部の人であるお坊さんが、ブッダを始めとした内部の偉人がどう仏教に正面から向かい合ったか、2500年間どう考えられどう言語化してきたか、そして思想としての仏教はどう変わったかという問題に全身全霊で衝突していく。

    読み終わることはできたけど私はまだそれぞれの思想は理解していない。
    ブッダ、初期仏教の偉人たち、中国仏教の思想、そしてアニミズムの地日本にやってくるという壮大な流れのなかで、掘り下げられる「私とは」「生きるとは」「悟るとは」などの問い、そして思想として発展するなかで「本覚」「唯識」「縁起」「本願」などの本来は言語化できないキーワード、そういうミッションインポッシブルを根気よくとことん掘り下げる。

    著者自身もあとがきで言うように、彼はやっぱり哲学者。
    冒頭から自分は仏教の言説を完全には信じてないと言い放つし、全ての章を通して無防備に信じないという態度が徹底している。
    曹洞宗の住職でありながら少し離れたところで正直に真面目に懸命に語られているので、こちらも誠意を込めて読む。

    ただ、とてつもなく難しい。私にとっては。
    何度もページを行き来し、眉間にシワを寄せながら、まるでマラソンを走らせられてるかのように、脳みその息が上がってる。
    でも分からない。
    例えば唯識思想とかアーラヤ識は今後本を何冊読んでも理解できるのか分からないし、本覚は分かった気にはなったけど本覚の感覚をこの自分が持ってみたらという想像もできない。

    でも、なぜいま日本にこれほどの宗派がありそれぞれ根本的な考えが違うという事態の深さはちょこっと分かった、と思う。
    今回は先に「日本仏教史」を読んでいたことが大きい。
    あれで概要を予習できていたのでどっぷり哲学的でも生き延びれた。

    しかし難しい本を読むと、難しいことの価値が身に染みる。
    いまの時代どうしても分かりやすいことの価値が喜ばれるけれど、例えばここで次から次へと出てくる形而上学的な考えは分かりやすくはできないし、そのレベルまで自分を高めるという挑戦でもある。

    もし環境が違っていれば私も阿弥陀さまにお念仏を唱える事を生活の一部にすることはありえたのか。
    自我をとことん削って坐禅をすることもありえたのか、ありえるのか。
    分からないけど、信じることができれば、その先にはきっといまの自分には見えない世界が見えるとは思う。

    最後に書いてあった通り、老師のお寺の近所に住むおばあちゃんたちにこの哲学的な本は関係ない。
    おばあちゃんたちの目の前には、月参りをしてくれるただ生身の方丈さん、お坊さんがいる、それだけ。
    そういう感覚を大事にされているのが他の本やインタビューでもよく分かるので、南老師の本は今後も読み漁ります。
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    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

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    超越と実存 「無常」をめぐる仏教史
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  • 『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

    🔽 基本情報 🔽
    日本仏教史
    思想史としてのアプローチ
    末木文美士, 1992
    412 ページ
    2026.02 読了
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    日本にやってきた仏教が、どう「日本の仏教」になったのか。
    とにかく脳みそ刺激されまくり。
    裏表紙にもある通り、知的興奮に満ちた旅、そう、知的アドベンチャー。

    偶然手に取った本が自分の想像以上に興味のど真ん中に命中することがある。
    私は仏教に興味があるし、その考えで気分がふっと軽くなることがあるので本を読んだりするけど、祈ることもないし、どこまで信じるているかといわれたら答えに困る、だってたぶんそんなに信じてない、でも実家は仏教。

    そんな典型的日本人である私が興味を持つ理由は正にこれ、ここにじっくりと紹介されている。

    インドから、中国という強力でレベルの高いフィルターを通して日本にやってきた仏教が、オリジナル仏教とは違う形で受け入れられ生き残っている。
    なぜ。

    仏教はその時代その時代に形を変え、その都度「日本の仏教」として存在してきた。

    貴族のために祈祷を中心とした仏教、先祖を大事にしてきた古代の日本人に合う葬式仏教、ルール重視の武士に好まれた仏教、来世の概念の薄い日本人に即座にいま浄土確定のコスパのいい仏教、そして神道と仏教がどちらも文化として存在する日本。

    そういう観点から日本における仏教の江戸時代くらいまでの歴史を紹介するのがこの本。
    仏教史に詳しくない私は次々と出てくる名前や文献に唸ってしまったけれど、知らなくても大丈夫、この本が重視するのは思想史であり仏教史の暗記じゃない。

    終章で遠藤周作の『沈黙』が出てくるけど、日本という土地の特徴は結局はこれ。
    (読んで最後に納得してもらうためここでは「これ」としか書きませんよ)
    高度経済成長期の日本が既存のものを改善して発展した理由にも通じるし、仏教と神道とキリスト教をも平然と受け入れてイベント化する理由にも通じる。
    漢文システムのお陰で後々好きなように解釈できたというのも、これに拍車をかける。
    日本以外の国の人にはわかりづらいし国内外で批判だってされる。
    でも私はこれは考えようによっては日本の強みだと思う。
    仏陀の教えを「日本の仏教」に変えた強み。


    その後の明治以降の日本の仏教の流れも気になる。
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    tag ; 仏教
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    日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)
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  • 『アイヌ神謡集』 知里幸恵, 1923 感想 | アイヌの鮮やかな世界観 >>

    『アイヌ神謡集』 知里幸恵, 1923 感想 | アイヌの鮮やかな世界観 >>

    🔽 基本情報 🔽
    アイヌ神謡集
    知里幸恵 編訳 1923
    224 ページ
    2020.02 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    アイヌの神話、カムイユカラは文字ではなく歌にのせて語り(歌い)継がれてきた。
    それをアルファベットで書き留め、日本語訳したもの。

    19歳で亡くなったひとりの少女が丁寧に残したものは、神や動物の神が自ら歌ったとする謡で、人間と神と自然が共存していたアイヌの世界観のその内容ももちろん興味深いけど、それをアルファベットで正確に残すという方法の歴史的な価値。
    日本語とは全く違う言葉で、ぜひ聞いてみたいと思う。
    でも残念ながら現代日本は、というか中世から日本はアイヌを蔑み彼らの文化をとことん抹消してきた。
    少数派の文化を殺していることに気づいていない。
    悲しいことです。

    最近やっとゴールデンカムイの映画をみたんですが、これでアイヌ文化が身近になるとそれも素敵なことですね。
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    tag 宗教/Religion
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  • 『深い河』 遠藤周作, 1996 感想 | 生と死を受け止める

    『深い河』 遠藤周作, 1996 感想 | 生と死を受け止める

    🔽 基本情報 🔽
    深い河
    遠藤周作, 1993
    400 ページ
    2020.02 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    宗教関係、宗教にまつわる積読をまとめて読む読書月間を勝手に開催した。

    当時70歳のカトリックの著者遠藤周作による、登場人物たちがインドへ向かう一冊。
    偶然一緒の仏跡訪問ツアーになった数人の日本人それぞれが後悔や喪失の中の淡い期待を胸にインド、ガンジス川へ。
    ベナレス(バラナシ、ヴァラナシ)は聖地でありガンジスに向かうことは死に向かうこと。
    彼らがそれぞれの過去を胸に、生と死が共存するベナレスで想うこととは。

    神という大きな力の信じ、ことごとく生活を否定されても、信念強く生きる青年の背負うものとは。
    色々なストーリーが、母なるガンジスに向かい、生と死を含むその母性が全ての人を隔たりなく抱き抱える。
    遠藤周作らしい、壮大であり静粛な一冊。

    70歳という年齢を迎え、きっと本人も死を意識しながら生きていく上で、彼の永遠のテーマである「日本人でありキリスト教信者であること」をもう一度振り返ってみたんだと思う。
    そしてその答えは、インドの深い河であった。


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    English review “Deep River” Shusaku Endo (1996) Review | Embracing life and death >>
    tag 宗教/Religion
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  • 『白い人・黄色い人』 遠藤周作, 1955 感想 | 人種と宗教の境界線

    『白い人・黄色い人』 遠藤周作, 1955 感想 | 人種と宗教の境界線

    🔽 基本情報 🔽
    白い人・黄色い人
    遠藤周作, 1955
    208 ページ
    2020.01 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    キリスト教と人間の悪。

    「白い人」
    自らの醜さを理解し、親の教育をすり抜け、劣等感を超えての空想の優越感を覚える。
    悪は普遍的であり、政治的であり、相手を潰す力を持つ。
    ついに運命の時がやってくる。
    級友を踏みにじることは全ての偽善者を踏みにじることであり、そしてこの娘を汚すのは全ての処女を汚すこと。
    これは絶対的な神を持つ文化で生きる白人の道徳の中に沸き出す悪だという事だろう。
    それを信じて耐える人間になるか信じずに悪に酔う人間になるか。


    「黄色い人」
    これは、ある意味もっと辛い。
    著者本人の一番のテーマである「日本人のくせにキリスト教信者」の矛盾がもたらす醜さ。
    戦争を生きる信者の青年は全てに疲れきっていた。
    私たち黄色い人間には、貴方達のような白い人間が恐れる神を本当は信じられない。
    私たち黄色い人間には、原罪はない、罪を背負って生きない、どうせ聖母マリアはこの国にいない。
    今日は疲れた、明日行こう。
    神を裏切った元神父はやっとこの国に住む黄色い人のその疲れた目に宿る真実に気づく。
    生も死も恐れない、罪もない、一つの神を信じない彼らの世界では罪人もそのまま救われる。
    自分たち白い手を持つ人間はこの黄色い人に近づくことができるのか。

    「黄色い人」は信じるか信じないかの二択から解き放たれた人たちのただただ疲れた瞳、諦め、そして罪のない身軽さを描く。


    🔽 関連ページ 🔽

    English review “White Man, Yellow Man” Shusaku Endo (1955) Review | Between the races >>
    tag 宗教/Religion

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  • 『もっとよくわかる世界の三大宗教』歴史の謎を探る会 編, 2006 感想 | さらっと読む超入門書

    『もっとよくわかる世界の三大宗教』歴史の謎を探る会 編, 2006 感想 | さらっと読む超入門書

    🔽 基本情報 🔽
    もっとよくわかる世界の三大宗教
    歴史の謎を探る会 編 2006
    163 ページ
    2020.01 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    キリスト教、仏教、イスラム教について浅く書いてあるので超入門本として。

    個別の宗教についてだと分かりにくい、それぞれの関係性などがあるのはいい、けど深くはないのでさらっと読むタイプ。
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    もっとよくわかる世界の三大宗教 かなり素朴な疑問・篇 (KAWADE夢文庫)


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  • 『A Sense of Direction』ギデオン ルイス=クラウス, 2012 感想 | 自分を見つける巡礼の旅>>

    『A Sense of Direction』ギデオン ルイス=クラウス, 2012 感想 | 自分を見つける巡礼の旅>>

    🔽 基本情報 🔽
    A Sense of Direction: Pilgrimage for the Restless and the Hopeful
    Gideon Lewis-Kraus, 2012
    ギデオン ルイス=クラウス
    352 ページ
    2025.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    最初は普通の旅行記にもとれる。
    30歳のライターでベルリンに自由気ままに文句をたれながら暮らしていたけれど、あるきっかけからキリスト教の巡礼の地カミーノ・デ・サンティアゴでスペインへ、そして四国のお遍路四国八十八ヶ所霊場、最後はユダヤ教の巡礼でウクライナのウマンへと次々と巡礼の地を回る。
    そしてこの旅の本当の目的は、自分の父親との関係を修復することだと気づく、といった感じ。

    世界中を回って結局自分の求めていたものはいつも出発地点にあったという典型的な旅ではあるけれど、やっぱりきつくて苦しい思いをすることでそこにたどり着くのです。
    ユダヤ教の指導者ラビであった父親が、ある日若い男の恋人を作って家を出た。
    その父親を許せるのか、許すのか、自分は父親を愛しているのか、父親は自分を愛してくれていたのか。

    そういう彼自身の葛藤を別にしても巡礼を回る旅行記としても面白い。
    宗教心もスピリチュアルな思いも全くなし、でも現代人はそういう人が多い。
    それでも巡礼をする意味はやっぱりある。
    サンティアゴは友人と(友人や恋人と巡礼する人たちは多くが分かれるらしいけど彼はなんとか友情を保ちつつ)、四国は一人きりで、そしてウクライナは弟と父親と。

    ユダヤ人らしいユーモアもちらほら見えて読み物として面白い。
    ただ足の裏がぼろぼろになり寒くて辛くて心も折れるこの旅行記を読んで自分も巡礼に行こう、とは思わないかも。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “A Sense of Direction” Gideon Lewis-Kraus, (2012) Review | Pilgrimages to yourself
    タグ: 宗教

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  • 『火神被殺』松本清張, 1973 感想 | 神話の深さ>>

    『火神被殺』松本清張, 1973 感想 | 神話の深さ>>

    🔽 基本情報 🔽
    火神被殺
    松本清張, 1973
    298 ページ
    2025.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    5つの作品を含む短編集。
    表題作「火神被殺」ともう一作品を「神の里事件」は古代史というか神話がベース。
    神話のドロドロさを語っていて、それと物語と何が関係あるんだろう、と思わせておいて、という流れ。
    神の里は新興宗教についてでもある。

    ほかの作品は、松本清張得意の悪い奴らを中心とした短編集。
    どれも男と女のドロドロドラマ。

    短編集だし、とてつもなく面白いといわないにしても、短い故のテンポの良さもあり、全て読み終わると後味の悪い感じでやっぱり読みごたえがある。
    (かしんひさつ)
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  • 『9つの人生』ウィリアム・ダルリンプル, 2013 感想 | もう人間ではない聖なるもの / >>

    『9つの人生』ウィリアム・ダルリンプル, 2013 感想 | もう人間ではない聖なるもの / >>

    🔽 基本情報 🔽
    Nine Lives: In Search of the Sacred in Modern India
    William Dalrymple, 2013
    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
    ウィリアム・ダルリンプル
    305 ページ
    2025.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今まで読んだダルリンプル氏の他の本とはちょっと違った感じ。
    形としては旅行記なんだけど、旅先の土地の様子ではなく、その土地が「創り上げた」人々の話。

    9つの聖なる人生、9人の人間のストーリー。
    彼らは人間ではあるけれど、「聖なるもの」として崇められすでに人間ではない生活を送っている。
    例えば自己を捨て聖人としてただ流れに任せて生きている人や、女神に仕える女性として生きているけれどでもやっていることは売春婦でしかないひと、または宗教的な踊りや歌を受け継ぐ人、本当にそれぞれの宿命を背負って生きている。

    私がダルリンプルの書く文章が大好きな理由はもちろん、彼のすべてをありのままに受け止め、深い情熱と愛を持って世界に届けようとする徹底したその姿勢。
    いまインドの社会は大きく変化している。
    それは日本のように人々が宗教から離れていくという減少ではなく、その土地その町の超ローカルな信仰が薄れていき、代わりに、意図的に、インド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできているということ。
    何百年も語り継がれてきた地元の信仰とは違う、インド全土で統一されたラーマの物語が全国放送のテレビを通じて短期間で人々の脳内の記憶を塗り直すナショナリステックなラーマフィケーション(Rama-fication、ラマ化)が進む中、あと何十年、あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    その最後をきちんと書き残してくれる歴史家がいるって素晴らしい、の一言に尽きる。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Nine Lives” William Dalrymple (2013) Review | Being holy in India today
    tag インド
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    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて (集英社新書)

    
    
  • 『禅僧が教える心がラクになる生き方』 南直哉, 2017 感想 | ただ自分を受け入れる

    『禅僧が教える心がラクになる生き方』 南直哉, 2017 感想 | ただ自分を受け入れる

    🔽 基本情報 🔽
    禅僧が教える心がラクになる生き方
    南直哉, 2017
    284 ページ
    2025.10 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    必要以上に苦しまずに生きるための知恵。

    最終的には仏教の教えは生きる知恵であると思う。
    無駄に悩まない、無駄に信じない、ただ自分を受け入れる。

    心をラクにするには、自意識をなくす、どうせ自分はたまたま生まれて間違いなく死ぬんだから、と受け入れる。
    辛いことは乗り越えようとしなくていい。
    難しいけれど、ずっとそう思っているとちょっとづつ受け入れられるようになる。
    つまり、考えずに感覚の中に落とし込んでしまう。
    例えばこの本を定期的に読むと徐々に受け入れられるようになる、ラクになる、ということだと思う。

    テンプルモーニングのポッドキャストでゲストとしてお話しされていたときに、その強烈なお人柄にビックリして今回日本でいくつか本を入手。
    おまけとして坐禅指導が付いてます。すごいおまけ。
    子供がいないときにみてみよう。


    いくつか心に残った箇所を書き出し


    「もし、どんなことも自分で決められると思っているのだとしたら、その認識は根本的に甘いと言えます。自分という存在は、一定の条件の中でしか成立していません。条件が変われば状況が変わり、その決断は通用しなくなります。」

    「後悔を抱えたまま生きればいいと私は思うのです。するとそのうち、その後悔の中に、意味を発見するときが来ます。」

    「悲しみから立ち直れないのであれば、無理して立ち直ることなどありません」

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “It’s Okay Not to Look for the Meaning of Life” Jikisai Minami (2017) Review | Live YOUR life
    タグ: 仏教
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  • 『老師と少年』 南直哉, 2006年 感想 | 自分とは何か

    『老師と少年』 南直哉, 2006年 感想 | 自分とは何か

    🔽 基本情報 🔽
    老師と少年
    南直哉, 2006
    Jikisai Minami
    120 ページ
    2025.10 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    永平寺で20年修行した曹洞宗のお坊さん、というか、老師。
    テンプルモーニングのポッドキャストで知ったあと、そのお人柄にビックリしていくつか本を入手した中のひとつ。

    自分とは何か、生とは死とはなにか、と少年が老師に色々と聞く、というお話なんだけど、老師は答えをくれるわけではない。
    でもそれが答えなのである。

    こんなに短くて文章も易しいのに、読者の心の、頭の深いところに直接、優しく語りかけてくる。
    気付いていないだけで君は一人じゃない、というところもいい。
    これは何度も開く本になりそう。


    中でも好きだった箇所を二つ。

    「では、『本当の自分』をさがす人はただ愚かなだけですか?」
    「そうだ。しかし、愚かさでしか開けない道もある」

    「『本当の何か』は、見つかったとたんに『嘘』になる。」
    🔽 関連ページ 🔽
    タグ: 仏教
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  • 『老子道徳経』 老子 感想 | 中国思想の圧倒的なすごさ

    『老子道徳経』 老子 感想 | 中国思想の圧倒的なすごさ

    🔽 基本情報 🔽
    Tao Te Ching
    Laozi
    老子道徳経
    老子
    78 ページ
    2023.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    道教のメインの書物。
    老子が書いたとされるけれど、いや怪しいとか、老子自体が存在したかとか言う点も議論になるらしい。
    これは英訳と、それぞれの章のあとにコメンタリーがついているものだったけれど、もちろん出版社や時期によって全然変わってくると思う。
    なにも予習せずにいきなりメインの書を読んでも分かりづらいというのが正直な感想で私のせい。

    興味深いのはもちろんだけど、なるほど仏教が日本にたどり着いたときはもうインドの仏教とはぜんぜん違うものだったのもよくわかる。
    中国の思想はとても強いので、このフィルターを通したことでそうなったんですね。

    ちゃんと勉強して何度も読み返すべき本。
    そしてできれば詳しい解説付きで…

    (年代カテゴリーに紀元前はないので、1-1699年のカテゴリーに)
    (日本語でも色々出てますが、2つランダムにピックアップ)
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Tao Te Ching” Laozi Review | Absolute greatness of Chinese Thought
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  • 『池上彰と考える、仏教ってなんですか?』 池上彰, 2012年 感想 | ダライラマとの会談も >>

    『池上彰と考える、仏教ってなんですか?』 池上彰, 2012年 感想 | ダライラマとの会談も >>

    🔽 基本情報 🔽
    池上彰と考える、仏教ってなんですか?
    池上彰, 2012
    Akira Ikegami
    167 ページ
    2023.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱり池上彰さん、非常に分かりやすい。
    仏教とは一体なんなのか、そして日本人にとってなんなのか。
    そこから始まる。

    軽く全体的な解説があり、ダラムサラでのダライラマとの会談がほぼメイン。
    会談の箇所は当然興味深いけれど、これからの日本人はどうするかと言う点が重要。

    つい最近までそれは気恥ずかしいことで日本では避けられていたけれど、人にやさしくすること、思いやりを持つことを堂々とできるいまに生きる私達、今の社会では誰だって他人を想うという根本的なことができる。
    だから仏教徒でなくとも仏教が目指そうとする形で生きていける。

    そして、ダライ・ラマ曰く日本社会で仏教が遠ざかっているのは、日本の仏教自体が劣っているのではなく、人々が勉強不足だから。
    仏教とは勉強を続ける事でもあるんだから、と。

    難しい内容ではないのに、勉強になります。
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  • 『知っておきたい日本の仏教』ムック編集部, 2014年 感想  | 手引きとして >>

    『知っておきたい日本の仏教』ムック編集部, 2014年 感想 | 手引きとして >>

    🔽 基本情報 🔽
    知っておきたい日本の仏教
    エイ出版社の実用ムック
    ムック編集部, 2014
    122 ページ
    2023.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    日本の仏教の宗派の違いなどが簡潔に分かりやすく書いてある。
    それぞれの本山の住所なども。

    日本における仏教について手短にかいてあり、あくまで概要や宗派の大まかな違い、規模などをざっとみるもので、仏教について深く知るための本ではないので注意。

    後々も手引きとして使える。
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    知っておきたい日本の仏教 エイ出版社の実用ムック


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  • 『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 感想 | 最高傑作

    『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー, 1880年 感想 | 最高傑作

    🔽 基本情報 🔽
    The Karamazov Brothers
    Fyodor Dostoevsky, 1880
    ратья Карамазовы
    Фёдор Достоевский
    カラマーゾフの兄弟
    フョードル・ドストエフスキー
    896 ページ
    2023.11 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    世界最高峰の小説、最高傑作。
    たしかに長編だし、最初の方は宗教的でゆっくり始まる、でも段々といろいろな事柄が絡み合い、謎を生み出し、謎が解かれていき、と次に今度は何が起こるかをドキドキしながらページをめくってしまう自分がいる。
    だからドストエフスキーは素晴らしい語り手、ストーリーテラーなんですね。

    世界中の人が読み、再読し、研究されているので私がわざわざ意見を書くまでもないんですが、単刀直入にいうと、物凄いものに出会ってしまった、ということ。
    読み直して、他に読んだ人とも感想を交換して、その上で浮かび上がる自分の意見を書き出して、となんだかこれからの一生についてきそうな本。
    続編があるはずだったから未完だということもあるだろうけど、未完なのに完全。

    ミステリーであり、恋愛小説であり、宗教についても、家族についても、貧困についても、一つ一つのテーマは誰もが分かるシンプルなものでありながら、とにかく広く深い、そんな壮大な小説。
    というか正にそこで、今後色んな本を読んでここまで衝撃を受けるものはあるか不安にすらなる。

    素晴らしい、傑作、ここまで来ると人類の宝でもあり、本という媒体でなければ博物館に飾られるレベル。
    全体的にずっと暗いし重たいのに、実は未来に向かっているという点も素晴らしいとしか言いようがない。

    読むだけでも一つの到達点でもあるんですよ、長いしややこしいし。
    でも読んでみる、その行動だけにもすでに価値がある。
    その上で読み直してもっと分かればより良い読書体験になると思う。ので少し時間を置いて再読必須。


    ちなみに相関図はあったほうがいい。
    ロシア文学はころころと呼び名を変える上に登場人物が多い。
    で、日本語で読んでないけれど、出版社によってページ数がぜんぜん違うみたい。
    下にリンクを張っている光文社は全5巻で約2500ページ、新潮文庫は上下あわせて1400ページ。
    どれが良いとなると個人の好みもあるけれど、光文社が読みやすいそう。
    1000ページの差が気になるけれど、しっかりと理解しながら読めたほうが良いと思うので、いつか光文社の日本語版も読むことにする。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Karamazov Brothers” Fyodor Dostoevsky (1880) Review | The greatest

    『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー, 1866年 感想 | プライドまみれの青春
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    カラマーゾフの兄弟1


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  • 『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 感想 | 噂話のレベル

    『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 感想 | 噂話のレベル

    🔽 基本情報 🔽
    The First Principle
    Talks on Zen
    Osho, 1981
    (第一原則 禅について)
    オショー・ラジニーシ
    288 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    このすぐ前に読んだOshoのThe Book of Manよりもっと苦痛だった。
    スピーチなどを集めたもので、読むというより聞くためのものだっただろうけれど、どっちみち私の好みではない。

    「私が聞いた話では」ばかりが集められていて、面白いというか噂話のレベルでしかないというか、人の注意を引くためにこなれたジョークをとばす、というのが全体的な印象。

    昔からある、古代から守られてきた宗教や習慣がお気に召さないようで、というか憎いようで極度に批判する。
    つまりカルトでありヒッピーカルチャーである。

    もう2冊も彼の本を読んだので、もう他は読まないでもいいですか…

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The First Principle, Talks on Zen” Osho (1981) Review | Sounds like just gossips

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    The First Principle: Talks On Zen


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  • 『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 感想 | 国際的カルト

    『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 感想 | 国際的カルト

    🔽 基本情報 🔽
    The Book of Man
    Osho, 2002
    オショー・ラジニーシ
    226 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    話にはよく聞くOshoの本を初めて読んだ。
    実際には彼の発言集という形の本。

    よく分かった。なぜ彼がこんなにも、70年代から今現在においても人気であることが。
    誰だって不満を抱えて生きているんだから、中にはカルトにハマる人は絶対にいる。
    宗教的であることは今日でも長い人の歴史においても別に変わったことではない。
    ただ彼の教えでは、盲目的に宗教的であれ、強い力つまり自分に導かれなさい、属しなさい、と。

    70年代。彼は完璧なタイミングで出てきたわけです。
    アメリカなどの欧米社会に、賢くて口がうまくてサイケデリックなインド人グルがエキゾチックなことを言い出したんだから、絶妙なタイミングとしか言いようがない。
    抑制することはよくない、自由に人生を楽しめと彼は説く。
    とりあえずとググってみると彼はもちろん膨大な資金を寄付で稼いでおり、高級車を乗り回し(テレビで93台のロールスロイス)、暴力を推進し、性的にも極端に自由であったのだから、それは人は憧れる。
    しかし忘れてはいけないのは違法薬物を製造し自分の基地の他にも世界中に流通させ、さらには日常的な暴力を奨励し、そして特記する必要があるのは未成年に対する慢性的な性的搾取があったこと。

    と、まあ本に戻ると、多くの人が納得いくことが書いてあります。もちろん意図的に。
    なので研究対象というか、そういう側面から見ると面白いといえるけど、それ以上ではない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Book of Man” Osho (2002) Review | International cult
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  • 『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 感想 | 悟りへの近道的な

    『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 感想 | 悟りへの近道的な

    🔽 基本情報 🔽
    The monk who sold his Ferrari
    Robin Sharma, 1996
    (フェラーリを売り払った僧侶)
    ロビン・シャーマ
    198 pages
    2025.03 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    仕事一筋でお金が重要な生活をしていた男性のもとに、人生とは何かを告げる変な男がやってきた。

    何が大事かを悟るために、本当の夢や運命を追いかけるためにどういうことをすればいいか、ということを非常に分かりやすく具体的に説いた本で(例えば、瞑想が難しいのなら部屋にある一つの置物の表面の一点に集中して、とか)、読んだあとその瞬間にすぐに行動に移せる本。

    ただ、面白いかといえば面白いわけではない。
    まあ自己啓発本だからストーリーが面白いことが目的ではないんだけど、それはいいとしても、「古代インドでは」とか「神秘的な共同体にいたとき」とか「アジアの伝説によると」とか、どうみても欧米の一般人が好きそうな表現が多い。
    まあそれもターゲット層がそうなんだから仕方がないんだと思うしかない。
    いずれにしろ、もし欧米の白人の層に属しているのなら自己啓発としては優れているのは間違いない。
    そうでない人にとってはズレていると思う。

    あ、もし欧米人に瞑想とは悟りとは何かとかを説明する必要があれば訳には立つ!

    🔽 関連ページ 🔽
    “The monk who sold his Ferrari” Robin Sharma (1996) Review | A quick way
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  • 『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    🔽 基本情報 🔽
    Accabadora
    Michela Murgia, 2009
    (アカバドーラ)
    ミケラ・ムルジア
    208 pages
    2024.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    小説「アカバドーラ」現代サルデーニャ文学の最高峰。
    アカバドーラとは、末期患者やその親族の苦しみに終止符を打つ女性のこと、そう、その町で暗黙の了解の中、患者に安楽死をもたらす役目を背負った女性。

    とてもサルデーニャ的でとても地中海文化的。
    土埃の立つ乾いた家の壁、バールに座っている男たち、一日中家事に追われる女たち。
    草原に緑はなく茶色に乾いた草がいつこの地を炎に包もうかと小さな火花を待つ。

    生を与える助産婦が女性なら、生を終わらせるのも女性。
    少女マリアを引き取ってくれた独り身の女性は時折真夜中に黒尽くめの服を着て静かに家を出る。そして翌朝何もなかったかのように帰って来る。

    善か悪か、天使か悪魔か死神か、それはもう問題ではない。
    いま行われるべきか否か。

    サルデーニャでは実際に存在していたと考えられている。
    窒息という方法か、もっと有名なのは槌を使用する方法。
    現在も安楽死の問題は解決しないし、間違いなく客観的に100%正しいという答えは出てこないかもしれない。

    伝統に縛られた厳格な小さな町で、その大きく揺れる心境を圧倒的な力強さと威厳を持って描く一冊。
    日本語もいつか出るといいですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Accabadora" Michela Murgia, (2009) Review | A woman who ends life
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    ★★★★★ Accabadora, a woman in Sardinia who ends the suffering of very ill and their families. Is she an angel or a devil? That’s not the point any more to them. A book with an unusual dignity.

  • 『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    🔽 基本情報 🔽
    Shattered Lands
    Five Partitions and the Making of Modern Asia
    Sam Dalrymple, 2025
    シャタード・ランド
    5つの分離独立と現代アジアの誕生 (日本語訳なし)
    サム・ダルリンプル
    528 pages
    2025.09 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代アジアを造り上げた分離独立、パーティション。
    その背景は日本人だけでなく、当事者のインド周辺の現地の人にも、英国人にも世界中でも知られていない。
    バングラデシュ、ミャンマー、カシミヤ、そういうニュースで見る地域の問題は、自然発生したものではなく、もちろん現地の人が単純に暴力的だからでもない。
    何事にも理由がある。

    日本での第二次世界大戦の終戦日のぴったり2年後、インド帝国が英国から独立。
    それは有名だけれど、そのインド帝国、つまり現在のイエメンからミャンマーまでの壮大なエリアがその前後にどう分けられていったかはあまり知られていない。
    というか、イエメンからミャンマーまで、その間に現在のカタール、アラブ首長国連邦、ブータン、など無数の藩王国があったのすら知られていない。
    5つの分離、つまりミャンマーの独立、アラビア半島の独立、インド・パキスタン分離独立、印パによる500ほどの藩王国の吸収、バングラデッシュの独立。

    「知られていない」と繰り返し書いているけれど本当にそうなのだから仕方がない。
    英国はインド帝国の利益によって支えられていたけれど、大英帝国の人口は当時の世界の人口の25%!
    戦争により経済が崩れ世界の4分の1の人口を支えきれなくなった英国はできるだけ早く撤退することをモットーに、アジアなんて行ったこともないロンドンの役人が駆り出されどんどん地図上に線を引いていき、しかもインド帝国に借りていたお金もほぼ無視で、しかも「せっかくなら日本を敗戦させた8月15日に独立させよう」と言い出し、十分な準備もなく独立。大英帝国といえば、どこにいっても嘘をつき続け、右に左に騙し続け、最後は自分の手は汚さずさっさと逃げ出す、いつも同じパターン。
    私もそこは知っていた。エリザベス女王の旦那フィリップ殿下の叔父、インド総監マウントバッテンの当時の適当さも知っていた。そこまでは有名。
    それ以外のすべてが「知られていない」、知らなかった。

    Shattered Lands、粉々になった土地、というタイトルの通り。
    戦時中にまずミャンマーが分離。(しかも当時ミャンマーの現ヤンゴンが世界で人の出入りが激しい港、つまりニューヨークなんか追い越した大都会だったと。なんと。)
    当時人口の16%いたインド系の人間はミャンマー人じゃない、と追い出される。
    この本は5つの独立分離について非常に詳しく描かれているけれど、5つとも現地の人々の反応、待遇、対応、残酷さはすべて似ている。
    民族や宗教の枠を超えてコスモポリタンな社会に生きていた人々。
    今まで近所付き合いのあった人びとが突然、民族が違うから、宗教が違うから、という理由で追い出し合い、憎み合い、殺し合う。
    その度に何百万という人間が新しく引かれた国境を超え、もちろん多くは難民となり、少なくない数の人が虐待、強姦、そして殺された。
    粉々になった土地、ばらばらに引き裂かれた人々。
    カシミア紛争を含むインド・パキスタン情勢、ロヒンギャ難民問題などその多くは解決していない。
    他のところで聞いたことだけど(彼のお父さんのポッドキャストで)、この時代を生きた人は、それこそ戦争に駆り出された日本のおじいちゃんたちもそうかも知れないけれど、多くを語りたがらない。
    彼らはその恐怖と過ちと恥を墓まで持っていくつもりで口は開かない。
    その子どももなんとなく聞きづらくて追求しない。
    でも今、孫の代になって初めて真相が明らかになっているという現象が起きているらしい。

    細かく言うと色々とあるんだけど、それはいつかきっとこの本が日本語に訳され日本でも多くの人の手にわたることを願い省くとして(ミャンマーには日本もかなり関わってきます)、全体として印象深かったのは、分離独立前は各々の地域によって生活習慣も違っていたのに、セキュラ―な社会、非宗教的な社会だったということ。
    完全に平和かといえばそうじゃなかったにしてもギリギリのバランスは保たれていた。
    それが突如、超宗教的で、国民主義的、ナショナリズムに走ったはっきりいって差別的で軍事的で暴力的な社会を次々と生み出してしまった。
    英国の下で植民地化された社会が良いとは言えないけれど、じゃあ紛争のないアジアを目指したとき、人々はセキュラ―であることを目指し宗教や伝統を蔑ろにしたほうがいいのか。
    共同体が与えてくれる安心感は過去の産物になるのか。
    伝統は狂暴なのか。

    この本には毎ページに驚きが隠されている。
    素晴らしい歴史本は大概まるで物語を読んでいるように感じるけれど、この本もそう。
    28歳の著者サム・ダルリンプル氏はヒューマニズムに溢れ人間的で、情熱を持った人物だと言うのが手に取るようにわかる。
    これだけ残酷な歴史を語る本の中にも、それでも宗教の違う友人が命をかけて助け合った話をきちんと残してくれるし、彼自身も独立分離によって故郷に帰れない人の代わりに国境を超えて代理で会いに行くという活動もしている。

    もちろん父親がウィリアム・ダルリンプルということはプラスに働いているけれど、彼は20代にして初出版にして、もう自分の足で立っている歴史家の一人。
    インドでもダルリンプル親子がベストセラーのチャートにずっと上ってたし、インド史周辺はなかなか面白いことになりそう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Shattered Lands" Sam Dalrymple(2025) Review | Making of new Asia
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  • 『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 感想 | 暴力で制した東インド会社

    『略奪の帝国』ウィリアム・ダルリンプル, 2019年 感想 | 暴力で制した東インド会社

    🔽 基本情報 🔽
    The Anarchy
    The relentless rise of East India Company
    William Dalrymple 2019
    略奪の帝国 東インド会社の興亡
    ウィリアム・ダルリンプル
    576 pages
    2024.08 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    最高な一冊。歴史本で私の中では最高峰。
    まさにずっと気になっていたトピック、どうやって小さな島国イングランドが巨大で裕福な亜大陸を植民地化することができたか。
    
    簡単に言えばつまりはムガール帝国がライオンで、東インド会社はハイエナというところ。
    裕福な帝国ムガール帝国が少し崩れてきたところに、無作法でアグレッシブで便乗主義者で嘘つきで自分勝手で成金趣味の数人の商人が行った、自分の利益のためだけの略奪。自国英国の政府にも王室にも逆らって。
    つまり、現地インドの帝国も自国の王室をも無視した無政府主義(Anarchy)の一企業による略奪の歴史。
    
    東インド会社は商人としてではなく、ひたすら暴力と嘘で財力を得て、結局はイギリスの経済はこのチンピラ集団が治めるインドなしでは維持できなくなり、英国王室も危機を感じ会社を国営化、そして英国は引き継ぐ形でインドを植民地化する、というのが歴史の流れ。
    
    事実は小説よりも奇なり、歴史はフィクションよりも面白いとはこのことで、しかもダルリンプル氏の手にかかればドキドキハラハラの壮大な物語のようにあっという間に読んでしまう。
    
    彼の情熱的でヒューマニズムに溢れた文章は、この本をただの歴史本ではなく力強い文化財に変えてしまったと言える。
    
    この本はインド国内の、今まで誰も見ていなかった資料を引っ張り出して整理することできちんと整理された実際に起きたことを細かく伝えてくれる。
    そして事実は厳しい。
    特に大英帝国は華やかで誇らしいものだと学校で教えられてきたイギリス人にとって、史実は目を向けたくなるもので、実際にダルリンプル氏はイギリスの右派からイギリスを貶すなと批判されまくり。
    
    特に気になった人物はウォーレン・ヘースティングズという、ベンガル知事、初代インド総監。
    通常東インド会社の社員はインド文化には興味がないなか、彼は唯一インドの言語、芸術、文学を愛した珍しい存在。
    ただ、いつの時代もそういう繊細でまともな人は貪欲な組織の中で叩かれる。
    
    で、ダルリンプル氏のファンになり、ポッドキャストも全部聞いてます。
    スコットランドの貴族の家系に生まれ、先祖がよく歴史上の出来事に出てくると苦笑し、裕福な子供時代を過ごすも中東の歴史や文化に惹かれ、現在はデリーでヤギと農場で暮らしている彼。
    最近は特に、イギリスの学校はイスラエル、パレスチナ、中東全般の間違った歴史を教えていると声を上げている。
    (ちなみに彼の息子のサム・ダルリンプル君の本を現在読んでるけど、息子もきっとお父さんと同じ道を進んでくれるだろう)
    
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Anarchy" William Dalrymple(2019) Review | A gang of thugs

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  • 『服従』 ミシェル・ウエルベック, 2015年 感想 | 大きな力に跪く

    『服従』 ミシェル・ウエルベック, 2015年 感想 | 大きな力に跪く

    🔽 基本情報 🔽
    服従
    ミシェル・ウエルベック
    Michel Houellebecq 2015
    Submission
    Soumission
    328 pages
    2024.08 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    実はあまり読まないフランス現代文学。
    フランスは着々とムスリム化していき、街からミニスカートは消え、政治家だけでなく大学教授などインテリもイスラム教へと改宗していくという近未来の予言的小説ということだけど、あり得なくはない。

    ヨーロッパは疲れている。
    キリスト教から離れ、個人主義のむなしさや、社会主義的な正義のなか何十年もたち、いま本当は宗教などの強い力に跪き、女性の平等な権利なんか無視して、自分中心の楽な方にいきたいと思っている。


    たとえ、それが何世紀の間敵視してきたイスラム教に服従するという方法であっても。
    そのギリギリの線にいるヨーロッパ。
    イスラム教に走るというのが難しいと思うかもしれないけど、確実にファシズム化はしている。どちらがいいのか。

    もちろん、それはイスラム教を、本来の複雑で深い歴史のあるものを、利益のために単純化しているに過ぎず、読んでいて気持ちが悪くなるということも追記しておきたい。
    この小説の中のイスラム教は単純化されたイデオロギーに変えられて挑発しているので、そこが非常に問題になったのには納得。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Submission" Michel Houellebecq (2015) Review | Bow to something big
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  • 『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    🔽 基本情報 🔽
    Black Narcissus
    Rumer Godden, 1939
    黒水仙
    ルーマー・ゴッデン
    258 pages
    2024.08 読了
    (日本未出版、日本では映画のみ)
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イギリス領ダージリン近辺の山の中、元ハーレムだった建物が孤独な修道院に改築され、そこへ移ってきた修道女たちのストーリー。
    それだけでもうヒステリックでダークな展開が想像できるけど、その通り、彼女たちの慎ましい生活は少しずつ狂っていく。

    地元の人はだれも望んでないのに、勝手にやってきて勝手にキリストの教えを説くというおこがましさは当時どこでも見た風景だけど、誰からも反対されるそんな空気の中で貞節の誓いを立て清く正しく生きるという決意はいいんだけど、長く続くはずはなかった。当然。

    地元の将軍の言う通り「神様であるカンチェンジュンガの山に近づきすぎると精神を崩しますよ」

    ダークで性的な緊張感や白人至上主義とキリスト教の博愛主義の葛藤、さらには大英帝国帝国の崩壊、モラルの崩壊、など確かにベストセラーになるにはダークすぎる。
    でも人間として、女としてのネガティブな部分がじんわりと滲み出ていて、どんどん落ちていく彼女たちのモラルに、読んでいてドキドキ、ハラハラ、そわそわする。
    インド独立の年のタイミングで映画化までされたようで、すごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Black Narcissus" Rumer Godden (1939) Review | Nuns slowly go mad
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  • 『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    🔽 基本情報 🔽
    Gitanjali
    Rabindranath Tagore, 1910
    ギタンジャリ
    ギーターンジャリ
    ラビンドラナート・タゴール
    48 pages
    2024.07 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    アジア初のノーベル賞受賞のインド人詩人タゴールの有名な「歌のささげもの」。

    詩集なので、訳されるとどうしても本来の美しさはなくなってしまうものだと思う。
    日本語訳のをちらっと見たけど、日本語のほうがしっくりする。
    読むときはできれば解説付きがいい。

    神々に捧げる歌なので、その宗教観を持っていないと実感できないところはあるけれど、翻訳を通じ出てもその美しさに惹かれる。
    神秘な世界というか、普段の生活とは違う空間に連れて行かれるような。
    今度は日本語で読んでみよう。

    ちなみに当時の日本のアーティストとも親交があり何度も訪日するも、日本の国家主義を批判、晩年は日本へは訪れていない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Gitanjali" Rabindranath Tagore (1910) Review | India's grand poet
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  • 『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ 2011年 感想 | 人間の強さと恐ろしさ

    『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ 2011年 感想 | 人間の強さと恐ろしさ

    🔽 基本情報 🔽
    Sapiens
    Yuval Noah Harari  2011
    サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福
    ユヴァル・ノア・ハラリ
    580 pages
    2024.08 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    出版以来ずっと騒がれている一冊。
    言われていたように、興味深く、挑発的で、こわい。
    私達はこの惑星上一番強い存在であり、もっと強くあろうと前進する。
    他の生物やこの環境を踏みにじってでも。そう、仲間であるはずの他の人間を踏みにじってでも。

    ちょっと止まって考えると、自分たちの世界を自分たちのよくのために壊すというのは狂気の沙汰でしかない。

    著者の言う通り、地球は大きなショッピングセンターで、私達は常に次々と消費し、もっともっと求めるわけだけど、私達は結局何が欲しいのか。どういう幸せがほしいのか。
    今後人間が進化するとして、その未来で私達は何を求めるのか。

    そしてもう一つこわいのは著者は人間の長い歴史の欲望に批判的ではないところ。淡々と歴史として否定の色を見せずに書き示すというのは肯定しているふうにも見える。
    なので興味深い本であっても好きではないので★4

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Sapiens" Yuval Noah Harari (2011) Review | We demand to be stronger
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    Sapiens: A Brief History of Humankind (English Edition)



  • 『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 感想 | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ

    『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー, 1897年 感想 | 恐怖が訪れ女が男と同じ位置に立つ

    🔽 基本情報 🔽
    Dracula
    Bram Stoker, 1897
    吸血鬼ドラキュラ
    ブラム・ストーカー
    352 pages
    2025.08 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ドラキュラを知らない人はいない。
    映画も小説も知らなくても、ドラキュラ伯爵は子どもでも知ってる。

    その原作は実は登場人物の手紙や日記を使ってストーリーを進めてるというのは知らなかった。だからリアリティがあって当時からずっと人気なんだろう。

    意外だったのは、正義の味方の男たちが悪いやつを追いかけるというハリウッド映画並みのストレートな感じだったこと。
    もっと意外だったのは、なんだかんだ言って若き主婦ミナが被害者になりながらも結局はその頭の良さで男たちを勝利に導くという流れ。

    きちんと読んでいくと、ストーリーはかなり性的で、セクシャルでありバイセクシャルである。
    ミナを襲いつつも自分の胸から流れる血を飲ませたり、ミナの夫で最初の被害者のジョナサンをも再度襲おうとする。

    街に恐怖が訪れ、その結果女が知識や性に目覚め男と同じ位置に立つ。
    ドラキュラによって、じゃないけどストーリー展開として。
    例えばドラキュラの城にいるジョナサンを誘惑する女吸血鬼達は「女らしく」なく、彼女らに望んで誘惑されるジョナサンは「男らしく」ない。
    賢いミナも「女らしく」ない。
    だからこそ、男たちはグルになって恐怖の根源であるドラキュラを倒しにいく。そういう見方もある。

    さらには当時のロンドンの社会を軽く風刺していたり、人種差別や精神病患者など、色々と詰め込んでいる。
    でも間違いなく、この古典中の古典である「ドラキュラ」は女性の立ち位置という裏のテーマを浮き出している、そこが一番興味深い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Dracula" Bram Stoker (1897 Review | Unexpected female empowerment
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  • 『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    🔽 基本情報 🔽
    The Sound and the Fury
    William Faulkner, 1929
    響きと怒り
    ウィリアム・フォークナー
    464 pages
    2024.07 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    かなり難しいので完全にわかったわけではない、でもすごい一冊。
    第一章からいきなり重度の知的障害の弟の視点から描かれているので、時系列でもないし、重複したり注意があちこちに飛ぶ、その中で明らかなのはお姉ちゃんに対する愛情。
    それから他の兄弟の視点へと移り、客観的な説明がないのに同じことについて別の視点で描かれているが、つまりはかつて裕福であったアメリカ南部の一家の崩壊の物語。
    知的障害児が身近な私にとっても、その思考の表し方など、そういう意味でも興味深い。

    同じ出来事が別の視点で語られることによりその人物の人格を浮き上がらせるが、その事柄自体の説明がないので、途中からウィキペディアのあらすじを頼りに読んだけど、それでもこのリズムがつかめるようになるとページがどんどん進む。
    当時のアメリカ南部にきっと多くいたであろう、機能不全家族の悲しい物語。

    これはもう一度改めて読んで、そのうえで一つの読書体験とするべき。

    ノーベル賞受賞作家


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Sound and the Fury" William Faulkner (1929) Review | A difficult read but a masterpiece
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    響きと怒り (下) (岩波文庫)


    The Sound and the Fury (English Edition)



  • 『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    🔽 基本情報 🔽
    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース
    ゼイディー・スミス
    464 pages
    2024年7月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ロンドンに初めて行ったときからずーっと話題の本、を20年経ってやっと読んだ。
    なんとなく難しくて移民の厳しい生活の話と勘違いしていたけど、読んでみると心温まるコメディーっぽくてちょっとびっくり。
    まさに当時まだ残っていたロンドンがこの本にはある、ごちゃごちゃした混沌としたロンドン。
    ロンドンではイズリントン区というどちらかというとトルコ人エリアにほとんどずっと住んでいたのでこの本の人物と人種的には違うけど、当時は階級も人種も入り混じっていることが自然だった。
    段々とロンドンは設備され、汚いものは「カーペットの下に隠されて」いまではお金がないと生活できない街になってしまった。

    みんな違う意見を持ち、肌の色、年齢、世代、伝統、教育、宗教、過去、経験、すべてが違うなかで、ひとつの共同体として呼吸をするということ。
    まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強みであるとこの本は語っているよう。

    日本人を含む世界のイメージの中のロンドンは現実離れしてびっくりするけど、まあ実はロンドンはそういう幻想を売りにすることで観光業を盛り上げているので、この本で、20年前まであった本当のロンドンに出会ってください。
    汚くて大げさで下品です。いや、でした。過去形。今はこういうコミュニティーは市内から弾かれているのが残念でならない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "White Teeth" Zadie Smith, (2000) Review | Love letter to London


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  • 『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー, 1719年 感想 | 主人公がとってもイギリス人

    『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー, 1719年 感想 | 主人公がとってもイギリス人

    🔽 基本情報 🔽
    Robinson Crusoe
    The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe
    Daniel Defoe, 1719
    ロビンソン・クルーソー
    ロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険
    ダニエル・デフォー
    384 pages
    2024年6月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    古典を読んでいた時期に、旅行記の古典といえば。
    この主人公がとってもイギリス人なのが面白い。
    整理整頓を心がけ、この野蛮な地を絶対に(イギリス的な)我が家にしてやる、と奮闘し誇りに思っている。

    あたかも本当の自伝と思わせるように、口語的な英語でしかも語り口は一人称で「本人自筆」とまで書いてある。
    もちろんフィクションだけど当時はこの手法でかなり売れたよう。

    この時代の小説なので植民地主義的、人種差別的な内容は避けられないけれど、良いキリスト教徒としてクルーソーはそれなりに現地人フライデーと打ち解けているのも忘れてはいけない。
    今振り返って良い悪いはあるにしても、300年前に書かれた素晴らしいストーリーであることは否定できない。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Robinson Crusoe" Daniel Defoe (1719) Review | Classic of classics
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  • 『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 感想 | 世界史に興味を持つことになった原因の一冊

    『シルクロード全史』ピーター・フランコパン, 2015年 感想 | 世界史に興味を持つことになった原因の一冊

    🔽 基本情報 🔽
    The Silk Roads: A New History of the World
    Peter Frankopan, 2015
    シルクロード全史: 文明と欲望の十字路
    ピーター・フランコパン
    657 pages
    2024年6月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    エピック。大作。間違いなく歴史本の歴史を変えた。
    シルクローズ(複数形のRoads)というタイトルでまず分かるように、シルクロードは一つではないという大前提を投げつけてくる分厚い600ページ超えのいわゆるマイナーな国々の歴史の本なのに退屈じゃない。
    むしろ内容そのものと語り口にエンターテインメント性が出ていて巨大な小説を読んでいるかのよう。

    著者フランコパンのポッドキャストも聞くけど、彼は偏屈者っぽい奴なんだけど言い分は筋が通っていて、事実に極端に忠実なだけな人。
    でも大真面目で逆に面白いというギャップもあって、耳で聞くのも楽しい。

    中東と呼ばれるエリアがいかに歴史豊かで多様性に富んだ素晴らしい伝統をもっているか、そしてヨーロッパはいかに欲深く宗教を言い訳にこの豊かな地を破壊したか。
    そして今日、古いヨーロッパに変わってアメリカ帝国が彼らの謳う自分勝手な民主主義を武器に更に追い打ちをかけているか。
    中東、アラブがあたかも石油の成金かのように世界の目を欺きたい欧米は、もちろんこのシルクロードの歴史は隠し通したい。
    ひょっとしたら、ただ単にヨーロッパ、アメリカの帝国主義の終わりなだけなのかもしれない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Silk Roads" Peter Frankopan (2015) Review | History book that changed my history

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    シルクロード全史 上: 文明と欲望の十字路





    シルクロード全史 下: 文明と欲望の十字路



    The Silk Roads: A New History of the World (English Edition)



  • 『日本文学の大地』 中沢新一, 2015年 感想 | 古代の人の感覚は私たちのなかに

    『日本文学の大地』 中沢新一, 2015年 感想 | 古代の人の感覚は私たちのなかに

    ★★★★★ 日本の古典文学をいくつか紹介する本。
    そこには近代以前の、自然と文化が分かれる前の大地が広がっている。こういう古代の人の感覚は私たちのなかにまだあるそう。嬉しい
    
    
    
    
    
    🔽基本情報🔽
    日本文学の大地
    中沢新一 2015
    Shinichi Nakazawa
    288 pages
    2024年5月 読了
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    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    日本の古典がちょっと食わず嫌いな人、多分ほとんどの人。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    日本の古典文学をいくつか紹介する本。
    そこには近代以前の、自然と文化が分かれる前の大地が広がっている。

    浄瑠璃の人形たちは、数人の裏方たちの一見無関係の縦横の動きによって細かく操られているという事実、それが比喩するもの。
    平安時代の、天皇は大地の初物を贈与されるんだから、その土地の美しい少女を贈与され、消費してあげるという観念。
    江戸時代までの、恋をすれば相手が男も女も関係ないという大まかなセクシュアリティ。
    松尾芭蕉のとことん装飾を削り取った美学。

    自分でない何かモノが語るから物語というんだということ。

    そして著者は人間は1000年ぐらいでは変わらないと言いきる。
    つまり、こういう古代の人の感覚は私たちのなかにまだある。
    私たちの生活は物に溢れ、貨幣の魔力の中で、大地と離れたところで忙しくなり、また個人というアイデアが一般化し壁ができてしまい、その感覚に触れづらくなったんだと思う。

    しかし、日本ももっと学校で面白い古典に触れる機会があればいいのに。
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  • 「代表的日本人」 内村鑑三 鈴木範久 訳, 1908, 1995年 感想 | 当時の日本から西洋に挑戦

    「代表的日本人」 内村鑑三 鈴木範久 訳, 1908, 1995年 感想 | 当時の日本から西洋に挑戦

    🔽基本情報🔽
    代表的日本人
    内村鑑三 1908
    "Representative men of Japan" from Japan and the Japanese
    Kanzo Uchimura, 1894 and 1908
    鈴木範久 訳 1995
    256 pages
    2024年4月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    元々は1894年に日本を紹介する本、Japan and the Japaneseとして英語で書かれ、1908年にRepresentative men of Japanとして再度世に出て、それが新しく日本語訳されたもの。
    という前置きだけで、いかにナショナリスティックかが分かる。

    圧倒的に押し寄せる西洋文化にはばかり、日本人だって素晴らしいんだということを伝える為の本。

    確かに内容も、著者の主観的な部分が多く、どの章もまず日本のその分野の紹介から始まり、それぞれの人物がどうして日本人らしくて素晴らしいかを語る。
    最初の西郷隆盛の征韓論の正しさを訴えるようなのが気になったけど、あとがきによると、内村鑑三本人は日露戦争をもって反戦主義になったとのことで、西郷隆盛の数ヵ所はその名残のよう。

    5人について学ぶところもあるけれど、それよりも、著者がどういう姿勢でこの書をもってヨーロッパと対等になろうと訴える姿勢がメインの面白さ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Representative men of Japan" Kanzo Uchimura, 1908 Review | A resistance from this Christian Japanese author
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  • 『デミアン』ヘルマン・ヘッセ, 1919年 感想 | 普遍的な物語

    『デミアン』ヘルマン・ヘッセ, 1919年 感想 | 普遍的な物語

    🔽 ログ 🔽
    Demian
    By Hermann Hesse, 1919
    デミアン
    ヘルマン・ヘッセ
    135 pages
    2024年4月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    「デミアン」はある少年シンクレールSinclairが友人デミアンを通じて、安全を保証された親元その光りに包まれた生活を離れ、悪意や暗闇を知りおとなになる物語。

    最初からリアルな生活が描かれるんだけど、徐々に決定的なリアル、戦争の中での生活となる。
    でも大丈夫、シンクレールは友情を通じて自分を見つけ出すことができていたから。友情がもたらす影響力、そしてまたその影響下を離れて彼は自分を確立していった。

    子供の頃は善と悪と二手に分かれていただけだった。でもこの世は実はどちらでもあり、そして自分の居場所もその中にある、確実に。

    本としては短いけれど、シンクレールが少年から青年となる成長をじっくりと追っていく。急がない、成長するのに急ぐ必要はない。だからこれは普遍的で出版から100年経っても未だに心を打たれる。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Demian" Hermann Hesse, (1919) Review | Growing up, so universal


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    デミアン (新潮文庫)
    デミアン (新潮文庫)





  • 『インド文化入門』 辛島昇, 2020年 感想 | 数あるインドはそれぞれが存在する

    『インド文化入門』 辛島昇, 2020年 感想 | 数あるインドはそれぞれが存在する

    ★★★★☆ インドのことをある程度は知ってから読む本。
    古代からその時代その土地で必要とされるラーマ物語ができるように、数あるインドはそれぞれが存在しつつ、なおかつひとつのインドというのも存在する。素敵な矛盾。
    🔽 ログ 🔽
    インド文化入門
    辛島昇 2020
    Noboru Terashima
    288 pages
    2024年4月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    2000年に放送大学の映像のお供のテキストとして書かれたものの文庫化。
    入門と言いつつ実は超入門書ではないし、テーマごとなのでインドのことをある程度は知っておかないと話についていけない。

    歴史、逸話、言語、宗教、映画、タゴール、カースト制、女性の二極化、ガンジー。
    厳しさに包まれたその歴史、そこから生まれた古く豊かで複雑に入り込んだ文化、保守的な社会。

    でも彼の伝えたいことは、最初の章にしっかりと書いてある。
    それは、インドが誇るラーマ物語の存在に象徴される。
    時代や土地が変わるにつれラーマ物語も少しずつ姿を変え、その土地で必要とされるラーマ物語ができる。
    同じようにそれぞれが存在しつつ、なおかつひとつのインドがある。

    いや、かつてはあった。
    20年たったいま、インドはどこへ向かうのか。
    
    
    
    
    
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  • 『禅と日本文化』 鈴木大拙 1940年 感想 | 日本的とは禅であること

    『禅と日本文化』 鈴木大拙 1940年 感想 | 日本的とは禅であること

    
    
    
    
    
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    禅と日本文化
    鈴木大拙
    北川桃雄 訳 1940
    196 pages
    2024年4月 読了
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    鈴木大拙のZen and Japanese culture。
    1938年に外国人向けに英語で講演された英語の本を1940年に和訳したもの。
    当時、欧米に日本を紹介する本として一世を風靡、現在に至るまで禅そして日本文化を知るための重要な一冊。つまり私なんかはもっと前から読むべき本でした。

    文章は古いのでその点は努力のいる本だけど、元々が日本人に向けていなかったので理論的に説明されていると言う点できちんと理解しやすい。

    いわゆる入門書でもないし、簡単という意味でもない、でもネットとかで調べようと思ったんだけどどうも禅と言うものが分からないと言う人向け。
    日本人向けだとどうも雰囲気で分からせようとする感じがあるけど、それは通用しない人たち向けなので、こっちの方が分かりやすい日本人も多いと思う。

    直感的であり、言葉よりも墨画や俳句、茶の湯を通じて表すことのできる禅。
    ミニマリズムであり自然を愛する精神と言うのは日本人の芸術や生活に染み込んでいて、日本的であるとはつまり禅であると。

    でもこれが書かれて80年以上たった今、ふと思うのはそのステートメントは現代の日本人を表す際に未だに正しいといえるのか。

    逆にそれは日本マニアの外国人が抱くイメージ上の憧れの日本、想像上の日本でしかないのかも知れない。
    けど、高度成長期からもうすでに一周回って、また禅が日常に近付いたかもしれない。もしくは、年を取れば日本人は禅に近付くのかも知れない。
    そうするとやっぱり禅は日本人の根っこ、いや、無意識の中にある。

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    English review
    "Zen and Japanese culture" Daisetz T. Suzuki (1940) Review | Japanese means zen
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  • 『こだわらない練習 「それ、どうでもいい」という過ごし方』小池龍之介 2015年 感想 | 気持ちの持ちよう

    『こだわらない練習 「それ、どうでもいい」という過ごし方』小池龍之介 2015年 感想 | 気持ちの持ちよう

    ★★★★★ どうでもいいや、という考え方は訓練すればできると。執着しないことに浸っている自分への執着、とエンドレスな執着のループだけど気持ちの持ちよう。
    
    
    
    
    
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    こだわらない練習
    「それ、どうでもいい」という過ごし方
    小池龍之介 2015
    Ryunosuke Koike
    2025年5月読了
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    やっぱり面白かった。
    ポッドキャストを聞いてる松本紹圭の友人ということで良く聞く名前でしかもかなり変なやつ、ということだけど、まさに、変なやつ。でもいい意味で。

    お坊さんなのにあまりにもさらけ出していてきっと敵も多いだろうに、頭が良い上に自分をコントロールできるから気にしてなさそう。

    仏教の基本である、執着しないということの具体的な話をテーマごとに。
    性についてだって出てくる。
    執着しないことに浸っている自分への執着、とエンドレスな執着のループだけど、やはり気持ちの持ちよう。

    どうでもいいや、という考え方は意識すれば、訓練すればできる。
    そして最後には、でもちょっとしたことをその日の目標にして自分で誉めることで、慢心はコントロールできるというのも面白い。

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    こだわらない練習 「それ、どうでもいい」という過ごしかた 小池龍之介の練習




  • 『イスラム教の論理』飯山陽, 2018年 感想 | 寄り添える点はないのか

    『イスラム教の論理』飯山陽, 2018年 感想 | 寄り添える点はないのか

    ★★★★☆ イスラム思想研究者からの厳しい注意。
    ムスリムの友人がいるだけに辛い問題。人を愛し他人も自分の命も尊重しようとすれば、伝統的に正しい教徒ではなくなる、と。どこかで寄り添える点はないのか
    
    
    
    
    
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    イスラム教の論理
    飯山陽 2018
    Akari Iiyama
    180 Pages
    2025年5月読了
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    イスラム教をきちんと理解したい人

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    イスラム教の論理 (新潮新書) [ 飯山 陽 ]

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    イスラム思想研究者。
    この本はなんというか、彼女からの厳しい注意に聞こえる。

    確かに、イスラム教をきちんと信仰するということはテロを起こし、異教徒と戦うことであり、「平和を愛する宗教」というのは綺麗事であり、むしろ正しくないイスラム教であるといえる。
    そうなると、自爆テロは正しくて、異教徒と仲良くすることは間違っているというロジックになる。

    イスラム教徒の友人がいるだけに辛い問題である。人を愛し他人を尊重し自分の命も尊重して生きようとすれば、伝統的に正しいイスラム教徒ではなくなる。
    まあでもそういう人たちはextremist 過激派というくくりで、どの宗教にもいるけど。

    他の宗教がアップデートをよしとしているのに緩い解釈は間違っていると断固として譲らない。追い詰められてより保守的になり、より伝統的な思想へと流れていく。
    そして世界征服という現実味のない目的のために一生を捧げ、他の人間はイスラム教に対し恐怖を覚えながら生きる。

    どこかで妥協できる点、寄り添える点はないのか。
    
    
    
    
    
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  • 『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

    『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

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    Hunted
    Abir Mukherjee, 2024
    アビール・ムカジー
    468 pages
    2025年5月 読了
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    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    アクション映画のような本。
    イスラムのテロリズムが軸になってるとは知らなかった。

    英国地方都市で静かに暮らしていたムスリム男性の娘にテロリスト容疑がかかり彼の世界が一転。そこに遠く離れたアメリカから白人女性がやって来て一緒に子供を救おうと言い放つ。
    警察が捕まえる前にテロリスト容疑の子供たちを見つける、無謀だけれどそれが親というもの。
    そしてその警察の組織から外れたある警察官も彼女自身の問題を抱えてあとを追う。

    じっくり考えるストーリーではないけれど、アドレナリン大放出でどんどんとページをめくれる。
    あと一歩、また逃げられた。すれ違った。
    テロリスト行為がいかに宗教とは関係が薄く、誰かの利益のためだけに多くを犠牲にする行為かを訴えている雰囲気もある。
    唯一ちゃんとキャラ設定がしっかりしているのはそのお父さんSajid。
    ムスリムのお父さん、今までの価値観をぶっ壊されて、娘のために走ります。

    長距離フライト用に選んだけど、読んだり寝たりにピッタリだった、良い選択。


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    English review
    "Hunted" Abir Mukherjee (2024) Review | Keep reading keep chasing
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    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]
      
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    Hunted: Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller (English Edition)