“Why I’m No Longer Talking to White People About Race” Reni Eddo-Lodge, 2019 / (私がなぜ人種についてもう白人にはなさないのか) >>

🔽 基本情報 🔽
Why I’m No Longer Talking to White People About Race
Reni Eddo-Lodge, 2019
(私がなぜ人種についてもう白人に話さないのか)
2020.01 読了
🔽🔽 読書記録 🔽🔽

とてもパワフルな一冊。 
まずはカバーがいい。彼女の怒りや苛立ちを思う存分に表現してる。
そして中身、今の英国にとってとても重要な内容。
英国の歴史の中での黒人やアジア人がどうか変わってきたのかという観点から始まり、英国にシステムがいかに差別的か、またその差別が正当化されているか。
(正確には黒い人と茶色の人という言い方でいわゆる東洋人、黄色人種ではない)
何が人種差別を生むのか。そこで人々が抱える恐怖とは。
フェミニズムと人種、階級と人種、と続く。

この本が、なぜ今、重要なのかは英国に住んでいれば分かる。
つまりここ5年ほどで、人種差別は正当化されているから。(当時2020年)
白人が人種差別主義者とレッテルを張られることは、黒人が人種差別を受ける事よりも酷いことという考えがまかり通る社会。
そして今まで、英国に特化した人種差別を問う本や議論の場というのは数えるほどしかなく、ほとんどはアメリカから輸入されたものであったという事実。
つまりそれだけタブーであるということ。

フェミニストでもある著者は、フェミニズムの土俵で、人種のことに触れると突き放されるという。
別の場所でやってくれ、と。
まるでフェミニズムは比較的裕福な白人女性のためだけの場であるかのように。
多くのメインストリームの場で女性の権利は支持されるのに、人種差別に反対することは、理論的なレベルで支持されても、日常レベルでは見て見ぬふりをされる。
しかも「これは人種差別じゃないから」と開き直って。

そして、何年も議論が絶えないEU離脱を後押しする白人労働者階級の人たちは、まるで移民や白人以外の人が国を去れば(英国生まれの有色人種やミックス人種を含め) 全ての問題が解決すると信じている。つまりそこでも肌の色が問題だとされる。

実際に人種差別がなくならない理由はなにか。
「何が」問題なのか。
黒人やアジア人に問題があるのではない。
それは明らかに白人主義に問題がある、もちろん。
どうやって白人のセンチメンタリズムを傷つけずに、白人を優位な立場から引きずり降ろさずに議論するか。
怖い黒人女性と決めつけられずに意見を主張する方法があるのか。
そういった葛藤の中で、彼女は、もう白人に人種の話はしない、と宣言したわけです。
もちろんこれは、さらに数年前のブログのタイトルで、そこから彼女はやっぱり言わなければいけない、ということでこの本を書いているわけですが
沈黙は自分を守ってくれない。黙っていても自分の立場は良くならない。

挑発的なこの本は、まさに多くのセンチメンタルな白人を追い詰めて、彼らを罪悪感に浸らせてしまった。
どうしていいかわからないと頼ってくる白人たち。
イベントのQ&Aでモノローグを始め勝手に泣き崩れる白人。
でも彼女は言う。
罪悪感を感じる余裕があれば、自分の行動範囲内で声に出してみればいい。
例えば職場で発言してみる。
組織的な差別の基盤はやっぱり人。
一人ひとりが行動をし、一つのムーブメントとなる。

日本にいればたしかにこの感覚は分かりづらい。
大々的な奴隷貿易の歴史もないし、移民が我々の職を奪いに国境を超えて来ているという妄想的な危機感もないし、肌の色と社会的立場もしくは階級の明らかなカテゴリーもない。

それでもこれはやっぱり重要な本である。
英国人歌手のStormzyが言ったように、英国には例えばイタリアのようなあからさまな人種差別はないかもしれない。
でも確実に存在していて、差別主義者は今まで陰口を言っていただけだけど、今日の英国で大声で言える権利を得たと勘違いしている。
そしてそれはとっても恐ろしいことだ、と。

この本が、いま、この若い英国人黒人女性によって書かれベストセラーになっていることは、その挑戦的な内容を例え読者全員が100%完全に支持できないとしても、とても重要なことであり、間違いなく英国各地で議論のきっかけになった。
ちょっと希望が持てる気もしてくる。


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★★★★★+❤ How the author, a young black British woman, got fed up talking to white people while trying to protect their fragile sentiments and trying not to be labelled as “one of those angry black women”. But now she knows, the silence won’t protect us.

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Why I’m No Longer Talking to White People About Race
Reni Eddo-Lodge, 2019
288 pages
Read in 2020.01


🔽 Book review and notes 🔽

What is wrong then?
The problem of racism is not the black, brown or yellow people.
It is the white people who regard the people of any colour other than white as the problem.
Today it's as if being called a racist is "worse" than being actually affected by the racism.

It was Stormzy who once said something like, in the UK there might not be "obvious" racism, but though it might be hidden it exists, and today they believe they have the right to be racist in public, and that's the scary thing. (I wrote this note originally in 2020, so it's probably a bit old)

The book is about how the author, a young black British woman, got fed up talking to white people while trying to protect their fragile sentiments and trying not to be labelled as "one of those angry black women".
But the silence won't protect us.
So it is actually about how she decides, through complex discourses of feminism, class and one-and-only Britishness, that she still needs to speak up to start this important conversation even if it might be uncomfortable for some, I mean, frankly, even if it pisses off many fragile people.

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