タグ: 恋愛

  • 『さらば、夏の光よ』 遠藤周作, 1982年 感想 | 青春の淡さ、軽さ、冷たさ 

    『さらば、夏の光よ』 遠藤周作, 1982年 感想 | 青春の淡さ、軽さ、冷たさ 

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    二人の男と一人の女。
    小太りでモテない気の優しい青年、行動的だけど単純な親友、美しい同級生。
    
    何度も繰り返される普遍的な設定ではあるけれど、遠藤周作にかかれば、やっぱり光る。
    遠藤周作版シラノ・ド・ベルジュラックとも言える。
    青春の淡さ、軽さ、冷たさ。
    真剣で無謀で残酷で、それを一歩向こうから見ている作家本人という構成。
    
    例えば主人公はいい奴だったのか、親友はそんなにいい男だったのか。
    そこにはやはり若さ故に美化された部分があるのでは。
    優しくされればされるほど憎んでしまうという矛盾も。
    
    人間はか弱い小鳥じゃない。
    だからこそ、プライドを傷つけられるし、心はすれ違う。
    反抗し、絶望し、後悔し、残った者はその後の選択をし、そして同じことはまた繰り返される。
    四季がめぐるようにまた、その連鎖は途切れることなく学生たちは親友と愛する人の奪い合いをする。
    
    
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  • 『ティファニーで朝食を』 トルーマン カポーティ, 1958年 感想 | 彼女に恋をする

    『ティファニーで朝食を』 トルーマン カポーティ, 1958年 感想 | 彼女に恋をする

    🔽 基本情報 🔽
    ティファニーで朝食を
    トルーマン カポーティ, 1958
    Breakfast at Tiffany's
    Truman Capote
    2020.05 読了
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    オードリーヘップバーンの映画はみんなが知ってる。
    でも映画はこんなに暗い感じだったけ?
    たぶん映画はもっと明るくしてたと思う。

    確かに、この物語に恋をする。
    主人公ホリーは自由奔放でありながらも実は繊細。
    まだ20歳の彼女は間違いを犯しながらもさっさと次へ次へと進んでいく。
    みんなが彼女を愛する、でも誰か彼女のことを大切にしてくれるだろうか。

    短編集なんだけど、日本語は村上春樹の訳とは、それは贅沢。
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  • 『猫と庄造と二人のおんな』 谷崎潤一郎, 1937年 感想 | 人間は誰でもいい

    『猫と庄造と二人のおんな』 谷崎潤一郎, 1937年 感想 | 人間は誰でもいい

    🔽 基本情報 🔽
    猫と庄造と二人のおんな
    谷崎潤一郎, 1937年
    日本
    176 ページ
    2020.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    猫のリリーがすべての中心。

    男はリリーを愛しリリーのみを愛する。
    人間の女は福子でも品子でも母でも誰でもいい。

    谷崎らしい片思いのドラマなんだけど、溺愛の対象は猫。
    しかも清楚な名前の西洋種の雌猫。
    主人なのか召使いなのか、男の愛情には気ままにしか対応しない。「痴人の愛」のナオミを極限まで引っ張って、ここでは美しい西洋猫リリーになる。
    周りに流される庄造、庄造に捨てられた女、猫以下の女。

    庄造の幸せとはつまり、猫のためだけに全てを捧げる事だった、んですね。
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    English review
    タグ: 谷崎潤一郎

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  • 『刺青・秘密』 谷崎潤一郎, 1910年 感想 | すでに確立された谷崎文学

    『刺青・秘密』 谷崎潤一郎, 1910年 感想 | すでに確立された谷崎文学

    🔽 基本情報 🔽
    刺青・秘密
    谷崎潤一郎, 1910
    日本
    336 ページ
    2020.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    谷崎潤一郎の処女作「刺青」、すでにエロティシズム、フェティシズムはテーマとして確立されていて、でも初々しさというか生々しさがある。

    足の美しさでその女の真の姿を見出し、目覚めさせる。
    さすがとしか言いようがない。

    「秘密」の逢引と悲しさも、「少年」の無邪気で偽りのない暗い欲望も、「二人の稚児」の純粋さも、すべてがつながっている。

    解説にあった永井荷風の言葉にある通り、谷崎が他と違っていたのはその都会的な雰囲気であるわけで。田舎っぽい貧しさなど一切関係ないかのような、お坊ちゃん、お嬢さん、紳士淑女の生きる世界、その美しい世界に潜む欲望の影。
    それが谷崎文学の光。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Tattoo” Junichiro Tanizaki (1910) Review | Early Tanizaki
    タグ: 谷崎潤一郎
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  • 『わたしが・棄てた・女』 遠藤周作, 1972年 感想 | 彼女の信じる愛

    『わたしが・棄てた・女』 遠藤周作, 1972年 感想 | 彼女の信じる愛

    🔽 基本情報 🔽
    わたしが・棄てた・女
    遠藤周作, 1972年
    352 ページ
    2020.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    辛いだろうとおもって読んだけどやっぱり辛い。
    これも作者の永遠のテーマ、宗教が入り込んでくるけれど、健気を通り越して正直言って頭が鈍い女の子の徹底した一筋の博愛というか、言ってみればそれが宗教というか。

    簡単に言えば他人の苦しみがわかるということだけど、自分を切り離して他人を苦しみから解き放そうとする彼女の宗教、彼女の愛。

    一時的な衝動、男の方もだけど、女の方も騙されたとは言え可哀想という衝動で、二人は別の人生を歩みつつも正に運命によって嫌でも繋がっている。

    そして、最後。

    鈍くて可愛くもない棄てられた田舎娘は、純粋に他人のためだけに、彼女の信じる愛のためだけに、短い人生を生き抜く。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Girl I Left Behind” Shusaku Endo (1972) Review | The love she believes in
    タグ: 恋愛
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  • 『Unmarriageable』 ソニア・カマル, 2019年 感想 | パキスタン版高慢と偏見 

    『Unmarriageable』 ソニア・カマル, 2019年 感想 | パキスタン版高慢と偏見 

    🔽 基本情報 🔽
    Unmarriageable
    Soniah Kamal, 2019
    ソニア・カマル
    384 ページ
    2020.03 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    パキスタン版「高慢と偏見」。まさに。

    (この時点では)まだジェーン・オースティンのオリジナルを読んでいなかったので似ている点については詳しくわからないけど、あ違いなくエンターテイメントな一冊。

    パキスタン生まれでアメリカ人の著者の作品。
    もうパキスタンは独立はしているけれど、まだ大英帝国の影響は消え去ってはいない2000年頃の社会で英語の先生である若い女性が主人公。
    パキスタンの当時の様子、新旧の文化や食文化が次々と描かれそれだけでも楽しい。
    出版はアメリカだし、欧米を意識していた感じは否めないけど、欧米メディアを通さないリアルのパキスタンの若い人たちの様子、口うるさい年寄りにうんざりしながらも元気でおしゃべりなパキスタンの女子の様子が新鮮。
    きっとその辺はオリジナルと同じ感じなんだと思う。

    日本語版はないですが、英語はそんなに難しくないし、コミカルなパキスタンの様子なんてなかなか簡単に読めないので頑張る価値ありです。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Unmarriageable” Soniah Kamal, (2019) Review | Pakistani Pride and Prejudice
    オリジナル「高慢と偏見」ジェーン•オースティン
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  • 『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 感想 | ノーという女性 >>

    『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ, 1847年 感想 | ノーという女性 >>

    🔽 基本情報 🔽
    ジェーン•エア
    シャーロット・ブロンテ,  1847
    Jane Eyre
    Charlotte Bronte
    2026.01 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    古典って避けてしまう傾向にあるけど、実はエンターテイメント性が高いものが多いんですよね。
    まあ、だからこそ何世紀も愛されるわけですが。

    この本もそう。
    ドロドロのメロドラマもあればロマンスもある。
    強い女性像のイメージがあったのでロマンス要素に関しては想像以上だった。
    一人の女性の惨めな子供時代を経て自らの手で這い上がる成長物語であり、フェミニズム満載であり、宗教の問題も、ちょっと怖めのゴシックでもあり、階級社会、人種、植民地主義などなど当時のイギリスにとっての社会的なテーマが盛り沢山。

    そして当時の批判は目に浮かぶよう。
    家父長制に服従しない女?男にノーという女?地位もなく地味な見た目のくせに?なんということでしょう。

    もちろん今日の社会では見方は変わる(といってもいまだに女のくせにという意見は無きにしも非ず)。
    彼女は男性にただ単に宝石やきれいな服を浴びるように与えられる人生は送りたくない。
    自分も対等に貢献できると確信できる日まで彼女は愛する人をも拒否し続ける。

    あと「屋根裏部屋の狂気の女」もとっても興味深い。
    当時の差別主義が隠さずに描かれており、混血の人間、黒人であるこの女は理性がなく暴力的で、高貴な白人の文明から遠ざけなければいけない。
    そしてジェーン本人はあまり怖がっても憎んでもいないというところも気になる。
    この辺りは本が出ているそうなので、いつか。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Jane Eyre” Charlotte Bronte (1847) Review | A woman who says no
    tag 女性主体
    tag フェミニズム
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  • 『星月夜』李琴峰, 2023 感想 | 外国籍の二人の女性の東京物語 >>

    『星月夜』李琴峰, 2023 感想 | 外国籍の二人の女性の東京物語 >>

    🔽 基本情報 🔽
    星月夜
    李琴峰, 2023
    Li Kotomi
    192 ページ
    2025.10 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    外国籍の二人の女性の東京物語。
    静かにひんやりとした、新鮮さがある。

    ウイグルから来た学生と台湾からきた日本語教師。
    その設定も絶妙でいわゆる狭い意味での中国に対しネガティブなイメージを持って育った二人が日本という外国で、中国語(Mandarin)で会話する。
    端から見るとそれで心は通じ合えると見えるが実はそうでもないし、あまりにも故郷の環境が違う。
    それぞれ自由になるために日本に来た、その代償は小さくない。

    彼女らの日本での生活の物語だけど、それは完全なフィクションではない。
    日本のように外国人に対し厳しい社会では、外国人であることはまず圧倒的に不利であり、しかも白人でないとなると日本人より優れた才能や能力があるぐらいでは対等にすらなれない。
    いろんな側面の言葉の問題が何度も出てくるのが面白い、よく分かる。
    その一人が言う通りで日本語が話せてもわずかな発音で差別される悔しさは、差別される側の人間しか分からない。
    そしてその悔しさも差別も一日に何十回もある。

    外国人という生きづらさを背景に、宗教やセクシュアリティという個人レベルの葛藤、また他文化に抑圧される故郷への想い、そういったものの上に、自分の未来への希望や不安を、ひんやりと描く。

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  • 『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 | 本好きの天国と地獄

    『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 | 本好きの天国と地獄

    🔽 基本情報 🔽
    If on a Winter's Night a Traveller
    Italo Calvino, 1979
    Se una notte d'inverno un viaggiatore
    冬の夜ひとりの旅人が
    イタロ・カルヴィーノ
    272 ページ
    2025.10 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    なんて本なんだろう。
    これは他にない読書体験、試験的読書体験。
    読者、作者、翻訳者、出版社、翻訳者、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    主人公である「あなた」が本を読み始めるけれど、途中から印刷が乱れる乱丁本だったようで、仕方なく本屋に戻る。
    新しい本もどうも違う本らしい、しかもこっちも乱丁本、そしてそれが何度も続き。
    毎回、やっと背景や人物像を把握し面白くなってきたところで読めなくなる、なんとしてでも続きが読みたい、そこから「あなた」の異様な冒険が始まる。

    余談だけど「夜は短し歩けよ乙女」って絶対これに影響受けてるよね。
    読書という側面じゃなくて、どこにいっても結局ある女性にたどり着くという側面で。

    これは一体何なのか。
    どうやってこれらの物語は終わるのか、終わりとはなにか。
    読書という地味な日常の体験。一人なはずの体験。
    この本はそこにいろんな疑問をガンガンぶつけてくる。
    そして答えは?
    本を通じて時空を超えて繋がってくる人々、登場人物、作者、その他諸々と実際に読んでいる「あなた」、最後にはなんとなくニヤニヤしてきます。
    なるほど、これこそが文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review "If on a Winter's Night a Traveller" Italo Calvino (1979) Review | Paradise and hell for readers
    タグ: イタリア
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  • 『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 | 感想 | まるで夢だったように

    『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 | 感想 | まるで夢だったように

    🔽 基本情報 🔽
    Falling in love again
    Ruskin Bond, 2013
    (また恋におちる)
    ラスキン・ボンド
    197 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    インド生まれ、インド育ち、でもイギリス系白人の作家、ラスキン・ボンド氏。
    2025年の今年91歳になったインドでも最も重要な作家の一人。
    人種なんか関係ないというのは簡単だけど、運命はそう安易ではない。

    さてこの本は恋愛に関するショートストーリーを集めたもので、彼は17歳の頃から書いているけれど、いろんな時期に書かれたものが集められていて興味深い。
    ただ単に違う時代に書かれたから違う雰囲気、というわけではなく、彼の物語には繰り返し表される表現や風景がある。
    主人公の名前が著者と同じラスキンやラスキーだったり、ロケーションも彼の故郷ヒマチャルプラデシュであることが多いので、彼の少年時代や思い出とは切っても切り離されないはず。
    それだけじゃなく、同じセリフが出てきたり、同じ列車の路線に乗っていたり、違う女の子に同じ名前が繰り返されたり。

    ストーリー自体はみなほろ苦いストーリーが多く、恋愛とはまだ言えない段階であったり、何かが始まる前に失恋したり、まるで夢だったかのように、彼が恋をした女の子はふっと消えていく。

    日本ではあまり作品が出ていないのが残念ですがぜひ探してみてください。
    でも彼の本は子どもにも読まれるように書いてあるので、英語でも比較的簡単な表現で書かれています。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Falling in love again” Ruskin Bond (2013) Review | Maybe it was a dream

    彼が17歳で書いた作品The Room on the Roofはこちら
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    (彼の作品は日本ではこれが手に取りやすいようです)

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    Falling in Love Again: Stories of Love and Romance (English Edition)


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  • 『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ 感想 | インドを代表する詩人思想家

    『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ 感想 | インドを代表する詩人思想家

    🔽 基本情報 🔽
    Selected Stories of Rabindranath Tagore
    Rabindranath Tagore, 1886-
    作品集
    ラビンドラナート・タゴール
    372 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    タゴールの素晴らしさはどこでも語られる。
    でも実際に色々と読むまでは本当には実感できない。

    もう一世紀以上経っているのでタゴールの作品集という名の本はたくさん出ているけれど、これはインド人の友人にもらったインドの出版社のもの。
    詩や短編小説が多いので、インドでもその時代によってもかなりの本が出ていて、人と話していてその本は読んでないけどその物語は知っている、ということはよくある。

    この本の中だけをみても、ジャンルがいろいろとある。
    恋愛もの、幽霊の出る話や、家族、友情と、彼のその取り上げるストーリーの幅の広さに驚かされるけれど、そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    100年経っても、時代は変わっても、人々の苦しみの根源は変わらない。
    だからベンガル地方、インド、アジアという枠を超えて、人はタゴールの物語に心を打たれる。

    中でも良かった作品は「The river stairs」「The Cabuliwalla」「The son of Rashimani」「The master Mashai」「Living or Dead」「Fair neighbour」

    リンクは、同じような短編、中編の作品集を張っています。
    でも可能であれば他の手に取りやすい作品から入るのも良いと思います。

    アジア初のノーベル賞受賞者、芸術と平和という観点から近代インドと近代日本を繋いだ人でもある、けれど日本では彼の作品はそうどこにでもあるというわけではないようです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Selected stories of” Rabindranath Tagore (1886-) Review | Mastermind of literature

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告
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    タゴール著作集 第4巻 中・短篇小説集1


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  • 『汝、星のごとく』 凪良ゆう, 2022 感想 | 純粋にまっすぐ、強く生きる

    『汝、星のごとく』 凪良ゆう, 2022 感想 | 純粋にまっすぐ、強く生きる

    ★★★★☆ 純粋にまっすぐ、強く生きる。若い人が例えば読書を好きになるきっかけになる素敵な綺麗なストーリー。話題作なはず。良いですね。
    🔽 基本情報 🔽
    汝、星のごとく
    凪良ゆう 2022
    Yu Nagira
    348 pages
    2025.09
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    話題作。
    前はいつも自分好みの作家ばかり選んでいたので、意識的に話題作もちゃんと読んでる。
    これも本屋大賞を獲る作家、凪良ゆう (といっても名前も聞いたことがあるくらいだったけど、それは私が日本にいないという地理的な問題。)

    タイトルや表紙からもわかる綺麗なラブストーリー。
    自分勝手な親に振り回される高校生の恋から、ぐるぐると回る環境に巻かれ、するりと大人になってしまう二人の物語。

    純粋にまっすぐ、強く生きる。

    意地を張りながら、仕方がないと思いながら、打ちのめされながら、忘れずに自由を望みながら、愛と生をしっかり抱えながら。
    若いって素晴らしいとは言わない。そんなに人生は楽じゃないし、環境や境遇はそう簡単には変えられないし変わらない。

    続編があるそうで、ということはちゃんと他のも読まないと大きな事は言えないけど、若い人が例えば読書を好きになるきっかけになる素敵な綺麗なストーリー、それに尽きると思う。
    私のツボから離れているのは、私がターゲット層じゃないからでストーリーは素敵、おすすめできる。
    🔽 買えるところ 🔽

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  • 『藍の糸 着物始末歴 2』 中島要, 2013年 感想 | 読みやすくてちょっと感動もの

    『藍の糸 着物始末歴 2』 中島要, 2013年 感想 | 読みやすくてちょっと感動もの

    ★★★★☆  あっさりと読めて面白いのでシリーズで買いそろえたい。時代ものだけど読みやすくてちょっと感動ものでもあるので、数時間で読んでしまう。
    
    
    
    
    
    🔽 基本情報 🔽
    藍の糸
    着物始末歴 2
    中島要 2013
    Kaname Nakajima
    275 pages
    2024.07

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    着物始末屋のシリーズ第二弾。
    あっさりと読めて面白いのでシリーズで買いそろえたい。
    登場人物は同じで、忙しく事件に巻き込まれる余一、綾太郎、お糸、六助など。
    時代ものだけど読みやすくてちょっと感動ものでもあるので、数時間で読んでしまう。

    このシリーズの読書記録
    しのぶ梅 着物始末歴


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  • 『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    🔽 基本情報 🔽
    一次元の挿し木
    松下龍之介 2025
    256 pages
    2025.08
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    公募小説新人賞の作品とは知らなかった。しかも大賞じゃない。
    なのに安定感があって面白い。

    上から目線はここまでにして、何が面白いかって、ありえないよね、と分かっているのにストーリーが面白くてテンポが良くてあっという間に読んでしまうこと。
    つまり面白いと現実味があるはイコールではない。

    貧乏ポスドクの小ネタに始まり、笑わない美青年という設定、健気な美少女、暇な主婦にギリシャ神話と、エンターテイメント性たっぷり。
    その上であらすじが「インドの古人骨と失踪した妹のDNAが一致」という壮大なことになってる。それが全然空回りしない。

    まだ若いのできっとこれから熟していくんでしょう。
    東野圭吾のように理系で人間味があってしかもどんどん書いてくれれば、楽しみが増えるわ。
    誰でも惹き付けられるミステリー。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(Labyrinth of Hortensia and Minotaur)" Ryunosuke Matsushita (2025) Review | Exciting and entertaining, most loved mystery

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    一次元の挿し木 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)



  • 『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    🔽 基本情報 🔽
    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース
    ゼイディー・スミス 
    464 pages
    2024年7月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ロンドンに初めて行ったときからずーっと話題の本、を20年経ってやっと読んだ。
    なんとなく難しくて移民の厳しい生活の話と勘違いしていたけど、読んでみると心温まるコメディーっぽくてちょっとびっくり。
    まさに当時まだ残っていたロンドンがこの本にはある、ごちゃごちゃした混沌としたロンドン。
    ロンドンではイズリントン区というどちらかというとトルコ人エリアにほとんどずっと住んでいたのでこの本の人物と人種的には違うけど、当時は階級も人種も入り混じっていることが自然だった。
    段々とロンドンは設備され、汚いものは「カーペットの下に隠されて」いまではお金がないと生活できない街になってしまった。

    みんな違う意見を持ち、肌の色、年齢、世代、伝統、教育、宗教、過去、経験、すべてが違うなかで、ひとつの共同体として呼吸をするということ。
    まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強みであるとこの本は語っているよう。

    日本人を含む世界のイメージの中のロンドンは現実離れしてびっくりするけど、まあ実はロンドンはそういう幻想を売りにすることで観光業を盛り上げているので、この本で、20年前まであった本当のロンドンに出会ってください。
    汚くて大げさで下品です。いや、でした。過去形。今はこういうコミュニティーは市内から弾かれているのが残念でならない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "White Teeth" Zadie Smith, (2000) Review | Love letter to London


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  • 『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 感想 | ぼくらは生きようとしなければいけない

    『風立ちぬ 美しい村』 堀辰雄, 1938年 感想 | ぼくらは生きようとしなければいけない

    ★★★★ 軽井沢という異次元で流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。「風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない」ゆっくりとひんやりした時間に浸れる一冊

    🔽 基本情報 🔽
    風立ちぬ 美しい村
    堀辰雄 1938
    (Kaze tachinu / The wind rises)
    Tatsuo Hori
    288 pages
    2024年6月 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ジブリの風立ちぬの基になったストーリー。
    堀辰雄を始めて読んだけど、詩的でか弱くて美しい。
    自身が病弱なのもあり、軽井沢という人間臭い生活感もない異次元が舞台で、そこで流れる静かな時間のなかで登場人物は静かに人を愛する。

    サナトリウムという、そのなかでもさらに生活感から離れた空間を何度も登場させる。
    風立ちぬ、Il vent se lève, il faut tenter di vivre- 風が立つ。ぼくらは生きようとしなければいけない。
    そういうタイトルでありながら、主人公の愛する人はもう死の間際にいる。それをしんと見つめるかのように季節は流れ、木々にはつぼみが溢れ、落ち葉は深くなる。
    そして二人は、もう死を待つのみの透き通った空間のなかで互いを静かに愛し、時空を越えた二人だけの泡のなかに生き、そして彼女のその静かな死後も彼はその泡のなかで生きる。
    ゆっくりとひんやりと流れる時間に浸れる一冊。

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  • 『地獄の季節』アルチュール•ランボー, 1873年 感想 | 純粋で天才的

    『地獄の季節』アルチュール•ランボー, 1873年 感想 | 純粋で天才的

    🔽 基本情報 🔽
    A season in hell
    Arthur Rimbaud, 1873
    Une saison en enfer
    地獄の季節
    アルチュール•ランボー
    96 pages
    2024年6月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今年はたくさん積読していたペンギンクラシックの短いのを読み漁り。

    青年の苦の詩集。
    どっかで見たけど、これはできれば酔っぱらった状態で夜に読むべき詩集だそうで、地中海の青い空のしたで読んでも場違いな感じ。

    自己破滅型の男である恋人との旅行から帰ってきて書いたもので、挫折と自己憐憫と欲求不満たっぷり。
    まだ20歳そこそこ、なのにその昔の華やかな幸せを思い、美しくて苦悩に満ちている。
    青年だからこその純粋さと苦しみ、それを書き表すランボーの天才的な才能。
    せめて静かな夜に読むべきだった。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "A season in hell" Arthur Rimbaud (1873) Review | Pure and genius
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    A Season In Hell




  • 『アムステルダム』イアン・マキューアン, 1998年 感想 | イギリスらしく、暗い

    『アムステルダム』イアン・マキューアン, 1998年 感想 | イギリスらしく、暗い

    🔽 基本情報 🔽
    アムステルダム
    Amsterdam 
    Ian McEwan, 1998
    イアン・マキューアン
    224 pages
    2024年6月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    誰かにもらった本。で、日本語訳なので直接の面白さは欠けるのでちょっと残念ではあるが、さっと読める短編。
    同じ女性を愛したという接点のある中年の男二人の小難しい友情、もしそれが友情と呼べるのならだけど。
    小難しく、イギリスらしく、暗い。
    でも他のも読んでみたい。
    やっぱりオリジナルがせっかく英語なら英語じゃないと。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Amsterdam" Ian McEwan (1998) Review | So dark so English
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    アムステルダム (新潮文庫)



  • 『The incendiaries』 R. O. Kwon, 2018年 感想 | パンクなカルト恋愛小説

    『The incendiaries』 R. O. Kwon, 2018年 感想 | パンクなカルト恋愛小説

    🔽 基本情報 🔽
    The incendiaries
    R. O. Kwon, 2018
    214 pages
    2024年6月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ダークでリアルでパンクな若者の日々。
    韓国系アメリカ人の魅力的な女の子、その子に惹かれる普通の男の子。
    男の子が見つめる中、女の子はどんどん北朝鮮がテーマの白人の男の子がリーダーのカルト(つまり実態もメッセージも脆い)にハマり行動もエスカレートしていく、という流れ。

    なんかちょっとパンクな感じで、カルトやテロリズムに繋がっていくんだけど、現代文学ゆえ表面的な雰囲気のまま。
    文章の表現がまるで詩のようで新鮮さはあるんだけど、深さがないのが残念ではある。

    複雑な心境にあるはずの女の子にもナレーターである男の子にも感情移入ができない。
    そこを狙っているのかもしれないんだけど、そのせいで私の好みからは外れてしまう。

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    English review
    "The incendiaries" R. O. Kwon (2018) Review | A bit of punk, a lot of cult love story
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  • 『若きウェルテルの悩み』ゲーテ, 1774年 感想 | 悲劇のヒロインぶり

    『若きウェルテルの悩み』ゲーテ, 1774年 感想 | 悲劇のヒロインぶり

    🔽 基本情報 🔽
    The Sorrows of Young Werther
    Johann Wolfgang von Goethe, 1774
    Die Leiden des jungen Werthers
    若きウェルテルの悩み
    ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
    144 pages
    2024年5月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    誰もが聞いたことのある古典。というのを読むことにしたのがこの時期。
    想像よりももっと大変なお話だった。
    青年の悲しみや苦しみはそうなんだけど、それよりも彼の自己憐憫、悲劇のヒロインぶりがすごい。

    大人になって恋だの愛だのを経験して読むんじゃなくて、現在進行形で全身で恋愛をしている若い人が読んだら感動が違うだろうし、さらに18世紀に読んだらもっと違うんだろう。
    タイトルにちゃんと、「若き」ヴェルテルとなってるのがみそ。
    ここは多くの若き人々が通る道。

    青年は恋に落ちた。相手の女性の友情を自分への愛情だと勘違いし、苦しみ、そしてその苦しんでる自分にも酔ってしまう。
    自分自身への酔いこそが絶望の源となり、自分では制御できないモンスターになる。
    その悲劇の恋愛の原型のような、これ以降に書かれる報われない恋の物語の原型のような、250年たっても未だに共感する純粋な青年の苦悩。

    🔽 読書記録 🔽
    English review
    "The Sorrows of Young Werther" J W von Goethe, (1774) Review | Self pity is full on
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  • 『無花果の森』 小池真理子, 2011年 感想 | 隠したいこと、隠さなければいけないこと

    『無花果の森』 小池真理子, 2011年 感想 | 隠したいこと、隠さなければいけないこと

    ★★★☆☆ 人生を半分くらい生きると、隠したいこと、隠さなければいけないことくらい誰だってある。そんなときにだから会える人もいる。
    🔽基本情報🔽
    無花果の森
    小池真理子 2011
    Mariko Koike
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    いわゆるアラフォー世代に響く、というやつ。もう一回人生をやり直せる。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    DVを扱うのはまだ珍しかったのかな、でも逃げる彼女の心境がリアルに描かれている。

    アラフォーとかアラサーとかという言葉を使いこなせない私ですが、つまりほぼ中年の男女の訳ありの恋愛。
    人生を半分くらい生きると、隠したいこと、隠さなければいけないことくらい誰だってある。
    画家の頑固おばあちゃんとバーのママの脇役がいい。この二人は人生のもっと先輩だから。

    登場人物の若くはなく、もうすぐ40の女性が新しい人生を歩もうとするのはいいんだけど、でもぼちぼちよい一冊。
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  • 『愛さずにはいられない』 藤田宜永 2003年 感想 | 60年代の青年時代

    『愛さずにはいられない』 藤田宜永 2003年 感想 | 60年代の青年時代

    ★★★☆☆ 60年代を生きた著者の青年時代の私小説。一人の女性を愛し、その裏にある母親との葛藤というのも絡み合って複雑にする。好みではないけれど面白くないわけではない。
    
    
    
    
    
    🔽基本情報🔽
    愛さずにはいられない
    藤田宜永 2003
    Yoshinaga Fujita
    784 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    この作家のファンは私なんかより絶対もっと楽しめる

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    60年代を生きた著者の青年時代の私小説。

    この時代というのは、とにかく破滅的。
    それでも生きていけたんだから。

    でもどうもこういうのは苦手ではある。
    最近こういう、60年代の俺の青春時代、っぽいのをなぜかよく読んでる。
    でも、一人の女性をとことん愛したストーリーとしてしっかり軸もあるし、そして実はその裏にある母親との葛藤というのも絡み合って複雑にしている。
    私の趣味と違うけれど面白くないわけではない。
    私がこの著者の作品を知らないことも、この本から私を遠ざけているのかも。

    昔はこういう生き方が出来たし、それがかっこ良くて、まあ若者に活気があった、ということ。
    いまはそんな生き方じゃ生き延びられない。
    
    
    
    
    
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  • 『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    🔽基本情報🔽
    Carol
    By Patricia Highsmith, 1952
    The Price of Salt
    キャロル
    パトリシア・ハイスミス
    307 pages
    2024年4月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    映画にもなったキャロル。まだ見ていないけど、確かにケイト・ブランシェットはこの雰囲気にピッタリ。
    発表当時はあからさまな女性同士のラブストーリーに世間が騒いだと思う、けどこれがパトリシア・ハイスミスの名前で出ていたらもっと騒がれたと思う。
    つい最近サラ・ウォーターズを読んだのでどうしても比べてしまいたくなるけど、キャロルの方はミステリーやサスペンスではなく、恋愛小説。

    クリスマスの運命の出会いからお互いに惹かれ、あてのない逃走劇も始まる。でも純粋な恋愛かどうか。どうも、愛する二人が醸し出すピンと張った空気とは違うテンションがある。ある少女が女性になる過程にようなテンションが。

    少年がおとなになるという物語はよくあるけど、これも同じような雰囲気。
    そういうほろ苦さのある雰囲気。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Carol" Patricia Highsmith, (1952) Review | Bittersweet love story

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  • 『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

    『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

    🔽 ログ 🔽
    The Paying Guests
    By Sarah Waters, 2014
    黄昏の彼女たち
    サラ・ウォーターズ
    595ページ
    2024年3月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    サラ•ウォーターズだから期待どおりハラハラドキドキの一冊。
    描写も細かくて、どんどん爆走が続いてこっちまで、いやちょっとそれはまずいんじゃない、と突っ込みたくなる。

    「荊の城」よりストーリーを追いやすいけど、浅い物語というわけではない。
    ここでも、一筋縄では行かない女性が中心。

    第一次大戦後、ロンドン郊外で保守的な母親と静かに暮らしていくはずだった女性。
    裕福な家庭だったのに戦争で男手を失くし、唯一の収入源として部屋を貸し出すことになり下宿人としてやってきた若い夫婦。
    そして女性は美しい妻の方に惹かれてゆく。そして徐々に良くない方向に。
    これは操りなのか純粋の愛なのか。誰が誰を操っているのか。

    控えめな下宿人の妻、「荊の城」のように仕方がない私が守ってやろう的な心構えだったのに、なんというか結局翻弄され振り回される、のだけどそこにはきっと愛がある。きっと。

    馴染めないロンドン郊外の敵意のある冷淡な社会の渦のなか、二人は自分達だけの無垢な世界を作れるのか。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Paying Guests" Sarah Waters (2014) Review | But who manipulates who
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  • 『傲慢と善良』 辻村深月, 2019年 感想 | 社会が突きつけてくる物差し

    『傲慢と善良』 辻村深月, 2019年 感想 | 社会が突きつけてくる物差し

    🔽 ログ 🔽
    傲慢と善良
    辻村深月 2019年
    Mizuki Tsujimura
    504ページ
    2025年7月 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    人気の小説というのは知っていたけど、実は読んだことない作者だし、第一、日本の現代文学は自分の好みではないと決めつけている私がいて。
    それじゃいけないと読む幅を広げるという意味で手にした本。
    自分の固定観念に挑戦した結果、この本が読めた。でかした、自分。

    社会という暗い大きな闇が突きつけてくる物差し。
    いい子は誉められます、きちんと親のいうことを聞いて、嘘をつかずに、でしゃばらずに。
    それが今のこの日本社会で子供のときから受ける教育。
    一昔前はそうだったんだから、あなたもそうしなさいという上の世代からの教育。

    私自身はさっさと国外に出たので自分の境遇とは違う、だけど、だからといってこれを読んで心が痛まないわけはない。

    恋愛小説でありながら、突如いなくなる婚約者、真実(まみ)のあとを追うミステリー風でもある。つまり読みごたえがある。
    ちょっとずつ彼女の過去や思考の霧が晴れていく中で、これはいま結婚を「するべき年齢」といわれる日本の若者誰もが痛く感じさせられる現実であると思い知らされる。
    家族ぐるみのお見合いではない、自分が定めた数ある基準から相手の点数を見定める婚活。
    そこで見定められるものは本当は何なのか。

    ヨーロッパでは親からの結婚の期待はあるのはあるけど、私の自由です放っておいて、と突き放すもしくは宥めることの方が多い。
    それは、日本のようながんじがらめのレールを敷く社会を思春期で体感しないから。
    間違っていようが自分の意見をいうことが奨励される社会で育つとそこまで多くの人は彼女に自分を投影しない。
    そして他のアジアの国の多くは未だに家族が決めるお見合いも多い。よくも悪くも結婚とは家庭とはそういうものという考え方もある。
    つまり日本はそのどちらからも外れた、自分の意見も主張できず家族の提供する安心感も浅い中でプレッシャーと疲労感だけが高まる孤独な活動となる。

    でも、それでも、ネタバレ阻止で詳しくは言えないけど、彼女は確実にいわゆる大人の階段を上る。
    遅いか早いかは、周りから見れば遅いかもしれない。しかし遅すぎることはない。

    まだ間に合う、まだ失敗しても大丈夫、人生はいつだって方向転換ができる、まだここが終わりじゃない。よかった。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(Arrogance and Virtue)" Mizuki Tsujimura (2019) Review | Not so comical "Pride and Prejudice" in Japan
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    傲慢と善良 (朝日文庫) [ 辻村深月 ]
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    傲慢と善良 (朝日文庫)






  • 『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

    『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

    🔽 ログ 🔽
    Piglet
    Lottie Hazell 2024
    ロッティ・ハゼル
    282 pages
    2025年7月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代女性の怒りのストーリー。頑張りすぎて、人の意見や期待に合わせてばかりな彼女。そして食、食べることについて。

    結婚2週間前のテンションマックスのピグレットというあだ名の女性は相手の男性から裏切りの告白を受ける。頑張って作り上げた自分像をこの期に及んで壊すか、それとも頑張り続けるか、嫌いだった実家に戻るか。

    いや、高級スーパーで買い物するわたしを見て。おしゃれな料理を作るわたしを認めて。

    今の働く女性、頑張ってる女性、期待に応えようと走り続ける女性はやっぱり共感してしまう。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Piglet" Lottie Hazell (2024) Review | Will you break the perfect life?
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    Piglet: ‘If I owned a bookstore, I’d hand-sell Piglet to everyone’ New York Times Book Review (English Edition)





  • 『高慢と偏見』ジェーン•オースティン, 1813年 感想 | お金持ちの青年を散々けなして結局結婚する

    『高慢と偏見』ジェーン•オースティン, 1813年 感想 | お金持ちの青年を散々けなして結局結婚する

    🔽ログ🔽
    Pride and Prejudice
    Jane Austen, 1813年
    高慢と偏見
    ジェーン•オースティン
    367 pages
    2025年1月読了

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    高慢と偏見 上 (岩波文庫 赤222-1) [ オースティン,J.(ジェーン) ]
    
    
    
    
    
    🔽🔽読書記録🔽🔽
    古典中の古典。超クラシック。ストーリーはすでによく知られているけど、会話に滲み出るこのユーモアが「もっとも愛されている本」に数えられる理由。

    典型的なイングランド、英国。ライフスタイルもユーモアも。登場人物は皆生き生きとしていて、ストーリーはシンプルなのに次が気になって仕方がない。どの国のどの境遇の人をも魅了する物語だけど、もう王道を突っ走りすぎて、これに感化されていないラブストーリーを見つけることの方が難しいかも。

    いつかちゃんと映画も見ないと
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Pride and Prejudice" Jane Austen (1813) Review | How to humiliate a rich guy and marry him
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    高慢と偏見 上 (岩波文庫 赤222-1) [ オースティン,J.(ジェーン) ]


    高慢と偏見 下 (岩波文庫 赤222-2) [ オースティン,J.(ジェーン) ]


    Pride and Prejudice PRIDE & PREJUDICE REV/E (Penguin Classics) [ Jane Austen ]

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    高慢と偏見 (中公文庫)


    Pride and Prejudice, Annotated (Penguin Classics) (English Edition)