★★★★★ 9つの聖なる人生。彼らは人間ではあるけれど「聖なるもの」として崇められている。ローカルな信仰が薄れていき、代わりに意図的にインド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできている。あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。
🔽 基本情報 🔽
Nine Lives: In Search of the Sacred in Modern India
William Dalrymple, 2013
9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
ウィリアム・ダルリンプル
305 ページ
2025.11 読了
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
今まで読んだダルリンプル氏の他の本とはちょっと違った感じ。
形としては旅行記なんだけど、旅先の土地の様子ではなく、その土地が「創り上げた」人々の話。
9つの聖なる人生、9人の人間のストーリー。
彼らは人間ではあるけれど、「聖なるもの」として崇められすでに人間ではない生活を送っている。
例えば自己を捨て聖人としてただ流れに任せて生きている人や、女神に仕える女性として生きているけれどでもやっていることは売春婦でしかないひと、または宗教的な踊りや歌を受け継ぐ人、本当にそれぞれの宿命を背負って生きている。
私がダルリンプルの書く文章が大好きな理由はもちろん、彼のすべてをありのままに受け止め、深い情熱と愛を持って世界に届けようとする徹底したその姿勢。
いまインドの社会は大きく変化している。
それは日本のように人々が宗教から離れていくという減少ではなく、その土地その町の超ローカルな信仰が薄れていき、代わりに、意図的に、インド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできているということ。
何百年も語り継がれてきた地元の信仰とは違う、インド全土で統一されたラーマの物語が全国放送のテレビを通じて短期間で人々の脳内の記憶を塗り直すナショナリステックなラーマフィケーション(Rama-fication、ラマ化)が進む中、あと何十年、あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。
その最後をきちんと書き残してくれる歴史家がいるって素晴らしい、の一言に尽きる。
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English review “Nine Lives” William Dalrymple (2013) Review | Being holy in India today
tag インド
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9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて (集英社新書)

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