★★★★☆ 外国籍の二人の女性の東京物語。外国人という生きづらさ、宗教やセクシュアリティという葛藤、また他文化に抑圧される故郷への想い、その上に自分の未来への希望や不安を、ひんやりと描く。
🔽 基本情報 🔽
星月夜
李琴峰, 2023
Li Kotomi
192 ページ
2025.10 読了
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
外国籍の二人の女性の東京物語。
静かにひんやりとした、新鮮さがある。
ウイグルから来た学生と台湾からきた日本語教師。
その設定も絶妙でいわゆる狭い意味での中国に対しネガティブなイメージを持って育った二人が日本という外国で、中国語(Mandarin)で会話する。
端から見るとそれで心は通じ合えると見えるが実はそうでもないし、あまりにも故郷の環境が違う。
それぞれ自由になるために日本に来た、その代償は小さくない。
彼女らの日本での生活の物語だけど、それは完全なフィクションではない。
日本のように外国人に対し厳しい社会では、外国人であることはまず圧倒的に不利であり、しかも白人でないとなると日本人より優れた才能や能力があるぐらいでは対等にすらなれない。
いろんな側面の言葉の問題が何度も出てくるのが面白い、よく分かる。
その一人が言う通りで日本語が話せてもわずかな発音で差別される悔しさは、差別される側の人間しか分からない。
そしてその悔しさも差別も一日に何十回もある。
外国人という生きづらさを背景に、宗教やセクシュアリティという個人レベルの葛藤、また他文化に抑圧される故郷への想い、そういったものの上に、自分の未来への希望や不安を、ひんやりと描く。
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星月夜 (集英社文庫)



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