「アヘン王国潜入記」 高野秀行, 1998 >>

★★★★★ 普通、ミャンマーの山中にある世界最大のアヘン生産地に半年も行かないよ。政治的に意図的に隔離されていてでも変わり者が何日もかけて歩いていくと、そこには私たちと変わらない気持ちで、泣いて笑って生活する人たちがいる。
🔽基本情報🔽
アヘン王国潜入記
高野秀行 1998
Hideyuki Takano
392 pages
2024年5月 読了
🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
アジアの辺境ルポ系が好きな人。ウルルン滞在記っぽいけど、かなりリアル。

🔽 楽天ブックス (内容、著者紹介も) 🔽

アヘン王国潜入記 (集英社文庫(日本)) [ 高野 秀行 ]

🔽🔽 読書記録 🔽🔽

この本が面白いのは、テーマや内容も去ることながら、著者本人の人格が大きな魅力。

普通、ミャンマーの山中にある世界最大のアヘン生産地に半年も行かないよ。
しかも特にジャーナリスティックな野望をもってではなく、ただ一緒にケシ栽培したいからという理由で。
この村に生まれて、アヘンの農業に一生を費やし、たまに吸って、いつかは死んでいく、他の何も知らずに。生きる意味とかそういう綺麗事じゃない。
だからこの本には歴史や政治の話は少ない。
歴史や政治や国家は隔離された小さな村に住む人々の暮らしの軸ではないから。
でも、村の回りには巨大な力が渦巻いていて、典型的な貧富の差や搾取がある。
つまり軸ではないけれど、人々は間違いなく左右されている。

世界は隅から隅まで知られてる訳ではない。
人が住んでいて、こんな重要な土地であるはずの場所ですら知られていない。
政治的に意図的に隔離されているこういうところがあって、でも変わり者が何日もかけて歩いていくと、そこには私たちと変わらない気持ちで、泣いて笑って生活する人たちがいる。

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アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
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