『傲慢と善良』 辻村深月, 2019年 感想 | 社会が突きつけてくる物差し

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傲慢と善良
辻村深月 2019年
Mizuki Tsujimura
504ページ
2025年7月 読了
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人気の小説というのは知っていたけど、実は読んだことない作者だし、第一、日本の現代文学は自分の好みではないと決めつけている私がいて。
それじゃいけないと読む幅を広げるという意味で手にした本。
自分の固定観念に挑戦した結果、この本が読めた。でかした、自分。

社会という暗い大きな闇が突きつけてくる物差し。
いい子は誉められます、きちんと親のいうことを聞いて、嘘をつかずに、でしゃばらずに。
それが今のこの日本社会で子供のときから受ける教育。
一昔前はそうだったんだから、あなたもそうしなさいという上の世代からの教育。

私自身はさっさと国外に出たので自分の境遇とは違う、だけど、だからといってこれを読んで心が痛まないわけはない。

恋愛小説でありながら、突如いなくなる婚約者、真実(まみ)のあとを追うミステリー風でもある。つまり読みごたえがある。
ちょっとずつ彼女の過去や思考の霧が晴れていく中で、これはいま結婚を「するべき年齢」といわれる日本の若者誰もが痛く感じさせられる現実であると思い知らされる。
家族ぐるみのお見合いではない、自分が定めた数ある基準から相手の点数を見定める婚活。
そこで見定められるものは本当は何なのか。

ヨーロッパでは親からの結婚の期待はあるのはあるけど、私の自由です放っておいて、と突き放すもしくは宥めることの方が多い。
それは、日本のようながんじがらめのレールを敷く社会を思春期で体感しないから。
間違っていようが自分の意見をいうことが奨励される社会で育つとそこまで多くの人は彼女に自分を投影しない。
そして他のアジアの国の多くは未だに家族が決めるお見合いも多い。よくも悪くも結婚とは家庭とはそういうものという考え方もある。
つまり日本はそのどちらからも外れた、自分の意見も主張できず家族の提供する安心感も浅い中でプレッシャーと疲労感だけが高まる孤独な活動となる。

でも、それでも、ネタバレ阻止で詳しくは言えないけど、彼女は確実にいわゆる大人の階段を上る。
遅いか早いかは、周りから見れば遅いかもしれない。しかし遅すぎることはない。

まだ間に合う、まだ失敗しても大丈夫、人生はいつだって方向転換ができる、まだここが終わりじゃない。よかった。

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English review
"(Arrogance and Virtue)" Mizuki Tsujimura (2019) Review | Not so comical "Pride and Prejudice" in Japan
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