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  • 『片想い』東野圭吾, 2001 感想 | 自分のことをわかってほしい>>

    『片想い』東野圭吾, 2001 感想 | 自分のことをわかってほしい>>

    🔽 基本情報 🔽
    片想い
    東野圭吾, 2001
    624 ページ
    2025.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    大学時代のアメフト部の仲間たち。
    当時のマネージャーが人を殺したと告白してきたので夫婦でかくまうことにした、そこまでは裏表紙にかいてあるけれど、これ以上はネタバレになるので何もいえない。

    アメフトという「男の世界」、夫婦間での愛情や信頼、男として女としての暗黙の役割や社会的立場。
    そういう所をとことん疑問視する。
    今から24年前に書かれたというのは、かなり早い時点でこの問題に向き合っていたと思う。
    今でさえ日本は男らしいとか女らしい、白黒はっきりした男女という概念が常識とされ、それに当てはまらない人間は気持ち悪いか、笑いの対象になる。
    もちろん男尊女卑は当然。
    そこに不満を持っているかどうかでこの本への気持ちの持ち方は変わると思う。

    はっきりできない部分、わからない部分、そういうところをテーマに、大学時代の友情やアメフト部のポジション関係を絡ませる。
    現実であれば、本人が懸命に隠したい部分はいくら友人でも尊重してあげればとも思うけど。

    タイトルがいい。
    なるほど、相手に自分のことをわかってほしいという気持ち、それは片想い。
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  • 『(ハイヒールを履いた僧侶) 』西村宏堂, 2022 感想 | メイクアップと仏教という使命 >>

    『(ハイヒールを履いた僧侶) 』西村宏堂, 2022 感想 | メイクアップと仏教という使命 >>

    🔽 基本情報 🔽
    This Monk Wears Heels: Be Who You Are
    Kodo Nishimura, 2022
    (ハイヒールを履いた僧侶)
    西村宏堂
    224 ページ
    2022.09 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    お坊さんでありながらメイクアップアーティストであるユニークな人物。
    ユニークで強い使命感を持った人物。

    若い人にとって大きな励みになる自己啓発の本、ゲイであろうがなかろうが、根本的なメッセージは変わらない。
    自分に自信を持って、誇りを持って。

    メイクアップは自分の美をより強めるものであり、その裏に隠れるためのものではない。
    そして仏教は真実を追求するものである。
    そういう見方で考えると、一見無関係な2つのことが同じ目的を持っていて、それこそが彼の目的、ミッション。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “This Monk Wears Heels” Kodo Nishimura (2022) Review | Make-up and Buddhism
    tag 仏教
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  • 『星月夜』李琴峰, 2023 感想 | 外国籍の二人の女性の東京物語 >>

    『星月夜』李琴峰, 2023 感想 | 外国籍の二人の女性の東京物語 >>

    🔽 基本情報 🔽
    星月夜
    李琴峰, 2023
    Li Kotomi
    192 ページ
    2025.10 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    外国籍の二人の女性の東京物語。
    静かにひんやりとした、新鮮さがある。

    ウイグルから来た学生と台湾からきた日本語教師。
    その設定も絶妙でいわゆる狭い意味での中国に対しネガティブなイメージを持って育った二人が日本という外国で、中国語(Mandarin)で会話する。
    端から見るとそれで心は通じ合えると見えるが実はそうでもないし、あまりにも故郷の環境が違う。
    それぞれ自由になるために日本に来た、その代償は小さくない。

    彼女らの日本での生活の物語だけど、それは完全なフィクションではない。
    日本のように外国人に対し厳しい社会では、外国人であることはまず圧倒的に不利であり、しかも白人でないとなると日本人より優れた才能や能力があるぐらいでは対等にすらなれない。
    いろんな側面の言葉の問題が何度も出てくるのが面白い、よく分かる。
    その一人が言う通りで日本語が話せてもわずかな発音で差別される悔しさは、差別される側の人間しか分からない。
    そしてその悔しさも差別も一日に何十回もある。

    外国人という生きづらさを背景に、宗教やセクシュアリティという個人レベルの葛藤、また他文化に抑圧される故郷への想い、そういったものの上に、自分の未来への希望や不安を、ひんやりと描く。

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  • 『正欲』 朝井リョウ, 2021年 感想 | ズシンと後味も悪い

    『正欲』 朝井リョウ, 2021年 感想 | ズシンと後味も悪い

    🔽 基本情報 🔽
    正欲
    朝井リョウ, 2021
    528 ページ
    2025.10 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    確かにズシンと重みがあって、後味も悪い一冊。
    なぜかと考えると。
    やっぱり最大の理由はこの本にずばりと「あんたもそうなんでしょ」と言われているからだ。
    「あんたも気持ち悪いと思ってるでしょ」
    「あんたも都合のいい多様性だけには寛容なんでしょ」
    「あんたも本当は人に言えないことあるでしょ」

    多様性、言うは易し。
    外国で暮らすと当然のことながら自分の価値観はマイノリティになる。
    (価値観どころか自分の存在自体がマイノリティになるし、酷ければ虐げられるけど)
    でも実は国境を越えなくても、じゃあ同じ町で生まれた人はみな同じ感覚か、教室ではみな分かち合えるのか、きょうだい間では。
    そうつまり、理解してもらうことは超レア。
    でも学校では日本は特に正しい答えを復唱することだけを教えられてきて、表面だけではみんな正常で安心して同じ製品として大きくなっていく。
    人は自分と違うという意識がないので想像力が培われない。
    ただし、根本的な欲望が人と違う人間の場合は別。
    人と違う不良品と思い込んで生きていくしかない状況に陥りやすくなる。

    結局人間の喜びは繋がること、理解してもらえること。
    主人公たちが実際に出会えた幸せというのは、本当は図りきれない奇跡。

    人それぞれに興奮する対象が違うというのは当たり前で、人に言えないことがあるのも、程度や頻度は違ってももうここで人生終わりたいと思うことも当たり前。
    人生で知らないことばかりなのも、ほとんどの場面で自分が間違っているのも当たり前。
    つまりみんな正解のない中で生きているんだな、と分かれば自分も他人も楽になるのでは。

    多様性は大事。
    多様性のない社会は滅びます。
    たぶんずっと正しい答えは見つからず、しかも現在正しいとされていても時代が変われば正義も変わるし、永久に議論は続くと思う。
    でも議論ができるというのは違う意見が立場が存在するからで、社会はすこーしずつ良くなる。
    つまり、たまには大声を出しあってでも議論が永久に続くことが少なくとも私たちができる最良な選択でもあるのでは。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “(Ab)Normal Desire” Ryo Asai (2021) Review | You, too
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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  • 『汝、星のごとく』 凪良ゆう, 2022 感想 | 純粋にまっすぐ、強く生きる

    『汝、星のごとく』 凪良ゆう, 2022 感想 | 純粋にまっすぐ、強く生きる

    ★★★★☆ 純粋にまっすぐ、強く生きる。若い人が例えば読書を好きになるきっかけになる素敵な綺麗なストーリー。話題作なはず。良いですね。
    🔽 基本情報 🔽
    汝、星のごとく
    凪良ゆう 2022
    Yu Nagira
    348 pages
    2025.09
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    話題作。
    前はいつも自分好みの作家ばかり選んでいたので、意識的に話題作もちゃんと読んでる。
    これも本屋大賞を獲る作家、凪良ゆう (といっても名前も聞いたことがあるくらいだったけど、それは私が日本にいないという地理的な問題。)

    タイトルや表紙からもわかる綺麗なラブストーリー。
    自分勝手な親に振り回される高校生の恋から、ぐるぐると回る環境に巻かれ、するりと大人になってしまう二人の物語。

    純粋にまっすぐ、強く生きる。

    意地を張りながら、仕方がないと思いながら、打ちのめされながら、忘れずに自由を望みながら、愛と生をしっかり抱えながら。
    若いって素晴らしいとは言わない。そんなに人生は楽じゃないし、環境や境遇はそう簡単には変えられないし変わらない。

    続編があるそうで、ということはちゃんと他のも読まないと大きな事は言えないけど、若い人が例えば読書を好きになるきっかけになる素敵な綺麗なストーリー、それに尽きると思う。
    私のツボから離れているのは、私がターゲット層じゃないからでストーリーは素敵、おすすめできる。
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  • 『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022 感想 | 挑発的にスリランカのリアルを描く

    『マーリ・アルメイダの七つの月』シェハン・カルナティラカ, 2022 感想 | 挑発的にスリランカのリアルを描く

    🔽 基本情報 🔽
    The Seven Moons of Maali Almeida
    Shehan Karunatilaka, 2022
    マーリ・アルメイダの七つの月
    シェハン・カルナティラカ
    368 pages
    2024.09 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ずっと気になっていたけど、できるだけ前情報無しで読んだ本。
    なので、もし何も知りたくなかったら、この本は型にはまらない自由でぶっ飛んだ本ということだけ知ってもらって、あとはこの文章は読まないでください。
    こんな私の文章を読んだところで本の方は想像を絶するわけですが。

    まず死んだところからスタートする、さて誰が俺を殺したかのストーリー。
    幽霊ありモンスターあり、ミステリーで、現代スリランカの複雑な戦争、ということがキーワードだけど、だからといってこのストーリーが想像できるわけではない。
    スリランカの現代史を全く知らないと少しだけ出遅れるけれど、どうせぶっ飛んでいるし、徐々に物語の中に引きずり込まれていく。

    主人公は二人称youで書かれていて、何も分かっていない主人公と一緒に発見していくのがさらに良い。
    ただそのyouはテキトーな戦場カメラマンで、浮気症のゲイで、ギャンブル依存。
    絵に書いたアンチヒーローに徹しているのに一緒に7つの月の時間を過ごしていくとそんなに悪いやつじゃない気がしてくる。

    挑発的でファンタジーでありながらスリランカのリアルを描くという、型にはまらないマジカルリアルズムの一冊。
    ロック音楽かパンクが大音量でかかっているかのような読書体験。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Seven Moons of Maali Almeida" Shehan Karunatilaka (2022) Review | Provocative and real
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  • 『ファニー・ヒル』ジョン・クレランド, 1749年 感想 | もっとも発禁された本、社会の敵

    『ファニー・ヒル』ジョン・クレランド, 1749年 感想 | もっとも発禁された本、社会の敵

    🔽 基本情報 🔽
    Fanny Hill
    Memoirs of a woman of pleasure
    John Cleland 1749
    ファニー・ヒル
    ある遊女の回想記
    ジョン・クレランド
    176 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    古典なので読むべき本だけど、その描写についていける人はぜひその後ろにある彼女の人間性や成長を読んでください。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    文学史上もっとも発禁された本。最初のポルノグラフィ小説とも言われている悪名高き古典。
    当時のロンドンは借金を返せない人で牢獄はいっぱいだったそうで、著者クレランドもそのうちの一人でこれは獄中で書かれたもの。

    確かにかなり細かい描写で性の描写に執着しまくってるので、もう少し抑えたくらいが私にはありがたいけど、でもそれではこの本の魅力と意味がなくなる。
    著者は同性愛者だという評論家もいるそうで確かに男性の肉体の描写が細かい、女性のキャラクターの身体の方が数は多いのに、圧倒的に男性に執着してる。

    1749年出版後から1970年の正式な再出版まで続く、発禁、逮捕、海賊版、没収。
    だってこの本、売春、恥を見せない娼婦、同性愛、男性同士の行為の描写、障害者への強制、そしてあっけらかんとした少女は最後にはお金持ちにまでなるという、確かに社会の敵としか考えられない内容。

    何よりも社会、つまり男性社会、家父長制にとっての敵は罰を受けない自由な女性像。
    典型的な悪女の物語は、悪女が悔い改めるか罰を受けるかでハッピーエンドとなる。
    例えばロリータはなんだかんだ言って収まるところこ収まるという社会の罰を受ける。(でもナオミは自由のまま生き続ける、だから谷崎は素晴らしい)
    なので私は世間が言うほどロリータはケシカラン本とは思えない。
    ケシカラン本とは、こういう風に自由に生きて自由のまま終わる女性を描いた本。
    ケシカラン本、バンザイ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Fanny Hill Memoirs of a woman of pleasure" John Cleland (1749) Review | One of the most banned books
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    ファニー・ヒル




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  • 『めぐりあう時間たち』マイケル・カニンガム, 1999 感想 | 新しいダロウェイ夫人

    『めぐりあう時間たち』マイケル・カニンガム, 1999 感想 | 新しいダロウェイ夫人

    🔽 基本情報 🔽
    The Hours
    Michael Cunningham, 1999
    THE HOURS―めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人
    マイケル・カニンガム
    230 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ヴァージニア・ウルフ好きに。せっかくだからちゃんとダロウェイ夫人を読んでから。

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」が元になっているストーリーなので、どう考えてもダロウェイ夫人を先に読むべきだけど、手元にはこれがあったのでこっちから読んでしまったので、単純にこの本だけのことです。

    ここには3人の女性が出てくる。自分が持っていない何かを探し求める女性3人。
    普通じゃないことこそが至って普通。逃げ出したくなったり、見ないふりをすることこそが普通。
    でも、例えばブラウン夫人のように、自分の行動が他の人に影響を及ぼすことだってある。
    あんなことしなければ。なんであんな人に時間を費やすのか。次から次へと浮かび上がる彼女たちの考えが思考が後悔が「意識の流れ」が止まらない

    人生の中にはとても重要な数時間というものがある。
    その時間においてのあなたの行動が残りの人生にずっと付きまとってくることも。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The hours" Michael Cunningham (1999) Review | A new Mrs. Dalloway

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    THE HOURS―めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人




    Michael Cunningham's The Hours



  • 『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    『キャロル』パトリシア・ハイスミス, 1952年 感想 | 少女は大人の女性と恋に落ちる

    🔽基本情報🔽
    Carol
    By Patricia Highsmith, 1952
    The Price of Salt
    キャロル
    パトリシア・ハイスミス
    307 pages
    2024年4月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    映画にもなったキャロル。まだ見ていないけど、確かにケイト・ブランシェットはこの雰囲気にピッタリ。
    発表当時はあからさまな女性同士のラブストーリーに世間が騒いだと思う、けどこれがパトリシア・ハイスミスの名前で出ていたらもっと騒がれたと思う。
    つい最近サラ・ウォーターズを読んだのでどうしても比べてしまいたくなるけど、キャロルの方はミステリーやサスペンスではなく、恋愛小説。

    クリスマスの運命の出会いからお互いに惹かれ、あてのない逃走劇も始まる。でも純粋な恋愛かどうか。どうも、愛する二人が醸し出すピンと張った空気とは違うテンションがある。ある少女が女性になる過程にようなテンションが。

    少年がおとなになるという物語はよくあるけど、これも同じような雰囲気。
    そういうほろ苦さのある雰囲気。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Carol" Patricia Highsmith, (1952) Review | Bittersweet love story

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  • 『(Spectacles a memoir)』 スー•パーキンス, 2015年 感想 | ドキュメンタリーでは無茶しっぱなし

    『(Spectacles a memoir)』 スー•パーキンス, 2015年 感想 | ドキュメンタリーでは無茶しっぱなし

    🔽 ログ 🔽
    Spectacles a memoir
    By Sue Perkins, 2015
    377 pages
    2024年4月 読了

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    スー•パーキンスはイギリスのお茶の間で一番好きな人、BBCの中では最高峰。
    
    当時トークショーに行って並んでサインももらったけど、そこで満足して読んでないことを8年ほど忘れていたという。
    
    頭の回転が早く面白い、でもオチャメな感じで、ばか正直な所もあって、ドキュメンタリーでは無茶しっぱなしで、何よりも人間味がある。
    つまり素敵な人間。彼女のドキュメンタリーは全部面白い。
    イギリスの料理コンテスト番組,ブリティッシュ・ベイクオフ(Great British Bake Off)で最初のシーズンで司会者の一人となったことで超有名に。
    
    この本もハチャメチャな愛に溢れている。
    レズビアンなのはみんな知ってるけど、大きな病気をしていたのは知らなかった。
    でもこの本でびっくりしたのは彼女は思ったよりも上の年齢だったこと。
    かなり身体的にきつそうなドキュメンタリやってたけど…
    
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Spectacles a memoir" Sue Perkins (2015) Review | My fave TV personality
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  • 『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

    『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ, 2014 感想 | 女性二人の恋愛と犯罪

    🔽 ログ 🔽
    The Paying Guests
    By Sarah Waters, 2014
    黄昏の彼女たち
    サラ・ウォーターズ
    595ページ
    2024年3月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    サラ•ウォーターズだから期待どおりハラハラドキドキの一冊。
    描写も細かくて、どんどん爆走が続いてこっちまで、いやちょっとそれはまずいんじゃない、と突っ込みたくなる。

    「荊の城」よりストーリーを追いやすいけど、浅い物語というわけではない。
    ここでも、一筋縄では行かない女性が中心。

    第一次大戦後、ロンドン郊外で保守的な母親と静かに暮らしていくはずだった女性。
    裕福な家庭だったのに戦争で男手を失くし、唯一の収入源として部屋を貸し出すことになり下宿人としてやってきた若い夫婦。
    そして女性は美しい妻の方に惹かれてゆく。そして徐々に良くない方向に。
    これは操りなのか純粋の愛なのか。誰が誰を操っているのか。

    控えめな下宿人の妻、「荊の城」のように仕方がない私が守ってやろう的な心構えだったのに、なんというか結局翻弄され振り回される、のだけどそこにはきっと愛がある。きっと。

    馴染めないロンドン郊外の敵意のある冷淡な社会の渦のなか、二人は自分達だけの無垢な世界を作れるのか。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Paying Guests" Sarah Waters (2014) Review | But who manipulates who
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  • 『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

    『Piglet』 ロッティ・ハゼル, 2024年 感想 | 頑張って作り上げた自分像を壊すか

    🔽 ログ 🔽
    Piglet
    Lottie Hazell 2024
    ロッティ・ハゼル
    282 pages
    2025年7月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代女性の怒りのストーリー。頑張りすぎて、人の意見や期待に合わせてばかりな彼女。そして食、食べることについて。

    結婚2週間前のテンションマックスのピグレットというあだ名の女性は相手の男性から裏切りの告白を受ける。頑張って作り上げた自分像をこの期に及んで壊すか、それとも頑張り続けるか、嫌いだった実家に戻るか。

    いや、高級スーパーで買い物するわたしを見て。おしゃれな料理を作るわたしを認めて。

    今の働く女性、頑張ってる女性、期待に応えようと走り続ける女性はやっぱり共感してしまう。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Piglet" Lottie Hazell (2024) Review | Will you break the perfect life?
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    Piglet: ‘If I owned a bookstore, I’d hand-sell Piglet to everyone’ New York Times Book Review (English Edition)





  • 『(古代世界のバイセクシュアリティ』エヴァ・カンタレラ , 1988年 感想 | そしてマッチョ社会に疲れる

    『(古代世界のバイセクシュアリティ』エヴァ・カンタレラ , 1988年 感想 | そしてマッチョ社会に疲れる

    🔽 ログ 🔽
    Bisexuality in the Ancient World
    Eva Cantarella, 1988
    Secondo natura
    (古代世界のバイセクシュアリティ)
    エヴァ・カンタレラ
    286 pages
    2025年6月読了


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    こんなにアカデミックな内容とは知らず、ミラノ大学のローマ法、ギリシャ法の教授の本。
    日本では出ていないのでここでは内容もかなり触れます。

    ここでいうバイセクシャリティの定義は今の一般的な定義とは違う。
    古代ローマ、古代ギリシャでは男性は社会義務として女性と結婚をし、ギリシャでは教育として、ローマでは強さの象徴として青年と関係を持つ。
    男性と女性を同じように愛するというものではない。

    この本は古代ローマ、ギリシャの事について知識がある想定でバイセクシャル文化が語られるので、全然予習が足りなかった。
    ギリシャでは行為を通じて年上の男性が青年を教育する。ローマでは男性ローマ市民の強さを示すために青年、女性、奴隷を性的にも支配下に置く。

    いずれの場合も極端に女性蔑視で超マッチョイズム(machismo)。そして当時(男性によって作られ広げられた)キリスト教がやってくる。
    女性蔑視の強い宗教ではあるけれど観点が代わり「男性優位の社会を守るために、子供をたくさん産む女性と結婚して繁殖だけに重点を置きましょう」となった。
    そして現在に続く。

    でも著者が言うには、キリスト教が人々の考えを変えたのではなく、実はみんなマッチョに構えるのに疲れていたときに都合がいい思想が広がったから、キリスト教を利用しただけ、と。

    時代は変わり考え方も変わる。
    でも何千年たっても、なんとか男性優位の社会を維持しようという基本はあまり変わらないようです。
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    English review
    "Bisexuality in the Ancient World" Eva Cantarella (1988) Review | Then suffer from machismo
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    Bisexuality in the Ancient World: Second Edition (Yale Nota Bene)
    







  • 『(イエローフェイス)』R. F. クァン, 2023年 感想 | 真実は大事じゃない

    『(イエローフェイス)』R. F. クァン, 2023年 感想 | 真実は大事じゃない

    🔽ログ🔽
    Yellowface
    Rebecca F Kuang, 2023
    イエローフェイス
    R. F. クァン
    319 pages
    2025年6月 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    すごい人気があるのは知ってたけど、確かに圧倒的に面白かった。

    最初はAthena視線の人種差別的な話かなと思ってたら、そうじゃなくてJuneの話だった。
    ジューンという平凡な白人の女の子が、綺麗で才能豊かなアジア人アテナにちょっと異常なまでに執着、嫉妬してしまった。

    ネタバレせずにいるには、面白い、と漠然に言うことしかできない。
    どういうジャンルとか枠組みかとかが難しいストーリーだけど、つまりは今のこの世の中そのもので、正にそう!と言いたくなって、そしてまるで週刊紙を読むかのように、いけないものを見るかのような心境でページをめくることをやめられない。

    皆が皆で皆を貶して陥れようとして利用して、SNSが一番大事で真実はそう大事じゃなくて、つまり私たちが住むのこの世の中の鏡のような、で、どうせ流行はどうぜどんどん入れ替わっていく。

    著者Kuangの新作も出たばかり。
    読まなきゃー


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Yellowface" Rebecca F Kuang (2023) Review | Facts are not important
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  • 『オードリー•タン 自由への手紙』オードリー・タン クーリエ・ジャポン, 2020年 感想 | 温故知新の精神

    『オードリー•タン 自由への手紙』オードリー・タン クーリエ・ジャポン, 2020年 感想 | 温故知新の精神

    ★★★★☆ タンの戦いには自由であり幸福であることを全ての人にという目的がある
    内側も外側もきちんと深く見つめ、温故知新の精神が知識に繋がり自由に繋がる。
    🔽 ログ 🔽
    オードリー•タン 自由への手紙
    オードリー・タン
    クーリエ・ジャポン編集チーム, 2020
    Audrey Tang, Courier Japon
    2025年5月 読了
    

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    オードリー・タン 自由への手紙 [ オードリー・タン ]
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    クーリエ・ジャポンのインタビューの書籍化。
    世界で一番、自由と平等を国をあげて目標とする国、台湾の若き天才、若きLGBTQ+政治家、という肩書きの人物。台湾ファンの私としてもこの人はとても気になる。
    
    オードリー•タンの戦いは人間の希望の基準にあるものを全ての人へという願いから生まれる、つまり、自由であり幸福であることを全ての人に。
    ITやAIはそのためのものであり、また政治家はオープンであることに徹底すべきという姿勢。
    
    自身も男に生まれ、若いうちから女として生き、今は男にも女にも縛られない、自分はどちらも経験したことによりどちらも共感できると言う。そう多様性は強みでしかない。
    これは台湾であったから称えられ活躍できる、羨ましいこと。
    天才であるからもう学校で学ぶことはない、じゃあどうするか。台湾の原住民俗を訪ねる。欧米に行くんじゃなくて、国内の台湾の深さを学ぶという行動力。
    
    でもそれも彼女は幼いときのヨーロッパの体験が影響しているというし、やっぱり内側も外側もきちんと深く見つめ、温故知新の精神であることが知識に繋がり自由に繋がる。
    
    残念ながら日本ではあり得ない。男尊女卑が今日も普通の考え方で、古い頭を守るために新しいものを受け入れない日本。
    やっぱり台湾はリードする。
    

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    オードリー・タン 自由への手紙