タグ: インド

  • 『インド人の謎』 拓徹, 2016年 感想 | 謎じゃないインドを知りたい人へ 

    『インド人の謎』 拓徹, 2016年 感想 | 謎じゃないインドを知りたい人へ 

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    思った通り、希望どおりの本だった。
    私はどうも「謎のベールに包まれたインド」「行けば人生が変わる」というのが嫌で、著者もどうやら同感のよう。

    ただ文化や背景が違うだけで13億人が住んでいるんだから、謎なのはこちらの問題であってインドの問題ではないと思うんです。

    そういうことを文化的、歴史的背景、また具体的な例をあげて説明してくれる。
    ただやっぱりインドは複雑ではある。
    それは植民地化された辛い過去のトラウマからだったり、現代のヒッピー的なイメージつまり外国人が勝手に妄想するイメージからのストレスだったり。
    つまり外的な要素が大きい、やっぱり問題はこちらにあるのであってインドじゃない。

    階級社会とはつまり一体どういうことなのかというのも勉強になる。


    たくとおる

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  • 『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 感想 | インドの聖典の解説本

    『(私のギーター)』 Devdutt Pattanaik, 2015年 感想 | インドの聖典の解説本

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドの友人がこれならわかりやすいよ、と勧めてくれたインドの聖典の一つバガヴァットギーターの解説本。
    確かに分かりやすいという意味は分かる、だた、ギーター自体を知らない外国人にはまずそこの前提が違っていたんですよ。
    だから本体を知らずに解説書だけを読んだ私が悪い。

    ただ、これだけでもどういう教えをギーターは伝えようとしているのかは分かる。
    ご存じの方も多いと思うけれど、社会の一員としての義務を説くのがこの聖典。
    王子アルジュナは神クリシュナにすべてを任せてただ戦うべき、なぜならそれが王子の義務だから。

    なるほどと思ったのは、人間と神の関係性。
    神は人間を愛し尊敬もする、人間が神を愛し尊敬すれば。

    ギーターそのものをちゃんと読まなければ。

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    English review
    “My Gita” Devdutt Pattanaik, (2015) Review | Understanding The Gita
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  • 『密教』 松長有慶, 1989年 感想 | 合理性を求めない真理の歴史

    『密教』 松長有慶, 1989年 感想 | 合理性を求めない真理の歴史

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    「現実世界の時間•空間を越えたあるもの、聖なるもの、神秘的体験の秘密の世界は、経典の中で、非合理的な神話的な手法によってかろうじて現実化されている。」

    密教が一番自分にとっては、これだけは分かりそうもない、と勝手に思ってた宗派。

    密教はつまりは上記の通りで合理性を求めない、さらには真理を人格化する。
    合理性は重要じゃないけれど、その教義が言葉や文字で伝えられないから師匠の存在が重要になり、つまり伝承の正当性が最重要になるんですね。

    この本はその伝承の流れをインド、中国、日本と非常に詳しく説明されているので初心者には難しすぎた。
    理解どうこうというより、聞いたこともない名前や漢字20字の経典がどんどん出てきてしかもサンスクリットの漢訳の日本版、とややこしさが重なっていく。
    しかも合理性を重視しないということは、神話と化していて年代に辻褄が合わなかったり、造り上げられた出来事も時代や地域によって違ってたり、そういうのを行き来するので付いていくのが難しい。

    現代社会ではそういう宗派は多くの信者はいないだろうけど、その大切さも分かる。
    目に見える曼陀羅や大日如来の姿に安心するし祈りの対象に適しているのは当然。

    ただこの本は教義の内容ではなく、あくまでその密教史を掘り下げるものです。
    すでに仏教や密教の知識のある人がより楽しめると思う。
    あと、この本は何度かリニューアルしているのでリンクの新しいバージョンをぜひ。
    🔽 関連ページ 🔽
    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

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    https://akapannotes.com/2026/02/17/%e3%80%8e%e6%97%a5%e6%9c%ac%e4%bb%8f%e6%95%99%e5%8f%b2%e3%80%8f-%e6%9c%ab%e6%9c%a8%e6%96%87%e7%be%8e%e5%a3%ab-1992%e5%b9%b4-%e6%84%9f%e6%83%b3-%e4%bb%8f%e9%99%80%e3%81%ae%e6%95%99%e3%81%88%e3%82%92/
    密教 インドから日本への伝承 (中公文庫BIBLIO)


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  • 『超越と実存』 南直哉, 2018年 感想 | 仏教は宗教か哲学か

    『超越と実存』 南直哉, 2018年 感想 | 仏教は宗教か哲学か

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    やっぱり圧倒的な本だった。

    仏教のもろに内部の人であるお坊さんが、ブッダを始めとした内部の偉人がどう仏教に正面から向かい合ったか、2500年間どう考えられどう言語化してきたか、そして思想としての仏教はどう変わったかという問題に全身全霊で衝突していく。

    読み終わることはできたけど私はまだそれぞれの思想は理解していない。
    ブッダ、初期仏教の偉人たち、中国仏教の思想、そしてアニミズムの地日本にやってくるという壮大な流れのなかで、掘り下げられる「私とは」「生きるとは」「悟るとは」などの問い、そして思想として発展するなかで「本覚」「唯識」「縁起」「本願」などの本来は言語化できないキーワード、そういうミッションインポッシブルを根気よくとことん掘り下げる。

    著者自身もあとがきで言うように、彼はやっぱり哲学者。
    冒頭から自分は仏教の言説を完全には信じてないと言い放つし、全ての章を通して無防備に信じないという態度が徹底している。
    曹洞宗の住職でありながら少し離れたところで正直に真面目に懸命に語られているので、こちらも誠意を込めて読む。

    ただ、とてつもなく難しい。私にとっては。
    何度もページを行き来し、眉間にシワを寄せながら、まるでマラソンを走らせられてるかのように、脳みその息が上がってる。
    でも分からない。
    例えば唯識思想とかアーラヤ識は今後本を何冊読んでも理解できるのか分からないし、本覚は分かった気にはなったけど本覚の感覚をこの自分が持ってみたらという想像もできない。

    でも、なぜいま日本にこれほどの宗派がありそれぞれ根本的な考えが違うという事態の深さはちょこっと分かった、と思う。
    今回は先に「日本仏教史」を読んでいたことが大きい。
    あれで概要を予習できていたのでどっぷり哲学的でも生き延びれた。

    しかし難しい本を読むと、難しいことの価値が身に染みる。
    いまの時代どうしても分かりやすいことの価値が喜ばれるけれど、例えばここで次から次へと出てくる形而上学的な考えは分かりやすくはできないし、そのレベルまで自分を高めるという挑戦でもある。

    もし環境が違っていれば私も阿弥陀さまにお念仏を唱える事を生活の一部にすることはありえたのか。
    自我をとことん削って坐禅をすることもありえたのか、ありえるのか。
    分からないけど、信じることができれば、その先にはきっといまの自分には見えない世界が見えるとは思う。

    最後に書いてあった通り、老師のお寺の近所に住むおばあちゃんたちにこの哲学的な本は関係ない。
    おばあちゃんたちの目の前には、月参りをしてくれるただ生身の方丈さん、お坊さんがいる、それだけ。
    そういう感覚を大事にされているのが他の本やインタビューでもよく分かるので、南老師の本は今後も読み漁ります。
    🔽 関連ページ 🔽
    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

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  • 『インド人はなぜゼロを見つけられたか』 門倉貴史, 2007年 感想 | タイトルの問題に全く触れない 

    『インド人はなぜゼロを見つけられたか』 門倉貴史, 2007年 感想 | タイトルの問題に全く触れない 

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    
    表紙と内容があってない。
    タイトルとは裏腹に「なぜゼロを見つけられたか」については触れないというのはちょっと問題なのでは。
    裏表紙を見れば経済のことが書かれているのは分かるけど、まさかタイトルの問題に全く触れないとは。
    
    内容としては確かにインドの経済について細かい数字が並び、インドに進出しようと考えている人に必要な情報がある。
    ただ、2007年出版、つまり約20年前なので、当時から急成長をしているもうこの数字は役には立たない。
    政権も変わったし、当時子供だった人たちは大人になってるんだから社会も変わった。
    インド系は英国や米国のビジネスや政治のトップにもなった、すでに。
    
    まあただリスクは相変わらずなのかもしれない。
    停電はシリコンバレーといわれるバンガロールで今でも日常茶飯事だし、渋滞に何時間も巻き込まれるのも当たり前、貧困の差も開いたままで、パキスタンや中国との緊迫感も緩まず。
    それでもインドは現在も急成長中なんだからやっぱりこのエネルギーは欧米中心の世界をもっと変えていくはず。
    
    
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  • 『(茶の歴史)』 ロイ・モクサム, 2003年 感想 | 情報の詰まった茶の歴史本

    『(茶の歴史)』 ロイ・モクサム, 2003年 感想 | 情報の詰まった茶の歴史本

    🔽 基本情報 🔽
    (茶の歴史
    中毒と搾取と帝国)
    ロイ・モクサム 2003
    A BRIEF HISTORY OF TEA:
    Addiction Exploitation and Empire (Brief Histories)
    Roy Moxham 2003
    2020.08 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    Brief、簡潔なという名のシリーズだけれどかなりの情報量でさらっと読むものではない。

    茶の歴史、ということで地域としてはもちろん英国、中国、インドを中心とした歴史の本で、つまりは英国がいかにシステマティックに中国のモラルを破壊し、インドを陥れたか。
    お茶が好きな誰もが忘れてはいけない植民地主義の歴史。

    現在はヨーロッパにもっと近いアフリカのケニアで安価な茶葉が作られる。
    同じような運命をたどったのはチョコレートで、同じくアフリカでかなり安く作られる。
    砂糖もそう、嗜好品の歴史はどれも苦い。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "A BRIEF HISTORY OF TEA" Roy Moxham (2003) Review | An informative history book around tea
    tag ; 食文化 植民地主義
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    A Brief History of Tea
    A Brief History of Tea: Addiction, Exploitation, and Empire (Brief Histories)


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  • 『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

    『日本仏教史』 末木文美士, 1992年 感想 | 仏陀の教えをローカライズ

    🔽 基本情報 🔽
    日本仏教史
    思想史としてのアプローチ
    末木文美士, 1992
    412 ページ
    2026.02 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    日本にやってきた仏教が、どう「日本の仏教」になったのか。
    とにかく脳みそ刺激されまくり。
    裏表紙にもある通り、知的興奮に満ちた旅、そう、知的アドベンチャー。

    偶然手に取った本が自分の想像以上に興味のど真ん中に命中することがある。
    私は仏教に興味があるし、その考えで気分がふっと軽くなることがあるので本を読んだりするけど、祈ることもないし、どこまで信じるているかといわれたら答えに困る、だってたぶんそんなに信じてない、でも実家は仏教。

    そんな典型的日本人である私が興味を持つ理由は正にこれ、ここにじっくりと紹介されている。

    インドから、中国という強力でレベルの高いフィルターを通して日本にやってきた仏教が、オリジナル仏教とは違う形で受け入れられ生き残っている。
    なぜ。

    仏教はその時代その時代に形を変え、その都度「日本の仏教」として存在してきた。

    貴族のために祈祷を中心とした仏教、先祖を大事にしてきた古代の日本人に合う葬式仏教、ルール重視の武士に好まれた仏教、来世の概念の薄い日本人に即座にいま浄土確定のコスパのいい仏教、そして神道と仏教がどちらも文化として存在する日本。

    そういう観点から日本における仏教の江戸時代くらいまでの歴史を紹介するのがこの本。
    仏教史に詳しくない私は次々と出てくる名前や文献に唸ってしまったけれど、知らなくても大丈夫、この本が重視するのは思想史であり仏教史の暗記じゃない。

    終章で遠藤周作の『沈黙』が出てくるけど、日本という土地の特徴は結局はこれ。
    (読んで最後に納得してもらうためここでは「これ」としか書きませんよ)
    高度経済成長期の日本が既存のものを改善して発展した理由にも通じるし、仏教と神道とキリスト教をも平然と受け入れてイベント化する理由にも通じる。
    漢文システムのお陰で後々好きなように解釈できたというのも、これに拍車をかける。
    日本以外の国の人にはわかりづらいし国内外で批判だってされる。
    でも私はこれは考えようによっては日本の強みだと思う。
    仏陀の教えを「日本の仏教」に変えた強み。


    その後の明治以降の日本の仏教の流れも気になる。
    🔽 関連ページ 🔽
    tag ; 仏教
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    日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)
    日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)


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  • 『The Other Middle Passage』 ロン・ラムディン, 1994年 感想 | 奴隷制度は名前を変えるだけ 

    『The Other Middle Passage』 ロン・ラムディン, 1994年 感想 | 奴隷制度は名前を変えるだけ 

    🔽 基本情報 🔽
    The Other Middle Passage:
    Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858
    ロン・ラムディン, 1994
    Ron Ramdin, 1994
    62 ページ
    2020.06 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インド系トリニダード人の友人の著作。
    インドから西インド諸島、カリブ海地域に送られたクーリー貿易(苦力貿易)といわれる新しい形の奴隷制度のついて。

    冒頭は輸送された労働者のコンディションについて、特に一つの船の状況を詳しく書いている。
    1858年に出向したその船は、108日かかった輸送で324人中124人が死亡。

    奴隷制度がなくなっても、当時のカリブ海ではサトウキビなどの栽培で全く人手が足らない状態になり、アフリカではなくインドから自由を奪って過酷な状況下の労働のためだけに人々を輸送。

    後半になるとその船内の様子や船長の奥さんの日記などによって当時の状況が詳しく書かれている。
    といっても、つまりは病気になって当たり前の環境で毎日人が病気になり、毎日人が死んでいく様子が綴られる。

    友人の彼も、クーリーとして送られて来た人の子孫で、白人の下に黒人、その下にインド人がいるという子供時代を過ごす。
    日本ではこの本は手に入りにくいので、もし興味があればご連絡ください。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Other Middle Passage” Ron Ramdin, (1994) Review | Another slave trade
    tag 植民地主義 インド
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    The Other Middle Passage: Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858
    The Other Middle Passage: Journal of a Voyage From Calcutta to Trinidad 1858

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  • 『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008 感想 | アヘン戦争直前の奴隷船にて

    『(ケシの海)』アミタヴ・ゴーシュ , 2008 感想 | アヘン戦争直前の奴隷船にて

    🔽 基本情報 🔽
    Sea of Poppies
    Amitav Ghosh, 2008
    (ケシの海)
    アミタヴ・ゴーシュ
    559 ページ
    2025.12 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    噂には聞いていたけど、やっぱり圧倒的に面白かった。

    大英帝国が治めるインド、そこで行われるケシの栽培、そしてアヘン戦争の匂いを受けて奴隷船に乗り込む人々。
    それだけでもう本を開く前から自分好みなのは一目瞭然。

    開けてみると、個性的な登場人物がどんどん出てくる。
    辛い結婚生活から逃げた主人公の女性ディーティ、フランス人ポーレットとインド人ジョドゥの兄妹愛、破綻した繊細なラジャに、秘密を持ったアメリカ人船乗りザッカリー、などなどがそれぞれの思いを胸にモーリシャス諸島へ向かう奴隷船アイビス号に乗り込む。
    その流れだけで分かるよう、壮大なストーリーがこの3部作で描かれるのです。

    女性たちの無謀さと、それについて行ってる男性たちだったり、騙されて人生が一転するラジャの変化などがエンターテインメントを込めて書かれているのでこの後どうなるのか。
    まだ最初の一冊を読んだばかり、先が気になる。

    日本ではまだ翻訳されてないので残念。
    英語はちょっと難しいです、というかインド英語やそれぞれの訛りなどもあり分かりにくい。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Sea of Poppies” Amitav Ghosh (2008) Review | Leading up to Opium War
    category 文学 インド 南アジア/Indian S. Asian Lit.
    tag インド/India
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    Sea of Poppies: Ibis Trilogy Book 1 (English Edition)

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  • 『深い河』遠藤周作, 1996 感想 | 生と死を受け止める

    『深い河』遠藤周作, 1996 感想 | 生と死を受け止める

    🔽 基本情報 🔽
    深い河
    遠藤周作, 1993
    400 ページ
    2020.02 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    宗教関係、宗教にまつわる積読をまとめて読む読書月間を勝手に開催した。

    当時70歳のカトリックの著者遠藤周作による、登場人物たちがインドへ向かう一冊。
    偶然一緒の仏跡訪問ツアーになった数人の日本人それぞれが後悔や喪失の中の淡い期待を胸にインド、ガンジス川へ。
    ベナレス(バラナシ、ヴァラナシ)は聖地でありガンジスに向かうことは死に向かうこと。
    彼らがそれぞれの過去を胸に、生と死が共存するベナレスで想うこととは。

    神という大きな力の信じ、ことごとく生活を否定されても、信念強く生きる青年の背負うものとは。
    色々なストーリーが、母なるガンジスに向かい、生と死を含むその母性が全ての人を隔たりなく抱き抱える。
    遠藤周作らしい、壮大であり静粛な一冊。

    70歳という年齢を迎え、きっと本人も死を意識しながら生きていく上で、彼の永遠のテーマである「日本人でありキリスト教信者であること」をもう一度振り返ってみたんだと思う。
    そしてその答えは、インドの深い河であった。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Deep River” Shusaku Endo (1996) Review | Embracing life and death >>
    tag 宗教/Religion
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    深い河 新装版 (講談社文庫 え 1-48)


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  • 『ゴータマ・ブッダ』 2011 感想 | ブッダの人生を知る入門書>>

    『ゴータマ・ブッダ』 2011 感想 | ブッダの人生を知る入門書>>

    🔽 基本情報 🔽
    Gautama Buddha
    The Life and Teachings of The Awakened One
    Vishvapani Blomfield, 2011
    (ゴータマ・ブッダ)
    416 ページ
    2020.02 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    できるだけ飾らずミステリアスにならないように書かれたブッダの伝記。

    なんといっても2500年前なので順序よく語るのが難しいはずだけど、ブッダの人生を忠実に追い、当時のインドの様子もきちんと描写されている。(といってもこれまた大昔なので現実ではありえないことになる場合もある)

    経典ではなく個人としてのブッダの人生を知る入門書であり、そしてなぜあの時代のインドで仏教がスタートしたか、なぜ現代においても多くの人を魅了するのかということ、ということがよく分かる一冊。
    ただ読むのは難しかった。だって今もだけどこの時代のインドの人の名前はとても長くてしかも色んな人が出てきて誰が誰かわからなくなる。
    なので英語自体はちょっと上級者向き。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Gautama Buddha” Vishvapani Blomfield (2011) Review | Intro to Buddha’s own life
    tag 仏教
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    Gautama Buddha: The Life and Teachings of The Awakened One (English Edition)


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  • 『インドへ』 横尾忠則, 1977 感想 | カルチャーとしてのインドへ>>

    『インドへ』 横尾忠則, 1977 感想 | カルチャーとしてのインドへ>>

    🔽 基本情報 🔽
    インドへ
    横尾忠則, 1977
    203 ページ
    2020.01 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽


    インドの旅行記というのは星の数だけある。
    で、これはグラフィックデザイナー、画家の横尾氏の彼の内側のインドへの旅行記。

    インドという彼が抱いた幻想の世界への旅、むしろ彼の意識の中のインドへの旅というか、本物のインドは背景に過ぎない。
    そして彼の作品を見たことがあれば何故彼がインドにこだわるか一目瞭然。
    つまり彼は意識、また無意識の中で常にインドを求めていた。

    ニューヨークでのドラッグによる「インスタント悟り」に始まり、ビートルズを通り、ヒッピー、禅宗を通り、三島由紀夫の死によって、インドへ導かれる。

    この本ではメインはカシミール地方へ行ったときのことがメイン。
    最初にインドに行った強烈な印象を乗り越え、今回は星を眺め、宇宙と一体になってる時間のほうが長かったんじゃと思うくらい、宇宙やUFOが頻繁に出てくる。
    人間が自然と一体化するインドで、瞑想の中で自らが自然と一体化する。
    でもそこにはとてつもない貧困があり、差別があり、直球で遠慮のない死の世界もある。

    この本自体と同じくらい印象深い三島由紀夫の著者への言葉「インドへは行ける者と行けないものがあり、さらにその時期は運命的なカルマが決定する」

    著者はインドそのものでなくインドが象徴するもの、例えば死が限りなく身近にあることなど、もっと言えばアメリカのフィルターを通したカルチャーとしてのインドに惹かれ、それを求めた。

    私も親のおかげで小さい頃からインド亜大陸の写真を見ていて、いつか行くときが来ると漠然には思っていたけれど、別にヒッピーではないし、人生を変えようとも悟りを開こうともヨガを極めようとも思ってはない。
    でもこういう本を読むのは面白い。70年代まっしぐら。
    日本人がインドに対して抱く憧れは、こういう正直な文学により磨かれ保護され、永遠に消えないとおもう。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “(To India)” Tadanori Yokoo (1977) Review | India as fantasy
    tag インド
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    インドへ (文春文庫 よ 2-1)
    
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  • 『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008 感想 | 現代インドのエネルギー >>

    『(ザ・ホワイトタイガー) 』アラヴィンド・アディガ, 2008 感想 | 現代インドのエネルギー >>

    🔽 基本情報 🔽
    The White Tiger
    Aravind Adiga, 2008
    (ザ・ホワイトタイガー)
    アラヴィンド・アディガ
    336 ページ
    2021.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ちょうど、ネットフリックスがプリヤンカー・チョープラー制作主演で映画化したので、観る前に読まねばと。

    想像していた通りの面白さ、激しさ、リアルさ。
    淡々と進んでいくようなストーリーなんだけど実はエネルギーに溢れていて、これこそ現代インドの鏡。
    どうしてもインドを神秘な国と決めつけてしまうけれど、現実にはここには人々が生活をしていて、多くの貧しい若者はなんとか自分の親より良い生活がしたいと突き進む。
    それは当たり前の若者のエネルギーなんだけど、ここはそれでもインド。
    物凄い数の人間が絡み合い、その中でも生まれたときから叩きつけられている身分をわきまえるという常識は自分の中からも消えない。
    日本っぽいところがあるというか、アジア全般での文化はやっぱり繋がるところがある。
    ただ、貧困の層が分厚いインドでのこの物語はとてつもない興奮をまとっている。

    主人公が言うように、自分の生きている間にきっと白い男たちは消え、茶色と黄色の男たちが世界を制するようになる、つまり白人の時代は終わりアジア人の時代が来る、というのはそう間違ってもないかも。

    英語はちょっと難しいかも、というのもインド英語も入ってくるし。

    ネットフリックスの映画(日本語あり)もいいです!
    もちろんボリウッド的な歌もダンスもないけれど、代わりにリアルな暴力と音楽がありさらにこのストーリーを盛り上げる。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The White Tiger” Aravind Adiga (2008) Review | Energy of young India
    tag インド

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  • 『(眼の中の砂)』タゴール, 1903 感想 | インドの傑作 >>

    『(眼の中の砂)』タゴール, 1903 感想 | インドの傑作 >>

    🔽 基本情報 🔽
    Chokher Bali
    Rabindranath Tagore, 1903
    (眼の中の砂、やっかいもの)
    ラビンドラナート・タゴール
    298 ページ
    2022.03 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    初めて読んだタゴールの本はこの小説。
    インドでは有名でテレビや映画になっていて、特に最近のアイシュワリヤー・ラーイ主演のは見てみたい。

    Chokher Bali、眼の中の砂、やっかい者。
    美しい未亡人が、知り合いの家に預けられ、その家の嫁と仲良くなる。
    お互いをBaliと呼びあう仲だったけれど、才色兼備の未亡人(美しさが頂点のアイシュワリヤー・ラーイが演じる)は運命に反してでも自由になりたかった、そしてどんな手を使ってでも。

    日本人には馴染のある夫婦間、母と息子、嫁と姑、という繊細な家族の揺れ。
    そこに突如、悲しみを身にまとった美貌の未亡人がやってくるんだから、それぞれが沸々と狂っていく。
    眼の中の砂は触るものすべてを乱して、いつの間にかいなくなる。
    この身分をわきまえずに愛情も幸せも追求した悪に根元(インドでは未亡人は不吉な存在)。

    不幸をテーマにした強く悲しいインドの傑作。

    (原語はベンガル語、日本語訳は見つけられませんでした)
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Chokher Bali” Rabindranath Tagore, (1903) Review | Tragedy from India
    tag インド
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  • 『(バンガロール探偵クラブ) 』ハリニ・ナジェンドラ, 2022  | インド好きのためのミステリー >>

    『(バンガロール探偵クラブ) 』ハリニ・ナジェンドラ, 2022 | インド好きのためのミステリー >>

    🔽 基本情報 🔽
    The Bangalore Detective Club
    Harini Nagendra, 2022
    (バンガロール探偵クラブ)
    ハリニ・ナジェンドラ
    292 ページ
    2022.12 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    1920年代のインド、医者と結婚したばかりで主婦として静かな生活を送るはずの主人公が南インドのベンガルール(バンガロール)の街で起こる犯罪を推理する、という可愛い感じの推理小説。
    シリーズ物の第一弾。
    主人公Kaveriが好奇心旺盛で強くて、そうなのインドの都会の女の子ってこんな感じっていう楽しさと、権力を持つイギリス人との衝突もあったり。
    若い奥さん、主婦であっても、白い目で見られても趣味の水泳はやめないし、好きに外を歩き回る。

    著者が実は生態学者という変わった経歴なのも面白いので続編も読んでみる。

    ベンガルールの街のスポットが色々出てきて旅行予習になったし美味しそうな料理も出てくる。
    インド好きな人が軽く楽しく読める。

    英語も比較的簡単なので英語の勉強にも。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “The Bangalore Detective Club” Harini Nagendra (2022) Review | Nice mystery for India lovers
    tag インド
    tag 女性主体

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  • 『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー,2014 感想 | ダージリンの現実>>

    『(ダージリン; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)』サラ・ベスキー,2014 感想 | ダージリンの現実>>

    🔽 基本情報 🔽
    The Darjeeling Distinction: Labor and Justice on Fair-Trade Tea Plantations in India (California Studies in Food and Culture Book 47)
    Sarah Besky, 2014
    (ダージリン ディスティンクション; インドのフェアトレード茶畑における労働と正義)
    サラ・ベスキー
    258 ページ
    2022.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    まさに探していたトピックの本。
    ダージリンのお茶と産業と労働者の関係。

    ダージリンは世界で一番高級な茶であり、世界中で知られていてステータスもある、なのになぜダージリンの労働者は貧しいのか。
    ダージリンのお茶一杯の値段はお茶を摘む仕事の女性の一日の給料より圧倒的に高い。
    高級感を売り物にするダージリンの現実は静かに隠されている。

    ダージリンやシッキム州のいわゆる広い意味でダージリン茶を作るエリアは実は最近まではインドではなかったし、18世紀に英国人が周辺の発達のためにネパールから大量の労働者を連れてきたので、人種的にもほとんどがインド人ではない。
    90年代に盛んだったグルカ運動はいまも消えたわけではないけれど、これだけ商品価値のある商品を作るダージリン、インドは、西ベンガル州は何があっても手放さない。
    グルカもネパール系の人々は何代もの間この産業を支えているのに実質的に何も所有できない、他の道も少ない、自分たちの歴史さえ曖昧になっている。
    フェアトレードの観点から言うと、フェアトレードを押し付けられるせいで現地の人間の生活はより厳しくなったとも。

    高級茶の代名詞のダージリンは現地の人々からの搾取によって支えられている。

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    English review “The Darjeeling Distinction” Sarah Besky (2014) Review | Dark side of the posh tea
    tag 東ヒマラヤ

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  • 『インド ミニアチュール幻想』 山田和, 2009 感想 | 宇宙と神々と人の営みが詰まっている >>

    『インド ミニアチュール幻想』 山田和, 2009 感想 | 宇宙と神々と人の営みが詰まっている >>

    🔽 基本情報 🔽
    インド ミニアチュール幻想
    山田和, 2009
    511 ページ
    2025.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    細密画のなかには宇宙と神々と共同体としての人の営みが詰まっている。
    そしてこの本はそれを我々に伝えようとする。

    細密画を通じてインドを旅行するような本。
    ただここでは、街から街へという移動ではなく、インドという空間と歴史を移動する感じ。
    16世紀から18世紀に渡り栄えたインドの細密画文化はラジャスタンを中心としたヒンドゥー教色の濃いラジプート派と、ムガール帝国時代の華やかな文化を象徴した、ムガール細密画と大きき二つあるよう。

    そして有名なのは筆。
    私が聞いたのはリスを毛を、一匹からは毛一本しか抜かない、というものだったけれど、ここではバサッとハサミで切るそう。
    それでも、一匹からは筆一本しかつくらない。
    もちろんそのリスには危害を加えないように細心の注意を払いつつ。

    そういう全体的なミニアチュールに関する章もあるし、画家個人を追った章、または蒐集家を追った章もある。
    細密画コレクターの友人でありライバルと、骨董屋から安く買い取るやり取りの様子も、蒐集に取り憑かれて犯罪や詐欺にに手を染める男たちもと、とにかく幅広い内容でどんどんよ読み進めてしまう面白さ。
    そして最後の方にはインド思想という壮大な時空の中にある細密画の位置付けと意義とでもいうのか、細密画に見る美の存在自体を追求する。
    最後に参考文献がたくさん並んでいるので、できる限り揃えたい。

    芸術であり宗教的であり、作者一人の人生を越えたもの。
    だから描いた人のサインはされない。
    画家はもちろん画家のカーストに生まれたから、父から祖母から受け継いだ精神で自らの人生全てで細密画に向かう。

    個人という枠を軽々と越え、時間と空間の壁を越え、宇宙と神と一体になるという感覚。
    音や絵を通じてしか伝えられない古代から続く感覚。
    この前読んだのNine Livesに通じるものもあるけれど、同じようにその感覚が近代化のなかでなくなりつつあるという危機感も持ってしまう。
    日本だって音楽や芸術を通じて自然と繋がる感覚がなくなっているように。

    やっぱりラジャスタンいかなきゃなー。
    最近どのインドの本みても、ラジャスタン州が出てくる。
    超観光地だから前回ためらったけど、毎日移動に車で8、9時間という現実を受け入れればまだ近代化してないインドに会えるんだろうなー


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  • 『9つの人生』ウィリアム・ダルリンプル, 2013 感想 | もう人間ではない聖なるもの / >>

    『9つの人生』ウィリアム・ダルリンプル, 2013 感想 | もう人間ではない聖なるもの / >>

    🔽 基本情報 🔽
    Nine Lives: In Search of the Sacred in Modern India
    William Dalrymple, 2013
    9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
    ウィリアム・ダルリンプル
    305 ページ
    2025.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    今まで読んだダルリンプル氏の他の本とはちょっと違った感じ。
    形としては旅行記なんだけど、旅先の土地の様子ではなく、その土地が「創り上げた」人々の話。

    9つの聖なる人生、9人の人間のストーリー。
    彼らは人間ではあるけれど、「聖なるもの」として崇められすでに人間ではない生活を送っている。
    例えば自己を捨て聖人としてただ流れに任せて生きている人や、女神に仕える女性として生きているけれどでもやっていることは売春婦でしかないひと、または宗教的な踊りや歌を受け継ぐ人、本当にそれぞれの宿命を背負って生きている。

    私がダルリンプルの書く文章が大好きな理由はもちろん、彼のすべてをありのままに受け止め、深い情熱と愛を持って世界に届けようとする徹底したその姿勢。
    いまインドの社会は大きく変化している。
    それは日本のように人々が宗教から離れていくという減少ではなく、その土地その町の超ローカルな信仰が薄れていき、代わりに、意図的に、インド全国規模の統一されたヒンドゥー教が彼らの生活に入り込んできているということ。
    何百年も語り継がれてきた地元の信仰とは違う、インド全土で統一されたラーマの物語が全国放送のテレビを通じて短期間で人々の脳内の記憶を塗り直すナショナリステックなラーマフィケーション(Rama-fication、ラマ化)が進む中、あと何十年、あと何年でローカルな信仰や伝統は忘れ去られるのか。

    その最後をきちんと書き残してくれる歴史家がいるって素晴らしい、の一言に尽きる。
    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Nine Lives” William Dalrymple (2013) Review | Being holy in India today
    tag インド
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  • 『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015 感想 | 植民地主義と高級茶>>

    『(ダージリン 世界最高の茶)』Jeff Koehler, 2015 感想 | 植民地主義と高級茶>>

    🔽 基本情報 🔽
    Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea
    Jeff Koehler, 2015
    (ダージリン 世界最高の茶)
    286 ページ
    2022.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    ダージリン茶に関するすべての背景、なぜダージリンに茶が植えられたか、どういった植民地的な歴史を抱えているのかなどをかなり掘り下げた一冊。
    英国人が始めインド人経営者が受け継いだ茶園、そこに住み働く代々慎ましい生活をする人々の様子など人にまつわることも。

    多くの人にとってダージリンのお茶の風味はユニークな優雅さだったり高級感を象徴するけれど、ダージリンの抱える問題は別のユニークさがある。
    世界有数の高級な飲み物でありながら、つくり手の問題や生活環境は厳しく、いまだに植民地的な搾取によって生産されている。
    お茶を摘む作業を担う人間の一日の給料は、一杯のダージリンの値段以下。

    同じく世界有数の飲み物であるシャンパーニュやウィスキー、抹茶などと違い現地の国民、インド人は口にしないダージリンティー。
    数え切れない問題を抱えるダージリン茶産業、今後も人々はダージリンを飲み続けるのか、そして作り続けることはできるのか。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review “Darjeeling: A History of the World’s Greatest Tea” Jeff Koehler (2015) Review | Colonial history and Darjeeling
    tag
    tag 東ヒマラヤ
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  • 『(ダージリンにまっすぐな道はない)』 Parimal Bhattacharya, 2017年 感想 | ヒマラヤを見上げる

    『(ダージリンにまっすぐな道はない)』 Parimal Bhattacharya, 2017年 感想 | ヒマラヤを見上げる

    🔽 基本情報 🔽
    (ダージリンにまっすぐな道はない)
    No path in Darjeeling is straight
    Memories of a Hill Town
    Parimal Bhattacharya, 2017
    200 ページ
    2022.02 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    1990年代にダージリン地区で勤務していたベンガル人教師の回想録。
    一応は同じ「西ベンガル州」になるけれど、ダージリンやあの辺りの山の人間と、ベンガル人は習慣も原語も歴史も違う。
    ダージリンのあたりの歴史などの本はよく読むけれど、これは個人的な回想録なので違った面白さがある。
    外部の人間として、その複雑なダージリンの問題、政治、生き様をしっかりと見つめる一冊。

    日本語版しかないけど、この辺りに興味がある人はぜひ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “No path in Darjeeling is straight” Parimal Bhattacharya (2017) Review | Complicated history
    タグ: 東ヒマラヤ
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  • 『インド旅行記 1, 2, 3』中谷美紀, 2006 感想 | 行くたびにパワーアップ >>

    『インド旅行記 1, 2, 3』中谷美紀, 2006 感想 | 行くたびにパワーアップ >>

    🔽 基本情報 🔽
    インド旅行記
    1 北インド編
    2 南インド編
    3 東・西インド編
    中谷美紀, 2006
    Miki Nakatani
    359ページ, 229ページ, 240 ページ
    2022.01 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    1 北インド編
    地味に有名な本。
    インド関係の本ばかり探してたからかもしれないけど。
    ヨガを本格的にしているとは言え、独り身でインドへ向かいしかも1ヶ月以上も滞在するとは。
    バックパッカーではないと批判する人もいるようだけど、別にバックパッカーですと偽ってもないし、ドライバーやガイドがつくのはそんなに大袈裟な事でもない。
    自分をしっかり持ち、でもインドにどっぷり浸かり、なんに対しても過剰にならず、正直で、読み物としても面白い。
    デリー、ヴァラナシ、ヨガの聖地リシケシュ、そしてラジャスターン周遊。
    これを読んだら、やっぱりインドに行きたくなる。

    2 南インド編
    パワーアップという言葉がぴったり。
    北インド帰国から一ヶ月も経たずに南インド。メインはチェンナイとケララ。
    今回はもう慣れてきたのかちょっと地元の人とのコミュニケーションもありで、中谷さん、対インドにてパワーアップしてる。
    さすがに寺院巡りも飽きるよ。インド料理も飽きるよ。インド人にも頭くるよ。
    そういう正直な気持ちも吐き出しつつ、怒りや矛盾や貧困を全部包み込むインド。
    で、やっぱりインドへの愛を隠せない。

    3 東・西インド編
    ミキサンのインドの旅の最終便。
    前よりもパワーアップはしてるけど、疲れてる感じも出ている。
    単純に、移動しまくって疲れるというのもあるだろうし、やっぱりひとりで、ドライバーやガイドと常に会話しながら、行きところ行くところフル回転の説明を消化し、どこに行くにも交渉が必要で重ための料理を食べ、というのはよっぽどの忍耐じゃないと無理。
    カンチェンジュンガが多分一番好きだったのは、きっと本人は基本的に一人が好きだからだろう。
    今回も正直で、ある意味私と同じ位置でインドへの気持ちを抱いている。
    インドに行ったって別に人生が変わるとは思わない。第一そこには普通に人が住んでいるんだから。でも自分の生き慣れた世界と違う世界に行くというのは究極の体験で、やっぱり贅沢。
    バックパッカーでもないし、リゾートに行く気もないけど、無難な寝床とシャワーとトイレは欲しい。その通り。
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  • 『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006 感想 | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか

    『喪失の響き』 キラン・デサイ, 2006 感想 | 平等、和解、夢、そんなものは存在するのか

    🔽 基本情報 🔽
    The Inheritance of Loss
    Kiran Desai, 2006
    喪失の響き
    キラン・デサイ
    384 ページ
    2022.01 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    友人に進められるままに買ったので、私がいつも気になっている東ヒマラヤのカリンポンの街が舞台とは知らなかった。

    裕福な家庭の女の子が孤児になり、インド料理もナイフとフォークで食べるような厳格な祖父と暮らすことになる。
    そのころ激しくなっていくグルカ運動(ネパール系独立運動)に生活と人生を翻弄される人々。
    少女の想像と妄想と、そして現実。

    祖父と召使いだけの大きな家で、彼女はある貧しい青年に恋をする。
    同じ頃、召使いのニューヨークに住む自慢の息子は実は底辺を這うような生活をしていた。
    一見繋がりのないそれぞれの人生、でもグルカ運動が過激化するごとに確実に狂っていく。
    人一人の人生なんて一瞬にして壊されるなかで、平等、わかり合い、夢、そんなものは存在するのか。

    激しく変化する生活の中で唯一変わらないもの、ヒマラヤ山脈。
    春には淡い希望を運んできて、雨季にはすべてを腐らせる湿気を運んでくる神の宿る山のもとで、その流れに身を任せる。
    日本の表紙のように明るく可愛いストーリーではないです。

    そういう感覚はインドではかなり身に沁みるというか、自分よりも圧倒的に強いパワーというものが現実にあるインド。
    コミカルな場面が余計に悲劇を浮き立たせる、力強い一冊。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Inheritance of Loss" Kiran Desai (2006) Review | Peace, understanding, dream, no such things here
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  • 『(大英帝国とグルカの関係)』 GL・ライジムダー, 2007年 感想 | 大英帝国とインドの間で

    『(大英帝国とグルカの関係)』 GL・ライジムダー, 2007年 感想 | 大英帝国とインドの間で

    🔽 基本情報 🔽
    Anglo-Gurkha Relations: Historical Account of how the Gurkhas Bestowed upon Queen Victoria the Gift of Indian Empire
    GL Rai-Zimmdar, 2007
    (大英帝国とグルカの関係)
    211 ページ
    2023.12 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    自主出版だと思うけれど、大英帝国とインドの側で歴史を紡いてきたネパールに関する独自の見解で興味深い。

    いままでの大英帝国とグルカ、ネパールの関係や歴史を語る本は間違えている、というところから出発しているので、この本のミッションとしてはそれを正すことのよう。
    なので大英帝国とグルカの関係自体について学ぶ本ではないのが私の希望から外れていた。
    ただ、英国とインドという巨大な渦のせいでネパールの存在が軽視されてきたという点には納得。
    なので、私はまずはオーソドックスにネパールの歴史を学ぶべきです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Anglo-Gurkha Relations” GL Rai-Zimmdar (2007) Review | Britain and Nepal
    タグ: 東ヒマラヤ
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    Anglo-Gurkha Relations: Historical Account of how the Gurkhas Bestowed upon Queen Victoria the Gift of Indian Empire


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  • 『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告

    🔽 基本情報 🔽
    The Spirit of Japan
    Rabindranath Tagore, 1916
    日本の精神
    ラビンドラナート・タゴール, 1916
    ロビンドロナト・タゴール
    22 ページ
    2023.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    タゴールが日本滞在の最後に、1916年に慶應義塾大学で行った講演。
    何度も訪日し、日本の文化や芸術また日常の中にある芸術を愛したインドの詩聖タゴール。
    しかしこの講演は急激に西洋化しナショナリズムへ走り軍事国家へと変化し始めた日本に対する厳しい批判と警告に溢れていた。

    彼の祖国を支配していた大英帝国の醜さを目の当たりにしているタゴールは、誇り高き文化を誇る日本が西洋の猿真似をしている、と強く批判。
    しかし彼の批判、警告は普遍的なものでもある。
    近代化という道は自己を破滅させる、憎しみを他者に押し付けても必ず自分に戻って来る。
    アジア初のノーベル賞を受賞した彼は東洋の力を信じていた。
    東洋の力とは、西洋のような技術的なモノを使う力ではなく、東洋哲学という力、和を愛する力。
    曇りの日でも太陽はずっとそこにあるように、東洋の力は強く輝き続けると。

    日本語では見つけれれなかったけど100年以上前のものだしネットではどこかで読めるかも?
    英語でも難しくはないです。
    短い文章ではあるけれど非常に率直で意味のある一冊。

    (講演だけどエッセイのカテゴリーに)


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Spirit of Japan” Rabindranath Tagore (1916) Review | Short but meaningful
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    The Spirit of Japan a Lecture (Classic Reprint)


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  • 『インド ラージャスターンのカラフルな街』石竹由佳, 2014年 感想 | いつか行く >>

    『インド ラージャスターンのカラフルな街』石竹由佳, 2014年 感想 | いつか行く >>

    🔽 基本情報 🔽
    インド ラージャスターンのカラフルな街
    石竹由佳, 2014
    Yuka Ishitake
    160 ページ
    2025.10 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    何年か前に見かけて入手のタイミングを逃していたガイドブック。

    ラージャスターンはぜひ次インドに行くときに行ってみたい場所で、もちろんジャイプールにぜひ行きたい。

    デリー、アーグラと並んでインドのゴールデントライアングルというそうで観光名所のジャイプール(Jaipur ジャイプル)。
    裕福なエリアだった歴史のある州、その上ピンクシティというニックネームが有名で街中がピンクなんて、誰でも行ってみたいと思うはず。
    でも私はなぜかここのテキスタイルの文化(ブロックプリントや刺繍)に特に憧れがあり、無知ながらに妄想はしていたわけです。

    そこで、この本の存在を知ったのでした。
    ジュエラーの著者が何年も通っているこの土地を紹介するということで、ジュエリー、アクセサリー、染め物や刺繍といった伝統工芸の文化に焦点をおいたガイドブック。
    どうしてもホテルの紹介にスペースを取られるけどそこはしょうがない。
    有名なブティックや工房、もしくは街から離れた刺繍の村などがリストアップされていて、同じように手作業の文化に憧れる人は妄想旅行ができます。
    わがままを言えばホテル情報を割いてでも、染め物なら染め物についてもっと店や市場、村、その歴史などを知りたかったけれど、このタイプの本なのでまずは十分だと思う。
    10年くらいでは街の中心地の店は変わっても作業の場所は変わらないだろう。

    まあそういう専門的な内容は別に目を付けているイギリスの本があるのでいつかそっちも入手して、いざラージャスターンに、行きたいものです。

    (Colourful cities in Rajasthan in India)
    Yuka Ishitake
    旅行記っぽいのでエッセイのカテゴリーに入れています。
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    インド ラージャスターンのカラフルな街 (私のとっておき)


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  • 『インド・闇の領域』 V.S.ナイポール, 1964年 感想 | 強烈な一冊

    『インド・闇の領域』 V.S.ナイポール, 1964年 感想 | 強烈な一冊

    🔽 基本情報 🔽
    An Area of Darkness
    V. S. Naipaul, 1964
    Sir Vidiadhar Surajprasad Naipaul
    インド・闇の領域
    V.S.ナイポール
    304 ページ
    2023.08 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ブッカー賞もノーベル賞も受賞した、インド系トリニダード出身のイギリス人の著者。

    ピンとこない人はこの意味が分かりづらいでしょうが、いわゆるクーリー貿易のあの流れで西インド諸島に渡ったインド人の孫。
    彼らはインド人の顔をしていてもインドを知らず、故郷トリニダードでは常に黒人から人種差別を受けるグループ。
    その孫の代で多くがイギリスに渡っていますが、故郷の観念が複雑なのです。

    さて、本題の本について。
    きっと、先祖の地インドにわたり、ダークネスの中にも神秘的な繋がりを見出す旅行記だと勝手に思っていたら、完全なる大間違いだった。

    どちらかというと彼自身が自分で内面的な旅をする中で、ただその背景にインドがあるというか。
    そして彼の描くインドは完全にネガティブ。
    きっと本人も精神的に参っていた時期なのだろうけど、とにかく残酷な表現。
    よく西洋人や裕福な人間がインドに行って貧困が美しい、神秘的だ、人生観が変わる、なんて言うけどそんな綺麗事は一切なし。
    彼の旅行記は、貧困の様子、貧しい人からの搾取、貧困の醜さ、無知の醜さ、人間から出てくる廃棄物をことごとく描く。
    インドでは発禁されていたそうだけど、それはそうだろう、こんな本が出回ったら旅行客は一気に減ってしまう。

    いよいよ祖父の故郷の村にいくシーンも読んでいて辛い。
    彼は義務感から行ったけれど、その貧しさ、人々の無知さに嫌気が差し、逃げるようにさっさと出ていく。
    この場面だけでもわかるように、とにかく不快な思いばかりだったようで、隠しもせずにここに表現されている。

    貧困は神秘的で美しいなんていう偽善者の顔をひっぱたくような、もっというとそんな偽善者に中指を立てるような、そんな強烈な一冊。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “An Area of Darkness” V. S. Naipaul (1964) Review | A slap in the face
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    インド・闇の領域


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  • 『(おばあちゃんのツイート)』 Geeta Gopalakrishnan, 2018年 感想 | 南インドの女性たち

    『(おばあちゃんのツイート)』 Geeta Gopalakrishnan, 2018年 感想 | 南インドの女性たち

    🔽 基本情報 🔽
    My grandmother's tweets
    Geeta Gopalakrishnan, 2018
    (おばあちゃんのツイート)
    ジータ・ゴパラクリシュナン
    340 pages
    2023.07 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    インドでもらった本の一つ。
    日本で言うところのおばあちゃんの知恵袋みたいなものだけど、実用的というより逸話や伝説から学ぼう的な感じ。
    Avvaiyarという南インド、タミルの12世紀の女性の詩人の言葉を、女性がずっと繋げてきた逸話、格言集。

    一気に読むというより、たまに一つ一つ読んだり、思い出したときに開けて読むようなもの。
    古代インドの賢さと暖かさ。

    🔽 関連ページ 🔽
    “My grandmother’s tweets” Geeta Gopalakrishnan (2018) Review |Female wisdom from Tamil
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  • 『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 | 感想 | まるで夢だったように

    『(また恋におちる) 』ラスキン・ボンド 2013年 | 感想 | まるで夢だったように

    🔽 基本情報 🔽
    Falling in love again
    Ruskin Bond, 2013
    (また恋におちる)
    ラスキン・ボンド
    197 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    インド生まれ、インド育ち、でもイギリス系白人の作家、ラスキン・ボンド氏。
    2025年の今年91歳になったインドでも最も重要な作家の一人。
    人種なんか関係ないというのは簡単だけど、運命はそう安易ではない。

    さてこの本は恋愛に関するショートストーリーを集めたもので、彼は17歳の頃から書いているけれど、いろんな時期に書かれたものが集められていて興味深い。
    ただ単に違う時代に書かれたから違う雰囲気、というわけではなく、彼の物語には繰り返し表される表現や風景がある。
    主人公の名前が著者と同じラスキンやラスキーだったり、ロケーションも彼の故郷ヒマチャルプラデシュであることが多いので、彼の少年時代や思い出とは切っても切り離されないはず。
    それだけじゃなく、同じセリフが出てきたり、同じ列車の路線に乗っていたり、違う女の子に同じ名前が繰り返されたり。

    ストーリー自体はみなほろ苦いストーリーが多く、恋愛とはまだ言えない段階であったり、何かが始まる前に失恋したり、まるで夢だったかのように、彼が恋をした女の子はふっと消えていく。

    日本ではあまり作品が出ていないのが残念ですがぜひ探してみてください。
    でも彼の本は子どもにも読まれるように書いてあるので、英語でも比較的簡単な表現で書かれています。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Falling in love again” Ruskin Bond (2013) Review | Maybe it was a dream

    彼が17歳で書いた作品The Room on the Roofはこちら
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    (彼の作品は日本ではこれが手に取りやすいようです)

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  • 『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 感想 | 噂話のレベル

    『The First Principle, Talks on Zen』オショー・ラジニーシ 1981年 感想 | 噂話のレベル

    🔽 基本情報 🔽
    The First Principle
    Talks on Zen
    Osho, 1981
    (第一原則 禅について)
    オショー・ラジニーシ
    288 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    このすぐ前に読んだOshoのThe Book of Manよりもっと苦痛だった。
    スピーチなどを集めたもので、読むというより聞くためのものだっただろうけれど、どっちみち私の好みではない。

    「私が聞いた話では」ばかりが集められていて、面白いというか噂話のレベルでしかないというか、人の注意を引くためにこなれたジョークをとばす、というのが全体的な印象。

    昔からある、古代から守られてきた宗教や習慣がお気に召さないようで、というか憎いようで極度に批判する。
    つまりカルトでありヒッピーカルチャーである。

    もう2冊も彼の本を読んだので、もう他は読まないでもいいですか…

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The First Principle, Talks on Zen” Osho (1981) Review | Sounds like just gossips

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    The First Principle: Talks On Zen


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  • 『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 感想 | 国際的カルト

    『”The Book of Man”』オショー・ラジニーシ 2002年 感想 | 国際的カルト

    🔽 基本情報 🔽
    The Book of Man
    Osho, 2002
    オショー・ラジニーシ
    226 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    話にはよく聞くOshoの本を初めて読んだ。
    実際には彼の発言集という形の本。

    よく分かった。なぜ彼がこんなにも、70年代から今現在においても人気であることが。
    誰だって不満を抱えて生きているんだから、中にはカルトにハマる人は絶対にいる。
    宗教的であることは今日でも長い人の歴史においても別に変わったことではない。
    ただ彼の教えでは、盲目的に宗教的であれ、強い力つまり自分に導かれなさい、属しなさい、と。

    70年代。彼は完璧なタイミングで出てきたわけです。
    アメリカなどの欧米社会に、賢くて口がうまくてサイケデリックなインド人グルがエキゾチックなことを言い出したんだから、絶妙なタイミングとしか言いようがない。
    抑制することはよくない、自由に人生を楽しめと彼は説く。
    とりあえずとググってみると彼はもちろん膨大な資金を寄付で稼いでおり、高級車を乗り回し(テレビで93台のロールスロイス)、暴力を推進し、性的にも極端に自由であったのだから、それは人は憧れる。
    しかし忘れてはいけないのは違法薬物を製造し自分の基地の他にも世界中に流通させ、さらには日常的な暴力を奨励し、そして特記する必要があるのは未成年に対する慢性的な性的搾取があったこと。

    と、まあ本に戻ると、多くの人が納得いくことが書いてあります。もちろん意図的に。
    なので研究対象というか、そういう側面から見ると面白いといえるけど、それ以上ではない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Book of Man” Osho (2002) Review | International cult
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  • 『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ 感想 | インドを代表する詩人思想家

    『作品集』ラビンドラナート・タゴール 1886年~ 感想 | インドを代表する詩人思想家

    🔽 基本情報 🔽
    Selected Stories of Rabindranath Tagore
    Rabindranath Tagore, 1886-
    作品集
    ラビンドラナート・タゴール
    372 pages
    2023.04 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    タゴールの素晴らしさはどこでも語られる。
    でも実際に色々と読むまでは本当には実感できない。

    もう一世紀以上経っているのでタゴールの作品集という名の本はたくさん出ているけれど、これはインド人の友人にもらったインドの出版社のもの。
    詩や短編小説が多いので、インドでもその時代によってもかなりの本が出ていて、人と話していてその本は読んでないけどその物語は知っている、ということはよくある。

    この本の中だけをみても、ジャンルがいろいろとある。
    恋愛もの、幽霊の出る話や、家族、友情と、彼のその取り上げるストーリーの幅の広さに驚かされるけれど、そこで語られる物語の多くが、正直で真面目、謙虚で貧しい人々であるということも忘れてはいけない。

    100年経っても、時代は変わっても、人々の苦しみの根源は変わらない。
    だからベンガル地方、インド、アジアという枠を超えて、人はタゴールの物語に心を打たれる。

    中でも良かった作品は「The river stairs」「The Cabuliwalla」「The son of Rashimani」「The master Mashai」「Living or Dead」「Fair neighbour」

    リンクは、同じような短編、中編の作品集を張っています。
    でも可能であれば他の手に取りやすい作品から入るのも良いと思います。

    アジア初のノーベル賞受賞者、芸術と平和という観点から近代インドと近代日本を繋いだ人でもある、けれど日本では彼の作品はそうどこにでもあるというわけではないようです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Selected stories of” Rabindranath Tagore (1886-) Review | Mastermind of literature

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『日本の精神』ラビンドラナート・タゴール, 1916年 感想 | 軍事国家へ走る日本への警告
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    タゴール著作集 第4巻 中・短篇小説集1


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  • 『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 感想 | 悟りへの近道的な

    『(フェラーリを売り払った僧侶)』 ロビン・シャーマ, 1996年 感想 | 悟りへの近道的な

    🔽 基本情報 🔽
    The monk who sold his Ferrari
    Robin Sharma, 1996
    (フェラーリを売り払った僧侶)
    ロビン・シャーマ
    198 pages
    2025.03 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    仕事一筋でお金が重要な生活をしていた男性のもとに、人生とは何かを告げる変な男がやってきた。

    何が大事かを悟るために、本当の夢や運命を追いかけるためにどういうことをすればいいか、ということを非常に分かりやすく具体的に説いた本で(例えば、瞑想が難しいのなら部屋にある一つの置物の表面の一点に集中して、とか)、読んだあとその瞬間にすぐに行動に移せる本。

    ただ、面白いかといえば面白いわけではない。
    まあ自己啓発本だからストーリーが面白いことが目的ではないんだけど、それはいいとしても、「古代インドでは」とか「神秘的な共同体にいたとき」とか「アジアの伝説によると」とか、どうみても欧米の一般人が好きそうな表現が多い。
    まあそれもターゲット層がそうなんだから仕方がないんだと思うしかない。
    いずれにしろ、もし欧米の白人の層に属しているのなら自己啓発としては優れているのは間違いない。
    そうでない人にとってはズレていると思う。

    あ、もし欧米人に瞑想とは悟りとは何かとかを説明する必要があれば訳には立つ!

    🔽 関連ページ 🔽
    “The monk who sold his Ferrari” Robin Sharma (1996) Review | A quick way
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  • 『深夜特急 3 インド ネパール』沢木耕太郎, 1986年 感想 | 旅行記の定番

    『深夜特急 3 インド ネパール』沢木耕太郎, 1986年 感想 | 旅行記の定番

    🔽 基本情報 🔽
    深夜特急 3
    インド ネパール
    沢木耕太郎, 1986
    211 pages
    2023.01 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    青年時代インド北部とネパールを回った作家のエッセイ。

    まず読み物として絶対的に読んでて面白い。
    70年代のはずなので、ヒッピー絶頂期でインドも今より生々しいところだったはず。
    しかもそういうところを結果的に廻ってるので、いわゆる王道のインドなスポット。

    自分が若い頃に読んでたら憧れていただろうけど、今インドに行って、数百円、数十円を一時間かけて値切る根気は全くない。
    予定を決めない旅行もできそうにない。
    (実はこの後の2023年2月から友人の結婚式を始めインドを何箇所か回ってきたので、その直前に読んだのでした)

    やっぱりインドというのは誰にとっても特殊。
    最近India Syndrome というのを目にしたけれど、インドに行って精神的に感化されまくってもう私は一生ここで生きていく、と極端にインドに異常にベタ惚れすることだそう(きっと少なからず薬物なども関わってると思うけど)
    生と死が渦巻いていて、特にアメリカや日本など飽和社会からインドの貧しいエリアに行くと脳天に物凄いパンチを受けることになるのはわかる。

    私は冷めてるのかもしれないけど、インドだって人が生活しているんだから、大人になって上から目線で己の人生を変えようとインドに行って本当はお金があるのにわざと貧しい生活を短期間して、それで気安く人生変えなくても、と思う。
    きっと長年多くのインド人と働いたから、自分の現実の世界と離して考えられないんだろう。
    著者のように若いときに行くのは別にして、大人でお金があるなら、もし人生変えてもらったんなら寄付でもすれば良いのに。

    自分は溺れないようにしようと心に決めたまでです。
    どこで読んだか、人間には二種類あるそうで。
    インドに行きたくて、行ける人間と
    インドに行きたくても行けない人間。
    つまり皆インドに行きたい。
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  • 『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 感想 | シッキム王国の歴史と魅力

    『(シッキム)』アンドリュー・ダフ 2015年 感想 | シッキム王国の歴史と魅力

    🔽 基本情報 🔽
    Sikkim
    Requiem for a Himalayan Kingdom
    Andrew Duff, 2015
    (シッキム ヒマラヤ王国へのレクイエム)
    アンドリュー・ダフ
    320 pages
    2023.01 読了
    日本未出版
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    シッキム王国がインドに吸収される前の数十年を詳しく書いたシッキムの歴史の本でありながらも、その最後のチョギャル(王様)であるトンドゥプ・ナムゲルのストーリー。

    シッキム、現インド シッキム州はネパール、ブータン、チベットなどに囲まれたヒマラヤ山脈の東に位置するエリア。
    地形的に厳しいエリアでありながらも重要な国々に囲まれた特殊な地理もあり、17世紀からはチベット系の王チョギャルが治めていて、1975年にインドに吸収される。

    知れば知るほど面白くて仕方がないのです。
    この本のスコットランド人著者は、幼い頃に祖父が語ってくれたシッキムに憧れ、ついにその地を訪れる。
    ペリンの町の外れにあるペマヤンツェ寺院で、ちょっと変わったに僧に出会い、お前はシッキムの何を知っているんだ、と言われ、ある本を渡された。
    そこから彼の本格的な研究が始まる。
    その僧こそ、当時国王の側近であった人物であり、その本が最近私もやっと読めた本Smash and Grabなんですね。

    ヒマラヤの文化が集中しているシッキム、元は現地民が住んでいたけれど、チベット系の王ができたことで文化的に仏教中心になっていって、でも19世紀ごろからは大英帝国も入り込んできて、農業改革を行うに当たり、歴史的にも敵対していたネパール人をシッキムに移住させる。
    チベットや中国が権利を主張するもイギリスの保護国となったシッキム、インド独立後はその権利を引き継いだインドの保護下になるも、最後のチョギャル、トンドゥプ・ナムゲルの方針はシッキム独立であったため、ネパール系に多かった親インド派と国内で対立が続き、親インド派を手懐けたインドの後押しで王政は崩壊、あっというまにインド軍に囲まれ、アメリカに亡命。
    と、簡単な歴史はこんな感じで、この本は最後のチョギャルに焦点を置いたものでありながら、前後の流れもわかりやすい。
    インド、中国、イギリスと巨大な権力がこの小さな王国の上で渦巻いている。
    自分の王としての権利にしがみつき、若いアメリカ人の王妃(東洋のグレース・ケリー)に操られているんだ、出来損ないの政治家だ、と色んな意見はあるけれど、結局のところシッキム王国に何ができたか。
    インドの手下となったネパール系の反対派との動きの詳しい本はこちら。
    “Smash and Grab” Sunanda K. Datta-Ray 1984 >>

    インドとなった現在もインドからシッキム州に行くには検問を通ります。
    私は2023年に行ったけど、外国人は要ビザ。
    シッキム州でシッキム人以外が不動産を買ったりビジネスを始めるのはかなり困難。
    面白いのは、18世紀から圧倒的にネパール系が多いのに、観光地も含め主要な寺院はチベット仏教系。
    自然が豊かなので次回行くときはぜひもっと北部に、それこそこの著者が訪れたペリンに。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Sikkim, Requiem for a Himalayan Kingdom” Andrew Duff (2015) Review | Fell in love with Sikkim
    🔽 買えるところ / あらすじ、詳細 🔽

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  • 『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    『(シャタード・ランド)』 サム・ダルリンプル, 2025年 感想 | 5つのアジア分離独立

    🔽 基本情報 🔽
    Shattered Lands
    Five Partitions and the Making of Modern Asia
    Sam Dalrymple, 2025
    シャタード・ランド
    5つの分離独立と現代アジアの誕生 (日本語訳なし)
    サム・ダルリンプル
    528 pages
    2025.09 読了
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    現代アジアを造り上げた分離独立、パーティション。
    その背景は日本人だけでなく、当事者のインド周辺の現地の人にも、英国人にも世界中でも知られていない。
    バングラデシュ、ミャンマー、カシミヤ、そういうニュースで見る地域の問題は、自然発生したものではなく、もちろん現地の人が単純に暴力的だからでもない。
    何事にも理由がある。

    日本での第二次世界大戦の終戦日のぴったり2年後、インド帝国が英国から独立。
    それは有名だけれど、そのインド帝国、つまり現在のイエメンからミャンマーまでの壮大なエリアがその前後にどう分けられていったかはあまり知られていない。
    というか、イエメンからミャンマーまで、その間に現在のカタール、アラブ首長国連邦、ブータン、など無数の藩王国があったのすら知られていない。
    5つの分離、つまりミャンマーの独立、アラビア半島の独立、インド・パキスタン分離独立、印パによる500ほどの藩王国の吸収、バングラデッシュの独立。

    「知られていない」と繰り返し書いているけれど本当にそうなのだから仕方がない。
    英国はインド帝国の利益によって支えられていたけれど、大英帝国の人口は当時の世界の人口の25%!
    戦争により経済が崩れ世界の4分の1の人口を支えきれなくなった英国はできるだけ早く撤退することをモットーに、アジアなんて行ったこともないロンドンの役人が駆り出されどんどん地図上に線を引いていき、しかもインド帝国に借りていたお金もほぼ無視で、しかも「せっかくなら日本を敗戦させた8月15日に独立させよう」と言い出し、十分な準備もなく独立。大英帝国といえば、どこにいっても嘘をつき続け、右に左に騙し続け、最後は自分の手は汚さずさっさと逃げ出す、いつも同じパターン。
    私もそこは知っていた。エリザベス女王の旦那フィリップ殿下の叔父、インド総監マウントバッテンの当時の適当さも知っていた。そこまでは有名。
    それ以外のすべてが「知られていない」、知らなかった。

    Shattered Lands、粉々になった土地、というタイトルの通り。
    戦時中にまずミャンマーが分離。(しかも当時ミャンマーの現ヤンゴンが世界で人の出入りが激しい港、つまりニューヨークなんか追い越した大都会だったと。なんと。)
    当時人口の16%いたインド系の人間はミャンマー人じゃない、と追い出される。
    この本は5つの独立分離について非常に詳しく描かれているけれど、5つとも現地の人々の反応、待遇、対応、残酷さはすべて似ている。
    民族や宗教の枠を超えてコスモポリタンな社会に生きていた人々。
    今まで近所付き合いのあった人びとが突然、民族が違うから、宗教が違うから、という理由で追い出し合い、憎み合い、殺し合う。
    その度に何百万という人間が新しく引かれた国境を超え、もちろん多くは難民となり、少なくない数の人が虐待、強姦、そして殺された。
    粉々になった土地、ばらばらに引き裂かれた人々。
    カシミア紛争を含むインド・パキスタン情勢、ロヒンギャ難民問題などその多くは解決していない。
    他のところで聞いたことだけど(彼のお父さんのポッドキャストで)、この時代を生きた人は、それこそ戦争に駆り出された日本のおじいちゃんたちもそうかも知れないけれど、多くを語りたがらない。
    彼らはその恐怖と過ちと恥を墓まで持っていくつもりで口は開かない。
    その子どももなんとなく聞きづらくて追求しない。
    でも今、孫の代になって初めて真相が明らかになっているという現象が起きているらしい。

    細かく言うと色々とあるんだけど、それはいつかきっとこの本が日本語に訳され日本でも多くの人の手にわたることを願い省くとして(ミャンマーには日本もかなり関わってきます)、全体として印象深かったのは、分離独立前は各々の地域によって生活習慣も違っていたのに、セキュラ―な社会、非宗教的な社会だったということ。
    完全に平和かといえばそうじゃなかったにしてもギリギリのバランスは保たれていた。
    それが突如、超宗教的で、国民主義的、ナショナリズムに走ったはっきりいって差別的で軍事的で暴力的な社会を次々と生み出してしまった。
    英国の下で植民地化された社会が良いとは言えないけれど、じゃあ紛争のないアジアを目指したとき、人々はセキュラ―であることを目指し宗教や伝統を蔑ろにしたほうがいいのか。
    共同体が与えてくれる安心感は過去の産物になるのか。
    伝統は狂暴なのか。

    この本には毎ページに驚きが隠されている。
    素晴らしい歴史本は大概まるで物語を読んでいるように感じるけれど、この本もそう。
    28歳の著者サム・ダルリンプル氏はヒューマニズムに溢れ人間的で、情熱を持った人物だと言うのが手に取るようにわかる。
    これだけ残酷な歴史を語る本の中にも、それでも宗教の違う友人が命をかけて助け合った話をきちんと残してくれるし、彼自身も独立分離によって故郷に帰れない人の代わりに国境を超えて代理で会いに行くという活動もしている。

    もちろん父親がウィリアム・ダルリンプルということはプラスに働いているけれど、彼は20代にして初出版にして、もう自分の足で立っている歴史家の一人。
    インドでもダルリンプル親子がベストセラーのチャートにずっと上ってたし、インド史周辺はなかなか面白いことになりそう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Shattered Lands" Sam Dalrymple(2025) Review | Making of new Asia
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  • 『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 感想 | ネパールとディアスポラ

    『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 感想 | ネパールとディアスポラ

    🔽 基本情報 🔽
    (グルカの娘)
    The Gurkha's daughter
    Prajwal Parajuly, 2013
    280 pages
    2024.09 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ネパール人またはネパールに関わる人々のストーリーの短編集。

    ネパールは貧しさや紛争により昔から外に出ていく人が多くディアスポラの問題が後を絶たない。
    自分の住んでいる土地に、生まれた土地に属している感覚がないという問題。
    インドのダージリンはネパール系が過半数で彼らの故郷の意識は統一されていない。
    ブータンに住む故郷ネパールから追い出された難民。
    カリンポンに住むビハール出身のムスリムの商人。
    ニューヨークにすむネパールに行ったことがない移民の子。

    彼らの物語は辛くて悲しい、でもドラマチックには描かれない。
    だって彼らの人生はリアルで、大袈裟なドラマではない。
    遠くなっていく伝統としきたり、強くなっていく故郷への思いという避けようのない物語を背負っている。

    日本にも多くのネパール人が住んでいるということも忘れてはいけない。

    じんわりと心に残る短編集。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Gurkha’s daughter” Prajwal Parajuly (2013) Review | Nepal and Diaspora
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  • 『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    『(黒水仙)』ルーマー・ゴッデン, 1939年 感想 | じんわりと崩れる修道女たち

    🔽 基本情報 🔽
    Black Narcissus
    Rumer Godden, 1939
    黒水仙
    ルーマー・ゴッデン
    258 pages
    2024.08 読了
    (日本未出版、日本では映画のみ)
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イギリス領ダージリン近辺の山の中、元ハーレムだった建物が孤独な修道院に改築され、そこへ移ってきた修道女たちのストーリー。
    それだけでもうヒステリックでダークな展開が想像できるけど、その通り、彼女たちの慎ましい生活は少しずつ狂っていく。

    地元の人はだれも望んでないのに、勝手にやってきて勝手にキリストの教えを説くというおこがましさは当時どこでも見た風景だけど、誰からも反対されるそんな空気の中で貞節の誓いを立て清く正しく生きるという決意はいいんだけど、長く続くはずはなかった。当然。

    地元の将軍の言う通り「神様であるカンチェンジュンガの山に近づきすぎると精神を崩しますよ」

    ダークで性的な緊張感や白人至上主義とキリスト教の博愛主義の葛藤、さらには大英帝国帝国の崩壊、モラルの崩壊、など確かにベストセラーになるにはダークすぎる。
    でも人間として、女としてのネガティブな部分がじんわりと滲み出ていて、どんどん落ちていく彼女たちのモラルに、読んでいてドキドキ、ハラハラ、そわそわする。
    インド独立の年のタイミングで映画化までされたようで、すごい。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Black Narcissus" Rumer Godden (1939) Review | Nuns slowly go mad
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  • 『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    🔽 基本情報 🔽
    The Room on the Roof
    Ruskin Bond, 1956
    (屋根の上の部屋)
    ラスキン・ボンド
    184 pages
    2024.08 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ラスキン・ボンド、日本ではあまり知られてないんですね。
    インド生まれ、インド育ちのイギリス系白人の彼はインドではその優しい文章と切ないノスタルジアに包まれたストーリーで人気。その彼が17歳の時に書いたデビュー作。

    彼自身の少年時代を描いたような小説で、イギリス系インド人の主人公の少年の英国人の保護者やインド人の友人との生活、なんだけど、典型的白人主義の家庭には馴染めず、かといって明らかに見た目も階級も違う自分は地元の友だちと同じ生活ができない。

    少年時代というのは誰もが「ここに馴染めない」と思うんだけど、彼の場合はその悩みはリアルで明確で、どれだけ彼自身が望んでも変えることはできない。

    いつかきっとと思っていた願いは非現実的に見えた。
    著者本人はイギリスに移住するも結局インドに帰ってくる。
    彼の愛する故郷はインドしかない。

    繊細な少年時代を描く一冊。

    日本では下記の作品集に含まれています

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Room on the Roof" Ruskin Bond (1956) Review | Sense of belonging
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    小学館世界J文学館 青い傘ほか ラスキン・ボンド作品集

    この作品集に含まれています


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  • 『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    『ギタンジャリ』タゴール, 1910 感想 | インドの偉大な詩人の代表作

    🔽 基本情報 🔽
    Gitanjali
    Rabindranath Tagore, 1910
    ギタンジャリ
    ギーターンジャリ
    ラビンドラナート・タゴール
    48 pages
    2024.07 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    アジア初のノーベル賞受賞のインド人詩人タゴールの有名な「歌のささげもの」。

    詩集なので、訳されるとどうしても本来の美しさはなくなってしまうものだと思う。
    日本語訳のをちらっと見たけど、日本語のほうがしっくりする。
    読むときはできれば解説付きがいい。

    神々に捧げる歌なので、その宗教観を持っていないと実感できないところはあるけれど、翻訳を通じ出てもその美しさに惹かれる。
    神秘な世界というか、普段の生活とは違う空間に連れて行かれるような。
    今度は日本語で読んでみよう。

    ちなみに当時の日本のアーティストとも親交があり何度も訪日するも、日本の国家主義を批判、晩年は日本へは訪れていない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Gitanjali" Rabindranath Tagore (1910) Review | India's grand poet
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  • 『”Chasing a blazing fire in the Himalayas”』 Anmol Mukhia, 2020年 感想 | カリンポンの歴史とキリスト教

    『”Chasing a blazing fire in the Himalayas”』 Anmol Mukhia, 2020年 感想 | カリンポンの歴史とキリスト教

    🔽 基本情報 🔽
    Chasing a blazing fire in the Himalayas
    A brief sketch of the (un)noticed Kalimpong Pentecostal revival
    Anmol Mukhia, 2020
    146 pages
    2024年5月 読了
    
    
    
    
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    雰囲気で買ってしまったけど、前半は良かった。
    カリンポンはインド北東部の西ベンガル州の北部、ダージリン近くの街。
    ここは英国人が紅茶栽培で住み着いて以来キリスト教布教が盛んで、当時はインド全土にいた英国人が子どもをカリンポンやダージリンのキリスト教系の学校に送っていた。
    なのでそこまでは知っていたけれど、この本は特にペンテコステ派とカリンポンの繋がりについて詳しく書いてある。
    そう、前半は。
    最後の方になると、トーンが変わって良いキリスト教徒になるには、という結論で終わる。
    タイトルともカリンポンの街とも関係ない説教で終わるので、かなり飛ばしながら読んだけど、最初が面白かっただけに残念。

    🔽 買えるところ 🔽
    English review
    "Chasing a blazing fire in the Himalayas" Anmol Mukhia, 2020 Review | History of Kalimpong's Christianity
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    Chasing A Blazing Fire In The Himalayas (English Edition)