「科学者が人間であること」中村桂子, 2013 >>

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科学者が人間であること
中村桂子, 2013
256 ページ
2025.12 読了
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一風変わったこのタイトルの重要さ。
自分と自然に境目はない、だって自分は自然の一部でしかないのだから。
科学者だけでなく、会社人でも特に政治家も、ぜひ読んで忘れないでほしい、あなたもわたしも、人間であることを。

「日本文学の大地」を読んだときにに感じたことが、ここでは現代の科学者からの視点で書かれている。
17世紀からの近代科学の発展、つまり自然を支配しようという思想のせいで、自然の一部だという人間の本来の感性があたかも古くさいもののように陰に追いやられた。
でも今こそその感性を思い出す時。
そう「思い出す」のであって新しいことではない、私たちが本来持っている感性と科学や技術の発展は敵対するものではない。

元来の人間の生活を中心に置いたその向こうに見える未来は輝いている。
それは金融資本とか人工知能とか金儲けのための開発とか、人間を置いてけぼりにした死んだ発展ではない。
技術が進むにつれ知識が増える、でも次のステップ「どう普遍的な文明に繋げるか」にもたどり着くことを皆が意識する。

彼女のことはお坊さんのポッドキャスト「テンプルモーニングラジオ」で知ったんだけど、DNAを引っ張り出して、血統だとか子孫だとか言うのは間違っていると強く仰っていて、それに惹かれてこの本を探したのでした。

DNAは生物すべてが共有するものであり、単に親から子へまっすぐと降りてくるものという意識は間違っていると心に留めておくと、自分さえ良ければという考え方が薄れていくと思う。そして今こそ大事な考え方の転換。


追記ですが、明治から特に海外に出た日本人の偉人が色々と言及されているので、特に南方熊楠は一度しっかり読みたい。

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