★★★★☆ 先祖の地インドにわたり、暗闇の中にも神秘的な繋がりを見出す旅行記だと勝手に思っていたら、完全なる大間違いだった。貧困は神秘的で美しいなんていう偽善者の顔をひっぱたくような、そんな強烈な一冊。
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An Area of Darkness
V. S. Naipaul, 1964
Sir Vidiadhar Surajprasad Naipaul
インド・闇の領域
V.S.ナイポール
304 ページ
2023.08 読了
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
ブッカー賞もノーベル賞も受賞した、インド系トリニダード出身のイギリス人の著者。
ピンとこない人はこの意味が分かりづらいでしょうが、いわゆるクーリー貿易のあの流れで西インド諸島に渡ったインド人の孫。
彼らはインド人の顔をしていてもインドを知らず、故郷トリニダードでは常に黒人から人種差別を受けるグループ。
その孫の代で多くがイギリスに渡っていますが、故郷の観念が複雑なのです。
さて、本題の本について。
きっと、先祖の地インドにわたり、ダークネスの中にも神秘的な繋がりを見出す旅行記だと勝手に思っていたら、完全なる大間違いだった。
どちらかというと彼自身が自分で内面的な旅をする中で、ただその背景にインドがあるというか。
そして彼の描くインドは完全にネガティブ。
きっと本人も精神的に参っていた時期なのだろうけど、とにかく残酷な表現。
よく西洋人や裕福な人間がインドに行って貧困が美しい、神秘的だ、人生観が変わる、なんて言うけどそんな綺麗事は一切なし。
彼の旅行記は、貧困の様子、貧しい人からの搾取、貧困の醜さ、無知の醜さ、人間から出てくる廃棄物をことごとく描く。
インドでは発禁されていたそうだけど、それはそうだろう、こんな本が出回ったら旅行客は一気に減ってしまう。
いよいよ祖父の故郷の村にいくシーンも読んでいて辛い。
彼は義務感から行ったけれど、その貧しさ、人々の無知さに嫌気が差し、逃げるようにさっさと出ていく。
この場面だけでもわかるように、とにかく不快な思いばかりだったようで、隠しもせずにここに表現されている。
貧困は神秘的で美しいなんていう偽善者の顔をひっぱたくような、もっというとそんな偽善者に中指を立てるような、そんな強烈な一冊。
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English review
“An Area of Darkness” V. S. Naipaul (1964) Review | A slap in the face
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