タグ: 家族

  • 『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 感想 | ネパールとディアスポラ

    『(グルカの娘)』Prajwal Parajuly, 2013年 感想 | ネパールとディアスポラ

    🔽 基本情報 🔽
    (グルカの娘)
    The Gurkha's daughter
    Prajwal Parajuly, 2013
    280 pages
    2024.09 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ネパール人またはネパールに関わる人々のストーリーの短編集。

    ネパールは貧しさや紛争により昔から外に出ていく人が多くディアスポラの問題が後を絶たない。
    自分の住んでいる土地に、生まれた土地に属している感覚がないという問題。
    インドのダージリンはネパール系が過半数で彼らの故郷の意識は統一されていない。
    ブータンに住む故郷ネパールから追い出された難民。
    カリンポンに住むビハール出身のムスリムの商人。
    ニューヨークにすむネパールに行ったことがない移民の子。

    彼らの物語は辛くて悲しい、でもドラマチックには描かれない。
    だって彼らの人生はリアルで、大袈裟なドラマではない。
    遠くなっていく伝統としきたり、強くなっていく故郷への思いという避けようのない物語を背負っている。

    日本にも多くのネパール人が住んでいるということも忘れてはいけない。

    じんわりと心に残る短編集。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “The Gurkha’s daughter” Prajwal Parajuly (2013) Review | Nepal and Diaspora
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  • 『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』 今川ホルン, 2024年 感想 | 楽しく脳を育てる

    『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』 今川ホルン, 2024年 感想 | 楽しく脳を育てる

    ★★★★★ 自閉症児の子育て。子供の脳に楽しいこととして伝え、脳を育てて言葉を引き出すというメソッドの入門書。実践的。
    🔽 基本情報 🔽
    ことばが遅い自閉症児のおうち療育
    今川ホルン 2024
    Horn Imakawa
    252 pages
    2024.08
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    偶然インスタグラムで見つけて。
    専門書は一杯あるけど、この本は入門書レベルで就学する前後の言葉が出にくい子へのアプローチなので、正にストライクなテーマ。

    癇癪を起こす子が多いのは仕方ないようで、なんとか仕方なくなくなる方法がある。
    我が家の場合は落ち着いてる方だけど、やっぱりどこの本も専門家も無視しましょうとある。

    子供の脳に楽しいこととして伝え、脳を育てるというメソッド、この本は入門書としてはぴったりで深堀はしないので、今後はもうちょっとその方面の専門書を読んでみたい。
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    脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育



  • 『台所太平記』 谷崎潤一郎, 1963年 感想 | 愛らしい女中さんたちの記録

    『台所太平記』 谷崎潤一郎, 1963年 感想 | 愛らしい女中さんたちの記録

    🔽 基本情報 🔽
    台所太平記
    谷崎潤一郎, 1963
    The Maids
    Junichiro Tanizaki
    240 pages
    2024.08
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    谷崎潤一郎が描く、とある老人の家にやってくる女中さんの記録。
    といっても、谷崎の筆にかかれば全ての女が独特で愛らしくて、それを一歩下がってみている主人の様子など、まさに谷崎文学。

    戦前からの数十年つまり一昔前の女中は現代でいうお手伝いさんではない。
    若い彼女たちは田舎から出てきて住み込みで働くが、主人の方も自分の娘のように案じ、世話もする。そういう関係はやっぱり今ではそうはいかない。

    主人の若い女好きが転じて女中だらけの家にいるのは一目瞭然で、いつものように足フェチなのも伺えるし、女中の自由な恋愛にだって、女中同士の同性愛へだって比較的おおらかに描かれる。
    でもそれも今は昔、良いことか悪いことかデモクラシーとはそういうもので。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Maids" Junichiro Tanizaki (1963) Review | All his lovable maids
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  • 『重力ピエロ』 伊坂幸太郎, 2003 感想 | 苦手意識があったのに意外にも

    『重力ピエロ』 伊坂幸太郎, 2003 感想 | 苦手意識があったのに意外にも

    ★★★☆☆  ちょっと苦手意識のあった伊坂幸太郎。でもこれはよかった。
    何が違うかというと、もうちょっと優しさがあり、つっけんどんの暴力さはない。
    
    
    
    
    
    🔽 基本情報 🔽
    重力ピエロ
    伊坂幸太郎, 2003
    A Pirouette
    Kotaro Isaka
    496 pages
    2024.08
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    死神の制度から、ちょっと苦手意識のあった伊坂幸太郎。
    語り口が苦手と思っていたら、あれはあの物語だけの話で、この重力ピエロはもっとよかった。

    何が違うかというと、もうちょっと優しさがあり、つっけんどんの暴力さはない。
    確かに暴力がずっと付きまとうけれど、それを越える家族愛があり、圧倒的な兄弟愛がある。
    理屈も事実も犯罪も遺伝子だって越えるおおきな家族愛。

    ちょっと他のも読んでみないと。
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  • 『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    『(屋根の上の部屋)』 ラスキン・ボンド, 1956年 感想 | 繊細な少年時代

    🔽 基本情報 🔽
    The Room on the Roof
    Ruskin Bond, 1956
    (屋根の上の部屋)
    ラスキン・ボンド
    184 pages
    2024.08 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ラスキン・ボンド、日本ではあまり知られてないんですね。
    インド生まれ、インド育ちのイギリス系白人の彼はインドではその優しい文章と切ないノスタルジアに包まれたストーリーで人気。その彼が17歳の時に書いたデビュー作。

    彼自身の少年時代を描いたような小説で、イギリス系インド人の主人公の少年の英国人の保護者やインド人の友人との生活、なんだけど、典型的白人主義の家庭には馴染めず、かといって明らかに見た目も階級も違う自分は地元の友だちと同じ生活ができない。

    少年時代というのは誰もが「ここに馴染めない」と思うんだけど、彼の場合はその悩みはリアルで明確で、どれだけ彼自身が望んでも変えることはできない。

    いつかきっとと思っていた願いは非現実的に見えた。
    著者本人はイギリスに移住するも結局インドに帰ってくる。
    彼の愛する故郷はインドしかない。

    繊細な少年時代を描く一冊。

    日本では下記の作品集に含まれています

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Room on the Roof" Ruskin Bond (1956) Review | Sense of belonging
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    小学館世界J文学館 青い傘ほか ラスキン・ボンド作品集

    この作品集に含まれています


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  • 『佐賀のがばいばあちゃん』 島田洋七, 2004年 感想 | 大切な夏の思い出

    『佐賀のがばいばあちゃん』 島田洋七, 2004年 感想 | 大切な夏の思い出

    ★★★★☆  親との思い出は忙しくて過ぎ去っていくけど、祖父母との思い出は残る。おばあちゃん、すごい。夏休みにピッタリの一冊。
    🔽 基本情報 🔽
    佐賀のがばいばあちゃん
    島田洋七 2004
    Yoshichi Shimada
    163 pages
    2024.07

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    著者は漫才師らしいけど、彼よりもこの本の名前は知っていた。
    思っていた通り、さらっと読める代わりに楽しくて元気をもらえる一冊。

    親との思い出は忙しくて過ぎ去っていくけど、祖父母との思い出は残る。
    特に田舎で何もない二人だけの生活となるとそうだと思う。おばあちゃん、すごい。
    私もそうだったので、自分の子供が同じように祖父母と思い出を作る時間や場を設けるようにしている。

    夏休みにピッタリの一冊。
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  • 『ハピネス』 桐野夏生, 2016 感想 | みんな嘘と見栄ばっかり

    『ハピネス』 桐野夏生, 2016 感想 | みんな嘘と見栄ばっかり

    ★★★★☆  一生縁はないであろうプチセレブ生活。ママ友は家にあげないというのが面白い。あくまで外面しか見せない。結局みんな苦労してて、嘘と見栄ばっかりで、小さな世界でもがいてる、そういうもの。

    🔽 基本情報 🔽
    ハピネス
    桐野夏生, 2016
    Natsuo Kirino
    456 pages
    2024.07
    アマゾンで見る
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    一生縁はないであろうプチセレブ生活。

    ママ友関係で縛られて、タワマンのランクを常に意識してお受験して、着るものにとことん気を配って、でも家庭内は秘密ばかり。

    すっごいセレブじゃなくてプチセレブというのがポイント。
    ママ友は家にあげないというのが面白い。あくまで外面しか見せない。結局みんな苦労してて、嘘と見栄ばっかりで、小さな世界でもがいてる、そういうもの。

    主人公がちょっと幸せ向かう感じになるのは嬉しい。失敗は恐れなくていい。
    続編もあるんだとか。
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  • 『 (自閉症の子供のための早めのスタート)』 Sally J Rogers, 2012年 感想 | 2,3歳くらいの子の家族

    『 (自閉症の子供のための早めのスタート)』 Sally J Rogers, 2012年 感想 | 2,3歳くらいの子の家族

    🔽 基本情報 🔽
    An Early Start for Your Child with Autism: Using Everyday Activities to Help Kids Connect, Communicate, and Learn
    (自閉症の子供のための早めのスタート)
    Sally J Rogers, etc, 2012
    342 pages
    2024.07 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    間違いなく読むの遅すぎた。この本は2、3歳の自閉症の子の家族のための本。
    うちの子はもう6歳。

    それでもまあ、セラピーの先生がこの方法を選んだのかとか、この段階はこれだ、などの裏付けの理論をきちんと読めたのは良かった。

    自閉症と診断されたばかりの、まだ就学前の子の家族におすすめです。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “An early start for your child with Autism” Sally J Rogers (2012) Review | For toddlers
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  • 『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    『一次元の挿し木』 松下龍之介, 2025 感想 | 壮大でありえなくても面白い

    🔽 基本情報 🔽
    一次元の挿し木
    松下龍之介 2025
    256 pages
    2025.08
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    公募小説新人賞の作品とは知らなかった。しかも大賞じゃない。
    なのに安定感があって面白い。

    上から目線はここまでにして、何が面白いかって、ありえないよね、と分かっているのにストーリーが面白くてテンポが良くてあっという間に読んでしまうこと。
    つまり面白いと現実味があるはイコールではない。

    貧乏ポスドクの小ネタに始まり、笑わない美青年という設定、健気な美少女、暇な主婦にギリシャ神話と、エンターテイメント性たっぷり。
    その上であらすじが「インドの古人骨と失踪した妹のDNAが一致」という壮大なことになってる。それが全然空回りしない。

    まだ若いのできっとこれから熟していくんでしょう。
    東野圭吾のように理系で人間味があってしかもどんどん書いてくれれば、楽しみが増えるわ。
    誰でも惹き付けられるミステリー。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "(Labyrinth of Hortensia and Minotaur)" Ryunosuke Matsushita (2025) Review | Exciting and entertaining, most loved mystery

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    一次元の挿し木 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)



  • 『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 感想 | 後悔と哀愁の静かなエレガンス

    『浮世の画家』カズオ・イシグロ, 1986年 感想 | 後悔と哀愁の静かなエレガンス

    🔽 基本情報 🔽
    An Artist of the Floating World
    Kazuo Ishiguro, 1986
    浮世の画家
    カズオ・イシグロ
    206 pages
    2024.07 読了

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    過去を思い出し、後悔を思い出し、明るい未来を願う。
    イシグロらしさが滲み出す、日本人らしいことに閉じ込められた老人のお話。

    老後の静かな生活の中で戦時中の自分を思い返し、当時は当たり前だった日本精神のプライドなどを少しずつ見直す主人公の気持ちの変化は、後悔や哀愁、ノスタルジアをいつもうまく突き刺してくるイシグロらしい静かなエレガントさに包まれている。

    ノーベル賞受賞作家

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "An Artist of the Floating World" Kazuo Ishiguro (1986) Review | Japanese sentiment
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    An Artist of the Floating World: As heard on BBC Radio 4 Book at Bedtime (English Edition)



  • 『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    『響きと怒り』 ウィリアム・フォークナー, 1929年 感想 | 語り手の意識の中に迷い込む

    🔽 基本情報 🔽
    The Sound and the Fury
    William Faulkner, 1929
    響きと怒り
    ウィリアム・フォークナー
    464 pages
    2024.07 読了
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    かなり難しいので完全にわかったわけではない、でもすごい一冊。
    第一章からいきなり重度の知的障害の弟の視点から描かれているので、時系列でもないし、重複したり注意があちこちに飛ぶ、その中で明らかなのはお姉ちゃんに対する愛情。
    それから他の兄弟の視点へと移り、客観的な説明がないのに同じことについて別の視点で描かれているが、つまりはかつて裕福であったアメリカ南部の一家の崩壊の物語。
    知的障害児が身近な私にとっても、その思考の表し方など、そういう意味でも興味深い。

    同じ出来事が別の視点で語られることによりその人物の人格を浮き上がらせるが、その事柄自体の説明がないので、途中からウィキペディアのあらすじを頼りに読んだけど、それでもこのリズムがつかめるようになるとページがどんどん進む。
    当時のアメリカ南部にきっと多くいたであろう、機能不全家族の悲しい物語。

    これはもう一度改めて読んで、そのうえで一つの読書体験とするべき。

    ノーベル賞受賞作家


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The Sound and the Fury" William Faulkner (1929) Review | A difficult read but a masterpiece
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    響きと怒り 上 (岩波文庫 赤323-4) [ フォークナー ]
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    響きと怒り (上) (岩波文庫)


    響きと怒り (下) (岩波文庫)


    The Sound and the Fury (English Edition)



  • 『カッコウの卵は誰のもの』 東野圭吾, 2013年 感想 | ウィンタースポーツと人間臭さ

    『カッコウの卵は誰のもの』 東野圭吾, 2013年 感想 | ウィンタースポーツと人間臭さ

    ★★★★☆  久しぶりの東野圭吾。やっぱり面白い。今回は著者の好きなウィンタースポーツが背景になっていてそこの細かさもさすが。人間臭さが好き。
    
    
    
    
    
    🔽 基本情報 🔽
    カッコウの卵は誰のもの
    東野圭吾 2013
    Keigo Higashino
    392 pages
    2024年7月 読了
    アマゾンで見る

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    久しぶりの東野圭吾。
    やっぱり面白い。全ての辻褄があっていて、謎解きミステリーとして面白いのと、人間関係が面白いのと、なにより人間臭さがいつもきちんと残されていて感動も与える。
    今回は著者の好きなウィンタースポーツが背景になっていてそこの細かさもさすが。
    才能とは、家族とは、血とは。

    やっぱり東野圭吾はエンターテイメントとして最高峰に面白い。

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  • 『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス, 2000年 感想 | 混沌としたロンドンへのラブレター

    🔽 基本情報 🔽
    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース
    ゼイディー・スミス 
    464 pages
    2024年7月 読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ロンドンに初めて行ったときからずーっと話題の本、を20年経ってやっと読んだ。
    なんとなく難しくて移民の厳しい生活の話と勘違いしていたけど、読んでみると心温まるコメディーっぽくてちょっとびっくり。
    まさに当時まだ残っていたロンドンがこの本にはある、ごちゃごちゃした混沌としたロンドン。
    ロンドンではイズリントン区というどちらかというとトルコ人エリアにほとんどずっと住んでいたのでこの本の人物と人種的には違うけど、当時は階級も人種も入り混じっていることが自然だった。
    段々とロンドンは設備され、汚いものは「カーペットの下に隠されて」いまではお金がないと生活できない街になってしまった。

    みんな違う意見を持ち、肌の色、年齢、世代、伝統、教育、宗教、過去、経験、すべてが違うなかで、ひとつの共同体として呼吸をするということ。
    まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強みであるとこの本は語っているよう。

    日本人を含む世界のイメージの中のロンドンは現実離れしてびっくりするけど、まあ実はロンドンはそういう幻想を売りにすることで観光業を盛り上げているので、この本で、20年前まであった本当のロンドンに出会ってください。
    汚くて大げさで下品です。いや、でした。過去形。今はこういうコミュニティーは市内から弾かれているのが残念でならない。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "White Teeth" Zadie Smith, (2000) Review | Love letter to London


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  • 『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 感想 | 暴力な世界の中の美しい物語

    『Afterlives』 アブドゥルラザク・グルナ, 2020年 感想 | 暴力な世界の中の美しい物語

    🔽 基本情報 🔽
    Afterlives
    Abdulrazak Gurnah, 2020
    アブドゥルラザク・グルナ
    288 pages
    2024年7月 読了

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    戦争や植民地化という残酷で暴力的な環境の中で語られる美しい物語。

    人々の生活や愛情は、戦争という外部の環境によってボロボロに破壊されるということを忘れてはいけない。
    アフリカの人々の人生は、ヨーロッパ人が勝手に始めた戦争、つまりアフリカに住む人々とは全く関係のない殺し合いビジネスによって左右される。
    それでも彼らは確実に自分たちのものである小さな幸せや悲しみをしっかりと握りしめる。
    そんな狂暴な環境でも、植民地主義上の植民者と先住民でありながらも少しマジカルなでも一人間同士の関係も描かれていて少し希望を持つこともできる。

    2021年ノーベル賞受賞


    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Afterlives" Abdulrazak Gurnah (2020) Review | A beautiful story told in a cruel and violent environment
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    Afterlives: By the winner of the Nobel Prize in Literature 2021



  • 『最初の人間』アルベール・カミュ, 1994年 (1960年) 感想 | 未完成という完全

    『最初の人間』アルベール・カミュ, 1994年 (1960年) 感想 | 未完成という完全

    🔽 基本情報 🔽
    The First Man
    Albert Camus 1994 (1960)
    Le Premier homme
    最初の人間
    アルベール・カミュ
    282 pages
    2024年5月 読了

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    1960年に事故で亡くなったカミュのカバンにあった未完成の原稿が1994年に未完成のまま出版される。名前や詳細が噛み合っていないのもその生々しさを語る。
    半分自伝、半分小説、未完成、でも完全に心惹かれる。

    アルジェリアに住んでいたときの貧しい生活、でも母、祖母、叔父への愛に溢れていた。
    フランスとアルジェリアという2つの国に引き裂かれた生活には父親がいない、家族の伝統もない、信頼できる人も、自分を育ててくれる確かな存在も、なにもない。
    そんな時に小学校の先生に出会う。

    時に家族や血縁で繋がっていない人が、その溢れる愛情をもって育ててくれることがある。
    この先生がカミュの人生にとってかけがえのない人だったことがよく分かるくらい感動する章。
    そして彼は恋に落ちる - がそこでこの物語は途切れてしまう。
    確かに傑作になっていたと思う。
    愛だろ、愛。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "The First Man" Albert Camus, (1994 /1960) Review | Half biography fully touching
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    最初の人間 (新潮文庫 新潮文庫) [ カミュ ]
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    最初の人間 (新潮文庫)



    The First Man (Vintage International) (English Edition)



  • 『(Otherwise Pandemonium)』 ニック・ホーンビィ, 2005年 感想 | 初めてのホーンビィ

    『(Otherwise Pandemonium)』 ニック・ホーンビィ, 2005年 感想 | 初めてのホーンビィ

    🔽 基本情報 🔽
    Otherwise pandemonium
    Nick Hornby 2005
    ニック・ホーンビィ
    64 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    サラッと読める本を探してる人に
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    ショート2本立ての短い本。多分、初のニック・ホーンビィ。
    最初のSFっぽいショートもいいけど、二本目のNot a Starのほうが好きだった。
    お母さんが自分の息子の秘密の仕事を知るんだけど、でもまあいいや、的ないいお話。

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    English review
    "Otherwise Pandemonium" Nick Hornby (2005) Review | My first Hornby
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    Otherwise Pandemonium (Pocket Penguins)




  • 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    🔽 基本情報 🔽
    Klara and the sun
    Kazuo Ishiguro, 2021
    クララとお日さま
    カズオ・イシグロ
    307 pages
    2024年5月 読了
    アマゾンで見る
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ディストピア小説好き。切ないです。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    発売当時の特別版カバー。
    カズオ・イシグロ作品はいつもちょっと哀しい。劇的な悲しさというより小さな寂しさ。
    AF(人工親友)は感覚で言えば未来のペットのような。子供の友達になるようなわんちゃん、でも違いは、AFはどれだけ知能、経験、感情を学んでも所詮はモノ。

    AFクララを購入する少女の家族のことや周りの状況が、純粋なモノであるクララの目からのみ描かれる。
    この家族は利己的なのか。いや多分そういうことじゃない。彼らはただ単にこういう世界で生きていて、これがもう普通であり、悪気なんてない。

    AFには子どもたちを幸せにする義務、ミッションがあり、そのために学び、迷い、存在する、そして最終目的のためには手段を選ばないという選択だってする。
    じゃあAFクララは我々にとって脅威か。
    でも人間より誰よりも純粋なのはクララしかいないのに。
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    English review
    "Klara and the Sun" Kazuo Ishiguro (2021) Review | Artificial Friends, are they friends?
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    Klara and the Sun: The Times and Sunday Times Book of the Year (English Edition)



  • 『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース, 2009年 感想 | 好奇心旺盛だけど冷静

    『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース, 2009年 感想 | 好奇心旺盛だけど冷静

    🔽 ログ 🔽
    Sushi & Beyond: What the Japanese Know About Cooking
    Michael Booth, 2009
    英国一家、日本を食べる
    マイケル・ブース
    307 pages
    2024年4月 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    和訳は「英国一家、日本を食べる」
    イングランド人ジャーナリストが奥さんと子どもの日本に3ヶ月ほど滞在して、とにかく食べまくる。
    これ、本が和訳されただけじゃなくて漫画にもアニメにもなったんですねー

    日本人としてもちろん知っていることはあるんだけど、日本人でも知らないこと、体験できないことが多い。例えば辻調理師専門学校に行ったり、ビストロSMAPにSMAPが誰かも知らずにスタジオに行ったり、味の素に行ったり。

    でもこの本がやっぱり他の日本マニアのものと違うのは、子どもと一緒に滞在したということ。やっぱり子どもがいると日本のそのへんの近所の人も話しかけやすい。
    あと、彼がいわゆるマニアで日本大好きという感じじゃないのもいい。変に日本オタクっぽくならず、逆に何でも気持ち悪がらない、意外に冷静な感じなのもいい。

    ジャーナリストの特権で、普通の人が入れない場所に行ける、遠慮なんてできないくらい好奇心が旺盛、じゃあどうするか。じゃあ入ってみる、食べてみるしかない。

    2009年出版ということは、彼の滞在期もコロナ後の異常なまでの日本のオーバーツーリズム状態ではなかったのも良かったかも。今は彼の真似をするかのような旅行者や子連れも多く当時ほど優しく歓迎されなかったかも。

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    English review
    "Sushi & beyond" Michael Booth (2009) Review | He's British, he's composed
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    英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)






  • 『美は傷』 エカ•クルニアワン, 2002年 感想 | その地に宿る魂の苦しみ

    『美は傷』 エカ•クルニアワン, 2002年 感想 | その地に宿る魂の苦しみ

    
    
    
    
    
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    Beauty is a wound
    Cantik Itu Luka
    By Eka Kurniawan, 2002
    美は傷
    エカ•クルニアワン
    原語=インドネシア語
    読了=英語訳
    480 pages
    2024年4月 読了

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    インドネシアの町に死んだはずの売春婦の女性が戻ってきた。

    強く美しい女たちの物語は、いつも男たちによって泥沼にされる。
    その地に宿る魂の苦しみ、植民地としての過去、蔑ろにされる女性の尊厳、生きていくための手段。暴力と愛と呪い。なるほど、マジカルリアリズム。

    女性は自分の美しい娘の成長した姿を確認するまでは死ぬに死にきれず、唯一の醜い娘の幸福を確信する。だって外見の美しさは歴史、人種、宗教や政治、権力を越え、その子の人生の傷でしかないから。

    自分は何とか生き抜いた、でもそれぞれの子にそれぞれの苦しみと呪いがある、まるでマルケスの百年の孤独のような何代にも渡る一族のストーリーを、痛々しくリアルに描く。

    この物語はインドネシアだからこそ生まれてきた物語であり、世界中の人の心を揺さぶった。
    一度ページをめくったらやめられない、強く生きる女たちの壮大な物語。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Beauty is a wound" Eka Kurniawan (2002) Review | Mix of history, religions, power, and abuse


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    Beauty is a Wound (English Edition) Kindle版




  • 『火宅の人』 壇一雄, 1975年 感想 | 男の無益なプライド

    『火宅の人』 壇一雄, 1975年 感想 | 男の無益なプライド

    ★★★★☆ こういういかにも昭和のダメ男はきっとそこらじゅうにいたはず。お金はある、なのにいつも足りない。逃げるように女を追いかけてお酒を追いかける。ただの我儘、男の無益なプライド。
    これが無頼派
    🔽 ログ 🔽
    火宅の人 上下
    壇一雄 1975
    Kazuo Dan
    960ページ(480+480)
    2025年6月読了
    
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    私小説風の大変な男の話。
    家族は放ったらかし、愛人にも面倒くさくなり、それ以外もフラフラとあっちの女、こっちの女にすがり付き、もちろん商売の女にもすがり付き、何よりも酒にお金を使い込む、そう、最低の男の代表格。
    
    こういういかにも昭和のダメ男はきっとそこらじゅうにいたはず。
    お金はある、なのにいつも足りない。
    逃げるように女を追いかけてお酒を追いかける。
    でも最低の男であっても、優しくないわけではない。
    年じゅう放っておくくせに、急に子供を海や川に泊まりがけで遊びにつれていく。
    寝たきりの次男が気になってしょうがない(だからといって世話はしないけど)。
    女の面倒を見たがる。
    でも言ってみれば、ただの我儘なええかっこしい。男の無益なプライド。
    
    結局は幸いお金があるということが救いになっているけど、じゃあなければ汗水垂らして働きますということだってないだろう。
    
    無頼派とは、こういうことか。
    
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    火宅の人(下巻)改版 (新潮文庫) [ 檀 一雄 ]
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    火宅の人 上下2冊セット 文庫 新潮社









  • 『Small Worlds』 ケイレブ・アズマー・ネルソン 2023年 感想 柔らかい気持ちが長く続く

    『Small Worlds』 ケイレブ・アズマー・ネルソン 2023年 感想 柔らかい気持ちが長く続く

    🔽 ログ 🔽
    Small Worlds
    Caleb Azumah Nelson, 2023
    ケイレブ・アズマー・ネルソン
    256 pages
    2025年5月 読了
    🔽 こんな人、ときにおすすめ 🔽
    移民の集まる南ロンドンカルチャー好き、90年、2000年の音楽好き。
    🔽 楽天kobo (内容、著者紹介も)🔽

    Small Worlds THE TOP TEN SUNDAY TIMES BESTSELLER【電子書籍】[ Caleb Azumah Nelson ]


    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    今人気の最近の小説をまとめてロンドンで買った中の1つ、なので相変わらず内容も知らないまま購入。でもそれがよかった。

    とても詩的。パッと表紙を見ただけでは予想できない雰囲気。
    表紙のエッジーな雰囲気は背景で、移民、黒人文化、南ロンドン、音楽、そういうものからは暴力的で騒がしいものを連想するけど、でもこれはそういう社会の渦の中にある、彼らの住む小さなスモールワールド。
    愛情に溢れ、優しさに包まれ、自由、家族、夢や悲しみの小さな世界。

    主人公は幼馴染みをひたすら想い続け、保守的な父親との関係に苦しむ、つまり誰もが共感できる誰もが住んでいる各々のスモールワールド。

    背景に聞こえるリズムと静かで深い愛、読み終わったあともその柔らかい気持ちが長く続く。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Small Worlds" Caleb Azumah Nelson (2023) Review | Tender feeling of understanding and belonging
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    Small Worlds【電子書籍】[ Caleb Azumah Nelson ] 価格:2,193円 (2025/10/1時点)

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  • 『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

    『Hunted』 アビール・ムカジー, 2024年 感想 | 追いかけ追いかけられて

    🔽 ログ 🔽
    Hunted
    Abir Mukherjee, 2024
    アビール・ムカジー
    468 pages
    2025年5月 読了
    🔽楽天kobo🔽


    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]

    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    アクション映画のような本。
    イスラムのテロリズムが軸になってるとは知らなかった。

    英国地方都市で静かに暮らしていたムスリム男性の娘にテロリスト容疑がかかり彼の世界が一転。そこに遠く離れたアメリカから白人女性がやって来て一緒に子供を救おうと言い放つ。
    警察が捕まえる前にテロリスト容疑の子供たちを見つける、無謀だけれどそれが親というもの。
    そしてその警察の組織から外れたある警察官も彼女自身の問題を抱えてあとを追う。

    じっくり考えるストーリーではないけれど、アドレナリン大放出でどんどんとページをめくれる。
    あと一歩、また逃げられた。すれ違った。
    テロリスト行為がいかに宗教とは関係が薄く、誰かの利益のためだけに多くを犠牲にする行為かを訴えている雰囲気もある。
    唯一ちゃんとキャラ設定がしっかりしているのはそのお父さんSajid。
    ムスリムのお父さん、今までの価値観をぶっ壊されて、娘のために走ります。

    長距離フライト用に選んだけど、読んだり寝たりにピッタリだった、良い選択。


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    English review
    "Hunted" Abir Mukherjee (2024) Review | Keep reading keep chasing
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    Hunted Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller【電子書籍】[ Abir Mukherjee ]
      
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    Hunted: Discover the new pulse-pounding, twist-packed thriller (English Edition)