「自閉症は津軽弁を話さない」 松本敏治, 2017 >>

★★★★★ そもそも方言にはどういう社会的機能があるのかという点へ流れて、その機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だからこそ方言が話せないと。うちの場合は3.5の言語も常時家庭内にあるので、そりゃー難しい。
🔽 基本情報 🔽
自閉症は津軽弁を話さない
自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
松本敏治 2017
Toshiharu Matsumoto
288 pages
2024.09
🔽🔽 読書記録 🔽🔽
面白い視点で、表紙などのパッと見の軽さとは裏腹にかなり学問的な研究の発表、その過程というかたちの本。

イントネーションの問題ではという視点から、そもそも方言とはどういう社会的機能があるのかという点へ流れて、その社会的機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だからこそ、方言が話せない、もしくは方言と共通語を使い分けれない、と。

方言は生活のなかで習得し、相手の様子を伺いつつ上達し、地域の人との繋がりの象徴としても存在する。
逆に共通語はテレビやビデオを繰り返しみることで記憶して、そのフレーズを生活のシチュエーションに合わせて使うことができる(とても不自然な仕上がりになるけど)そっちの方が社会的コミュニケーションを苦手とする自閉症には楽。
なるほど。

そうなるとやっぱり、イタリアで暮らしているけれどテレビやビデオは全部英語の我が子にとって、イタリア語は非常に習得しにくいはず。

方言に関してだけでなく、言語の裏にある意図のコミュニケーションのことも面白かった。
相手の意図とは、単にこう思ってるだろうと予想するだけでなく、だからこの人はこういう行動に出るだろうという先のことまで想像すること。
普段なにげないコミュニケーションは実は物凄く複雑で、そこを知識としてだけで習得し生活で活用するのは難しい。
自閉症という観点からでなくても言語のしくみという観点からも面白い。

続編もあるようで、そっちは日本語を話さない自閉症も出てくるそう。読まなきゃ
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自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く (角川ソフィア文庫)


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“「自閉症は津軽弁を話さない」 松本敏治, 2017 >>”. への4件のフィードバック

  1. その本の著者です。

    この研究その後も続いており、アイスランドやアラビア語圏のASDの言語についても調べたところ、やはりメディア言語を優位に使うようになる子がいるようです。これ3冊目の本「自閉症は英語がお好き!?(福村出版)」に書きました。

    そして、現在モンゴルでの調査をある方と共同で行ってますが、モンゴルのASDのお子さんの中に初語から英語という子がいるという情報が得られてます。そして、調査対象になった子の半数近くが英語のYouTubeなどを見ているそうです。

    で、お聞きしたいのですが、イタリアは子ども向けのアニメなどはイタリア語でしょうか。欧米制作のアニメは吹き替えなどはあるのでしょうか?それとも字幕つきでしょうか?

    突然の連絡ですみません。お教えいただければ幸いです。

    松本敏治

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    1. まさか著者御本人からコメントいただけるとは!光栄です。
      本当に興味深く読ませていただきました。方言という観点からもなるほど、と思わせられることばかり。
      我が家の場合は息子が自閉症で7歳ですがまだ何語も話しません。
      イギリスで生まれ育ち、イタリアに引っ越してもBBCのその当時のテレビ番組をyoutubeで見るのでちょっと特殊だと思います。
      イタリアにも子供番組やアニメはテレビでもネットの動画でもあり、英語のものはイタリア語に訳されています。
      イタリアは文化的に吹き替えが中心です。(大人の見る映画もほぼ全て吹き替え)
      アドレスを書かれているのでメールの方でご連絡させていただきます!

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      1. イタリアは、吹き替えが中心なのですか。

        お子さんの場合は、小さい頃イギリスに居られてその時のミていた番組をYouTubeなどでミているということですね。了解しました。

        この現象、日常で使われることばとメディアで優勢な言語がある地域で起きているようで、そのこともあって質問させていただきました。

        とても貴重な情報をありがとうございました。

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      2. メールの方でも色々と教えていただきありがとうございました!

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