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  • 『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 感想 | 救いに溢れて

    『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス, 1966年 感想 | 救いに溢れて

    🔽 基本情報 🔽
    アルジャーノンに花束を
    ダニエル・キイス, 1966
    Flowers for Algernon
    Daniel Keyes, 1966
    2026.02 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    あまりにもチャーリイの障害が身近過ぎて客観的に感動できなかったところはある。
    逆にいうと、だからこそ痛いほどよくわかるところもある。
    なんというか、感動で涙は出ないけど、ただただ痛かった。

    でもできるだけ客観的に。
    小説の感想はいつもはできるだけ内容に触れないようにしているんですが、今回は少し内容に触れているので全く何も知りたくない人は読まないでください。

    この本が問うことは「幸せとは何」というとてつもなく大きな問。

    チャーリイの手術後すぐに、同僚の子が呟いた話にヒントがあるように思う。
    神様は私たちが与えられたもの以上のものを得ようとすることを許さない。
    彼女の考えでは、賢くなることは悪いこと。
    チャーリイは果たして周りの誰よりも賢くなることで幸せになったのか、そして良いことだったのか。
    世界中にあふれている素晴らしい知識を体いっぱい吸収できて彼はきっと、いや間違いなく幸せだったはず。
    それでも超能力がなくなるように、もっと言うと年を取って誰もがそれぞれ呆けたり遅くなっていくかのように、生きていくうえで避けられないサイクルとして、何かを得ても人は必ずその何かを失う。

    知識は力、たまに力が強すぎて害を及ぼすけれど、間違いなく失うものと思えれば、その山と谷をしっかりと自分のものにすればいい。
    得て、失って。
    広い目で見れば失うことだって、不幸と一言では言えない、そんなに狭い視野の話をしていない気がする。

    失ったと思った友情も、いつか戻ってくるかもしれない。
    人は大きな共同体、コミュニティの中での持ち場があるということも考えさせられる。
    (特にアメリカのような超個人主義の中でそれぞれの共同体ということも)

    そして、母親の存在。
    母親は悪い人間だったのか、自分の息子が「普通」であることを望むのは悪いことか。
    道徳の授業で差別はいけませんと教えられていると、他人ごとでは簡単に言える。
    自分の息子は他の子と同じように会話したり仕事をしたりすることはないと絶望した母親には、そんな他人事は通じない。
    それでもチャーリイのことを第一に考えることができればよかったのに、彼女は自分の不幸に集中するあまり息子のことを愛することを忘れていた。

    みんな、自分が一番大切。
    でも周囲の人間を傷つける気持ちもない、ただどちらもこなすのが難しいだけ。
    許しと救いにあふれているストーリーで本当に良かった。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    “Flowers for Algernon” Daniel Keyes (1966) Review | Forgiveness and salvations

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  • 『オリクスとクレイク』 マーガレット・アトウッド, 2003年 感想 | アトウッドのSF >>

    『オリクスとクレイク』 マーガレット・アトウッド, 2003年 感想 | アトウッドのSF >>

    🔽 基本情報 🔽
    オリクスとクレイク
    マーガレット・アトウッド, 2003
    Oryx and Crake
    Margaret Atwood
    2026.01 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    SFは苦手なんです。
    たとえアトウッドであっても苦手であると確信。

    なんでこういう世界にいるのかが436ページ中250ページ位になるまで見えてこないのは私には難しかった。
    文章はすごい、描写もすごい、状況を掴めれば面白い、でもこの世界を作り上げることに時間は割かれているにも関わらず人物像を作り上げることがほぼないので、人物に魅力を感じられない点も私には難しかった。

    日本語はもう売られていないのか、アマゾンで高額で売ってあるのみのよう。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Oryx and Crake” Margaret Atwood (2003) Review | SF from Atwood
    tag SF
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  • 『呪われた村』ジョン・ウィンダム, 1957 感想 | 居心地の悪さ>>

    『呪われた村』ジョン・ウィンダム, 1957 感想 | 居心地の悪さ>>

    🔽 基本情報 🔽
    The Midwich Cuckoos
    John Wyndham, 1957
    呪われた村
    ジョン ウィンダム
    240 ページ
    2022.12 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    友人に薦められるままに読んだので内容を知らなかったので最初は混乱状態に。
    なにこれ。
    SF小説をあまり読まないので他と比べようがないけれど、何度も映画化やドラマ化されている静かに恐ろしい一冊。

    静かな町である日、住民が全員意識を失い目が覚めると女性たちは妊娠していた。
    一斉に生まれた子どもたちは親に全く似ていないがお互いが似ていた。特に光った目。
    そして子どもたちは恐ろしいほどに賢く強く育っていく。
    何かがおかしい、この子達は何者なのか、どうすればいいのか、何が正しい方法なのか、どうやって止めるのか。

    居心地の悪い怖さの理由は、こんなことが本当はどこかで静かに起きて静かに消されているんじゃないか、というそのリアルさ。

    SFって昔は宇宙人の仕業だった。
    わかりやすい敵が外にいるいい時代だったのか。
    今は身内である人間が怖い。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review “The Midwich Cuckoos” John Wyndham, (1957) Review | Uncomfortable


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  • 『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 感想 | 痛々しくも美しい

    『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー, 1818年 感想 | 痛々しくも美しい

    🔽 基本情報 🔽
    Frankenstein
    Mary Shelley, 1818
    Frankenstein: Or the Modern Prometheus
    フランケンシュタイン
    メアリー シェリー
    224 ページ
    2020.12 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    世界で最も有名なホラーのひとつ。
    でも特記すべきは、この物語は当時18歳だった若きメアリー・シェリーが書いたということ。
    しかも、旅行中に天気が悪いからと、同行した二人の男性と「誰が一番怖い話を書くか賭けをしよう」と言うことで書き始めた話は有名。その二人とは詩人バイロンと作家ポリドリ、かなり豪華な遊び。

    さて、物語は原作を知らないとどうしても恐ろしいモンスターの話、と単純に思ってしまうけれど、読んでびっくり、詩的で悲しい、そして痛々しくも美しい物語と私は言い切ってしまいたい。
    この怪物の存在を後悔する二人の男の物語。
    一人は怪物を作った男、もうひとりは怪物本人。
    怪物が怪物的で暴力的なものは仕方がない、彼の意思ではなく自然の原理でしかない。

    どうしても映画や漫画などで単純なイメージが独り歩きしているけれど、原作では単純な悪ではない。
    どちらかというと、望まれない存在である一人ぼっちの怪物の悲しいお話。


    🔽 関連ページ 🔽
    English review “Frankenstein” Mary Shelley (1818) Review | A lonely unwanted creature

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  • 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    『クララとお日さま』カズオ・イシグロ, 2021年 感想 | 人工友達は友達か

    🔽 基本情報 🔽
    Klara and the sun
    Kazuo Ishiguro, 2021
    クララとお日さま
    カズオ・イシグロ
    307 pages
    2024年5月 読了
    🔽 こんな人、こんなときにおすすめ 🔽
    ディストピア小説好き。切ないです。
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    発売当時の特別版カバー。
    カズオ・イシグロ作品はいつもちょっと哀しい。劇的な悲しさというより小さな寂しさ。
    AF(人工親友)は感覚で言えば未来のペットのような。子供の友達になるようなわんちゃん、でも違いは、AFはどれだけ知能、経験、感情を学んでも所詮はモノ。

    AFクララを購入する少女の家族のことや周りの状況が、純粋なモノであるクララの目からのみ描かれる。
    この家族は利己的なのか。いや多分そういうことじゃない。彼らはただ単にこういう世界で生きていて、これがもう普通であり、悪気なんてない。

    AFには子どもたちを幸せにする義務、ミッションがあり、そのために学び、迷い、存在する、そして最終目的のためには手段を選ばないという選択だってする。
    じゃあAFクララは我々にとって脅威か。
    でも人間より誰よりも純粋なのはクララしかいないのに。
    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Klara and the Sun" Kazuo Ishiguro (2021) Review | Artificial Friends, are they friends?
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