カテゴリー: 文学 イタリア

  • 『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 | 本好きの天国と地獄

    『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ, 1979年 | 本好きの天国と地獄

    🔽 基本情報 🔽
    If on a Winter's Night a Traveller
    Italo Calvino, 1979
    Se una notte d'inverno un viaggiatore
    冬の夜ひとりの旅人が
    イタロ・カルヴィーノ
    272 ページ
    2025.10 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽

    なんて本なんだろう。
    これは他にない読書体験、試験的読書体験。
    読者、作者、翻訳者、出版社、翻訳者、政府も本の中の人物も全部ひっくるめて、時空も日常も現実もすべてを超越して地獄と天国がこの一冊に詰まっている。

    主人公である「あなた」が本を読み始めるけれど、途中から印刷が乱れる乱丁本だったようで、仕方なく本屋に戻る。
    新しい本もどうも違う本らしい、しかもこっちも乱丁本、そしてそれが何度も続き。
    毎回、やっと背景や人物像を把握し面白くなってきたところで読めなくなる、なんとしてでも続きが読みたい、そこから「あなた」の異様な冒険が始まる。

    余談だけど「夜は短し歩けよ乙女」って絶対これに影響受けてるよね。
    読書という側面じゃなくて、どこにいっても結局ある女性にたどり着くという側面で。

    これは一体何なのか。
    どうやってこれらの物語は終わるのか、終わりとはなにか。
    読書という地味な日常の体験。一人なはずの体験。
    この本はそこにいろんな疑問をガンガンぶつけてくる。
    そして答えは?
    本を通じて時空を超えて繋がってくる人々、登場人物、作者、その他諸々と実際に読んでいる「あなた」、最後にはなんとなくニヤニヤしてきます。
    なるほど、これこそが文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノ。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review "If on a Winter's Night a Traveller" Italo Calvino (1979) Review | Paradise and hell for readers
    タグ: イタリア
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  • 『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    『 (アカバドーラ) 』ミケラ・ムルジア 2009年 感想 | 終止符を打つ女性

    🔽 基本情報 🔽
    Accabadora
    Michela Murgia, 2009
    (アカバドーラ)
    ミケラ・ムルジア
    208 pages
    2024.11 読了
    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    小説「アカバドーラ」現代サルデーニャ文学の最高峰。
    アカバドーラとは、末期患者やその親族の苦しみに終止符を打つ女性のこと、そう、その町で暗黙の了解の中、患者に安楽死をもたらす役目を背負った女性。

    とてもサルデーニャ的でとても地中海文化的。
    土埃の立つ乾いた家の壁、バールに座っている男たち、一日中家事に追われる女たち。
    草原に緑はなく茶色に乾いた草がいつこの地を炎に包もうかと小さな火花を待つ。

    生を与える助産婦が女性なら、生を終わらせるのも女性。
    少女マリアを引き取ってくれた独り身の女性は時折真夜中に黒尽くめの服を着て静かに家を出る。そして翌朝何もなかったかのように帰って来る。

    善か悪か、天使か悪魔か死神か、それはもう問題ではない。
    いま行われるべきか否か。

    サルデーニャでは実際に存在していたと考えられている。
    窒息という方法か、もっと有名なのは槌を使用する方法。
    現在も安楽死の問題は解決しないし、間違いなく客観的に100%正しいという答えは出てこないかもしれない。

    伝統に縛られた厳格な小さな町で、その大きく揺れる心境を圧倒的な力強さと威厳を持って描く一冊。
    日本語もいつか出るといいですね。

    🔽 関連ページ 🔽
    English review
    "Accabadora" Michela Murgia, (2009) Review | A woman who ends life
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    ★★★★★ Accabadora, a woman in Sardinia who ends the suffering of very ill and their families. Is she an angel or a devil? That’s not the point any more to them. A book with an unusual dignity.

  • 『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ, 2015年 感想 | エーコの遺作、イタリア社会への警告

    『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ, 2015年 感想 | エーコの遺作、イタリア社会への警告

    🔽 基本情報 🔽
    Numero Zero
    Umberto Eco, 2015
    ヌメロ・ゼロ
    ウンベルト・エーコ
    208 pages
    2024年6月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    エーコの7冊目にして最後の小説は、陰謀論やフェイクニュースにまみれたジャーナリズム、私たちの時代におけるジャーナリズム。
    彼の他の小説のように難しくてクラシックに挑発的ではない、けれど短くて比較的読みやすい。
    何も「本当」なものはなく、「事実」は作り上げられる、私達の生きるこの今の社会においての信念や真実の意味を問いただす。
    イタリアの知の巨人と呼ばれるエーコ、彼の頭脳のクオリティはもちろんだけど、包容力のある彼の人間的な部分が好きなんですが、これは政治的にも二極端なイタリア社会への警告にもとれる。

    ただ、ムッソリーニの時代のことを振り返るので、そのあたりの知識がないとちょっと置いてけぼりを食らう。

    🔽 関連ページ 🔽

    English review
    "Numero Zero" Umberto Eco, (2015) Review | A warning to the Italian society today.
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  • 『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 感想 | 民話は残酷

    『イタリア民話集』イタロ・カルヴィーノ, 1956年 感想 | 民話は残酷

    🔽 基本情報 🔽
    Ten Italian Folktales
    Italo Calvino, 1956
    Fiabe italiane
    イタリア民話集
    イタロ・カルヴィーノ
    96 pages
    2024年6月 読了
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    🔽🔽 読書記録 🔽🔽
    イタリア民話集という本当はもっと大きな短編集からの抜粋10話。
    民話集ということでそれぞれは短く、道徳的な教えもある。
    ただ、眠っている姫と寝て自分を王様にしたりとレイプを正当化する話もあって生々しい。
    不幸なことや残酷なことも綴られている。
    ちゃんと本編もいつか読まなきゃ、評価も何ともいえない。
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    English review
    "Ten Italian Folktales" Italo Calvino (1956) Review | Misfortunes and cruelties
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